(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148204
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220929BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20220929BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220929BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20220929BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20220929BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049792
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 純
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA02
3E138MB08
3E138MC03
3E138MC05
3E138MD05
3E138ME04
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181EE11
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】注目すべき動画データを取得することができる情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】サーバ50は、車両Vの走行状況に基づいて発生したイベントと、当該イベントの発生時刻に対応する車両Vの周辺を撮像した60秒動画データと、の対応関係を示すリストLTを取得し、取得したリストLTのうち、一定期間におけるイベント毎の発生数を集計して、その集計結果に基づいて60秒動画データの取得条件を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状況に基づいて発生したイベントと、当該イベントの発生時刻に対応する前記車両の周辺を撮像した動画データと、の対応関係を示すイベント関連データを取得するイベント関連データ取得部と、
前記イベント関連データ取得部が取得した前記イベント関連データのうち、所定期間における前記イベント毎の発生数を集計する集計部と、
前記集計部での集計結果に基づいて前記動画データの取得条件を生成する取得条件生成部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得条件生成部は、前記集計部が集計した前記イベント毎の前記発生数のうち、発生頻度が高い前記イベントに対応する前記動画データを取得するような前記取得条件を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記イベントには、前記車両の急旋回、急減速、急加速のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記動画データは、所定時間長毎に区切られて順次生成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得条件生成部が生成した前記取得条件に基づいて前記動画データを取得する取得部を備えることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
車両の周辺を撮像する撮像部と、前記車両の走行状況に基づいて前記イベントの発生を検出するイベント検出部と、前記イベント検出部が検出した前記イベントと当該イベントの発生時刻に対応する前記撮像部が撮像した動画データとに基づいて前記イベント関連データを生成するイベント関連データ生成部と、を備えた車載機と、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記取得条件生成部が生成した前記取得条件に基づいて前記動画データを取得する取得部と、前記取得部で取得された前記動画データが閲覧可能な閲覧部と、を備える端末装置と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
車両の走行状況に基づいて発生したイベントと、当該イベントの発生時刻に対応する前記車両の周辺を撮像した動画データと、の対応関係を示すイベント関連データを取得するイベント関連データ取得部と、
前記イベント関連データ取得部が取得した前記イベント関連データのうち、所定期間における前記イベント毎の発生数を集計する集計部と、
