(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148403
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】表示処理装置
(51)【国際特許分類】
G09G 5/14 20060101AFI20220929BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220929BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220929BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20220929BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20220929BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20220929BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220929BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20220929BHJP
B61B 1/02 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
G09G5/14 A
G09G5/00 530H
G09G5/36 520E
G09G5/36 520L
G09G5/38 Z
B61L23/00 Z
H04N5/232 930
H04N5/232 290
G06F3/0484 120
B61B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050073
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 良視
【テーマコード(参考)】
3D101
5C122
5C182
5E555
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AD11
5C122EA47
5C122FH05
5C122FH09
5C122FH15
5C122FH20
5C122FK23
5C122FK42
5C122GA34
5C122GC52
5C122HA01
5C122HA88
5C182AB25
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA14
5C182CB15
5C182CB16
5C182CB24
5C182CB25
5C182CB26
5C182CB27
5C182CB52
5C182CC01
5E555AA26
5E555BA02
5E555BB02
5E555CA42
5E555CB45
5E555CB47
5E555DB04
5E555DB53
5E555DB57
5E555EA11
5E555FA00
5H161AA01
5H161MM15
5H161NN10
(57)【要約】
【課題】複数の映像を適切なレイアウトで表示部に表示する。
【解決手段】表示処理装置は、複数の撮影部で撮影された映像を取得する映像取得部と、複数の映像の数及びロール角度を取得し、ロール角度を保持した状態で複数の映像を表示部に並べて表示する場合の表示部における分割画面の配置に関する設定情報を取得する設定取得部と、複数の映像を設定情報に基づいて合成し表示用映像を生成する映像処理部と、生成された表示用映像を表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影部で撮影された映像を取得する映像取得部と、
複数の前記映像の数及びロール角度を取得し、前記ロール角度を保持した状態で複数の前記映像を表示部に並べて表示する場合の前記表示部における分割画面の配置に関する設定情報を取得する設定取得部と、
複数の前記映像を前記設定情報に基づいて合成し表示用映像を生成する映像処理部と、
生成された前記表示用映像を前記表示部に表示させる表示制御部と
を備える表示処理装置。
【請求項2】
前記映像処理部は、それぞれの前記映像のアスペクト比を保持することを優先するアスペクト優先処理、又はそれぞれの前記映像が前記分割画面の全体に表示されるように縦横の伸縮を調整する伸縮優先処理により、複数の前記映像を合成可能である
請求項1に記載の表示処理装置。
【請求項3】
前記映像処理部は、前記アスペクト優先処理を行う場合、前記映像の全体を表示する映像全体表示処理、又は前記分割画面の全体に前記映像を表示する画面全体表示処理により、複数の前記映像を合成可能である
請求項2に記載の表示処理装置。
【請求項4】
前記映像処理部は、
前記映像全体表示処理において、前記映像と前記分割画面とでアスペクト比が異なる場合には、前記分割画面の縦方向又は横方向の端部に帯状部を配置することを含み、
