IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特開-コンクリート吹き付け支保工 図1
  • 特開-コンクリート吹き付け支保工 図2
  • 特開-コンクリート吹き付け支保工 図3
  • 特開-コンクリート吹き付け支保工 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148207
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】コンクリート吹き付け支保工
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
E21D11/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049796
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】池田 奈央
(72)【発明者】
【氏名】村山 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA06
2D155BB02
2D155CA01
2D155DB00
2D155FB01
2D155KA00
(57)【要約】
【課題】掘削表面の周囲に地盤からの圧力が作用した際、コンクリート吹き付け支保工にある程度の変形を許容させ、地山の変形を吸収し、掘削表面の周囲の地山を安定化させる上で有利なコンクリート吹き付け支保工を提供すること。
【解決手段】トンネル10の掘削方向Xと直交する平面内でコンクリート吹き付け支保工14の延在方向に間隔をおいた複数箇所に、コンクリート吹き付け支保工14の他の箇所に比べて強度を弱くしたコンクリート吹き付け支保工脆弱部30がトンネル10の掘削方向Xに沿って延在形成されている。コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は二次吹き付け14Bに形成されている。コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は、コンクリート吹き付け支保工14の他の箇所に比べて厚さを薄くすることで形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削したトンネルの掘削表面にコンクリートが吹き付けられて形成されたコンクリート吹き付け支保工の表面から地山に打ち込まれる複数のロックボルトと、前記掘削表面に沿わせて組み立てられた鋼製支保工との少なくとも一方と協働して前記掘削表面を支える前記コンクリート吹き付け支保工であって、
前記コンクリート吹き付け支保工の他の箇所に比べて強度を弱くしたコンクリート吹き付け支保工脆弱部が、前記トンネルの掘削方向と直交する平面内で前記コンクリート吹き付け支保工の延在方向に間隔をおいた複数箇所において、それぞれ前記トンネルの掘削方向に沿って延在形成されている、
ことを特徴とするコンクリート吹き付け支保工。
【請求項2】
前記コンクリート吹き付け支保工は、前記掘削表面にコンクリートが吹き付けられて形成された一次吹き付けと、前記一次吹き付けにコンクリートが吹き付けられて形成された二次吹き付けとを含んで構成され、
前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部は前記二次吹き付けに設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹き付け支保工。
【請求項3】
前記鋼製支保工は、前記一次吹き付けに対して前記トンネルの内側において前記トンネルの掘削方向に間隔をおいて複数組み立てられ、
前記二次吹き付けは、前記二次吹き付けを形成するコンクリートが、前記複数の前記鋼製支保工の間から前記一次吹き付けに吹付けられて構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のコンクリート吹き付け支保工。
【請求項4】
前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部が位置する前記鋼製支保工の箇所に、他の前記鋼製支保工の箇所よりも剛性を弱くした鋼製支保工脆弱部が設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載のコンクリート吹き付け支保工。
【請求項5】
前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部は前記コンクリート吹き付け支保工の他の箇所に比べて厚さを薄くすることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載のコンクリート吹き付け支保工。
【請求項6】
前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部は前記トンネルの内側に位置する前記二次吹き付けの表面に形成された前記トンネルの内側に開放状の凹溝で形成されている、
ことを特徴とする請求項5記載のコンクリート吹き付け支保工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNATMの支保に用いられるコンクリート吹き付け支保工に関する。
【背景技術】
【0002】
NATMで掘削されるトンネルでは、爆破や掘削装置で地山に掘削したトンネルの掘削表面にコンクリートを吹き付けて一次吹き付けを形成し、この一次吹き付けに沿わせて鋼製支保工を組み立て、一次吹き付けと鋼製支保工の上からコンクリートを吹き付けて二次吹き付けを形成し、一次吹き付けと二次吹き付けによりコンクリート吹き付け支保工を造り、コンクリート吹き付け支保工の上から複数のロックボルトを地山に打ち込む支保がなされる。
