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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148248
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】フードロス防止システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049860
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】新井 智之
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 智洋
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フードロスを解消できるフードロス防止システムを提供する。
【解決手段】フードロス防止システムにおいて、情報処理装置50は、食事量を自動計測する食事量計測部53a、計測データに基づき食事の分類を設定する分類部53b、計測した食事量と、該食事量と関連する他の情報とを対応付ける対応付け部53c、食事量に基づき推薦食事量を求める解析部53d、食事情報におけるユーザの認識情報からユーザを特定する判定部53e及び出力制御部53fを有する制御部53と、ユーザの認識情報、ユーザにおける食事量及びその計測タイミングを対応付けて食事情報を記憶する記憶部54と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食事量を自動計測する取得部と、
前記食事量に基づき推薦食事量を求める解析部と、を備えている、フードロス防止システム。
【請求項2】
ユーザの認識情報と、前記ユーザの前記食事量及び前記食事量の計測タイミングとを対応付けて食事情報として記憶する記憶部を備え、
前記解析部は、前記ユーザの過去における前記食事量に基づいて前記推薦食事量を求める、請求項1に記載のフードロス防止システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記食事情報に前記ユーザにおける前記食事量の計測回数を対応付け、且つ、前記ユーザとは異なる第2ユーザの前記食事情報を記憶し、
前記計測回数を所定の閾値と比較する判定部を更に備え、
前記判定部にて前記計測回数が前記閾値以下と判定した場合、前記解析部は、前記第2ユーザの前記食事情報に基づき前記推薦食事量を求める、請求項2に記載のフードロス防止システム。
【請求項4】
前記推薦食事量を出力する出力部を更に備えている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフードロス防止システム。
【請求項5】
前記取得部による計測データに基づき、分類情報の付与によって前記食事量を複数種類に分ける分類部を更に備え、
前記解析部は、前記推薦食事量を前記分類情報毎に分けて求める、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のフードロス防止システム。
【請求項6】
前記解析部は、提供された食事に応じて前記ユーザから入力された満腹度に基づき、前記推薦食事量を求める、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のフードロス防止システム。
【請求項7】
前記解析部は、前記ユーザの体調に関する情報に基づき、前記推薦食事量を調整する、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のフードロス防止システム。
【請求項8】
前記解析部は、天候を含む環境に関する情報に基づき、前記推薦食事量を調整する、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のフードロス防止システム。
【請求項9】
前記取得部は、画像を取得して前記画像から前記食事量を求める機能を更に備え、
前記解析部は、前記画像によって得られた前記食事量も含めた情報に基づき前記推薦食事量を求める、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のフードロス防止システム。
【請求項10】
画像を取得する取得部と、
前記画像によって得られた食事量に基づき推薦食事量を求める解析部と、を備えている、フードロス防止システム。
【請求項11】
前記取得部により取得された画像に基づき、分類情報の付与によって前記食事量を複数種類に分ける分類部を更に備え、
前記解析部は、前記推薦食事量を前記分類情報毎に分けて求める、請求項10に記載のフードロス防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食事の分量を調整してフードロスを防止するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本来食べられる食品や食事が廃棄されてしまうフードロス(食品ロス)が問題となっている。フードロスにおいては、大量の廃棄食糧を処分する資源やエネルギーが必要になり、焼却処分する場合には、大量の二酸化炭素が排出される、という問題がある。ここで、フードロスが発生する原因として、提供される食事が多いために食べ残してしまうことが挙げられる。
【0003】
ところで、食事に関するシステムとして、特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1は、ユーザの食事履歴を取得し、かかる食事履歴に基づいてユーザに推奨するメニュー情報を提供している。
【0004】
また、食事に関するシステムとしては、特許文献1の他に特許文献2に開示された技術も知られている。特許文献2は、食事の重さを電気的に測定する電子秤を用いて被管理者の食事摂取量を求め、該食事摂取量の過不足量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-181491号公報
【特許文献2】特開平11-161728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、個々のユーザに適した食事メニューの情報を提供しているが、食事や食品の廃棄やフードロスを解消する観点は全くないものである。本発明者は、食事の食べ残しを抑制する観点からフードロスを解消できる技術を開発したものである。
【0007】
また、特許文献2にあっては、食事摂取量を求めるために電子秤に食事を載せる手間がかかるだけでなく、電子秤を設置するスペースを確保する必要がある、という問題がある。更に、引用文献2においても、フードロスを解消する観点は全くない。
【0008】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、フードロスを解消することができるフードロス防止システムを提供することを目的とする。また、本開示は、食事量を簡単に計測でき、計測用にスペースを確保する必要をなくすことができるフードロス防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示における一態様のフードロス防止システムは、食事量を自動計測する取得部と、前記食事量に基づき推薦食事量を求める解析部と、を備えている。