前記画面全体優先処理において、前記映像と前記分割画面とでアスペクト比が異なる場合には、前記映像の縦方向又は横方向の端部の一部を除去することを含む
請求項3に記載の表示処理装置。
【請求項5】
前記ロール角度を示す情報は、前記映像の入力アナログ信号のブランキング期間、もしくは、デジタル信号の拡張情報部分に挿入される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮影部で撮影した映像等、複数の映像を1つの表示部に分割して表示する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成においては、映像の数、映像のロール角度(縦長、横長等)、表示部の配置角度(縦長、横長等)等の設定が異なると、複数の映像を1つの表示部に適切なレイアウトで表示することが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、複数の映像を適切なレイアウトで表示部に表示することが可能な表示処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示処理装置は、複数の撮影部で撮影された映像を取得する映像取得部と、複数の前記映像の数及びロール角度を取得し、前記ロール角度を保持した状態で複数の前記映像を表示部に並べて表示する場合の前記表示部における分割画面の配置に関する設定情報を取得する設定取得部と、複数の前記映像を前記設定情報に基づいて合成し表示用映像を生成する映像処理部と、生成された前記表示用映像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の映像を適切なレイアウトで表示部に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示処理システムの一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る表示処理装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、表示部における分割画面のレイアウトの例を示す図である。
【
図5】
図5は、表示部における分割画面のレイアウトの例を示す図である。
【
図6】
図6は、表示部における分割画面のレイアウトの例を示す図である。
【
図7】
図7は、映像処理部により複数のカメラ映像が合成される処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、映像処理部により生成された表示用映像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る表示処理装置20における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る表示処理装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示処理システム100の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、表示処理システム100は、撮影装置10と、表示処理装置20と、表示装置30と、入力装置40とを備える。本実施形態において、表示処理システム100は、例えば鉄道、路面電車などの駅及びターミナルのプラットホームに配置され、電車等の車両Tのドア及びその付近の様子を撮影して表示する。表示処理システム100は、当該撮影された映像を表示することにより、例えば車掌又は駅員が表示部を見ながら乗客の乗降の安全を確認することができ、ドアの開閉等を安全に行うことができる。
【0011】
撮影装置10は、複数台のカメラ11、12、13を有する。本実施形態において、撮影装置10は、例えば3台のカメラ11、12、13を有する構成であるが、これに限定されず、2台又は4台以上のカメラを有する構成であってもよい。複数台のカメラ11、12、13は、列車停止時に全ての車両Tの側面を確認できるように配置される。
【0012】
撮影装置10は、カメラ11、12、13により撮影された映像であるカメラ映像を表示処理装置20に入力する。カメラ映像の入力信号には、ブランキング期間が含まれる。ブランキング期間には、撮影されたカメラ映像のロール角度を示す情報が挿入される。カメラ映像のロール角度について、本実施形態では、矩形状のカメラ映像において横長の状態をロール角度0°(基準角度)とし、縦長の状態をロール角度90°とすることができる。なお、ロール角度を示す情報は、ブランキング期間に挿入される構成に限定されず、カメラ映像の入力信号の拡張情報部分や他の部位に挿入される構成であってもよい。
【0013】
表示装置30は、撮影装置10で撮影された複数のカメラ映像をまとめて表示する。表示装置30は、例えば矩形状の表示部31を有する。表示装置30は、例えば表示部31が横長(配置角度0°)に配置された構成である。なお、表示装置30は、表示部31が縦長(配置角度90°)に配置された構成であってもよい。また、表示装置30は、表示部31が横長に配置された状態と縦長に配置された状態とを切り替え可能な構成であってもよい。また、表示装置30は、表示部31の配置角度を0°(横長の状態)から90°(縦長の状態)の間で適宜調整可能な構成であってもよい。
