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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148410
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】管理システム、及び、管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220929BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220929BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06 350
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050082
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521095503
【氏名又は名称】ホンダモビリティソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雅人
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 滉樹
(72)【発明者】
【氏名】古川 将司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB68
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】管理対象の建物等に配置される物品の移動や撤去が必要な場合に、効率よく対処できるようにする。
【解決手段】車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、管理対象物の移動が必要な状態であるか否かを判定する移動判定部と、移動判定部によって管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、管理対象物の移動作業の依頼を送信する依頼処理部と、を備える、管理システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、前記管理対象物の移動が必要な状態であるか否かを判定する移動判定部と、
前記移動判定部によって前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記管理対象物の移動作業の依頼を送信する依頼処理部と、を備える、管理システム。
【請求項2】
前記移動判定部は、前記サービス拠点を含む地域の気象情報を取得し、前記サービス拠点を含む地域の悪天候が予測される場合に、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定する、請求項1記載の管理システム。
【請求項3】
前記移動判定部は、前記サービス拠点を管理する管理者から前記管理対象物の移動の指示を受け付けた場合に、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定する、請求項1または2記載の管理システム。
【請求項4】
前記サービス拠点に配置された前記車両の貸出を管理する貸出管理部を備え、
前記貸出管理部は、
前記移動判定部によって前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記サービス拠点に配置されている少なくとも1台の前記車両を前記管理対象物の移動先として指定し、
前記管理対象物の移動先として指定した前記車両の貸出を停止し、
前記依頼処理部は、前記管理対象物の移動先として前記車両を指定して、前記移動作業の依頼を送信する、請求項1から3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記依頼に応じて前記サービス拠点において実行された前記移動作業の結果を取得する作業結果取得部と、
評価を行う評価者に前記移動作業の結果を通知し、前記評価者による前記移動作業に対する評価を取得する評価取得部と、を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記移動判定部は、前記管理対象物の前記移動作業が行われた前記サービス拠点について、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した理由に基づき、前記管理対象物を前記移動作業の前の状態に復旧するか否かを判定し、
前記依頼処理部は、前記移動判定部によって前記管理対象物を前記移動作業の前の状態に復旧すると判定した場合に、前記管理対象物の復旧作業の依頼を送信する、請求項1から5のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記管理対象物の移動作業の依頼を送信する、管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、及び、管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の管理者が事業に供する建物に掲示物等を配置する場合、掲示物等の管理に関する負担が大きいことが指摘されている。例えば、特許文献1は、ビル管理者が、ビルに掲示するチラシの掲示及び撤収に関して、宅配業者やメッセンジャーサービス等の事業者と業務提携を行う方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-149782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、予定にない理由で、建物に設置されている掲示物や設置物を移動或いは撤去しなければならない場合がある。このような場合、管理者は予定にない作業を手配しなければならず、負担が大きいという課題があった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、管理対象の建物等に配置される物品の移動や撤去が必要な場合に、効率よく対処できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、前記管理対象物の移動が必要な状態であるか否かを判定する移動判定部と、前記移動判定部によって前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記管理対象物の移動作業の依頼を送信する依頼処理部と、を備える、管理システムが挙げられる。
【0006】
上記管理システムにおいて、前記移動判定部は、前記サービス拠点を含む地域の気象情報を取得し、前記サービス拠点を含む地域の悪天候が予測される場合に、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定する構成としてもよい。
【0007】
