(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148132
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ネットワーク測定装置とそのフレームロス測定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 43/00 20220101AFI20220929BHJP
H04L 13/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H04L12/70 100Z
H04L13/00 315Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049696
(22)【出願日】2021-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 康二
(72)【発明者】
【氏名】有田 祐希
【テーマコード(参考)】
5K030
5K035
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030MB13
5K030MC03
5K035CC03
5K035GG01
(57)【要約】
【課題】測定対象に異常が発生した場合でも、早期にフレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができるネットワーク測定装置を提供すること。
【解決手段】測定フレームを生成するFrame生成部21a、21b、21c、21dと、測定フレームに連続したシリアル番号を設定するSN付加部22a、22b、22c、22dと、測定フレームを測定対象へ送信するデータ送信部25と、を備えるデータ生成部2と、測定対象から測定フレームを受信するデータ受信部31と、所定時間の測定区間ごとに測定区間内に受信した測定フレームのシリアル番号の最大値をHighestSNとして出力するHighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dと、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出するFrameLoss算出部35と、を備える測定部3と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定フレームを生成するフレーム生成部(21a、21b、21c、21d)と、前記測定フレームに連続したシリアル番号を設定するシリアル番号付加部(22a、22b、22c、22d)と、前記測定フレームを測定対象へ送信するデータ送信部(25)と、を備えるデータ生成部(2)と、
測定対象から前記測定フレームを受信するデータ受信部(31)と、所定時間の測定区間ごとに測定区間内に受信した前記測定フレームのシリアル番号の最大値をHighestSNとして出力するシリアル番号検出部(34a、34b、34c、34d)と、対象測定区間の前記HighestSNと、直前の測定区間の前記HighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出するフレームロス算出部(35)と、を備える測定部(3)と、を備えるネットワーク測定装置。
【請求項2】
前記シリアル番号検出部は、直前の測定区間のHighestSNよりも小さなシリアル番号が設定された前記測定フレームの数をOldSNとして出力し、前記フレームロス算出部は、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、対象測定区間のOldSNと、直後の測定区間のOldSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出する請求項1に記載のネットワーク測定装置。
【請求項3】
前記フレームロス算出部は、対象測定区間のHighestSNから、直前の測定区間のHighestSNと、直後の測定区間のOldSNとを減算した値をフレーム数期待値とし、対象測定区間の受信フレーム数から対象測定区間のOldSNを減算した値を修正受信フレーム数とし、前記フレーム数期待値から前記修正受信フレーム数を減算した値をフレームロス数とする請求項2に記載のネットワーク測定装置。
【請求項4】
前記データ生成部は、前記フレーム生成部と前記シリアル番号付加部とからなる系列を複数備え、前記系列それぞれの前記測定フレームに前記系列を識別する識別情報を付加する識別情報付加部(23a、23b、23c、23d)と、前記系列の前記測定フレームを多重化して前記データ送信部に出力するデータマルチプレクサ(24)と、を備え、
前記測定部は、前記データ受信部で受信した前記測定フレームを複数に分配するデータデマルチプレクサ(32)と、前記データデマルチプレクサにより分配された前記測定フレームの前記識別情報から前記系列ごとに設けられた複数の前記シリアル番号検出部に前記測定フレームを分配する識別情報識別部(33)と、を備え、前記フレームロス算出部は、複数の前記系列の前記フレーム数期待値の総和を全フレーム数期待値とし、対象測定区間で受信した全ての前記測定フレームの数から複数の前記系列のOldSNを減算した数を全修正受信フレーム数とし、前記全フレーム数期待値から前記全修正受信フレーム数を減算した数をフレームロス数とする請求項3に記載のネットワーク測定装置。
【請求項5】
測定フレームに連続したシリアル番号を設定して測定対象に送信し、測定対象から所定時間の測定区間ごとに受信した前記測定フレームの前記シリアル番号に基づいてフレームロス数を算出するネットワーク測定装置(1)のフレームロス測定方法であって、
測定区間内に受信した前記測定フレームの前記シリアル番号の最大値をHighestSNとするステップと、
