(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148358
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】健康支援装置、健康支援システム、健康支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20220929BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050007
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】520283934
【氏名又は名称】株式会社イヴケア
(71)【出願人】
【識別番号】505026686
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】五十棲 計
(72)【発明者】
【氏名】大平 雅子
(72)【発明者】
【氏名】芦谷 道子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザのストレス状態を評価することが可能な健康支援装置、健康支援システム、健康支援方法を提供すること。
【解決手段】ユーザの健康を支援する健康支援装置であって、前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得部と、前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価部と、を備えることを特徴とする健康支援装置、が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの健康を支援する健康支援装置であって、
前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得部と、
前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価部と、
を備えることを特徴とする健康支援装置。
【請求項2】
前記構造体は、毛または毛髪であること、
を特徴とする、請求項1に記載の健康支援装置。
【請求項3】
前記生体情報は、前記構造体の複数の部分に含まれる物質に関する情報を含み、
前記部分は、前記毛または前記毛髪の、毛根に近い部分から一定の距離離れた部分であること、
を特徴とする、請求項2に記載の健康支援装置。
【請求項4】
前記物質は、ホルモンであること、
を特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の健康支援装置。
【請求項5】
前記ユーザの業務、私生活等に係る情報を含む生活情報の履歴を記憶する生活情報記憶部と、
前記客観的ストレスが所定条件を満たした時点から過去の前記生活情報を、前記ユーザのストレスの原因として推定するストレス原因推定部と、
を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の健康支援装置。
【請求項6】
ユーザの健康を支援する健康支援システムであって、
前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得機能と、
前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する情報を取得する生体情報取得機能と、
前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価機能と、
を備えることを特徴とする健康支援システム。
【請求項7】
ユーザの健康を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得ステップと、
前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価ステップと、
を備えることを特徴とする健康支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康支援装置、健康支援システム、健康支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心理的又は精神的ストレスは、人々の健康にとって大きな影響を与えている。ストレスが掛かり続けることで身体状態の不調だけでなく、メンタルの病気(鬱病など)を発症する危険が高まることも知られている。
【0003】
ストレスを測定する技術として、例えば、血中の特定のアミノ酸濃度変化からストレス(抑鬱)状態を測定する方法が提案されている(特許文献1)。また、労働省「作業関連疾患の予防に関する研究班」ストレス測定研究グループが作成した、調査票による主観的なストレスチェック方法などが提案されている(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】職業性ストレス簡易調査票https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/stress-check_j.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、客観的なデータが得られるものの、血液の取得時点のストレス状態であるため短期的な状況しか把握できず、また、継続的に測定しようとすると採血をし続ける必要があり、ユーザにとって負担が大きくなる。そのほか、外的要因や体調のコンディションなど多くの交絡因子によって測定結果に揺らぎが生じやすいことも課題である。また、特許文献2に関しては、手軽に低コストで評価が可能であるものの、意図的な回答のコントロールによってストレス度を操作することが可能となってしまう。
【0007】
従って、これら技術を基に評価したストレス状態を基にストレス緩和に向けたアドバイスをすることで、効果が限定的となってしまうことや、意図せぬネガティブな効果をユーザにもたらしてしまう可能性がある。
