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特開2022-148237基板処理装置、教示情報生成方法、教示セットおよび基板型治具
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  • 特開-基板処理装置、教示情報生成方法、教示セットおよび基板型治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148237
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】基板処理装置、教示情報生成方法、教示セットおよび基板型治具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20220929BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/68 G
B25J9/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049840
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】北岸 大一
(72)【発明者】
【氏名】堀口 博司
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707DS01
3C707JS02
3C707JU08
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT01
3C707KT05
3C707KV11
3C707KX19
3C707LV02
3C707MT01
3C707NS13
5F131AA02
5F131BA12
5F131BA14
5F131BA18
5F131BA37
5F131BB02
5F131BB04
5F131BB23
5F131CA18
5F131CA45
5F131CA49
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DD25
5F131DD26
5F131DD43
5F131DD76
5F131EA06
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB32
5F131FA12
5F131FA23
5F131FA25
5F131FA32
5F131KA03
5F131KA14
5F131KA45
5F131KA47
5F131KA57
5F131KB06
5F131KB55
(57)【要約】
【課題】教示情報の生成処理を簡素化する。
【解決手段】基板処理装置では、基板保持部の上方に位置するハンド226により、非直線状に配置された3つのフォトセンサ72が下面71に設けられた基板型治具7が保持された状態で、基板回転機構によって基板保持部を回転させることにより、基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成される。教示部は、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた回転軌跡に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、ハンド226および基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する。これにより、教示情報の生成処理を簡素化することができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
基板に所定の処理を施す処理部と、
前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、
前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を前記搬送ロボットに教示する教示部と、
を備え、
前記処理部は、
前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、
上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、
を備え、
前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、
前記基板保持部の上方に位置する前記ハンドにより、非直線状に配置された3つの光学センサが下面に設けられた基板型治具が保持された状態で、前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成され、
前記教示部は、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記基板保持部は、周状に配置された複数のチャックピンにより前記基板の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、
前記目印は、前記複数のチャックピンのうち1つ以上のチャックピンであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記基板保持部は、上面に複数の吸引口が設けられて前記基板を吸着して保持するバキュームチャックであり、
前記目印は、前記複数の吸引口のうち1つ以上の吸引口であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記教示部により算出された前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置に基づいて、前記基板型治具の中心と前記回転軸とが平面視において重なるように前記ハンドが移動され、
前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記目印の前記回転軌跡が再度形成され、
前記教示部は、前記回転軌跡の再形成後に、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を再度算出し、前記水平教示情報を生成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記搬送ロボットは、前記ハンドの下方に位置し、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行う他のハンドをさらに備え、
前記教示部は、前記ハンドに関する前記水平教示情報と同じ方法で前記他のハンドに関する他の水平教示情報を生成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記基板型治具の前記下面に前記基板保持部との接触を検出する接触センサが設けられ、
前記搬送ロボットは、前記ハンドを前記基板保持部に対して上下方向において近づけ、
前記教示部は、前記接触センサからの出力に基づいて、前記ハンドおよび前記基板保持部の上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報を生成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記基板保持部は、周状に配置された複数のチャックピンにより前記基板の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、
前記接触センサは、前記基板型治具の前記下面の外周部にて周状に配置された複数のセンサ要素を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記処理部は、前記基板保持部を内部に収容するとともに前記基板の搬入用の開口を有するハウジングをさらに備え、
前記ハンドが前記ハウジングの前記開口に挿入される際に、前記ハンドおよび前記開口の相対位置を示す撮像画像が取得され、
前記教示部は、前記撮像画像に基づいて、前記ハンドおよび前記開口の適正な相対位置関係を示す搬入教示情報を生成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記撮像画像は、前記ハンドまたは前記基板型治具に設けられたカメラにより撮像された前記開口の画像であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
基板処理装置であって、
基板に所定の処理を施す処理部と、
前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、
前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を前記搬送ロボットに教示する教示部と、
を備え、
前記処理部は、
前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、
上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、
を備え、
前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、
前記処理部では、前記回転軸を中心として前記基板保持部以外の回転部も回転され、
前記基板保持部の上方に位置する前記ハンドにより、非直線状に配置された3つの光学センサが設けられた基板型治具が保持された状態で、前記回転部を回転させることにより、前記回転部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成され、
前記教示部は、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記回転軸に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、を備える基板処理装置において、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を教示する教示情報を生成する教示情報生成方法であって、
前記処理部は、
前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、
上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、
を備え、
前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、
前記教示情報生成方法は、
a)非直線状に配置された3つの光学センサが下面に設けられた基板型治具を前記ハンドにより保持する工程と、
b)前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡を形成する工程と、
c)前記基板保持部の上方に位置する前記基板型治具の前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する工程と、
を備えることを特徴とする教示情報生成方法。
【請求項12】
基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、を備える基板処理装置において、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を前記搬送ロボットに教示する際に利用される教示セットであって、
前記処理部は、
