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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148152
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】インターロック盤装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20220929BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20220929BHJP
   F16P 3/12 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B23Q11/00 D
B23Q17/24 Z
F16P3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049721
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 高之
(72)【発明者】
【氏名】月岡 翔太
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
【Fターム(参考)】
3C011AA01
3C011AA15
3C029EE20
(57)【要約】
【課題】保護装置の装着と安全上好ましくない装置の非装着を確認して工作機械への通電を行う可搬性のあるインターロック盤を提供する。
【解決手段】インターロック盤装置は、電源から電力の供給を受ける受電部と、自装置に接続される対象装置へ前記電力を供給する給電部と、保護装置の装着状況に関する検出を行う第1検出部と、素手による接触か否かを検出する第2検出部と、前記第1検出部の検出結果と、前記第2検出部の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定する判定部と、前記判定部の結果に基づいて、前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する通電制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から電力の供給を受ける受電部と、
自装置に接続される対象装置へ前記電力を供給する給電部と、
保護装置の装着状況に関する検出を行う第1検出部と、
素手による接触か否かを検出する第2検出部と、
前記第1検出部の検出結果と、前記第2検出部の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定する判定部と、
前記判定部の結果に基づいて、前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する通電制御部と、
を備えるインターロック盤装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、
前記保護装置を着脱可能に保持する保持部と、
前記保護装置と前記保持部との間の着脱を検出する着脱検出部と、
を備える請求項1に記載のインターロック盤装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、
カメラと、
前記カメラの撮影した画像に基づいて前記保護装置の装着状態を判定する装着判定部と、を備える請求項1または請求項2に記載のインターロック盤装置。
【請求項4】
前記第2検出部は、
前記自装置の筐体の一定以上離れた位置に設けられた複数の静電センサと、
前記静電センサの検出値に基づいて素手による接触を判定する接触判定部と、
を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインターロック盤装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記複数の静電センサに同時に接触されたか否かを判定する、
請求項4に記載のインターロック盤装置。
【請求項6】
前記第1検出部は、
前記保護装置を着脱可能に保持する保持部と、
前記保護装置の着脱を検出する着脱検出部と、
カメラと、
前記カメラの撮影した画像に基づいて前記保護装置の装着状態を判定する装着判定部と、を備え、
前記第2検出部は、
自装置の筐体の一定以上離れた位置に設けられた複数の静電センサと、
前記静電センサの検出値に基づいて素手による接触を判定する接触判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記着脱検出部によって前記保護装置が取り外されたことが検出され、前記装着判定部によって前記保護装置の装着が検出され、前記接触判定部によって素手による接触が検出されると、通電が可能と判定する、
請求項1に記載のインターロック盤装置。
【請求項7】
前記第1検出部は、
前記保護装置を着脱可能に保持する保持部および前記保護装置と前記保持部との間の着脱を検出する着脱検出部と、
前記保護装置を装着した場合に装着済みを示す信号を出力するボタンと、前記装着済みを示す信号を検出する第2装着判定部と、
を備え、
前記第2検出部は、
自装置の筐体の一定以上離れた位置に設けられた複数の静電センサと、
前記静電センサの検出値に基づいて素手による接触を判定する接触判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記着脱検出部によって前記保護装置が取り外されたことが検出され、前記第2装着判定部によって前記装着済みを示す信号を検出が検出され、前記接触判定部によって素手による接触が検出されると、通電が可能と判定する、
請求項1に記載のインターロック盤装置。
【請求項8】
キャスターをさらに備える、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載のインターロック盤装置。
【請求項9】
前記対象装置へ供給される電流値を監視し、前記電流値が閾値以上となると、前記対象装置に電源が投入されたと判定する稼働検出部、をさらに備え、