【0014】
入力装置40は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置が用いられる。入力装置40は、表示処理装置20に対して、各種の情報を入力することができる。入力装置40は、例えば表示処理装置20に対して、表示装置30の用途等の情報を入力することができる。
【0015】
表示処理装置20は、コンピュータ等の情報処理装置が用いられる。
図2は、本実施形態に係る表示処理装置20の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、表示処理装置20は、入出力部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
【0016】
入出力部21は、撮影装置10で撮影された複数のカメラ映像が入力される。入出力部21は、制御部23で合成される表示用映像が表示装置30に出力される。入出力部21は、入力装置40で入力された情報が入力される。
【0017】
記憶部22は、各種情報を記憶する。記憶部22は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部22として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部22は、後述する映像処理部26において複数のカメラ映像を合成する際に用いるテーブル情報を記憶する。テーブル情報は、表示用映像を合成する際の処理内容と、表示装置30の用途とを対応付けた情報である。表示用映像を合成する際の処理内容については、後述する。表示装置30の用途について、例えば本実施形態のような駅のホームに用いられる場合、車両Tのドアから乗降する乗客を監視する監視用等とすることができる。また、表示装置30の用途について、監視用とは異なる他の用途で用いられる態様であってもよい。
【0018】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。制御部23は、映像取得部24と、設定取得部25と、映像処理部26と、表示制御部27とを有する。
【0019】
映像取得部24は、入出力部21に入力されたカメラ11、12,13によるカメラ映像を取得する。
【0020】
設定取得部25は、複数のカメラ映像の数及びロール角度を取得する。設定取得部25は、取得したロール角度を保持した状態で複数のカメラ映像を表示装置30に並べて表示する場合の表示装置30における分割画面の配置に関する設定情報を取得する。分割画面の配置に関する設定情報については、例えば表示装置30の表示部31全体の形状及び配置角度(縦長、横長等)の情報、複数のカメラ映像の数に対応する分割画面の画面数の情報、複数のカメラ映像のロール角度に対応する分割画面の形状及び配置角度の情報、分割画面の並ぶ位置の情報等が挙げられる。表示装置30の表示部31全体の配置角度及び分割画面の配置角度については、例えばそれぞれ矩形状である場合において、横長の状態を0°とし、縦長の状態を90°とすることができる。分割画面の配置に関する設定情報については、カメラ映像の数及びロール角度と、表示装置30側の上記各項目とを対応付けたテーブル情報として、記憶部22に記憶しておくことができる。設定取得部25は、カメラ映像の数及びロール角度を取得した場合、取得した情報と記憶部22に記憶されたテーブル情報とに基づいて、分割画面の配置に関する設定情報を取得することができる。なお、設定取得部25は、カメラ映像の数及びロール角度に基づいて、表示部31における分割画面の配置に関する設定情報を算出し、算出結果を取得してもよい。
【0021】
映像処理部26は、複数のカメラ映像を合成して表示用映像を生成する。表示用映像は、表示装置30の矩形の表示部31に対応した矩形の映像である。表示用映像は、複数のカメラ映像が後述する各種の状態で並ぶように生成される。
【0022】
映像処理部26は、例えばアスペクト優先処理及び伸縮優先処理のいずれかの処理により複数のカメラ映像を合成することができる。アスペクト優先処理は、それぞれの映像のアスペクト比を保持することを優先して合成を行う処理内容である。伸縮優先処理は、映像の全体が分割画面全体に表示されるように縦横の伸縮を調整する処理内容である。映像処理部26がアスペクト優先処理及び伸縮優先処理のいずれの処理で合成を行うかについては、例えば予め設定しておくことができる。
【0023】
映像処理部26は、アスペクト優先処理で合成を行う場合において、映像全体表示処理又は画面全体表示処理のいずれかの処理を行うことができる。映像全体表示処理は、分割画面にカメラ映像の全体を表示するように合成を行う処理内容である。画面全体表示処理は、分割画面の全体にカメラ映像を表示するように合成を行う処理内容である。
【0024】
