(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148107
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】組み合わせ支援装置、目標形状生成装置、帯パーツ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20220929BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20220929BHJP
A41F 19/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G06T19/00 A
A41D1/00 101
A41F19/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049645
(22)【出願日】2021-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔1〕 発行日(公開日) 令和2年10月29日 刊行物 NICOGRAPH2020 予稿PDF/研究説明動画(予稿PDF公開URL :https://www.art-science.org/nicograph/nico2020/PDF/S-07.pdf )(研究説明動画公開URL :https://www.art-science.org/nicograph/nico2020/PDF/Suppl/S07_video.mp4 ) <資料> NICOGRAPH2020 予稿PDF(抜粋) <資料> NICOGRAPH2020 研究説明動画 画面 プリント 〔2〕 開催日(公開日) 令和2年11月3日(会期:令和2年11月1日~11月3日) 集会名、開催場所 NICOGRAPH2020 芸術科学会 主催 学校法人関西大学 千里山キャンパス <資料> NICOGRAPH2020 概要及びプログラム <資料> NICOGRAPH2020 研究発表資料 〔3〕 ウェブサイトの掲載日 令和2年12月8日 ウェブサイトのアドレス http://www.isc.meiji.ac.jp/▲~▼yukilab/research.html https://drive.google.com/file/d/1zUYuIYxNyjN2awBAtE-UinUInrdgon4k/view https://www.youtube.com/watch?v=Mf9-FeHj4K4&list=PLsTrHFlc3tYohzM7UBRA6A6JM-0dMIFOc <資料> 五十嵐研究室 ウェブサイトページ プリント <資料> 五十嵐研究室 ウェブサイト掲載論文(抜粋) <資料> 研究説明動画 画面 プリント
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔4〕 発行日(公開日) 令和2年12月9日 刊行物 WISS2020 第28回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ 電子予稿集/ウェブ予稿集(研究内容説明動画) 日本ソフトウェア科学会 インタラクティブシステムとソフトウェア研究会 発行(電子・ウェブ予稿集URL:https://www.wiss.org/WISS2020Proceedings/ https://www.wiss.org/WISS2020Proceedings/data/07.pdf https://www.wiss.org/WISS2020Proceedings/data/07.mp4 ) <資料> WISS2020 学会概要 プリント <資料> WISS2020 電子予稿集(抜粋) <資料> WISS2020 ウェブ予稿集(抜粋) <資料> WISS2020 研究説明動画 画面 プリント 〔5〕 開催日(公開日) 令和2年12月17日(会期:令和2年12月16日~12月18日) 集会名、開催場所 WISS2020 第28回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ 日本ソフトウェア科学会 インタラクティブシステムとソフトウェア研究会 主催 完全オンライン発表形態による開催(研究要旨公開URL:https://www.wiss.org/WISS2020/program.html ) <資料> WISS2020 プログラム及び研究要旨 プリント <資料> WISS2020 研究発表資料 〔6〕 開催日(公開日) 令和3年2月12日 集会名、開催場所 学校法人明治大学 大学院 先端数理科学研究科先端メディアサイエンス専攻 五十嵐研究室(中野キャンパス内) 修士論文 面接試問(オンライン開催) <資料> 修士論文 面接試問 オンライン実施画面 プリント <資料> 修士論文 面接試問 発表資料
(71)【出願人】
【識別番号】801000027
【氏名又は名称】学校法人明治大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 あゆみ
【テーマコード(参考)】
3B030
5B050
【Fターム(参考)】
3B030BB01
3B030BC07
5B050AA10
5B050BA13
5B050EA09
5B050EA13
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA09
5B050FA13
(57)【要約】
【課題】帯結びの再現を容易にする。
【解決手段】組み合わせ支援装置は、帯結びの目標外形形状を複数のエディタパーツの配置によって示す目標形状情報に基づいて、目標外形形状を満たすエディタパーツ間の接続経路パターンを探索する探索部と、所定の制約条件に基づいて、探索部が探索するエディタパーツ間の接続経路パターンの優先度を評価する評価部と、評価部が評価した優先度に基づいて、探索部が探索したエディタパーツ間の接続経路パターンに対応する帯パーツの状態を提示する提示部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯結びの目標外形形状を複数のエディタパーツの配置によって示す目標形状情報に基づいて、前記目標外形形状を満たす前記エディタパーツ間の接続経路パターンを探索する探索部と、
所定の制約条件に基づいて、前記探索部が探索する前記エディタパーツ間の接続経路パターンの優先度を評価する評価部と、
前記評価部が評価した前記優先度に基づいて、前記探索部が探索した前記エディタパーツ間の接続経路パターンに対応する帯パーツの状態を提示する提示部と、
を備える組み合わせ支援装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記接続経路パターンが帯表面を貫く配置である交差配置を含む場合には、当該組み合わせの前記優先度を低く評価する
請求項1に記載の組み合わせ支援装置。
【請求項3】
前記目標形状情報には、帯の表面と裏面とを区別する表裏情報が含まれ、
前記評価部は、前記接続経路パターンのうち、前記目標形状情報に含まれる前記表裏情報が示す帯の表裏とが一致しない前記接続経路パターンの前記優先度を低く評価する
請求項1又は請求項2に記載の組み合わせ支援装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記帯パーツの外形形状の維持のしやすさの程度に基づいて、前記優先度を評価する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組み合わせ支援装置。
【請求項5】
前記探索部は、前記帯パーツの種類ごとに前記エディタパーツ間の接続経路パターンを探索する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の組み合わせ支援装置。
【請求項6】
帯結びの外形形状を構成するエディタパーツを提示する提示部と、