前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、
上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、
を備え、
前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、
前記教示セットは、
非直線状に配置された3つの光学センサが下面に設けられた基板型治具と、
前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成するプログラムを記憶する記憶媒体と、
を備え、
前記基板保持部の上方に位置する前記ハンドにより前記基板型治具が保持された状態で、前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成され、
前記プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置が算出され、前記水平教示情報が生成されることを特徴とする教示セット。
【請求項13】
基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、を備える基板処理装置において、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を教示する教示情報を生成する際に利用される基板型治具であって、
略円板状の治具本体と、
前記治具本体の下面に非直線状に配置された3つの光学センサと、
を備え、
前記処理部は、
前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、
上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、
を備え、
前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、
前記教示情報の生成は、
a)前記基板型治具を前記ハンドにより保持する工程と、
b)前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡を形成する工程と、
c)前記基板保持部の上方に位置する前記基板型治具の前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する工程と、
を備えることを特徴とする基板型治具。
【請求項14】
請求項13に記載の基板型治具であって、
前記治具本体の前記下面に設けられて前記基板保持部との接触を検出する接触センサをさらに備え、
前記基板保持部は、周状に配置された複数のチャックピンにより前記基板型治具の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、
前記教示情報の生成は、d)前記c)工程よりも後に、前記ハンドを前記基板保持部に対して上下方向において近づけ、前記接触センサからの出力に基づいて、前記ハンドおよび前記基板保持部の上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報を生成する工程をさらに備え、
前記接触センサは、前記治具本体の前記下面の外周部にて前記ハンドと接触する位置を避けて配置されることを特徴とする基板型治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置において、搬送ロボットの基板搬送位置を教示する教示情報を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を処理する基板処理装置では、FOUP等に収容されている基板が、インデクサロボットにより搬出され、センターロボットに渡された後、処理ユニットに搬入されて様々な処理を施される。このような基板処理装置では、センターロボット等の搬送ロボットによる基板の搬送経路は予め設定されているが、処理ユニットへの基板の搬出入等、詳細な搬送位置は、実際に搬送ロボットを移動しつつ教示する必要がある。このような教示処理は、例えば、基板処理装置の立ち上げの際や、分解メンテナンス後の使用再開前に行われる。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2に記載の教示処理では、処理ユニットの基板保持部に教示用のターゲット治具を保持させ、当該ターゲット治具の中央から上方に突出する突起部(すなわち、被検出部)を、搬送ロボットが保持する光センサにより検出して、基板保持部と搬送ロボットとの相対位置を検出する。そして、当該相対位置が設定値となるように搬送ロボットの移動を繰り返し、基板保持部に対する搬送ロボットの相対位置の調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-156153号公報
【特許文献2】特開2006-332543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1および特許文献2に記載の教示処理では、搬送ロボットを駆動するよりも前に、基板保持部に対するターゲット治具の相対位置を高精度に調整した上で、ターゲット治具を基板保持部に保持させる必要がある。したがって、ターゲットの位置調整に多大な時間と手間が必要であった。さらに、基板処理装置では、複数の処理ユニットのそれぞれにおいて、ターゲット治具の位置調整を行う必要があるため、上述の教示処理に非常に多大な時間と手間とが必要であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、教示情報の生成処理を簡素化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板処理装置であって、基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を前記搬送ロボットに教示する教示部とを備え、前記処理部は、前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、を備え、前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、前記基板保持部の上方に位置する前記ハンドにより、非直線状に配置された3つの光学センサが下面に設けられた基板型治具が保持された状態で、前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成され、前記教示部は、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記基板保持部は、周状に配置された複数のチャックピンにより前記基板の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、前記目印は、前記複数のチャックピンのうち1つ以上のチャックピンである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記基板保持部は、上面に複数の吸引口が設けられて前記基板を吸着して保持するバキュームチャックであり、前記目印は、前記複数の吸引口のうち1つ以上の吸引口である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記教示部により算出された前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置に基づいて、前記基板型治具の中心と前記回転軸とが平面視において重なるように前記ハンドが移動され、前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記目印の前記回転軌跡が再度形成され、前記教示部は、前記回転軌跡の再形成後に、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を再度算出し、前記水平教示情報を生成する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記搬送ロボットは、前記ハンドの下方に位置し、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行う他のハンドをさらに備え、前記教示部は、前記ハンドに関する前記水平教示情報と同じ方法で前記他のハンドに関する他の水平教示情報を生成する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記基板型治具の前記下面に前記基板保持部との接触を検出する接触センサが設けられ、前記搬送ロボットは、前記ハンドを前記基板保持部に対して上下方向において近づけ、前記教示部は、前記接触センサからの出力に基づいて、前記ハンドおよび前記基板保持部の上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報を生成する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の基板処理装置であって、前記基板保持部は、周状に配置された複数のチャックピンにより前記基板の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、前記接触センサは、前記基板型治具の前記下面の外周部にて周状に配置された複数のセンサ要素を備える。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記処理部は、前記基板保持部を内部に収容するとともに前記基板の搬入用の開口を有するハウジングをさらに備え、前記ハンドが前記ハウジングの前記開口に挿入される際に、前記ハンドおよび前記開口の相対位置を示す撮像画像が取得され、前記教示部は、前記撮像画像に基づいて、前記ハンドおよび前記開口の適正な相対位置関係を示す搬入教示情報を生成する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の基板処理装置であって、前記撮像画像は、前記ハンドまたは前記基板型治具に設けられたカメラにより撮像された前記開口の画像である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、基板処理装置であって、基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を前記搬送ロボットに教示する教示部とを備え、前記処理部は、前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、を備え、前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、前記処理部では、前記回転軸を中心として前記基板保持部以外の回転部も回転され、前記基板保持部の上方に位置する前記ハンドにより、非直線状に配置された3つの光学センサが設けられた基板型治具が保持された状態で、前記回転部を回転させることにより、前記回転部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成され、前記教示部は、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記回転軸に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する。
【0017】
