(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148100
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G09B7/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049637
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】外山 千寿
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA03
2C028BA02
2C028BB01
2C028BC01
2C028BD03
(57)【要約】
【課題】個々の学習者に応じて動的に内容が変更された問題を作成することができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る情報処理装置は、辞書コンテンツに対する検索のための文字列を入力操作に応じて入力する入力部と、前記入力部により入力された文字列により検索対象とされる見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、前記文字列により前記辞書コンテンツの見出し語に対して検索を実行して、前記文字列に対応する情報を表示部に表示させ、前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索に用いられた前記文字列と、前記文字列の入力ための入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
文字列を入力操作に応じて入力する入力部と、
前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する制御部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記文字列の少なくとも1文字を伏せた伏せ字単語からなる穴埋め問題を作成する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記入力操作において誤入力された文字の文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記入力操作において入力された文字が削除された文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記入力操作において文字の入力が予め決められた時間以上要した文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記入力部により入力された第1文字列により前記辞書コンテンツの見出し語に対して検索を実行して、前記第1文字列に対応する情報を表示部に表示させ、前記入力部により入力された第2文字列により前記辞書コンテンツの見出し語に対して検索を実行して、前記第2文字列に対応する情報を表示部に表示させた場合に、前記第1文字列と前記第2文字列とが相違する文字の文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記文字列と一部が異なる少なくとも1つの類似文字列を作成し、前記文字列と前記類似文字列を含む選択問題を作成する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
文字列を入力操作に応じて入力する入力部とを備える
情報処理装置の情報処理方法であって、
前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
文字列を入力操作に応じて入力する入力部と、
を有するコンピュータを、
前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字列を入力することで辞書などのコンテンツを検索する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子辞書やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に実装された学習システムには、学習者に飽きさせることなく学習させるために、複数の問題を予め用意しておき、順次、問題を表示させて、学習者に回答させるものが多い。
【0003】
問題の形式は、様々なものがある。例えば、文章中の一部や単語中の文字の一部を伏せ字にして、伏せてある部分の正しい文字列を入力させる穴埋め問題、設問に対して複数の選択肢から正しいものを選択させる選択問題などがある。
【0004】
従来の学習システムでは、ソフトウェア設計の段階で設計者が問題を作成し、この問題を固定値としてプログラムに組み込んでしまう事が多い。すなわち、学習システムが提供する問題は、学習者が誰であっても同じ内容であり、システムを利用する事により動的に変化することはない。
【0005】
このため、学習者の学習履歴とは全く無関係の内容の問題が出題されたり、同じ内容の問題が繰り返して出題されるために、学習者が飽きやすい、または学習効果が十分に得られない可能性があった。
【0006】
一方、従来では、動的に問題を作成する穴埋めテスト問題作成装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。穴埋めテスト問題作成装置では、講義に使用するスライドに表示された文章中において、講師が重要な箇所についてレーザーポインタなどを使用して何度も指し示すことから、レーザーポインタによって、長時間、ポインティングされた箇所を自動的に抽出し、この該当箇所の単語などを空白領域に置き換えることにより穴埋めテスト問題を自動生成する。
【0007】