上記管理システムにおいて、前記移動判定部は、前記サービス拠点を管理する管理者から前記管理対象物の移動の指示を受け付けた場合に、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定する構成としてもよい。
【0008】
上記管理システムにおいて、前記サービス拠点に配置された前記車両の貸出を管理する貸出管理部を備え、前記貸出管理部は、前記移動判定部によって前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記サービス拠点に配置されている少なくとも1台の前記車両を前記管理対象物の移動先として指定し、前記管理対象物の移動先として指定した前記車両の貸出を停止し、前記依頼処理部は、前記管理対象物の移動先として前記車両を指定して、前記移動作業の依頼を送信する構成としてもよい。
【0009】
上記管理システムにおいて、前記依頼に応じて前記サービス拠点において実行された前記移動作業の結果を取得する作業結果取得部と、評価を行う評価者に前記移動作業の結果を通知し、前記評価者による前記移動作業に対する評価を取得する評価取得部と、を備える構成としてもよい。
【0010】
上記管理システムにおいて、前記移動判定部は、前記管理対象物の前記移動作業が行われた前記サービス拠点について、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した理由に基づき、前記管理対象物を前記移動作業の前の状態に復旧するか否かを判定し、前記依頼処理部は、前記移動判定部によって前記管理対象物を前記移動作業の前の状態に復旧すると判定した場合に、前記管理対象物の復旧作業の依頼を送信する構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記管理対象物の移動作業の依頼を送信する、管理方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物の移動や撤去が必要な場合に、必要な作業を速やかに依頼し、効率よく対処できる。そのため、管理対象物の管理に要する管理者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】管理システムの概要を示す説明図。
図2】点検作業の対象となるサービス拠点及び管理対象物の例を示す図。
図3】管理システムのブロック図。
図4】サービス拠点データの構成例を示す模式図。
図5】管理システムの動作を示すフローチャート。
図6】管理システムの動作を示すシーケンス図。
図7】管理システムの動作を示すフローチャート。
図8】管理システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.管理システムの概要]
図1は、本実施形態の管理システム1の概要を示す説明図である。
管理システム1は、車両Vを提供するサービス事業に利用されるサービス拠点に配置された車両V、及び、管理対象物を管理するシステムである。
管理システム1に関わるサービス事業は、例えば、カーシェアリング、レンタカー、カーリースが挙げられる。本実施形態では、顧客に車両Vを貸与するカーシェアリングサービス事業を例に挙げて説明する。カーシェアリングサービスで提供される車両Vの種類に制限はなく、本実施形態では一例として、四輪自動車とする。
【0015】
管理システム1は、管理装置100を備える。管理装置100は、サービス拠点の点検を行う作業者になり得る人物として予め登録されたユーザU1に対し、作業を依頼し、依頼に応じたユーザU1の中から作業者を決定する。図1には1人のユーザU1を示しているが、管理装置100には複数のユーザU1を登録することが可能であり、ユーザU1の数に制限はない。図1には、ユーザU1が使用する端末装置としてユーザ端末210を示す。管理装置100は、通信ネットワーク500を通じてユーザ端末210と通信を実行することにより、ユーザU1に対する各種の通知を実行する。
【0016】
管理装置100は、会員端末230、及び、管理者端末250と通信を実行する。
会員端末230は、カーシェアリングサービスを利用する会員である会員U3が使用するコンピュータである。会員U3は、カーシェアリングサービスの利用者として予め登録された人物である。会員U3が会員端末230を操作して、車両Vの利用を要求した場合、管理装置100は、会員U3に車両Vを貸し出す処理を実行する。管理装置100は、会員端末230に、会員U3が利用する車両Vの車種、登録番号、置き場所等の情報を通知する。また、管理装置100は、会員U3による車両Vの返却を管理する。
【0017】
管理者端末250は、管理者U2が使用するコンピュータである。管理者U2は、例えば、サービス事業を運営する企業の社員、または、この企業から委託を受けた人物である。管理者U2は、サービス拠点700を管理する担当者または責任者である。
【0018】
ユーザ端末210、及び、会員端末230は、可搬型のコンピュータであり、例えば、モバイルデバイス、或いは、ハンドヘルドコンピュータと呼ばれる携帯型のコンピュータである。ユーザ端末210及び会員端末230は、据え置き型のコンピュータであってもよい。管理者端末250は、例えば、据え置き型のコンピュータであり、可搬型のコンピュータであってもよい。
【0019】
図2は、管理システム1による管理の対象となるサービス拠点及び管理対象物の一例を示す図である。
図2のサービス拠点700は、車両を提供するサービス事業に利用される拠点であり、サービス拠点の一例である。車両を提供するサービス事業とは、例えば、カーシェアリング、レンタカー、カーリースが挙げられる。サービス拠点700は、顧客に提供される車両Vを駐車する駐車場701を有し、建屋702が設置されている。
【0020】
サービス拠点700には、事業の宣伝、広告目的の設置物が設置される。例えば、駐車場701には、スタンド式看板711が配置される。スタンド式看板711は駐車場701に置かれる看板であり、持ち運び可能である。配布物712は、事業の宣伝用の紙や冊子であり、サービス拠点700を訪れた顧客や、サービス事業に興味を持つ人が持ち帰ることができるように、建屋702に固定された配布物ケース713に収容される。また、駐車場701には、事業の宣伝を目的とする、のぼり旗714が設置される。建屋702には、看板715が固定されている。
【0021】
管理システム1は、サービス拠点700に配置された設置物の少なくとも一部を管理対象物とする。設置物は、例えば、スタンド式看板711、配布物712、のぼり旗714、及び、看板715を含み、図示はしないが、駐車場701の路面に貼付されるステッカーを管理対象物としてもよい。また、配布物712を収容するための配布物ケース713も設置物に含まれてもよい。本実施形態では、管理対象物は、移動可能な物体であり、具体的にはスタンド式看板711、配布物712、及び、のぼり旗714である。配布物ケース713が建屋702から着脱可能な場合、管理対象物は配布物ケース713を含む。
【0022】