請求項11に記載の発明は、基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットとを備える基板処理装置において、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を教示する教示情報を生成する教示情報生成方法であって、前記処理部は、前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構とを備え、前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、前記教示情報生成方法は、a)非直線状に配置された3つの光学センサが下面に設けられた基板型治具を前記ハンドにより保持する工程と、b)前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡を形成する工程と、c)前記基板保持部の上方に位置する前記基板型治具の前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する工程とを備える。
【0018】
請求項12に記載の発明は、基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットとを備える基板処理装置において、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を前記搬送ロボットに教示する際に利用される教示セットであって、前記処理部は、前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構と、を備え、前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、前記教示セットは、非直線状に配置された3つの光学センサが下面に設けられた基板型治具と、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成するプログラムを記憶する記憶媒体とを備え、前記基板保持部の上方に位置する前記ハンドにより前記基板型治具が保持された状態で、前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡が形成され、前記プログラムがコンピュータによって実行されることにより、前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置が算出され、前記水平教示情報が生成される。
【0019】
請求項13に記載の発明は、基板に所定の処理を施す処理部と、前記処理部に対して前記基板を搬送する搬送ロボットと、を備える基板処理装置において、前記処理部における前記搬送ロボットの基板搬送位置を教示する教示情報を生成する際に利用される基板型治具であって、略円板状の治具本体と、前記治具本体の下面に非直線状に配置された3つの光学センサとを備え、前記処理部は、前記基板を水平状態で保持する基板保持部と、上下方向を向く回転軸を中心として前記基板保持部を回転する基板回転機構とを備え、前記搬送ロボットは、前記基板保持部との間で前記基板の受け渡しを行うハンドを備え、前記教示情報の生成は、a)前記基板型治具を前記ハンドにより保持する工程と、b)前記基板回転機構によって前記基板保持部を回転させることにより、前記基板保持部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡を形成する工程と、c)前記基板保持部の上方に位置する前記基板型治具の前記3つの光学センサからそれぞれ得られた前記回転軌跡に対する相対位置に基づいて、前記ハンドの前記基板保持部に対する平面視における相対位置を算出し、前記ハンドおよび前記基板保持部の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する工程とを備える。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の基板型治具であって、前記治具本体の前記下面に設けられて前記基板保持部との接触を検出する接触センサをさらに備え、前記教示情報の生成は、d)前記c)工程よりも後に、前記ハンドを前記基板保持部に対して上下方向において近づけ、前記接触センサからの出力に基づいて、前記ハンドおよび前記基板保持部の上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報を生成する工程をさらに備え、前記基板保持部は、周状に配置された複数のチャックピンにより前記基板型治具の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、前記接触センサは、前記治具本体の前記下面の外周部にて前記ハンドと接触する位置を避けて配置されることを特徴とする基板型治具。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、教示情報の生成処理を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
図2】基板処理装置の内部を示す正面図である。
図3】搬送アームのハンド近傍を拡大して示す平面図である。
図4】処理ユニットの一例を示す図である。
図5】基板保持部の平面図である。
図6】コンピュータの構成を示す図である。
図7】コンピュータにより実現される機能を示すブロック図である。
図8】教示情報の生成の流れを示す図である。
図9】基板型治具の底面図である。
図10】基板保持部の平面図である。
図11】水平教示情報の求め方の一例を説明するための図である。
図12】水平教示情報の求め方の一例を説明するための図である。
図13】他の基板型治具の底面図である。
図14】他の基板保持部の平面図である。
図15】他の基板保持部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の平面図である。図2は、基板処理装置1を、図1のII-II線から見た図である。なお、以下に参照する各図には、Z軸方向を鉛直方向(すなわち、上下方向)とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が適宜付されている。また、図2では、基板処理装置1の(+X)側の一部の図示を省略している。
【0024】
基板処理装置1は、複数の略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に連続して処理を行う装置である。基板処理装置1では、例えば、基板9に対して処理液を供給する液処理が行われる。
【0025】
基板処理装置1は、複数のキャリアステージ11と、インデクサブロック10と、処理ブロック20と、載置ユニット40と、コンピュータ8と、を備える。インデクサブロック10および処理ブロック20はそれぞれ、インデクサセルおよび処理セルとも呼ばれる。また、インデクサブロック10は、Equipment Front End Module(EFEM)ユニット等とも呼ばれる。図1に示す例では、(-X)側から(+X)側に向かって、複数(例えば、3個)のキャリアステージ11、インデクサブロック10および処理ブロック20が、この順に隣接して配置されている。
【0026】
複数のキャリアステージ11は、インデクサブロック10の(-X)側の側壁に沿ってY方向に配列される。複数のキャリアステージ11はそれぞれ、キャリア95が載置される載置台である。キャリア95は、複数の円板状の基板9を収納可能である。インデクサブロック10の(-X)側の側壁には、各キャリアステージ11上のキャリア95に対応する位置に開口部が設けられる。当該開口部にはキャリア用シャッタが設けられており、キャリア95に対する基板9の搬出入が行われる際には、当該キャリア用シャッタが開閉される。
【0027】
各キャリアステージ11に対しては、複数の未処理の基板9を収納したキャリア95が、基板処理装置1の外部から、OHT(Overhead Hoist Transport)等により搬入されて載置される。また、処理ブロック20における処理が終了した処理済みの基板9は、キャリアステージ11に載置されたキャリア95に、再度収納される。処理済みの基板9が収納されたキャリア95は、OHT等によって基板処理装置1の外部に搬出される。すなわち、キャリアステージ11は、未処理の基板9および処理済みの基板9を集積する基板集積部として機能する。
【0028】
キャリア95は、例えば、基板9を密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)である。キャリア95は、FOUPには限定されず、例えば、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、または、収納された基板9を外気に曝すOC(Open Cassette)であってもよい。また、キャリアステージ11の数は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
【0029】
インデクサブロック10は、キャリア95から未処理の基板9を受け取り、処理ブロック20に渡す。また、インデクサブロック10は、処理ブロック20から搬出された処理済みの基板9を受け取り、キャリア95へと搬入する。インデクサブロック10の内部空間100には、キャリア95への基板9の搬出入を行うインデクサロボット12が配置される。
【0030】
インデクサロボット12は、2本の搬送アーム121a,121bと、アームステージ122と、可動台123とを備える。2本の搬送アーム121a,121bは、アームステージ122に搭載される。可動台123は、複数のキャリアステージ11の配列方向と平行に(すなわち、Y方向に沿って)延びるボールネジ124に螺合され、2本のガイドレール125に対して摺動自在に設けられる。図示を省略する回転モータによりボールネジ124が回転すると、可動台123を含むインデクサロボット12の全体が、Y方向に沿って水平に移動する。
【0031】
アームステージ122は、可動台123上に搭載される。可動台123には、アームステージ122を上下方向(すなわち、Z方向)を向く回転軸周りに回転させるモータ(図示省略)、および、アームステージ122を上下方向に沿って移動させるモータ(図示省略)が内蔵されている。アームステージ122上には、搬送アーム121a,121bが、上下に離間して配置されている。
【0032】
搬送アーム121a,121bの先端にはそれぞれ、平面視において略U字状のハンド126が設けられる。ハンド126は、例えば、幅方向に広がる基部と、当該基部の幅方向両端部から幅方向に垂直な長手方向に略平行に延びる2本の爪部とを備える。搬送アーム121a,121bはそれぞれ、ハンド126により1枚の基板9の下面を支持する。ハンド126には、図示省略の移動制限機構が設けられており、基板9のハンド126に対する相対位置が、位置精度良く固定される。当該移動制限機構は、例えば、基板9の側縁に接触して基板9の位置を機械的に制限する複数の凸部等であってもよく、基板9の下面を吸着する複数の吸引口であってもよい。
【0033】
搬送アーム121a,121bは、アームステージ122に内蔵された駆動機構(図示省略)によって多関節機構が屈伸されることにより、水平方向(すなわち、アームステージ122の回転軸を中心とする径方向)に沿って互いに独立して移動する。換言すれば、ハンド126は、進退自在、昇降自在かつ回転自在にインデクサロボット12に設けられる。なお、インデクサロボット12における搬送アームの数は、1本であってもよく、3本以上であってもよい。