従来の穴埋めテスト問題作成装置では、動的に穴埋めテスト問題を作成することができるが、講師によるポインティングに応じて作成するものである。従って、穴埋めテスト問題は、個々の学習者の学習履歴とは関係するものではなく、全ての学習者に対して同じ内容となっており、前述と同様に、学習者が飽きやすい、または学習効果が十分に得られない可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来の学習システムでは、個々の学習者に応じた変化のある問題を提供することができず、学習者が飽きやすく、学習効果が十分に得られない可能性があった。
【0010】
本発明は、前記のような課題に考慮してなされたもので、個々の学習者に応じて動的に内容が変更された問題を作成することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の実施形態に係る情報処理装置は、見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、文字列を入力操作に応じて入力する入力部と、前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、個々の学習者に応じて動的に内容が変更された問題を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の電子回路の構成を示す機能ブロック図。
【
図2】本実施形態における電子辞書の外観構成を示す正面図。
【
図3】本実施形態における単語問題データの一例を示す図。
【
図4】本実施形態における電子辞書の問題処理プログラム(問題作成プログラム)による問題処理を説明するためのフローチャート。
【
図5】
図4に示す問題処理における問題作成処理の詳細を示すフローチャート。
【
図6】本実施形態における辞書検索機能実行時の表示例を示す図。
【
図7】本実施形態における辞書検索機能実行時の表示例を示す図。
【
図8】本実施形態における辞書検索機能実行時の表示例を示す図。
【
図9】本実施形態における辞書検索機能実行時の表示例を示す図。
【
図10】誤入力の問題作成イベントが発生した場合について説明するための図。
【
図11】入力済みの文字の削除の問題作成イベントが発生した場合について説明するための図。
【
図12】未入力時間の問題作成イベントが発生した場合について説明するための図。
【
図13】問題作成イベントが発生しない場合について説明するための図。
【
図14】音声入力による文字入力をする場合の問題の作成を説明するための図。
【
図15】音声入力による文字入力をする場合の問題の作成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の電子回路の構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
本実施形態では、情報処理装置を例えば電子辞書10として構成した例について示す。なお、情報処理装置は、電子辞書10の他、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、ゲーム装置などの各種の電子機器により実現することが可能である。
【0017】
電子辞書10は、複数種類の辞書コンテンツが辞書データとして記録されている。辞書コンテンツでは、複数の見出し語とする単語等のそれぞれと対応づけて、少なくとも1つの語義に関する情報が登録されている。電子辞書10に搭載されている辞書コンテンツは、一般に出版社などによって作成され、紙媒体などによっても出版されたものを含んでおり信頼性が高い。従って、信頼性の高い辞書コンテンツを学習に有効利用することで、正しく効果的な学習の効果を期待することができる。
【0018】
なお、辞書コンテンツは、英語系や国語系などの言語に関する辞書に限らず、各種分野の辞典などのコンテンツなどを含む。
【0019】
電子辞書10は、各種の記録媒体に記録されたプログラム、又は、伝送されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータの構成を有し、その電子回路には、CPU(central processing unit)11が備えられる。
【0020】
CPU11は、電子辞書10の全体を制御する制御部として機能する。CPU11は、メモリ12内に予め記憶された制御プログラム、あるいはROMカードなどの記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ12に読み込まれた制御プログラム、あるいはインターネット等のネットワーク(図示せず)を通じて、外部装置(サーバ等)からダウンロードされてメモリ12に読み込まれた制御プログラムに応じて、回路各部の動作を制御する。
【0021】
メモリ12に記憶された制御プログラムは、キー入力部16からのユーザ操作に応じた入力信号、タッチパネル式表示部17からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは記録媒体読取部14を介して接続されるEEPROM(登録商標),RAM,ROMなどの外部記録媒体13との接続通信信号に応じて起動される。
【0022】
CPU11には、メモリ12、記録媒体読取部14、通信部15、キー入力部16、タッチパネル式表示部17、音声入力部(マイク)18などが接続される。
【0023】
メモリ12に記憶される制御プログラムとしては、辞書制御プログラム12a、問題処理プログラム12bなどが含まれる。辞書制御プログラム12aは、電子辞書10の全体の動作制御するためのプログラムである。また、辞書制御プログラム12aは、入力部(キー入力部16、タッチパネル式表示部17、音声入力部18)により入力された文字列をもとに辞書コンテンツを検索して情報を表示させる辞書検索機能を実現する。また、辞書制御プログラム12aは、タッチパネル式表示部17に対する手書き文字を認識する手書き文字認識プログラム、音声入力部18から入力された音声を認識して音声認識プログラムを含む。