管理システム1は、サービス拠点700に設置された管理対象物の移動作業が必要な場合に、後述する処理によって、移動作業の依頼を行う。移動作業は、管理対象物を移動または撤去する作業である。移動作業は、例えば、強風等の悪天候時に、管理対象物の飛散、転倒、落下、及び、これらの事象による管理対象物の破損を防止するために行われる。また、移動作業は、管理対象物がサービス拠点700およびその周辺の工事や作業の支障とならないようにするために行われる。
【0023】
移動作業を行う作業者は、管理対象物を、図2に示した通常の位置から所定の移動先に移動させる。移動先は、建屋702の陰、建屋702に設けられた倉庫等が挙げられる。本実施形態では、管理装置100は、管理対象物の移動先として、駐車場701に駐車されている車両Vを利用する。すなわち、作業者は、管理対象物を車両Vの車内に収容する。
【0024】
図2に示す管理対象物は一例である。管理システム1が複数のサービス拠点700を管理対象とする場合、管理対象物の種類、数、及び位置は、サービス拠点700毎に異なっていてもよい。また、サービス拠点700に設置されている管理対象物となり得る物体の一部のみが、移動作業の対象となる管理対象物として登録されてもよい。
具体的には、第1のサービス拠点700にはスタンド式看板711、配布物712、のぼり旗714、及び、看板715が設置され、その全てが管理システム1の管理対象物とされる。この場合に、第2のサービス拠点700に、スタンド式看板711、配布物712及びのぼり旗714が設置され、看板715が設置されない例が挙げられる。さらに、第2のサービス拠点700について、配布物712及びのぼり旗714が移動作業の対象の管理対象物として登録され、スタンド式看板711が移動作業の対象である管理対象物として登録されないようにすることも可能である。
【0025】
各々のサービス拠点700において管理システム1の管理対象となる管理対象物は、後述するサービス拠点データ25により設定される。サービス拠点データ25を書き換えることにより、サービス拠点700における管理対象物の種類や数を変更することも可能である。
【0026】
図2はサービス拠点の具体的態様を限定するものではない。例えば、建屋702が設置されることは必須ではない。また、サービス拠点はビルの一部であってもよく、駐車場701を備えていなくてもよい。
【0027】
図1の例で、カーシェアリングサービスで貸し出される車両Vには、車載装置270が搭載される。車載装置270は、管理装置100と通信ネットワーク500を経由して通信する通信機能、及び、車両Vのドアロックの施錠および解除を行う機能を有する。車載装置270は、会員U3が車両Vを使用する場合に、車両Vのドアロックを解錠して、会員U3が車両Vを運転可能な状態とする。
【0028】
また、管理装置100は、通信ネットワーク500を介して不図示の気象情報サーバと通信を実行する。気象情報サーバは、政府、公共機関、自治体の気象情報管理部門、或いは民間の気象情報提供企業が、気象情報を提供するために設置するサーバである。ここで、気象情報とは、現在の天候に関する情報、天候の予報に関する情報等を含む。管理装置100は、気象情報サーバと通信を行うことによって、気象情報を取得できる。管理装置100は、気象情報サーバと通信を行うことに代えて、テレビ放送やラジオ放送で配信される気象情報を受信することによって気象情報を取得してもよい。
【0029】
[2.管理装置の構成]
管理装置100は、プロセッサ10、記憶部20、及び、通信部30を備える。プロセッサ10は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロコントローラ等の情報処理デバイスである。記憶部20は、プロセッサ10によって実行されるプログラムや、プロセッサ10が処理するデータを記憶する。記憶部20は、フラッシュメモリ等の半導体メモリデバイス、磁気的記憶デバイス、光学的記憶デバイス等を用いて構成される不揮発性の記憶装置が挙げられる。また、記憶部20は、半導体メモリデバイスで構成される揮発性の記憶領域を備え、この揮発性の記憶領域によってプロセッサ10のワークエリアを形成してもよい。また、プロセッサ10が揮発性メモリを統合した統合型のデバイスで構成される場合、記憶部20は不揮発性の記憶装置で構成される。
【0030】
記憶部20は、制御用プログラム21、車両データ22、貸出管理データ23、会員データ24、サービス拠点データ25、ユーザデータ26、作業依頼データ27、及び、作業結果データ28を記憶する。制御用プログラム21は、プロセッサ10が管理装置100を制御するために実行するプログラムである。
【0031】
車両データ22は、カーシェアリングサービスにおいて貸し出される車両Vに関するデータである。車両データ22は、車両Vの登録番号、車種、年式、カーシェアリングの料金、車両Vの所在を示す位置情報等を含む。
【0032】
貸出管理データ23は、車両Vの貸出に関するデータである。貸出管理データ23は、車両Vの貸出が行われる場合に生成され、記憶部20に記憶される。貸出管理データ23は、車両Vの貸出の開始日時、貸出場所、返却日時、返却場所、車両Vを借りた会員U3等を含む。
【0033】
会員データ24は、会員U3に関するデータである。会員データ24は、個々の会員U3を識別する識別情報、会員U3が車両Vを借りた履歴等を含む。
【0034】
サービス拠点データ25は、管理装置100により管理されるサービス拠点700、すなわち、移動作業の対象となるサービス拠点700に関するデータである。
【0035】
図4は、サービス拠点データ25の構成例を示す模式図である。
サービス拠点データ25は、位置データ251、管理対象物データ252、及び、撮影画像253を対応付けて含む。記憶部20は、1つのサービス拠点700に対応付けて1つのサービス拠点データ25を記憶する。管理システム1が複数のサービス拠点700の移動作業を管理する場合、記憶部20は、サービス拠点700の数に対応する複数のサービス拠点データ25を記憶する。
【0036】
位置データ251は、サービス拠点700の位置を示すデータである。位置データ251は、座標データであってもよいし、サービス拠点700の位置を示す地図データを含んでもよい。
管理対象物データ252は、サービス拠点700に設置される管理対象物のデータである。例えば、管理対象物データ252は、サービス拠点700における管理対象物の位置、管理対象物の名称、形状、設置状態、数等を含む。詳細には、管理対象物データ252は、サービス拠点700に設置される物体のうち管理システム1による管理の対象、すなわち移動作業の対象となる物体についての情報を、サービス拠点700に対応付けるデータである。管理対象物はサービス拠点700毎に異なっていてもよい。
【0037】
撮影画像253は、サービス拠点700を撮影した撮影画像である。具体的には、サービス拠点700に設置された管理対象物を撮影した撮影画像である。撮影画像253は、管理対象物が適切な状態で撮影された撮影画像であることが好ましい。例えば、撮影画像253は、図2に例示したスタンド式看板711が適切な位置および方向で設置された状態で、スタンド式看板711を撮影した撮影画像を含む。また、例えば、撮影画像253は、配布物ケース713に適切な数の配布物712が収容された状態で、配布物ケース713を撮影した撮影画像を含む。