【0010】
また、本開示における一態様のフードロス防止システムは、画像を取得する取得部と、前記画像によって得られた食事量に基づき推薦食事量を求める解析部と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、食事量を自動的に取得して解析でき、推奨する食事量を提供することができるので、食事量について不足感がないようにしつつ食べ残しを抑制してフードロスを防止することが可能となる。また、取得部を介して食事量を自動計測するので、食事量を簡単に取得することができる。更に、画像取得によって食事量を計測することで、従来の電子秤のように計測用にスペースを確保する必要をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係るフードロス防止システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】実施の形態に係る計測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】実施の形態に係る計測装置を例示した説明図である。
図4図4A及び図4Bは、実施の形態に係る他の計測装置を例示した説明図である。
図5図5Aは、実施の形態に係るユーザ端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図5Bは、実施の形態に係る環境値検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図5Cは、実施の形態に係る出力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6図6Aは、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図6Bは、前記情報処理装置における制御部の機能ブロックの一例を示す図である。
図7】実施の形態に係る情報処理装置で処理する食事情報の一例を示す図である。
図8】実施の形態に係るシステムの推薦食事量の処理の流れを示すフロー図である。
図9】前記フードロス防止システムを構成する各装置を実現するための情報機器のハードウェア構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施の形態に係るフードロス防止システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示すシステム(フードロス防止システム)100は、ユーザの食事量を計測して解析し、食べ残しが発生しないように推薦する食事量を求めて報知(出力)できるフードロス防止システムの一例である。まず、図1を参照しながら、システム100の構成について説明する。
【0014】
システム100は、食事量(食事の分量)を自動計測するための計測装置10と、計測装置10で取得したデータ、信号、指令等の情報(以下、単に「情報」とする場合がある)を処理する情報処理装置50とを備えている。また、システム100は、ユーザに所持されるユーザ用端末装置(端末装置)20や、屋外や屋内に設置される環境値検出装置30を備えているとよい。更に、システム100は、情報処理装置50で処理した情報を出力する出力装置40を有しているとよい。
【0015】
システム100を構成する各装置は、ネットワーク60を介して通信可能に接続されている。各装置間の通信は、図示しない他の装置を介在して行われてもよい。また、各装置間の通信は、アドホック通信モードで直接に行われてもよい。ここで、通信は、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。また、無線通信と有線通信の組み合わせであってもよい。
【0016】
システム100では、計測装置10で計測された情報が情報処理装置50にて記憶されて蓄積される。また、ユーザ用端末装置20や環境値検出装置30で取得された情報が情報処理装置50にて記憶されて蓄積されるとよい。情報処理装置50は、蓄積された情報からユーザに推奨する推奨食事量を解析し、出力装置40に送信する。出力装置40は、情報処理装置50から送信された推奨食事量を出力する。
【0017】
図1における計測装置10については、例示したものであり、図示した構成に限定されるものでない。また、ユーザは1名に限られず多数としてもよく、これに応じて、ユーザ用端末装置20も増設される。更に、図1では、環境値検出装置30及び出力装置40をそれぞれ1台とした場合が例示されているが、複数台設置されるとよい。
【0018】
続いて、システム100の構成についてさらに詳細に説明する。図2は、実施の形態に係る計測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0019】
[計測装置10]
図2に示すように、計測装置10は、食事量を自動計測するための情報を取得する取得部11と、取得部11によって得られた情報を情報処理装置50等に送信する通信部12と、計測装置10の各部を制御する制御部13とを備えている。
【0020】
取得部11は、各種の質量、重量を計測したり、かかる計測に用いられる情報を取得したりする。例えば、取得部11は、食事量として食事の質量を計測する。取得部11は、食事量を含む食事情報を取得するために用いてもよい。
【0021】
本実施の形態において、食事情報としては、食事量の他、例えば、ユーザの認識情報や計測装置10の識別情報、食事量を計測した日付及び時刻、食事の分類(料理区分となる主食、主菜、副菜、水分)を例示できる。また、食事情報には、後述するユーザの体調に関する情報及び環境に関する情報の他、食事に対するユーザの満腹度を含めるとよい。食事情報に含まれる例示した情報は適宜互いに対応付けるとよい。
【0022】
取得部11は、例えば、食事量(食事の質量)を計測データとして計測する質量センサを用いることが例示できる。また、取得部11は、例えば、撮像装置であってもよい。取得部11を撮像装置とした場合、例えば、撮像装置で食事の一部または全体を撮影し、かかる撮影によって取得された計測データとなる画像を解析することで、食事量を計測することができる。取得部11は、取得した計測データに計測装置10の識別情報を対応付けてもよい。
【0023】
取得部11は、食事の質量を計測する場合、ユーザが質量測定用の秤に載せる等、食事の質量を数値化する行動を行わずに質量を自動的に取得(計測)して出力できる限りにおいて、例示した手段以外の実現手段でもよい。また、取得部11は、食事量を計測するために画像を取得する場合、画像取得のための専用の設置スペースを確保する必要がない限りにおいて、例示した手段以外の実現手段でもよい。
【0024】