映像処理部26は、映像全体表示処理において、カメラ映像と分割画面とでアスペクト比が異なる場合には、分割画面の縦方向又は横方向の端部に帯状部を配置することができる。また、映像処理部26は、画面全体表示処理において、カメラ映像と分割画面とでアスペクト比が異なる場合には、カメラ映像の縦方向又は横方向の端部のうち分割画面からはみ出す部分を除去することができる。映像全体表示処理及び画面全体表示処理のいずれの処理を行うかについては、例えば予め設定しておくことができる。
【0025】
映像処理部26は、表示装置30の用途が指定される場合、記憶されたテーブル情報に基づいた処理内容で複数のカメラ映像を合成する。この場合、例えば表示装置30の用途が乗客の安全を監視する監視用である場合、カメラ映像に対してアスペクト比が保持された映像を表示装置30で確認できることが重要となる。したがって、テーブル情報においては、表示装置30の監視用の用途と、アスペクト優先処理とを対応付けることができる。
【0026】
表示制御部27は、生成された表示用映像を入出力部21から表示装置30に出力する。表示制御部27の制御により、表示部31に表示用映像が表示する。
【0027】
次に、上記のように構成された表示処理システム100の動作の一例を説明する。撮影装置10において、複数のカメラ11、12、13により撮影されたカメラ映像が表示処理装置20の入出力部21に入力される。
図3は、カメラ映像の一例を示す図である。
図3に示すように、複数のカメラ11、12、13により撮影されたカメラ映像M(M1、M2、M3)は、矩形状であり、縦長(ロール角度90°)である。カメラ映像の入力信号のブランキング期間には、各カメラ11、12、13で撮影されたカメラ映像が縦長(ロール角度90°)であることを示す設定情報が含まれる。映像取得部24は、入力された複数のカメラ映像を取得する。
【0028】
設定取得部25は、取得したカメラ映像の数及び各カメラ映像のロール角度を取得する。また、設定取得部25は、取得したカメラ映像の数及び各カメラ映像のロール角度に基づいて、表示部31に複数のカメラ映像を並べて表示する場合の分割画面の配置に関する設定情報を取得する。
【0029】
図4から
図6は、表示部31における分割画面32のレイアウトの例を示す図である。
図4では、カメラ映像の数が3であり、縦長(ロール角度90°)の映像である場合の例を示している。
図4の左側に示すように、表示部31が横長(配置角度0°)に配置された表示装置30においては、縦長(配置角度90°)の分割画面32を横方向に3画面分並べて表示させる態様となっている。この態様では、分割画面32の縦方向の寸法は、表示部31の縦方向の寸法と同一とすることができる。また、分割画面32の横方向の寸法は、表示部31の横方向の寸法を3等分した寸法とすることができる。
【0030】
また、
図4の右側に示すように、表示部31が縦長(配置角度90°)に配置された表示装置30においては、縦長(配置角度90°)の分割画面32を縦横2列で4つ並べた状態とし、1つを使用しない態様となっている。この態様では、分割画面32の縦方向及び横方向の寸法は、表示部31の縦方向及び横方向の寸法をそれぞれ2等分した寸法とすることができる。
【0031】
図5では、カメラ映像の数が3であり、横長(ロール角度0°)の映像である場合の例を示している。
図5の左側に示すように、表示部31が縦長(配置角度90°)に配置された表示装置30においては、横長(配置角度0°)の分割画面32を縦方向に3画面分並べて表示させる態様となっている。この態様では、分割画面32の縦方向の寸法は、表示部31の縦方向の寸法を3等分した寸法とすることができる。また、分割画面32の横方向の寸法は、表示部31の横方向の寸法と同一とすることができる。
【0032】
また、
図5の右側に示すように、表示部31が横長(配置角度0°)に配置された表示装置30においては、横長(配置角度0°)の分割画面32を縦横2列で4つ並べた状態とし、1つを使用しない態様となっている。この態様では、分割画面32の縦方向及び横方向の寸法は、表示部31の縦方向及び横方向の寸法をそれぞれ2等分した寸法とすることができる。
【0033】
図6では、カメラ映像の数が4であり、縦長(ロール角度90°)の映像である場合の例を示している。
図6の左側に示すように、表示部31が横長(配置角度0°)に配置された表示装置30においては、縦長(配置角度90°)の分割画面32を横方向に4画面分並べて表示させる態様となっている。この態様では、分割画面32の縦方向の寸法は、表示部31の縦方向の寸法と同一とすることができる。また、分割画面32の横方向の寸法は、表示部31の横方向の寸法を4等分した寸法とすることができる。
【0034】
また、
図6の右側に示すように、表示部31が縦長(配置角度90°)に配置された表示装置30においては、縦長(配置角度90°)の分割画面32を縦横2列で4つ並べた態様となっている。この態様では、分割画面32の縦方向及び横方向の寸法は、表示部31の縦方向及び横方向の寸法をそれぞれ2等分した寸法とすることができる。
【0035】