【0038】
作業内容254は、移動作業において実行されるべき作業の内容を示すデータである。具体的には、作業内容254は、サービス拠点700に設置された管理対象物に対する作業内容を、管理対象物毎に記したデータである。具体的には、スタンド式看板711、配布物712、及び、のぼり旗714の移動方法を含む。例えば、スタンド式看板711の移動方法は、不図示の水抜き栓を開けてスタンド式看板711の中に溜まっている水を抜き、水抜き栓を閉めてから移動することを含む。また、作業内容254は、移動作業の後、管理対象物を元の位置に設置する作業の内容を含んでもよい。例えば、作業内容254は、スタンド式看板711、配布物712、及び、のぼり旗714の設置場所を含む。
【0039】
また、作業内容254は、サービス拠点700の移動作業に必要な作業者の人数を含む。サービス拠点700の移動作業に必要な作業者の人数がデフォルトの人数である場合、作業内容254に作業者の人数が含まれない構成としてもよい。
作業内容254は、サービス拠点700の移動作業の作業時間に関する情報を含んでもよい。例えば、作業内容254に含まれる作業時間は、標準的なスキルを有する作業者がサービス拠点700の移動作業を完了するまでに必要な時間とすることができる。すなわち、作業内容254が含む作業時間は、作業時間の目安、或いは、標準的な作業時間ということができる。
【0040】
サービス拠点データ25は、サービス拠点700を識別する識別情報を含んでもよく、この識別情報に対応付けて位置データ251、管理対象物データ252、撮影画像253、及び、作業内容254を含む構成としてもよい。
【0041】
図3に戻り、ユーザデータ26は、サービス拠点700の移動作業を行う作業者として、管理装置100に登録されたユーザU1に関するデータを含む。ユーザデータ26は、各々のユーザU1を識別する識別情報、ユーザU1の連絡先、及び、ユーザU1の評価を含む。ユーザU1の連絡先は、ユーザU1が使用するユーザ端末210の電話番号やSNS(Social Network Services)アカウントの識別情報等である。例えば、ユーザ端末210と管理装置100とが、ユーザ端末210にインストールされた専用のアプリケーションプログラム(以下、アプリという)の機能によって通信を実行する構成であってもよい。例えば、管理装置100は、ユーザ端末210のアプリの通知機能を利用して、ユーザU1に対する通知を実行する。この場合、ユーザデータ26は、ユーザ端末210のアプリを呼び出すためのアカウントに関する情報を含む。
【0042】
管理装置100は、他の事業者が運営するSNSサービスを利用して、ユーザ端末210と通信を行ってもよい。例えば、複数のコンピュータ間でチャット形式のメッセージを送受信するSNSサービスを利用して、管理装置100とユーザ端末210とが通知を送受信する構成であってもよい。この場合、ユーザデータ26は、SNSサービスにおけるユーザ端末210の識別情報やアカウントの情報であってもよい。
【0043】
作業依頼データ27は、ユーザU1に対して依頼する移動作業の内容を示すデータである。作業依頼データ27は、移動作業の対象であるサービス拠点700を特定する情報、及び、移動作業を行うべき日時または移動作業を行う期限を含む。サービス拠点700を特定する情報としては、サービス拠点700の識別情報等が挙げられる。また、作業依頼データ27は、移動作業の対象であるサービス拠点700に対応するサービス拠点データ25を含んでもよい。作業依頼データ27は、管理対象物を元の位置に設置する作業に関するデータを含んでもよい。
【0044】
作業結果データ28は、ユーザU1がサービス拠点700の移動作業を行った結果を含む。具体的には、移動作業の後にユーザU1が撮影した撮影画像を含む。作業結果データ28は、移動作業の後、管理対象物を元の位置に設置する作業の結果を含んでもよい。
【0045】
プロセッサ10は、制御用プログラム21を実行することによって、管理装置100の機能を実現する。プロセッサ10が構成する機能部として、移動判定部11、貸出管理部12、依頼処理部13、作業結果取得部14、及び、評価取得部15を示す。これらの各機能部は、プロセッサ10が制御用プログラム21を実行することによってソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。
【0046】
移動判定部11は、移動作業が必要か否かを判定する。移動判定部11は、上述した気象情報サーバと通信すること、および/または、放送を受信することによって、気象情報を取得する。移動判定部11は、取得した気象情報に基づき、サービス拠点700の管理対象物の移動が必要か否かを判定する。移動判定部11は、管理システム1により管理される複数のサービス拠点700のそれぞれについて判定を行うことができる。
移動判定部11は、管理者端末250がサービス拠点700を指定して、管理対象物の移動作業の指示を送信した場合、この指示を受信して、管理対象物の移動が必要か否かを判定する。
【0047】
貸出管理部12は、カーシェアリングサービスによる車両Vの貸出および返却を管理する。貸出管理部12は、会員端末230からのアクセスに応じて、貸出可能な車両Vに関するデータを会員端末230に送信する。貸出管理部12は、会員端末230から、車両Vを指定して貸出の要求を受信した場合、要求に応じて車両Vを貸し出すための処理を実行し、貸出管理データ23を生成する。貸出管理部12は、会員U3が車両Vを返却した場合、車両Vの返却に関するデータを貸出管理データ23に追加して、貸出管理データ23を更新する。
【0048】
管理装置100と会員端末230との間のデータの送受信は、例えば、上述したSNSサービス、チャット形式のメッセージ、会員端末230にインストールされたアプリ等を利用した形態であってもよい。管理者端末250についても同様である。
【0049】
依頼処理部13は、サービス拠点700の移動作業が必要な場合に、ユーザU1に対して通知を行い、移動作業を依頼する。依頼処理部13は、作業内容254で定められる移動作業に必要な作業者の人数に基づき、必要な人数のユーザU1に依頼を行う。依頼処理部13は、移動作業に必要な人数を超える数のユーザU1に依頼を行ってもよい。この場合、依頼処理部13は、依頼に応答したユーザU1の中から、実際に移動作業を行うユーザU1を選択する。
【0050】
作業結果取得部14は、サービス拠点700の移動作業を行ったユーザU1から、作業結果を取得する。
評価取得部15は、作業結果取得部14が取得した作業結果に対する評価を管理者U2に依頼し、管理者U2による評価を取得する。
ここで、評価取得部15が取得した評価が所定の条件を満たさない場合、依頼処理部13が、再度、募集を行う構成であってもよい。
【0051】
通信部30は、通信ネットワーク500に接続される通信装置である。通信部30は、例えば、Ethernet(登録商標)ケーブルが接続されるコネクタ、及び、ケーブルを通じて信号を送受信する通信インターフェース回路を備える。通信部30は、アンテナやRF回路を備え、無線データ通信を実行する通信装置であってもよい。