【0034】
インデクサロボット12は、ハンド126により基板9を保持する搬送アーム121a,121bをそれぞれ、キャリアステージ11に載置されたキャリア95、および、載置ユニット40に個別にアクセスさせることにより、キャリア95および載置ユニット40の間で基板9を搬送する。インデクサロボット12における上記移動機構は、上述の例には限定されず、他の機構であってもよい。例えば、搬送アーム121a,121bを上下方向に移動する機構として、プーリとタイミングベルトとを使用したベルト送り機構等が採用されてもよい。
【0035】
処理ブロック20には、基板9の搬送に利用される搬送路23と、搬送路23の周囲に配置される複数の処理ユニット21とが設けられる。図1に示す例では、搬送路23は、処理ブロック20のY方向の中央にてX方向に延びる。搬送路23の内部空間230には、各処理ユニット21への基板9の搬出入を行うセンターロボット22が配置される。
【0036】
センターロボット22は、2本の搬送アーム221a,221bと、アームステージ222と、基台223とを備える。2本の搬送アーム221a,221bは、アームステージ222に搭載される。基台223は、処理ブロック20のフレームに固定されている。したがって、センターロボット22の基台223は、水平方向および上下方向に移動しない。なお、センターロボット22の基台223は、例えば、水平方向に移動可能とされてもよい。
【0037】
アームステージ222は、基台223上に搭載される。基台223には、アームステージ222を上下方向を向く回転軸周りにて回転させるモータ(図示省略)、および、アームステージ222を上下方向に沿って移動させるモータ(図示省略)が内蔵されている。アームステージ222上には、搬送アーム221a,221bが、上下に離間して配置されている。
【0038】
搬送アーム221a,221bの先端にはそれぞれ、平面視において略U字状のハンド226が設けられる。図3は、搬送アーム221aのハンド226近傍を拡大して示す平面図である。搬送アーム221bのハンド226についても、図3に示すものと同様の構造を有する。図3に例示するハンド226は、幅方向に広がる基部227と、当該基部227の幅方向両端部から幅方向に垂直な長手方向に略平行に延びる2本の爪部228とを備える。ハンド226には、図示省略の移動制限機構が設けられており、基板9のハンド226に対する相対位置が、位置精度良く固定される。当該移動制限機構は、例えば、基板9の側縁に接触して基板9の位置を機械的に制限する複数の凸部等であってもよく、基板9の下面を吸着する複数の吸引口であってもよい。
【0039】
搬送アーム221a,221bはそれぞれ、ハンド226により1枚の基板9を保持する。図3中に×印にて示す位置は、ハンド226の中心位置であるハンド中心位置220である。ハンド中心位置220は、2つの爪部228の間に位置する仮想点である。ハンド中心位置220は、ハンド226により基板9が設計位置(すなわち、図3中に二点鎖線にて示す位置)にて保持された場合に、平面視において基板9の中心が位置する位置である。
【0040】
搬送アーム221a,221bは、アームステージ222に内蔵された駆動機構(図示省略)によって多関節機構が屈伸されることにより、水平方向(すなわち、アームステージ222の回転軸を中心とする径方向)に沿って互いに独立して移動する。換言すれば、ハンド226は、進退自在、昇降自在かつ回転自在にセンターロボット22に設けられる。なお、センターロボット22における搬送アームの数は、1本であってもよく、3本以上であってもよい。
【0041】
センターロボット22は、ハンド226により基板9を保持する搬送アーム221a,221bをそれぞれ、載置ユニット40および複数の処理ユニット21に個別にアクセスさせることにより、載置ユニット40および処理ユニット21の間で基板9を搬送する搬送ロボットである。センターロボット22における上記移動機構は、上述の例には限定されず、他の機構であってもよい。例えば、搬送アーム221a,221bを上下方向に移動する機構として、プーリとタイミングベルトとを使用したベルト送り機構等が採用されてもよい。
【0042】
各処理ユニット21は、基板9に対して所定の処理を施す処理部である。図1および図2に示す例では、処理ブロック20には、12個の処理ユニット21が設けられる。具体的には、Z方向に積層された3個の処理ユニット21群が、平面視においてセンターロボット22の周囲に4組配置される。処理ブロック20に設けられる処理ユニット21の数は、1つ以上の範囲で様々に変更されてよい。
【0043】
載置ユニット40は、インデクサブロック10と処理ブロック20との接続部に設けられる。上述のように、インデクサロボット12およびセンターロボット22は、載置ユニット40にアクセス可能である。載置ユニット40は、センターロボット22が配置される搬送路23を介して複数の処理ユニット21に接続される。
【0044】
インデクサロボット12は、キャリア95から搬出した未処理の基板9を載置ユニット40に載置する。センターロボット22は、載置ユニット40から未処理の基板9を搬出し、処理ユニット21へと搬入する。また、センターロボット22は、処理ユニット21から搬出した処理済みの基板9を載置ユニット40に載置する。インデクサロボット12は、載置ユニット40から処理済みの基板9を搬出し、キャリア95に搬入する。換言すれば、載置ユニット40は、インデクサロボット12からセンターロボット22へと渡される未処理の基板9、および、センターロボット22からインデクサロボット12へと渡される処理済みの基板9を保持する。
【0045】
図4は、処理ユニット21の一例を示す図である。処理ユニット21は、ハウジング31と、基板保持部32と、基板回転機構33と、カップ部34と、処理ノズル35とを備える。基板保持部32、基板回転機構33、カップ部34および処理ノズル35は、ハウジング31の内部に収容される。ハウジング31の側壁には、センターロボット22(図1および図2参照)により基板9を内部に搬入するための開口311が設けられる。開口311は、開閉可能であり、基板9の搬出入時に開放され、基板9の処理時に閉鎖される。処理ユニット21では、例えば、基板9に対する洗浄処理等の液処理が行われる。
【0046】
図4に示す例では、基板保持部32は、基板9を水平状態で保持するメカニカルチャックである。基板保持部32は、ベース321と、シャフト322と、複数のチャックピン323と、を備える。ベース321は、上下方向を向く回転軸J1を中心とする略円板状の部材である。なお、以下では、図4中の上下方向は、上述のZ方向と一致するものとして説明するが、必ずしも一致する必要はない。シャフト322は、回転軸J1を中心とする略円筒状または略円柱状の部材である。シャフト322は、ベース321の下面から下方へと延び、基板回転機構33に接続される。
【0047】
図5は、基板保持部32を示す平面図である。図4および図5に示すように、複数(例えば、6つ)のチャックピン323は、ベース321の上面に立設される。複数のチャックピン323は、ベース321の上面の外周部において周状に配置される。詳細には、複数のチャックピン323は、回転軸J1を中心とする同一円周上に配置される。複数のチャックピン323は、例えば、回転軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」とも呼ぶ。)において略等角度間隔にて配置される。複数のチャックピン323は、基板9の外周部に直接的に接触し、基板9の外周部を機械的に保持する。基板9が複数のチャックピン323により保持された状態では、ベース321の上面は、基板9の下面から下方に離間した状態で、基板9の下面と上下方向に対向する。
【0048】
基板回転機構33は、回転軸J1を中心として基板保持部32を回転することにより、基板保持部32に保持された基板9を回転する。基板回転機構33は、例えば、基板保持部32のシャフト322に接続される電動モータである。基板回転機構33は、電動モータ以外の回転機構であってもよい。基板回転機構33は、基板保持部32の下方に配置されたカバー331の内部に収容される。
【0049】
処理ノズル35は、基板9の上方から基板9の上面に向けて処理液を吐出する。図4では、処理ノズル35を基板9の上方にて支持する構成の図示を省略している。カップ部34は、基板保持部32の周囲を全周に亘って囲む略円筒状の部材である。カップ部34は、回転中の基板9から周囲に飛散する処理液等を受ける液受けである。カップ部34は、図示省略のカップ昇降機構により上下方向に移動可能である。基板9の処理が行われる際には、カップ部34は、図4に示すように、回転軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも呼ぶ。)において基板9の側縁と対向する位置に配置される。また、センターロボット22のハンド226と基板保持部32との間で基板9が受け渡しされる際には、カップ部34は、図4に示す位置から下方へと移動する。なお、図4に示す例では、カップ部34は回転しないが、回転軸J1を中心として回転可能に構成されてもよい。
【0050】
図6は、コンピュータ8の構成を示す図である。コンピュータ8は、プロセッサ81と、メモリ82と、入出力部83と、バス84とを備える通常のコンピュータである。バス84は、プロセッサ81、メモリ82および入出力部83を接続する信号回路である。メモリ82は、各種情報を記憶する。メモリ82は、例えば、記憶媒体80に予め記憶されている教示情報生成用のプログラム89を読み出して記憶する。教示情報の生成については後述する。プロセッサ81は、メモリ82に記憶される上記プログラム89等に従って、メモリ82等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算)を実行する。入出力部83は、操作者からの入力を受け付けるキーボード85およびマウス86、プロセッサ81からの出力等を表示するディスプレイ87、並びに、プロセッサ81からの出力等を送信する送信部88を備える。
【0051】
図7は、コンピュータ8により上記プログラム89が実行されることにより実現される機能を示すブロック図である。基板処理装置1は、コンピュータ8により実現される機能として、記憶部61と、駆動制御部62と、教示部63とを備える。記憶部61は、主にメモリ82により実現され、後述するカメラ75からの出力等の各種情報を記憶する。駆動制御部62は、主にプロセッサ81および送信部88により実現され、センターロボット22および処理ユニット21等の各構成に制御信号を送り、当該各構成を駆動制御する。
【0052】
教示部63は、センターロボット22による処理ユニット21への基板9の搬出入に関して、センターロボット22により基板9が搬送されるべき適正な位置(すなわち、基板搬送位置)を、センターロボット22に教示する。教示部63は、処理ユニット21におけるセンターロボット22による基板搬送位置を示す教示情報を生成する。
【0053】