前記提示部が提示するエディタパーツのなかから、所望の種類のエディタパーツを選択する選択操作と、選択されたエディタパーツを前記帯結びの目標外形形状に応じて配置する配置操作とを受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が受け付けた操作に基づいて、エディタパーツが組み合わされることにより前記目標外形形状を示す目標形状情報を生成する生成部と、
を備える目標形状生成装置。
【請求項7】
前記生成部が生成する前記目標形状情報を請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の組み合わせ支援装置に出力する出力部
をさらに備える請求項6に記載の目標形状生成装置。
【請求項8】
前記目標形状情報には、エディタパーツどうしの重ねあわせの順序を示す順序情報が含まれる
請求項6又は請求項7に記載の目標形状生成装置。
【請求項9】
前記操作受付部は、前記順序情報に基づいてエディタパーツどうしの重ねあわせを整列させることを指示する整列操作をさらに受け付け、
前記生成部は、前記整列操作がなされたことに応じて整列された前記順序情報を含む前記目標形状情報を生成する
請求項8に記載の目標形状生成装置。
【請求項10】
帯の羽根部分を構成する羽根パーツと帯の飾り部分を構成する飾りパーツと前記羽根パーツまたは前記飾りパーツを留める留パーツとのうちのいずれかの帯パーツであって、他の帯パーツと組み合わされることにより、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の前記目標形状情報が示す外形形状の帯を構成する
帯パーツ。
【請求項11】
折り曲げ位置を示すガイドが表示された
請求項10に記載の帯パーツ。
【請求項12】
コンピュータに、
帯結びの目標外形形状を複数のエディタパーツの配置によって示す目標形状情報に基づいて、前記目標外形形状を満たす前記エディタパーツ間の接続経路パターンを探索することと、
所定の制約条件に基づいて、探索される前記エディタパーツ間の接続経路パターンの優先度を評価することと、
評価された前記優先度に基づいて、探索された前記エディタパーツ間の接続経路パターンに対応する帯パーツの状態を提示することと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
帯結びの外形形状を構成するエディタパーツを提示することと、
提示されたエディタパーツのなかから、所望の種類のエディタパーツを選択する選択操作と、選択されたエディタパーツを前記帯結びの目標外形形状に応じて配置する配置操作とを受け付けることと、
受け付けられた操作に基づいて、エディタパーツが組み合わされることにより前記目標外形形状を示す目標形状情報を生成することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み合わせ支援装置、目標形状生成装置、帯パーツ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半幅帯(以下、単に帯ともいう。)は和服帯の一種であり、着物や浴衣などに合わせて用いられる。帯の結び方は創作結びを含めると非常に多種多様である。
従来、帯結びの種類を増やすための組み合わせ帯に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、帯結びの種類が多種多様であるため、上記のような従来技術においては、特に、帯結びに不慣れな素人では、意図した帯結びを再現することが困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、帯結びの再現を容易にすることができる組み合わせ支援装置、目標形状生成装置、帯パーツ及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、帯結びの目標外形形状を複数のエディタパーツの配置によって示す目標形状情報に基づいて、前記目標外形形状を満たす前記エディタパーツ間の接続経路パターンを探索する探索部と、所定の制約条件に基づいて、前記探索部が探索する前記エディタパーツ間の接続経路パターンの優先度を評価する評価部と、前記評価部が評価した前記優先度に基づいて、前記探索部が探索した前記エディタパーツ間の接続経路パターンに対応する帯パーツの状態を提示する提示部と、を備える組み合わせ支援装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、上述の組み合わせ支援装置において、前記評価部は、前記接続経路パターンが帯表面を貫く配置である交差配置を含む場合には、当該組み合わせの前記優先度を低く評価する。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、上述の組み合わせ支援装置において、前記目標形状情報には、帯の表面と裏面とを区別する表裏情報が含まれ、前記評価部は、前記接続経路パターンのうち、前記目標形状情報に含まれる前記表裏情報が示す帯の表裏とが一致しない前記接続経路パターンの前記優先度を低く評価する。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、上述の組み合わせ支援装置において、前記評価部は、前記帯パーツの外形形状の維持のしやすさの程度に基づいて、前記優先度を評価する。
【0010】
また、本発明の一実施形態は、上述の組み合わせ支援装置において、前記探索部は、前記帯パーツの種類ごとに前記エディタパーツ間の接続経路パターンを探索する。
【0011】
また、本発明の一実施形態は、帯結びの外形形状を構成するエディタパーツを提示する提示部と、前記提示部が提示するエディタパーツのなかから、所望の種類のエディタパーツを選択する選択操作と、選択されたエディタパーツを前記帯結びの目標外形形状に応じて配置する配置操作とを受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が受け付けた操作に基づいて、エディタパーツが組み合わされることにより前記目標外形形状を示す目標形状情報を生成する生成部と、を備える目標形状生成装置である。
【0012】
また、本発明の一実施形態は、上述の目標形状生成装置において、前記生成部が生成する前記目標形状情報を上述の組み合わせ支援装置に出力する出力部をさらに備える。
【0013】
また、本発明の一実施形態は、上述の目標形状生成装置において、前記目標形状情報には、エディタパーツどうしの重ねあわせの順序を示す順序情報が含まれる。
【0014】
また、本発明の一実施形態は、上述の目標形状生成装置において、前記操作受付部は、前記順序情報に基づいてエディタパーツどうしの重ねあわせを整列させることを指示する整列操作をさらに受け付け、前記生成部は、前記整列操作がなされたことに応じて整列された前記順序情報を含む前記目標形状情報を生成する。
【0015】
また、本発明の一実施形態は、帯の羽根部分を構成する羽根パーツと帯の飾り部分を構成する飾りパーツと前記羽根パーツまたは前記飾りパーツを留める留パーツとのうちのいずれかの帯パーツであって、他の帯パーツと組み合わされることにより、上述の目標形状情報が示す外形形状の帯を構成する帯パーツである。
【0016】
また、本発明の一実施形態は、上述の帯パーツにおいて、折り曲げ位置を示すガイドが表示されている。
【0017】
また、本発明の一実施形態は、コンピュータに、帯結びの目標外形形状を複数のエディタパーツの配置によって示す目標形状情報に基づいて、前記目標外形形状を満たす前記エディタパーツ間の接続経路パターンを探索することと、所定の制約条件に基づいて、探索される前記エディタパーツ間の接続経路パターンの優先度を評価することと、評価された前記優先度に基づいて、探索された前記エディタパーツ間の接続経路パターンに対応する帯パーツの状態を提示することと、を実行させるためのプログラムである。
【0018】