前記通電制御部は、前記稼働検出部が前記対象装置に電源が投入されたと判定した場合、前記判定部が通電可能と判定するまでの間、前記給電部への電力の供給を遮断する、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載のインターロック盤装置。
【請求項10】
電源から電力の供給を受ける受電部と、自装置に接続される対象装置へ前記電力を供給する給電部と、を備えるインターロック盤装置の制御方法であって、
前記受電部が前記電源から電力の供給を受け、
保護装置の装着状況に関する検出を行い、
素手による接触か否かを検出し、
前記装着状況の検出結果と、前記素手による接触の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インターロック盤装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボール盤などの工作機械の稼働前に作業者が保護装置を身に付けているかどうかを確認して、保護装置の装着が確認できた場合、工作機械への電源供給を可能な状態とし、作業者による開始ボタンの押下により、工作機械を使用可能に制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-517545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械を使用する場合、保護装置の装着だけではなく、安全上好ましくない装備品を装着していないことを確認しなければならない場合がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができるインターロック盤装置及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のインターロック盤装置は、電源から電力の供給を受ける受電部と、自装置に接続される対象装置へ前記電力を供給する給電部と、保護装置の装着状況に関する検出を行う第1検出部と、素手による接触か否かを検出する第2検出部と、前記第1検出部の検出結果と、前記第2検出部の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定する判定部と、前記判定部の結果に基づいて、前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する通電制御部と、を備える。
【0007】
本開示の制御方法は、電源から電力の供給を受ける受電部と、自装置に接続される対象装置へ前記電力を供給する給電部と、を備えるインターロック盤装置の制御方法であって、前記受電部が前記電源から電力の供給を受け、保護装置の装着状況に関する検出を行い、素手による接触か否かを検出し、前記装着状況の検出結果と、前記素手による接触の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定し、前記判定の結果に基づいて、前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する。
【発明の効果】
【0008】
上述のインターロック盤装置及び制御方法によれば、保護装置の装着と、安全上好ましくない装備品を装着していないことを確認して、対象装置を使用可能に制御する。また、本開示に係るインターロック盤装置は、電源と対象装置の間に設置するだけで使用できるため、設置に工事等が必要なく、使用できる環境などの制限が少なく、汎用性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態に係るインターロック盤を用いた工作機械システムの一例を示すブロック図である。
図2】第一実施形態に係るインターロック盤本体の正面図である。
図3A】第一実施形態に係るインターロック盤の左側面図である。
図3B】第一実施形態に係るインターロック盤の右側面図である。
図4A】第一実施形態に係るインターロック解除処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図4B】第一実施形態に係るインターロック解除処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図5】第二実施形態に係るインターロック盤の一例を示すブロック図である。
図6】第二実施形態に係る通電制御の一例を示すフローチャートである。
図7】各実施形態に係るインターロック盤のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のインターロック盤について、図1図7を参照して説明する。
<第一実施形態>
(システム構成)
図1は、第一実施形態に係るインターロック盤を用いた工作機械システムの一例を示すブロック図である。
工作機械システム1は、インターロック盤10と、電源20と、工作機械30と、を含む。電源20とは、例えば、200Vの交流電源である。工作機械30は、例えば、ボール盤、旋盤、マシニングセンタなどである。工作機械30を用いて作業する場合、安全上の配慮から保護メガネを装着することが求められる。また、手袋の巻き込みなどを防止するために素手で工作機械30を操作することが求められる。インターロック盤10は、電源20と工作機械30の間に設置され、作業者が保護メガネを装着し、素手であることを確認してから、電源20が供給する電力を工作機械30へ供給するインターロック機能を有している。
【0011】
インターロック盤10は、受電部101と、本体11と、支柱12と、多岐脚13と、キャスター14と、給電部104と、を備える。多岐脚13は、放射状に延びる複数本の脚を有しており、脚の先端部には、キャスター14が備えられている。支柱12は、多岐脚13の中央部より上方へ起立している。支柱12は、上下方向に伸縮可能で、本体11の高さが調整可能であってもよい。本体11は、支柱12の上端部と接続され、支柱12によって設置面の床に対して垂直もしくは、所定の角度で本体11の前面が斜め上方向を向くように支持されている。キャスター14は、下方から本体11を走行自在に支持している。
【0012】
