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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014822
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】弁装置及びフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
F16K17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117398
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】康 鎮凡
【テーマコード(参考)】
3H059
【Fターム(参考)】
3H059AA09
3H059CA12
3H059CD05
3H059EE01
(57)【要約】
【課題】適正な内圧を保持することができる。
【解決手段】可撓性を有する平板状の第1弁体と、蓋部に設けられた棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、第1弁体を蓋部から遠ざかる方向へ付勢する弾性部材と、を有する弁がケースの内部に設けられている。第1弁体は、第2弁体が棒状部に沿って移動するのに伴って、周縁がケース本体と当接する状態としない状態との間で変形する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、
前記ケースの内部に設けられた弁と、
を備え、
前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、
前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、
前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、
前記弁は、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、前記第1弁体を前記蓋部から遠ざかる方向へ付勢する弾性部材と、を有し、
前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、
前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、
前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、
前記第2弁体は、前記棒状部に沿って移動可能であり、
前記第1弁体は、前記第2弁体の移動に伴って、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能である
ことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、
前記ケースの内部に設けられた弁と、
を備え、
前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、
前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、
前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、
前記弁は、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、を有し、
前記第2弁体は、板ばねである円環形状の板状部を有し、
前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、
前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、
前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、かつ、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能である
ことを特徴とする弁装置。
【請求項3】
前記第2弁体は、可撓性を有さず、前記棒状部が挿入される筒状の第1筒状部を有し、
前記弾性部材は、内径が前記第1筒状部より大きい圧縮コイルばねであり、一端が前記蓋部に設けられ、他端が前記第2弁体に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
前記第2弁体は、前記第1弁体に向けて突出する筒状の筒状突起が周縁近傍に設けられており、
前記突出突起の先端は、前記第1弁体に接着されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
前記第1弁体には、前記蓋部から離れる方向に突出する筒状の第2筒状部が周縁近傍に設けられており、
前記ケース本体には、外周面が前記第2筒状部の内周面と当接する筒状の第3筒状部が設けられており、
前記第1弁体は、前記第2筒状部が前記第3筒状部と当接する状態としない状態との間で変形可能である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項6】
前記流出部は、前記管状部に設けられたフランジ部と、を有し、
前記弁は、両端が前記第1弁体と前記フランジ部とに設けられた第2弾性部材を有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項7】