通信部30は、プロセッサ10の制御に従って、通信ネットワーク500を通じてユーザ端末210、管理者端末250、及び、車載装置270との間でデータ通信を実行する。
【0052】
[3.管理装置に接続される装置の構成]
ユーザ端末210は、プロセッサ211、記憶部212、通信部213、タッチパネル214、カメラ215、GNSS216、及び、NFC217を有する。
プロセッサ211は、CPUやマイクロコントローラ等の情報処理デバイスである。記憶部212は、フラッシュメモリ等の半導体メモリデバイスを用いて構成される不揮発性の記憶装置が挙げられる。記憶部212は、揮発性の記憶領域を有し、プロセッサ211のワークエリアを形成する構成であってもよい。記憶部212は、プロセッサ211によって実行されるプログラムや、プロセッサ211が処理するデータを記憶する。
プロセッサ211は、記憶部212に記憶されたプログラムを実行し、ユーザ端末210を制御する。
【0053】
通信部213は、アンテナ、RF回路等を備え、モバイル通信回線を通じて無線データ通信を実行する通信装置である。通信部213は、通信ネットワーク500に接続し、プロセッサ211の制御に従って、管理装置100との間でデータ通信を実行する。
【0054】
タッチパネル214は、プロセッサ211の制御に従って各種の画像を表示する。タッチパネル214は、タッチパネル214に対するタッチ操作を検出し、検出した操作を示す操作データをプロセッサ211に出力する。
【0055】
カメラ215は、プロセッサ211の制御に従って撮影を行い、撮影画像をプロセッサ211に出力する。
GNSS(Global Navigation Satellite System)216は、プロセッサ211の制御に従ってユーザ端末210の位置を検出する。
【0056】
NFC217は、例えばNFC(Near Field Communication)規格に準拠して近距離無線通信を行う通信装置である。NFC217は、後述する車載装置270との間で近距離無線通信を実行し、車載装置270によって車両Vのドアロックの解錠および施錠を行わせる。
【0057】
ユーザ端末210は、ユーザU1の操作に従って、カメラ215によって撮影を実行する。ユーザ端末210は、カメラ215の撮影画像データに、撮影時点におけるユーザ端末210の位置情報、および、撮影日時を示す情報を付加する機能を有する。ユーザ端末210は、ユーザU1の操作に従って、撮影画像データを管理装置100に送信する機能を有する。
【0058】
ユーザ端末210は、管理装置100から、車両Vの解錠及び施錠を行うためのロック制御情報を受信し、NFC217に書き込む。これにより、ユーザ端末210を用いて車両Vのドアロックを施錠および解錠することが可能となる。
【0059】
車載装置270は、MCU271、通信部272、ロック駆動部273、及び、NFC274を備える。MCU(マイクロコントローラ)271は、車載装置270を制御するプロセッサを有する。
【0060】
通信部272は、アンテナ、RF回路等を備え、モバイル通信回線を通じて無線データ通信を実行する通信装置である。車両Vが搭載するTCU(Telematics Control Unit)を通信部272として利用してもよい。通信部213は、通信ネットワーク500に接続し、MCU271の制御に従って、管理装置100との間でデータ通信を実行する。
【0061】
NFC274は、例えばNFC規格に準拠して近距離無線通信を行う通信装置である。NFC274は、例えば、ユーザ端末210が備えるNFC217と通信を実行し、NFC217とロック制御情報を送受信する。MCU271は、NFC274の通信を制御し、NFC217から受信するロック制御情報の認証を実行する。MCU271は、認証に成功した場合、ロック駆動部273を動作させる。
【0062】
ロック駆動部273は、MCU271の制御に従って、車両Vが備えるドアロック装置を動作させ、解錠または施錠を実行する。
【0063】
車載装置270の具体的な構成は、車両Vが備える制御システムに対応して適宜に変更可能である。例えば、車載装置270は、車両Vが備えるカーナビゲーションシステムや、車両制御システムの一部に組み込まれた構成であってもよい。例えば、MCU271は、車両Vが備える車両制御用のECU(Electronic Control Unit)であってもよい。
【0064】
[4.管理システムの動作]
図5は、管理システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、管理装置100の動作を示す。ステップSA11~SA14は移動判定部11により実行され、ステップSA15、SA18~SA21、SA25は依頼処理部13により実行される。ステップSA16~SA17は貸出管理部12により実行される。ステップSA22は作業結果取得部14により実行され、ステップSA24は評価取得部15により実行される。
【0065】
管理装置100は、図5に示す処理を、サービス拠点700毎に実行する。すなわち、管理システム1が複数のサービス拠点700を管理対象とする場合、管理装置100は、各サービス拠点700について、図5の処理を個別に、或いは並行して実行する。
【0066】
管理装置100は、サービス拠点700を含む地域の気象情報を取得し(ステップSA11)、所定時間内に荒天が予想されるか否かを判定する(ステップSA12)。荒天とは、スタンド式看板711、配布物712及びのぼり旗714の飛散、転倒、破損等が起こり得る天候であり、例えば、台風が到達すること、天候が強風であって予め設定された基準値以上の風速であること、予め指定された警報が発令されることが挙げられる。ここで、予め指定される警報とは、例えば、強風警報、強風波浪警報、大雨警報、洪水警報が挙げられるが、その他の警報であってもよく、注意報であってもよい。また、所定時間は、ユーザU1がサービス拠点700に到着するまでの時間や、サービス拠点700における移動作業に要する時間を考慮して予め設定されている。
【0067】
管理装置100は、荒天が予想されると判定した場合(ステップSA12;YES)、後述するステップSA14に移行する。
管理装置100は、荒天が予想されないと判定した場合(ステップSA12;NO)、管理者端末250から移動作業を行うことが指示されているか否かを判定する(ステップSA13)。移動作業が指示されていない場合(ステップSA13;NO)、管理装置100は、ステップSA11に戻って、所定時間毎にステップSA11以後の処理を実行する。
【0068】
管理者端末250から移動作業が指示された場合(ステップSA13;YES)、ステップSA14に移行して、移動作業が必要と判定する(ステップSA14)。
【0069】