そして、鋼製支保工と、コンクリート吹き付け支保工と、ロックボルトとを備える支保により掘削表面の崩落を防止しつつ掘削表面を支えるようにしている。
なお、地山の地質によっては、支保から鋼製支保工とロックボルトのうち何れか一方が省略される場合もある。
その後、掘削表面の周囲の地山が安定したならば、支保の上からスライドセントルを利用してコンクリートを打設する覆工がなされる。
このようにNATMでは、支保により掘削表面の崩落を防止しつつ掘削表面を支え、掘削表面の周囲の地山を安定化させるため、覆工のコンクリートの厚さを小さくできるという利点を有している。
一方、NATMでは、掘削表面に周囲の地山からの大きな土圧が作用した場合や、地震により偏圧が作用した場合、掘削表面の周囲の地山を安定化させるため、支保にはある程度の変形を許容し、地山の変形を吸収することが望ましい。
このような観点から、鋼製支保工やロックボルトに変形を許容させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6584738号
【特許文献2】WO2017/119271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、鋼製支保工やロックボルトに変形を許容させる技術に留まるものである。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、掘削表面の周囲に地山からの圧力が作用した際、コンクリート吹き付け支保工にある程度の変形を許容させ、地山の変形を吸収し、掘削表面の周囲の地山を安定化させる上で有利なコンクリート吹き付け支保工を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、掘削したトンネルの掘削表面にコンクリートが吹き付けられて形成されたコンクリート吹き付け支保工の表面から地山に打ち込まれる複数のロックボルトと、前記掘削表面に沿わせて組み立てられた鋼製支保工との少なくとも一方と協働して前記掘削表面を支える前記コンクリート吹き付け支保工であって、前記コンクリート吹き付け支保工の他の箇所に比べて強度を弱くしたコンクリート吹き付け支保工脆弱部が、前記トンネルの掘削方向と直交する平面内で前記コンクリート吹き付け支保工の延在方向に間隔をおいた複数箇所において、それぞれ前記トンネルの掘削方向に沿って延在形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記コンクリート吹き付け支保工は、前記掘削表面にコンクリートが吹き付けられて形成された一次吹き付けと、前記一次吹き付けにコンクリートが吹き付けられて形成された二次吹き付けとを含んで構成され、前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部は前記二次吹き付けに設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記鋼製支保工は、前記一次吹き付けに対して前記トンネルの内側において前記トンネルの掘削方向に間隔をおいて複数組み立てられ、前記二次吹き付けは、前記二次吹き付けを形成するコンクリートが、前記複数の前記鋼製支保工の間から前記一次吹き付けに吹付けられて構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部が位置する前記鋼製支保工の箇所に、他の前記鋼製支保工の箇所よりも剛性を弱くした鋼製支保工脆弱部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部は前記コンクリート吹き付け支保工の他の箇所に比べて厚さを薄くすることで形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記コンクリート吹き付け支保工脆弱部は前記トンネルの内側に位置する前記二次吹き付けの表面に形成された前記トンネルの内側に開放状の凹溝で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、大きな土圧や地震による偏圧がコンクリート吹き付け支保工に作用した場合、コンクリート吹き付け支保工脆弱部は、他のコンクリート吹き付け支保工の箇所よりも率先して変形することで地山の変形を吸収し、土圧を低下させることでトンネルの周囲の地山を安定化する。
また、コンクリート吹き付け支保工脆弱部が二次吹き付けに設けられているので、コンクリート吹き付け支保工脆弱部は変形し易く、地山の変形を吸収し、地山を安定させる上で有利となる。
また、鋼製支保工がトンネルの掘削方向に間隔をおいて複数組み立てられ、コンクリート吹き付け支保工と共に支保の強度を確保している。
この場合、コンクリート吹き付け支保工脆弱部が位置する鋼製支保工の箇所に鋼製支保工脆弱部を設けると、掘削表面に周囲の地山からの荷重が作用した場合、鋼製支保工脆弱部も変形することから、コンクリート吹き付け支保工脆弱部が変形し易くなり、地山の変形を吸収して地山を安定化させる上で有利となる。
また、コンクリート吹き付け支保工脆弱部を、コンクリート吹き付け支保工の他の箇所に比べて厚さを薄くすることで形成すると、コンクリート吹き付け支保工脆弱部を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、コンクリート吹き付け支保工脆弱部を、トンネルの内側に位置する二次吹き付けの表面に形成されたトンネルの内側に開放状の凹溝で形成すると、コンクリート吹き付け支保工脆弱部を簡単に確実に形成する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】掘削表面を支える鋼製支保工と、コンクリート吹き付け支保工と、ロックボルトの説明図である。