有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、
前記ケースの内部に設けられた弁と、
前記ケースの内部に設けられたフィルタエレメントと、
を備え、
前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、
前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、
前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、
前記ケースの内部は、前記フィルタエレメントにより、前記流入部に連通する第1領域と、前記流出部に連通する第2領域とに分割され、
前記弁は、前記第2領域に設けられており、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、前記第1弁体を前記蓋部から遠ざかる方向へ付勢する弾性部材と、を有し、
前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、
前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、
前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、
前記第2弁体は、前記棒状部に沿って移動可能であり、
前記第1弁体は、前記第2弁体の移動に伴って、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能である
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項8】
有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、
前記ケースの内部に設けられた弁と、
前記ケースの内部に設けられたフィルタエレメントと、
を備え、
前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、
前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、
前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、
前記ケースの内部は、前記フィルタエレメントにより、前記流入部に連通する第1領域と、前記流出部に連通する第2領域とに分割され、
前記弁は、前記第2領域に設けられており、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、を有し、
前記第2弁体は、板ばねである円環形状の板状部を有し、
前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、
前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、
前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、かつ、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能である
ことを特徴とするフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置及びフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関のクランク室のブローバイガス排出用の圧力調整弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平9-103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の圧力調整弁は、例えば接続された内燃機関が静止しているときには弁座の開口を開き、内燃機関の吸気系内の負圧が所定の負圧値を下回るときには弁座を閉鎖することで、クランク室内に新たに生じさせるブローバイガスによって圧力調整弁を再び開くのに十分な高い圧力が生じるまでクランク室のブローバイガスの排出を遮断する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の圧力調整弁は、内圧が高くなったときには、ブローバイガスの排出を行うことができず、適正な圧力が保持できないおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、適正な内圧を保持することができる弁装置及びフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る弁装置は、例えば、有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、前記ケースの内部に設けられた弁と、を備え、前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、前記弁は、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、前記第1弁体を前記蓋部から遠ざかる方向へ付勢する弾性部材と、を有し、前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、前記第2弁体は、前記棒状部に沿って移動可能であり、前記第1弁体は、前記第2弁体の移動に伴って、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る弁装置によれば、可撓性を有する平板状の第1弁体と、蓋部に設けられた棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、第1弁体を蓋部から遠ざかる方向へ付勢する弾性部材と、を有する弁がケースの内部に設けられている。