また、本発明の一実施形態は、コンピュータに、帯結びの外形形状を構成するエディタパーツを提示することと、提示されたエディタパーツのなかから、所望の種類のエディタパーツを選択する選択操作と、選択されたエディタパーツを前記帯結びの目標外形形状に応じて配置する配置操作とを受け付けることと、受け付けられた操作に基づいて、エディタパーツが組み合わされることにより前記目標外形形状を示す目標形状情報を生成することと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、帯結びの再現を容易にすることができる組み合わせ支援装置、目標形状生成装置及び帯パーツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態の帯結びの種類の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の帯結びエディタが提示する画面の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態のエディタパーツの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の帯結びエディタによって作成した帯結びデータの一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の利用形態の一例を示す図である。
【
図6】和服コーディネートシステムにおける表示の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の組み換え帯を構成する帯パーツの一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の組み替え帯の基本的な使い方の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールの画面の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによるエディタパーツの分類と構造モデルの一例を示す図である。
【
図11】本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによる構造モデルの並べ方の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによる交差判定の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによる飾りパーツの評価の一例を示す図である。
【
図14】本実施形態の目標形状生成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図15】本実施形態のエディタパーツ情報の一例を示す図である。
【
図16】本実施形態のパーツ形状情報及び方向情報の一例を示す図である。
【
図17】本実施形態の目標形状生成装置の動作の一例を示す図である。
【
図18】本実施形態の目標形状情報の一例を示す図である。
【
図19】本実施形態の組み合わせ支援装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図20】本実施形態のパーツIDと、帯パーツの種類との対応関係の一例を示す図である。
【
図21】本実施形態の折り曲げ位置を示すガイドが表示された帯パーツの一例を示す図である。
【
図22】本実施形態の評価部による評価対象の一例を示す図である。
【
図23】本実施形態の組み合わせ支援装置の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施形態の概要]
半幅帯とは、女性のカジュアルな着物および浴衣に合わせて用いる帯であり、多様な帯結びが存在する。なお、半幅帯は細帯とも呼ばれる。本実施形態では半幅帯の帯結びを、1本のつながった帯ではなく、パーツの集合体として扱うというアイデアをもとに、3つの提案を行う。
第一に、帯結びをデータ化して扱うシステムとして、パーツの組み合わせによって帯結びの形状データを作成する帯結びエディタを提案する。なお、本実施形態において、帯結びエディタのことを、目標形状生成装置10ともいう。この目標形状生成装置10が扱うパーツの情報のことをエディタパーツともいう。
第二に、実世界において、パーツの組み合わせによってさまざまな帯結びに変えられる帯である組み替え帯を提案する。なお、本実施形態において、組み換え帯を構成するパーツのことを、帯パーツともいう。
第三に、第一の提案である帯結びエディタによって作成したデータから第二の提案である組み替え帯を組み立てるための支援として、帯結びの形状データをもとに、実際に組み換え帯を作成する際のパーツ対応とパーツのたたみ方などを示す組み替え帯組み立て支援ツールを提案する。なお、本実施形態において、組み替え帯組み立て支援ツールのことを組み合わせ支援装置20ともいう。
【0022】
図1は、本実施形態の帯結びの種類の一例を示す図である。
半幅帯は女性の和服帯の一種であり、お洒落着の着物・浴衣などに合わせて用いる帯である。半幅帯はカジュアル向けで決まりごとがあまりなく自由度が高い。半幅帯は、幅15~18cm、全長360~440cm程度の長方形で、その長さを利用してさまざまな形状に結ぶことができる。既存の帯結びにアレンジを加えることや、オリジナルの創作結びをすることも可能なため、帯結びの種類は数に限りがない。
帯結びの種類の一例として、
図1[A]に「文庫」を、
図1[B]に「花文庫」を、
図1[C]に「割り角出し」を示す。
【0023】
半幅帯の帯結びについては、明確な規則や基準があるわけではない。同じ形状の帯結びでも人によって呼び方が異なったり、逆に呼び方が同じでも表す形状が人によって違ったり、名称が定まっていない帯結びもある。形状・構造からいくつかの系統に分類して考えることができるが、その系統の種類と属する帯結びの分け方についても、個人差がある。本実施形態における本稿で用いる、帯結びに関する用語および帯結びの種類と系統を以下に示す。
【0024】
<用語>
羽根:本実施形態では、横方向に飛び出る部分をいう。
お太鼓:結びを縦にくるむような形の部分をいう。
【0025】
<帯結びの種類と系統>
文庫系:文庫、花文庫、一文字、片流しなど半幅帯の帯結びの中では最もベーシックな形で、バリエーションも多い。帯の一端を折りたたんで羽根とし、もう一端で中心を留めるという形状をいう。
リボン系:リボン返しなど文庫系と外見はよく似ていて、どちらもリボンのような形だが、リボン系として分類する場合はいわゆる蝶々結びをベースとしたものを指すことが多い。
角出し系:割り角出しなど角のような小さい羽根を覆うようにお太鼓を巻き付けた形をいう。
【0026】
[帯結びエディタについて]
図2は、本実施形態の帯結びエディタが提示する画面の一例を示す図である。この帯結びエディタは、半幅帯における帯結びでよく使われる形をエディタパーツとして用意しておき、それらを組み合わせることによって、帯結びの形状データ(以下、帯結びデータ、または目標形状情報61ともいう。)を作成するシステムである。
【0027】
図3は、本実施形態のエディタパーツの一例を示す図である。この一例においては、エディタパーツ200には、エディタパーツ201~208の8種類がある。エディタパーツ201は「太鼓下垂れパーツ」である。エディタパーツ202~204は「羽根パーツ」である。エディタパーツ205は「留めパーツ」である。エディタパーツ206は「飾り留めパーツ」である。エディタパーツ207~208は「飾りパーツ」である。
なお、エディタパーツ201(太鼓下垂れパーツ)は、飾りパーツに分類される。また、エディタパーツ206(飾り留めパーツ)は、パーツの使用方向によって分類が変化する。具体的には、エディタパーツ206(飾り留めパーツ)は、横方向(同図[F]に図示した方向)に配置される場合には羽根パーツに分類され、縦方向(同図[F]に図示した方向から90度回転させた方向)に配置される場合には飾りパーツに分類される。
【0028】
帯結びエディタにおいて、パーツの追加・削除のほか、それぞれに移動・回転・長さ調節・左右反転・裏表・重ね順の操作が可能である。長さ調節の方向はパーツによって縦または横が設定されている。パーツの種類や状態の情報および外形の画像を帯結びデータ(目標形状情報)として記録する。
【0029】