管理装置100は、移動先として利用する車両Vを、サービス拠点700に駐車されている車両Vの中から選択する(ステップSA15)。管理装置100は、カーシェアリングサービスにおいて選択した車両Vの貸出を停止する処理を行う(ステップSA16)。具体的には、管理装置100は、選択した車両Vが貸出不可であることを車両データ22に書き込む。また、管理装置100は、会員データ24に基づいて、選択した車両Vが貸出不可であることを会員端末230に通知する(ステップSA17)。ステップSA17で、管理装置100は、例えばサービス拠点700の近傍にいる会員U3を選択し、選択した会員U3にのみ通知を行ってもよい。
【0070】
管理装置100は、ユーザデータ26が記憶されている各々のユーザU1に対し、移動作業の依頼を通知する(ステップSA18)。管理装置100は、通知に対して応答したユーザU1の中から、作業を行う作業者を決定する(ステップSA19)。管理装置100は、作業内容254に基づいて、ステップSA19で作業者に決定したユーザU1に対し、作業内容を通知する(ステップSA20)。
【0071】
管理装置100は、ユーザ端末210に対し、ステップSA15で選択した車両Vのドアロックを解錠および施錠するためのロック制御情報を送信する(ステップSA21)。
【0072】
作業者に選ばれたユーザU1は、対象のサービス拠点700に出向いて移動作業を実行する。ユーザU1は、移動作業が完了した後に、カメラ215で管理対象物を撮影する。ここで、ユーザU1に対し、作業内容として、管理対象物が車両Vに収容された状態がわかるように撮影をすることが指示されてもよい。ユーザU1はユーザ端末210を操作して、撮影画像を管理装置100に送信する。
【0073】
管理装置100は、ユーザ端末210から移動作業の結果を取得する(ステップSA22)。移動作業の結果は、具体的には、ユーザ端末210が送信する撮影画像や文字である。
【0074】
管理装置100は、ステップSA22で取得した作業結果について、管理者U2の評価を得るための評価処理を実行する(ステップSA23)。
【0075】
図6は、管理システム1の動作を示すフローチャートであり、図5のステップSA23における管理装置100と管理者端末250の動作を示す。
評価処理において、管理装置100は、ステップSA22で取得した、撮影画像を含む作業結果を、管理者端末250に送信する(ステップSA41)。
【0076】
管理者端末250は、管理装置100が送信した作業結果を受信し(ステップSB11)、撮影画像を表示する(ステップSB12)。ここで、管理者U2は、撮影画像をもとに管理対象物が移動されたことを確認するとともに、作業結果の評価を入力する(ステップSB13)。管理者端末250は、管理者U2が入力した評価を管理装置100に送信する(ステップSB14)。
管理装置100は、管理者端末250から評価を受信し、取得する(ステップSA42)。
【0077】
図5に戻り、管理装置100は、移動作業が行われたサービス拠点700に関するサービス拠点データ25に、移動作業が行われたことを示す移動済みフラグを設定し(ステップSA24)、本処理を終了する。移動済みフラグは、サービス拠点700において移動作業が行われたこと、及び、移動作業を依頼した理由が管理者端末250からの指示か天候かを示す情報を含む。
【0078】
このように、管理装置100は、管理者端末250によって移動作業を行うことが指示された場合、及び、サービス拠点700を含む地域において荒天が予想される場合に、サービス拠点700の移動作業をユーザU1に依頼する。これにより、管理者U2は、サービス拠点700の管理対象物を移動させる必要が生じた場合に、速やかにユーザU1に移動作業を依頼し、管理対象物を移動させることができる。特に、サービス拠点700を含む地域の荒天が予想される場合は、管理者U2が指示を出さなくてもユーザU1への依頼が行われる。このため、管理対象物を管理するための管理者U2の負担を軽減できる。
【0079】
移動作業が行われたサービス拠点700では、移動作業を必要とした理由が解消した後に、管理対象物を元の位置、すなわち通常の設置場所に戻す作業が行われることが望ましい。この場合の管理システム1の動作を、図7を参照して説明する。
【0080】
図7は、管理システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、管理装置100が、管理対象物を元の位置に戻す作業を依頼するための動作を示す。元の位置とは、移動作業により管理対象物が移動される前の管理対象物の設置位置である。この作業を、再設置作業という。再設置作業は、サービス拠点700の管理対象物を、移動作業の前の位置あるいは状態に復旧させる作業であり、復旧作業の一例に対応する。
ステップSA61~SA65は移動判定部11により実行され、ステップSA66~SA69、SA73は依頼処理部13により実行される。ステップSA70は作業結果取得部14により実行され、ステップSA71は評価取得部15により実行される。ステップSA74は貸出管理部12により実行される。
【0081】
管理装置100は、サービス拠点データ25に基づき、管理対象物の移動が行われたサービス拠点700を検出する(ステップSA61)。ステップSA61で、管理装置100は、サービス拠点データ25に移動済みフラグが設定されているサービス拠点700を検出する。ここで、該当するサービス拠点700が複数ある場合、管理装置100は、ステップSA62以後の処理をサービス拠点700毎に行う。
【0082】
管理装置100は、移動済みフラグを参照し、サービス拠点700の移動作業を管理者端末250からの指示で行ったか否かを判定する(ステップSA62)。移動作業を管理者端末250からの指示で行った場合(ステップSA62;YES)、管理装置100は、管理者端末250から再設置が指示されているか否かを判定する(ステップSA63)。再設置の指示がなされている場合(ステップSA63;YES)、管理装置100は、管理対象物の再設置作業が必要と判定する(ステップSA64)。再設置の指示がなされていない場合(ステップSA63;NO)、管理装置100は、ステップSA62に戻る。
【0083】
サービス拠点700の移動作業を管理者端末250からの指示で行っていない場合、すなわち、気象情報に基づき移動作業を行った場合(ステップSA62;NO)、管理装置100は、サービス拠点700を含む地域の気象情報を取得する(ステップSA65)。管理装置100は、ステップSA65で取得した気象情報をもとに、サービス拠点700の天候が回復したか否かを判定する(ステップSA66)。天候が回復した場合、すなわち、サービス拠点700の天候が、ステップSA12で判定の基準となった悪天候に該当しない場合(ステップSA66;YES)、管理装置100は、管理対象物の再設置作業が必要と判定する(ステップSA64)。また、天候が回復していないと判定した場合(ステップSA66;NO)、管理装置100はステップSA62に戻る。
【0084】
ステップSA64で管理対象物の再設置作業が必要と判定した後、管理装置100は、ユーザデータ26が記憶されている各々のユーザU1に対し、再設置作業の依頼を通知する(ステップSA67)。管理装置100は、通知に対して応答したユーザU1の中から、作業を行う作業者を決定する(ステップSA68)。管理装置100は、ステップSA68で作業者に決定したユーザU1に対し、作業内容を通知する(ステップSA69)。ステップSA69で、管理装置100は、ステップSA22で取得した作業結果を、ユーザU1に通知してもよい。