当該教示情報は、処理ユニット21におけるセンターロボット22のハンド226と基板保持部32との平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を含む。また、当該教示情報は、処理ユニット21におけるセンターロボット22のハンド226と基板保持部32との上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報を含む。さらに、当該教示情報は、センターロボット22のハンド226と処理ユニット21のハウジング31の開口311との適正な相対位置関係を示す搬入教示情報を含む。
【0054】
水平教示情報は、センターロボット22のハンド226から基板保持部32に対して基板9が渡される際、および、基板保持部32からハンド226が基板9を受け取る際に、ハンド226を基板保持部32に対して平面視において適正な相対位置に位置させるために用いられる。上下教示情報は、センターロボット22のハンド226から基板保持部32に対して基板9が渡される際、および、基板保持部32からハンド226が基板9を受け取る際に、ハンド226を基板保持部32に対して上下方向において適正な相対位置に位置させるために用いられる。搬入教示情報は、センターロボット22のハンド226がハウジング31の開口311に挿入される際、および、開口311から離間する際に、ハンド226を開口311に対して適正な相対位置(すなわち、ハンド226に保持された基板9がハウジング31等に衝突しない位置)に位置させるために用いられる。換言すれば、搬入教示情報は、センターロボット22のハンド226によって基板9がハウジング31に対して搬出入される際に、基板9の衝突を防止するための情報である。
【0055】
次に、図8を参照しつつ、教示情報の生成の流れについて説明する。当該教示情報の生成は、基板処理装置1による基板9の処理が行われていないとき(例えば、夜間)に、自動的に行われる。当該教示情報の生成は、基板処理装置1の複数の処理ユニット21に対して順次行われる。また、当該教示情報の生成は、センターロボット22の複数のハンド226に対して順次行われる。以下では、センターロボット22の上側の搬送アーム221aのハンド226に対する教示情報の生成について説明する。後述するように、搬送アーム221bのハンド226に対する教示情報も同様の手順にて生成される。
【0056】
当該教示情報の生成では、まず、図9に示す基板型治具7が、図1および図2に示すセンターロボット22のハンド226により保持される(ステップS11)。具体的には、駆動制御部62(図7参照)によってセンターロボット22が制御されることにより、搬送アーム221aが駆動され、載置ユニット40近傍に配置されたストッカ700にハンド226が挿入される。ストッカ700内には、1つ以上の基板型治具7が予め格納されている。ハンド226は、1つの基板型治具7を保持してストッカ700から取り出す。なお、オペレータ等が基板型治具7をハンド226上に載置してもよい。
【0057】
図9は、基板型治具7の下面71(すなわち、ハンド226に保持された状態における下面)を示す底面図である。基板型治具7は、例えば、略円板状の部材である。基板型治具7は、例えば、平面視において基板9と略同形状の略円形である。基板型治具7の厚さは、好ましくは、搬送アーム221aのハンド226と搬送アーム221bのハンド226との間の上下方向における間隙(以下、「ハンド間隙」とも呼ぶ。)の高さよりも薄い。これにより、下側の搬送アーム221bのハンド226に対する教示情報の生成時に、当該ハンド226により基板型治具7を容易に保持することができる。
【0058】
基板型治具7は、略円板状の治具本体76と、治具本体76の下面71に設けられた3つの光学センサ72と、を備える。光学センサ72は、光学レンズ系と光センサとが組み合わされたセンサである。光学センサ72としては、例えば、フォトセンサ、または、CMOSセンサCCDセンサもしくはを有するカメラ等、様々なものが利用可能である。本実施の形態では、光学センサ72としてフォトセンサが利用される。以下の説明では、符号72を付した構成を「フォトセンサ72」とも呼ぶ。
【0059】
3つのフォトセンサ72は、一直線上には配置されておらず、平面視において三角形の3つの頂点に配置される。換言すれば、3つのフォトセンサ72は、非直線状に配置される。3つのフォトセンサ72は、当該3つのフォトセンサ72により構成される仮想的な三角形73の重心が、平面視において基板型治具7の中心70と重なるように配置されている。3つのフォトセンサ72により構成される三角形73は正三角形、二等辺三角形および直角三角形のいずれであってもよく、正三角形、二等辺三角形および直角三角形のいずれでもなくてもよい。本実施の形態では、三角形73は正三角形である。なお、基板型治具7では、4つ以上のフォトセンサ72が下面71に設けられてもよい。当該4つ以上のフォトセンサ72のうち、少なくとも3つのフォトセンサ72は、上述のように非直線状に配置される。
【0060】
図9では、基板型治具7の下面71に接触して基板型治具7を下側から保持するハンド226を二点鎖線にて示す。基板型治具7がハンド226により保持される際には、上述の移動制限機構により、基板型治具7のハンド226に対する相対位置が、位置精度良く固定される。基板型治具7がハンド226に保持された状態では、基板型治具7の中心70は、ハンド226のハンド中心位置220と平面視において重なる。また、3つのフォトセンサ72は、平面視において、ハンド226の2つの爪部228を避けて配置され、ハンド226とは重ならない。各フォトセンサ72は、ハンド226よりも下方に位置する検出対象物を検出することが可能である。
【0061】
各フォトセンサ72は、反射形フォトセンサ(すなわち、フォトリフレクタ)である。後述するように、本実施の形態では、フォトセンサ72の検出対象物は基板保持部32のベース321から上方に突出するチャックピン323(図4および図5参照)である。フォトセンサ72は、所定の距離範囲内の物体のみを検出可能な限定反射形のフォトセンサであることが好ましい。なお、フォトセンサ72は、限定反射形以外の種類のフォトセンサであってもよい。
【0062】
基板型治具7は、後述するように、処理ユニット21に搬入された後、ハンド226から基板保持部32へと渡されて基板保持部32により保持される。基板型治具7の下面71には、基板保持部32との接触を検出する接触センサ74が設けられる。接触センサ74は、基板9の下面71の外周部において周状に設けられる。接触センサ74は、3つのフォトセンサ72の径方向外側に位置し、3つのフォトセンサ72の周囲を囲む。図9に示す例では、接触センサ74は、複数(例えば、16個)のセンサ要素741を備える。複数のセンサ要素741は、基板型治具7の下面71の外周部にて、基板型治具7の中心70を中心として周状に配置される。複数のセンサ要素741は、例えば、周方向において略等角度間隔に配置される。センサ要素741としては、例えば、圧力センサ、圧電センサまたは静電容量センサ等が利用可能である。
【0063】
上述のフォトセンサ72および接触センサ74への電力供給は、例えば、基板型治具7に内蔵された薄型電池により行われる。あるいは、基板型治具7の外部に配置された外部電源から、有線または無線にてフォトセンサ72および接触センサ74に電力が供給されてもよい。フォトセンサ72および接触センサ74からの出力は、コンピュータ8へと送られる。
【0064】
基板型治具7が保持されるハンド226には、カメラ75が設けられている。カメラ75は、例えば、留め具等によりハンド226上の所定の位置に着脱自在に取り付けられていてもよく、ハンド226上の所定の位置に着脱不能に固定されていてもよい。図9に示す例では、カメラ75は、ハンド226の基部227の上面に設けられ、ハンド226の前方(すなわち、基部227から爪部228が伸びる方向)を撮像する。なお、カメラ75により、ハンド226上の基板型治具7も併せて撮像されてもよい。カメラ75により撮像された撮像画像は、コンピュータ8へと送られて記憶部61に記憶される。カメラ75としては、例えば、CMOSセンサまたはCCDセンサが利用可能である。カメラ75は、例えば、基板型治具7の上面等に設けられてもよい。
【0065】
ステップS11において基板型治具7がハンド226により保持されると、駆動制御部62(図7参照)によってセンターロボット22が制御されることにより、搬送アーム221aが駆動され、ハンド226が一の処理ユニット21の開口311(図4参照)に向かって移動される。ハンド226が開口311に近づくと、カメラ75により、開口311およびハウジング31における開口311の周囲の部位が撮像され、取得された撮像画像がコンピュータ8へと送られる。
【0066】
コンピュータ8では、教示部63により、当該撮像画像(すなわち、開口311の画像)、および、予め記憶部61に記憶されているハンド226上におけるカメラ75の固定位置に基づいて、ハンド226の開口311に対する相対位置が求められる。すなわち、撮像画像は、ハンド226および開口311の相対位置を示す画像である。教示部63では、ハンド226の開口311に対する相対位置に基づいて、ハンド226に保持される予定の基板9が、ハウジング31に衝突することなく、開口311に挿入可能か否かが判断される。
【0067】
そして、ハンド226が開口311に挿入される際に、基板9がハウジング31に衝突しないと判断された場合、現状のハンド226の位置が取得される。一方、基板9がハウジング31に衝突する可能性があると判断された場合、基板9がハウジング31に衝突しないように、ハンド226の開口311に対する相対位置が調整され、調整後のハンド226の位置が取得される。その後、ハンド226が開口311に挿入されるまで、ハンド226をさらに開口311に近づけ、必要に応じてハンド226の位置を調整してハンド226の位置を取得することが繰り返される。そして、取得されたハンド226の複数の位置に基づいて、上述の搬入教示情報が生成される(ステップS12)。具体的には、ハンド226の当該複数の位置を通過するハンド226の移動経路が搬入教示情報とされる。当該搬入教示情報は、コンピュータ8に記憶され、基板処理装置1における基板9の処理の際に利用される。これにより、基板9が処理ユニット21に搬入される際に、基板9とハウジング31との衝突が防止される。
【0068】
ステップS12にて生成される搬入教示情報には、ハンド226の開口311通過時の移動経路に加えて、ハウジング31内における最奥位置(すなわち、開口311から最も離れたハンド226の到達可能位置)までの移動経路も含まれてもよい。この場合、ハンド226が開口311に挿入された後、上記と略同様に、ハンド226の移動、ハンド226およびチャックピン323の相対位置を示す撮像画像の取得、並びに、必要に応じたハンド226位置の調整が繰り返され、ハンド226が最奥位置に到達した時点で、搬入教示情報が生成される。これにより、基板9が処理ユニット21に搬入される際に、基板9とチャックピン323との衝突も防止される。
【0069】
また、ステップS12にて生成された搬入教示情報は、基板9をハウジング31内から搬出する際にも利用され、基板9が搬入時の経路を反対向きに移動することにより、基板9のチャックピン323およびハウジング31等との衝突が防止される。なお、基板9の搬出時についても、上記と略同様に、ハンド226の移動、ハンド226とチャックピン323またはハウジング31との相対位置を示す撮像画像の取得、および、必要に応じたハンド226位置の調整が繰り返され、搬入教示情報が生成されてもよい。
【0070】