第1弁体は、第2弁体が棒状部に沿って移動するのに伴って、周縁がケース本体と当接する状態としない状態との間で変形する。周縁がケース本体と当接する状態で、ケース本体と第1弁体との間から流体が抜けず、周縁がケース本体と当接しない状態で、ケース本体と第1弁体との間から流体が抜ける。これにより、適正な内圧を保持することができる。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る弁装置は、例えば、有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、前記ケースの内部に設けられた弁と、を備え、前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、前記弁は、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、を有し、前記第2弁体は、板ばねである円環形状の板状部を有し、前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、かつ、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能であることを特徴とする
【0010】
本発明に係る弁装置によれば、可撓性を有する平板状の第1弁体と、蓋部に設けられた棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体であって、板ばねである円環形状の板状部を有する第2弁体と、を有する弁がケースの内部に設けられている。第1弁体は、周縁がケース本体と当接する状態としない状態との間で変形する。これにより、適正な内圧を保持することができる。
【0011】
前記第2弁体は、可撓性を有さず、前記棒状部が挿入される筒状の第1筒状部を有し、前記弾性部材は、内径が前記第1筒状部より大きい圧縮コイルばねであり、一端が前記蓋部に設けられ、他端が前記第2弁体に設けられていてもよい。これにより、弾性部材の付勢力を、第2弁体を介して第1弁体に伝達することができる。
【0012】
前記第2弁体は、前記第1弁体に向けて突出する筒状の突出部が周縁近傍に設けられており、前記突出部の先端は、前記第1弁体に接着されていてもよい。これにより、弾性部材の付勢力を、突出部を介して第1弁体の周縁部に伝達することができる。
【0013】
前記第1弁体には、前記蓋部から離れる方向に突出する筒状の第2筒状部が周縁近傍に設けられており、前記ケース本体には、外周面が前記第2筒状部の内周面と当接する筒状の第3筒状部が設けられており、前記第1弁体は、前記第2筒状部が前記第3筒状部と当接する状態としない状態との間で変形可能であってもよい。これにより、フィルタケースと第1弁体とを確実に当接させ、フィルタケースと第1弁体との間からブローバイガスが抜けることを防止することができる。
【0014】
前記流出部は、前記管状部に設けられたフランジ部と、を有し、前記弁は、両端が前記第1弁体と前記フランジ部とに設けられた第2弾性部材を有してもよい。これにより、第1弁体211及び第2弁体212を確実に押し上げることができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、前記ケースの内部に設けられた弁と、前記ケースの内部に設けられたフィルタエレメントと、を備え、前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、前記ケースの内部は、前記フィルタエレメントにより、前記流入部に連通する第1領域と、前記流出部に連通する第2領域とに分割され、前記弁は、前記第2領域に設けられており、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、前記第1弁体を前記蓋部から遠ざかる方向へ付勢する弾性部材と、を有し、前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、前記第2弁体は、前記棒状部に沿って移動可能であり、前記第1弁体は、前記第2弁体の移動に伴って、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能であることを特徴とする。