【0008】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザのストレス状態を評価することが可能な健康支援装置、健康支援システム、健康支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、ユーザの健康を支援する健康支援装置であって、前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得部と、前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価部と、を備えることを特徴とする健康支援装置、が提供される。
【0010】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、中長期のストレス状態を訴求的かつ経時的に評価し、ユーザの中長期的なストレス状態を正確に把握し、メンタルヘルスの改善に繋がる最適なアドバイスができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る健康支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係るサーバ装置1のハード構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係るサーバ装置1の機能構成例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係るユーザ情報記憶部131に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係る主観情報記憶部132に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係る生活情報記憶部133に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図7】同実施形態に係る生体情報記憶部134に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図8】同実施形態に係る評価情報記憶部135に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図9】同実施形態に係るアドバイス情報記憶部137に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図10】同実施形態に係る評価部115が行う、客観的なストレス状態の評価に用いる平均値と標準偏差の一例と、評価の一例を示す図である。
【
図11】同実施形態に係る評価部115が行う、主観的なストレス状態の評価の一例を示す図である。
【
図12】同実施形態に係る評価部115がユーザに提示する評価情報の一例を示す図である。
【
図13】同実施形態に係るサーバ装置1の処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
[項目1]
ユーザの健康を支援する健康支援装置であって、
前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得部と、
前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価部と、
を備えることを特徴とする健康支援装置。
[項目2]
前記構造体は、毛または毛髪であること、
を特徴とする、項目1に記載の健康支援装置。
[項目3]
前記生体情報は、前記構造体の複数の部分に含まれる物質に関する情報を含み、
前記部分は、前記毛または前記毛髪の、毛根に近い部分から一定の距離離れた部分であること、
を特徴とする、項目2に記載の健康支援装置。
[項目4]
前記物質は、ホルモンであること、
を特徴とする、項目1から3のいずれかに記載の健康支援装置。
[項目5]
前記ユーザの業務、私生活等に係る情報を含む生活情報の履歴を記憶する生活情報記憶部と、
前記客観的ストレスが所定条件を満たした時点から過去の前記生活情報を、前記ユーザのストレスの原因として推定するストレス原因推定部と、
を備えることを特徴とする、項目1から4のいずれかに記載の健康支援装置。
[項目6]
ユーザの健康を支援する健康支援システムであって、
前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得機能と、
前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する情報を取得する生体情報取得機能と、
前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価機能と、
を備えることを特徴とする健康支援システム。
[項目7]
ユーザの健康を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが質問に回答した主観情報を取得する主観情報取得ステップと、
前記ユーザの体表に生じる、蛋白質を主成分とする構造体に含まれる物質に関する情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記主観情報に基づいて前記ユーザが主観的に感じる主観的ストレスを評価し、前記生体情報に基づいて前記ユーザの客観的なストレス状態を示す客観的ストレスを評価し、前記主観的ストレス及び前記客観的ストレスの乖離度合に応じて前記ユーザの健康状態を評価する評価ステップと、
を備えることを特徴とする健康支援方法。
<実施の形態の詳細>
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
==概要==
図1は健康支援システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、健康支援システムは、サーバ装置1、ユーザ端末3、組織端末4、支援者端末5、事業者端末6、専門家端末7を含む。サーバ装置1は、ネットワーク2を介してユーザ端末3、組織端末4、支援者端末5、事業者端末6、専門家端末7と接続される。ユーザ端末3、組織端末4、支援者端末5、事業者端末6、専門家端末7は1台だけ示してあるが、これ以上存在してもよいことは言うまでもない。
