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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148133
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】粘着クリーナ
(51)【国際特許分類】
   A47L 25/00 20060101AFI20220929BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220929BHJP
【FI】
A47L25/00 A
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049698
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】520447329
【氏名又は名称】万代 晴夫
(71)【出願人】
【識別番号】520447330
【氏名又は名称】在間 満
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(72)【発明者】
【氏名】在間 満
(72)【発明者】
【氏名】万代 晴夫
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004BA02
4J004BA05
4J004EA01
4J004FA10
(57)【要約】
【課題】ロールからシート端を容易に剥がすことができると共に、ロールを被清掃面で転がすときに粘着層が被清掃面に貼り付いてロールから粘着シートが引き出されてしまうことを防止できる粘着クリーナを提供する。
【解決手段】粘着クリーナ1Aは、一方の面に粘着層が形成された帯状の粘着シート3が粘着層を外側に向けて巻回されている。粘着シート3には、粘着シート3の幅方向WDの一端の側から他端の側に向かって延在すると共に、一端の側の一部分に第一の線未形成部分が設けられている切り取り線5Aと、第一の線未形成部分に、粘着シート3の巻芯2側と反対側になる下流Dに突出する突出片61を形成する突出片形成線6Aと、突出片61の突端よりも上流Uに設けられ、粘着シートの一端から他端に向かうに従い上流Uに向かう方向に延在する折り曲げ線7Aと、が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に粘着層が形成された帯状の粘着シートが前記粘着層を外側に向けて巻回された粘着クリーナであって、前記粘着シートには、
前記粘着シートの幅方向の一端の側から他端の側に向かって延在すると共に、前記一端の側の一部分に第一の線未形成部分が設けられている切り取り線と、
前記第一の線未形成部分に、前記粘着シートの巻芯側と反対側になる下流に突出する第一突出片を形成する第一突出片形成線と、
前記第一突出片の突端よりも上流に設けられ、前記粘着シートの前記一端から前記他端に向かうに従い上流に向かう方向に延在する第一折り曲げ線と、
が形成されており、
前記第一突出片は、前記第一折り曲げ線に沿って上流へ折り返すことにより、前記第一突出片の突端部分を前記粘着シートの前記一端の外側に位置させると共に、前記第一突出片の前記突端部分にある前記粘着層を前記粘着シートのロールの筒端に貼付可能にする粘着クリーナ。
【請求項2】
前記切り取り線は、前記一端から前記他端に向かうに従い上流に向かう方向に傾斜し、
前記第一折り曲げ線は、前記切り取り線よりも上流に設けられ、前記粘着シートの前記一端から前記他端まで延在し、前記切り取り線に平行である、
請求項1に記載の粘着クリーナ。
【請求項3】
前記第一折り曲げ線は、前記第一の線未形成部分に形成され、前記切り取り線の延長線上に位置する、
請求項2に記載の粘着クリーナ。
【請求項4】
前記切り取り線は、
前記一端から前記粘着シートの幅方向の中間部まで、前記第一の線未形成部分を含んで延在すると共に、前記一端から前記中間部に向かうに従い上流に向かう方向に傾斜する第一ライン部と、
前記粘着シートの前記他端から前記中間部まで延在すると共に、前記他端の側の一部分に第二の線未形成部分が設けられ、さらに、前記他端から前記中間部に向かうに従い上流に向かう方向に傾斜する第二ライン部と、
を有し、
前記粘着シートには、
前記第二の線未形成部分に、下流に向かって突出する第二突出片を形成する第二突出片形成線と、
前記第二突出片の突端よりも上流に設けられ、前記粘着シートの前記他端から前記中間部に向かうに従い上流に向かう方向に延在する第二折り曲げ線と、
が形成されており、
前記第二突出片は、前記第二折り曲げ線に沿って上流へ折り返すことにより、前記第二突出片の突端部分を前記粘着シートの前記他端の外側に位置させると共に、前記第二突出片の前記突端部分にある前記粘着層を前記ロールのもう一つの筒端に貼付可能にする、
請求項1に記載の粘着クリーナ。
【請求項5】
前記切り取り線は、
前記粘着シートの前記一端から前記他端の側に向かう第一方向に直線的に延びると共に、前記第一方向へ互いに離れて配列された複数の第一切り込みと、
前記第一方向に隣り合う第一切り込み同士の間よりも上流の側に設けられた中央部分、該中央部分から前記第一方向に隣り合う前記第一切り込み同士の一方に向かって屈曲して、前記第一切り込み同士の一方に近接する一端部分および、前記中央部分から前記第一方向に隣り合う前記第一切り込み同士の他方に向かって屈曲して、前記第一切り込み同士の他方に近接する他端部分を有する複数の第二切り込みと、
を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の粘着クリーナ。
【請求項6】
前記切り取り線は、
前記粘着シートの前記一端の側に向かうに従い下流に向かう方向に傾斜する線分の形状を有し、前記粘着シートの前記一端から前記粘着シートの、前記一端よりも前記他端の側にある中間部に向かって配列された複数の第三切り込みと、
前記粘着シートの前記他端の側に向かうに従い下流に向かう方向に傾斜する線分の形状を有し、前記粘着シートの前記中間部から前記他端に向かって配列された複数の第四切り込みと、
を有し、
隣り合う前記第三切り込み同士の互いの端部は、上流方向または下流方向に重なり、