また、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部に被せるように設けられている蓋部とを有するケースと、前記ケースの内部に設けられた弁と、前記ケースの内部に設けられたフィルタエレメントと、を備え、前記蓋部は、前記ケース本体の内部に向けて突出する筒状又は棒状の棒状部を有し、前記ケース本体は、流体の入口である流入部と、前記流体の出口である流出部とを有し、前記流出部は、第1端が前記ケース本体の内部に設けられ、第2端が前記ケース本体の外部に設けられた管状部であって、前記第1端の近傍が前記棒状部と平行である管状部を有し、前記ケースの内部は、前記フィルタエレメントにより、前記流入部に連通する第1領域と、前記流出部に連通する第2領域とに分割され、前記弁は、前記第2領域に設けられており、可撓性を有する平板状の第1弁体と、前記棒状部が挿入される孔が形成された平板状の第2弁体と、を有し、前記第2弁体は、板ばねである円環形状の板状部を有し、前記第2弁体は、前記第1弁体よりも前記蓋部側に設けられており、前記第1弁体と前記第2弁体とは、周縁近傍で接着されており、前記第1弁体は、前記棒状部の先端を覆う位置と、前記管状部の先端を覆う位置との間で変形可能であり、かつ、周縁が前記ケース本体と当接する状態としない状態との間で変形可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、適正な内圧を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】エンジン10及びPCVシステム20の概略を模式的に示す図である。
図2】フィルタ装置21の概略を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態である弁装置1の概略を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態である弁装置1の概略を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態である弁装置1の概略を示す断面図である。
図6】1つの弁体しか有しない従来の弁装置100の概略を示す図であり、(A)は内圧が適正な状態を示し、(B)は内圧が第1閾値より低い負圧状態を示し、(C)は内圧が第2閾値より高い正圧状態を示す
図7】本発明の一実施形態である弁装置1Aの概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、エンジンで発生するブローバイガスを吸気側に戻すポジティブ・クランクケース・ベンチレーション(PCV)システムにおいて用いられる弁装置である。
【0019】
以下、本発明の弁装置を、PCVシステムが有するフィルタ装置に設けられた弁装置を例に、流体としてブローバイガスを用いる場合について説明するが、本発明は、ブローバイガスに限らず、様々な流体を濾過するフィルタ装置や配管に設けられる弁装置に適用することができる。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、エンジン10及びPCVシステム20の概略を模式的に示す図である。図1において、気体の流れを矢印で示す。
【0021】
エンジン10は、主として、シリンダブロック11と、クランクケース14と、ピストン15と、エアフィルタ18と、ターボ過給機19と有する、
【0022】
シリンダブロック11の下側には、クランクケース14が設けられている。クランクケース14は、内部にクランクシャフト16を設けるとともに、エンジンオイル(図示省略)を貯留する。
【0023】
シリンダブロック11の上部には、図示しないシリンダヘッドが設けられている。シリンダヘッドには、シリンダ11aに燃料を噴射する燃料噴射装置、点火プラグやバルブが設けられている。また、シリンダヘッドには、潤滑用のエンジンオイルが供給される。
【0024】
シリンダブロック11には、複数のシリンダ11a(図1では1つだけ図示)が形成される。また、シリンダブロック11には、エンジン10の吸気通路12及び排気通路13が設けられている。
【0025】
空気は、エアフィルタ18で濾過され、吸気通路12を介してシリンダブロック11に供給される。ターボ過給機19は、排気通路13に設けられており、シリンダブロック11に空気を過給する。
【0026】
シリンダ11aには、ピストン15が設けられている。ピストン15には、図示しないピストンリングが設けられている。ピストン15は、ロッド17によりクランクシャフト16に連結されている。シリンダ11aとピストン15の間の空間(燃焼室)で燃料と空気(混合気)を圧縮し、圧縮した混合気が点火されて爆発燃焼することで、ピストン15を押し下げ、クランクシャフト16を回転させる。
【0027】
シリンダ11a内で燃料が燃焼すると、その急激な圧力上昇によりシリンダ11aとピストンリングとの隙間を燃焼ガスが通り抜けて、燃焼室からクランクケース14にいわゆるブローバイガスが漏れる。特に、ターボ過給機19付きのエンジン10では、ターボ過給時に、加圧された空気が吸気通路12からシリンダ11aに向けて排出されるため、ブローバイガスが漏れやすい。また、シリンダ11a等の部品が摩耗すると、ブローバイガスが漏れやすくなる。因みに、ブローバイガスには、エンジンオイルが含まれている。
【0028】
PCVシステム20は、主として、フィルタ装置21と、ガス還流管22、23と、ドレン管24とを有する。ブローバイガスは、シリンダブロック11に設けられた通路11b及びガス還流管22を通ってフィルタ装置21に流入する。また、フィルタ装置21では、ブローバイガスからエンジンオイルを分離し、ドレン管24を介してエンジンオイルをクランクケース14に戻す(図示省略)。また、フィルタ装置21でエンジンオイルが除去されたブローバイガスは、ガス還流管23を通って吸気通路12に流入した後に、シリンダ11aで燃焼される。
【0029】
ドレン管24には、フィルタ装置21からクランクケース14へエンジンオイルを流し、かつ、クランクケース14からフィルタ装置21へエンジンオイルが流れないようにする逆止弁が設けられていてもよい。
【0030】