本体11には、配電部102と、切替装置103と、変換装置105と、制御装置110と、保護メガネ収納部121と、カメラ122と、静電センサ123aと、静電センサ123bと、保護メガネ確認ボタン124と、素手確認ボタン125と、保護メガネ用ランプ131と、装着確認ランプ132と、接触確認ランプ133aと、接触確認ランプ133bと、主電源ランプ134と、条件成立ランプ135と、が備えられている。
【0013】
保護メガネ収納部121は、保護メガネを収納する保護メガネ掛けと、保護メガネ掛けからの保護メガネの着脱を検出するセンサとを含む。カメラ122は、作業者の顔を撮影する。撮影された画像は、作業者が保護メガネを装着しているかどうかの判定に用いられる。静電センサ123aおよび静電センサ123bは、作業者の素手による接触又は近接を検出する。作業者が素手で静電センサ123a、123bに接触すると、静電容量が大きく変化するが、作業者が手袋を装着したまま静電センサ123a、123bに触れても静電容量の変化が小さい。この性質を利用して、作業者が素手であるかどうかを、静電センサ123a、123bを用いて検出する。保護メガネ確認ボタン124と素手確認ボタン125は、押下などによりオン信号が出力されるハードウェアボタンである。例えば、カメラ122の故障等により、画像による保護メガネ装着の判定ができない場合、作業者自身又は現場の責任者などが、保護メガネ確認ボタン124を押下する。このボタンの押下によって出力される信号は、作業者が保護メガネを装着していることを示す信号として用いられる。また、例えば、静電センサ123a、123bによる素手の検出がうまくいかないような場合、作業者自身又は現場の責任者などが、素手確認ボタン125を押下する。このボタンの押下によって出力される信号は、作業者が素手であることを示す信号として用いられる。
【0014】
受電部101は、電源20から電力の供給を受けるための接続器である。受電部101は、例えば、標準的な電源プラグを用いて構成されている。給電部104は、工作機械30に電力を供給する為の接続器である。給電部104は、例えば、標準的な電源タップを用いて構成されている。配電部102は、受電部101から供給された電力を切替装置103と、変換装置105とへ分配する。切替装置103は、受電部101と給電部104を接続する回路上に設けられており、この回路のオンとオフを切り替える。切替装置103がオフの場合、工作機械30へ電力が供給されず、切替装置103がオンの場合、工作機械30へ電力が供給される。切替装置103は、例えば、電磁リレーである。変換装置105は、配電部102を通じて供給された交流電力を直流電力に変換するACアダプタである。変換装置105は、変換した直流電力を、制御装置110と、保護メガネ収納部121と、カメラ122と、静電センサ123aと、静電センサ123bと、保護メガネ確認ボタン124と、素手確認ボタン125と、保護メガネ用ランプ131と、装着確認ランプ132と、接触確認ランプ133aと、接触確認ランプ133bと、主電源ランプ134と、条件成立ランプ135と、へ供給する。
【0015】
制御装置110は、インターロック盤10の動作を制御する。
制御装置110は、通電制御部111と、判定部112と、保護メガネ判定部113と、取外検出部114と、画像処理部115と、接触判定部116と、出力部117と、を備える。
通電制御部111は、切替装置103のオンとオフを切り替える。
判定部112は、工作機械30への通電許可条件が成立しているかどうかを判定する。通電許可条件とは、(A)作業者が保護メガネを装着していること、(B)作業者が、素手であること、である。判定部112は、(A)と(B)の両方の条件が成立すると、通電条件が成立したと判定する。
【0016】
保護メガネ判定部113は、上記の(A)の条件が成立しているか否かを判定する。この判定は、例えば、以下の何れかの方法で実行される。
(A1)保護メガネが、本体11の保護メガネ収納部121から取り出され、且つ、画像認識により、作業者が保護メガネを装着していることを検出する。
(A2)保護メガネが、本体11の保護メガネ収納部121から取り出され、且つ、保護メガネ確認ボタン124が押下されたことを示す信号を検出する。
(A3)作業者が画像認識により、保護メガネを装着していることを検出する。
(A4)保護メガネ確認ボタン124が押下されたことを示す信号を検出する。
(A5)保護メガネが、本体11の保護メガネ収納部121から取り外されたことを検出する。
【0017】
保護メガネ判定部113は、取外検出部114と、画像処理部115と、を備える。
取外検出部114は、保護メガネが、保護メガネ収納部121から取り出されたことを検出する。画像処理部115は、カメラ122が撮影した画像を解析して、作業者が保護メガネを正しい位置に装着していることを検出する。保護メガネ判定部113は、取外検出部114の検出結果と画像処理部115の検出結果に基づいて、上記の(A1)の判定を行い、取外検出部114の検出結果に基づいて(A5)の判定を行い、画像処理部115の検出結果に基づいて(A3)の判定を行う。
【0018】
保護メガネ判定部113は、本体11が備える保護メガネ確認ボタン124が押下されるとこの押下信号を取得する。保護メガネ判定部113は、この押下信号に基づいて(A4)の判定を行い、押下信号と取外検出部114の検出結果に基づいて(A2)の判定を行う。
【0019】
接触判定部116は、上記の(B)の条件が成立しているか否かを判定する。この判定は、例えば、以下の何れかの方法で実行される。
(B1)接触判定部116は、静電センサ123aおよび静電センサ123bが検出した静電容量の変化に基づいて、静電センサ123aおよび静電センサ123bが(同時に)素手によってタッチされたことを判定する。
(B2)接触判定部116は、素手確認ボタン125が押下されるとこの押下信号を取得する。接触判定部116は、この押下信号に基づいて(B2)の判定を行う。
【0020】
出力部117は、保護メガネ用ランプ131と、装着確認ランプ132と、接触確認ランプ133aと、接触確認ランプ133bと、主電源ランプ134と、条件成立ランプ135の点灯状態を制御する。
【0021】