対象測定区間の前記HighestSNと、直前の測定区間の前記HighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出するステップと、を備えるフレームロス測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークやネットワークを構成する伝送装置等の性能を測定するネットワーク測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークやネットワークを構成する伝送装置等に測定フレームを送受信することによりネットワークやネットワークを構成する伝送装置等の性能を測定するネットワーク測定装置がある。
【0003】
特許文献1には、測定フレームの送信数と受信数をカウントし、フレームロスの測定を行なうことが記載されている。
【0004】
また、測定フレームにシリアル番号を設定して、受信した測定フレームのシリアル番号に基づいてフレームロスの測定を行なう装置もある。
【0005】
このように、測定フレームにシリアル番号を設定する方法では、測定フレームに設定できるシリアル番号の長さに限界があるため、長時間の測定ではシリアル番号が桁あふれする場合がある。桁あふれが発生すると、フレームロスの測定が正確にできなくなる。
【0006】
この桁あふれに対応するため、シリアル番号の上位ビットと下位ビットとを監視し、桁あふれが発生したことを検出する装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような測定装置において、桁あふれが発生する近傍で測定対象のネットワークの装置の故障などにより測定フレームが消失してしまった場合、桁あふれを検出することができず、正常にフレームロスの測定を行なえるようになるまでに時間がかかっていた。
【0009】
そこで、本発明は、測定対象に異常が発生した場合でも、早期にフレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができるネットワーク測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のネットワーク測定装置は、測定フレームを生成するフレーム生成部と、前記測定フレームに連続したシリアル番号を設定するシリアル番号付加部と、前記測定フレームを測定対象へ送信するデータ送信部と、を備えるデータ生成部と、測定対象から前記測定フレームを受信するデータ受信部と、所定時間の測定区間ごとに測定区間内に受信した前記測定フレームのシリアル番号の最大値をHighestSNとして出力するシリアル番号検出部と、対象測定区間の前記HighestSNと、直前の測定区間の前記HighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出するフレームロス算出部と、を備える測定部と、を備えるものである。
【0011】
この構成により、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数が算出される。このため、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合でも、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0012】
また、本発明のネットワーク測定装置において、前記シリアル番号検出部は、直前の測定区間のHighestSNよりも小さなシリアル番号が設定された前記測定フレームの数をOldSNとして出力し、前記フレームロス算出部は、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、対象測定区間のOldSNと、直後の測定区間のOldSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出するものである。
【0013】
この構成により、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、対象測定区間のOldSNと、直後の測定区間のOldSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数が算出される。このため、シリアル番号の受信順にずれが生じる可能性がある場合でも、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合に、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0014】
また、本発明のネットワーク測定装置において、前記フレームロス算出部は、対象測定区間のHighestSNから、直前の測定区間のHighestSNと、直後の測定区間のOldSNとを減算した値をフレーム数期待値とし、対象測定区間の受信フレーム数から対象測定区間のOldSNを減算した値を修正受信フレーム数とし、前記フレーム数期待値から前記修正受信フレーム数を減算した値をフレームロス数とするものである。
【0015】
この構成により、対象測定区間のHighestSNから、直前の測定区間のHighestSNと、直後の測定区間のOldSNとが減算された値がフレーム数期待値とされ、対象測定区間の受信フレーム数から対象測定区間のOldSNが減算された値が修正受信フレーム数とされ、フレーム数期待値から修正受信フレーム数が減算されてフレームロス数が求められる。このため、シリアル番号の受信順にずれが生じる可能性がある場合でも、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合に、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0016】