図2は、フィルタ装置21の概略を示す断面図である。以下、中心線axに沿った方向をz方向とし、z方向と直交する方向をx方向及びy方向とする。なお、図2では、一部の部品について断面を表すハッチングを省略している。
【0031】
フィルタ装置21は、主として、フィルタケース201と、フィルタエレメント202と、蓋部208と、弁210とを有する。
【0032】
フィルタケース201は、有底筒形状の 筒状部201aと、筒状部201aの上側に設けられた筒状の筒状部201bとを有する。筒状部201aと筒状部201bとは連通している。筒状部201aの内部には、フィルタエレメント202が設けられる。筒状部201aの側面には、ガス還流管22に連通する流入部201cが設けられる。筒状部201bには、ガス還流管23に連通する流出部201dが設けられる。また、筒状部201bには、上側(+z側)の開口部に被せるように蓋部208が設けられる。
【0033】
筒状部201aは、フィルタエレメント202が設けられる筒状部201e、201fを有する。また、筒状部201aは、底面から下向き(-z向き)に突出するように設けられた孔201gを有する。筒状部201eの中空部は孔201gと連通し、孔201gはドレン管24に連通する。したがって、フィルタエレメント202で濾過されたエンジンオイルは、筒状部201e、孔201g及びドレン管24を通ってクランクケース14に戻る。
【0034】
フィルタエレメント202は、フィルタケース201の内部に設けられている。フィルタケース201の内部は、フィルタエレメント202により、流入部201cに連通する第1領域S1と、流出部201dに連通する第2領域S2とに分割される。なお、第2領域S2には弁210が設けられている。
【0035】
フィルタエレメント202は、主として、濾材203と、内筒204と、プレート205、206とを有する。濾材203は、合成樹脂や紙等を用いたシート状の濾紙をひだ折りにし、ひだ折りにした濾紙の両端を連結して形成された両端に開口を有する円筒形状の部材である。内筒204は、耐腐食性の高い材料(例えば、ステンレス)を用いて形成されており、濾材203の内側に設けられる。内筒204の略全域には、内筒204の外側と内側とを連通する孔が複数形成されている。
【0036】
濾材203及び内筒204の一方の端にはプレート205が設けられ、他方の端にはプレート206が設けられる。プレート205、206は、接着剤により濾材203及び内筒204に一体化される。
【0037】
プレート205、206は、有底略円筒形状の部材であり、プレート205は、筒状部201eが挿入される筒状部205aを有し、プレート206は、筒状部201fが挿入される筒状部206aを有する。筒状部205a、206aの内周面にはガスケット207が設けられる。ガスケット207は、弾性を有する軟質材料(例えばゴム)を用いて形成され、流体が漏れることを防止するシール部材である。
【0038】
図2において、ブローバイガスの流れを矢印で示す。流入部201cを通って筒状部201a(第1領域S1)に流入したブローバイガスは、濾材203を通過して内筒204の内側(第2領域S2)に流入する。濾材203において、ブローバイガスからエンジンオイルが分離され、分離されたエンジンオイルは、内筒204の内側から下向き(-z方向)に流れ(白抜き矢印参照)、ドレン管24(図1参照)に流出する。
【0039】
また、エンジンオイルが除去されたブローバイガスは、内筒204の内側から上向き(+z方向)に流れ、筒状部201aの上側(筒状部201b)に設けられた孔201hを介して筒状部201bに流入する。筒状部201bに流出したブローバイガスは、弁210を通って流出部201dに流れ、ガス還流管23(図1参照)に流出する。
【0040】
図3~5は、本発明の一実施形態である弁装置1(図2におけるA部)の概略を示す断面図である。図3は、フィルタケース201の内圧が適正な状態を示し、図4は、フィルタケース201の内圧が第1閾値より低い負圧状態を示し、図5は、フィルタケース201の内圧が第2閾値より高い正圧状態を示す。
【0041】
弁装置1は、主として、弁210と、フィルタケース201(本発明のケース本体に相当)と、蓋部208とを有する。フィルタケース201と蓋部208とで弁装置1のケースを構成し、このケースの内部に弁210が設けられている。
【0042】
蓋部208は、フィルタケース201(ここでは、筒状部201b)の開口部に被せるように設けられている。筒状部201bと蓋部208との間に弁210が設けられており、筒状部201bと蓋部208との間には隙間を有する。
【0043】
蓋部208は、平板状の蓋本体208aと、蓋本体208aから筒状部201bの内部に向けて突出する棒状部208bとを有する。本実施の形態では、棒状部208bは、内部に穴208cが形成された棒状の部材であるが、棒状部208bの形状はこれに限られず、筒状でもよいし、穴208cを有しない棒状でもよい。
【0044】
流出部201dは、一端が筒状部201bの内部に設けられ、他端が筒状部201bの外部に設けられた管状部である。流出部201dは、y方向に沿った管状部201iと、開口端201kの近傍のz方向に沿った(棒状部208bと略平行な)管状部201jとを有する。開口端201kは、蓋部208に対向する。
【0045】
弁210は、主として、第1弁体211と、第2弁体212と、弾性部材213、214とを有する。第2弁体212は、第1弁体211よりも蓋部208側(+z側)に設けられている。
【0046】