【0024】
問題処理プログラム12bには、辞書検索機能による処理結果を利用して、単語学習用の問題を作成する問題作成プログラム12b1、問題作成プログラム12b1による処理により作成された問題を学習モード時に提供する問題提供プログラム12b2が含まれる。問題処理プログラム12bは、電子辞書10に追加されることで、既存の辞書制御プログラム12aと協働して、辞書検索機能の処理結果を利用した学習システムとして電子辞書10を制御するプログラムである。
【0025】
一般に電子辞書10では、通常の学習目的の利用として、辞書検索機能を利用して、単語などの文字列を入力して辞書コンテンツを検索し、入力した単語(文字列)に対応する単語に関する各種の情報を表示させることが行われる。学習者は、表示された単語の語義(意味)や単語に関する情報を知ることができる。本実施形態における電子辞書10は、辞書検索機能の処理結果を利用して、辞書検索のために入力された文字列と、文字列の入力のために実行された操作をもとに、入力された文字列(単語)を学習するための問題を作成する。
【0026】
電子辞書10の辞書検索機能が利用される場合、学習者によって検索対象とする単語が異なり、また検索のための文字列の入力操作が異なる。文字列の入力操作には、例えば、辞書コンテンツに見出し語が存在しない文字列を入力する(誤入力)、誤った文字を入力したために入力済みの文字を削除する(削除)、文字を入力する際に他の文字の入力時よりも基準値よりも時間を要する(未入力時間)などの状況がある。文字列の入力操作は、学習者によってそれぞれ異なる。また、文字列の入力時に、例えば、前述した誤入力、削除、未入力時間などがあった場合、その時の文字位置の文字を学習者が十分に認識していない可能性がある。
【0027】
本実施形態では、学習者が検索対象として入力した文字列と、文字列の入力のために実行した操作に応じて問題を作成することで、学習者の辞書検索機能の利用に応じて動的な問題を作成することができる。また、学習者に適した学習をすることができる問題を作成することができ、学習効果の高い問題を提供することができる。
【0028】
なお、本実施形態における電子辞書10において作成される問題としては、例えば、単語の一部の文字を伏せた伏せ字単語からなる穴埋め問題、正しい単語と同単語と類似する類似単語を含む選択問題を作成する。なお、辞書検索機能の処理結果を利用して作成可能であれば、他の形式の問題を作成することも可能である。
【0029】
メモリ12には、辞書データ12c、フラグ12d、単語状態データ12e、決定単語データ12f、単語問題データ12gなどが記憶される。
【0030】
辞書データ12cには、例えば、英和辞書、和英辞書、英英辞書、英漢辞書、国語辞書などの複数の辞書、複数種類の事典などの辞書コンテンツを集録したデータベースが含まれる。辞書データ12cには、辞書毎に、各見出し語のそれぞれに対応する意味(語義)を説明する語義情報が対応づけられている。
【0031】
なお、辞書データ12cは、電子辞書10の本体に内蔵せずに、ネットワークを通じてアクセス可能な外部装置(サーバ等)に記憶されていても良い。
【0032】
フラグ12dは、辞書検索のために文字列が入力される操作を監視して、問題作成に利用するイベントが発生した状態を示す。ここで、問題作成に利用するイベント(以下、問題作成イベント)は、前述した文字列入力時の誤入力、入力済みの文字の削除、文字の入力に時間を要する未入力時間があるものとする。フラグ12dには、フラグ1,2,3を含む。フラグ12dには、誤入力があった場合には「フラグ1=1」、文字の削除があった場合には「フラグ2=1」、未入力時間があった場合には「フラグ3=1」がセットされる。フラグ1~3のデフォルトは「0」であり、「フラグ1~3=0」の場合には、入力操作において問題作成イベントが発生していないことを示す。
【0033】
単語状態データ12eは、問題作成イベントが発生した場合の文字列の状態を示すデータである。
【0034】
決定単語データ12fは、過去の辞書検索処理において、最終的に辞書検索結果を表示するための辞書検索に用いた文字列(単語)を示すデータである。決定単語データ12fには、少なくとも1回分(直前)の辞書検索機能を利用した辞書検索に用いた文字列(単語)が保存される。なお、決定単語データ12fは、予め決められた回数分(例えば、直前の過去5回分など)の辞書検索に用いた文字列(単語)を保存しても良いし、予め決められた期間(例えば、当日分、直前の1週間分、直前の1か月分など)に実行された辞書検索に用いた文字列(単語)を保存しても良い。
【0035】
単語問題データ12gは、辞書検索機能による処理結果(単語状態データ12e、決定単語データ12f)に基づいて作成した問題を示すデータである(
図3参照)。
【0036】
通信部15は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した、他の情報処理装置と通信する通信制御、あるいは近距離の他の情報処理装置との間で、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信をする通信制御を実行する。
【0037】
このように構成された電子辞書10は、CPU11が辞書制御プログラム12a、問題処理プログラム12b等の各種プログラムに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0038】
図2は、本実施形態における電子辞書10の外観構成を示す正面図である。
【0039】