保護メガネ用ランプ131は、例えば、白色のLEDランプである。出力部117は、取外検出部114が保護メガネの取外しを検出すると、保護メガネ用ランプ131を点灯させる。
【0022】
装着確認ランプ132は、例えば、白色のLEDランプである。出力部117は、画像処理部115又は保護メガネ判定部113によって作業者が保護メガネを装着したことが検出されると、装着確認ランプ132を点灯させる。
【0023】
接触確認ランプ133a,133bは、例えば、白色のLEDランプである。出力部117は、接触判定部116が静電センサ123aへの素手によるタッチを検出すると、接触確認ランプ133aを点灯する。出力部117は、接触判定部116が静電センサ123bへの素手によるタッチを検出すると、接触確認ランプ133bを点灯する。
【0024】
主電源ランプ134は、例えば、赤色のLEDランプである。出力部117は、受電部101が電力を受電すると、主電源ランプ134を点灯する。受電部101が電力を受電すると、変換装置105にて変換された直流電力が制御装置110へ供給され、この電力によって、制御装置110が稼働する。出力部117は、制御装置110に電力が供給されると主電源ランプ134を点灯する。
【0025】
条件成立ランプ135は、例えば、緑色のLEDランプである。出力部117は、判定部112が(A)と(B)の通電許可条件が共に成立したと判定すると、条件成立ランプ135を点灯する。
【0026】
図2にインターロック盤10の本体11の正面図の一例を示す。図3Aにインターロック盤10の左側面図の一例を示す。図3Bにインターロック盤10の右側面図の一例を示す。図2に示すように、本体11の前面上部にはカメラ122が設けられ、本体11に正対する作業者の顔を撮影する。また、本体11の前面には、主電源ランプ134と、接触確認ランプ133aと、接触確認ランプ133bと、保護メガネ用ランプ131と、装着確認ランプ132と、条件成立ランプ135が設けられている。作業者は、各ランプの点灯状態を確認することができる。また、図2図3Aに示すように、本体11に正対する作業者の左手で接触しやすい位置に静電センサ123bが設けられている。また、図2図3Bに示すように、本体11に正対する作業者の右手で接触しやすい位置に静電センサ123aが設けられている。本体11の左右の側面に静電センサ123a、123bを設けることにより、作業者は、前方に手を伸ばして、静電センサ123a,123bに触れるだけで、両手が素手であることを確認することができる。また、静電センサ123a,123bを片手で同時に触れることができる位置に配置すると、例えば、片手に手袋を装着したまま、作業者が、素手となったもう一方の手で静電センサ123a,123bに同時に触れるようなことが可能になるが、静電センサ123a,123bを、両手を使わなければ届かない程度に離れた位置に設置することで、作業者の両手が素手であることの確認結果に対する信頼性を高めることができる。また、本体11の前面には、保護メガネ確認ボタン124と、素手確認ボタン125が設けられている。
【0027】
また、図2図3Bに示すように、保護メガネ収納部121は、支持軸121aと、枠部材121bと、メガネ掛け121cと、リミットスイッチ121dと、を備えている。枠部材121bは、支持軸121aを中心に回動可能である。メガネ掛け121cに保護メガネ40を掛けない場合、枠部材121bは、リミットスイッチ121dが備えるスイッチ121d1との接触が無い位置に、リミットスイッチ121dが備える支持部材121d2によって支持される。荷重がかからない状態では、支持部材121d2は、バネ機構などにより、スイッチ121d1を押下しない位置に保持される。これに対し、図2に示すようにメガネ掛け121cに保護メガネ40を掛けると、その重さで枠部材121bは、下方向に回動して支持部材121d2を押し下げ、スイッチ121d1が押下される。スイッチ121d1が押下されると、リミットスイッチ121dがオン信号を制御装置110へ出力する。これにより、保護メガネ40が保護メガネ収納部121に収納された状態であることを検出することができる。保護メガネ40をメガネ掛け121cから取り外すと、支持部材121d2は、枠部材121bを押し上げ、元の位置へ戻り、スイッチ121d1がオフ状態となる。スイッチ121d1がオフ状態となると、リミットスイッチ121dから制御装置110へオン信号が出力されなくなるので、これにより、保護メガネ40が保護メガネ収納部121から取り外された状態であることを検出することができる。
【0028】
(動作)
次にインターロック盤10の動作について説明する。インターロック盤10は、電源20から電力供給を受けると待ち状態となり、通電許可条件の判定を行う。そして、通電許可条件が成立すると、切替装置103を制御して工作機械30への通電を許可する。
【0029】
図4Aは、第一実施形態に係るインターロック解除処理の一例を示す第1のフローチャートである。
判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ1~3を有し、図示しないメモリ上に、これらのフラグの値を保持することによって、通電許可条件の成立状況を管理している。初期状態では、これらのフラグの値は全て“0”であるとする。
【0030】
受電部101が電源20に接続されると、変換装置105を通じて、制御装置110へ電力が供給される。すると、出力部117が、主電源ランプ134を点灯する(ステップS1)。次に工作機械30を使用する作業者が、保護メガネ40を保護メガネ収納部121から取り出す。すると、取外検出部114が、リミットスイッチ121dからオン信号が出力されなくなったことに基づいて、メガネ掛けから保護メガネ40が取り外されたことを検出する(ステップS2)。すると、出力部117が、保護メガネ用ランプ131を点灯する(ステップS3)。取外検出部114は、検出結果を判定部112へ出力する。判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ1に“1”を設定する。作業者は、取り外した保護メガネ40を装着する。
【0031】