弾性部材213は、第1弁体211を蓋部208から遠ざかる方向(-z方向)へ力を付勢する。弾性部材213は、例えば圧縮コイルばねであり、一端が蓋部208に設けられ、第2弁体212に設けられている。
【0047】
弾性部材214は、第2弁体212を蓋部208に近づける方向(+z方向)へ力を付勢する。弾性部材214は、例えば圧縮コイルばねであり、一端が第1弁体211に設けられ、他端が管状部201jに設けられた円環形状の板状部201lに設けられている。
【0048】
第1弁体211は、ゴム等の弾性を有する材料で形成されており、可撓性を有する平板状の部材である。第1弁体211は、円板状の厚肉部211aと、厚肉部211aの外側に設けられた円環形状の薄肉部211bと、薄肉部211bの外側に設けられた筒状の筒状部211cとを有する。
【0049】
厚肉部211aは、肉厚が厚く、可撓性を有しない。それに対し、薄肉部211bは、肉厚が薄く、可撓性を有する。筒状部211cは、第1弁体211の周縁近傍に設けられており、蓋部208から離れる方向(-z方向)に突出する。
【0050】
第1弁体211、開口端201k及び棒状部208bの先端208dは、負圧調整バルブを構成する。開口端201k及び先端208dは、第1弁体211の厚肉部211aが当接する弁座として機能する。
【0051】
第2弁体212は、樹脂等で形成された平板状の部材であり、可撓性を有しない。第2弁体212は、正圧調整バルブを構成する。
【0052】
第2弁体212は、円板状の板状部212aと、板状部212aの内側に設けられた筒状の筒状部212bと、板状部212aの外側に設けられた筒状の筒状突起212cとを有する。板状部212a及び筒状部212bは、棒状部208bが挿入される孔212eを有する。第2弁体212は、棒状部208bに沿ってz方向に移動可能である。
【0053】
筒状突起212cは、第2弁体212の周縁近傍に設けられており、第1弁体211に向けて(-z方向に)突出する。筒状突起212cには、厚さ方向に貫通する孔212dが複数形成されている。
【0054】
ただし、筒状突起212cは筒状でなくてもよく、例えば、板状部212aの外周に沿って棒状の突起を複数配置して筒状部211cとしてもよい。
【0055】
第1弁体211の周縁(筒状部211c)と第2弁体212の周縁(筒状突起212c)とは略同一形状であり、第1弁体211と第2弁体212とは、周縁近傍で連結されている。ここでは、筒状突起212cの先端(-z側の面)と筒状部211cの+z側の面とが接着されている。ここで、接着とは、接着剤を用いて2つの部品を一体化する接着、接着剤を用いず熱等により一体化する溶着等を含む。
【0056】
筒状部201bには、外周面が筒状部211cの内周面と当接する筒状の筒状部201mが設けられている。筒状部201mの外周面に筒状部211cの内周面が当接することで、筒状部201b(フィルタケース201)からブローバイガスが漏れないように、筒状部201mと筒状部211cとの間がシールされる。
【0057】
図3に示すように、フィルタケース201の内圧が適正な状態では、ケース内圧上昇を防ぐために、厚肉部211aが先端208dに当接して開口端201kから離れている(すなわち、負圧調整バルブは開いている)。したがって、フィルタケース201に流入したブローバイガスは、流出部201dよりフィルタケース201の外部に流出する(図3の矢印参照)。
【0058】
図4に示すように、フィルタケース201の内圧が所定の第1閾値(負圧調整バルブ設定圧)より低い負圧状態になると、第1弁体211がフィルタケース201に向けて引き下げられ、かつ、蓋部208とフィルタケース201との間及び孔212dを通って第1弁体211と第2弁体212との間に空気が流入する(図4の点線矢印参照)。その結果、弾性部材214の付勢力に抗して厚肉部211aが押し下げられて、厚肉部211aが先端208dから離れて開口端201kに当接する(すなわち、負圧調整バルブは閉じている)。その結果、ブローバイガスの排出流路が遮断され、フィルタケース201に流入したブローバイガスは、フィルタケース201の内部にとどまる(図4の矢印参照)。
【0059】
フィルタケース201に流入したブローバイガスがフィルタケース201の内部にとどまり、フィルタケース201の内圧が第1閾値以上に戻ったときには、フィルタケース201の内圧及び弾性部材214により厚肉部211aが押し上げられて、図3に示す状態に戻る。
【0060】
図5に示すように、例えば、寒い環境下に弁装置100が置かれると、流出部201dの内部に氷等の異物Xが発生し、ブローバイガスの排出流路が遮断される。ブローバイガスの排出流路が遮断されると、フィルタケース201の内圧が所定の第2閾値(正圧調整バルブ設定圧)より高い正圧状態になる。このようなときには、フィルタケース201に流入するブローバイガスにより、フィルタケース201の内圧が上昇してしまう。したがって、フィルタケース201の内圧により、弾性部材213の付勢力に抗して第2弁体212が押し上げられ、かつ、第2弁体212の移動に伴って薄肉部211bが変形して、第2弁体212と共に筒状部211cが押し上げられる。その結果、フィルタケース201に流入したブローバイガスは、筒状部201mと筒状突起212cとの間を通ってフィルタケース201の外部に放出され(図5の矢印参照)、フィルタケース201の内圧が適正圧力に保持される。
【0061】