前記集計部での集計結果に基づいて前記動画データの取得条件を生成する取得条件生成部と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行動画等を抽出する情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラを搭載したデジタルタコグラフは、車両の運転データの他、一定時間毎に撮像した映像の動画データをSDカード等の記録媒体に記憶することができる。また、デジタルタコグラフは、記録媒体に記憶された動画データとその撮影日時とが対応付けられたリスト等も当該記録媒体に記憶している。また、事務所PC等からの取得要求に応じて、記録媒体に記憶された動画データおよびリストを無線通信により送信可能なデジタルタコグラフも存在する。
【0003】
特許文献1には、クライアントから車両で撮像された映像の動画データの取得要求があった場合、速やかにその動画データを送信できるようにするために、サーバを介して動画データの取得を行うようにしたことが記載されている。具体的には、サーバは、クライアントからサーチリストおよび60秒毎の動画データの送信要求があった場合には、デジタルタコグラフからサーチリストおよび60秒毎の動画データを無線通信により取得して、クライアントに送信するとともにストレージに記憶する。サーバは、クライアントから送信要求があったサーチリストおよび60秒毎の動画データがストレージに記憶されている場合には、ストレージに記憶されているサーチリストおよび60秒毎の動画データをクライアントに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、クライアントから特定の動画を指定して取得要求を行っているが、事故防止のための危険予知活動等により、急旋回、急減速等の特定のイベントを指定して関連する動画を取得したい場合がある。その場合、例えば、動画取込設定等として、予め取得するイベントを設定し、そのイベントに合致する動画を取得するような構成が考えられる。
【0006】
しかしながら、特定のイベントを予め設定する方法の場合、管理者等が予測したイベントしか取得できない。そのため、管理者等が予測しないイベントが多発していた場合には、当該イベントにかかる動画データを取得できないため、危険予知活動等に生かすことができない。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、注目すべき動画データを取得することができる情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、車両の走行状況に基づいて発生したイベントと、当該イベントの発生時刻に対応する前記車両の周辺を撮像した動画データと、の対応関係を示すイベント関連データを取得するイベント関連データ取得部と、前記イベント関連データ取得部が取得した前記イベント関連データのうち、所定期間における前記イベント毎の発生数を集計する集計部と、前記集計部での集計結果に基づいて前記動画データの取得条件を生成する取得条件生成部と、を備えることを特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、イベント毎の発生数の集計結果に基づいて動画データの取得条件を生成するので、多発したイベントにかかる動画データを取得することができる。したがって、注目すべき動画データを取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの概略構成図である。
【
図2】情報処理システムに示された概略動作の説明図である。
【
図3】
図1に示された情報処理システムの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる車載機と情報処理装置と端末装置とを有する情報処理システムを示す概略構成図である。情報処理システム5は、トラック等の車両の運行状況を管理するシステムに搭載され、ネットワーク70を介して接続される車載機10と、少なくとも1つの端末装置30と、サーバ50とを含む構成を有する。端末装置30は、営業所60に設置された事務所PCである。なお、車載機10や端末装置30は複数あってもよい。
【0012】
端末装置30は、汎用のコンピュータ装置で構成され、車両の運行状況を管理する。ネットワーク70は、車載機10と広域通信を行う無線基地局8、端末装置30、及びサーバ50が接続されるインターネット等のネットワークであり、車載機10と端末装置30とサーバ50との間で行われるデータ通信を中継する。車載機10と無線基地局8との間の通信は、LTE(Long Term Evolution)/4G((4th Generation)等のモバイル通信網(携帯回線網)で行われてもよいし、無線LAN(Local Area Network)で行われてもよい。
【0013】
車載機10は、車両に搭載され、出入庫時刻、走行距離、走行時間、走行速度、速度オーバー、エンジン回転数オーバー、急発進、急加速、急減速等の運行データを記録するとともに、映像を撮像可能なカメラ機能を有する。つまり、車載機10は、運行記録装置(デジタルタコグラフともいう)の機能とドライブレコーダの機能を兼ね備えている。車載機10は、CPU11、揮発メモリ26B、不揮発メモリ26A、記録部17、カードI/F18、音声I/F19、RTC(時計IC)21、SW入力部22及び表示部27を有する。