次に作業者が、素手の状態で静電センサ123aと静電センサ123bに接触する。静電センサ123a、123bは、検出結果を制御装置110へ出力する。接触判定部116は、静電センサ123a、123bの検出結果から、それぞれについて素手による接触を検出する(ステップS4)。素手による接触が検出されると、出力部117は、接触確認ランプ133a、133bを点灯する(ステップS5)。接触判定部116により静電センサ123aへの素手による接触が検出されると、出力部117は、接触確認ランプ133aを点灯する。接触判定部116により静電センサ123bへの素手による接触が検出されると、出力部117は、接触確認ランプ133bを点灯する。接触判定部116は、検出結果を判定部112へ出力する。判定部112は、静電センサ123a,123bの両方について、素手による接触が検出されている場合のみインターロックフラグ解除フラグ2に“1”を設定する。
【0032】
なお、判定部112は、静電センサ123aと静電センサ123bへの素手による接触が同時に検出された場合のみ、インターロックフラグ解除フラグ2に“1”を設定してもよい。これにより、例えば、右手だけで、静電センサ123aと静電センサ123bに順番に接触したような場合に両手が素手であると判定するようなことを防ぐことができる。また、この判定方法の場合、判定部112がインターロックフラグ解除フラグ2に“1”を設定した場合のみ、出力部117は、接触確認ランプ133a、133bを共に点灯させ、それ以外の場合には、接触確認ランプ133a、133bを共に消灯させる。
【0033】
作業者が、静電センサ123a、123bへ接触を行っている間、カメラ122は、作業者の顔を撮影する(ステップS6)。カメラ122は、撮影した画像を制御装置110へ出力する。画像処理部115は、撮影された画像を解析して、作業者が保護メガネ40を正しく装着しているかどうかを認識する(ステップS7)。この認識には、公知の画像認識技術を用いることができる。作業者が保護メガネ40を正しく装着していることが認識されると、出力部117は、装着確認ランプ132を点灯する(ステップS8)。画像処理部115は、認識結果を判定部112へ出力する。判定部112は、保護メガネが正しく装着されていることが認識されている場合、インターロックフラグ解除フラグ3に“1”を設定する。
【0034】
次に判定部112が、通電許可条件が成立したかどうかを判定する(ステップS9)。判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ1~3の値が全て“1”の場合、通電許可条件が成立したと判定する。インターロックフラグ解除フラグ1~3の値のうち1つでも“0”があれば、通電許可条件は成立していないと判定する。
【0035】
通電許可条件が成立していない場合(ステップS9;No)、判定部112は、通電許可条件が成立するまで待機する(ステップS10)。その間、作業者は、保護メガネ用ランプ131、装着確認ランプ132、接触確認ランプ133a,133bのうち点灯していないものについて、インターロックを解除するために適切な動作を行う。作業者の動作に応じて、ステップS2、S4、S7の処理が実行される。その結果、インターロックフラグ解除フラグ1~3の値が全て“1”となると、判定部112は、通電許可条件が成立したと判定する。
【0036】
通電許可条件が成立した場合(ステップS9;Yes)、判定部112は、通電制御部111へ、切替装置103の切り替えを指示する。通電制御部111は、切替装置103をオンに切り替え、工作機械30への通電を許可する(ステップS11)。出力部117は、条件成立ランプ135を点灯する(ステップS12)。これにより、工作機械30に電力が供給され、工作機械30を使用することができるようになる。
【0037】
図4Aのフローチャートでは、上述した(A1)と(B1)の両方が成立した場合に通電許可条件が成立すると判定したが、(A3)と(B1)又は(A5)と(B1)が成立したときに判定部112が、通電許可条件が成立すると判定してもよい。(A3)と(B1)によって判定する場合、判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ2~3の値が“1”となると、通電許可条件が成立すると判定する。(A5)と(B1)によって判定する場合、判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ1~2の値が“1”となると、通電許可条件が成立すると判定する。
【0038】
また、図4AのステップS2~S3の処理と、ステップS4~S5の処理の順番は逆でも良い。つまり、ステップS4~S5の処理を先に実行して、その後、ステップS2~S3の処理を実行してもよい。同様に、図4AのステップS4~S5の処理と、ステップS6~S8の処理の順番は逆でも良い。
【0039】
図4Bにインターロック解除処理の他の例を示す。図4Bに保護メガネ確認ボタン124、素手確認ボタン125の押下によって、インターロックを解除する処理例を示す。図4Bは、第一実施形態に係るインターロック解除処理の一例を示す第2のフローチャートである。
受電部101が電源20に接続されると、出力部117が、主電源ランプ134を点灯する(ステップS1)。次に取外検出部114が、メガネ掛けから保護メガネが取り外されたことを検出し(ステップS2)、出力部117が、保護メガネ用ランプ131を点灯する(ステップS3)。判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ1に“1”を設定する。
【0040】
次に作業者又は作業者が素手であることを確認した他の人が、素手確認ボタン125を押下する。接触判定部116は、素手確認ボタン125が押下されたことを示す信号を受信すると、素手確認ボタン125の押下を検出する(ステップS4a)。すると、出力部117は、接触確認ランプ133a、133bを点灯する(ステップS5)。判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ2に“1”を設定する。
【0041】