図2における電子辞書10の場合、開閉される装置本体の下段側にCPU11、メモリ12、記録媒体読取部14、通信部15、音声入力部18が内蔵されると共にキー入力部16が設けられ、上段側にタッチパネル式表示部17が設けられる。
【0040】
キー入力部16には、文字入力キー16a、各種の辞書や各種機能を選択することができる辞書選択キー16b、[訳/決定]キー16c、[戻る]キー16d、カーソルキー(上下左右キー)16e、削除キー16f、電源ボタン、その他の各種機能キーなどが備えられる。
【0041】
タッチパネル式表示部17には、各種機能の実行に応じて、各種メニューやボタン17aなどが表示される。タッチパネル式表示部17では、例えばペンを用いて、各種メニューやボタン17aを選択するタッチ操作、文字を入力するための手書き文字入力をすることができる。
【0042】
また、手書き文字入力では、タッチパネル式表示部17に表示された手書き文字入力エリアに、文字を表すパターンがペンにより手書されると、パターンについて文字認識処理を実行する。文字認識処理により得られたパターンに対する文字は、キー入力部16の文字入力キー16aの操作によって入力される文字と同様に、タッチパネル式表示部17の文字入力エリアに表示される。従って、辞書検索のための文字列を、タッチパネル式表示部17への手書き文字により入力することができる。
【0043】
また、電子辞書10は、音声によって文字を入力することができる。音声入力部18は、学習者が発話した音声を入力する。入力された音声に対して音声認識処理を実行し、発話された音声に対応する文字列を入力する。音声認識処理により得られた発話に対する文字は、キー入力部16の文字入力キー16aの操作によって入力される文字と同様に、タッチパネル式表示部17の文字入力エリアに表示される。従って、辞書検索のための文字列を、タッチパネル式表示部17への手書き文字により入力することができる。
【0044】
図3は、本実施形態における単語問題データ12gの一例を示す図である。
【0045】
単語問題データ12gには、例えば問題毎に、日時データ、問題データ、語義情報が対応づけて保存される。
【0046】
日時データは、例えば、問題作成時の年月日時刻を示す。すなわち、辞書検索機能において文字列が入力された後、[訳/決定]キー16cが押された時の年月日時刻を示す。
【0047】
問題データは、辞書検索のために入力された文字列(単語)と文字列の入力操作に基づいて作成された、学習モード時に学習者に提供される問題を示すデータである。穴埋め問題の場合、辞書検索機能による辞書検索のために入力された文字列(単語)に対して、文字列の入力操作時の問題作成イベントに基づいて、文字列(単語)の一部を伏せ字にして生成された単語を示す。選択問題の場合、辞書検索のために入力された正しい単語と、同単語に対して、文字列の入力操作時の問題作成イベントに基づいて一部を変更することで生成した類似文字列とを選択肢とした、学習モード時に学習者に提供される問題を示すデータである。
【0048】
語義情報は、辞書検索のために入力された文字列(単語)により検索され、検索結果としてタッチパネル式表示部17に表示された見出し語に対応する情報である。語義情報は、穴埋め問題(伏せ字単語)あるいは選択問題の回答のための学習者に対するヒントとして使用することができる。
【0049】
次に、本実施形態における電子辞書10の動作について説明する。
【0050】
図4は、本実施形態における電子辞書10の問題処理プログラム12b(問題作成プログラム12b1)による問題処理を説明するためのフローチャートである。
図5は、
図4に示す問題処理における問題作成処理の詳細を示すフローチャートである。
図6、
図7、
図8、
図9は、本実施形態における辞書検索機能実行時のタッチパネル式表示部17における表示例を示す図である。
【0051】
CPU11は、辞書制御プログラム12aによる辞書検索機能の実行時には、タッチパネル式表示部17に辞書検索画面を表示させる。CPU11は、例えば文字入力キー16aに対するキー操作によって文字が入力されると、辞書検索画面の入力文字エリアに文字を表示させる。また、CPU11は、入力された文字をもとに、辞書データ12cの検索対象とする辞書コンテンツの見出し語を対象として、入力された文字(文字列)に検索を実行する。
【0052】
ここでは、例えば英語系の辞書を検索対象とする辞書コンテンツとし、英単語のスペルを1文字ずつ文字入力キー16aの操作により入力し、目的の英単語を探す事を想定する。なお、辞書選択キー16bに対する辞書の選択操作によって、特定の英和辞書を検索対象として指定することもできる。
【0053】
CPU11は、英単語のスペルの全てが入力されなくても、1文字毎に文字が入力される毎に、入力済みの文字(文字列)列をもとに辞書コンテンツに対する検索を実行して、検索結果候補を辞書検索画面に一覧表示させる。
【0054】
例えば、「明日」を意味する「tomorrow」と言う英単語を検索する場合、8文字全てを入力しなくても、例えば、前半の4文字「tomo」が入力された状態の場合では、
図6に示すように、入力された文字列「tomo」により検索された検索結果候補が一覧表示される。
【0055】
この状態から、残りの4文字「rrow」を追加で入力して、
図7に示すように、文字列「tomorrow」を入力した後、[訳/決定]キー16cを押すことで、「tomorrow」に対応する検索結果とする情報をタッチパネル式表示部17に表示させることができる。
図8は、入力文字列「tomorrow」に対する辞書検索結果とする、辞書コンテンツの見出し語「tomorrow」に対応して登録された情報を表示した画面の例を示している。この場合、最終的に辞書検索結果を表示するための辞書検索に用いた文字列(単語)「tomorrow」を決定単語とする。
【0056】
なお、