【0014】
CPU11は、車載機10の各部を統括的に制御する。不揮発メモリ26Aは、CPU11によって実行される動作プログラム等を格納する。
【0015】
記録部17は、運行データや動画データ等のデータを記録する。カードI/F18には、乗務員が所持するメモリカード65が挿抜自在に装着される。CPU11は、カードI/F18に装着されたメモリカード65に対し運行データ、60秒毎の動画データ(以下、単に60秒動画データという)、リストLT等のデータを書き込む。メモリカード65には、例えばSDカードが用いられる。通常は、車両が営業所60に戻ると、乗務員がSDカードを取り外し、後述する端末装置30のカードI/F35に挿入してデータを移行する。
【0016】
音声I/F19には、内蔵スピーカ20が接続される。内蔵スピーカ20は、警報等の音声を発する。RTC21(計時部)は、現在時刻を計時する。SW入力部22には、出庫ボタン、入庫ボタン等の各種ボタンのON/OFF信号が入力される。表示部27は、LCD(liquid crystal display)で構成され、通信や動作の状態の他、警報等を表示する。
【0017】
また、車載機10は、速度I/F12A、エンジン回転I/F12B、外部入力I/F13、センサ入力I/F14、アナログ入力I/F29、GPS受信部15、カメラI/F16、通信部24、リスト生成部28及び電源部25を有する。
【0018】
速度I/F12Aには、車両の速度を検出する車速センサ(図示せず)からの速度パルスが入力される。エンジン回転I/F12Bには、エンジン回転数センサ(図示せず)からの回転パルスが入力される。外部入力I/F13には、外部機器(図示せず)が接続され、外部機器からの信号が入力される。センサ入力I/F14には、加速度(G値)等の信号が入力される。
【0019】
アナログ入力I/F29には、エンジン温度(冷却水温)を検知する温度センサ(図示せず)、燃料量を検知する燃料量センサ(図示せず)等の信号が入力される。CPU11は、これらのI/Fを介して入力される情報を基に、各種の運転状態を検出する。GPS受信部15は、GPSアンテナ15aに接続され、GPS衛星から送信される信号を受信し、現在位置(GPS位置情報)を取得する。
【0020】
カメラI/F16には、車両に設置され、少なくとも車両の周辺を撮像して所定時間長(本実施形態では、60秒)毎に動画データを生成するカメラ23が接続される。即ち、動画データは、所定時間長毎に区切られて順次生成されている。なお、所定時間長とは、2分、4分等、固定時間であってもよく、また、車載機10のユーザが任意に設定可能な時間であってよい。カメラ23は、例えば魚眼レンズを通して撮像される撮像面に、30万画素、100万画素、200万画素等の画素が配置されたイメージセンサを有する。イメージセンサは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサで構成されてもよいし、CCD(電荷結合素子)センサで構成されてもよい。カメラ23で撮像された映像の動画データは、記録部17やメモリカード65に時系列に記録される。カメラ23で撮像された映像は、端末装置30の表示部33に表示される。
【0021】
また、カメラ23は、車両の前方の他、車両の後方、左側方、右側方を撮像可能なように、複数設けられたものでもよいし、各方向を撮像する複数のイメージセンサが1つの筐体に収容されたものでもよい。従って、カメラ23は、車両前方の映像の他、左右方向の映像、後方の映像も同時に撮像可能としてもよい。なお、カメラ23は、任意の角度方向(例えば45°方向)の映像を撮像可能であってもよく、可視光を撮像する以外に、夜間でも撮像可能なように、赤外線カメラを備えてもよい。
【0022】
通信部24は、広域通信を行い、携帯回線網(モバイル通信網)を介して無線基地局8に接続されると、無線基地局8と繋がるインターネット等のネットワーク70を介して、端末装置30と通信を行う。また、通信部24は、モバイル通信網を介して、サーバ
50と直接に接続される。
【0023】
リスト生成部28は、リストLTを定期的に生成する。リストLTは、カメラ23で撮像された60秒動画データと、撮像日時と、イベントと、を対応付けたものである。イベントとは、例えば急旋回(急ハンドル)、急減速(急ブレーキ)、急加速等の車両の走行状況に基づいて発生した事象であり、特に危険運転行為または危険運転行為に結び付くような事象を含むのが好ましい。これらのイベントは、例えばセンサ入力I/F14に入力された加速度(G値)等の信号に基づいてCPU11が周知の方法により検出することができる。
【0024】