データを作成する際の補助機能として、パーツの位置チェックと重ね順の自動ソートを実装した。パーツの位置チェックでは、各パーツの基点となる頂点が一定範囲内胴に巻いた部分の上部中央付近に入っているかどうかを確認し、範囲外にある場合は利用者に修正を促す。データを作り始めるときの、位置の基準として参考にすることができる。外見デザインに影響するため自動での修正はしない。重ね順については、パーツの種類によって順序が決まるため自動でソートが可能であり、これはシステムが修正することとした。アルゴリズムはバブルソートを用いた。羽根にあたるパーツは、蛇腹に折ることを想定して左右交互になるようソートするため、パーツの種類と重ね順の関係が
図3で示した順番と前後する場合がある。羽根以外で同種のパーツが複数ある場合の重ね順は利用者が決定する。
【0030】
図4は、本実施形態の帯結びエディタによって作成した帯結びデータの一例を示す図である。
【0031】
[和服コーディネートシステムへの利用]
帯結びエディタにおいては、帯を結ぶ際の手順ではなく、できあがった状態の帯結びの外形を対象としてデザインしていく。帯結びをデータという形で表現することにより、帯結びの種類をコンピュータ上で管理することが可能になり、保存・読み出し・編集や他システムとの連携が期待できる。
なお、和服コーディネートシステムへの利用は一例であってこれに限られず、例えば、服飾全般のコーディネートシステムに利用することができる。
【0032】
図5は、本実施形態の利用形態の一例を示す図である。
帯結びデータを利用するシーンの一例として、和服コーディネートシステムへの利用がある。和服コーディネートシステムは、着物・帯・小物類などの色柄を変更して和服着用の際のコーディネートを作成するソフトウエアである。和服コーディネートシステムにおいて、前姿だけでなく後ろ姿の表示、帯結びデータを用いた帯結びの種類の変更を可能にすることで、利用者は帯結びによって後ろ姿の印象が変化することを確認できる。
【0033】
図6は、和服コーディネートシステムにおける表示の一例を示す図である。同図に示すように、利用者は帯結びの違いによる印象の変化を見ることができる。そのほかの利用シーンとしては、着付けの際に着付けする側が帯結びを提示して、される側がそれに対し意見を言うなど、リアルタイムで手を加えながら互いにイメージを伝える、といったケースが考えられる。
【0034】
[組み替え帯について]
上述した帯結びエディタでも用いた、「帯結びをパーツに分解して考える」というアイデアを基に、帯パーツを組み合わせてさまざまな帯結びにできる帯「組み替え帯」を提案する。
図7は、本実施形態の組み換え帯を構成する帯パーツの一例を示す図である。
既存の商品として、作り帯と呼ばれる、結び部分がすでに形成されており紐などで留めて着用するものがある。通常の帯が結べなくても手軽に着用できるが、市販の作り帯は、帯結びそのものを変更することはできない。組み替え帯は、帯結びをパーツごとに分解・再形成することで、帯結びが成形された状態で着用できるという利点を保ちつつ、異なる種類の帯結びを表現できる。
【0035】
組み替え帯は、使う帯パーツの組み合わせや各帯パーツの折りたたみ方などを変えることによって、さまざまな種類の帯結びを作ることが可能である。
帯パーツには、同図[B]に示す羽根パーツ、同図[C]に示す留めパーツ、同図[D]に示す飾りパーツなどがある。
羽根パーツは羽根の長さや枚数を変えられるようひとつながりになっており、留めパーツにはスプリングホックとボタン、飾りパーツにはボタンループがついている。留めパーツはボール紙を芯として、上下は紐を通すため輪になっている。各パーツはリバーシブルの帯を用いて作成し、留めパーツ以外はリバーシブルで使用できるようにしてもよい。留めパーツは片面の柄しか出せないが、表柄のものと裏柄のもの2つを用意し柄を選択することとした。
【0036】
なお、同図[B]に示す羽根パーツは、
図3に示したエディタパーツ202~204(羽根パーツ)及び、横方向に配置した場合のエディタパーツ206(飾り留めパーツ)に対応する帯パーツである。
同図[C]に示す留めパーツは、
図3に示したエディタパーツ205(留めパーツ)に対応する帯パーツである。
同図[D]に示す飾りパーツは、エディタパーツ201(太鼓下垂れパーツ)、エディタパーツ207~208(飾りパーツ)及び縦方向に配置した場合のエディタパーツ206(飾り留めパーツ)に対応する帯パーツである。
【0037】
図8は、本実施形態の組み替え帯の基本的な使い方の一例を示す図である。
1.羽根を折りたたむ(
図8[A]):羽根の長さと枚数を調節しながら、羽根パーツを折りたたみ、ひだをとる(
図8[B])。蛇腹に折ることで重なった羽根を作ることができる。
2.羽根に留めパーツをつけて紐を通す(
図8[C]~[D]):ひだの部分を留めパーツで押さえてホックを留める。留めパーツの輪に腰紐を交差させながら通す。
3.飾りパーツをつけ、結びの形を整える(
図8[E]~[G]):飾りパーツのボタンループを留めパーツのボタンにかけ、飾りパーツを巻く・垂らす、羽根を広げるなどして形を整える。必要であれば着物クリップや洗濯ばさみで一時的に固定する。飾りパーツを使用しない帯結びもある。
4.前帯を巻き、結び部分を紐で留める:胴体に前帯を巻き前帯の紐を結んで、紐は帯の中に押し込んで隠す。前帯全体を時計回りに回して巻き終わりの位置を調節し、袖や結び部分で隠れるようにするか、後ろに回し斜めに折り上げることで通常の帯を結んだときに似せる。背中に結び部分をあてて前で紐を結び、紐を前帯に隠す。クリップなどを使っていたら外す。
【0038】
初心者にとっては、組み替え帯を用いることで通常の半幅帯を結ぶよりも手軽に、かつ既存の作り帯よりも多様な帯結びを楽しめる。組み替え帯は、通常の帯を結ぶのに近い要素も含んでおり、帯結びの構造を多少考える必要があるため、帯を結べるようになりたい人の第一歩としても使えるのではないかと考えている。上級者は、帯結びに関する知識がある分、基本の使い方にとらわれず、幅広いバリエーションの帯結びを組み替え帯で作ることが可能である。このように、組み替え帯は、半幅帯と作り帯との中間に位置するものといえる。
【0039】
[組み替え帯組み立て支援ツールについて]
図9は、本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールの画面の一例を示す図である。
組み替え帯組み立て支援ツールとは、帯結びエディタで作成した帯結びデータをもとに、組み替え帯で同じ形を組み立てるための情報を提示するソフトウエアである。
帯結びデータを構成するエディタパーツに対して、帯パーツがどのように対応するかをそれぞれ色分けして表示するとともに、羽根パーツと飾りパーツをどのようにたためばよいかという構造図を提示し、組み立て支援を行う。画面左下に色分けの凡例と構造パターン数を示しており、あてはまる構造パターンがひとつもない場合には、不可能である旨を表示する。構造図の計算はリアルタイムに稼働し、エディタと組み立て支援の画面を行き来して帯結びデータを編集しながら構造図を確認することも可能である。また、データ中に羽根パーツがあるのに留めパーツがない場合、留めパーツが入るべき重なりの位置に留めパーツを挿入する提案を行う。
【0040】
[構造図の計算]
図10は、本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによるエディタパーツの分類と構造モデルの一例を示す図である。
帯結びデータのエディタパーツを、種類と角度に応じて、組み替え帯における帯パーツに振り分ける。飾りパーツと羽根パーツそれぞれについて、以下のように構造図の計算を行う。各エディタパーツは、同図に示すように方向をもつ構造モデルで表す。飾りパーツについて左が手前(胴体から遠く、重ね順が上の方)、羽根パーツについて上が手前として、パーツ断面の構造を表したものである。このとき同図に点線で示した面の柄が、帯を結んだとき外から見える。折り返す・折り返さない、の2種があるパーツは、折り返す方が基本であり、折り返さない方は構造パターンの結果で帯の端に該当した場合に使用する。
【0041】