図4から
図6に示すような分割画面32のレイアウトのパターンは、テーブル情報として記憶部22に記憶される。カメラ画像の数が2又は5以上の場合や、表示部31の配置角度が0°から90°の間に配置される場合についても同様にレイアウトのパターンが設定される。
【0036】
映像処理部26は、取得された設定情報に基づいて、複数のカメラ映像を合成して表示用映像を生成する。
図4から
図6の例で示したように、分割画面32のアスペクト比は、表示部31の配置状態(縦又は横等)及び分割画面32の数に応じて異なることになる。このため、映像処理部26は、複数のカメラ映像を合成する場合、分割画面32にどのように表示するかについて各種の態様で処理することができる。
【0037】
図7は、映像処理部26により複数のカメラ映像が合成される処理の一例を示す図である。映像処理部26は、アスペクト優先処理及び伸縮優先処理のうち予め設定されるいずれかの処理により複数のカメラ映像を合成する。
【0038】
まず、映像処理部26がアスペクト優先処理により複数のカメラ映像を合成する場合を説明する。映像処理部26は、まず、カメラ映像のアスペクト比と、表示部31の分割画面のアスペクト比との差を求める。
【0039】
映像処理部26は、例えば映像全体表示処理を行う場合、カメラ映像が表示部31の分割画面からはみ出さずにアスペクト比がカメラ映像のアスペクト比を維持するように、当該カメラ映像を拡大又は縮小する。例えばカメラ映像と分割画面とで縦横の寸法が異なる場合、映像処理部26は、カメラ映像の縦幅及び横幅の一方が分割画面の縦幅及び横幅の対応する方と一致し、カメラ映像の縦幅及び横幅の他方が分割画面の縦幅及び横幅の対応する方よりも小さくなるようにカメラ映像を拡大または縮小する。映像処理部26は、
図7に示すように、分割画面に対して、映像が存在しない空白部分となる縦横の一方の両端に例えば黒色の帯状部を配置した合成映像MAを生成することができる。この場合、合成映像MAは、カメラ映像のアスペクト比を維持したままカメラ映像全体が表示されることになる。
【0040】
また、映像処理部26は、例えば画面全体表示処理を行う場合、映像処理部26は、アスペクト比を保持するように映像を拡大又は縮小して分割画面からはみ出す部分を除去する。例えばカメラ映像と分割画面とで縦横の寸法が異なる場合、映像処理部26は、カメラ映像の縦幅及び横幅の一方が分割画面の縦幅及び横幅の対応する方と一致し、カメラ映像の縦幅及び横幅の他方が分割画面の縦幅及び横幅の対応する方よりも大きくなるようにカメラ映像を拡大または縮小する。そして、映像処理部26は、カメラ映像の縦幅及び横幅の他方について、分割画面からはみ出す部分を除去して、合成映像MBを生成する。この場合、合成映像MBは、カメラ映像の縦横のうち一方については全体が表示されるが、他方については一部のみが表示されることになる。この場合、合成画像MBは、カメラ映像の拡大比率又は縮小比率が縦横で同じであり、映像全体表示処理と比べ分割画面全体に拡大された状態で表示されることになる。
【0041】
また、伸縮優先処理を行う場合、映像処理部26は、映像の全体が分割画面に表示されるように縦横の伸縮を調整する。例えば、映像処理部26は、カメラ映像のアスペクト比と、表示部31の分割画面のアスペクト比との差を求める。次に、映像処理部26は、アスペクト比の差を埋めるように縦横を拡大または縮小させて、合成映像MCを生成する。この場合、合成映像MCは、カメラ映像のアスペクト比を分割画面のアスペクト比に調整してカメラ映像全体が分割画面全体に表示されることになる。
【0042】
図8は、映像処理部26により生成された表示用映像の一例を示す図である。
図8に示すように、映像処理部26により、複数のカメラ映像が合成された表示用映像MDが生成される。表示用映像MDは、縦長の3つのカメラ映像が縦横同一の寸法で横方向に並んだ状態の映像である。なお、表示部31における分割画面の配置に応じて、表示用映像MDに含まれるカメラ映像のレイアウトが異なるように合成することができる。映像処理部26は、例えばカメラ映像ごとに縦横の寸法が異なるように合成してもよい。また、映像処理部26は、例えば一のカメラ映像についてはアスペクト優先処理を行い、他のカメラ映像については伸縮優先処理を行う、というようにカメラ映像ごとに処理内容が異なるように合成してもよい。例えば、映像全体表示処理により生成される合成映像MAのように、映像が存在しない空白部分がある場合、黒色の帯状部を配置せずに、カメラ映像の幅に合わせて分割画面を縮めて、その分、他の分割画面の幅を伸ばしてもよい。
【0043】
表示制御部27は、映像処理部26により生成された表示用映像を表示部31に表示させる。使用者は、表示部31に表示される表示用映像を見ることにより、用途に応じた態様でカメラ映像を把握することができる。
【0044】