また、本発明のネットワーク測定装置において、前記データ生成部は、前記フレーム生成部と前記シリアル番号付加部とからなる系列を複数備え、前記系列それぞれの前記測定フレームに前記系列を識別する識別情報を付加する識別情報付加部と、前記系列の前記測定フレームを多重化して前記データ送信部に出力するデータマルチプレクサと、を備え、前記測定部は、前記データ受信部で受信した前記測定フレームを複数に分配するデータデマルチプレクサと、前記データデマルチプレクサにより分配された前記測定フレームの前記識別情報から前記系列ごとに設けられた複数の前記シリアル番号検出部に前記測定フレームを分配する識別情報識別部と、を備え、前記フレームロス算出部は、複数の前記系列の前記フレーム数期待値の総和を全フレーム数期待値とし、対象測定区間で受信した全ての前記測定フレームの数から複数の前記系列のOldSNを減算した数を全修正受信フレーム数とし、前記全フレーム数期待値から前記全修正受信フレーム数を減算した数をフレームロス数とするものである。
【0017】
この構成により、複数の系列の測定フレームが多重化されて送信され、受信された測定フレームが複数の系列に分配され、複数の系列のフレーム数期待値の総和が全フレーム数期待値とされ、対象測定区間で受信した全ての測定フレームの数から複数の系列のOldSNを減算した数が全修正受信フレーム数とされ、全フレーム数期待値から全修正受信フレーム数を減算した数がフレームロス数とされる。このため、複数の系列の測定フレームを多重化して高速化した場合でも、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合に、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0018】
また、本発明のフレームロス測定方法は、測定フレームに連続したシリアル番号を設定して測定対象に送信し、測定対象から所定時間の測定区間ごとに受信した前記測定フレームの前記シリアル番号に基づいてフレームロス数を算出するネットワーク測定装置のフレームロス測定方法であって、測定区間内に受信した前記測定フレームの前記シリアル番号の最大値をHighestSNとするステップと、対象測定区間の前記HighestSNと、直前の測定区間の前記HighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出するステップと、を備えるものである。
【0019】
この構成により、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数が算出される。このため、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合でも、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、測定対象に異常が発生した場合でも、早期にフレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができるネットワーク測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置のフレームロス数の算出方法を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置のシリアル番号とキャリーフラグの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置のシリアル番号の桁あふれ対応区間を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置の測定フレーム消失時の例を示すタイムチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置の測定フレーム消失時のシリアル番号の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るネットワーク測定装置について詳細に説明する。
【0023】
図1において、本発明の一実施形態に係るネットワーク測定装置1は、データ生成部2と、測定部3と、を含んで構成される。
【0024】
データ生成部2は、測定対象であるネットワークやネットワークを構成する伝送装置等に送信する測定フレームを生成する。
【0025】
データ生成部2は、フレーム生成部としてのFrame生成部21a、21b、21c、21dと、シリアル番号付加部としてのSN付加部22a、22b、22c、22dと、識別情報付加部としてのlaneID付加部23a、23b、23c、23dと、データマルチプレクサ24と、データ送信部25と、を含んで構成される。
【0026】
Frame生成部21a、21b、21c、21dは、測定対象のサポートする通信規格に従って測定フレームを生成する。
【0027】
SN付加部22a、22b、22c、22dは、Frame生成部21a、21b、21c、21dが生成した測定フレームにそれぞれ連続したシリアル番号を設定する。SN付加部22a、22b、22c、22dは、例えば、シリアル番号をゼロから始め、生成した測定フレームごとに1ずつ加算したシリアル番号を設定し、シリアル番号が桁あふれをしたときは、シリアル番号をゼロに設定する。
【0028】
laneID付加部23a、23b、23c、23dは、測定フレームが生成されたFrame生成部21a、21b、21c、21dを識別するlaneIDを測定フレームに設定する。
【0029】
データマルチプレクサ24は、laneID付加部23a、23b、23c、23dが出力する測定フレームを多重化して出力する。
【0030】
データ送信部25は、データマルチプレクサ24で多重化された測定フレームを測定対象へ送信する。
【0031】
データ生成部2は、それぞれのFrame生成部21a、21b、21c、21dが、例えば、100Gbpsの速度で測定フレームを生成し、それらをデータマルチプレクサ24で多重化して400Gbpsの速度で測定対象に送信するようになっている。
【0032】
測定部3は、測定対象から受信したデータから測定フレームを抽出し、測定フレームに設定されたシリアル番号に基づいてフレームロスを測定する。
【0033】