図11は、本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによる構造モデルの並べ方の一例を示す図である。帯結びデータに含まれるエディタパーツの構造モデルを並べ、始点と終点に通し番号をふる。エディタパーツの数と種類に応じて探索の開始点をいくつか定め、すべてのエディタパーツがひとつながりになるよう2つずつ点を結ぶ接続のパターンを探索し、裏表と交差の条件にあてはまったものを残す。なお、通し番号のことを端点インデックスともいう。
裏表の柄の出方は、2パーツの構造モデルを接続したときの方向で確認することができる。
順方向の接続とは、2つの構造モデルの始点と終点が接続された状態であり、接続された2つのエディタパーツは同じ柄どうしになる。逆方向の接続とは、2つの構造モデルの始点どうしまたは終点どうしが接続された状態であり、接続された2つのエディタパーツはそれぞれ異なる柄になる。
【0042】
図12は、本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによる交差判定の一例を示す図である。
接続するエディタパーツが3つ以上ある場合、接続の線が交差してしまうと、実際の帯でその形を作ることはできない。構造モデルにおいて、通し番号(端点インデックス)をふった始点及び終点は一直線に並んでいるとみなすことができる。任意の2本の接続に対し、接続した点をそれぞれ、接続点p1、p2、q1、q2(p1<p2、q1<q2、p1<q1)とすると、同図[A]及び同図「B」に示す場合には交差が発生しない。一方、同図[C]に示すように、p1<q1<p2<q2のときに交差が発生する(同図[D])。
なお、お太鼓にあたるパーツが複数ある場合は、重ね順が上のお太鼓で下のお太鼓を包み込むように通し番号(端点インデックス)をふってもよい。
【0043】
なお、上述のp1、p2、q1、q2は、次のようにして定められる。まず、接続するエディタパーツが3つ以上ある場合において、エディタパーツどうしの複数の接続経路のうち、交差判定の対象とする2つの接続経路を選択する。これら2つの接続経路のうち、端点インデックスが最も小さいエディタパーツに接続される接続経路を接続経路pとし、他の接続経路を接続経路qとする。そして、接続経路pについて、接続経路pの両端のエディタパーツのうち、端点インデックスが小さい方のエディタパーツの端点を接続点p1とし、端点インデックスが大きい方のエディタパーツの端点を接続点p2とする。また、接続経路qについて、接続経路qの両端のエディタパーツのうち、端点インデックスが小さい方のエディタパーツの端点を接続点q1とし、端点インデックスが大きい方のエディタパーツの端点を接続点q2とする。
なお、後述するように、端点インデックスは、エディタパーツの重ね順序に基づいて定められる。
組み替え帯組み立て支援ツールは、上述のように接続点p1、p2、q1、q2を定めた場合に、接続点p1、p2、q1、q2の並び順序がp1<q1<p2<q2である場合に交差が発生すると判定する。
【0044】
なお、各接続点の下側で各接続点が接続される場合には、帯結びの外観がユーザ所望の外観にならない場合や、帯の長さが不必要に長くなってしまう場合が生じる。したがって、各接続点間の接続パターンの探索においては、同図[A]~[C]に示すように、各接続点の上側(例えば、鉛直方向上側)での接続の可能性を探索すればよく、各接続点の下側(例えば、鉛直方向下側)での接続の可能性は探索しない。
すなわち、本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールは、各接続点間の接続パターンのうち、鉛直方向上側を接続する接続パターンのみを探索する。
【0045】
裏表と交差の条件で残った各パターンに対し、以下のような基準で評価値を設定する。その後、構造パターンを構造図として描画し、評価値の高いものから順に利用者に提示する。羽根パーツの場合、左向きと右向きを接続していれば評価値をプラスし、同じ向きのものを接続していれば評価値をマイナスする。
【0046】
図13は、本実施形態の組み替え帯組み立て支援ツールによる飾りパーツの評価の一例を示す図である。
飾りパーツの場合、終了点(留めパーツと接続しない方の端)が上向きになっていると、留めることが難しい可能性があり、評価値をマイナスする。また、開始点(留めパーツと接続する方)の上をまたぐような接続であれば、帯以外の小物を使わずに済む可能性が高く、評価値をプラスする。
【0047】
なお、1本の半幅帯によって帯結びが構成されているように見せるためには、帯結びの外観に現れる帯の端点(開始点・終了点)が2か所以下であると好ましい。組み替え帯組み立て支援ツールは、帯結びの外観に現れる帯の端点(開始点・終了点)が2か所以下である組み合わせを、帯結びの外観に現れる帯の端点(開始点・終了点)が3か所以上ある組み合わせよりも、評価値を高くしてもよい。
【0048】
[組み換え帯支援システム1の装置構成]
上述した組み替え帯のデザイン及び組み立てを支援する組み換え帯支援システム1の装置構成について説明する。組み換え帯支援システム1は、帯結びエディタ(目標形状生成装置10)と、組み替え帯組み立て支援ツール(組み合わせ支援装置20)とを備える。
【0049】
図14は、本実施形態の目標形状生成装置10の機能構成の一例を示す図である。目標形状生成装置10は、表示装置30と、操作取得装置40と、エディタパーツパーツ情報記憶部50と、目標形状情報記憶部60とに接続される。
【0050】
表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイを備えており、目標形状生成装置10の制御に基づいて画像を表示する。
操作取得装置40は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどを備えており、目標形状生成装置10の利用者による種々の操作を取得する。操作取得装置40は、取得した操作を示す情報を、目標形状生成装置10に供給する。
なお、表示装置30と操作取得装置40とは、別々の装置であるとして説明したがこれに限られず、互いに一体にされた一体型の装置(例えば、タッチパネル付きのタブレット装置)として構成されていてもよい。また、表示装置30と操作取得装置40とは、目標形状生成装置10と一体にされた一体型の装置(例えば、スマートフォンや液晶タブレット装置)として構成されていてもよい。
【0051】
エディタパーツパーツ情報記憶部50は、例えば、ハードディスクや半導体メモリを備えており、エディタパーツ情報51が記憶される。
【0052】
図15は、本実施形態のエディタパーツ情報51の一例を示す図である。エディタパーツ情報51には、パーツ形状情報200Sと、方向情報200Dとが含まれる。エディタパーツ情報51は、形状IDと、パーツ形状情報200Sと、方向情報200Dとが互いに紐づけられた情報である。形状IDは、エディタパーツ情報51が示すエディタパーツ200の形状を識別する識別子である。
【0053】
パーツ形状情報200Sは、帯結びの外形形状を構成するエディタパーツ200の形状を示す情報である。この一例では、エディタパーツ200の外形形状の各頂点の位置を示す座標情報が、パーツ形状情報200Sとして記憶されている。
方向情報200Dは、エディタパーツ200の形状と帯の幅方向又は長さ方向との関係を示す情報である。この一例では、エディタパーツ200の帯の長さ方向の始点を示す座標と、終点を示す座標とが、方向情報200Dとして記憶されている。
【0054】
図16は、本実施形態のパーツ形状情報200S及び方向情報200Dの一例を示す図である。同図のX軸は、帯(半幅帯)の幅方向を示す。Y軸は、帯(半幅帯)の長さ方向を示す。ここでは、エディタパーツ200の形状が、帯の幅方向(同図のX軸方向)を短辺とし、帯の長さ方向(同図のY軸方向)を長辺とする長方形である場合を例にして説明する。
【0055】
この一例の場合、エディタパーツ200の形状は、頂点V1~V4の4つの頂点によって示される。パーツ形状情報200Sは、頂点V1の座標(x1、y1)と、頂点V2の座標(x2、y2)と、頂点V3の座標(x3、y3)と、頂点V4の座標(x4、y4)とを含む。
また、この一例の場合、エディタパーツ200の形状における帯の長さ方向は、始点DSと終点DEとによって示される。方向情報200Dは、始点DSの座標(x5、y5)と、終点DEの座標(x6、y6)とを含む。