【0016】
==ユーザ端末3==
ユーザ端末3は、健康支援の対象となるユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末3は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであるが、それに限定されずその他電子機器であってもよい。ユーザは、たとえばユーザ端末3で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0017】
==組織端末4==
組織端末4は、ユーザが所属する組織の担当者が操作するコンピュータである。組織端末4は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。組織の担当者は、たとえば組織端末4で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。ユーザが組織に所属していない場合は、組織端末4から入力される情報は、ユーザ端末3からユーザによって入力されてもよい。
【0018】
==支援者端末5==
支援者端末5は、主観情報や生体サンプルの分析、解析を行う支援者が操作するコンピュータである。支援者端末5は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。支援者は、たとえば支援者端末5で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0019】
==事業者端末6==
事業者端末6は、サーバ装置1の機能を用いて、ユーザに対して解析結果やアドバイスを返す事業者が操作するコンピュータである。事業者端末6は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。事業者は、たとえば事業者端末6で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。なお、支援者端末5が事業者端末6を兼ねていてもよい。
【0020】
==専門家端末7==
専門家端末7は、ユーザに対して症状の改善方法や予防方法などをアドバイスする、主に医療関係者の専門家が操作するコンピュータである。専門家端末7は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。専門家は、たとえば専門家端末7で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。なお、事業者端末6が専門家端末7を兼ねていてもよい。
【0021】
以下、サーバ装置1の構成について説明する。
【0022】
図2は、本実施形態のサーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。サーバ装置1は、プロセッサ101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、ネットワーク2に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、たとえばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどを通じてデータの入力を受け付ける装置である。出力装置106は、データを出力する、たとえば、ディスプレイやプリンタ、スピーカーなどを備える。
【0023】
図3は、サーバ装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ装置1は、ユーザ情報取得部111と、主観情報取得部112と、生活情報取得部113と、生体情報取得部114と、評価部115と、ストレス原因推定部116と、アドバイス送信部117の各処理部と、ユーザ情報記憶部131と、主観情報記憶部132と、生活情報記憶部133と、生体情報記憶部134と、評価情報記憶部135と、ストレス原因情報記憶部136と、アドバイス情報記憶部137の各記憶部と、を含んで構成される。
【0024】
なお、上記各機能部は、サーバ装置1が備えるプロセッサ101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、上記各記憶部は、サーバ装置1が備えるメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0025】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報記憶部131と、主観情報記憶部132と、生活情報記憶部133と、生体情報記憶部134と、評価情報記憶部135と、ストレス原因情報記憶部136と、アドバイス情報記憶部137のデータ構成について示す。
【0026】
ユーザ情報記憶部131は、ユーザ情報取得部111が受け付けた、
図4に一例を示すユーザ情報を記憶する。
図4に示すように、ユーザ情報は、一例として、氏名、年齢、性別、身長、体重、職業、年収、などの情報から構成される。
【0027】
主観情報記憶部132は、主観情報取得部112が受け付けた、
図5に一例を示す主観情報を記憶する。前記主観情報とは、一例として、前記ユーザが主観的に質問に回答した情報を含む。
図5に示すように、主観情報は、一例として、心理測定尺度に含まれる設問、当該設問への回答、回答日、また、心理測定尺度ごとに設定されている評価法などの情報から構成される。
【0028】
前記心理測定尺度は、心理現象を測定する方法であり、いくつかの質問に対する回答を得点化することにより、心理現象の個人差を把握することができる。前記心理測定尺度は、一例として、職業性ストレス簡易調査票、GHQ精神健康調査世界保健機構版、WHO SUBI、PHRF ストレスチェックリスト・ショートフォームなどのマインドセット尺度やストレスコーピングインベントリーを含むが、これに限定されない。
【0029】
生活情報記憶部133は、生活情報取得部113が受け付けた、