通信部12は、通信インタフェースであり、制御部13の制御に基づいてネットワーク60に接続し、情報処理装置50と情報を送信する。通信部12は、システム100に含まれる各装置に対し、情報の送受信をできるようにしてもよい。
【0025】
制御部13は、中央処理装置(CPU)等からなり、計測装置10の各部の制御を介して全体を制御する。制御部13は、取得部11による情報の取得開始タイミング等を制御するとよい。また、制御部13は、取得部11により取得した食事量、食事情報等の情報を適宜情報処理装置50に送信するよう通信部12を制御する。
【0026】
図3は、実施の形態における計測装置を例示した説明図である。図3に示すように、計測装置10Aは、複数の食器201それぞれの底部に設ける構成の他、各食器201が配置されるトレー202の底部に設ける構成を例示できる。計測装置10Aは、食器201やトレー202に収容した(置いた場合も含む)食事F1~F4の質量を質量センサで計測することができる。言い換えると、計測装置10Aの取得部11は質量センサによって構成され、食事F1~F4の質量を計測データとして出力する。
【0027】
トレー202の計測装置10Aでは、例えば、トレー202の底部における複数箇所(図3では3箇所)に取得部11が分散配置される。図3では、食器201及びトレー202の両方に計測装置10Aを設けたが、何れか一方にて計測装置10Aを省略してもよい。
【0028】
計測装置10Aにおける取得部11は、制御部13の制御下で、食事の前に食器201やトレー202に収容した食事F1~F4の質量を計測する。また、計測装置10Aは、制御部13の制御下で、食事の後に食器201やトレー202に残る食事F1~F4の質量を計測してもよい。食事後の食事F1~F4の質量を計測した場合は、食事の前後の質量を差し引いて食事量を求めてもよい。
【0029】
計測装置10Aは、食器201やトレー202に対し着脱自在に設けられるとよく、メンテナンスや、食器201及びトレー202の洗浄を行い易くすることができる。計測装置10Aは、電源として、バッテリーを内蔵する他、圧電素子や摩擦帯電、静電誘導により発電する機構を内蔵するようにしてもよい。
【0030】
また、図3には、他の計測装置10Bとして、撮影機能及び通信機能を備えたスマートフォン等の情報機器を用いることを例示している。計測装置10Bは、特に限定しないが、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、モバイルPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラなどの情報機器により構成される。
【0031】
計測装置10Bは、撮影機能を備えたカメラ(撮像装置)によって取得部11が構成される。よって、計測装置10Bの取得部11は、食事F1~F4を撮影した画像を計測データとして出力する。食事F1~F4の画像を計測データとする場合は、かかる画像を計測装置10Bにて実行されるアプリケーションや情報処理装置50にて解析することで食事量を求めるとよい。
【0032】
トレー202は所定サイズのマーカー203を有してもよい。マーカー203と共に食事F1~F4を撮影した画像を解析することで、マーカー203との比較によって食事F1~F4のサイズを判定し、食事F1~F4の食事量を求めるようにしてもよい。図3の計測装置10A及び計測装置10Bは、両方を同時に使用してもよいし、何れか一方を使用してもよい。
【0033】
図4A及び図4Bは、実施の形態における他の計測装置を例示した説明図である。図4Aに示すように、計測装置10Cは、建物210の入口211における床に設置され、入口211を通過して入退室するユーザ(人)の体重を計測する構成が例示できる。言い換えると、計測装置10Cの取得部11は体重センサによって構成され、ユーザの体重を計測データとして出力する。
【0034】
建物210は、食事を行う場所であればよく、屋内施設、屋外施設の何れでもよい。例えば、建物210は、食事を提供する飲食店、食堂、病院、介護施設としたり、住居としたりしてもよい。
【0035】
計測装置10Cにおける取得部11は、制御部13の制御下で、食事の前に入口211を通過して建物210に入るタイミングと、食事の後に入口211を通過して建物210を出るタイミングの両方でユーザの体重を計測する。そして、食事の前後の体重を差し引いてユーザの食事量を求めることができる。
【0036】
図4Bに示すように、計測装置10Dは、椅子220の座面に設置され、かかる座面に着座したユーザ(人)の体重を計測する構成が例示できる。言い換えると、計測装置10Dの取得部11は体重センサによって構成され、ユーザの体重を計測データとして出力する。
【0037】
計測装置10Dにおける取得部11は、制御部13の制御下で、食事の前に椅子220に座るタイミングと、食事の後に椅子220から立ち上がるタイミングの両方で体重を計測する。そして、食事の前後の体重を差し引いてユーザの食事量を求めることができる。
【0038】
[ユーザ用端末装置20]
図5Aは、実施の形態に係るユーザ端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図5Aに示すように、ユーザ用端末装置20は、取得部21と、通信部22と、制御部23とを有する。また、ユーザ用端末装置20は、ユーザ特定部24と、満腹度入力部25とを更に有する構成としてもよい。ユーザ用端末装置20は、特に限定しないが、例えば、モバイルPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機などの情報機器により構成され、後述する各種センサを備えている。
【0039】
ユーザ用端末装置20の取得部21は、ユーザの体調に関する情報を取得する。体調に関する情報としては、血圧、体温、心拍数、活動量(移動距離)、歩数やそれら以外のバイタルデータを例示できる。よって、取得部21は、血圧センサ、温度(体温)センサ、心拍センサ、加速度センサ、傾斜センサ、皮膚電気活動センサ等によって構成することができる。
【0040】
ユーザ用端末装置20の通信部22は、通信インタフェースである。通信部22は、制御部23の制御に基づいてネットワーク60に接続し、情報処理装置50へ情報を送信する。通信部22は、システム100に含まれる各装置に対し、情報の送受信をできるようにしてもよい。ユーザ用端末装置20の制御部23は、CPUまたはプログラマブルなデバイス等からなり、ユーザ用端末装置20の各部の制御を介して全体を制御する。制御部23は、取得部21による情報の取得開始タイミングや取得間隔等を制御するとよい。また、制御部23は、取得部21により取得した血圧や体温等の情報を適宜情報処理装置50に送信するよう通信部22を制御する。
【0041】
ユーザ特定部24は、ユーザ用端末装置20を所持するユーザを特定するための認識情報を出力する。例えば、ユーザ特定部24は、計測装置10による計測に応じたタイミングやユーザの所定操作に応じ、通信部22を介して情報処理装置50に認識情報を送信してもよい。
【0042】