図6に示す検索結果候補の一覧において、カーソルキー16eの下キーを7回押して、検索候補の「tomorrow」を選択状態にして、[訳/決定]キー16cを押すことで、
図8と同様にして、「tomorrow」に対応する検索結果とする情報をタッチパネル式表示部17に表示させることができる。
【0057】
一方、CPU11は、問題処理プログラム12bに基づく問題処理によって、辞書検索処理のために入力される文字入力を監視している(ステップA1)。CPU11は、1文字が入力される毎に、問題作成に利用する問題作成イベントが発生したかを判別する。
【0058】
例えば、前半の4文字「tomo」が入力された後、次に文字「o」が入力されたものとする。ここで、CPU11は、入力された文字列「tomoo」により辞書コンテンツを検索した場合、「tomoo」から始まる英単語が存在しないため、文字列「tomoo」に該当する見出し語が検索できない。
【0059】
CPU11は、入力された文字列「tomoo」に対して、
図9に示すように、タッチパネル式表示部17の辞書検索画面において、「該当する候補がありません」を表示させて、辞書コンテンツに検索候補が存在しないことを通知する。
【0060】
この場合、CPU11は、単語処理において、文字入力に応じた辞書検索により該当候補なしとなったことを判別する(ステップA2、Yes)。すなわち、CPU11は、誤入力の問題作成イベントが発生したことを判別する。CPU11は、フラグ12dに「フラグ1=1」をセットし、誤入力の問題作成イベントが発生した時の文字列の状態を示す単語状態データ12eを記憶させる(ステップA3)。
【0061】
図10は、誤入力の問題作成イベントが発生した場合について説明するための図である。
図10(A)は、検索候補が存在する場合の入力文字列「tomo」を示している。
図10(A)に示す文字列に文字「o」が追加入力されることで、誤入力の問題作成イベントが発生すると、
図10(B)に示す単語状態データ12eを記憶させる。すなわち、5文字目の入力によって誤入力が発生したことを示す単語状態「tomoo[err]」を記憶させる。
【0062】
その後、辞書検索処理において、文字列「tomorrow」が入力された後、[訳/決定]キー16cの操作により、「tomorrow」に対応する検索結果とする情報がタッチパネル式表示部17に表示されたものとする。
【0063】
次に、入力済みの文字の削除の問題作成イベントが発生した場合について説明する。
【0064】
CPU11は、削除キー16fによって入力済みの文字が削除されたことを判別すると(ステップA4、Yes)、文字の削除の問題作成イベントが発生したものとして、フラグ12dに「フラグ2=1」をセットし、削除の問題作成イベントが発生した時の文字列の状態を示す単語状態データ12eを記憶させる(ステップA5)。
【0065】
図11は、入力済みの文字の削除の問題作成イベントが発生した場合について説明するための図である。
図11(A)は、入力済みの文字列「dictional」を示している。例えば、文字列「dictional」が入力された後、最後に入力された文字「l」が削除され、文字列「ry」が入力されたものとする。この場合、
図11(B)に示す単語状態データ12eを記憶させる。すなわち、9文字目に入力された文字が削除され、その後、文字列「ry」が入力されたことを示す「dictional[del]ry」を記憶させる。
【0066】
また、文字列「dictionaly」が入力された後、9文字目と10文字目の文字「ly」が削除され、文字列「ry」が入力された場合には、
図11(C)に示すように、単語状態データ12eとして「dictionaly[del][del]ry」を記憶させる。
【0067】
次に、未入力時間の問題作成イベントが発生した場合について説明する。
【0068】
CPU11は、文字入力キー16aのキー操作によって順次文字が入力されている間に、前の文字を入力してから次の文字が入力されるまでの時間が予め設定された基準値以上であることを判別すると(ステップA6、Yes)、未入力時間の問題作成イベントが発生したものとして、フラグ12dに「フラグ3=1」をセットし、未入力時間の問題作成イベントが発生した時の文字列の状態を示す単語状態データ12eを記憶させる(ステップA7)。
【0069】
なお、未入力時間は、予め決められた基準値(例えば1秒)が設定されていても良いし、電子辞書10の利用者による設定操作によって任意の時間が設定されていても良い。また、辞書検索のために文字列が入力される際の文字間ごとの時間を履歴として記録しておき、文字入力の時間の平均値をもとに基準値を動的に変更しても良い。例えば、平均値に対して所定の倍率(例えば5倍)の時間を基準値として設定する。これにより、電子辞書10の利用者によって異なる文字入力速度に応じた、未入力時間の適切な判定が可能となる。
【0070】
図12は、未入力時間の問題作成イベントが発生した場合について説明するための図である。
図12(A)は、入力済みの文字列「dictiona」を示している。例えば、文字列「dictiona」が入力された後、次の文字「r」が入力されるまでに4秒要したものとする。この場合、
図12(B)に示す単語状態データ12eを記憶させる。すなわち、9文字目に文字を入力する際に未入力時間(4秒)が発生したことを示す「dictiona[4sec]ry」を記憶させる。
【0071】
電子辞書10は、辞書検索処理において、[訳/決定]キー16cが押されることで、入力された文字列に対応する情報の表示が指示された場合(ステップA8、Yes)、辞書検索機能による処理結果を利用して問題を作成する問題作成処理を実行する(
図5)。
【0072】