【0056】
ここで、方向情報200Dによって示される方向は、エディタパーツ200の形状のうち、その長さを変更可能な方向ともいえる。例えば、エディタパーツ200は、帯の長さ方向には、帯を折りたたむなどすることにより長さを変更可能である。すなわち、方向情報200Dは、エディタパーツ200の形状のうち、その長さを変更可能な方向を示す情報であるともいえる。
【0057】
なお、上述の一例では、エディタパーツ200の形状(例えば、長方形)の長手方向と、帯の長さ方向とが一致している場合について説明したが、これに限られない。例えば、上述したエディタパーツ206(飾り留めパーツ)のように、エディタパーツ200の幅を半分に折りたたむことによって帯結びの形状をつくる場合がある。このような場合、方向情報200Dは、半幅帯の幅方向を示す情報であってもよい。
【0058】
[帯結びエディタ(目標形状生成装置10)の機能構成]
図14に戻り、目標形状生成装置10の機能構成について説明する。
目標形状生成装置10は、例えば、コンピュータ装置を含んでおり、エディタパーツ情報取得部110と、提示部120と、操作受付部130と、生成部140と、出力部150とを、そのソフトウエア機能部又はハードウエア機能部として備える。
【0059】
エディタパーツ情報取得部110は、エディタパーツパーツ情報記憶部50からエディタパーツ情報51を取得する。上述したようにエディタパーツ情報51は、パーツ形状情報200Sと、方向情報200Dとを含む。すなわち、エディタパーツ情報取得部110は、帯結びの外形形状を構成するエディタパーツ200の形状を示すパーツ形状情報200Sと、当該エディタパーツ200の形状と帯の幅方向又は長さ方向との関係を示す方向情報200Dと、を含むエディタパーツ情報51を取得する。
【0060】
提示部120は、エディタパーツ200の画像を表示装置30に表示させる。ここで、エディタパーツ200とは、帯結びの外形形状を構成する画像である。
【0061】
操作受付部130は、操作取得装置40が利用者から取得した操作を受け付ける。ここでいう操作には、選択操作と、配置操作とが含まれる。
選択操作とは、利用者による操作であって、提示部120が提示する複数種類のエディタパーツ200のなかから、所望の種類のエディタパーツ200の画像を選択する操作である。
配置操作とは、利用者による操作であって、選択操作によって選択されたエディタパーツ200を帯結びの目標外形形状に応じて配置する操作である。
【0062】
生成部140は、操作受付部130が受け付けた操作に基づいて、目標形状情報61を生成する。目標形状情報61とは、エディタパーツ200が組み合わされることにより、組合されたエディタパーツ200の外形によって形作られる目標外形形状を示す情報である。
【0063】
出力部150は、生成した目標形状情報61を目標形状情報記憶部60に記憶させる。
なお、出力部150は、生成部140が生成する目標形状情報61を組み合わせ支援装置20に出力してもよい。
【0064】
[目標形状生成装置10の動作]
図17を参照して、目標形状生成装置10の動作の一例について説明する。
図17は、本実施形態の目標形状生成装置10の動作の一例を示す図である。
【0065】
(ステップS110)エディタパーツ情報取得部110は、エディタパーツパーツ情報記憶部50からエディタパーツ情報51を取得する。エディタパーツ情報取得部110は取得したエディタパーツ情報51を提示部120に供給する。提示部120は、取得したエディタパーツ情報51に基づいて、エディタパーツ200の画像を表示装置30に表示させる。この結果、
図2に示す表示領域P11に、エディタパーツ情報51に含まれるパーツ形状情報200Sに基づくエディタパーツ200の画像が表示される。
【0066】
(ステップS120)
図17に戻り、操作受付部130は、操作取得装置40が取得した利用者の操作を受け付ける。この操作には、選択操作と、配置操作とが含まれる。操作受付部130は、受け付けた操作を示す情報を提示部120と生成部140とに供給する。
(ステップS130)生成部140は、ステップS120で受け付けた操作の結果に基づいて、目標形状情報61を生成する。提示部120は、生成された目標形状情報61に基づく画像を表示装置30に表示させる。この結果、
図2に示す表示領域P12に、エディタパーツ200を組み合わせた形状の画像(つまり、目標形状の画像)が表示される。
【0067】
ここで、目標形状情報61には、エディタパーツ200どうしの重ねあわせの順序を示す順序情報が含まれている。生成部140は、この順序情報が示すエディタパーツ200の重ね合わせの順序に基づいて、エディタパーツ200どうしを重ね合わせることにより目標形状情報61を生成する。すなわち、生成部140は、順序情報に基づいて目標形状情報61を生成する。
【0068】
なお、提示部120は、エディタパーツ200の重ね合わせの順序を、
図2に示す表示領域P13に表示させてもよい。この場合、操作受付部130は、表示領域P13に表示されたエディタパーツ200の重ね合わせの順序を変更する操作を受け付ける。生成部140は、操作受付部130が受け付けた操作に基づくエディタパーツ200の重ね合わせの順序によって、目標形状情報61を生成する。
【0069】
また、操作受付部130は、エディタパーツ200どうしの重ねあわせを整列させることを指示する操作をさらに受け付けてもよい。例えば、
図2に示す表示領域P14に表示された自動ソート(AUTO SORT)ボタンが表示されている。利用者による自動ソート(AUTO SORT)ボタンの操作を整列操作ともいう。操作受付部130は、利用者が自動ソート(AUTO SORT)ボタンを操作した場合には、エディタパーツ200の画像の既定の重ね合わせ順序によってエディタパーツ200どうしの重ねあわせを整列する。生成部140は、整列操作がなされたことに応じて、目標形状情報61を生成する。
【0070】
(ステップS140)
図17に戻り、操作受付部130は、利用者が目標の外形形状になったと判断したか否かを判定する。具体的には、
図2に示す表示領域P15には、保存(SAVE)ボタンの画像が表示されている。操作受付部130は、利用者が保存(SAVE)ボタンを操作した場合には、目標の外形形状になった(ステップS140;YES)と判定し、処理をステップS150に進める。また、操作受付部130は、利用者が保存(SAVE)ボタンを操作していない場合には、目標の外形形状になっていない(ステップS140;NO)と判定し、処理をステップS120に戻して、エディタパーツ200の選択操作と配置操作とを繰り返し受け付ける。
【0071】
(ステップS150)生成部140は、目標形状情報61を確定する。
(ステップS160)生成部140は、ステップS150において確定された目標形状情報61を目標形状情報記憶部60に記憶させて、一連の処理を終了する。
【0072】
図18は、本実施形態の目標形状情報61の一例を示す図である。目標形状情報61には、エディタパーツ200の配置結果が記憶されている。具体的には、目標形状情報61には、エディタパーツ200どうしの重ねあわせの順序と、パーツIDと、エディタパーツ200の中心座標と、エディタパーツ200の長さと、エディタパーツ200の角度と、エディタパーツ200の表裏と、エディタパーツ200の反転の有無とが互いに対応付けられて記憶されている。なお、パーツIDは、エディタパーツ200の種類を識別する識別子である。
【0073】
[組み替え帯組み立て支援ツール(組み合わせ支援装置20)の機能構成]
図19は、本実施形態の組み合わせ支援装置20の機能構成の一例を示す図である。
組み合わせ支援装置20は、目標形状情報取得部210と、探索部220と、評価部230と、提示部240とを、そのソフトウエア機能部又はハードウエア機能部として備える。
【0074】
目標形状情報取得部210は、目標形状情報記憶部60から目標形状情報61を取得する。
なお、目標形状情報取得部210は、目標形状生成装置10から目標形状情報61を取得してもよい。