図6に一例を示す生活情報を、日付や時期の情報と共に記憶する。前記生活情報は、一例として、大きく業務情報、私生活情報、活動情報が含まれる。前記業務情報は、前記ユーザが業務を行っている環境や、行っている業務の内容等に関する情報を含む。
図6に示すように、前記業務情報は、一例として、所属部門(異動の時期の情報含む)、部門メンバー(変更の時期の情報含む)、職位(昇格、降格等した時期の情報含む)、勤務年数、業務内容(時期の情報含む)、業務を行った日時、成果(時期の情報含む)、評価(時期の情報含む)、などの情報から構成される。前記私生活情報は、私生活において起きた事象や行ったこと等に関する情報が含まれる。
図6に示すように、前記私生活情報は、一例として、自身に起きた事象、家族に起きた冠婚葬祭等の家族に起きた事象の情報、地域で起きた事象の情報、所属するコミュニティで起きた事象などにおいて、回数と印象の強さ、発生した時期等の情報等が含まれる。前記活動情報は、前記ユーザの行った活動の情報を含む。
図6に示すように、前記活動情報は、睡眠の時間や内容、状態などの情報、歩数などの運動の内容や強度、継続時間などの質や量に関する情報、食事の内容や量に関する情報、脈波、血圧などの主に生体センサーなどから取得する情報等が含まれる。
【0030】
生体情報記憶部134は、生体情報取得部114が受け付けた、
図7に一例を示す生体情報を記憶する。前記生体情報は、一例として、前記ユーザから取得したサンプルを分析して得られた、成分に関する情報を含む。
図7に示すように、生体情報は、一例として、ユーザID、サンプル種類、サンプル取得日、分析部位、含有成分、成分含量、傷みの内容、傷みの程度などの情報から構成される。なお、平均的な人における分析部位ごとの含有成分や、成分含量と、当該成分含量の標準偏差、また、傷みの内容や傷みの程度ごとに、分析部位ごとの含有成分や、成分含量と、当該成分含量の標準偏差などを併せて記憶しておいてもよいし、生体情報記憶部134に記憶されたデータから、生体情報取得部114が平均値や標準偏差を算定して記憶してもよい。
【0031】
前記サンプルは、前記ユーザの体表に生じる、タンパク質を主成分とする構造体であり、一例として、毛、毛髪、体毛、爪、角質などを含むが、これに限定されない。
【0032】
前記成分は、一例として、タンパク質、ホルモン、脂質、ステロイド、色素、ミネラル、核酸などを含むが、これに限定されない。
【0033】
前記成分は、一例として、コルチゾール、DHEA、テストステロン、エストラジオール、オキシトシン、セロトニンなどを含むが、これに限定されない。
【0034】
前記分析部位は、一例として、前記サンプルが体表に存在していた時に皮膚に近い部分から離れた部分に段階的に規定してもよいが、これに限定されない。
【0035】
前記分析部位は、一例として、前記サンプルが毛髪の場合に、毛髪の毛根部位からの距離で規定してもよいが、これに限定されない。
【0036】
前記分析部位は、一例として、前記サンプルが毛髪の場合に、平均すると1ヶ月に1cm程度毛髪が伸びることから、毛髪の毛根部位からの距離で当該部位が生成されてどれくらい時間が経っているかを基に規定してもよいが、これに限定されない。
【0037】
評価情報記憶部135は、
図8に一例を示す評価情報を記憶する。前記評価情報は、ストレスに対する主観の反応(うつ気分・不全感、不安・不確実感等の内容や程度を含んでもよい)、ストレスに対する身体の反応(自律神経不調和、疲労身体反応の内容や程度を含んでもよい)、ストレスに対する抵抗力、ストレス反応(ストレスを受けると分泌されるホルモンの量など)、抗ストレス反応(ストレス状態を緩和する働きのあるホルモンの量など)、レジリエンス(回復力)、主観の反応と身体の反応のずれ、本段落上記各項目に関する自己の値、平均値、偏差値、経時的な各値の変化、また、ストレスの種類、ストレスの程度、マインドセット、不眠症リスク等の情報から構成される。
【0038】
アドバイス情報記憶部137は、アドバイス送信部117が送信する、
図9に一例を示すアドバイス情報を記憶する。前記アドバイス情報は、大きく原因情報と、それに対応する解決策情報が含まれる。当該原因情報には、ストレス原因推定部116が判定したストレスの原因の情報が含まれ、当該解決策情報には、健康を維持、改善、症状から回復するためのアドバイスを記憶する。
図9に示すように、原因情報は、一例として、業務時間の超過、運動不足、職場環境変化、私生活環境変化などの情報が含まれる。また、解決策情報には、一例として、早寝早起きや適度な運動などの生活について、コミュニケーションや考え方など身に着けるとよいスキル・マインド等について、問題の原因となる可能性のある、ユーザの性格・特性について、職場や学校などユーザが所属する環境について、病院等で医師や心理カウンセラー等の診断、判断を仰ぐ必要性等ついて、などの情報を含む。なお、ユーザの属性によって、どの解決策を提示するかを規定するため、それぞれの解決策には、ユーザの属性情報を紐づけて記憶してもよい。
【0039】
以上がサーバ装置1のデータ構成についての説明である。
【0040】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報取得部111と、主観情報取得部112と、生活情報取得部113と、生体情報取得部114と、評価部115と、ストレス原因推定部116と、アドバイス送信部117の機能について示す。
【0041】
ユーザ情報取得部111は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3にユーザ情報に関する入力フォームを提示し、ユーザに関する情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、当該ユーザ情報の一部または全体を、ユーザが所属する組織の担当者が、前記ユーザへのヒアリングやアンケート等で回収した情報をサーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して組織端末4から入力してもよい。また、当該ユーザ情報の一部または全体を、サーバ装置1を用いて事業を行う事業者が、前記ユーザへのヒアリングやアンケート等で回収した情報をサーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して、事業者端末6から入力してもよい。