搬入教示情報が生成されると、駆動制御部62によりセンターロボット22が制御されることにより、ハンド226に保持された基板型治具7が水平に移動され、基板保持部32の略鉛直上方へと位置する。このとき、基板型治具7の中心70は、図10に示すように、平面視において、基板保持部32の回転軸J1近傍(すなわち、設計上は回転軸J1に重なるはずの位置)に配置される。なお、基板保持部32には、基板9や他の物体(例えば、教示用のターゲット治具等)は保持されていない。
【0071】
図10は、基板保持部32を示す平面図である。図10では、図の理解を容易にするために、基板型治具7の中心70と基板保持部32の回転軸J1とのずれ量を実際によりも大きく描いている。また、図10では、基板保持部32の上方に位置する基板型治具7、3つのフォトセンサ72、および、3つのフォトセンサ72により形成される仮想的な三角形73を二点鎖線にて併せて示す。三角形73の重心は、上述のように、基板型治具7の中心70およびハンド中心位置220(図9参照)と平面視において重なる。図10に示す例では、基板型治具7の中心70は、回転軸J1から少し左斜め下にずれている。ただし、基板型治具7の中心70の回転軸J1からのずれ量は、現時点では不明である。以下の説明では、図10に示す基板型治具7の位置を「初期位置」とも呼ぶ。
【0072】
続いて、基板型治具7の中心70と回転軸J1とを、平面視において高精度に一致させるための処理が行われる。まず、駆動制御部62による制御により基板回転機構33が駆動され、基板保持部32が、回転軸J1を中心として所定の回転速度にて継続的に回転する。これにより、基板保持部32上に予め設けられている目印である複数のチャックピン323により、仮想的な円周状の回転軌跡324が形成される(ステップS13)。上述のように、複数のチャックピン323は回転軸J1を中心とする同一円周上に配置されるため、回転軌跡324は、当該複数のチャックピン323が回転することにより形成される軌跡である。なお、回転軌跡324は、例えば、チャックピン323の上端のピン部(すなわち、基板9の処理の際に基板9の外縁部に直接的に接触する部位)の回転軌跡である。当該ピン部が径方向に移動可能である場合、回転軌跡324は、例えば、径方向の最も外側に位置している状態のピン部の回転軌跡である。回転軌跡324は、チャックピン323のピン部以外の部位の回転軌跡であってもよい。また、回転軸J1とチャックピン323との間の距離(すなわち、回転軌跡324の半径)は、設計上は既知であるが、厳密には不明であるものとして取り扱う。
【0073】
なお、回転軌跡324を形成する目印は、基板保持部32上に予め設けられている構成であれば、チャックピン323には限定されない。例えば、基板保持部32上に存在するネジの頭等が目印として兼用されてもよい。当該目印は、1つであってもよく、回転軸J1を中心とする同一円周上に配置された複数の構成であってもよい。当該目印は、教示情報を生成するための専用の目印ではなく、チャックピン323等のように、基板処理装置1において基板9の処理等に用いられる構成が目印として兼用されることが好ましい。これにより、専用の目印が設けられる場合に比べて、基板保持部32の構造を簡素化することができる。
【0074】
続いて、基板保持部32の回転が継続されている状態で、基板保持部32の上方にて基板型治具7がハンド226と共に水平に移動される。当該水平移動は、3つのフォトセンサ72のうち1つのフォトセンサ72により回転中のチャックピン323が検出されるまで(すなわち、当該フォトセンサ72が回転軌跡324と平面視において重なるまで)行われる。そして、ハンド226の位置を少しずつ変更し、当該フォトセンサ72が回転軌跡324と平面視において重なり、かつ、基板型治具7の初期位置からの移動距離が最も小さい位置(以下、「最小移動位置」と呼ぶ。)を取得する。また、基板型治具7の初期位置における中心70と最小移動位置における中心70との間の距離(以下、「最小移動距離」とも呼ぶ。)も取得される。その後、他の2つのフォトセンサ72についても、同様の手順により基板型治具7の最小移動位置および最小移動距離が取得される。
【0075】
基板型治具7の初期位置における中心70と、各フォトセンサ72に関して取得された基板型治具7の最小移動位置における中心70とを通る直線は、回転軌跡324の中心である回転軸J1を通る。したがって、3つのフォトセンサ72に関する最小移動距離と、既知である3つのフォトセンサ72の相対位置とに基づいて、回転軌跡324の中心である回転軸J1の平面視における位置を算出することが可能である。
【0076】
具体的には、まず、図11に示すように、初期位置の基板型治具7における1つのフォトセンサ72の平面視における座標Se10(すなわち、X座標およびY座標であり、以下、単に「座標」とも呼ぶ。)と、当該フォトセンサ72に関する最小移動距離d1とから、当該フォトセンサ72に関する最小移動位置に基板型治具7が位置するときの当該フォトセンサ72の座標Se11(すなわち、回転軌跡324上の1点の座標)が算出される。他の2つのフォトセンサ72に関しても、同様に、初期位置の基板型治具7におけるフォトセンサ72の座標Se20,Se30と、最小移動距離d2,d3とから、基板型治具7が最小移動位置に位置するときのフォトセンサ72の座標Se21,Se31(すなわち、回転軌跡324上の1点の座標)が算出される。
【0077】
続いて、算出された回転軌跡324上の3点の座標Se11,Se21,Se31から、図12に示すように、回転軌跡324の内接三角形T1が求められる。そして、内接三角形T1の各辺の垂直二等分線の交点の座標が、回転軌跡324の中心である回転軸J1の座標として算出される。また、内接三角形T1の3辺の長さから、正弦定理により回転軌跡324の半径Rtpが算出される。
【0078】
次に、半径Rtpを少しずつ変更し、上述の回転軸J1の座標、回転軌跡324の半径Rtp、および、上述の最小移動距離d1,d2,d3に基づいて、初期位置に位置する基板型治具7における3つのフォトセンサ72の座標Se10a,Se20a,Se30aが逆算される。続いて、逆算された座標Se10a,Se20a,Se30aに基づいて、3つのフォトセンサ72により形成される三角形73の各辺の長さが算出される。そして、算出された三角形73の各辺の長さが、実際の基板型治具7における三角形73の各辺の長さ(既知)に最も近くなる半径Rtpを、回転軌跡324の半径Rtとする。これにより、回転軌跡324の半径Rtの精度良く求めることができる。例えば、三角形73の各辺の算出値と実際の値との差の二乗和が最小になるように、回転軌跡324の半径Rtが決定される。その後、回転軌跡324の半径Rtを用いて求められた3つのフォトセンサ72の座標Se10a,Se20a,Se30aから、三角形73の重心位置と重なるハンド中心位置220が求められる。
【0079】
教示部63では、上記のように求められた回転軸J1の位置とハンド中心位置220とが比較され、回転軸J1の位置とハンド中心位置220とが平面視において重なる場合、現状のハンド226の位置を示す情報が、ハンド226および基板保持部32の平面視における適正な相対位置関係(すなわち、水平方向における適正な相対位置関係)を示す水平教示情報として生成される。一方、回転軸J1の位置とハンド中心位置220とが平面視において重なっておらず、ずれている場合、回転軸J1とハンド中心位置220とが平面視において重なるようにハンド226の水平方向の位置が調整され、調整後のハンド226の位置を示す情報が水平教示情報として生成される(ステップS14)。
【0080】
なお、ステップS14では、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置が算出されて水平教示情報が生成されるのであれば、当該相対位置の算出方法等は上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。
【0081】
また、ステップS14では、ハンド226および基板保持部32の相対位置の算出、並びに、ハンド226の上記位置調整が繰り返された後、水平教示情報が生成されてもよい。換言すれば、水平教示情報が生成されるよりも前に、ハンド226および基板保持部32の相対位置の算出、並びに、ハンド226の上記位置調整が繰り返されてもよい。具体的には、ハンド226の水平方向における上述の位置調整が終了した後、基板保持部32が回転されて回転軌跡324が再度形成され、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた再形成後の回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置が算出される。そして、ハンド中心位置220と回転軸J1の位置とが重なる場合、現状のハンド226の位置を示す情報が水平教示情報として生成される。また、ハンド中心位置220が回転軸J1からずれている場合、当該ずれが無くなるようにハンド226の位置調整が行われる。ハンド226および基板保持部32の相対位置の算出、並びに、ハンド226の位置調整は、例えば、所定回数繰り返される。その後、調整後のハンド226の位置を示す情報が水平教示情報として生成される。これにより、水平教示情報の精度を向上することができる。
【0082】
水平教示情報が生成されると、駆動制御部62によりセンターロボット22が制御されることにより、図9に示すハンド226に保持された基板型治具7が下方へと移動され、上下方向において基板保持部32に近づく。このとき、基板型治具7の中心70は、平面視において基板保持部32の回転軸J1に重なっている。そして、基板型治具7の接触センサ74により、基板保持部32が基板型治具7の下面71に接触したことが検出されると、ハンド226のみが所定の距離だけさらに下方へと移動した後、ハンド226の移動が停止される。教示部63では、停止したハンド226の上下方向の位置を示す情報が、ハンド226および基板保持部32の上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報として生成される(ステップS15)。換言すれば、教示部63は、接触センサ74からの出力に基づいて上下教示情報を生成する。
【0083】
ステップS15における基板型治具7と基板保持部32との接触検出は、具体的には、接触センサ74の複数のセンサ要素741のうち、ハンド226の2本の爪部228と接触しているセンサ要素741以外のセンサ要素741が、チャックピン323との接触を検出することにより行われる。
【0084】
このとき、単にチャックピン323との接触を検出するだけではなく、複数のチャックピン323の位置にそれぞれ対応する複数のセンサ要素741の全てにおいて、チャックピン323との接触が検出されているか否かが確認され、基板型治具7が基板保持部32に適正に保持されているか否かが判断されてもよい。また、センサ要素741として荷重を測定可能な圧力センサ等を用い、複数のチャックピン323とそれぞれ接触している複数のセンサ要素741において、測定される荷重が均等であるか否かが確認され、基板型治具7が基板保持部32に適正に保持されているか否かが判断されてもよい。いずれの場合も、上下教示情報の精度を向上することができる。
【0085】