次に作業者が、保護メガネ確認ボタン124を押下する。保護メガネ判定部113は、保護メガネ確認ボタン124が押下されたことを示す信号を受信すると、保護メガネ確認ボタン124の押下を検出する(ステップS7a)。すると、出力部117は、装着確認ランプ132を点灯する(ステップS8)。判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ3に“1”を設定する。
【0042】
以降の処理については図4Aに示す処理と同様である。つまり、判定部112が、通電許可条件が成立したかどうかを判定し(ステップS9)、通電許可条件が成立していない場合(ステップS9;No)、通電許可条件が成立するまで待機する(ステップS10)。通電許可条件が成立した場合(ステップS9;Yes)、通電制御部111が、通電を許可し、出力部117が、条件成立ランプ135を点灯する(ステップS12)。これにより、カメラ122が故障した場合や、静電センサ123a,123bによる検出ができない場合でも、保護メガネの装着と両手が素手であることを確認したうえで、工作機械30の稼働を許可することができる。
【0043】
図4Bのフローチャートでは、上述した(A2)と(B2)の両方が成立した場合に通電許可条件が成立すると判定する例を示したが、(A4)と(B2)が成立したときに判定部112が、通電許可条件が成立すると判定してもよい。この場合、判定部112は、インターロックフラグ解除フラグ2~3の値が“1”となると、通電許可条件が成立すると判定する。
【0044】
また、図4Aで説明した処理と組み合わせて、(A1)、(A3)、(A5)の何れかと(B2)が成立したときに判定部112が、通電許可条件が成立すると判定してもよい。同様に(A2)、(A4)の何れかと(B1)が成立したときに判定部112が、通電許可条件が成立すると判定してもよい。
【0045】
また、インターロック盤10がカメラ122を備えない構成とし、責任者などが作業者の保護メガネ40の装着を確認して、保護メガネ確認ボタン124の押下するようにしてもよい。同様にインターロック盤10が静電センサ123a、123bを備えない構成とし、責任者などが、作業者が素手であることを確認して素手確認ボタン125を押下するようにしてもよい。
【0046】
以上、説明したように、本実施形態のインターロック盤10は、作業者が保護メガネ40を装着し、両手が共に素手の状態であることを確認したうえで、工作機械30への通電を行う。これにより、作業者の安全性を向上することができる。また、本実施形態のインターロック盤10は、受電部101と、給電部104とを備え、受電部101を任意の電源20へ接続し、給電部104を任意の工作機械30へ接続することにより使用することができる。そのため工事などを必要とせずに導入することができる。また、本実施形態のインターロック盤10は、キャスター14を備えるため可搬性に優れ、工作機械30の設置場所まで容易に移動することができる。
【0047】
また、保護メガネ判定部113が(A1)~(A5)の何れの方法で(A)の判定を行うか、接触判定部116が(B1)~(B2)の何れの方法で(B)の判定を行うか、また判定部112がインターロックフラグ解除フラグ1~3の何れによって通電可否の判定を行うかについては、任意に切り替え可能であってよい。例えば、自分で保護メガネを所有している作業者は、保護メガネ40をインターロック盤10から取り外す必要が無い。このような場合のために、本体11の前面に保護メガネ判定部113、接触判定部116の判定方法などを自由に設定できるインタフェースを設け、作業者一人一人の状況に合わせて、判定方法を任意に切り替えられるようにしてもよい。
【0048】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態に係るインターロック盤について図5図6を参照して説明する。
図5は、第二実施形態に係るインターロック盤の一例を示すブロック図である。
第一実施形態では、初期状態において工作機械30への通電を遮断し、通電許可条件が成立すると、工作機械30への通電を許可する構成とした。これに対し、第二実施形態に係るインターロック盤10Aは、初期状態において工作機械30への通電を許可し、工作機械30の電源が投入されたときに、工作機械30への通電を遮断する。
【0049】
(構成)
図5は、第二実施形態に係るインターロック盤の一例を示すブロック図である。
本開示の第二実施形態に係る構成のうち、第一実施形態に係るインターロック盤10を構成する構成と同じものには同じ符号を付し、それらの説明を省略する。第二実施形態に係るインターロック盤10Aは、第一実施形態のインターロック盤10の構成に加え、電流センサ126を備え、制御装置110に代えて制御装置110Aを備える。
【0050】
制御装置110Aは、稼働検出部118を備え、通電制御部111と出力部117に代えて通電制御部111Aと出力部117Aを備えている。稼働検出部118は、電流センサ126が検出した電流値を取得し、工作機械30に電源が投入されたかどうかを判定する。給電部104が、工作機械30に接続されても、工作機械30の電源が投入されなければ、所定の閾値以下の電流しか流れることは無い。しかし、工作機械30の電源が投入されると、閾値以上の電流が検出される。稼働検出部118は、電流センサ126が検出した電流値と閾値とを比較して、工作機械30に電源が投入されたことを検出する。
【0051】
通電制御部111Aは、稼働検出部118が工作機械30に電源が投入されたことを検出すると、切替装置103を制御して工作機械30への通電を遮断する。そして、判定部112によって通電許可条件が成立したと判定されると、通電制御部111Aは、切替装置103を制御して、工作機械30への通電を許可する。
【0052】
出力部117Aは、第一実施形態の出力部117の機能に加え、通電許可条件のうち、成立していないものについて警告を発する機能を備える。例えば、左手による静電センサ123aへの接触が検出されない場合、出力部117Aは、接触確認ランプ133aを点滅させる。作業者は、点滅するランプを確認して、どの条件が成立しない為、工作機械30へ通電ができないのかを把握することができる。
【0053】
(動作)
図6は、第二実施形態に係る通電制御の一例を示すフローチャートである。