探索部220は、目標形状情報取得部210が取得した目標形状情報61に基づいて、この目標形状情報61が示す帯の目標外形形状を満たすエディタパーツ間の接続経路パターンを探索する。ここで、目標形状情報61とは、帯結びの目標外形形状を複数のエディタパーツ200の配置によって示す情報である。
【0075】
本実施形態の探索部220は、帯パーツの種類ごとに、エディタパーツ200どうしの組み合わせを探索する。エディタパーツ200の種類について、
図20を参照して説明する。
【0076】
[帯パーツについて]
図20は、本実施形態のパーツIDと、帯パーツの種類との対応関係の一例を示す図である。
目標形状情報61(すなわち、電子的情報)によって示される帯結びの目標形状に対応する、物体としての帯パーツがあらかじめ用意されている。帯パーツは、互いに組み合わせることにより目標外形形状に応じた外形の帯を構成する。
帯パーツには、飾りパーツ、羽根パーツ及び留めパーツの3種類がある。同図には、エディタパーツの形状名と、帯パーツとの対応関係を示す。なお、パーツIDは、エディタパーツを識別する識別子である。
パーツID_P201(太鼓下垂れパーツ)、パーツID_P207~P208(飾りパーツ)及び縦方向に配置した場合のパーツID_P206(飾り留めパーツ)は、飾りパーツに分類される。
パーツID_P202~204(羽根パーツ)、横方向に配置した場合のパーツID_P206(飾り留めパーツ)は、羽根パーツに分類される。
パーツID_P205(留めパーツ)は、留めパーツに分類される。
これら帯パーツを互いに組み合わせたものを総称して組み替え帯ともいう。
【0077】
すなわち、帯パーツには、帯の羽根部分を構成する羽根パーツと帯の飾り部分を構成する飾りパーツとが含まれる。帯パーツは、他の帯パーツと組み合わされることにより、目標形状情報61が示す帯の外形形状の帯を構成する。
【0078】
なお、帯パーツは、折り曲げ位置を示すガイドが表示されていてもよい。このガイドは、例えば、帯パーツの目立たない部分に、等間隔に、または規定の位置に記された目印である。
【0079】
図21は、本実施形態の折り曲げ位置を示すガイドが表示された帯パーツの一例を示す図である。
帯パーツの長手方向(例えば、帯幅に直交する方向)の長さを示す目盛り(スケール)が、折り曲げ位置を示すガイドとして帯幅方向の一端に表示された帯パーツの一例を、同図[A]に示す。
帯パーツの長手方向(例えば、帯幅に直交する方向)に折り曲げ位置を示す記号が、折り曲げ位置を示すガイドとして帯幅方向の一端に表示された帯パーツの一例を、同図[B]に示す。
帯パーツの帯幅方向の目盛り及び長手方向の目盛りが、折り曲げ位置を示すガイドとして帯幅方向の一端に表示された帯パーツの一例を、同図[C]に示す。
【0080】
評価部230は、所定の制約条件に基づいて、探索部220が探索するエディタパーツ200の組み合わせの優先度を評価する。
なお、ここでいうエディタパーツ200の組み合わせには、探索部220が探索する接続経路パターンが含まれる。
【0081】
提示部240は、評価部230が評価した優先度に基づいて、探索部220が探索したエディタパーツの組み合わせに対応する帯パーツの状態を提示する。
【0082】
[評価部230による評価の一例]
例えば、
図13[A]に示したように目標外形形状が”割り角出し”である場合、探索部220は、3つのエディタパーツを飾りパーツとして分類する。
ここで、目標外形形状が”割り角出し”である場合の分類結果として、3つの飾りパーツが選択された場合、それらのエディタパーツどうし接続の状態には複数のパターンがあり得る。具体的には、目標外形形状が”割り角出し”である場合のエディタパーツどうし接続の状態には、
図13[B]に示すパターンと、
図13[C]に示すパターンとがある。
【0083】
図13[B]に示すパターンの場合、終了点が重力方向に対して下向きになる。一方、
図13[C]に示すパターンの場合、終了点が重力方向に対して上向きになる。一般に、終了点が重力方向に対して上向きであると、終了点の位置にある帯パーツが重力によって下方に垂れてしまい、目標外形形状の維持が困難である。
上述の場合、評価部230は、
図13[C]に示すパターンの優先度を、
図13[B]に示すパターンの優先度よりも低評価にする。
【0084】
また、評価部230は、交差配置を含む場合には、当該組み合わせの優先度を低く評価する。ここで、交差配置とは、
図12[D]に示すように、組み合わされたエディタパーツどうしの接続経路が帯表面を貫く配置である。
交差配置の場合、目標形状情報61が示す構造情報(すなわち電子情報)どうしの組み合わせとしてはあり得るが、帯パーツ(すなわち物体)どうしを幾何学的に接続することができない。評価部230は、幾何学的に接続することができないエディタパーツの接続の組み合わせの優先度を低く(あるいは、排除)して実現可能な組み合わせを提示させる。このように構成された組み換え帯支援システム1によれば、提示されるエディタパーツの接続の組み合わせの種類を抑制し、利用者にとって選びやすく使いやすい環境が提供される。
【0085】
また、目標形状情報61には、帯の表面と裏面とを区別する表裏情報が含まれていてもよい。この場合、評価部230は、帯の表裏に基づいて、優先度を評価する。一例として、評価部230は、エディタパーツの組み合わせのうち、エディタパーツどうしが接続された結果得られる帯パーツの表裏と、目標形状情報61に含まれる表裏情報が示す帯の表裏とが一致しない組み合わせの優先度を低く評価する。このように構成された組み換え帯支援システム1によれば、帯の表裏を判定しない場合に比べて、目標形状により近い帯パーツの組み合わせかたを提供することができる。
【0086】
また、評価部230は、帯パーツを組み合わせた帯の外形形状の維持のしやすさの程度に基づいて、優先度を評価してもよい。
ここで、帯の外形形状の維持のしやすさの程度とは、例えば、帯パーツが重力よって崩れにくいことや、帯パーツどうしの接触面積が比較的大きく、帯パーツが互いに移動しにくい(つまり、帯パーツがずれにくい)ことをいう。
【0087】
図22は、本実施形態の評価部230による評価対象の一例を示す図である。
例えば、
図22に示す目標形状情報61について、帯パーツの折りたたみ方を互いに変えることで、目標形状の実現方法が、折りたたみ方62A及び62Bの2通りある場合がある。この一例において、折りたたみ方62A及び62Bは、帯中央の留め部63における帯の重なり方が互いに異なる。折りたたみ方62A(同図[B])は、留め部63を半幅帯の長さ方向(つまり紙面の左右方向)に3回貫通する重なり方をしている。折りたたみ方62B(同図[C])は、留め部63を左右方向に1回貫通する重なり方をしている。この一例の場合、折りたたみ方62Aは、折りたたみ方62Bに比べて、留め部63における帯パーツどうしの接触面積が比較的大きく、ずれにくい。
この場合、評価部230は、折りたたみ方62Bに比べて、折りたたみ方62Aの優先度をより高く評価する。
なお、ここでは折りたたみ方62A及び62Bの2通りある場合について説明したが、これに限られず、1つの目標形状を実現する折りたたみ方が3通り以上ある場合も存在する。この場合、評価部230は、複数の折りたたみ方それぞれについて留め部63を貫通する回数の評価を行い、折りたたみ方の優先度を評価してもよい。
【0088】
[組み合わせ支援装置20の動作]
図23を参照して、組み合わせ支援装置20の動作の一例について説明する。
図23は、本実施形態の組み合わせ支援装置20の動作の一例を示す図である。
【0089】
(ステップS210)目標形状情報取得部210は、目標形状情報記憶部60から目標形状情報61を取得する。目標形状情報取得部210は、取得した目標形状情報61を探索部220に供給する。
(ステップS220)探索部220は、
図20に示した対応関係に基づいて、ステップS210において取得された目標形状情報61に含まれるエディタパーツの種類を分類する。探索部220は、分類したエディタパーツの種類ごとに、処理を進める。
【0090】
ここでは、
図18に示した目標形状情報61を一例にして、探索部220が、エディタパーツの種類を飾りパーツ、羽根パーツおよび留めパーツの3種類に分類して処理を進める場合について説明する。