CPU11は、問題作成時の年月日時刻を示す日時データ(時刻ログ)を単語問題データ12gに記録する(ステップB1)。例えば、2021年3月17日10時20分40秒の場合、「2020 0917 1020 40」を数値として保持する。
【0073】
次に、CPU11は、単語状態データ12eを参照して、フラグ1~3に応じた問題作成を実行する。
【0074】
まず、誤入力があったことを示す「フラグ1=1」の場合(ステップB6、Yes)、CPU11は、単語状態データ12eが示す文字列入力時の単語状態(誤入力)と、今回の決定単語([訳/決定]キー16cの操作によって入力された文字列の情報を表示させた単語)とを比較し(ステップB7)、誤入力文字を伏せた伏せ字単語問題を作成する(ステップB8)。
【0075】
例えば、
図10(B)に示す単語状態データ12e「tomoo[err]」が記憶されている場合、5文字目の入力によって誤入力が発生したことを示す。CPU11は、決定単語「tomorrow」と比較して、
図10(C)に示すように、5文字目の文字位置にある「r」を伏せ字にした伏せ字単語問題「tomo[ ]row」を作成する。
【0076】
辞書検索のために文字列(単語)を入力する際に誤入力した文字がある場合、学習者が単語のスペルを正確に覚えていない可能性がある。従って、文字列(単語)を入力する際に誤入力が発生した文字位置を伏せ字にした伏せ字単語問題を作成することで、学習者に対して学習効果の高い問題を作成することができる。
【0077】
また、文字の削除があったことを示す「フラグ2=1」の場合(ステップB9、Yes)、CPU11は、単語状態データ12eが示す文字列入力時の単語状態(削除)と、今回の決定単語とを比較し(ステップB10)、削除位置の文字を伏せた伏せ字単語問題を作成する(ステップB11)。
【0078】
例えば、
図11(C)に示す単語状態データ12e「dictionaly[del][del]ry」が記憶されている場合、入力済みの9文字目と10文字目が削除されたことを示す。CPU11は、決定単語「dictionary」と比較して、
図11(D)に示すように、9文字目と10文字目の文字位置にある「ry」を伏せ字にした伏せ字単語問題「dictiona[ ][ ]」を作成する。
【0079】
なお、
図11(B)に示す単語状態データ12e「dictional[del]ry」が記憶されている場合、前述と同様にして、削除された文字位置にある「r」を伏せ字にした伏せ字単語問題「dictiona[ ]y」を作成する。
【0080】
辞書検索のために文字列(単語)を入力する際に、入力済みの文字を削除した場合、学習者が単語のスペルを正確に覚えておらず誤入力し、その後、誤入力した文字を削除して修正した可能性がある。従って、文字列(単語)を入力する際に、入力済みの文字を削除した文字位置を伏せ字にした伏せ字単語問題を作成することで、学習者に対して学習効果の高い問題を作成することができる。
【0081】
また、未入力時間があったことを示す「フラグ3=1」の場合(ステップB12、Yes)、CPU11は、単語状態データ12eが示す文字列入力時の単語状態(未入力時間)と、今回の決定単語とを比較し(ステップB13)、未入力時間が基準値よりも長い文字位置の文字を伏せた伏せ字単語問題を作成する(ステップB14)。
【0082】
例えば、
図12(B)に示す単語状態データ12e「dictiona[4sec]ry」が記憶されている場合、9文字目の文字の入力に基準値よりも長い時間を要したことを示す。CPU11は、決定単語「dictionary」と比較して、
図12(C)に示すように、9文字目の文字位置にある「r」を伏せ字にした伏せ字単語問題「dictiona[ ]y」を作成する。
【0083】
辞書検索のために文字列(単語)を入力する際に、文字の入力に時間を要した場合、学習者が単語のスペルを正確に覚えておらず、少し思考してから文字を入力した可能性がある。従って、文字列(単語)を入力する際に、入力に時間を要した文字位置を伏せ字にした伏せ字単語問題を作成することで、学習者に対して学習効果の高い問題を作成することができる。
【0084】
また、入力操作において問題作成イベントが発生せず、「フラグ1~3=0」の場合には(ステップB2、Yes)、CPU11は、決定単語データ12fが示す、過去の辞書検索処理において、最終的に辞書検索結果を表示するための辞書検索に用いた決定単語(過去決定単語)と、今回の辞書検索機能における決定単語(今回決定単語)とを比較する(ステップB3)。
【0085】
CPU11は、過去決定単語と今回決定単語との相違文字数が、予め決められた範囲内であるか判別する。相違文字数が、予め決められた範囲内でない場合(ステップB4、No)、過去決定単語を利用した問題の作成をしないものとして処理を終了する。
【0086】
一方、相違文字数が、予め決められた範囲内である場合(ステップB4、Yes)、CPU11は、相違文字を伏せ字にした伏せ字単語問題を作成する(ステップB5)。
【0087】
図13は、問題作成イベントが発生しない場合について説明するための図である。
【0088】
例えば、電子辞書10の辞書検索機能を利用した学習では、スペルが似た英単語を連続で調べることが良く行われている。例えば、1つ前に調べた英単語が
図13(A)に示す「effect」(効果) であり、今回調べた英単語が
図13(B)に示す「affect」(影響する)とする。予め決められた相違文字数の範囲が「3」とすると、「effect」と「affect」の相違文字数が「1」となる。この場合、CPU11は、
図13(C)に示すように、相違文字とする先頭文字を伏せ字にした伏せ字単語問題「[ ]ffect」を作成する。この場合、後述するステップB15において、伏せ字単語と共に、語義情報の(効果)と(影響する)の何れか一方、あるいは両方を、伏せ字単語問題と対応づけて単語問題データ12gとして記録する。
【0089】