受電部101が電源20に接続されると、制御装置110Aへ電力が供給される。通電制御部111Aは、切替装置103をオンとし、工作機械30への通電を許可する(ステップS20)。稼働検出部118は、電流センサ126が計測する電流値を監視し、電流値が、工作機械30に電源が投入されたことを示す所定の閾値以上か否かを判定する(ステップS22)。閾値未満の場合(ステップS22;No)、稼働検出部118は、電流値の監視を継続する(ステップS21)。閾値以上の場合(ステップS22;Yes)、通電制御部111Aは、通電許可条件が成立済みか否かを判定する(ステップS23)。通電許可条件が成立済みの場合(ステップS23;Yes)、既に工作機械30への通電は許可済みとなっているので、そのまま何もしない。例えば、作業者が、工作機械30に電源を投入する前に、第一実施形態で説明した処理によって、インターロック解除を行ったならば、既に通電許可条件は成立している為、このような処理の流れになる。
【0054】
通電許可条件が成立していない場合(ステップS23;No)、通電制御部111Aは、切替装置103をオフにして、回路を遮断する(ステップS24)。次に出力部117Aが、インターロックの解除状況に応じて、警報を出力する(ステップS25)。例えば、出力部117Aは、メモリのインターロックフラグ解除フラグ1~3の値を確認して、何れも“0”であれば、保護メガネ用ランプ131と、装着確認ランプ132と、接触確認ランプ133a、133bを点滅させる。この表示により、作業者は、各ランプの点滅を見て、インターロック解除のための適切な動作を行う。作業者が、保護メガネ40を装着したり、静電センサ123a、123bに接触したりすると第一実施形態で図4A図4Bを用いて説明した処理により、インターロックフラグ解除フラグ1~3の値は都度更新される。出力部117Aは、インターロックフラグ解除フラグ1~3の値を監視して、例えば保護メガネ40が保護メガネ収納部121から取り外されると、保護メガネ用ランプ131の表示を、点滅から店頭に切り替える。これにより、作業者は、保護メガネ40を保護メガネ収納部121から取り外すことに関するインターロックが解除されたことを把握することができる。判定部112は、作業者の動作に応じて、インターロックフラグ解除フラグ1~3の値を更新する。この処理については、図4A図4Bを用いて説明したものと同様である。通電許可条件が成立するまでの間(ステップS26;No)、出力部117Aは、インターロックフラグ解除フラグ1~3の値に応じて各ランプの表示状態を制御する。判定部112が、通電許可条件が成立したと判定すると(ステップS26;Yes)、通電制御部111Aは、切替装置103をオンにして、工作機械30への通電を許可する(ステップS27)。これにより、作業者に、未解除のインターロック条件(保護メガネ40をメガネ掛けから取り外していない、素手ではない、保護メガネ40を正しく装着していない。)を表示しつつ、通電許可条件に基づいて、工作機械30への通電制御を行うことができる。
【0055】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、インターロックを解除する確認を行わずに工作機械30の電源を投入してしまったような場合に、未解除のインターロック条件を作業者に表示することができる。
【0056】
図7は、各実施形態に係るインターロック盤のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の制御装置110、110Aは、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0057】
なお、制御装置110、110Aの全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0058】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、通電制御を行う対象は工作機械30に限定されない。
【0059】
<付記>
各実施形態に記載のインターロック盤装置及び制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0060】
(1)第1の態様に係るインターロック盤装置(10)は、電源20から電力の供給を受ける受電部(101)と、自装置に接続される対象装置(工作機械30)へ前記電力を供給する給電部(104)と、保護装置(保護メガネ40)の装着状況に関する検出を行う第1検出部(保護メガネ判定部113と保護メガネ収納部121とカメラ122)と、素手による接触か否かを検出する第2検出部(接触判定部116と静電センサ123a、123b)と、前記第1検出部の検出結果と、前記第2検出部の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定する判定部112と、前記判定部の結果に基づいて、前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する通電制御部111と、を備える。
これにより、保護装置の装着と、作業者が素手であることの確認を行ってから、対象装置への通電を行うので、作業者の安全を確保することができる。また、受電部(101)を電源と接続し、給電部(104)を対象装置と接続することによって、使用可能となるので、電源や対象装置の制約なく、インターロック盤装置を導入することができる。
【0061】
(2)第2の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)のインターロック盤装置(10)であって、前記第1検出部は、前記保護装置を着脱可能に保持する保持部(保護メガネ収納部121)と、前記保護装置と前記保持部との間の着脱を検出する着脱検出部(取外検出部114)と、を備える。
これにより、保護装置が、(装着のために)インターロック盤装置から取り外されたことを検出することができる。保護装置の取外しは、保護装置の装着動作の一部であって、保護装置の取外しの検出は、保護装置の装着状況の一例である。
【0062】