隣り合う前記第四切り込み同士の互いの端部は、上流方向または下流方向に重なる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の粘着クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着クリーナは、一方の面に粘着層が形成された粘着シートを、粘着層を外側に向けて巻回したロールを備えるクリーナである。この粘着クリーナは、粘着層を被清掃面に当てた状態で、そのロールを被清掃面の上で転がすことにより、被清掃面の塵、毛髪等のごみを粘着層に付着させて被清掃面の清掃をする。そして、粘着層にごみが付着することにより、粘着シートのロール最外周部分の粘着力が低下すると、ロールから粘着シートのシート端を剥がして、ロール最外周部分を引き剥がし、さらに、そのロール最外周部分を切り取って新たな粘着層をロール表面に露出させる。粘着クリーナは、このような方法により、清掃に使用されている。
【0003】
このような粘着クリーナには、粘着シートのロール最外周部分を切り取るため、一周長さ毎に切り取り線が設けられるものがある。また、切り取り線によって形成されるシート端を、切り取り時にロールから剥がしやすくするため、切り取り線と隣接して突出片形成線が設けられるものがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、幅方向の両端部を除く中央部だけに粘着層が形成された帯状の粘着シートの、その中央部を幅方向に横断する切り取り線と、その切り取り線の端部から、粘着シートの巻芯側と反対側の下流方向かつ幅方向に延在して、切り取り線よりも下流に突出する突出片を形成する突出片形成線と、を有する粘着クリーナが開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の粘着クリーナでは、切り取り線と突出片形成線により、粘着シートのロール最外周部分が切り取られると、シート端とこれに隣接する突出片が形成される。突出片は、シート端から下流に突出し、さらに表面に粘着層がなく、ごみが付着しにくい。このため、突出片は、ロールから剥がしやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-155797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、粘着クリーナでは、粘着シートの、ごみが付着したロール最外周部分が切り取られて、比較的きれいな粘着層が露出すると、その比較的きれいな粘着層が被清掃面に貼り付いてしまうことがある。このときに、粘着シートが巻芯に巻回されている巻回方向と反対の方向にロールを転がすと、粘着シートのシート端から上流側へ次々と、粘着シートがロールから引き出されてしまうことがある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の粘着クリーナでは、突出片がシート端から突出するだけである。このため、突出片を用いてロールからシート端を容易に剥がすことができるものの、上述した粘着シートがロールから引き出されてしまうことを防止できない。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、ロールからシート端を容易に剥がすことができると共に、ロールを被清掃面で転がすときに粘着層が被清掃面に貼り付いてロールから粘着シートが引き出されてしまうことを防止できる粘着クリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明に係る粘着クリーナは、
一方の面に粘着層が形成された帯状の粘着シートが前記粘着層を外側に向けて巻回された粘着クリーナであって、前記粘着シートには、
前記粘着シートの幅方向の一端の側から他端の側に向かって延在すると共に、前記一端の側の一部分に第一の線未形成部分が設けられている切り取り線と、
前記第一の線未形成部分に、前記粘着シートの巻芯側と反対側になる下流に突出する第一突出片を形成する第一突出片形成線と、
前記第一突出片の突端よりも上流に設けられ、前記粘着シートの前記一端から前記他端に向かうに従い上流に向かう方向に延在する第一折り曲げ線と、
が形成されており、
前記第一突出片は、前記第一折り曲げ線に沿って上流へ折り返すことにより、前記第一突出片の突端部分を前記粘着シートの前記一端の外側に位置させると共に、前記第一突出片の前記突端部分にある前記粘着層を前記粘着シートのロールの筒端に貼付可能にすることを特徴とする。
【0011】
前記切り取り線は、前記一端から前記他端に向かうに従い上流に向かう方向に傾斜し、
前記第一折り曲げ線は、前記切り取り線よりも上流に設けられ、前記粘着シートの前記一端から前記他端まで延在し、前記切り取り線に平行であってもよい。
【0012】
前記第一折り曲げ線は、前記第一の線未形成部分に形成され、前記切り取り線の延長線上に位置してもよい。
【0013】
前記切り取り線は、
前記一端から前記粘着シートの幅方向の中間部まで、前記第一の線未形成部分を含んで延在すると共に、前記一端から前記中間部に向かうに従い上流に向かう方向に傾斜する第一ライン部と、
前記粘着シートの前記他端から前記中間部まで延在すると共に、前記他端の側の一部分に第二の線未形成部分が設けられ、さらに、前記他端から前記中間部に向かうに従い上流に向かう方向に傾斜する第二ライン部と、
を有し、
前記粘着シートには、
前記第二の線未形成部分に、下流に向かって突出する第二突出片を形成する第二突出片形成線と、
前記第二突出片の突端よりも上流に設けられ、前記粘着シートの前記他端から前記中間部に向かうに従い上流に向かう方向に延在する第二折り曲げ線と、
が形成されており、
前記第二突出片は、前記第二折り曲げ線に沿って上流へ折り返すことにより、前記第二突出片の突端部分を前記粘着シートの前記他端の外側に位置させると共に、前記第二突出片の前記突端部分にある前記粘着層を前記ロールのもう一つの筒端に貼付可能にしてもよい。
【0014】
前記切り取り線は、
前記粘着シートの前記一端から前記他端の側に向かう第一方向に直線的に延びると共に、前記第一方向へ互いに離れて配列された複数の第一切り込みと、