満腹度入力部25は、所持するユーザによって、食事量を取得、計測した食事後の満腹度が入力される。満腹度は、1回の食事の分量がどの程度多かったり少なかったりするかを複数にランク分けしたユーザによる評価や、ユーザが点数や百分率で評価として数値化することが例示できる。満腹度入力部25は、ユーザが入力した満腹度を、通信部22を介して情報処理装置50に送信するとよい。
【0043】
ユーザ用端末装置20は、カメラを有する計測装置10B(図3参照)と同一の情報機器に含ませて機能させるようにしてもよい。また、ユーザ用端末装置20において、ユーザ特定部24や満腹度入力部25は、その他の機能部と別の構成、装置、情報機器に分けて設けてもよい。例えば、ユーザ特定部24は、IDコードが表示されるカードやスマートフォン等としてもよく、該IDコードが所定の読み取り装置で読み取られて情報処理装置50に認識情報を送信及び記憶されるようにしてもよい。
【0044】
[環境値検出装置30]
図5Bは、実施の形態に係る環境値検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図5Bに示すように、環境値検出装置30は、取得部31と、通信部32と、制御部33とを有する。取得部31は、天候やユーザへの外的要因等の環境に関する情報を取得する。環境に関する情報としては、気温、湿度、気圧、風量、降水量やそれら以外の天候データを例示できる。よって、取得部31は、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、風力センサ、雨量センサ等によって構成することができる。また、取得部31は、通信部32及びネットワーク60を介してインターネット網に接続し、環境に関する情報を提供するサイトから環境に関する情報を取得してもよい。
【0045】
環境値検出装置30の通信部32は、通信インタフェースであり、制御部33の制御に基づいてネットワーク60に接続し、情報処理装置50へ情報を送信する。通信部32は、システム100に含まれる各装置に対し、情報の送受信をできるようにしてもよい。環境値検出装置30の制御部33は、CPUまたはプログラマブルなデバイス等からなり、環境値検出装置30の各部の制御を介して全体を制御する。制御部33は、取得部31による情報の取得開始タイミングや取得間隔等を制御するとよい。また、制御部33は、取得部31により取得した気温や湿度等の情報を適宜情報処理装置50に送信するよう通信部32を制御する。
【0046】
[出力装置40]
図5Cは、実施の形態に係る出力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図5Cに示すように、出力装置40は、通信部42と、出力部44と、制御部43とを有する。出力装置40は、食事の提供者(人)に対して情報を出力して報知する装置である。出力装置40は、特に限定しないが、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、モバイルPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機などの情報機器により構成される。
【0047】
出力装置40の通信部42は、通信インタフェースであり、制御部43の制御に基づいてネットワーク60に接続し、情報処理装置50からの情報を受信する。通信部42は、システム100に含まれる各装置に対し、情報の送受信をできるようにしてもよい。
【0048】
出力部44は、食事の提供者に情報を出力できれば、視覚的に提示されてもよく、聴覚的に提示されてもよい。出力部44は、例えば、ARグラスやディスプレイを備えた表示デバイスであってもよく、情報を表示することで食事の提供者に情報を把握できるようにしてもよい。出力部44は、例えば、プリンタを介して所定用紙に印刷して出力してもよい。出力部44は、例えば、スピーカを備えた音声出力デバイスであってもよく、音声や呼び出し音などを出力することで食事の提供者に情報を把握できるようにしてもよい。出力部44では、通信部42にて情報処理装置50から推薦食事量等の情報を受信すると、かかる情報を食事の提供者に伝えるために出力する。
【0049】
出力装置40の制御部43は、CPUまたはプログラマブルなデバイス等からなり、出力装置40の各部の制御を介して全体を制御する。制御部43は、通信部42を介して受信した情報処理装置50からの情報を適宜出力部44で出力するよう制御するとよい。制御部43は、出力部44による情報の表示、音声出力等を制御するとよい。
【0050】
[情報処理装置50]
情報処理装置50は、食事情報に基づき、ユーザへの推薦食事量を求める処理を実施する装置である。情報処理装置50は、特に限定しないが、例えば、サーバコンピュータ(タワー型サーバ、ラックマウント型サーバ、ブレード型サーバ)、パーソナルコンピュータ(デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ)であってもよい。また、情報処理装置50は、推薦食事量を求めるために十分な処理能力を有する限り、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラなど、その他の情報機器であってもよい。
【0051】
図6Aは、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図6Aに示すように、情報処理装置50は、通信部52、記憶部54及び制御部53を備えている。
【0052】
通信部52は、通信インタフェースであり、制御部53の指令に従ってネットワーク60に接続し、計測装置10、ユーザ用端末装置20及び環境値検出装置30からの情報を受信し、出力装置40へ情報を送信する。通信部52は、システム100に含まれる各装置に対し、情報の送受信をできるようにしてもよい。
【0053】
記憶部54は、計測装置10、ユーザ用端末装置20及び環境値検出装置30から送信されて対応付けた食事情報(図4参照)や、情報処理装置50で求めた推薦食事量等を記憶する。また、記憶部54は、制御部53が各種の演算、制御を行うためのプログラムや、アプリケーションとして機能するためのプログラム、データ等を記憶する。記憶部54は、ユーザの認識情報に関連付けられる該ユーザの年齢、身長、体重等、食事量に影響を及ぼす情報を記憶する。
【0054】
制御部53は、CPUまたはプログラマブルなデバイス等により構成され、情報処理装置50の各部の制御を介して全体を制御する。情報処理装置50は、制御部53の制御下で、通信部52を介して計測装置10等から送信される情報を受信し、受信した情報を解析して推薦食事量を求めるための処理等を行う。また、情報処理装置50は、制御部53の制御下で、求めた推薦食事量を記憶部54で記憶し、記憶部54に記憶された推薦食事量を通信部52によって出力装置40に送信する。
【0055】
[情報処理装置50の制御部53]
図6Bは、前記情報処理装置における制御部の機能ブロックの一例を示す図である。図6Bに示すように、情報処理装置50の制御部53は、食事量計測部53a、分類部53b、対応付け部53c、解析部53d、判定部53e、及び出力制御部53fとして機能する。これらの機能ブロックは、記憶部54に記憶された推薦食事量を求めるためのプログラムが制御部53によって実行されることによって実現される。なお、図6Bに示す制御部53は、上記各機能ブロックに加え、その他の機能ブロックを備えてもよい。