また、複数のセンサ要素741は、図13に示すように、基板型治具7の下面71(すなわち、治具本体76の下面71)の外周部にて、ハンド226と接触する位置を避けて、基板型治具7の中心70を中心として略周状に配置されてもよい。図13に示す例では、複数のセンサ要素741は、ハンド226の2本の爪部228と接触する位置を避けて4つの円弧状に配置される。詳細には、複数のセンサ要素741は、治具本体76の下面71の外周部において、爪部228との4つの接触部を除いた略全周に亘って設けられる。当該基板型治具7がハンド226により保持される際には、センサ要素741と爪部228とが接触しないように、基板型治具7の向きが決定される。このように、接触センサ74が、治具本体76の下面71の外周部にて、ハンド226と接触する位置を避けて配置された複数のセンサ要素741を備えることにより、接触センサ74がハンド226との接触を検知しないため、接触センサ74とチャックピン323との接触を精度良く検出することができる。その結果、上下教示情報の精度を向上することができる。
【0086】
基板処理装置1では、教示部63により生成された上述の搬入教示情報、水平教示情報および上下教示情報は、上記処理ユニット21および搬送アーム221aに関する教示情報として、記憶部61に記憶される。当該教示情報は、当該処理ユニット21に対して搬送アーム221aのハンド226によって基板9を搬出入する際に用いられ、当該ハンド226による基板搬送位置が教示部63によりセンターロボット22に教示される。これにより、基板9のハウジング31への搬入、および、ハウジング31からの基板9の搬出の際に、基板9とハウジング31およびチャックピン323との衝突が防止される。また、ハンド226から基板保持部32に基板9が渡される際に、基板9が適正な位置に精度良く配置される。
【0087】
基板処理装置1では、搬送アーム221a(図2参照)により他の処理ユニット21へと基板型治具7が搬送され、上記と同様の手順(ステップS12~S15)にて、当該他の処理ユニット21および搬送アーム221aのハンド226に関する教示情報(すなわち、搬入教示情報、水平教示情報および上下教示情報)が生成される。そして、処理ブロック20の各処理ユニット21について、搬送アーム221aのハンド226に関する教示情報が生成されると、基板型治具7が搬送アーム221aのハンド226から、搬送アーム221b(図2参照)のハンド226へと移動されて保持される。上述のように、基板型治具7の厚さは、搬送アーム221a,221bのハンド226間の間隙(すなわち、ハンド間隙)の高さよりも薄いため、搬送アーム221bのハンド226により、基板型治具7を搬送アーム221aのハンド226等と干渉させることなく、容易に保持することができる。
【0088】
その後、搬送アーム221aのハンド226に関する教示情報の生成と同じ方法で、各処理ユニット21について、搬送アーム221bのハンド226に関する教示情報(すなわち、搬入教示情報、水平教示情報および上下教示情報)が生成される。搬送アーム221aから搬送アーム221bへの基板型治具7の受け渡しは、上述のストッカ700を介して行われる。具体的には、搬送アーム221aのハンド226に保持される基板型治具7がストッカ700へと搬入され、搬送アーム221aがストッカ700から退避した後、搬送アーム221bのハンド226がストッカ700へと挿入されて基板型治具7を保持する。なお、センターロボット22において、3本以上の搬送アームが設けられる場合も同様に、各処理ユニット21について、各搬送アームのハンド226に関する教示情報が生成される。
【0089】
以上に説明したように、基板処理装置1は、処理部(すなわち、処理ユニット21)と、搬送ロボット(すなわち、センターロボット22)と、教示部63とを備える。処理ユニット21は、基板9に所定の処理を施す。センターロボット22は、処理ユニット21に対して基板9を搬送する。処理ユニット21は、基板保持部32と、基板回転機構33とを備える。基板保持部32は、基板9を水平状態で保持する。基板回転機構33は、上下方向を向く回転軸J1を中心として基板保持部32を回転する。センターロボット22は、基板保持部32との間で基板9の受け渡しを行うハンド226を備える。
【0090】
基板処理装置1では、基板保持部32の上方に位置するハンド226により、非直線状に配置された3つの光学センサ(上記例では、フォトセンサ72)が下面71に設けられた基板型治具7が保持された状態で、基板回転機構33によって基板保持部32を回転させることにより、基板保持部32上に予め設けられている目印(上記例では、チャックピン323)の円周状の回転軌跡324が形成される。教示部63は、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置を算出し、ハンド226および基板保持部32の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する。教示部63は、処理ユニット21におけるセンターロボット22の基板搬送位置をセンターロボット22に教示する。
【0091】
これにより、教示用のターゲット治具を基板保持部32に設置する場合等に比べて、教示情報の生成処理を簡素化することができる。その結果、当該生成処理に要する時間を短縮しつつ、高精度な水平教示情報を得ることができる。したがって、ハンド226から基板保持部32への基板9の受け渡しの際に、高精度なハンド226の移動制御を実現することができる。
【0092】
上述のように、基板保持部32は、周状に配置された複数のチャックピン323により基板9の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、上記目印は、複数のチャックピン323のうち1つ以上のチャックピン323であることが好ましい。このように、基板保持部32において基板9の保持に必要な構成を、当該目印として兼用することにより、基板保持部32の構造を複雑化することなく、高精度な水平教示情報を得ることができる。
【0093】
上述のように、好ましくは、教示部63により算出されたハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置に基づいて、基板型治具7の中心70と回転軸J1とが平面視において重なるようにハンド226が移動され、基板回転機構33によって基板保持部32を回転させることにより、上記目印の回転軌跡324が再度形成される。そして、教示部63は、回転軌跡324の再形成後に、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置を再度算出し、水平教示情報を生成することが好ましい。これにより、水平教示情報が示すハンド226および基板保持部32の相対位置関係の精度を向上することができる。
【0094】
上述のように、センターロボット22は、上記ハンド226の下方に位置し、基板保持部32との間で基板9の受け渡しを行う他のハンド226をさらに備え、教示部63は、上記ハンド226に関する水平教示情報と同じ方法で当該他のハンド226に関する他の水平教示情報を生成することが好ましい。これにより、複数のハンド226を備えるセンターロボット22において、最上段のハンド226の水平教示情報を上下方向にオフセットしたものを他のハンド226の水平教示情報として用いる場合に比べて、複数のハンド226のそれぞれの特性に応じた高精度なハンド226の移動制御を実現することができる。
【0095】
上述のように、基板型治具7の下面71には、基板保持部32との接触を検出する接触センサ74が設けられることが好ましい。そして、センターロボット22は、ハンド226を基板保持部32に対して上下方向において近づけ、教示部63は、接触センサ74からの出力に基づいて、ハンド226および基板保持部32の上下方向における適正な相対位置関係を示す上下教示情報を生成することが好ましい。これにより、上下教示情報を簡素な構成により容易に生成することができる。その結果、ハンド226から基板保持部32への基板9の受け渡しの際に、より高精度なハンド226の移動制御を実現することができる。
【0096】
上述のように、基板保持部32は、周状に配置された複数のチャックピン323により基板9の外周部を機械的に保持するメカニカルチャックであり、接触センサ74は、基板型治具7の下面71の外周部にて周状に配置された複数のセンサ要素741を備えることが、さらに好ましい。これにより、複数のチャックピン323による基板型治具7の保持状態を精度良く検出し、上下教示情報が示すハンド226および基板保持部32の相対位置関係の精度を向上することができる。
【0097】
上述のように、処理ユニット21は、基板保持部32を内部に収容するとともに基板9の搬入用の開口311を有するハウジング31をさらに備える。好ましくは、ハンド226がハウジング31の開口311に挿入される際に、ハンド226および開口311の相対位置を示す撮像画像が取得され、教示部63は、当該撮像画像に基づいて、ハンド226および開口311の適正な相対位置関係を示す搬入教示情報を生成する。これにより、搬入教示情報を容易に生成することができる。その結果、基板9のハウジング31に対する搬出入の際に、高精度なハンド226の移動制御を実現することができる。
【0098】
より好ましくは、当該撮像画像は、ハンド226または基板型治具7に設けられたカメラ75により撮像された開口311の画像である。これにより、複数のカメラを用いることなく、複数の処理ユニット21に関する搬入教示情報を生成することができる。すなわち、搬入教示情報の生成に要する構成を簡素化することができる。
【0099】
上述の教示情報生成方法は、基板9に所定の処理を施す処理部(すなわち、処理ユニット21)と、処理ユニット21に対して基板9を搬送する搬送ロボット(すなわち、センターロボット22)と、を備える基板処理装置1において、処理ユニット21におけるセンターロボット22の基板搬送位置を教示する教示情報を生成する方法である。処理ユニット21は、基板9を水平状態で保持する基板保持部32と、上下方向を向く回転軸J1を中心として基板保持部32を回転する基板回転機構33と、を備え、センターロボット22は、基板保持部32との間で基板9の受け渡しを行うハンド226を備える。
【0100】
当該教示情報生成方法は、非直線状に配置された3つの光学センサ(上記例では、フォトセンサ72)が下面71に設けられた基板型治具7をハンド226により保持する工程(ステップS11)と、基板回転機構33によって基板保持部32を回転させることにより、基板保持部32上に予め設けられている目印(上記例では、チャックピン323)の円周状の回転軌跡324を形成する工程(ステップS13)と、基板保持部32の上方に位置する基板型治具7の3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置を算出し、ハンド226および基板保持部32の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する工程(ステップS14)と、を備える。これにより、上述のように、教示情報の生成処理を簡素化することができる。その結果、当該生成処理に要する時間を短縮しつつ、高精度な水平教示情報を得ることができる。
【0101】