前記第一方向に隣り合う第一切り込み同士の間よりも上流の側に設けられた中央部分、該中央部分から前記第一方向に隣り合う前記第一切り込み同士の一方に向かって屈曲して、前記第一切り込み同士の一方に近接する一端部分および、前記中央部分から前記第一方向に隣り合う前記第一切り込み同士の他方に向かって屈曲して、前記第一切り込み同士の他方に近接する他端部分を有する複数の第二切り込みと、
を有してもよい。
【0015】
前記切り取り線は、
前記粘着シートの前記一端の側に向かうに従い下流に向かう方向に傾斜する線分の形状を有し、前記粘着シートの前記一端から前記粘着シートの、前記一端よりも前記他端の側にある中間部に向かって配列された複数の第三切り込みと、
前記粘着シートの前記他端の側に向かうに従い下流に向かう方向に傾斜する線分の形状を有し、前記粘着シートの前記中間部から前記他端に向かって配列された複数の第四切り込みと、
を有し、
隣り合う前記第三切り込み同士の互いの端部は、上流方向または下流方向に重なり、
隣り合う前記第四切り込み同士の互いの端部は、上流方向または下流方向に重なってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、第一突出片形成線は、第一の線未形成部分に、粘着シートの巻芯側と反対側になる下流に突出する第一突出片を形成する。粘着クリーナでは、第一突出片が下流に突出するので、第一突出片が起こしやすく、つまみやすい。その結果、第一突出片をつまんで引くことにより、ロールからシート端を容易に剥がすことができる。
【0017】
また、第一突出片は、第一折り曲げ線に沿って上流へ折り返すことにより、第一突出片の突端部分を粘着シートの一端の外側に位置させると共に、第一突出片の突端部分にある粘着層を粘着シートのロールの筒端に貼付可能にするので、その突端部分の粘着層を粘着シートのロールの筒端に貼り付けることにより、第一突出片をロールの筒端に固定することができる。その結果、ロールを被清掃面で転がすときに粘着シートの粘着層が被清掃面に貼り付いて粘着シートがロールから引き出されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係る粘着クリーナの斜視図である。
図2】実施の形態1に係る粘着クリーナの上面図である。
図3図2に示すIII領域の拡大図である。
図4】突出片を粘着シートロールの円筒端に貼り付けたときの粘着クリーナの斜視図である。
図5】実施の形態2に係る粘着クリーナの上面図である。
図6】実施の形態3に係る粘着クリーナの上面図である。
図7】実施の形態3に係る粘着クリーナの変形例の上面図である。
図8】実施の形態3に係る粘着クリーナの別の変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る粘着クリーナについて図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。
【0020】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る粘着クリーナは、清掃によってごみが付着した粘着シートのロール最外周部分を容易に切り取るため、粘着シートを斜めに横断する切り取り線が設けられた粘着クリーナである。この粘着クリーナには、切り取り線のほか、粘着シートの切り取り時に粘着シートのシート端をロールから容易に剥がすための突出片を形成する突出片形成線が設けられている。図1図4を参照して、この粘着クリーナの構成について説明する。
【0021】
図1は、実施の形態1に係る粘着クリーナ1Aの斜視図である。図2は、粘着クリーナ1Aの上面図である。図3は、図2に示すIII領域の拡大図である。図4は、突出片61を粘着シートロール4の筒端に貼り付けたときの粘着クリーナ1Aの斜視図である。
【0022】
なお、図1は、形状の理解を容易にするため、切り取り線5Aで切り取ったままシート端33を有する粘着シート3を粘着シートロール4から引き出した状態で、粘着シートロール4の軸線を左右方向に向け、粘着シートロール4の円筒面にある切り取り線5Aを上に位置させたときの粘着クリーナ1Aを示している。以下、便宜上、この向きで粘着クリーナ1Aの各部の位置関係を説明する。
【0023】
図1に示すように、粘着クリーナ1Aは、円筒状の巻芯2と、その巻芯2に巻回された粘着シート3と、を備える。
【0024】
粘着シート3は、一定の幅を有する長尺の帯の形状に形成されている。その一方の面には、いわゆる、めくり代とされる幅方向WDにある端部を除いて、粘着剤を含む粘着層が設けられている。そして、粘着シート3は、その粘着層が形成された一方の面を巻芯2の外側に向けた状態で、図1に示す巻芯2に複数回、巻回されている。これにより、粘着シート3は、粘着シートロール4を形成している。
【0025】
また、粘着シート3は、各種切り込みを有する。詳細には、粘着クリーナ1Aは、清掃に使用されて、粘着シート3のロール最外周部分にある粘着層の粘着力が弱くなったときに、粘着シート3の、そのロール最外周部分が切り取られて使用されるところ、粘着シート3には、そのロール最外周部分の切り取りで使用するため、切り取り線5A、突出片形成線6Aおよび、折り曲げ線7Aが形成されている。
【0026】
これらについて順次詳細に説明する。切り取り線5Aは、上述した粘着シート3のロール最外周部分を切り取るときの、その切り取りに用いるために形成されている。
【0027】
従来、切り取り線は、特許文献1に記載されているように、一定の長さの複数の直線状の切り込みが互いの間に一定の距離だけ離れて一直線上に配列したミシン目であった。
【0028】
しかし、ミシン目は、ミシン目を挟んでその両側を互いに引き離す方向に均等に引っ張って、ミシン目が延びる方向に向かって、順次、切り込み同士の間に亀裂を発生させて破断する必要がある。その結果、ミシン目を挟んで両側に均等に引っ張ることが難しく、粘着シートのロール最外周部分をミシン目に沿って切り取ることができない場合があった。その場合、ミシン目からずれて破断した部分がロール下層の粘着層に貼り付いてしまい、粘着シートロールからシート端を引き剥がすことが難しくなってしまうことがあった。
【0029】