探索部220は、重ね順序1のパーツID_P208、重ね順序2のパーツID_P201、及び重ね順序7のパーツID_P201を飾りパーツに分類する。
探索部220は、重ね順序3のパーツID_P204、重ね順序4のパーツID_P204、及び重ね順序5のパーツID_P204を羽根パーツに分類する。
探索部220は、重ね順序6のパーツID_P205を留めパーツに分類する。
【0091】
すなわち、探索部220は、帯パーツの種類ごとにエディタパーツ200間の接続経路パターンを探索する。
【0092】
<飾りパーツについて>
(ステップS231-1)探索部220は、飾りパーツについて、重ね順序を判定する。具体的には、探索部220は、重ね順序1のパーツID_P208、重ね順序2のパーツID_P201、重ね順序7のパーツID_P201の順に重ねられていると判定する。
【0093】
(ステップS231-2)探索部220は、飾りパーツについて、端点インデックスを付与する。具体的には、探索部220は、重ね順序1のパーツID_P208の始点に端点インデックス”0”を、終点に端点インデックス”1”を付与する。探索部220は、重ね順序2のパーツID_P201の始点に端点インデックス”2”を、終点に端点インデックス”3”を付与する。探索部220は、重ね順序7のパーツID_P201の始点に端点インデックス”4”を、終点に端点インデックス”5”を付与する。
【0094】
(ステップS231-3)探索部220は、飾りパーツについて、エディタパーツどうしの複数の接続経路のうち、交差判定の対象とする2つの接続経路を選択することにより、接続経路パターンを探索する。具体的には、探索部220は、重ね順序1のパーツID_P208と、重ね順序2のパーツID_P201と、重ね順序7のパーツID_P201との間の接続経路パターンを探索する。
【0095】
(ステップS231-4)評価部230は、飾りパーツについて、ステップS231-3において探索された接続経路パターンのそれぞれについて、接続経路パターンの優先度を評価する。
一例として、評価部230は、探索された接続経路パターンのうち、接続経路が交差する接続経路パターンの優先度を低く評価する。
また、評価部230は、探索した接続経路パターンのうち、探索された接続経路パターンのうち、接続経路パターンが示す帯パーツの表裏と、目標形状情報61が示す表裏情報が示す帯の表裏とが一致しない接続経路パターンの優先度を低く評価する。
【0096】
なお、この一例においては、接続経路の交差や表裏の一致を評価部230が評価するものとして説明したがこれに限られず、例えば、探索部220が、接続経路の交差や表裏の一致を判定してもよい。
一例として、探索部220は、探索した接続経路パターンのうち、接続経路が交差する接続経路パターンについて、接続経路パターンの評価候補から除外する構成であってもよい。
また、探索部220は、探索した接続経路パターンのうち、接続経路パターンが示す帯パーツの表裏と、目標形状情報61が示す表裏情報が示す帯の表裏とが一致しない接続経路パターンを、接続経路パターンの評価候補から除外する構成であってもよい。
【0097】
なお、ある接続経路パターンを評価部230による評価候補から除外することも、当該接続経路パターンの優先度を低く評価することに含まれる。この場合、探索部220が、ある接続経路パターンを評価部230による評価候補から除外するとしてもよい。
【0098】
<羽根パーツについて>
探索部220は、飾りパーツの場合と同様に、羽根パーツについても次のようにして処理を行う。
【0099】
(ステップS232-1)探索部220は、羽根パーツについて、重ね順序を判定する。具体的には、探索部220は、重ね順序3のパーツID_P204、重ね順序4のパーツID_P204、重ね順序5のパーツID_P204の順に重ねられていると判定する。
【0100】
(ステップS232-2)探索部220は、羽根パーツについて、端点インデックスを付与する。具体的には、探索部220は、重ね順序3のパーツID_P204の始点に端点インデックス”0”を、終点に端点インデックス”1”を付与する。探索部220は、重ね順序4のパーツID_P204の始点に端点インデックス”2”を、終点に端点インデックス”3”を付与する。探索部220は、重ね順序5のパーツID_P204の始点に端点インデックス”4”を、終点に端点インデックス”5”を付与する。
【0101】
(ステップS232-3)探索部220は、羽根パーツについて、エディタパーツどうしの複数の接続経路のうち、交差判定の対象とする2つの接続経路を選択することにより、接続経路パターンを探索する。具体的には、探索部220は、重ね順序3のパーツID_P204と、重ね順序4のパーツID_P204と、重ね順序5のパーツID_P204との間の接続経路パターンを探索する。
【0102】
(ステップS232-4)評価部230は、飾りパーツの場合と同様にして、羽根パーツについて、ステップS232-3において探索された接続経路パターンのそれぞれについて、接続経路パターンの優先度を評価する。評価部230による羽根パーツの評価は、飾りパーツの場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0103】
<留めパーツについて>
探索部220は、留めパーツについては接続経路の判定を行わない。
【0104】
(ステップS240)提示部240は、ステップS231-4及びステップS232-4における評価部230の評価結果に基づく優先度に従って、目標形状情報61を実現する帯パーツの接続の組み合わせ(つまり、接続経路パターン)を、上述した
図9に示すように提示して、一連の処理を終了する。
【0105】
なお、組み合わせ支援装置20は、帯パーツの組み合わせを提示する際に、目標形状情報61を実現する帯パーツの折り曲げ位置を示す情報を提示してもよい。組み合わせ支援装置20によって提示される折り曲げ位置を示す情報は、帯パーツに表示された折り曲げ位置を示すガイド(
図21を参照。)と対応している。
このように構成された帯パーツによれば、利用者は、このガイドに従って帯パーツを変形する(例えば、折り曲げる)ことにより、帯パーツを組み合わせることによって所望の形状(例えば、目標形状情報61が示す目標外形形状)を組み立てる作業を、ガイドがない場合に比べて容易にすることができる。
【0106】
なお、目標形状情報61は、上述した目標形状生成装置10によって生成された情報であってもよい。この場合、目標形状生成装置10と組み合わせ支援装置20とは連携して動作する。また、目標形状生成装置10と組み合わせ支援装置20とがいずれも、1つの装置が備える機能部(例えば、スマートフォンのアプリケーションソフトウエア)として構成されていてもよい。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の組み換え帯支援システム1は、目標形状生成装置10及び組み合わせ支援装置20によって、帯結びの再現を容易にすることができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0109】
なお、上記の実施形態における各装置が備える各部は、専用のハードウエアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0110】
なお、各装置が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0111】
また、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウエアを含むものとする。
【0112】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…組み換え帯支援システム、10…目標形状生成装置、20…組み合わせ支援装置、110…エディタパーツ情報取得部、120…提示部、130…操作受付部、140…生成部、150…出力部、210…目標形状情報取得部、220…探索部、230…評価部、240…提示部