【0085】
管理装置100は、ユーザ端末210に対し、ステップSA15で選択した車両Vのドアロックを解錠および施錠するためのロック制御情報を送信する(ステップSA70)。
【0086】
作業者に選ばれたユーザU1は、対象のサービス拠点700に出向いて、管理対象物を車両Vから出し、もとの位置に移動させる作業を実行する。ユーザU1は、作業が完了した後に、カメラ215で管理対象物を撮影する。ここで、ユーザU1に対し、作業内容として、管理対象物が再設置された状態がわかるように撮影をすることが指示されてもよい。ユーザU1はユーザ端末210を操作して、撮影画像を管理装置100に送信する。
【0087】
管理装置100は、ユーザ端末210から再設置作業の結果を取得する(ステップSA71)。再設置作業の結果は、具体的には、ユーザ端末210が送信する撮影画像や文字である。
【0088】
管理装置100は、ステップSA71で取得した作業結果について、管理者U2の評価を得るための評価処理を実行する(ステップSA72)。ステップSA72の処理は、例えば、図6に示した処理と同一である。
【0089】
管理装置100は、再設置作業が行われたサービス拠点700に関するサービス拠点データ25から、移動済みフラグを削除する(ステップSA73)。管理装置100は、管理対象物の移動先として利用されていた車両Vを、カーシェアリングサービスで貸出可能とする処理を行い(ステップSA74)、本処理を終了する。
【0090】
ステップSA74で、管理装置100は、例えば、選択した車両Vの車両データ22を、貸出可能であることを示す内容に書き換える。ここで、管理装置100は、会員データ24に基づいて、車両Vが貸出可能となったことを会員端末230に通知してもよい。
【0091】
このように、管理装置100は、サービス拠点700の移動作業をした理由が解消した後に、サービス拠点700の管理対象物を通常の状態に復旧させる作業、すなわち管理対象物を移動作業前の位置に戻す作業を、ユーザU1に依頼する。これにより、管理者U2は、管理対象物を復旧させる作業の手配を容易に行うことができる。このため、管理対象物を管理するための管理者U2の負担を軽減できる。
【0092】
管理システム1は、サービス拠点700における車両Vの移動を管理することが可能な構成であってもよい。車両Vの移動を管理する動作の一例を、図8を参照して説明する。
図8は、管理システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、管理装置100の動作を示す。
【0093】
管理装置100は、管理者端末250から車両Vの移動を指示する車両移動指示を受信する(ステップSA101)。管理装置100は、移動する車両V、及び、移動元のサービス拠点700を特定する(ステップSA102)。移動元のサービス拠点700とは、移動の対象である車両Vが駐車されているサービス拠点700を指す。管理装置100は、車両Vを移動させる移動先の位置を特定する(ステップSA103)。車両の移動先は、車両移動指示、或いは、移動する対象の車両Vの車両データ22により指定される。
【0094】
管理装置100は、ユーザデータ26が記憶されているユーザU1に対し、車両移動作業の依頼を通知する(ステップSA104)。管理装置100は、通知に対して応答したユーザU1の中から、作業を行う作業者を決定する(ステップSA105)。管理装置100は、ステップSA105で作業者に決定したユーザU1に対し、作業内容を通知する(ステップSA106)。ステップSA106では、ユーザ端末210に対し、移動元のサービス拠点700、移動する車両V、及び、移動先に関する情報が通知される。
【0095】
管理装置100は、ユーザ端末210に対し、移動する車両Vのドアロックを解錠および施錠するためのロック制御情報を送信する(ステップSA107)。
【0096】
作業者に選ばれたユーザU1は、対象のサービス拠点700に出向いて、車両Vに乗車し、車両Vを移動させる作業を実行する。例えば、ユーザU1は、車両Vを運転して移動先に向かう。
【0097】
管理装置100は、移動される車両Vが搭載する車載装置270と通信を実行し、車両Vの位置情報を取得する(ステップSA108)。車両Vの位置情報は、例えば、車載装置270が搭載する通信部272により検出可能である。具体的には、通信部272が通信ネットワーク500と通信を行う場合に接続するモバイル通信回線の基地局を特定することによって、車両Vのおよその位置を特定し、位置情報を取得できる。また、通信部272がWi-Fi(登録商標)通信機能を有する場合、通信部272の近くに存在するWi-Fiネットワークを特定することによって、車両Vの位置を特定し、位置情報を取得できる。また、車載装置270がGNSSを備える場合や、車両Vが搭載するカーナビゲーションシステムのGNSSが検出する位置情報を車載装置270が取得可能な場合、管理装置100は、GNSSにより測位した車両Vの位置情報を取得できる。
【0098】
管理装置100は、車両Vの位置情報に基づいて、移動先までの車両Vの移動が完了したか否かを判定する(ステップSA109)。移動が完了していないと判定した場合(ステップSA109;NO)、管理装置100はステップSA108に戻る。
【0099】
移動が完了したと判定した場合(ステップSA109;YES)、管理装置100は、車両Vの移動を、カーシェアリングサービスの会員U3に通知し(ステップSA110)、本処理を終了する。ステップSA110で、管理装置100は、例えば、車両データ22における車両Vの位置を書き換えるとともに、会員U3に対し、車両Vの位置が変更されたことを通知する。
【0100】
[5.他の実施形態]
上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、発明が適用される形態を限定するものではない。
【0101】
上記実施形態では、管理装置100が、ユーザデータ26に基づいてユーザU1に作業の依頼を通知する構成を例示したが、管理装置100は、管理システム1とは異なる外部のネットワークサービスを利用して依頼を通知してもよい。例えば、管理装置100が、管理システム1が運営するサービス事業とは異なるサービスを提供するサーバコンピュータと通信し、このサービスの会員に向けて、依頼を通知してもよい。このサーバコンピュータは、例えば、SNS、通信販売、ネットオークション等のシステムを構成するサーバであってもよい。また、登録された会員に仕事を割り当てるジョブマッチングサービスを提供するサーバコンピュータであってもよい。
【0102】
また、管理装置100は、単独のサーバコンピュータに限定されず、複数のサーバコンピュータによって分散処理を行う構成であってもよいし、クラウドサーバで構成されてもよい。
【0103】