そこで、切り取り線5Aは、線に沿って切り取りやすくするため、図2に示すように、直線的に延在する切り込み51と、切り込み51に対して上流U側にずれて配置されたC字状の切り込み52と、が左右方向へ交互に多数配列することにより形成されている。
【0030】
ここで、上流U側とは、粘着シート3が巻芯2に巻回された状態で、粘着シート3の、巻芯2がある側のことであり、下流D側とは、シート端33がある側のことである。
【0031】
切り込み51それぞれは、直線的に一定の長さだけ延在している。そして、左端部31から右端部32に向かうに従い上流Uへ向かう方向D1へ傾斜している。その傾斜角度は、例えば、3~7°程度である。切り込み51は、多数設けられ、互いの間に長さL1の未切断部分を設けて一直線上に配列されている。これにより、切り込み51は、未切断部分が長いミシン目を形成している。
【0032】
これに対して、切り込み52それぞれは、粘着シート3のロール最外周部分を切り取るときに、上流Uから隣り合う切り込み51同士をつなぐため、下流Dに開口を向けたC字状に形成されている。詳細には、切り込み52は、切り込み51に平行な中央部分521と、中央部分521から下流Dへ屈曲する左端部分522と、中央部分521から下流D側へ屈曲する右端部分523と、を有する。
【0033】
図3に示すように、中央部分521は、互いに隣り合う切り込み51R、51Lの間にある未切断部分の長さL1と概ね同じ長さに形成されている。そして、中央部分521は、その未切断部分の上流Uに配置されている。これにより、中央部分521の左端は、左側にある切り込み51Lの右端部と上下流方向にほぼ重なり、中央部分521の右端は、右側にある切り込み51Rの左端部と上下流方向にほぼ重なる。中央部分521の左右には、粘着シート3に引っ張り力が加わったときに、これら上流U方向に重なる部分に亀裂を発生させて破断されやすくするため、左端部分522と右端部分523が設けられている。
【0034】
左端部分522は、隣り合う切り込み51R、51Lのうちの、左側にある切り込み51Lの右端部に向かって屈曲する。また、右端部分523は、右側にある切り込み51Rの左端部に向かって屈曲する。それらの屈曲形状は、曲線状である。これにより、粘着シート3に引っ張り力が加わったときに屈曲部分への応力集中を防ぎ、屈曲部分から粘着シート3が破断してしまうことを防いでいる。
【0035】
また、左端部分522の先端部分は、上記の屈曲により、左側にある切り込み51Lの右端部に近接している。右端部分523の先端部分は、右側にある切り込み51Rの左端部に近接している。左端部分522と右端部分523の先端同士の間の距離D2は、切り込み51R、51L同士の間にある未切断部分の長さL1よりも大きい。それらの先端部分が延びる方向は、下流D方向である。さらに、それらの先端から切り込み51R、51Lまでの距離D3は、粘着シート3にある程度の引っ張り力が加わったときに亀裂が成長して破断する程度に短い。例えば、1~3mm程度である。このような構成により、左端部分522と右端部分523は、粘着シート3のロール最外周部分の切り取りで、粘着シート3にある程度の引っ張り力が加わったときに切り込み51L、51Rとの間の未切断部分を破断して切り込み51R、51Lとつなぐ。その結果、左端部分522と右端部分523は、中央部分521と切り込み51R、51Lをつないで、粘着シート3のロール最外周部分を切り取り線5Aに沿って切断させる。
【0036】
なお、破断時に、互いに隣り合う切り込み51R、51Lをつなぐには、中央部分521は、上記未切断部分の長さL1よりも短くてもよく、その場合、上記距離D2が長さL1と同じであってもよい。または、距離D2は、長さL1よりも若干小さくてもよい。
【0037】
図2に戻って、切り取り線5Aは、このようなC字状の切り込み52と、直線的な切り込み51とが交互に配列されることにより、粘着シート3のロール最外周部分の切り取り時に、それ自体に沿って破断されやすくしている。切り取り線5Aは、その構造から上流U方向または下流D方向への引っ張り力で破断しやすいが、切り込み51が左端部31から右端部32へ向かうに従い上流Uへ向かう方向D1へ一直線上に配列することにより、後述する突出片61をつまんで左端部31側から粘着シート3のロール最外周部分を切り取った場合でも、粘着シートロール4がある上流Uに向かって破断を進めて、切り取りやすくしている。
【0038】
切り取り線5Aは、左端部31から離れた起点S1から右端部32までの間に形成されている。その左端部31から離れた起点S1までの部分には、切り取り線5Aと同様に、粘着シート3の切り込みによって形成されている突出片形成線6Aが配置されている。
【0039】
突出片形成線6Aは、切り取り線5Aで粘着シート3のロール最外周部分を切り取ったときに形成されるシート端33に隣接する突出片61を形成するための切り込みである。突出片形成線6Aは、起点S1の左側近傍から粘着シート3の左端面の、起点S1よりも下流側にある箇所Pへ向かって延びている。詳細には、突出片形成線6Aは、起点S1の近傍から緩やかな曲線を描いて下流D側へ延び、さらに、下流D側へ延びた後、左側へ折れ曲がっている。そして、突出片形成線6Aは、左端部31を経て、粘着シート3の左端面まで達している。突出片形成線6Aと切り取り線5Aの起点S1との間には、未切断部分が存在するが、粘着シート3のロール最外周部分の切り取り時に、その未切断部分が破断されることより、突出片形成線6Aは、切り取り線5Aとつながる。その結果、突出片形成線6Aは、切り取り線5Aが形成するシート端33の左側に、粘着シート3の左端面に沿って下流Dへ突出する突出片61を形成する。なお、その突出片61の大きさは、少なくとも指先でつまめる程度、例えば幅1cm、長さ2cm程度である。
【0040】
突出片形成線6Aによって形成される突出片61は、シート端33よりも下流へ突出するので、シート端33を粘着シートロール4から引き剥がすときに、タブ、すなわちつまみとして使用しやすい。しかし、突出片61のロール外側面には、粘着シート3と同様に粘着層がある。このため、突出片61とそれと隣接する、粘着シート3のロール下層部分にまたがってごみが付着した場合に、突出片61を起こしたり剥がしたりすることが難しくなることがある。そこで、粘着シート3には、粘着シートロール4から起こしたり剥がしたりすることを容易にするため、突出片61を予め折り返しておくための折り曲げ線7Aが形成されている。