また、例えば、1つ前に調べた英単語が「patient」、今回調べた英単語が「patiently」の場合、相違文字数が「2」であるため、「patiently」の相違文字を伏せ字にした伏せ字単語問題「patient[ ][ ]」を作成することができる。
【0090】
なお、前述した説明では、1つ前に調べた英単語との比較によって伏せ字単語問題を作成しているが、決定単語データ12fに予め決められた回数分、あるいは予め決められた期間に実行された辞書検索に用いた複数の単語(過去決定単語)が保存されている場合には、それぞれの過去決定単語と今回決定単語との比較により、前述と同様にして、伏せ字単語問題を作成することができる。
【0091】
これにより、例えば過去数回分の間に調べた単語、あるいは当日分、直前の1週間分、直前の1か月分などの期間において調べた単語を対象として問題を作成することができる。従って、学習者ごとの電子辞書10の辞書検索機能を利用した学習の実施状況に応じた問題作成が可能となる。
【0092】
CPU11は、問題が作成されると、単語問題データ12gに、日時データ、問題データ、語義情報を対応づけて保存する(ステップB15)。また、CPU11は、今回決定単語を1つ前の決定単語として決定単語データ12fとして記憶させる(ステップB16)。
【0093】
CPU11は、フラグ12dの各フラグをクリア(フラグ1~3=0)して、問題作成処理を終了する。
【0094】
なお、前述した説明では、フラグ1、フラグ2、フラグ3の順番にフラグを判定して問題を作成しているが、辞書検索のために1単語(文字列)が入力される際に、複数の問題作成イベントが発生することがある(複数のフラグが1)。従って、誤入力、削除、未入力時間の3つの問題作成イベントの優先順位を前述した例と異なるようにしても良いし、複数の問題作成イベントに応じた問題作成を組み合わせても良い。
【0095】
また、前述した説明では、キー入力部16の文字入力キー16aを用いた文字入力を例にしているが、音声入力による文字入力をする場合にも、前述と同様にして、伏せ字問題を作成することが可能である。
【0096】
例えば、
図14(A)に示すように、「机」と言う意味の英単語を調べるために「desk」を意図して発話したにも関わらず、音声認識処理によって「disk」と認識されて文字が入力されたものとする。
【0097】
この場合、例えばキー入力部16に対するキー操作によって、入力済みの文字列「disk」から「isk」を削除キー16fの操作により削除して、文字列「esk」を入力したものとする。この場合、前述した削除の問題作成イベントが発生した場合と同じとなる。すなわち、単語状態データ12eとして「disk[del][del][del]esk」を記憶させる。
【0098】
この場合、CPU11は、単語長が短いため、削除された何れか1文字を伏せた伏せ字単語問題を作成する。例えば
図14(C)に示すように、削除された先頭(2文字目)の文字位置にある「e」を伏せ字にした伏せ字単語問題「d[ ]sk」を作成する。
【0099】
これにより、削除により修正された文字列の発音が類似しており誤りやすいため、該当する文字を伏せ字単語問題を作成することで学習効果を期待することがきる。
【0100】
また、前述した例では音声認識結果をキー入力部16のキー操作により修正しているが、音声入力された文字列が誤りであった場合に、再度、音声入力して入力文字列を修正することもできる。
【0101】
例えば、
図15(A)に示すように、「see」(見る)を意図して発話したにも関わらず、音声認識処理によって「sea」(海)と認識されて文字が入力されたものとする。この場合、再度、音声入力することで「see」を入力することができ、辞書検索結果(海)の情報を表示させたものとする。
【0102】
この場合、CPU11は、最初に音声認識によって入力された「sea」と決定単語とする「see」とを比較して、前述した問題作成イベントが発生していない場合と同様にして、相違文字を伏せた伏せ字単語問題「se[ ]」を作成することができる。
【0103】
これにより、発音が類似している単語を比較して、伏せ字単語問題を作成することで、発音が類似してスペルが異なる単語についての学習効果を期待することがきる。
【0104】
また、前述した説明では、伏せ字単語問題を作成する場合について説明しているが、選択問題を作成することもできる。
【0105】
例えば、削除の問題作成イベントが発生して、
図11(C)に示すように、単語状態データ12eとして「dictionaly[del][del]ry」が記憶されたものとする。CPU11は、選択問題として、
図16に示すように、複数の選択肢を作成する(ここでは4つの選択肢)。例えば、CPU11は、正しい決定単語「dictionary」、誤入力された単語「dictionaly」を選択肢とする。さらに、CPU11は、削除された文字位置の文字を変更した類似単語を選択肢として生成する。例えば、削除された文字位置の文字を変更した「dictionally」「dictionare」を作成する。類似単語の生成では、例えば単語の変形ルールを複数の単語について予め登録しておき、該当するルールに基づいて決定単語「dictionary」の一部を変更することにより生成することができる。選択問題の選択肢(複数の単語)のデータは、単語問題データ12gとして保存される。
【0106】
こうして、本実施形態における電子辞書10では、穴埋め問題だけでなく、選択問題を作成することができる。
【0107】
電子辞書10のCPU11は、前述したように、穴埋め問題あるいは選択問題が作成された後、学習モードへの移行が学習者による操作によって指示されると、問題提供プログラム12b2を実行して学習モードに移行する。
【0108】