測定部3は、データ受信部31と、データデマルチプレクサ32と、識別情報識別部としてのlaneID識別部33と、シリアル番号検出部としてのHighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dと、フレームロス算出部としてのFrameLoss算出部35と、を含んで構成される。
【0034】
データ受信部31は、測定対象からデータを受信し、受信したデータから測定フレームを抽出してデータデマルチプレクサ32に出力する。
【0035】
データデマルチプレクサ32は、受信した測定フレームを複数に分配して出力する。本実施形態では、データデマルチプレクサ32は、受信した測定フレームを4つに分配する。
【0036】
laneID識別部33は、分配された測定フレームを、測定フレームに設定されたlaneIDにより4つに分配して出力する。
【0037】
HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、測定フレームに設定されたシリアル番号に基づいて、後述する方法で受信フレーム数の期待値などを算出する。
【0038】
FrameLoss算出部35は、HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dが算出した受信フレーム数の期待値などから、後述する方法でフレームロス数を算出する。
【0039】
本実施形態において、測定部3は、所定の測定時間を測定区間とし、測定区間内に受信した測定フレームのシリアル番号に基づいて測定区間でのフレームロス数を算出する。測定区間は、最低でも10フレーム程度が受信できる時間が望ましい。64byte長の測定フレームで、ビットレートが400Gbpsならば1.5msほどとなる。測定区間の上限は無いが、測定区間が長いほどフレームロスの結果が確定する時間が伸びるため、現実的には60sほどが上限となる。
【0040】
HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、測定区間内に受信した測定フレームのシリアル番号の最大値をHighestSNとする。
【0041】
本実施形態においては、マルチプレクサ及びデマルチプレクサを使用している構成のため、受信したシリアル番号の順番にずれが生じる可能性がある。このため、測定区間を超えて遅れて受信した測定フレームをカウントして整合性をとる。HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、直前の測定区間のHighestSNよりも小さなシリアル番号が設定された測定フレームの数をOldSNとする。
【0042】
HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、3つの測定区間のHighestSN及びOldSNから真ん中の測定区間の受信フレーム数の期待値であるフレーム数期待値を算出する。
【0043】
例えば、
図2に示すような場合、区間2のフレーム数期待値は、以下の式により算出される。
HighestSN#2 ‐ HighestSN#1 ‐ OldSN#3
= 14 ‐ 7 ‐ 1 = 6
ここで、
HighestSN#2 :区間2のHighestSN
HighestSN#1 :区間1のHighestSN
OldSN#3 :区間3のOldSN
【0044】
区間2での受信した実測フレーム数は、シリアル番号が6、8、9、10、11、12、14の7となり、実測フレーム数から区間2のOldSNを引いた数を修正受信フレーム数とする。この場合、修正受信フレーム数は、7 ‐ 1 = 6フレームとなる。
【0045】
フレームロス数は、フレーム数期待値から修正受信フレーム数を引いた数になる。この場合、フレームロス数は、6 ‐ 6 = 0 でフレームロスは無い。
【0046】
ここで、シリアル番号10のフレームが消失していた場合、実測フレーム数が6となり、修正受信フレーム数が5になり、フレームロス数が1と算出される。
【0047】
HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、各測定区間のフレーム数期待値を算出し、OldSNとともにFrameLoss算出部35に出力する。
【0048】
FrameLoss算出部35は、4つのフレーム数期待値の総和を全フレーム数期待値とする。FrameLoss算出部35は、測定区間で受信した全ての測定フレームの数から4つのOldSNを減算した数を全修正受信フレーム数とする。FrameLoss算出部35は、全フレーム数期待値から全修正受信フレーム数を減算した数をフレームロス数とする。
【0049】
本実施形態において、シリアル番号は8bitに設定される。シリアル番号はビット数により有限な数値であるため、現実的に測定に使用するには桁あふれ対策が必要となる。また、前述したように、マルチプレクサ及びデマルチプレクサを使用している構成のため、受信したシリアル番号の順番にずれが生じる可能性がある。そのため、HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、
図3に示すように、受信したシリアル番号に基づいてキャリーフラグを管理する。キャリーフラグが1のときは、桁あふれが発生している。
【0050】
前述のとおり、受信したシリアル番号は連続ではなく順番にずれが生じる可能性があるため、キャリーフラグが1となる条件は、保持している直前の測定区間のHighestSNの上位2bitが'11'であり、かつ新しく受信した測定フレームのシリアル番号の上位2bitが'00'のときである。
【0051】
例えば、シリアル番号が8bitの場合、
図4に示すように、シリアル番号が192から63の間が桁あふれ対応区間となる。
【0052】
HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、直前の測定区間で桁あふれが発生し、ゼロから桁あふれ後のシリアル番号がHighestSNとなった場合には、桁あふれを考慮してOldSNを算出する。具体的には、桁あふれ前のシリアル番号の測定フレームの数と、ゼロから桁あふれ後のシリアル番号の中で直前の測定区間のHighestSNより小さいシリアル番号の測定フレームの数との和をOldSNとする。