【0056】
食事量計測部53aは、計測装置10の取得部11で取得した情報に基づき食事量を計測する。
【0057】
例えば、食器201やトレー202に設けた計測装置10A(図3参照)の場合、食事量計測部53aは、質量センサとなる取得部11が取得した質量データ(計測データ)から予め記憶した食器201やトレー202の質量を差し引いて食事量を計測してもよい。取得部11で食器201やトレー202の質量を差し引いた質量データを取得できれば、食事量計測部53aは、該質量データを食事量とすることができる。また、例えば、食器201やトレー202に設けた計測装置10Aが食事の前後で質量データを取得する場合、食事の前の質量データから食事後の質量データを差し引いて食事量を計測する。このとき、食事量計測部53aは、食事後の質量データを食事残量として計測することができる。
【0058】
また、例えば、取得部11をカメラとした計測装置10B(図3参照)を用いる場合、食事量計測部53aは、食事F1~F4を撮影した画像(計測データ)を解析して食事量を計測してもよい。かかる画像解析は、AI(人工知能)を用いることが例示できる。食事量計測部53aは、マーカー203と共に食事F1~F4を撮影した画像を解析することで、マーカー203との比較によって食事F1~F4のサイズを判定し、食事F1~F4の食事量を計測してもよい。また、食事量計測部53aは、撮影した画像から食事の種類を解析し、種類毎に異なる係数を乗じて食事量を計測してもよい。例えば、単位量当たりの栄養(カロリー、炭水化物量、脂質量等)に応じて食事量を補正してもよい。すなわち、画像解析にて、「レタス」と「ご飯(ライス)」とが同じ100gとなる計測結果であっても、異なる係数を乗じることで異なる食事量としてもよい。
【0059】
また、例えば、建物210の入口211に設置された計測装置10C(図4A参照)の場合と、椅子220に設置された計測装置10D(図4A参照)の場合とでは、食事量計測部53aは、食事の前後で体重データ(計測データ)を取得する。そして、食事量計測部53aは、食事の後の体重データから食事前の体重データを差し引いて食事量を計測する。
【0060】
食事量計測部53aは、計測した食事量を記憶部54に記憶し、計測装置10における取得部11が取得した計測データに含まれるID情報を計測装置10の識別情報として記憶してもよい。また、食事量計測部53aは、ユーザ毎に記憶部54に食事量を記憶する回数を、ユーザの食事量の計測回数として取得し、記憶部54に記憶するよう制御してもよい。
【0061】
分類部53bは、計測装置10の取得部11で取得した計測データに基づき、食事の分類を設定する。例えば、分類部53bは、取得部11による計測データに基づき、分類情報の付与によって食事量を複数種類に分ける。分類部53bが付与する分類情報としては、主食、主菜、副菜、水分(汁物)等が例示でき、設定した分類が食事情報に含まれる。
【0062】
分類部53bは、取得部11による計測装置10の識別情報から食事量を料理区分等によって分類してもよい。例えば、ご飯(ライス)専用の食器に計測装置10を設ける場合、分類部53bは、計測装置10の識別情報に基づいて「主食」との分類情報を付与する。また、例えば、取得部11が取得した画像を分類部53bが解析して食事の分類情報を付与してもよい。かかる画像の解析は、AI(人工知能)を用いることが例示でき、例えば、ご飯(ライス)の画像があれば「主食」との分類情報を付与する。
【0063】
対応付け部53cは、食事量計測部53aが計測した食事量と、該食事量と関連する他の情報とを対応付ける。対応付け部53cは、分類部53bで設定した分類と、食事量計測部53aで計測した食事量とを対応付けるとよい。対応付け部53cは、上記対応付けした情報に対し、更にユーザ用端末装置20、環境値検出装置30から送信される食事情報を構成する各情報を更に対応付けて食事情報を生成してもよい。
【0064】
対応付け部53cは、現在時刻取得部として機能し得るものであり、コンピュータが有するCMOSクロック等のハードウェアクロック、電波時計、GPS(Global Positioning System)等から現時刻のタイムスタンプを取得する。対応付け部53cは、タイムスタンプと、該タイムスタンプと同時刻または近い時刻に取得した食事量及び該食事量を含む食事情報とを対応付けるとよい。よって、対応付け部53cにて、食事量と、食事量の計測タイミングとなるタイムスタンプとを対応付けた食事情報を生成することができる。そして、対応付け部53cは、タイムスタンプも含めて対応付けた状態の食事情報を記憶部54に記憶するよう制御する。
【0065】
対応付け部53cは、食事量計測部53aにて取得した食事量の計測回数を含めて対応付けた食事情報を記憶部54に記憶するよう制御するとよい。対応付け部53cは、ユーザ特定部24にて出力するユーザを特定するための認識情報を含めて対応付けた食事情報を記憶部54に記憶するよう制御するとよい。対応付け部53cは、満腹度入力部25による満腹度を含めて対応付けた食事情報を記憶部54に記憶するよう制御するとよい。
【0066】
図7は、実施の形態に係る情報処理装置で処理する食事情報の一例を示す図である。図7に示す情報D1は、情報処理装置50の記憶部54に記憶される情報である。また、情報D1は、ユーザの認識情報が格納されるフィールドF11、タイムスタンプが格納されるフィールドF12、食事量の計測回数が格納されるフィールドF13、食事量が格納されるフィールドF14、体温が格納されるフィールドF15、気温が格納されるフィールドF16、満腹度が格納されるフィールドF17、及び食事残量が格納されるフィールドF18を有する。食事量が格納されるフィールドF14は分類情報によって分類され、主食の食事量が格納されるフィールドF14a、主菜の食事量が格納されるフィールドF14b、副菜の食事量が格納されるフィールドF14c、汁物(水分)の食事量が格納されるフィールドF14d、及びフィールドF14a~F14dの食事量の総量が格納されるフィールドF14eを有する。情報D1は、ユーザの認識情報と、タイムスタンプと、食事量の計測回数と、食事量及びその分類情報と、体温と、気温と、満腹度と、食事残量とが互いに対応付けられている情報である。
【0067】
図7の例では、フィールドF11にて、認識情報が「User001」となる一部のレコードR11~R14及び認識情報が「User002」となる1つのレコードR21について例示している。情報D1は、ユーザ毎の時系列データとして複数のレコードが対応付けられ、食事の履歴情報として利用し得る。フィールドF15においては、ユーザの体調に関する他の情報を追加、変更してもよく、フィールドF16においては、環境に関する他の情報を追加、変更してもよい。また、推薦食事量を求める処理を行える限りにおいて、各レコード中の情報の一部を省略したり、各フィールドの一部を省略したりしてもよい。