即ち、リストLTは、車両の走行状況に基づいて発生したイベント(急旋回等)と、当該イベントの発生時刻に対応する前記車両の周辺を撮像した動画データ(60秒動画データ)と、の対応関係を示すイベント関連データに相当するものである。
【0025】
なお、リストLTには、上記に加えて、車載機10の場所(GPS位置情報)と、車両コード、車両名等、他の情報を対応付けてもよい。リストLTは、通信部24によって、サーバ50に送信される。なお、リストLTには、60秒動画データそのものは含まれなくてよい。対応する60秒動画データを識別可能な情報、例えばファイル名等が含まれていればよい。
【0026】
また、本実施形態では、リスト生成部28は、車載機10のハードウェア部品として構成されたが、CPU11がアプリケーションを実行することでリスト生成部28の機能を有するように、ソフトウェアで構成されてもよい。
【0027】
電源部25は、イグニッションスイッチのオン等により車載機10の各部に電力を供給する。
【0028】
以上の説明から明らかなように、カメラ23は撮像部、CPU11はイベント検出部、リスト生成部28はイベント関連データ生成部として機能する。
【0029】
一方、サーバ50は、端末装置30からの要求に応じて、各車両に搭載された車載機10からリストLT及び60秒動画データを受信し、動画取込設定STを生成して、端末装置30に対し生成した動画取込設定STを送信する。サーバ50は、CPU51、通信部52、記憶部53及びストレージ55を有する。
【0030】
通信部52は、インターネット等のネットワーク70を介して、端末装置30と通信を行う。また、通信部52は、モバイル通信網を介して、車載機10と直接に接続される。なお、通信部52は、モバイル通信網及び無線基地局8を介してネットワーク70に接続された車載機10と接続されてもよい。
【0031】
記憶部53は、各種データを一時的に記憶可能なメモリであり、車載機10から送信されたリストLT等を一時的に記憶する。ストレージ55は、ハードディスクドライブ等、大容量の記憶媒体であり、リストLTや動画取込設定ST等を保存可能である。
【0032】
CPU51は、サーバ50の各部を統括的に制御し、記憶部53に一時的に記憶されたリストLTをデータベース化してデータベースDBをストレージ55内に生成し、そのデータベースDBの内容を集計して、動画取込設定STを生成する。生成した動画取込設定STは、通信部52を介して端末装置30へ送信される。
【0033】
また一方、端末装置30は、営業所60に設置され、汎用のオペレーティングシステムで動作し、サーバ50と通信を行う事務所PCである。端末装置30は、運行管理装置として機能し、CPU31、通信部32、表示部33、記憶部34、カードI/F35、操作部36、出力部37、音声I/F38、外部I/F48及び動画記憶部46を有する。
【0034】
CPU31は、端末装置30の各部を統括的に制御する。通信部32は、ネットワーク70を介して少なくともサーバ50と通信可能である。また、通信部32は、ネットワーク70に接続された他のクライアントとも接続可能としてもよく、必要なデータを送受信可能としてもよい。
【0035】
表示部33は、運行管理画面等の各種画面を表示する。この各種画面には、後述する60秒動画データを閲覧するための画面も含まれる。即ち、表示部33は、取得された60秒動画データ(動画データ)が閲覧可能な閲覧部として機能する。記憶部34は、メモリカード65から読み出した各種データを解析するためのシステム解析ソフトウェア等、各種プログラムを格納する。
【0036】
カードI/F35には、メモリカード65が挿抜自在に装着される。カードI/F35は、車載機10によって計測された運行データや、カメラ23によって撮像された映像の動画データ等を入力する。操作部36は、キーボードやマウス等を有し、端末装置30の管理者の操作を受け付ける。出力部37は、各種データを出力する。音声I/F38には、マイク41及びスピーカ42が接続される。
【0037】
動画記憶部46は、サーバ50から送信された60秒動画データを記憶する。また、動画記憶部46には、サーバ50から受信した動画取込設定STも記憶され、動画取込設定STに従ってメモリカード65から60秒動画データが転送、記憶される。
【0038】
次に、本実施形態にかかる情報処理システム5の概略動作を
図2を参照して説明する。
図2は、
図1を簡略化し、主にデータ系の流れを表示したものである。
【0039】
図2において、車載機10は、トラック等の車両Vに搭載されている。そして、車載機10では、上述したように、リスト生成部28でリストLTが生成されメモリカード65に書き込まれている。このリストLTは、所定のタイミングで通信部24によりサーバ50へ送信される。一方、車載機10のカードI/F18に装着されたメモリカード65には、運行データ、60秒動画データ等が書き込まれる。
【0040】
サーバ50では、リストLTを受信すると、そのリストLTのうちイベント種別とイベント発生日時からなるデータベースを作成する(