図2】コンクリート吹き付け支保工脆弱部の説明図で、(A)はトンネルの内部から見たコンクリート吹き付け支保工の正面図、(B)は(A)のBB断面図、(C)は(B)のCC断面図である。
図3】隙間形成具の説明図で、(A)は隙間形成具の斜視図、(B)は同側面図である。
図4】鋼製支保工脆弱部の説明図で、トンネルの掘削方向と直交する平面でコンクリート吹き付け支保工を切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、切羽の近傍のトンネル10の箇所では、爆破や掘削装置でトンネル10が掘削され、このトンネル10の掘削表面12にコンクリートが吹き付けられることで一次吹き付け14Aが形成され、トンネル10の掘削方向Xに間隔をおきこの一次吹き付け14Aの表面に沿わせて複数の鋼製支保工16がアーチ状に組み立てられる。
そして、複数の鋼製支保工16の間から一次吹き付け14A上にコンクリートが吹き付けられることで二次吹き付け14Bが形成される。
本実施の形態では、二次吹き付け14Bは、トンネル10の内側に位置する鋼製支保工16の表面まで形成される。
さらに、二次吹き付け14Bの上から複数のロックボルト18がトンネル10の周辺の地山に打ち込まれる。
【0009】
一次吹き付け14Aと二次吹き付け14Bとでコンクリート吹き付け支保工14が形成され、NATMでは、このような鋼製支保工16と、コンクリート吹き付け支保工14と、ロックボルト18とを備える支保により掘削表面12の崩落を防止しつつ掘削表面12を支えるようにしている。
なお、地質が安定した地山では、支保から鋼製支保工16が省略され、コンクリート吹き付け支保工14と、ロックボルト18とを備える支保により掘削表面12の崩落を防止しつつ掘削表面12を支える場合もある。
そして、掘削表面12の周囲の地山が安定したならば、支保の上からスライドセントルを利用してコンクリートを打設する覆工がなされる。
【0010】
鋼製支保工16は、トンネル10の掘削方向Xと直交する平面でトンネル10を切断したトンネル断面の周方向に沿ってアーチ状に延在し、トンネル10の掘削方向Xに間隔をおいて複数設けられ、トンネル10の掘削方向Xで隣り合う鋼製支保工16の間はつなぎ材により連結されている。
鋼製支保工16は、図2に示す複数の鋼製支保部材22が連結されて構成され、一次吹き付け14Aの表面に沿って延在している。
鋼製支保部材22は形鋼で構成され、本実施の形態では、鋼製支保部材22は、図2(B)に示すように、一対のフランジ2402とそれらフランジ2402を接続するウェブ2404とからなるH形鋼で構成されている。
鋼製支保部材22を構成するH形鋼は、一対のフランジ2402を、トンネル10の掘削方向Xと直交する平面でトンネル10を切断したトンネル断面のほぼ中央に対向させ、ウェブ2404をトンネル10の掘削方向Xに対向させて配置されている。
【0011】
図1図2に示すように、トンネル10の掘削方向Xと直交する平面内でコンクリート吹き付け支保工14の延在方向に間隔をおいた複数箇所に、コンクリート吹き付け支保工14の他の箇所に比べて強度を弱くしたコンクリート吹き付け支保工脆弱部30がトンネル10の掘削方向Xに沿って延在形成されている。
本実施の形態では、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は二次吹き付け14Bの箇所に形成され、詳細には、トンネル10の内側に位置する二次吹き付け14Bの表面に形成されている。
コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は、コンクリート吹き付け支保工14の他の箇所に比べて厚さを薄くすることで形成されている。
このようなコンクリート吹き付け支保工脆弱部30を形成する方法としては、例えば、二次吹付けコンクリートを吹き付ける前に、適宜内径のゴムホースを隣り合う鋼製支保工16間にトンネル10の延在方向に架け渡しておいてもよく、あるいは、図3に示す隙間形成具32を、隣り合う鋼製支保工16間にトンネル10の延在方向に架け渡しておくなど任意である。
図3に示す隙間形成具32は、一対の取り付け片部3002と、それら取り付け片部3002の間に設けられたV字状部3004とを有している。
本実施の形態では、二次吹付けコンクリートの吹き付け後で、二次吹付けコンクリートが硬化する前に、隙間形成具32のV字状部3004を二次吹き付け14Bの表面に押し付けることでコンクリート吹き付け支保工脆弱部30を形成している。
したがって、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30はトンネル10の内側に位置する二次吹き付け14Bの表面に形成されたトンネル10の内側に開放状の凹溝で形成されている。
【0012】
本実施の形態によれば、大きな土圧や地震による偏圧がコンクリート吹き付け支保工14に作用した場合、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は、他のコンクリート吹き付け支保工14の箇所よりも率先して変形する。
そして、このコンクリート吹き付け支保工脆弱部30の変形により、地山の変形(掘削表面12の変位)を吸収し、土圧を低下させることでトンネル10の周囲の地山を安定化する。