【0068】
解析部53dは、上記のように求められる食事量に基づき推薦食事量を求める。また、解析部53dは、食事量に加え、食事情報に含まれる少なくとも1つの情報に基づいて推薦食事量を求めるとよい。推薦食事量は、ユーザに対し食事の食べ残しが生じない、若しくは、極力少なくできる食事の質量とされ、上述したフードロス防止を図るものである。また、推薦食事量は、ユーザに対し、物足りなさを感じさせない食事の質量とされるとよい。
【0069】
図6Bに戻り、解析部53dは、食事情報を解析して推薦食事量を求めることができる限りにおいて、種々の解析、分析、処理方法が採用される。例えば、解析部53dは、記憶部54に記憶済みとなるユーザの過去の食事量に基づき、1回あたりの食事量の平均値(以下、単に「平均値」とする場合がある)を演算して推薦食事量を求めてもよい。このとき、解析部53dは、食事量に対応付けされたタイムスタンプに基づき、食事のタイミング(朝食、昼食、夕食等)に分けて平均値を演算して、食事のタイミングごとに異なる推薦食事量を求めてもよい。例えば、解析部53dは、異なる日付において、17時から22時という共通する時間帯に計測した複数の食事量について平均値を求め、「夕食」での推薦食事量を求めてもよい。
【0070】
また、解析部53dは、例えば、食事量に対応付けされた分類情報に基づき、分類情報毎に分けて平均値を演算して推薦食事量を求めてもよい。解析部53dは、推薦食事量として、「主食」は200g、「主菜」は150g、「副菜」は150g、「汁物(水分)」は400g、「総量」は900g等と分類して演算することが例示できる。また、解析部53dは、推薦食事量として、質量に代えてランク分けした解析結果としてもよく、例えば、「大盛り」、「普通盛り」、「軽め」等としてもよい。
【0071】
解析部53dは、体調情報調整部として機能し得るものであり、上記のように求めた推薦食事量を体調に関する情報に基づいて調整してもよい。例えば、解析部53dは、ユーザ用端末装置20の取得部21で取得して記憶部54に記憶された血圧、体温、心拍数、活動量(移動距離)、歩数やそれら以外のバイタルデータに基づいて推薦食事量を増減するよう調整する。体調に関する情報として体温を例に挙げると、体温に応じて増減する食事量の関係をマップや関係式等にて求める。そして、かかる関係式等に体温を入力して推薦食事量を調整するための食事の増減量、係数等を求め、該増減量や係数等を用いた演算によって推薦食事量を調整するとよい。なお、体調に関する情報としては、体温以外の血圧や心拍数等、他の情報に変更したり、他の情報を追加したりして推薦食事量を調整してもよい。そして、体調に基づいて平均値から食事量を増減させることで推奨食事量を調整してもよい。
【0072】
解析部53dは、環境情報調整部として機能し得るものであり、上記のように求めた推薦食事量を環境(天候を含む)に関する情報に基づいて調整してもよい。例えば、解析部53dは、環境値検出装置30の取得部31で取得して記憶部54に記憶された気温、湿度、気圧、風量、降水量やそれら以外の天候データに基づいて推薦食事量を増減するよう調整する。環境に関する情報として気温を例に挙げると、気温に応じて増減する食事量の関係をマップや関係式等にて求める。そして、かかる関係式等に気温を入力して推薦食事量を調整するための食事の増減量、係数等を求め、該増減量や係数等を用いた演算によって推薦食事量を調整するとよい。なお、環境に関する情報としては、気温以外の湿度や気圧等、他の情報に変更したり、他の情報を追加したりして推薦食事量を調整してもよい。
【0073】
解析部53dは、満腹度調整部として機能し得るものであり、上記のように求めた推薦食事量を、食事に応じてユーザから入力された満腹度に基づいて調整して求めてもよい。例えば、解析部53dは、満腹度入力部25で入力された満腹度に基づいて推薦食事量を増減するよう調整する。満腹度に応じて増減する食事量の関係をマップや関係式等にて求めておき、解析部53dは、かかる関係式等に満腹度を入力して推薦食事量を調整するための食事の増減量、係数等を求め、該増減量や係数等を用いた演算によって推薦食事量を調整するとよい。
【0074】
解析部53dは、多変量解析によって推薦食事量を求めてもよい。多変量解析では、推薦食事量を目的変数とし、食事情報における食事量の他、例えば体温、気温、満腹度を説明変数とする重回帰分析を行う。該重回帰分析によって推薦食事量の推定式(重回帰式)が作成され、かかる推定式に対し、解析部53dにて食事量、体温、気温、満腹度を入力することで推薦食事量を求めるとよい。説明変数は食事量に影響を及ぼす影響因子であれば、体調に関する情報、環境に関する情報における他の食事情報を含めてもよく、食事量以外の影響因子を省略してもよい。
【0075】
解析部53dは、多変量解析によって推薦食事量を求める場合でも、ユーザの体調に関する情報、環境に関する情報、食事に応じたユーザの満腹度に基づいて推薦食事量を調整することができる。
【0076】
判定部53eは、ユーザ本人(第1ユーザ)の自己データを参照し、ユーザ本人の食事情報を参照するか否かを判定する。判定部53eは、食事量計測部53aにて取得したユーザ毎の食事量の計測回数を自己データとして所定の閾値と比較してもよい。閾値は、例えば、推薦食事量を求めるために最低限必要な食事量の計測回数とされ、例えば直近の期間における食事量の計測回数としてもよい。すなわち、直近1月分の食事量の計測回数について90回を閾値としてもよい。
【0077】
判定部53eは、例えば、記憶部54に記憶された食事情報におけるユーザの認識情報からユーザを特定する。判定部53eはユーザの食事量の計測回数が閾値より多いと判定した場合、解析部53dにて該ユーザの食事情報に基づき推薦食事量を求めるよう制御する。一方、判定部53eがユーザの食事量の計測回数が閾値以下と判定した場合、解析部53dにて該ユーザとは異なるユーザ(第2ユーザ)の食事情報に基づき推薦食事量を求めるよう制御する。
【0078】
例えば、図7にて、認識情報「User001」のユーザの場合、レコードR11を取得した後では計測回数が「5」となる。従って、判定部53eでの閾値を「90」とした場合、計測回数が閾値以下と判定する。よって、判定部53eは、記憶部54に蓄積されたユーザの食事量に影響を及ぼす情報(体重、年齢等)に基づき、認識情報「User001」のユーザに類似した情報を有する他のユーザを特定する。そして、認識情報「User002」のユーザが認識情報「User001」のユーザに類似した情報を有する場合、判定部53eはレコードR21にて計測回数「123」で閾値「90」より大きくなると判定する。かかる判定後、判定部53eは、解析部53dにて認識情報「User002」のユーザの食事情報に基づき推薦食事量を求めるよう制御する。なお、ユーザの食事量に影響を及ぼす情報は、身長、体重、体脂肪率、性別、年齢、食事頻度、居住地、居住地の気候等としてもよい。
【0079】