例えば、エンジンが駆動して弁210が熱せられることで、流出部201dの内部に形成された氷が解け、流出部201d内の異物Xが除去されると、ブローバイガスが流出部201dよりフィルタケース201の外部に流出し、フィルタケース201の内圧が第2閾値以下に戻る。フィルタケース201の内圧が第2閾値以下に戻ったときには、弾性部材213により第2弁体212及び筒状部211cが押し下げられて、図3に示す状態に戻る。第2弁体212が可撓性を有さず、弾性部材213の内径を筒状部212bより大きい圧縮コイルばねとすることで、弾性部材213の付勢力が第2弁体212を介して筒状部211cに伝達される。したがって、弾性部材213が筒状部211cを確実に押し下げることができる。
【0062】
本実施の形態によれば、第1弁体211及び第2弁体212の2つの弁体を用いることで、適正な内圧を保持することができる。
【0063】
図6は、1つの弁体しか有しない従来の弁装置100の概略を示す図であり、(A)は内圧が適正な状態を示し、(B)は内圧が第1閾値より低い負圧状態を示し、(C)は内圧が第2閾値より高い正圧状態を示す。
【0064】
弁装置100は、主として、弁210Xと、フィルタケース201と、蓋部208Xとを有する。蓋部208Xと蓋部208との差異は形状のみであり、蓋部208Xは棒状部208bを有しない。弁210Xは、主として、第1弁体211Xと、弾性部材214とを有する(弁210Xは、第2弁体212及び弾性部材213を有しない)。第1弁体211Xは、ゴム等の弾性を有する材料で形成されており、可撓性を有する平板状の部材である。第1弁体211Xは、円板状の厚肉部211tと、厚肉部211tの外側に設けられた円環形状の薄肉部211uと、薄肉部211uの外側に設けられた筒状の筒状突起211vとを有する。
【0065】
図6(A)に示す状態では、厚肉部211tが開口端201kから離れているため、ブローバイガスは流出部201dよりフィルタケース201の外部に流出する(図6(A)の矢印参照)。それに対し、図(B)に示す状態では、薄肉部211uが変形して厚肉部211tが押し下げられ、厚肉部211tと開口端201kとが当接しているため、ブローバイガスがフィルタケース201の内部にとどまり(図6(B)の矢印参照)、フィルタケース201の内圧を上昇させる。
【0066】
しかしながら、図6(C)に示すように、異物X等によりガス排出流路が遮断された場合には、フィルタケース201からブローバイガスを排出することができず、フィルタケース201や蓋部208Xの破損等につながる恐れがある。
【0067】
それに対し、本実施の形態では、第2弁体212を含む正圧調整バルブを用いることで、異物X等によりガス排出流路が遮断された場合にもフィルタケース201からブローバイガスを排出することができる。その結果、フィルタケース201の破損等を防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、PCVシステム20のフィルタ装置21の内部に弁装置1を設けるため、効率的な設計が可能であり、その結果、部品数が少なくなる、不具合発生率が低くなる、量産時のコストが安くなる等の効果を有する。また、弁装置1が一体化されたフィルタ装置21とすることで、場所を取らずにリリーフ弁の受圧面積を大きくし、弁装置1を作動しやすくすることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、弁210が弾性部材214を有したが、弾性部材214は必須ではない。ただし、第1弁体211及び第2弁体212を確実に押し上げるためには、弾性部材214を有することが望ましい。
【0070】
また、本実施の形態では、弾性部材213が圧縮コイルばねであったが、弾性部材213は圧縮コイルばねに限られない。例えば、弾性部材である板ばねを第2弁体212と蓋部108との間に設け、この板ばねが第1弁体211を蓋部208から遠ざかる方向へ付勢してもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、第2弁体212が筒状部212bを有したが、筒状部212bは必須ではなく、棒状部208bが挿入される孔212eを板状部212aが有していればよい。
【0072】
また、本実施の形態では、第2弁体212が筒状突起212cを有したが、筒状突起212cは必須ではない。第2弁体212が筒状突起212cを有しなくても、第1弁体211と第2弁体212とが周縁近傍で連結されていればよい。また、筒状突起212cを有しない場合には、孔212dに変えて、板状部212aが孔を有していればよい。ただし、第2弁体212が筒状部211cを確実に押し下げるためには、第2弁体212が筒状突起212cを有し、筒状突起212cの先端が第1弁体211に接着されていることが望ましい。
【0073】
また、本実施の形態では、第1弁体211が筒状部211cを有し、筒状部201bが筒状部201mを有したが、筒状部211c及び筒状部201mは必須ではない。ただし、筒状部211cの内周面と筒状部201mの外周面とを当接させることで、第1弁体211の周縁とフィルタケース201(筒状部201b)とを確実に当接させ、フィルタケース201と第1弁体211との間からブローバイガスが抜けることを防止することができる。
【0074】
また、筒状部211c及び筒状部201mを有しない場合には、例えば、第2弁体212が棒状部208bに沿って移動するのに伴い、第1弁体211の底面と筒状部201bとが当接する状態と、第1弁体211の底面と筒状部201bとしない状態との間で第1弁体211が変形してもよい。