【0053】
ここで、測定中に測定対象のネットワークの装置の故障などにより測定フレームが消失してしまった場合を考える。
【0054】
例えば、測定開始から受信したシリアル番号の最大のシリアル番号をHighestSNとし、桁あふれが発生した場合には、その時点から受信したシリアル番号の最大のシリアル番号をHighestSNにする方法の場合、前述の方法でフレームロス数を算出することができる。
【0055】
しかしながら、
図5に示すように、桁あふれ対応区間内のシリアル番号が200の時点でネットワークの装置の故障などにより測定フレームの伝送データが消失し、桁あふれ対応区間外のシリアル番号が65の時点から伝送データが復帰した場合、65は200より小さいため、HighestSNが200であると誤認識される。
【0056】
その後、
図6に示すように、HighestSNが200で固定され、シリアル番号が200を超える時点まで正常にフレームロス数を算出できない。
【0057】
本実施形態においては、測定区間内に受信した測定フレームのシリアル番号の最大値をHighestSNとしているため、
図5において、4秒から5秒の測定区間でHighestSNが正しい値になり、5秒から6秒の測定区間から正常にフレームロス数を算出できるようになる。
【0058】
このように、上述の実施形態では、HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、測定区間ごとに測定区間内に受信した測定フレームのシリアル番号の最大値をHighestSNとし、FrameLoss算出部35は、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出する。
【0059】
これにより、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合でも、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0060】
HighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dは、直前の測定区間のHighestSNよりも小さなシリアル番号が設定された測定フレームの数をOldSNとし、FrameLoss算出部35は、対象測定区間のHighestSNと、直前の測定区間のHighestSNと、対象測定区間のOldSNと、直後の測定区間のOldSNと、受信フレーム数と、から対象測定区間のフレームロス数を算出する。
【0061】
これにより、シリアル番号の受信順にずれが生じる可能性がある場合でも、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合に、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0062】
また、FrameLoss算出部35は、対象測定区間のHighestSNから、直前の測定区間のHighestSNと、直後の測定区間のOldSNとを減算した値をフレーム数期待値とし、対象測定区間の受信フレーム数から対象測定区間のOldSNを減算した値を修正受信フレーム数とし、フレーム数期待値から修正受信フレーム数を減算した値をフレームロス数とする。
【0063】
これにより、シリアル番号の受信順にずれが生じる可能性がある場合でも、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合に、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0064】
また、データ生成部2は、複数の系列で測定フレームを生成させ、それぞれの系列で連続したシリアル番号を付加し、複数の系列の測定フレームを多重化して測定対象に送信し、測定部3は、測定対象から受信した測定フレームを複数の系列に復元し、それぞれの系列でHighestSN/OldSN検出部34a、34b、34c、34dによりHighestSN及びOldSNを求め、FrameLoss算出部35は、複数の系列のフレーム数期待値の総和を全フレーム数期待値とし、対象測定区間で受信した全ての測定フレームの数から複数の系列のOldSNを減算した数を全修正受信フレーム数とし、全フレーム数期待値から全修正受信フレーム数を減算した数をフレームロス数とする。
【0065】
これにより、複数の系列の測定フレームを多重化して高速化した場合でも、測定対象の装置の障害等で測定フレームが消失した場合に、測定データが復帰してから早期に正しいHighestSNを求めることができ、フレームロスの測定を正常に行なえるようにすることができる。
【0066】
なお、本実施形態のネットワーク測定装置1は、装置一台で測定対象のネットワークに接続し、自装置が送信した測定フレームを自装置で受信して測定を行なうこともできるし、送信用の装置と受信用の装置の二台を、それぞれ測定対象のネットワークに接続して、送信用の装置から受信用の装置に測定フレームを送信して測定を行なうこともできる。
【0067】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0068】
1 ネットワーク測定装置
2 データ生成部
3 測定部
21a、21b、21c、21d Frame生成部(フレーム生成部)
22a、22b、22c、22d SN付加部(シリアル番号付加部)
23a、23b、23c、23d laneID付加部(識別情報付加部)
24 データマルチプレクサ
25 データ送信部
31 データ受信部
32 データデマルチプレクサ
33 laneID識別部(識別情報識別部)
34a、34b、34c、34d HighestSN/OldSN検出部(シリアル番号検出部)
35 FrameLoss算出部(フレームロス算出部)