図2(1))。次に、データベースから所定期間(過去1ヶ月等)のデータに絞り込みを行った後に、イベント数を集計してイベント発生ランキングを作成する(
図2(2))。次に、作成したイベント発生ランキングの上位のイベントを抽出し、抽出されたイベントにかかる60秒動画データを取り込むように動画取込設定STを作成する(
図2(3))。例えば、上位3位までとした場合、ランキング上位3つのイベントが抽出される。即ち、動画取込設定STは、動画データの取得条件に相当する。
【0041】
端末装置30では、サーバ50で作成した動画取込設定STをダウンロードして自身の動画取込設定STに設定を反映する(
図2(4))。そして、メモリカード65がカードI/F35に装着されたときは、ダウンロードした動画取込設定STに基づいてメモリカード65から60秒動画データを取り込む。すると、管理者は、頻発したイベントにかかる動画を確認することができる。
【0042】
次に、上述した構成の情報処理システム5の動作を
図3のフローチャートを参照して説明する。
図3のフローチャートは、車載機10、サーバ50、端末装置30のそれぞれの動作と、各機器間の動作の関連を示したものである。
【0043】
まず、出庫時に車載機10においてドライバー等が出庫ボタン等を操作して出庫扱いとする(ステップS101)。次に、CPU11は、メモリカード65からリストLTを読み出して通信部24からサーバ50に送信する(ステップS102)。また、車載機10では、出庫後は、運行状態となり、運行データを記録部17やメモリカード65記録するとともに、カメラ23により生成された60秒動画データを逐次記録部17やメモリカード65に記録する(ステップS103)。
【0044】
そして、車両が営業所等に戻り入庫すると、ドライバー等が入庫ボタン等を操作して入庫扱いとする(ステップS104)。入庫すると、ドライバー等はメモリカード65を取り出して端末装置30に装着する(ステップS105)。
【0045】
サーバ50においては、CPU51が車載機10からリストLTを通信部52を介して取得すると(ステップS201)、CPU51は、当該リストLTよりイベントを抽出する(ステップS202)。このイベントを抽出とは、上述したイベント種別とイベント発生日時からなるデータベースDBを作成することである。
【0046】
次に、CPU51は、現在の日時が集計の締日であるか判定する(ステップS203)。集計の締日とは、イベント数の集計をするタイミングを定めた日であり、例えば、月末や週末としてもよいし、前回の集計日からの経過日で設定してもよい。なお、稼働(出庫)の度に集計をしてもよく、その場合はステップS203を省略することができる。
【0047】
現在の日時が集計の締日でない場合は(ステップS203;NO)、フローチャートを終了する。一方、現在の日時が集計の締日でない場合は(ステップS203;YES)、CPU51は、イベント数の集計を行う(ステップS204)。即ち、リストLT(イベント関連データ)のうち、所定期間におけるイベント毎の発生数を集計している。イベント数の集計は、急旋回、急減速、急加速等のイベントの種別毎に行う。そして、集計された結果に基づいてランキングを作成する(ステップS205)。ランキングは、発生数が多い(発生頻度が高い)イベント程上位になるようにする。
【0048】
次に、CPU51は、重点項目を抽出する(ステップS206)。これは、ステップS205で作成したランキング上位のイベントが該当する。例えば、ランキング上位3つがイベントを重点項目とすることが挙げられる。重点項目とする数は適宜変更してもよい。そして、CPU51は、動画取込設定STを更新する(ステップS207)。更新内容は、ステップS206で抽出した重点項目にかかるイベントを取り込むように設定する。即ち、集計結果に基づいて発生頻度が高いイベントに対応する60秒動画データ(動画データ)を取得するような取得条件を生成している。
【0049】
ステップS201~S207から明らかなように、CPU51は、イベント関連データ取得部、集計部、取得条件生成部として機能する。また、これらのステップを実行するようなコンピュータプログラムとして構成することで情報処理プログラムとすることができる。
【0050】
端末装置30においては、動画取込設定STが予め設定されている(ステップS301)。本実施形態では、端末装置30で動作する運行管理プログラム等でも動画取込設定STを手動で設定することが可能となっている。そして、サーバ50から、動画取込設定STが受信されると、受信した動画取込設定STの内容を反映して更新する(ステップS302)。
【0051】
次に、車載機10から取り外したメモリカード65がカードI/F35に装着されると、CPU31は、当該メモリカード65内のデータを読み取る(ステップS303)。そして、CPU31は、ステップS302で更新された動画取込設定STに基づいて60秒動画データを動画記憶部46に取り込む(ステップS304)。つまり、動画取込設定STで指定されたイベントに係る60秒動画データを抽出して取り込む。即ち、CPU31は、サーバ50で生成された動画取込設定ST(取得条件)に基づいて60秒動画データ(動画データ)を取得する取得部として機能する。