【0042】
主観情報取得部112は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3に主観情報に関する入力フォームを提示し、主観情報に関する情報を取得する。当該入力フォームは、前記心理測定尺度の質問をフォーム化したものである。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、当該主観情報は、ユーザが所属する組織の担当者が、前記ユーザへのヒアリングや質問票等で回収した情報をサーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して組織端末4から入力してもよい。また、当該主観情報は、サーバ装置1を用いて事業を行う支援者が、前記ユーザへのヒアリングや質問票等で回収した情報をサーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して、支援者端末5から入力してもよいし、主観情報取得部112が、回収した質問票等を画像化してOCR技術等で読み取ったテキスト情報をサーバ装置1に送信しても良い。
【0043】
生活情報取得部113は、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3から、生活情報に関する情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、当該生活情報は、ユーザが使用しているカレンダーアプリケーションなどの情報から生活情報取得部113が取得してもよいし、前記ユーザが所属する組織で使用しているカレンダーアプリケーションや日報、週報、月報等の業務内容報告ツール等から生活情報取得部113が取得してもよい。カレンダーや日報、週報、月報等の業務内容報告を紙媒体で作成している場合は、生活情報取得部113が、当該紙媒体のスキャンデータ等を画像化してOCR技術等で読み取ったテキスト情報をサーバ装置1に送信しても良い。
【0044】
生体情報取得部114は、ネットワーク2を介して、支援者端末5から、生体情報に関する情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、当該生体情報は、前記支援者から紙媒体等で前記事業者に報告された情報を、サーバ装置1に直接入力してもよいし、ネットワーク2を介して事業者端末6から入力してもよいし、当該報告書のスキャンデータ等を、生体情報取得部114がOCR技術等で読み取り、テキスト情報をサーバ装置1に送信しても良い。
【0045】
評価部115は、前記ユーザ情報、前記主観情報、前記生活情報、前記生体情報のいずれかまたは複数の情報を基に、ユーザの健康状態を評価し、ユーザに提示する画面を生成し、評価情報記憶部135に記憶する。なお、評価部115が生成する画面は、組織、支援者、専門家に提示してもよい。
【0046】
評価部115は、一例として、前記生体情報を基に、ユーザの健康状態を評価する。評価部115は、例えば、前記生体情報に含まれるホルモンの量の情報を基に、ストレスに対する反応を評価する。
図10に、前記生体情報に含まれるホルモン量の情報の一例を示す。コルチゾールはストレスを受けた際に分泌されるホルモンであり、血糖値を上げる機能などを持っており、ストレスから身体を守る働きを持つ。このため、コルチゾールの量を調べることで、どの程度のストレスを受けたか(ストレス反応)を評価する。また、DHEAもストレスを受けた際に分泌されるが、DHEAはコルチゾールの機能を抑制することで、コルチゾールの副作用を低減する働きを持つ。このため、DHEAの量を調べることで、ストレスを原因とした身体の変化をどの程度元の状態に戻そうとしているか(抗ストレス反応)を評価する。更に、コルチゾールとDHEAの含量の比を調べることで、当該ストレス反応と、当該抗ストレス反応のバランスを評価する。なお、これらの評価を分析部位ごとに行ってもよい。例としてコルチゾールとDHEAを記載したが、当該ストレス反応や当該抗ストレス反応の指標として知られる、他のホルモン等の物質によってストレス反応や抗ストレス反応を評価してもよく、以下も同様である。
【0047】
評価部115は、一例として、それぞれの生体情報記憶部134に記憶された、一般的な人の毛髪サンプルに含まれるコルチゾールおよびDHEAの含量の前記平均値と標準偏差の値と、ユーザの毛髪サンプルから得られたコルチゾールおよびDHEAの含量を比較し、平均値との差分の大きさで、前記ストレス反応と前記抗ストレス反応を評価する。評価部115は、ユーザのサンプルから得られたコルチゾールまたはDHEAの含量が、前期平均的な含量と比べて既定の量多い、または少ないことで、前記ストレス反応、前記抗ストレス反応を評価してもよく、平均値からの差分の大きさによって、その程度を評価してもよい。具体的に、評価部115は、一例として、ユーザのサンプルから得られたコルチゾールの含量が、前記平均値から標準偏差の差以内であれば、平均的なストレス反応であると評価(例として、評価値3とする)してもよく、前記平均値から標準偏差の値より大きく標準偏差×2の値以下の場合はやや高めのストレス反応であると評価(例として、評価値4とする)としてもよく、前記平均値から標準偏差×2の値よりも大きい場合、高いストレス反応であると評価(例として、評価値5とする)としてもよく、前記平均値から標準偏差の値より小さく標準偏差×(―2)の値以上の場合はやや低めのストレス反応であると評価(例として、評価値2とする)としてもよく、前記平均値から標準偏差×2の値よりも小さい場合、低いストレス反応であると評価(例として、評価値1とする)としてもよい。なお、例として5段階評価としたが、3段階や7段階など任意の階層に分けて評価してもよく、その場合は平均値からどの程度離れているかの規定値をそれぞれ定めていればよい。なお、評価部115は、DHEAに関しても同様の計算をもとに、抗ストレス反応を評価すればよい。