【0075】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態にかかる弁210は、圧縮コイルばねである弾性部材213を有したが、弾性部材213の形態はこれに限られない。例えば、第2弁体が弾性部材を兼ねていてもよい。
【0076】
以下、第2の実施の形態に係る弁装置1Aについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
図7は、弁装置1Aの概略を示す断面図である。弁装置1Aは、主として、弁210Aと、フィルタケース201と、蓋部208とを有する。弁210Aは、主として、第1弁体211と、第2弁体212Aと、弾性部材214とを有する。
【0078】
第2弁体212Aは、金属等で形成された平板状の部材であり、可撓性を有する。第2弁体212Aは、正圧調整バルブを構成する。
【0079】
第2弁体212Aは、円板状の板状部212fと、板状部212fの内側に設けられた筒状の筒状部212bと、板状部212fの外側に設けられた筒状の筒状突起212cとを有する。板状部212f及び筒状部212bは、棒状部208bが挿入される孔212eを有する。第2弁体212Aは、棒状部208bに沿ってz方向に移動可能である。
【0080】
板状部212fは、円環形状の板ばねであり、弾性変形が可能である。板状部212fは、本発明の弾性部材に相当し、第2弁体212Aが弾性部材を兼ねている。板状部212fは、筒状突起212cを筒状部201bに向けて押し下げる方向(-z方向)へ力を付勢する。なお、板状部212fの形状はこれに限られず、断面視における形状が皿ばね形状であってもよい。
【0081】
第1弁体211の周縁(筒状部211c)と第2弁体212Aの周縁(筒状突起212c)とは略同一形状であり、第1弁体211と第2弁体212Aとは、周縁近傍で連結されている。
【0082】
フィルタケース201の内圧が適正な状態では、弁210と同様に、ケース内圧上昇を防ぐために、厚肉部211aが先端208dに当接して開口端201kから離れている(すなわち、負圧調整バルブは開いている)。したがって、フィルタケース201に流入したブローバイガスは、流出部201dよりフィルタケース201の外部に流出する(図7の矢印参照)。
【0083】
また、フィルタケース201の内圧が所定の第1閾値(負圧調整バルブ設定圧)より低い負圧状態では、弁210と同様に、弾性部材214の付勢力に抗して厚肉部211aが押し下げられて、厚肉部211aは先端208dから離れて開口端201kに当接する(すなわち、負圧調整バルブは閉じている)。
【0084】
ブローバイガスの排出流路が遮断され、フィルタケース201の内圧が正圧調整バルブ設定圧より高い正圧状態になると、フィルタケース201の内圧により板状部212fの付勢力に抗して、筒状部211cが押し上げられる(図7の点線参照)。その結果、フィルタケース201に流入したブローバイガスは、筒状部201mと筒状突起212cとの間及びフィルタケース201と蓋部208との間を通ってフィルタケース201の外部に放出され(図7の破線矢印参照)、フィルタケース201の内圧が適正圧力に保持される。
【0085】
本実施の形態によれば、第1弁体211及び第2弁体212Aの2つの弁体を用いることで、適正な内圧を保持することができる。また、第2弁体212Aが弾性部材を兼ねるため、部品点数を低減し、構成を簡潔にすることができる。
【0086】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0087】
また、上記の実施の形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0088】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略直交」とは、厳密に直交の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0089】
また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0090】
1、1A :弁装置
10 :エンジン
11 :シリンダブロック
11a :シリンダ
11b :通路
12 :吸気通路
13 :排気通路
14 :クランクケース
15 :ピストン
16 :クランクシャフト
17 :ロッド
18 :エアフィルタ
19 :ターボ過給機
20 :PCVシステム
21 :フィルタ装置
22、23:ガス還流管
24 :ドレン管
100 :弁装置
201 :フィルタケース
201a、201b:筒状部
201c :流入部
201d :流出部
201e、201f:筒状部
201g、201h:孔
201i、201j:管状部
201k :開口端
201l :板状部
201m :筒状部
202 :フィルタエレメント
203 :濾材
204 :内筒
205、206:プレート
205a、206a:筒状部
207 :ガスケット
208、208X:蓋部
208a :蓋本体
208b :棒状部
208c :穴
208d :先端
210、210A、210X:弁
211、211X:第1弁体
211a、211t:厚肉部
211b、211u:薄肉部
211c、211v:筒状部
212、212A:第2弁体
212a :板状部
212b :筒状部
212c :筒状突起
212d、212e:孔
212f :板状部
213、214:弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7