次に、本実施形態に係る表示処理システム100の動作の一例について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態に係る表示処理装置20における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、映像取得部24は、入出力部21に入力されたカメラ11、12,13によるカメラ映像Mを取得する(ステップS10)。設定取得部25は、複数のカメラ映像Mの数及びロール角度を取得し、取得した情報に基づいて分割画面32の配置に関する設定情報を取得する(ステップS20)。映像処理部26は、複数のカメラ映像Mを設定情報に基づいて合成し表示用映像MDを生成する(ステップS30)。表示制御部27は、生成された表示用映像MDを表示部31に表示させる(ステップS40)。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る表示処理装置20は、複数のカメラ11、12、13で撮影されたカメラ映像Mを取得する映像取得部24と、複数のカメラ映像Mの数及びロール角度を取得し、ロール角度を保持した状態で複数のカメラ映像Mを表示部31に並べて表示する場合の表示部31における分割画面32の配置に関する設定情報を取得する設定取得部25と、複数のカメラ映像Mを設定情報に基づいて合成し表示用映像MDを生成する映像処理部26と、生成された表示用映像MDを表示部31に表示させる表示制御部27とを備える。
【0046】
この構成によれば、複数のカメラ映像Mの数及びロール角度に対応するように表示部31側の分割画面32の配置(レイアウト)が自動的に設定され、この設定に基づいて複数のカメラ映像が表示部31に表示されることになる。従って、カメラ映像Mの数及びロール角度、表示部31の配置角度がどのような設定であっても、当該設定に応じた適切なレイアウトで複数のカメラ映像Mを表示部31に表示することができる。
【0047】
本実施形態に係る表示処理装置20において、映像処理部26は、それぞれのカメラ映像Mのアスペクト比を保持することを優先するアスペクト優先処理、又はそれぞれのカメラ映像Mが分割画面32の全体に表示されるように縦横の伸縮を調整する伸縮優先処理により、複数のカメラ映像Mを合成可能である。この構成によれば、設定に応じて柔軟な表示態様となるように表示用映像MDを生成することができる。
【0048】
本実施形態に係る表示処理装置20において、映像処理部26は、映像全体表示処理において、カメラ映像Mと分割画面32とでアスペクト比が異なる場合には、分割画面32の縦方向又は横方向の端部に帯状部を配置することを含み、画面全体優先処理において、カメラ映像Mと分割画面32とでアスペクト比が異なる場合には、カメラ映像Mの縦方向又は横方向の端部の一部を除去することを含む。この構成によれば、設定に応じて柔軟な表示態様となるように表示用映像MDを生成することができる。
【0049】
本実施形態に係る表示処理装置20において、ロール角度を示す情報は、カメラ映像Mの入力アナログ信号のブランキング期間、もしくは、デジタル信号の拡張情報部分に挿入される。この構成によれば、カメラ映像Mのロール角度を効率的に取得することができる。
【0050】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、表示処理システム100が鉄道、路面電車などの駅及びターミナルのプラットホームに配置される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。表示処理システム100は、例えば放送局等において複数の撮影部で撮影した映像を1つ又は複数の表示部内に分割して表示させる場合にも適用することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、カメラ映像及び分割画面の形状が矩形状である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。カメラ映像及び分割画面は、矩形状ではなく、三角形等の多角形、円形、楕円形等他の形状であってもよい。また、カメラ映像のロール角度、表示部31及び分割画面の配置角度についても同様に、0°と90°との2通りに限定されず、0°から90°の間で設定されてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、ロール角度がすべて同一の複数のカメラ映像を表示部30に表示させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。上記実施形態の表示処理システム100は、ロール角度が異なる複数のカメラ画像を表示部30に表示させる場合についても適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
M(M1、M2、M3)…カメラ映像、MA,MB,MC…合成映像、MD…表示用映像、T…車両、10…撮影装置、11,12,13…カメラ、20…表示処理装置、21…入出力部、22…記憶部、23…制御部、24…映像取得部、25…設定取得部、26…映像処理部、27…表示制御部、30…表示装置、31…表示部、32…分割画面、40…入力装置、100…表示処理システム