【0048】
更に、評価部115は、コルチゾールとDHEAの含量の比を調べることで、当該ストレス反応と、当該抗ストレス反応のバランスを評価し、客観的なストレス状態(客観的ストレス値)を判定する。評価部115は、ユーザのサンプルから得られたコルチゾールまたはDHEAの含量の比が、前期平均値の比と比べて既定の量多い、または少ないことで、前記ストレス反応と前記抗ストレス反応の反応バランスを評価してもよく、平均値からの差分の大きさによって、その程度を評価してもよい。具体的に、評価部115は、一例として、ユーザのサンプルから得られたコルチゾールの含量とDHEAの含量の比(コルチゾール含量/DHEA含量で計算する)が、前記平均値の比から標準偏差の差以内であれば、平均的な反応バランスであると評価(例として、評価値3とする)してもよく、前記平均値の比から標準偏差の値より大きく標準偏差×2の値以下の場合はストレス反応の方がやや高めであると評価(例として、評価値4とする)としてもよく、前記平均値の比から標準偏差×2の値よりも大きい場合、ストレス反応の方が高めと評価(例として、評価値5とする)としてもよく、前記平均値の比から標準偏差の値より小さく標準偏差×(―2)の値以上の場合はストレス反応がやや低めであると評価(例として、評価値2とする)としてもよく、前記平均値の比から標準偏差×2の値よりも小さい場合、ストレス反応の方が低いと評価(例として、評価値1とする)としてもよい。なお、例として5段階評価としたが、3段階や7段階など任意の階層に分けて評価してもよく、その場合は平均値からどの程度離れているかの規定値をそれぞれ定めていればよい。
【0049】
評価部115が評価を行い、生成した画面の一例を
図12に示す。
図12に客観的ストレスとして記載されたグラフ等において、前述のように、「ストレス反応」はストレスがかかった際に分泌されるホルモンの量を示し、「抗ストレス反応」はストレス状態を緩和する働きのあるホルモンの量を示している。評価部115は、両者の量を比較し、前記反応バランスの値を算出する。両者の量のバランスが取れた状態が望ましい健康状態である。評価部115は、例えば、ストレス反応の値に対して抗ストレス反応の値が高く出ている状態は、ストレスに対して過剰に反応している状態であり、逆に、ストレス反応の値に対して抗ストレス反応の値が低く出ている状態は、ストレスに対して過少に反応している状態であると評価しても良い。また、評価部115は、当該反応バランスの値から、反応バランスの程度を評価してもよい。更に、評価部115は、前記生体情報に含まれる傷みの内容、傷みの程度などの情報を基に、当該ストレス反応、当該抗ストレス反応の値を補正してもよい。例えば、評価部115は、傷みの内容、傷みの程度として、毛髪の染毛による影響がある場合には、染毛によって毛髪から失われやすいホルモンの値を加算しても良いし、逆に、染毛によって蓄積されやすいホルモンを減算しても良いが、これらの処理に限定されない。
【0050】
また、評価部115は、前述の評価を、分析部位ごとに行っても良い。平均的に1ヶ月に約1cm髪の毛が伸びることから、毛根に近い部分から1cm毎に、つまり、1ヶ月毎の評価を行い、その評価を時系列に並べることで、数か月分の評価を行っても良いし、0.5cm毎、0.25cm毎などに区切って評価を行ってもよく、毛髪の長さは任意に変更し、それに対応する期間の評価を行ってもよい。この時、評価部115は、例えば、前記「ストレス反応」または「抗ストレス反応」などの値の推移によって、ユーザの健康状態をさらに評価しても良い。評価部115は、例えば、「ストレス反応」の値の軸をY軸に置き、時間軸をX軸に置き、近似直線等を引いて傾きが負の値であれば改善傾向であること、正の値であれば状況が悪化傾向であることなどを評価しても良い。また、評価部115は、
図12において、記載されていない12月(サンプル取得日の前月など)をX=0とし、当該近似直線の傾きの値によって、ストレス状態が急激に改善、または悪化していることなどを評価しても良い。
【0051】
さらに、評価部115は、一例として、前記主観情報を基に、ユーザの健康状態を評価する。また、評価部115は、前記ユーザ情報と前記主観情報とを併せて、ユーザの健康状態を評価してもよい。評価部115は、例えば、前記主観情報に含まれる、各種心理測定尺度の回答の情報を基に、ユーザの心理状態を評価する。評価部115は、心理測定尺度ごとに定められた評価法(ユーザがある質問にAと答えたら1点、Bと答えたら2点、などと回答を点数化するものであり、性別ごとや年代ごと、更にはユーザの業務内容や、運動量、睡眠量などによって、回答に紐づいた点数が異なる場合などがある)をもとに、ユーザの心理状態を評価し、当該心理測定尺度が導き出す心理状態のカテゴリごとにその合計値を算出してもよい。更に、評価部115は、ユーザの回答から得られた当該合計値と、当該心理測定尺度において設定されている、当該合計値の平均値の差、差分の程度などによって、ユーザの心理状態を評価してもよい。
【0052】
評価部115は、一例として、
図11に示すように、主観情報記憶部132に記憶された、心理測定尺度の設問への回答の情報と、評価法(心理測定尺度の評価法によっては、前記ユーザ情報に含まれる性別や年代などの情報、前記生活情報に含まれる業務情報の職位や成果、私生活情報の家族構成や地域コミュニティとの接点の数、前記活動情報の睡眠量や運動量、食事量やそれぞれの内容などの情報も使用する)をもとに、それぞれの回答に対する得点を決定する。更に、心理測定尺度の種類によっては、いくつかの設問がいくつかのカテゴリに分類されるため、評価部115は、当該カテゴリごとに合計の得点を算定してもよい。更に、評価部115は、前記回答に対する得点、または前記合計の得点と、当該評価法にて定められた値や、各心理測定尺度の設問への回答の平均値や標準偏差の値を考慮した値と、を比較し、その差分の大きさで、前記回答に対する得点、または前記合計の得点を評価する。評価部115は、前記評価法をもとにユーザの回答を得点化した際の得点(またはカテゴリごとの合計値)が、当該定められた値や、当該平均値と比べて既定の数値高い、または低いことで、当該回答または、カテゴリの評価をしてもよく、当該定められた値や、当該平均値からの差分の大きさによって、その程度を評価してもよい。