【0041】
折り曲げ線7Aは、一部の長さが長いものの、概ね一定の長さである多数の切り込み71により形成されている。切り込み71それぞれは、直線状である。そして、切り込み71は、延在方向が揃えられて、一直線上に配列されている。さらに、隣り合う切り込み71は、切り取り線5Aが有する直線状の切り込み51同士の間の図3に示す長さL1とほぼ同じ距離だけ互いに離れている。これにより、切り込み71同士が互いに離れる距離は、切り取り線5AのC字状の切り込み52から直線状の切り込み51までの距離D3よりも大きい。その結果、折り曲げ線7Aは、切り取り線5Aよりも破断しにくい。これにより、折り曲げ線7Aは、切り取り線ではなく折れ曲げ線として機能する。また、折り曲げ線7Aは、粘着シートロール4に支えられているので、谷折り線として機能する。
【0042】
また、折り曲げ線7Aは、図2に示すように、切り取り線5Aよりも上流Uに、例えば、切り取り線5Aよりも0.5~1.5cm程度、上流Uに設けられている。これにより、折り曲げ線7Aは、粘着シート3の、切り取り線5Aにより形成されるシート端33を上流U側に折り返すことを可能にする。従来、粘着シートロール4を被清掃面で転がすときに粘着シート3の粘着層が被清掃面に貼り付いて粘着シートがシート端33から次々と粘着シートロールから引き出されてしまうことがあったが、折り曲げ線7Aは、図4に示すように、シート端33を上流U側に折り返させて、シート端33の裏面の非粘着面をロール外側に向ける。その結果、シート端33が被清掃面に貼り付きにくくなる。これにより、折り曲げ線7Aは、そのシート端33から次々と粘着シート3が引き出されていくことを防ぐ。
【0043】
なお、図4に示す状態では、切り取り線5Aが有していたC字状の切り込み52のC字の開口が上流Uを向く。粘着シート3のロール最外周部分の切り取り時に、C字状の切り込み52のC字先端に破断面Fが形成されるが、上述した向きにより、その破断面Fが上下流に向かない。また、図4に示さない中央部分521と左端部分522、右端部分523の曲線状の屈曲部が上下流に向く。このため、粘着シートロール4が被清掃面を転がっても、折り返されたシート端33は、破損しにくい。
【0044】
さらに、折り曲げ線7Aは、図2に示すように、切り取り線5Aの直線状の切り込み51と平行である。これにより、粘着シート3の左端面に対して上流Uへ角度θだけ傾斜する。これに対して、突出片61は、下流Dへ突出する結果、粘着シート3の左端面に平行である。その結果、折り曲げ線7Aは、それ自体に沿ってシート端33が折り曲げられたときに、図2の点線DLで示すように、突出片61を折り返して、突出片61の突端部分を粘着シートロール4の左外側へ突出させる。
【0045】
このとき、突出片61の面にある粘着層は、ロール中心軸がある側へ向く。また、突出片61の突出長さLは、突出片61の突端から折り曲げ線7Aまでの距離をX、折り曲げ線7Aの、幅方向WDに対する傾斜角をθとするときに、Xsinθであり、粘着層がない左端部31の突出方向の幅よりも大きい。換言すると、突出長さLは、粘着層がない左端部31の幅Wとするとき、Wcosθよりも長い。その結果、折り返された突出片61の突端部分にある粘着層は、粘着シートロール4の左外側へ位置する。その粘着シートロール4の左外側へ位置する突出片61の突端部分を粘着シートロール4の左端面に沿って折り曲げることにより、突端部分にある粘着層は、粘着シートロール4の左側の筒端に貼付可能である。
【0046】
なお、粘着シートロール4の筒端に確実に貼り付けるため、上述した突出長さLは、図4に示す粘着シートロール4の厚みT1または粘着シート3全体の厚みT2以上であることが望ましい。
【0047】
このように、折り曲げ線7Aは、突出片61を粘着シートロール4の左側の筒端に貼付可能にする。これにより、折り曲げ線7Aは、図4に示すように、突出片61の突端部分を粘着シートロール4の左筒端に貼り付けて、突出片61が被清掃面に引っ掛かって粘着シート3が粘着シートロール4から引き出されてしまうことを防ぐ。また、上述した粘着シート3の粘着層が被清掃面に貼り付いて粘着シート3がシート端33から次々と粘着シートロール4から引き出されてしまうことを防ぐ。
【0048】
なお、切り取り線5A、突出片形成線6A、折り曲げ線7Aは、粘着シート3の切り取り時に、粘着シート3の粘着力の低下した部分だけをできるだけ切り取るため、すなわち、粘着シート3のロール最外周部分だけをできるだけ切り取るため、ほぼ一周長さ毎に形成されている。そして、このような構造は、トムソン刃で、切り込みが形成されていない粘着シートロール4の円筒面部を打ち抜いて、切り取り線5Aの切り込み51、52、突出片形成線6Aの切り込み等の各部切り込みを形成することにより、実現されている。
【0049】
以上のように、実施の形態1に係る粘着クリーナ1Aは、突出片形成線6Aがシート端33から下流Dに突出する突出片61を形成する。粘着クリーナ1Aでは、突出片61がシート端33よりも下流Dに突出するので、突出片61が剥がしやすく、つまみやすい。その結果、突出片61をつまんで引くことにより、粘着シートロール4からシート端33を容易に引き剥がすことができる。
【0050】
突出片61は、折り曲げ線7Aを谷折り線にして、上流へ折り返すことにより、その突端部分を粘着シートロール4の筒端の外側に位置させると共に、突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼付可能にする。このため、突出片61の突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼り付けることにより、突出片61を粘着シートロール4の筒端に固定することができる。その結果、粘着シート3の粘着層が被清掃面に貼り付いて粘着シート3が粘着シートロール4から引き出されてしまうことを防止できる。また、筒端に貼り付けることができるので、清掃で粘着シート3にごみが付着しても、突出片61の位置がわかりにくくなることがない。