出力制御部53fは、出力装置40への推薦食事量の送信を制御する。出力制御部53fは、出力装置40のデバイスの種類等に応じて推薦食事量を出力できるデータをダウンロードまたは通信部52を介したネットワーク60経由で表示できるようにする。例えば、飲食店等に対して予約サイトを通じて予約があった際、出力制御部53fは、かかる飲食店に対し、予約内容と共に推薦食事量を出力装置40で出力できるよう制御してもよい。
【0080】
続いて、本実施の形態における推薦食事量を求めて出力するフローの一例について、図8を参照して説明する。図8は、実施の形態におけるシステムの推薦食事量の処理の流れを示すフロー図である。
【0081】
図8に示すように、食事量を計測するために計測装置10の取得部11が計測データを取得する(ステップ(以下、「S」という)101)。取得部11が取得した計測データに基づき、食事量計測部53aは食事量を計測する(S102)。S101、S102の実施によって食事量が自動計測される。
【0082】
S102で計測された食事量は、対応付け部53cにて他の食事情報と対応付けられて記憶部54に記憶される(S103)。食事量に対応付けられる情報は、例えば、図7に示すように、ユーザの認識情報、タイムスタンプ、食事量の計測回数、食事量を分類する分類情報、体温(体調に関する情報)、気温(環境に関する情報)及び満腹度等がある。
【0083】
S103で対応付けられた食事情報に対し、判定部53eが食事情報におけるユーザの認識情報からユーザを特定し、ユーザ本人(第1ユーザ)の食事情報を参照するか否かを判定する自己データ参照ステップを実施する(S104)。S104の判定にて参照する自己データをユーザ本人の食事情報における食事量の計測回数とした場合、かかる計測回数と記憶部54に記憶された閾値と比較(参照)する。閾値は、推薦食事量を求めるために必要な計測回数が事前に記憶部54に記憶されているものとする。S104の判定に用いる自己データ(基準)は、ユーザ本人の過去における体重、居住地、居住地の気候、季節ごとの計測回数もよい。この場合、判定部53eは、ユーザ本人の過去からの体重の変化、居住地、居住地の気候が過去の測定時と一致しているか、季節ごとの計測回数が一定以上か、という判定を実施するとよい。
【0084】
S104にて計測回数が閾値より多い場合(S104:Yes)、解析部53dは、認識情報に対応するユーザ本人の食事情報に基づいて推薦食事量を求め(S105)、S107へ進む。一方、S104にて計測回数が閾値以下の場合(S104:No)、S106に進む。
【0085】
S105の実施にて、解析部53dは、ユーザ本人の自己データに類似する自己データを備えた異なるユーザ(第2ユーザ)の食事情報も用いて、推薦食事量を補正してもよい。例としては、ユーザ本人が7月にシステムを使い始め、寒くなってきた10月頃に推薦食事量を求める状況を仮定する。この状況にて、直近90日のユーザ本人のデータは閾値(90日)を超えているが、10月のデータが無いので、他のユーザの10月のデータを用いてユーザ本人の推薦食事量を求めてもよい。
【0086】
S106の実施によって、解析部53dは、認識情報に対応するユーザ本人とは他のユーザ(第2ユーザ)に関する情報を検索し、体重等の種々の情報から推薦食事量を求めるにあたり類似するユーザを特定する。そして、ユーザ本人と類似するユーザの食事情報に基づいて推薦食事量を求め、S107へ進む。S105またはS106の実施後、出力制御部53fが通信部52を介して推薦食事量を出力装置40に送信し、出力部44を介して推薦食事量を出力できるよう制御する(S107)。出力制御部53fによる推薦食事量の出力のタイミングは、食事の提供者(レストラン等)の予定等に応じて適宜調整される。出力部44から出力される推薦食事量を得た食事の提供者は、推薦食事量に応じて食事の分量を調整して提供することができる。
【0087】
なお、各ユーザにおける食事にあっては、食事量の計測と、推薦食事量に対応した食事の提供との両方が行われることが好ましいが、複数回の食事においては、それらの何れか一方が省略される可能性がある。食事量の計測が省略される場合、S101~S103のステップが省略され、推薦食事量に対応した食事の提供が省略される場合、S104~S107のステップが省略されたフローが実施される。
【0088】
以上の構成において、本実施の形態のシステム100は、食事量を取得、計測して推薦食事量を出力できるので、推薦食事量に応じた食事を用意することができる。そして、かかる食事を摂取することで、食事量について不足感がないようにしつつ食べ残しを抑制してフードロスを防止することが可能となる。しかも、飲食店等では、推薦食事量に応じた食事の分量とすることで、分量に応じた価格を設定することができ、例えば、推薦食事量が少なければ半額に設定することができる。これにより、顧客となるユーザは、無駄な支出を抑制でき,飲食店側は材料費を無駄なく活用して収益を得ることが可能となる。よって、顧客と飲食店側との両方でメリットを得ることができ、フードロスの防止をより良く促進することができる。
【0089】
更には、計測装置10を食器等に設けることで、取得部11によって食事量を自動計測でき、ユーザまたは食事の提供者が食器等を秤に載せる等の手間をなくすことができる。これにより、食事量を簡単且つ継続して計測することを促進でき、記憶される食事情報を増やして推薦食事量の解析精度を高めることができる。
【0090】
また、取得部11を撮像装置等とすることで、取得部11で取得した画像から食事量の解析だけでなく、分類情報の解析も行うことができ、食事量を簡単に分類することが可能となる。例えば、上述した、「主食」等の分類の他、「レタス」、「ご飯(ライス)」等の分類まで行うことが可能となる。
【0091】
更に、解析部53dで解析される食事情報にユーザの認識情報とタイムスタンプとを含めることで、推薦食事量を食事の時間帯毎に分けて求めることができる。
これにより、朝食だけ、昼食だけ、または夕食だけの食事情報から、それぞれに応じて推薦食事量を求めることができ、推薦食事量の精度向上を図ることができる。
【0092】
また、判定部53eによって計測回数の判定を行うことで、食事量の計測及び推薦食事量の解析を行う初期段階で計測回数が少なくても、条件が類似する他のユーザの食事情報を利用して良好な推薦食事量を求めることができる。
【0093】
更に、解析部53dにて、ユーザから入力される満腹度や体調に関する情報、環境に関する情報も含めて解析し、推薦食事量を求めることができるので、推薦食事量の精度をより一層向上させることができる。このように、推薦食事量の精度向上を通じて、フードロスをより良く防止することが可能となる。
【0094】
図9は、フードロス防止システムを構成する各装置を実現するための情報機器のハードウェア構成を例示した図である。上記実施の形態のシステム100における各装置の情報機器は、図9に示す情報機器80によって構成できる。図9に示す情報機器80のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ81、メモリ82、記憶装置83、読取装置84、通信インタフェース86、及び入出力インタフェース87を備える。なお、プロセッサ81、メモリ82、記憶装置83、読取装置84、通信インタフェース86、及び入出力インタフェース87は、例えば、バス88を介して互いに接続されている。