上述の基板型治具7は、必ずしも、基板処理装置1の立ち上げ時から基板処理装置1内に準備されている必要はない。例えば、略円板状の治具本体76と、治具本体76の下面71に非直線状に配置された3つの光学センサ72とを備える基板型治具7が、既に使用されている基板処理装置1に導入(すなわち、レトロフィット)され、教示情報の生成に利用されてもよい。この場合であっても、上記と同様に、教示情報の生成処理を簡素化することができる。その結果、当該生成処理に要する時間を短縮しつつ、高精度な水平教示情報を得ることができる。
【0102】
また、上述のプログラム89(すなわち、教示情報生成用のプログラム)は、必ずしも、基板処理装置1の立ち上げ時からコンピュータ8に記憶されている必要はない。例えば、ハンド226および基板保持部32の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成するプログラム89を記憶する記憶媒体80と、非直線状に配置された3つの光学センサ(上記例では、フォトセンサ72)が下面71に設けられた基板型治具7と、を備える教示セットが、既に使用されている基板処理装置1に導入(すなわち、レトロフィット)されてもよい。この場合、当該プログラム89がコンピュータ8によって実行されることにより、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた上述の回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の基板保持部32に対する平面視における相対位置が算出され、水平教示情報が生成される。これにより、上記と同様に、教示情報の生成処理を簡素化することができる。その結果、当該生成処理に要する時間を短縮しつつ、高精度な水平教示情報を得ることができる。
【0103】
基板処理装置1では、処理ユニット21の基板保持部32は、必ずしもメカニカルチャックである必要はなく、水平教示情報の生成に用いられる目印もチャックピン323である必要はない。例えば、図14に示すように、上面に複数の吸引口325が設けられて基板9を吸着して保持するバキュームチャックが、基板保持部32aとして処理ユニット21(図4参照)に設けられてもよい。この場合、複数の吸引口325のうち1つ以上の吸引口325が上記目印とされる。これにより、上記と同様に、基板保持部32aの構造を複雑化することなく、高精度な水平教示情報を得ることができる。なお、水平教示情報の生成に用いられる目印は、例えば、複数の吸引口325のうち、回転軸J1を中心とする径方向において最も外側に位置する1つの吸引口325、または、当該径方向において最も外側に位置する同一円周上に配置された2以上の吸引口325である。
【0104】
基板処理装置1では、図15に示すように、ハンド226との間で基板9を受け渡しする複数の支持ピン326が、基板保持部32に設けられてもよい。図15に示す例では、3つの支持ピン326が、回転軸J1を中心とする同一円周上に配置される。複数の支持ピン326は、基板保持部32のベース321に設けられた穴327に挿入され、ベース321の上面から上方へと突出可能である。複数の支持ピン326は、複数のチャックピン323よりも上方にてハンド226から基板9を受け取り、下方へと移動することにより、基板9を複数のチャックピン323に渡す。また、複数の支持ピン326は、複数のチャックピン323から基板9を受け取って上方へと移動し、複数のチャックピン323の上方において、基板9をハンド226へと渡す。
【0105】
複数の支持ピン326は、ベース部321や複数のチャックピン323と共に回転してもよく、回転しなくてもよい。複数の支持ピン326が回転する場合、複数の支持ピン326のうち1つ以上の支持ピン326が上記目印とされてもよい。また、複数の支持ピン326が回転しない場合、複数の支持ピン326が挿入されるベース321の複数の穴327のうち1つ以上の穴327が上記目印とされてもよい。いずれの場合も、上記と同様に、基板保持部32の構造を複雑化することなく、高精度な水平教示情報を得ることができる。なお、複数の支持ピン326が基板保持部32に設けられる場合、接触センサ74は、基板型治具7の下面71において、複数の支持ピン326と対応する位置に設けられる。
【0106】
基板処理装置1では、水平教示情報の生成に用いられる目印は、必ずしも基板保持部32上に設けられる必要はない。例えば、処理ユニット21において、基板保持部32以外にも回転軸J1を中心として回転する構成(以下、「回転部」とも呼ぶ。)が設けられる場合、上記目印は、基板保持部32以外の回転部上に設けられてもよい。また、基板型治具7に設けられるフォトセンサ72は、当該回転部と基板型治具7との位置関係に合わせて、基板型治具7の下面71以外の位置に配置されてもよい。基板型治具7の平面視における形状も、基板9と同形状でなくてもよい。
【0107】
この場合も、基板処理装置1は、処理部(すなわち、処理ユニット21)と、搬送ロボット(すなわち、センターロボット22)と、教示部63とを備える。処理ユニット21は、基板9に所定の処理を施す。センターロボット22は、処理ユニット21に対して基板9を搬送する。教示部63は、処理ユニット21におけるセンターロボット22の基板搬送位置をセンターロボット22に教示する。処理ユニット21は、基板保持部32と、基板回転機構33とを備える。基板保持部32は、基板9を水平状態で保持する。基板回転機構33は、上下方向を向く回転軸J1を中心として基板保持部32を回転する。センターロボット22は、基板保持部32との間で基板9の受け渡しを行うハンド226を備える。処理ユニット21では、回転軸J1を中心として基板保持部32以外の回転部も回転される。
【0108】
基板処理装置1では、基板保持部32の上方に位置するハンド226により、非直線状に配置された3つのフォトセンサ72が設けられた基板型治具7が保持された状態で、上記回転部を回転させることにより、当該回転部上に予め設けられている目印の円周状の回転軌跡324が形成される。教示部63は、3つのフォトセンサ72からそれぞれ得られた回転軌跡324に対する相対位置に基づいて、ハンド226の回転軸J1に対する平面視における相対位置を算出し、ハンド226および基板保持部32の平面視における適正な相対位置関係を示す水平教示情報を生成する。
【0109】
これにより、上記と同様に、教示情報の生成処理を簡素化することができる。その結果、当該生成処理に要する時間を短縮しつつ、高精度な水平教示情報を得ることができる。なお、上記回転部としては、例えば、回転軸J1を中心として回転可能に構成されたカップ部34が挙げられる。この場合、上記目印は、例えば、回転可能なカップ部34の上縁上の設けられた構成であってもよく、当該上縁全体であってもよい。
【0110】
上述の基板処理装置1、教示情報生成方法および教示セットでは、様々な変更が可能である。
【0111】
例えば、搬入教示情報の生成に利用されるカメラ75は、必ずしも、ハンド226または基板型治具7に設けられる必要はなく、処理ブロック20の適切な位置に固定されていてもよい。この場合、複数の処理ユニット21の開口311を撮像するために必要であれば、2台以上のカメラ75が設けられてもよい。
【0112】
基板型治具7の平面視における形状は、略円形以外の形状であってもよい。基板型治具7の厚さは、ハンド間隙の高さ以上であってもよい。この場合、下側の搬送アーム221bのハンド226で基板型治具7を保持することができなければ、上側の搬送アーム221aのハンド226に関して取得された教示情報(すなわち、搬入教示情報、水平教示情報および上下教示情報)を上下方向にオフセットしたものを、下側の搬送アーム221bのハンド226に関する教示情報として使用することができる。
【0113】
上述のように、基板型治具7では、フォトセンサ72に代えて、CMOSセンサまたはCCDセンサを有するカメラ等の他の光学センサが設けられてもよい。この場合であっても、当該基板型治具7を用いることにより、上記と同様に、教示情報の生成処理を簡素化することができる。上記光学センサとしてCMOSセンサを有するカメラが利用される場合、チャックピン323等の目印の検出は、当該カメラにより取得された画像と、チャックピン323の基準画像とのパターンマッチング等により行われてもよい。なお、上記光学センサとしてフォトセンサ72が用いられることにより、基板型治具7の構造を簡素化することができるとともに、教示情報の生成における光学センサからの情報の処理を簡素化することもできる。
【0114】
基板型治具7では、上下教示情報の生成に利用される接触センサ74は、必ずしも複数のセンサ要素741を備えている必要はなく、例えば、基板型治具7の下面71の外周部において、ハンド226の爪部228と接触する位置を避けた位置に1つの接触センサ74が設けられ、当該接触センサ74により、基板型治具7と1つのチャックピン323との接触が検出されてもよい。この場合も、接触センサ74によりハンド226との接触が検知されないため、接触センサ74とチャックピン323との接触を精度良く検出することができる。その結果、上下教示情報の精度を向上することができる。
【0115】
教示部63により生成される教示情報は、少なくとも水平教示情報を含んでいれば、搬入教示情報および/または上下教示情報は含まれていなくてもよい。すなわち、搬入教示情報は、カメラ75を用いた教示部63による上記生成方法とは異なる方法により生成されてよい。また、上下教示情報は、基板型治具7を用いた教示部63による上記生成方法とは異なる方法により生成されてよい。この場合、接触センサ74は基板型治具7から省略されてもよい。
【0116】
上述の教示セットは、複数の基板型治具7を含んでいてもよい。
【0117】
基板処理装置1では、センターロボット22の構造は様々に変更されてよい。また、センターロボット22のハンド226の形状および構造は、様々に変更されてよい。例えば、ハンド226の平面視における形状は、基板9および基板型治具7の外周縁部に略全周に亘って接触する略円周状であってもよい。なお、インデクサロボット12の構造も様々に変更されてよい。
【0118】
基板処理装置1の処理ブロック20には、処理ユニット21以外の様々な構造の処理ユニットが設けられてよい。また、当該処理ユニットにおいて、基板9に対する様々な処理が行われてよい。
【0119】
上述の基板処理装置1は、半導体基板以外に、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の平面表示装置(Flat Panel Display)に使用されるガラス基板、あるいは、他の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。また、上述の基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0120】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0121】
1 基板処理装置
7 基板型治具
8 コンピュータ
9 基板
21 処理ユニット
22 センターロボット
31 ハウジング
32,32a 基板保持部
33 基板回転機構
34 カップ部
63 教示部
70 (基板型治具の)中心
71 (基板型治具の)下面
72 フォトセンサ
74 接触センサ
75 カメラ
80 記憶媒体
89 プログラム
226 ハンド
311 開口
323 チャックピン
324 回転軌跡
325 吸引口
741 センサ要素
J1 回転軸
S11~S15 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15