(3)第3の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)~(2)のインターロック盤装置(10)であって、前記第1検出部は、カメラ122と、前記カメラの撮影した画像に基づいて前記保護装置の装着状態を判定する装着判定部(画像処理部115)とを備える。
これにより、保護装置を正しく装着したかどうかを確認することができる。
【0063】
(4)第4の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)~(3)のインターロック盤装置(10)であって、前記第2検出部は、自装置の筐体の一定以上離れた位置に設けられた複数の静電センサ(123a、123b)と、前記静電センサの検出値に基づいて素手による接触を判定する接触判定部116と、を備える。
このような構成とすることで、両手が素手であることの検出に対する信頼性が向上する。
【0064】
(5)第5の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(4)のインターロック盤装置(10)であって、前記判定部は、前記複数の静電センサに同時に接触されたか否かを判定する。
これにより、両手が素手であることの検出に対する信頼性が向上する。
【0065】
(6)第6の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)のインターロック盤装置(10)であって、前記第1検出部は、前記保護装置を着脱可能に保持する保持部と、前記保護装置の着脱を検出する着脱検出部と、カメラと、前記カメラの撮影した画像に基づいて前記保護装置の装着状態を判定する装着判定部と、を備え、前記第2検出部は、
自装置の筐体の一定以上離れた位置に設けられた複数の静電センサと、前記静電センサの検出値に基づいて素手による接触を判定する接触判定部と、を備え、前記判定部は、前記着脱検出部によって前記保護装置が取り外されたことが検出され、前記装着判定部によって前記保護装置の装着が検出され、前記接触判定部によって素手による接触が検出されると、通電が可能と判定する。
インターロック盤装置から保護装置を取り外して、装着すること、および素手であることを確認してから、対象装置への通電を行う(上記の(A1)と(B1)の組合せ)。これにより、通電前に安全確認を行うことができる。
【0066】
(7)第7の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)のインターロック盤装置(10)であって、前記第1検出部は、前記保護装置を着脱可能に保持する保持部および前記保護装置と前記保持部との間の着脱を検出する着脱検出部と、前記保護装置を装着した場合に装着済みを示す信号を出力するボタンと、前記装着済みを示す信号を検出する第2装着判定部と、を備え、前記第2検出部は、自装置の筐体の一定以上離れた位置に設けられた複数の静電センサと、前記静電センサの検出値に基づいて素手による接触を判定する接触判定部と、を備え、前記判定部は、前記着脱検出部によって前記保護装置が取り外されたことが検出され、前記第2装着判定部によって前記装着済みを示す信号を検出が検出され、前記接触判定部によって素手による接触が検出されると、通電が可能と判定する。
インターロック盤装置から保護装置を取り外して、装着すること、および素手であることを確認してから、対象装置への通電を行う(上記の(A2)と(B1)の組合せ)。これにより、通電前に安全確認を行うことができる。
【0067】
(8)第8の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)~(7)のインターロック盤装置(10)であって、キャスターをさらに備える。
これにより、自在に移動することができる。
【0068】
(9)第9の態様に係るインターロック盤装置(10)は、(1)~(8)のインターロック盤装置(10)であって、前記対象装置へ供給される電流値を監視し、前記電流値が閾値以上となると、前記対象装置に電源が投入されたと判定する稼働検出部118、をさらに備え、前記通電制御部111Aは、前記稼働検出部が前記対象装置に電源が投入されたと判定した場合、前記判定部が通電可能と判定するまでの間、前記給電部への電力の供給を遮断する。
これにより、対象装置へ電源が投入されたことを検出したうえで、通電可能と判定されるまでの間、対象装置への通電を遮断することができる。
【0069】
(10)第10の態様に係る制御方法は、電源から電力の供給を受ける受電部と、自装置に接続される対象装置へ前記電力を供給する給電部と、を備えるインターロック盤装置の制御方法であって、前記受電部が前記電源から電力の供給を受け、保護装置の装着状況に関する検出を行い、素手による接触か否かを検出し、前記装着状況の検出結果と、前記素手による接触の検出結果と、に基づいて、前記対象装置への通電の可否を判定し、前記判定の結果に基づいて前記受電部が受電した電力を前記給電部へ通電する制御方法である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・工作機械システム
10・・・インターロック盤
11・・・本体
12・・・支柱
13・・・多岐脚
14・・・キャスター
101・・・受電部
102・・・配電部
103・・・切替装置
104・・・給電部
105・・・変換装置
110・・・制御装置
111、111A・・・通電制御部
112・・・判定部
113・・・保護メガネ判定部
114・・・取外検出部
115・・・画像処理部
116・・・接触判定部
117、117A・・・出力部
118・・・稼働検出部
121・・・保護メガネ収納部
122・・・カメラ
123a・・・静電センサ
123b・・・静電センサ
124・・・保護メガネ確認ボタン
125・・・素手確認ボタン
126・・・電流センサ
131・・・保護メガネ用ランプ
132・・・装着確認ランプ
133a・・・接触確認ランプ
133b・・・接触確認ランプ
134・・・主電源ランプ
135・・・条件成立ランプ
20・・・電源
30・・・工作機械
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7