CPU11は、学習モードに移行すると、単語問題データ12gを参照して、辞書検索機能の処理結果をもとに作成した問題をタッチパネル式表示部17に表示させて、正解とするデータを入力させる。例えば、穴埋め問題の場合には、伏せ字にされた文字に対して、正しい文字を入力させる。CPU11は、入力された文字が正しい文字であるかを判定して判定結果を出力する。また、選択問題の場合には、複数の選択肢を一覧表示させて、正しい単語を選択させる。CPU11は、選択された選択肢が正しい単語であるかを判定して判定結果を出力する。
【0109】
なお、出題対象とする問題は、「本日間違った問題」や「1週間以内に間違った問題」のような出題条件を指定することができる。CPU11は、出題条件に該当する問題を、単語問題データ12gの日時データをもとに抽出し、抽出された問題を対象として出題することができる。
【0110】
これにより、学習者が問題を利用して学習する対象を絞ることができ効果的な学習を実施することができる。
【0111】
このようにして、単語問題データ12gとして保存された問題は、電子辞書10を使用する学習者が辞書検索機能を利用した処理結果を利用して作成されているので、学習者の辞書検索機能の利用に応じて動的に内容が変更される。従って、学習者が飽きにくい問題を提供することができる。また、学習者の単語を入力する際の誤入力や文字の削除、未入力時間の発生などの入力操作に基づいて問題が作成されているため、学習者に適した学習をすることができる問題となり、個々の学習者に応じた学習効果の高い問題を提供することができる。
【0112】
なお、実施形態において記載した手法、すなわち
図4、
図5のフローチャートに示す処理等の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
【0113】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネット)上を伝送させることができ、このネットワークに接続されたコンピュータからプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
【0114】
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0115】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0116】
[1]
見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
文字列を入力操作に応じて入力する入力部と、
前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する制御部と
を備える情報処理装置。
【0117】
[2]
前記制御部は、
前記文字列の少なくとも1文字を伏せた伏せ字単語からなる穴埋め問題を作成する[1]記載の情報処理装置。
【0118】
[3]
前記制御部は、
前記入力操作において誤入力された文字の文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する[2]記載の情報処理装置。
【0119】
[4]
前記制御部は、
前記入力操作において入力された文字が削除された文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する[2]記載の情報処理装置。
【0120】
[5]
前記制御部は、
前記入力操作において文字の入力が予め決められた時間以上要した文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する[2]記載の情報処理装置。
【0121】
[6]
前記制御部は、
前記入力部により入力された第1文字列により前記辞書コンテンツの見出し語に対して検索を実行して、前記第1文字列に対応する情報を表示部に表示させ、前記入力部により入力された第2文字列により前記辞書コンテンツの見出し語に対して検索を実行して、前記第2文字列に対応する情報を表示部に表示させた場合に、前記第1文字列と前記第2文字列とが相違する文字の文字位置を伏せた伏せ字単語を作成する[2]記載の情報処理装置。
【0122】
[7]
前記制御部は、
前記文字列と一部が異なる少なくとも1つの類似文字列を作成し、前記文字列と前記類似文字列を含む選択問題を作成する[1]記載の情報処理装置。
【0123】
[8]
見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、文字列を入力操作に応じて入力する入力部とを備える情報処理装置の情報処理方法であって、
前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する情報処理方法。
【0124】
[9]
コンピュータを、
見出し語と、前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
文字列を入力操作に応じて入力する入力部と、
を有するコンピュータを、
前記辞書コンテンツの見出し語に対する検索対象として前記入力部に入力された文字列と、前記入力部への前記文字列の入力操作に基づいて、前記文字列を学習するための問題を作成する制御部として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0125】
10…電子辞書、11…CPU、12…メモリ、12a…辞書制御処理プログラム、12b…問題処理プログラム、12b1…問題作成プログラム、12b2…問題提供プログラム、12c…辞書データ、12d…フラグ、12e…単語状態データ、12f…決定単語データ、12g…単語問題データ、12h…検索単語データ、13…外部記録媒体、14…記録媒体読取部、15…通信部、16…キー入力部、17…タッチパネル式表示部、18…音声入力部。