したがって、本実施の形態によれば、掘削表面12に周囲の地山からの荷重が作用した場合、コンクリート吹き付け支保工14にある程度の変形を許容させることで地山の変形を吸収し、地山を安定させることができ、鋼製支保工16およびロックボルト18と協働してコンクリート吹き付け支保工14によるトンネル10の支持構造を長期にわたって維持する上で有利となる。
【0013】
また、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30を二次吹き付け14Bに設けたので、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は、他のコンクリート吹き付け支保工14の箇所よりも率先して変形し易く、したがって、地山の変形を吸収し、地山を安定させる上で有利となる。
また、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30を、コンクリート吹き付け支保工の他の箇所に比べて厚さを薄くすることで形成したので、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30を、トンネル10の内側に位置する二次吹き付け14Bの表面に形成されたトンネル10の内側に開放状の凹溝で形成したので、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、掘削表面の周囲に地山からの圧力が作用した際、凹状の溝を塞ぐようにコンクリート吹き付け支保工14が変形するので、トンネルの内側に大きく突出することがなく、したがって、覆工工事に支障をきたす不具合がなく、覆工工事を円滑に行なう上で有利となる。
【0014】
次に、図4を参照して第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30が位置する鋼製支保工16の箇所に、他の鋼製支保工16の箇所よりも剛性を弱くした鋼製支保工脆弱部40を設けたものである。
したがって、鋼製支保工脆弱部40は、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30と同様に、トンネル10の掘削方向Xと直交する平面内でコンクリート吹き付け支保工14の延在方向に間隔をおいた複数箇所に設けられている。
上述のように鋼製支保工16は、複数の鋼製支保部材22が連結されて構成されていることから、鋼製支保工脆弱部40は、それら複数の鋼製支保部材22が連結される箇所に設けられていてもよく、あるいは、1本の鋼製支保部材22の長手方向の中間部に設けられていてもよい。
本実施の形態では、鋼製支保工16の組み立てを従来と同様に行なえるようにするため、鋼製支保工脆弱部40を、鋼製支保部材22の長手方向の中間部に設けている。
【0015】
鋼製支保工脆弱部40は、例えば、鋼製支保部材22を構成するH形鋼よりも変形し易い鋼材で構成されている。
鋼製支保部材22の長手方向の中間部への鋼製支保工脆弱部40の連結は、鋼製支保部材22の長手方向の中間部に鋼製支保工脆弱部40の両端を溶接することで行なってもよく、また、鋼製支保部材22の長手方向の中間部の端部にそれぞれプレートを溶接しておくと共に、鋼製支保工脆弱部40の長手方向の両端にプレートを溶接しておき、それらプレートを重ね合わせボルト、ナットを用いて締結することで行なってもよく、従来公知の様々な連結構造が採用可能である。
また、鋼製支保部材22を構成するH形鋼よりも変形し易い鋼材として、例えば、鋼製支保部材22を構成するH形鋼よりも断面積が小さい鋼材、あるいは、強度、剛性の弱い材料で形成された鋼材、あるいは、断面係数が小さい鋼材などが使用可能である。
また、鋼製支保部材22を構成するH形鋼と同一の断面形状のものを用いるなど任意である。
第2の実施の形態によれば、大きな土圧や地震による偏圧がコンクリート吹き付け支保工14に作用した場合、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30は、他のコンクリート吹き付け支保工14の箇所よりも率先して変形し、また、鋼製支保工脆弱部40も他の鋼製支保工16の箇所よりも率先して変形する。
そして、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30と鋼製支保工脆弱部40との双方の変形により、地山の変形(掘削表面12の変位)を吸収し、土圧を低下させることでトンネル10の周囲の地山を安定化する。
したがって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べ、掘削表面12に周囲の地山からの荷重が作用した場合、鋼製支保工脆弱部40も変形することから、コンクリート吹き付け支保工脆弱部30が変形し易くなる。そのため、地山の変形を吸収して地山を安定化させる上で有利となり、鋼製支保工16およびロックボルト18ならびにコンクリート吹き付け支保工14によるトンネル10の支持構造を長期にわたって維持する上で有利となる。
【0016】
なお、NATMにおいて地質が安定した地山では、支保から鋼製支保工16を省略し、コンクリート吹き付け支保工14と、ロックボルト18とにより掘削表面12の崩落を防止しつつ掘削表面12を支える場合もあり、このような場合にも本発明は無論適用可能である。
【符号の説明】
【0017】
10 トンネル
12 掘削表面
14 コンクリート吹き付け支保工
14A 一次吹き付け
14B 二次吹き付け
16 鋼製支保工
18 ロックボルト
22 鋼製支保部材
2402 フランジ
2404 ウェブ
30 コンクリート吹き付け支保工脆弱部
32 隙間形成具
3002 取り付け片部
3004 V字状部
40 鋼製支保工脆弱部
図1
図2
図3
図4