【0051】
また、突出片61は、折り曲げ線7Aを谷折り線にして、上流へ折り返すことにより、裏面の非粘着面をロール外側に向けることができる。これにより、突出片61それ自体が被清掃面に貼り付くことを防ぐことができる。突出片61それ自体にごみが付着しにくいので、粘着シート3のロール最外周部分の切り取り時に、突出片61を見つけるのが容易である。
【0052】
粘着クリーナ1Aでは、折り曲げ線7Aが切り取り線5Aと平行であるので、切り取り線5Aによって形成されるシート端33がある末端部分を、折り曲げ線7Aを谷折り線にして折り曲げることができる。これにより、粘着シート3の裏面の非粘着面を粘着シートロール4の表面に露出させることができる。その結果、シート端33に沿って非粘着面が帯状に形成して、シート端33近傍を貼り付きにくくすることができる。これにより、粘着シート3の粘着層が被清掃面に貼り付いて粘着シート3がシート端33から次々と粘着シートロール4から引き出されてしまうことを防止することができる。
【0053】
なお、実施の形態1で説明した切り取り線5A、突出片61、突出片形成線6A、折り曲げ線7Aは、本明細書、特許請求の範囲では、第一切り取り線、第一突出片、第一突出片形成線、第一折り曲げ線ともいう。切り込み51、52、方向D1は、第一切り込み、第二切り込み、第一方向ともいう。また、突出片61が形成される、左端部31から離れた起点S1までの切り取り線5Aがない部分は、第一の線未形成部分ともいう。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る粘着クリーナ1Aでは、折り曲げ線7Aが切り取り線5Aの上流U側に形成されている。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、折り曲げ線7Aは、突出片61の突端よりも上流Uに設けられ、粘着シート3の一端から他端に向かうに従い上流Uに向かう方向へ延在していればよい。
【0055】
実施の形態2に係る粘着クリーナ1Bは、突出片61の根元部分に折り曲げ線7Bが形成されている粘着クリーナである。以下、図5を参照して、実施の形態2に係る粘着クリーナ1Bについて説明する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0056】
図5は、実施の形態2に係る粘着クリーナ1Bの上面図である。なお、図5は、理解を容易にするため、図2に示す粘着クリーナ1Aと同じ向きに向けたときの粘着クリーナ1Bを示している。
【0057】
図5に示すように、粘着クリーナ1Bでは、粘着シート3に、二段状に突出する突出片62を形成するための突出片形成線6Bと、突出片62の根元部分に設けられ、突出片62だけを折り返すための折り曲げ線7Bと、が形成されている。
【0058】
粘着シート3には、実施の形態1で説明した切り取り線5Aと同様に、直線状の切り込み51と、C字状の切り込み52と、により形成される切り取り線5Bが設けられている。切り取り線5Bは、起点S1よりも右に位置する起点S2から延在することと、その結果、長さが異なることを除いて、実施の形態1の切り取り線5Aと構成は同じであるため、その詳細な説明は省略するが、突出片形成線6Bは、その切り取り線5Bの起点S2の左側に設けられている。
【0059】
突出片形成線6Bは、切り取り線5Bの起点S2の左側近傍にある起点S3から、粘着シート3の左かつ下流D側にある箇所Pへ延在している。詳細には、突出片形成線6Bは、起点S3から下流D方向に屈曲した後、下流D方向に延び、その後、左へ屈曲して切り取り線5Bと平行になり、左端部31へ向かっている。さらに、突出片形成線6Bは、切り取り線5Bと平行かつ左端部31へ向かって延びた後、再度下流D方向に屈曲して下流D方向に延び、再び、左へ屈曲して粘着シート3の幅方向WDに平行に延びている。そして、突出片形成線6Bは、左端部31を経て、粘着シート3の左の端面まで達している。このような構成により、突出片形成線6Bは、幅広い一段部分と、その一段部分よりも幅が狭く、左に寄った二段部分とを有する突出片62を形成する。
【0060】
これに対して、折り曲げ線7Bは、突出片形成線6Bの起点S3よりも左側に配置された複数の切り込み72によって形成されている。
【0061】
切り込み72それぞれは、切り取り線5Bが有する直線状の切り込み51とほぼ同じ、またはそれよりもやや短い長さに形成されている。また、切り込み72は、その直線状の切り込み51と同方向に真っ直ぐ延びている。そして、切り込み72は、切り取り線5Bの直線状の切り込み51の延長線上に配列されている。これにより、折り曲げ線7Bは、切り取り線5Aが形成する図5に示さないシート端33に沿って、突出片62を折り曲げ可能にする。
【0062】
また、隣り合う切り込み72同士は、実施の形態1で説明した折り曲げ線7Aの切り込み71同士が離れる距離とほぼ同じ距離だけ互いに離れている。切り込み72は、突出片形成線6Bの起点S3よりも左側に配置されている結果、突出片形成線6Bよりも上流Uに位置する。このため、切り込み72は、粘着シート3のロール最外周部分を切り取るときに、引っ張り力がかかりにくく、破断しにくいが、上記の距離だけ互いに離れることにより、切り込み72の配列箇所での折り曲げを容易にする。
【0063】
折り曲げ線7Bは、このような構成を備えることにより、突出片形成線6Bによって形成される突出片62をその根元部分で折り返し可能にする。折り曲げ線7Bは、突出片62を折り返させることにより、実施の形態1の折り曲げ線7Aの場合と同様に、突出片62の突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の左外側に位置させる。さらに、その突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の左側の筒端に貼付可能にする。
【0064】
また、折り曲げ線7Bは、突出片62を折り返させることにより、その裏面の非粘着面をロール外側に向ける。突出片62は、二段形状に突出し、左側ほど段数が増えて突出するので、左に向かう程、すなわち、突出片62の突端部分に向かう程、非粘着面の面積が増える。その結果、突出片62の突端部分に向かう程、被清掃面に貼り付きにくく、実施の形態1で説明した、粘着シートロール4を被清掃面で転がすときに粘着シート3の粘着層が被清掃面に貼り付いて粘着シート3が次々と粘着シートロール4から引き出されてしまうことを防ぐことができる。