図3は、本願発明の理解を容易にするために、管理システム1の各装置の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、装置の構成を限定するものではない。例えば、管理装置100において、プロセッサ10が備える構成要素の処理を、1つのハードウェアユニットにより実行してもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行してもよい。ユーザ端末210についても同様である。また、図5図8に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0104】
制御用プログラム21は、可搬型の情報記録媒体に制御用プログラム21を記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。プロセッサ10は、情報記録媒体から制御用プログラム21を読み出して実行してもよい。
【0105】
[6.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0106】
(構成1)車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、前記管理対象物の移動が必要な状態であるか否かを判定する移動判定部と、前記移動判定部によって前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記管理対象物の移動作業の依頼を送信する依頼処理部と、を備える、管理システム。
構成1の管理システムによれば、車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物の移動や撤去が必要な場合に、必要な作業を速やかに依頼し、効率よく対処できる。これにより、管理対象物の管理に要する管理者の負担を軽減できる。
【0107】
(構成2)前記移動判定部は、前記サービス拠点を含む地域の気象情報を取得し、前記サービス拠点を含む地域の悪天候が予測される場合に、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定する、構成1記載の管理システム。
構成2の管理システムによれば、悪天候に備えてサービス拠点の管理対象物の移動を依頼する。これにより、管理対象物の管理に要する管理者の負担を、より一層軽減できる。
【0108】
(構成3)前記移動判定部は、前記サービス拠点を管理する管理者から前記管理対象物の移動の指示を受け付けた場合に、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定する、構成1または構成2記載の管理システム。
構成3の管理システムによれば、管理者の指示に従ってサービス拠点の管理対象物の移動を依頼する。このため、管理者は、自己の判断で容易に管理対象物を移動させることができる。これにより、管理対象物の管理に要する管理者の負担を、より一層軽減できる。
【0109】
(構成4)前記サービス拠点に配置された前記車両の貸出を管理する貸出管理部を備え、前記貸出管理部は、前記移動判定部によって前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記サービス拠点に配置されている少なくとも1台の前記車両を前記管理対象物の移動先として指定し、前記管理対象物の移動先として指定した前記車両の貸出を停止し、前記依頼処理部は、前記管理対象物の移動先として前記車両を指定して、前記移動作業の依頼を送信する、構成1から構成3のいずれかに記載の管理システム。
構成4の管理システムによれば、サービス拠点に駐車されている車両を、管理対象物の移動先として利用し、利用中に貸出を行わないようにすることができる。このため、車両貸出サービスの顧客に影響を与えることなく、管理対象物を速やかに移動できる。また、管理対象物を移動させる場所を設ける負担が軽減される。
【0110】
(構成5)前記依頼に応じて前記サービス拠点において実行された前記移動作業の結果を取得する作業結果取得部と、評価を行う評価者に前記移動作業の結果を通知し、前記評価者による前記移動作業に対する評価を取得する評価取得部と、を備える、構成1から構成4のいずれかに記載の管理システム。
構成5の管理システムによれば、管理対象物を移動させる作業の結果を評価するので、移動作業が適切に行われることを管理できる。
【0111】
(構成6)前記移動判定部は、前記管理対象物の前記移動作業が行われた前記サービス拠点について、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した理由に基づき、前記管理対象物を前記移動作業の前の状態に復旧するか否かを判定し、前記依頼処理部は、前記移動判定部によって前記管理対象物を前記移動作業の前の状態に復旧すると判定した場合に、前記管理対象物の復旧作業の依頼を送信する、構成1から構成5のいずれかに記載の管理システム。
構成6の管理システムによれば、移動作業が行われたサービス拠点の管理対象物を、移動作業の前の状態に復旧させる作業が依頼される。これにより、必要に応じて管理対象物を移動させた後、速やかに、管理対象物を元の状態に戻すことができる。このため、管理対象物の管理に要する管理者の負担を軽減できる。
【0112】
(構成7)車両を貸し出す車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物について、前記管理対象物の移動が必要な状態であると判定した場合に、前記管理対象物の移動作業の依頼を送信する、管理方法。
構成7の管理方法によれば、車両貸出サービスのサービス拠点に配置された管理対象物の移動や撤去が必要な場合に、必要な作業を速やかに依頼し、効率よく対処できる。これにより、管理対象物の管理に要する管理者の負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0113】
1…管理システム、10…プロセッサ、11…移動判定部、12…貸出管理部、13…依頼処理部、14…作業結果取得部、15…評価取得部、20…記憶部、21…制御用プログラム、22…車両データ、23…貸出管理データ、24…会員データ、25…サービス拠点データ、26…ユーザデータ、27…作業依頼データ、28…作業結果データ、30…通信部、100…管理装置、210…ユーザ端末、211…プロセッサ、212…記憶部、213…通信部、214…タッチパネル、215…カメラ、216…GNSS、217…NFC、230…会員端末、250…管理者端末、251…位置データ、252…管理対象物データ、253…撮影画像、254…作業内容、270…車載装置、271…MCU、272…通信部、273…ロック駆動部、274…NFC、500…通信ネットワーク、700…サービス拠点、701…駐車場、702…建屋、711…スタンド式看板(管理対象物)、712…配布物(管理対象物)、713…配布物ケース、714…のぼり旗(管理対象物)、715…看板、V…車両、U1…ユーザ、U2…管理者、U3…会員。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8