具体的に、評価部115は、一例として、ユーザの回答から得られた得点(またはカテゴリごとの合計値)が、当該定められた値や、当該平均値から標準偏差の差以内であれば、平均的な評価(例として、評価値3とする)してもよく、前記当該定められた値や、当該平均値から標準偏差の値より大きく標準偏差×2の値以下の場合はやや高めの評価(例として、評価値4とする)としてもよく、前記当該定められた値や、当該平均値から標準偏差×2の値よりも大きい場合、高い評価(例として、評価値5とする)としてもよく、当該定められた値や、当該平均値から標準偏差の値より小さく標準偏差×(―2)の値以上の場合はやや低めの評価(例として、評価値2とする)としてもよく、当該定められた値や、当該平均値から標準偏差×2の値よりも小さい場合、低い評価(例として、評価値1とする)としてもよい。なお、例として5段階評価としたが、3段階や7段階など任意の階層に分けて評価してもよく、その場合は平均値からどの程度離れているかの規定値をそれぞれ定めていればよい。
【0053】
更に、評価部115は、前記回答に対する得点、または前記合計の得点の平均値を算定することにより、主観的なストレス状態(主観的ストレス値)を判定する。
【0054】
図12に、評価部115が評価を行い、生成した画面の一例を示す。
図12に主観的ストレスとして記載されたグラフ等において、評価部115は心理測定尺度への回答から導き出せる自律神経系不調和、疲労・身体反応、うつ気分・不全感、不安・不確実性などの値を算出し、平均値と共にユーザの得点をグラフ等で示す。なお、用いる心理測定尺度によって、その他の項目に関しても評価してもよいことは言うまでもない。
【0055】
更に、評価部115は、前記客観的ストレス値と、前記主観的ストレス値を比較することにより、ストレスに対するユーザの状態を評価する。評価部115は、主観的ストレス値が客観的ストレス値よりも高い場合に、主観的なストレス状態が過剰であると判定する。評価部115は、主観的ストレス値と客観的ストレス値が同程度の場合には、バランスが取れたストレス状態であると判定する。評価部115は、主観的ストレス値が客観的ストレス値よりも低い場合には、客観的なストレス状態が過剰であると判定する。
【0056】
図12に、評価部115が評価を行い、生成した画面の一例を示す。
図12に、一例として、過剰モニタリングとしてバランスが崩れた図が記載してあるが、左側が客観的ストレス、右側が主観的ストレスを示している。この場合、評価部115は、主観的には低いストレスを感じているものの、身体反応としてはストレス反応が高く出ていることから、バランスが悪い状態であると判定している。
【0057】
さらに、評価部115は、一例として、前記ユーザ情報と前記生体情報を基に、ユーザの健康状態を評価しても良い。評価部115は、例えば、前記ユーザ情報に含まれる「髪の毛が伸びる速さ」の情報を基に、前記生体情報に含まれる測定部位の情報から1ヶ月1cmとして算定した情報を補正してもよい。
【0058】
ストレス原因推定部116は、前記ユーザ情報と、前記生活情報と、前記評価情報のいずれかまたはいくつかの情報を基に、ユーザが呈しているストレスの状態を引き起こしている、または引き起こしていた原因を推定し、ストレス原因情報記憶部136に記憶する。ストレス原因推定部116は、前記ユーザ情報と、前記生活情報と、前記評価情報のいずれかまたはいくつかの情報から、統計的に当該原因を判定してもよく、解析の種類としては、相関分析、回帰、分類、クラスタリング、特徴量重要度の算出などを行ってもよく、また、これらの統計モデルは一般的に統計学で用いられる実装を用いればよくここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
ストレス原因推定部116は、一例として、評価部115が評価した主観的ストレス値または客観的ストレス値が平均値よりも高いと判定した場合に、そのサンプルを取得した時点よりも前の時点に起きた事象や、その時期に通常と異なると判定できる事象をストレスの原因と推定する。例えば、ストレス原因推定部116は、前記生活情報に含まれる定量的に表せる指標(勤務時間や、数値で表される業務上の成果、評価、睡眠時間、運動量など)について、ユーザの過去の一定期間の平均的な数値を算定し、その数値と一定の差がある場合に、その指標をストレスの原因であると推定する。例えば、ストレス原因推定部116は、過去の一定期間におけるユーザの平均的な業務時間を算定し、それよりも長時間労働が3日間、1週間、1か月など規定の期間継続(断続的に継続した場合も含んでもよい)した場合に、長時間労働がストレスの原因であると推定する。
【0060】
また、ストレス原因推定部116は、評価部115が評価した主観的ストレス値または客観的ストレス値が平均値よりも高いと判定した場合に、そのサンプルを取得した時点よりも前の時点で、前記生活情報に含まれる、定量的に表せる事象について、一般的に推奨されている時間との差異が規定数より離れていることを判定し、当該事象をストレスの原因と推定してもよい。例えば、ストレス原因推定部116は、サーバ装置1に記憶されている、労働時間、睡眠時間、運動量などの一般的な推奨数値(例えば、労働時間は1日8時間程度、睡眠時間は6~8時間程度、1日の歩数1万歩、など)を読み出す。ストレス原因推定部116は、例えば、当該労働時間の推奨時間(1日8時間)と、前記生活情報に含まれる労働時間と、を比較し、規定する数よりも差がある場合に、労働時間がストレスの原因であると推定してもよい。
【0061】
例えば、ストレス原因推定部116は、評価部115が評価した主観的ストレス値または客観的ストレス値が平均値よりも高いと判定した場合に、そのサンプルを取得した時点よりも前の時点で、一般的にストレスの原因となり得る事象が前記生活情報に含まれていることを判定し、当該事象をストレスの原因と推定してもよい。この場合、サーバ装置1に、一般的にストレスの原因となり得る事象(例えば、部署の移動、転職、退職、上司の変更、家族の不幸、自身の病気、被災など)が記憶される。ストレス原因推定部116は、評価部115が評価した主観的ストレス値または客観的ストレス値が平均値よりも高いと判定した場合に、そのサンプルを取得した時点よりも前の時点で、例えば前記生活情報に、部署を移動した情報が含まれていた場合、部署を移動したことを、ストレスの原因と推定する。