【0052】
そして、管理者等は、端末装置30を操作して、動画記憶部46に記憶された60秒動画データを表示部33に表示させて確認する(ステップS305)。
【0053】
なお、
図3のフローチャートでは、出庫時にリストLTを送信して、サーバ50で動画取込設定STを生成していたが、入庫時にリストLTを送信して、サーバ50で動画取込設定STを生成するようにしてもよい。この場合、その日の走行時に発生したイベントを動画取込設定STに反映させることができる。したがって、直前の走行時におけるイベントに基づいて危険予知活動等を行うことができる。
【0054】
本実施形態によれば、サーバ50は、車両Vの走行状況に基づいて発生したイベントと、当該イベントの発生時刻に対応する車両Vの周辺を撮像した60秒動画データと、の対応関係を示すリストLTを取得し、取得したリストLTのうち、所定期間におけるイベント毎の発生数を集計して、その集計結果に基づいて60秒動画データの抽出条件を生成する。
【0055】
サーバ50が上記のように構成されることにより、イベント毎の発生数の集計結果に基づいて60秒動画データの取得条件である動画取込設定STを生成するので、多発したイベントにかかる60秒動画データを取得することができる。したがって、注目すべき60秒動画データを取得することが可能となる。また、管理者等が設定を都度変更することなく、注目すべき動画データを確認することができる。
【0056】
また、サーバ50は、集計したイベント毎の発生数のうち、発生頻度が多いイベントに対応する60秒動画データを取得するように動画取込設定STを生成している。このようにすることにより、発生頻度の多いイベントは注目すべきイベントといえるため、適切な60秒動画データを取得することができる。
【0057】
また、イベントには、急旋回、急減速、急加速を含んでいる。このようにすることにより、急が付くような運転操作をイベントとして抽出することが可能となり、危険予知活動等に役立てることができる。
【0058】
また、動画データは、所定時間長毎に区切られて順次生成されている。このようにすることにより、イベントとの対応付けが容易であり、また、イベントにかかる事象の映像を速やかに確認することができる。
【0059】
また、上述した情報処理システム5によれば、サーバ50で頻発したイベントにかかる60秒動画データを取得するように動画取込設定STを生成するので、車載機10で撮像された60秒動画データのうち注目すべき60秒動画データを取り込んで確認することが可能となる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、サーバ50が動画取込設定STを生成していたが、端末装置30で動画取込設定STを生成するようにしてもよい。この場合、端末装置30がメモリカード65を読み込んだ時にメモリカード65内のリストLTに基づいてサーバ50で行っていた動作を実行すればよい。
【0061】
端末装置30で動画取込設定STを生成する構成によれば、サーバ50が不要となりシステム構成を簡素化することができる。また、端末装置30は、動画取込設定STに基づいてメモリカード65から60秒動画データを抽出する抽出部を備えているとともに、動画抽出装置の機能も兼ね備えることができる。
【0062】
また、動画抽出装置の機能を車載機10が備えていてもよい。この場合は、車載機10において、リストLTに基づいて集計、ランキング等を行い、動画取込設定STを生成して、メモリカード65に記憶させる。そして、端末装置30では、メモリカード65から動画取込設定STを読み込んで更新し、60秒動画データを取り込めばよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、メモリカード65から60秒動画データを取り込む構成としていたが、60秒動画データをサーバ50あるいは他のサーバ等から取り込むようにしてもよい。その場合、車載機10は、60秒動画データをサーバにアップロードする必要があるのは勿論である。そして、サーバから取り込む際に動画取込設定STに基づいて取り込むようにし、動画取込設定STは実施形態と同様にイベントに基づいて更新するようにすればよい。
【0064】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
10 車載機
11 CPU(イベント検出部)
23 カメラ(撮像部)
28 リスト生成部(イベント関連データ生成部)
30 クライアント(端末装置)
31 CPU(取得部)
33 表示部(閲覧部)
50 サーバ(動画抽出装置)
51 CPU(イベント関連データ取得部、集計部、抽出条件生成部)
LT リスト(イベント関連データ)
ST 動画取込設定(取得条件)