【0065】
以上のように、実施の形態2に係る粘着クリーナ1Bは、切り取り線5Bの延長線上に折り曲げ線7Bが形成されると共に、折り曲げ線7Bが粘着シート3の左端部31から右に向かうと上流U側にいく方向に傾斜している。その結果、粘着シート3の左端部31側にある突出片62を折り曲げ線7Bに沿って折り返すことにより、実施の形態1と同様に、突出片62の突端部分を粘着シートロール4の筒端の外側に位置させると共に、その突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼付可能にする。
【0066】
突出片62は、シート端33から左側に向かうほど突出する二段形状である。このため、折り曲げ線7Bに沿って折り返されたときに、突出片62の裏面の非粘着面の面積が、粘着シートロール4の筒端に貼り付けられる突出片62の突端部分に向かうほど増加する。その結果、突出片62の突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼り付けたときに、被清掃面に突出片62が貼り付きにくい。
【0067】
(実施の形態3)
実施の形態1、2に係る粘着クリーナ1A、1Bでは、切り取り線5A、5Bは、左端部31から右端部32へ向かうに従い上流へ向かう方向にだけ傾斜している。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、切り取り線5A、5Bは、粘着シート3の幅方向WDの一端の側から他端の側に向かって延在すると共に、その一端の側の一部分に第一の線未形成部分が設けられていればよい。従って、切り取り線5A、5Bは、このような形状の切り取り線を一部分に含んでいればよく、その他の部分にそれ以外の切り取り線を含んでいてもよい。
【0068】
実施の形態3に係る粘着クリーナ1Cでは、切り取り線5Cが、粘着シート3の左端部31から右端部32へ向かうに従い上流Uに向かう方向へ延在する第一ライン部に加えて、その第一ライン部と左右対称の、右端部32から左端部31に向かうに従い上流Uに向かう方向へ延在する第二ライン部を備える。以下、図6を参照して、実施の形態3に係る粘着クリーナ1Cについて説明する。実施の形態3では、実施の形態1、2と異なる構成を中心に説明する。
【0069】
図6は、実施の形態3に係る粘着クリーナ1Cの上面図である。なお、図6は、図5と同様に、理解を容易にするため、図2に示す粘着クリーナ1Aと同じ向きに向けたときの粘着クリーナ1Cを示している。
【0070】
図6に示すように、切り取り線5Cは、第一ライン部53と、その第一ライン部53と中間点Mでつながる、第一ライン部53と左右対称の第二ライン部54とを備える。これにより、切り取り線5Cは、V字型である。
【0071】
第一ライン部53は、実施の形態1で説明した切り取り線5Aの直線状の切り込み51とC字状の切り込み52が、交互に複数個、実施の形態1と同様に配列している。第一ライン部53は、粘着シート3の左端部31の側にある起点S4から幅方向WDの中間にあり、かつ起点S4より上流Uにある中間点Mまで延びている。その結果、第一ライン部53は、上流Uに向かって傾斜している。その傾斜角度は、実施の形態1の切り取り線5Aと同じだけ終点を上流Uに位置させるため、実施の形態1の場合のほぼ倍である。
【0072】
一方、第二ライン部54は、粘着シート3の右端部32の側にある起点S5から上記中間点Mまで延び、その結果、上流Uに向かって傾斜している。そして、第二ライン部54は、上記中間点Mで第一ライン部53とつながっている。その構成は、実施の形態1で説明した切り取り線5Aの直線状の切り込み51とC字状の切り込み52が、第一ライン部53のそれらと左右対称になった構成である。
【0073】
第一ライン部53の起点S4の左側近傍には、実施の形態1で説明した突出片61を形成するための突出片形成線6Aが設けられている。また、第二ライン部54の起点S5の右側近傍には、その突出片61と左右対称の突出片63を形成するための突出片形成線6Cが設けられている。これにより、粘着クリーナ1Cでは、粘着シート3の左側と右側にそれぞれ、突出片61、63を形成する。その結果、粘着クリーナ1Cでは、粘着シート3の切り取り時のシート端33の引き起こしが、より容易である。
【0074】
これら突出片61、63を折り返し可能にするため、第一ライン部53の左側延長線上と第二ライン部54の右側延長線上には、折り曲げ線7Cの切り込み73、74が形成されている。切り込み73、74は、第一ライン部53、第二ライン部54の直線状の切り込み51よりも短い。そして、突出片形成線6A、突出片形成線6Cとの間に十分な距離があることから、破断しにくく、折り曲げ線として機能する。切り込み73、74は、第一ライン部53、第二ライン部54と同方向に傾斜しているので、突出片61、63を折り返したときに、突出片61、63をロール外側に向ける。その結果、実施の形態1および2と同様に、突出片61、63の突端部分を粘着シートロール4の筒端の外側に位置させると共に、その突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼付可能にする。
【0075】
以上のように、実施の形態2に係る粘着クリーナ1Bは、切り込み73、74に沿って折り曲げたときに粘着シート3の左右それぞれに突出する突出片61、63を備えるので、粘着シート3のロール最外周部分の切り取り時に、シート端33の引き剥がしが容易である。
【0076】
また、突出片61、63の折り返しにより、突出片61、63の突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼付可能である。その結果、突出片61、63の突端部分にある粘着層を粘着シートロール4の筒端に貼り付けたときに、被清掃面に突出片61、63が貼り付くことを防ぐことができる。
【0077】