【0095】
プロセッサ81は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ81は、メモリ82を利用して例えば上述の動作フローの手順の全部又は一部を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部23、43、53の一部または全部の機能を提供するプロセッサ81は、記憶装置83に格納されているプログラムを読み出して実行することで、例えば、制御部23、43、53の各機能ブロックとして動作する。
【0096】
メモリ82は、例えば、半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置83は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。
【0097】
読取装置84は、例えば、プロセッサ81の指示に従って着脱可能記憶媒体85にアクセスする。着脱可能記憶媒体85は、例えば、半導体デバイス、磁気的作用により情報が入出力される媒体、光学的作用により情報が入出力される媒体などにより実現される。なお、半導体デバイスは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリである。また、磁気的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、磁気ディスクである。光学的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標)である。
【0098】
上述の記憶部54は、例えば、メモリ82、記憶装置83、および着脱可能記憶媒体85を含んでよい。通信インタフェース86は、例えば、プロセッサ81の指示に従って、他の装置と通信する。例えば、情報機器80は、通信インタフェース86を介して取得部11から計測結果を収集してよい。通信インタフェース86は、上述の通信部22、42、52の一例である。
【0099】
入出力インタフェース87は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースである。入力装置は、例えば、ユーザからの指示を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレイなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0100】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で情報機器80に提供される。
(1)記憶装置83に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体85により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0101】
なお、図9を参照して述べたフードロス防止システムを構成する各装置を実現するための情報機器80のハードウェア構成は例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部23、43、53の一部または全部の機能がFPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびPLD(Programmable Logic Device)などによるハードウェアとして実装されてもよい。
【0102】
以上において、いくつかの実施の形態が説明される。しかしながら、実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施の形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施の形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施の形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施の形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施の形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【0103】
例えば、解析部53dで解析される食事情報は、少なくとも取得部11を介して取得した食事量が含まれていればよく、他の情報は適宜省略や追加してもよい。
【0104】
また、計測装置10は、図3及び図4にて例示したものの他、食事量を計測できる限りにおいて例示した手段以外の実現手段でもよい。更に、計測装置10は、所定期間に亘ってユーザの食事量を計測するにあたり、1種類の計測装置10だけを用いてもよいし、複種類の計測装置10を用いてもよい。
【0105】
また、システム100に含まれる各装置の構成は、それら装置間で置き換えたり、変更したりしてもよい。例えば、出力装置40の出力部44は、ユーザ端末装置20や情報処理装置50が有してもよく、記憶部54は、計測装置10やユーザ端末装置20、情報処理装置50が有してもよい。更に、情報処理装置50の制御部53を構成する各機能部は、システム100を構成する他の装置の制御部で機能するようにしてもよく、例えば、食事量計測部53aや分類部53bの機能を計測装置10の制御部13にて発揮できるようにしてもよい。
【0106】
また、分類部53bによる分類情報は、上述した分類に限定されるものでなく、例えば、食事や料理、食料の比重等によって複数種類に分類してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、食事量を計測、解析して推薦食事量を求めることでフードロスの防止を図ることができるシステムに関する。
【0108】
更に、解析部53dでの推薦食事量の調整は、上記の例示以外の調整でもよく、例えば、前回の食事時間からの間隔と、今日の食事回数、調理時間(注文してから提供されるまでの時間)等に基づいて調整してもよい。また、解析部53dは、食事の食べ残した量となる食事残量(図7のフィールドF18参照)に基づいて推薦食事量を調整してもよく、食事残量が多い場合には、次回の推薦食事量を減らすように調整してもよい。更に、解析部53dは、推薦食事量を食事の分類や種類に分けて求めてもよく、この場合、分類や種類に応じて異なる係数を乗じる等の調整をしてもよい。例えば、「レタス」と「ご飯(ライス)」とが同じ100gとなる推薦食事量であっても、異なる係数を乗じることで異なる推薦食事量としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
11 取得部
44 出力部
53b 分類部
53d 解析部
53e 判定部
54 記憶部
100 システム(ガス検出マップ生成システム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9