【0062】
なお、ストレス原因推定部116は、複数の事象をストレスの原因と推定してもよい。また、ストレス原因推定部116は、評価部115が、客観的ストレス値が高かったと判定する時期(解析部位の違いにより判定)の情報をもとに、推定した複数のストレスの原因となる事象から、幾つかに絞り込んでもよい。例えば、ストレス原因推定部116は、前記生活情報から、サンプル取得の時点よりも3か月前に部署移動があったことと、サンプル取得の時点よりも2か月前に長時間労働が続いていることから、部署移動と長時間労働をストレスの原因と推定する。更に、評価部115が、サンプル取得の時点よりも2か月前に主観的ストレス値または客観的ストレス値が平均値よりも高いと評価した場合に、ストレス原因推定部116は、2か月前に起きていた事象である長時間労働を、ストレスの原因と推定してもよい。
【0063】
アドバイス送信部117は、ストレス原因推定部116が推定したストレスの原因の解決に繋がると考えられる方法等を含むアドバイス等の情報を、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3に対し送信する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0064】
アドバイス送信部117は、一例として、前記生活情報と前記評価情報を基に、アドバイスを作成し、ユーザ端末3に送信する。例えば、アドバイス送信部117は、ストレス原因推定部116が推定したストレスの原因に対応する解決策情報を、アドバイス情報記憶部137から読み出して、ユーザに提示する。
【0065】
また、アドバイス送信部117は、一例として、前記ユーザ情報を基に、ユーザ属性に応じた解決策を提示しても良い。アドバイス送信部117は、例えば、ストレス原因推定部116が、長時間労働を原因と判定し、更に、前記ユーザ情報に含まれるコミュニティの状況の情報から、当該ユーザに家族がいると判定した場合、アドバイス情報記憶部137に記憶されている解決策の中から、家族がいるユーザへのアドバイスとして記憶されている、「家族とコミュニケーションが取れる時間に帰宅しましょう。」などの解決策をユーザに提示してもよい。
【0066】
さらに、アドバイス送信部117は、前記ユーザ情報と、前記生活情報と、前記評価情報のいずれかまたはいくつかの情報を基に、ユーザが呈しているストレスの状態と、その状態を引き起こしている原因を判定し、当該原因とその解決に繋がると考えられる方法等を含むアドバイス等の情報を、ネットワーク2を介して、専門家端末6に対し送信してもよい。専門家は、これらの情報を基に、前記ユーザに対してのアドバイスを検討、修正、追記し、ユーザ端末3に対して検討、修正、追記後のアドバイスを送信しても良い。
【0067】
さらに、アドバイス送信部117は、前記主観的ストレス値と、前記客観的ストレス値のバランスに応じて、提示する解決策を選定してもよい。アドバイス送信部117は、例えば、前記主観的ストレス値と比べて前記客観的ストレス値の方が高い場合や、逆に前記主観的ストレス値の方が前記客観的ストレス値と比べて高い場合に、前記アドバイス情報に含まれる、それぞれの現象に対応する解決策情報を、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3に対し送信してもよい。
【0068】
図13を用いて、本実施形態の代表的な処理の流れを説明する。まず、ユーザ情報取得部111がユーザ情報を受け付ける(1001)。次に、主観情報取得部112が主観情報を受け付ける(1002)。また、生活情報取得部113が生活情報を受け付ける(1003)。更に、生体情報取得部114が生体情報を受け付ける(1004)。評価部115は、前記主観情報に含まれるユーザの回答を、各心理測定尺度に設定された評価法をもとに判定し、主観的なストレス状態を評価する(1005)。更に、評価部115は、前記生体情報に含まれる成分の含量などから、客観的なストレス状態を評価する(1006)。また、評価部115は、前記主観的なストレス状態と、前記客観的なストレス状態のバランスを評価する(1007)。ストレス原因推定部116は、前記評価情報と、前記生活情報から、ストレスの原因を判定する(1008)。アドバイス送信部117はユーザにアドバイスを送信する(1009)。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ装置1の各機能部および各記憶部は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0071】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0072】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0073】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0074】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 ユーザ端末
4 組織端末
5 支援者端末
6 事業者端末
7 専門家端末
101 プロセッサ
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 ユーザ情報取得部
112 主観情報取得部
113 生活情報取得部
114 生体情報取得部
115 評価部
116 ストレス原因推定部
117 アドバイス送信部
131 ユーザ情報記憶部
132 主観情報記憶部
133 生活情報記憶部
134 生体情報記憶部
135 評価情報記憶部
136 ストレス原因情報記憶部
137 アドバイス情報記憶部