なお、実施の形態3で説明した突出片63、突出片形成線6C、切り込み74は、本明細書、特許請求の範囲では、第二突出片、第二突出片形成線、第二折り曲げ線ともいう。起点S5から右端部32までの第二ライン部54がない部分は、本明細書、特許請求の範囲では第二の線未形成部分ともいう。
【0078】
以上、本発明の実施の形態1-3に係る粘着クリーナ1A-1Cについて説明したが、本発明は、これらに限定されない。
【0079】
例えば、実施の形態1-3では、粘着シートロール4の軸線を左右方向に向け、粘着シートロール4の円筒面にある切り取り線5A-5Cを上に位置させたときの粘着クリーナ1A-1Cの各部を説明しているが、本発明はこれに限定されない。この向きは、説明の便宜上のものにすぎない。本発明は、粘着クリーナ1A-1Cの各部の相対的な位置関係が保たれていればよく、粘着クリーナ1A-1Cの向きは任意である。このため、例えば、粘着クリーナ1A-1Cの各部の左端、右端は、反転されて右端、左端であってもよい。また、単に一端、他端と呼ばれてもよい。
【0080】
また、実施の形態1-3では、切り取り線5A-5Cが、複数個、交互に配列された直線状の切り込み51とC字状の切り込み52とにより構成されているが、本発明はこれに限定されない。本発明では、切り取り線5A-5Cは、粘着シート3の幅方向WDの一端の側から他端の側に向かって延在すると共に、その一端の側の一部分に線未形成部分が設けられていればよく、その限りにおいて、切り取り線5A-5Cがどのような構成により、切り取り線として機能するのかは限定されない。
【0081】
図7は、実施の形態3に係る粘着クリーナ1Cの変形例の上面図である。図8は、実施の形態3に係る粘着クリーナ1Cの別の変形例の上面図である。
【0082】
図7に示すように、切り取り線5Cは、左端部31側に向かうに従い上流Uへ行く方向に傾斜し、粘着シート3の幅方向WDに一定の間隔で配列された線分状の複数の切り込み55と、それら切り込み55と左右対称の、右端部32側に向かうに従い上流Uへ行く方向に傾斜し、幅方向WDに一定の間隔で配列された線分状の複数の切り込み56と、により構成されていてもよい。
【0083】
この場合、隣り合う切り込み55同士の端部は、上下流に重なり、隣り合う切り込み56同士の端部は、上下流に重なるとよい。詳細には、隣り合う切り込み55同士において、左にある切り込み55の右端部は、右にある切り込み55の左端部の下流Dに位置して重なるとよく、隣り合う切り込み56同士において、左にある切り込み56の右端部は、右にある切り込み56の左端部の上流Uに位置して重なるとよい。それら重なっている部分は、粘着シート3をある程度の力で引っ張ったときに、破断可能な程度の距離、例えば、1~3mm程度であるとよい。そして、切り込み55の列の中で最も右にある切り込み55は、切り込み56の列の中で最も左にある切り込み56と、粘着シート3の幅方向WDの中間点Mを挟んで対向するとよい。その対向する距離は、ある程度の引っ張り力で破断可能な距離であるとよい。
【0084】
このような形態であれば、切り取り線5A、5Bと同様に、粘着シート3のシート端を引っ張ることにより、切り込み55、56同士の間に亀裂を発生させて、破断することができる。なお、図7に示す形態では、左右対称のため、引っ張り力による、切り込み55の列がある部分と切り込み56の列がある部分の応力がつりあう。このため、破断にやや力が必要であるものの、全体がほぼ同時に破断するため、破断時に破裂音がする。
【0085】
また、図8に示すように、切り取り線5Cは、上述した複数の切り込み56だけの列で形成されてもよい。さらに、実施の形態1-3では、C字状の切り込み52の中央部分521が直線状であるが、例えば、中央部分521は、上流Uに凹んだ曲線状、円弧状であってもよい。また、ほぼ長さがなく左端部分522と右端部分523を接続するだけでもよい。
【0086】
また、本発明では、切り取り線5A-5Cは、粘着シート3の幅方向WDの一端の側から他端の側に向かって延在し、一部分に線未形成部分が設けられているものであればよいので、切り取り線5A-5Cが粘着シート3の左端面または右端面に対して傾斜しているかどうかは任意の構成である。図7および図8に示すように、切り取り線5Cは、粘着シート3の左または右の端面に対して垂直に延びていてもよい。
【0087】
このように、本発明では、切り取り線5A-5Cに、様々な手法により切り取り線として機能するものが含まれる。また、折り曲げ線7A-7Cも同様である。
【0088】
実施の形態1-3では、突出片形成線6A-6Cが粘着シート3の左端面または右端面まで達して、粘着シート3の左端または右端に突出片61-63を形成しているが、本発明はこれに限定されない。本発明では、粘着シート3の幅方向の一端の側の一部分に切り取り線5A-5Cが形成されていない線未形成部分があり、その線未形成部分に突出片61-63を形成する突出片形成線6A-6Cがあればよい。このため、突出片61-63は、粘着シート3の左端または右端から一定の距離だけ中央側へ離れた位置に形成されてもよい。なお、この場合、実施の形態1で説明した突出片61の突出長さLは、Xsinθからその一定の距離を減算して得た長さである。
【0089】
なお、実施の形態1-3では、粘着シート3の両端部に粘着層がなく、めくり代があるが、本発明では、めくり代の有無は任意であり、本発明は、めくり代のない粘着シート3にも適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1A-1C…粘着クリーナ、2…巻芯、3…粘着シート、4…粘着シートロール、5A-5C…切り取り線、6A-6C…突出片形成線、7A-7C…折り曲げ線、31…左端部、32…右端部、33…シート端、51,51L,51R…切り込み、52…切り込み、53…第一ライン部、54…第二ライン部、55,56…切り込み、61-63…突出片、71-74…切り込み、521…中央部分、522…左端部分、523…右端部分、D…下流、D1…方向、D2,D3…距離、DL…点線、F…破断面、L…突出長さ、M…中間点、P…箇所、S1-S5…起点、T1,T2…厚み、U…上流、W…幅、WD…幅方向、X…距離、θ…角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8