(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148437
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】水分検知タグ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20220929BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220929BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20220929BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20220929BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G06K19/077 144
G06K19/077 280
G01N27/04 B
G01N27/00 H
A61F5/44 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050115
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 大史
(72)【発明者】
【氏名】森井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
【テーマコード(参考)】
2G060
4C098
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AC02
2G060AE12
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG06
2G060FA01
2G060HC15
2G060HD03
2G060KA05
4C098AA09
4C098CC14
4C098CD09
(57)【要約】
【課題】2本の検知用配線が水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線の劣化による水分の検知性能の低下を回避する。
【解決手段】ベース基材10及び防水シート20にそれぞれ設けられた複数のミシン目14a~14e,21a~21eによってベース基材10及び防水シート20を破断することで検知用配線13a,13bを切断して劣化した部分を取り除く。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び互いに並行して延びた2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記2本の検知用配線の一端に接続されて前記ベース基材に設けられ、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
前記ベース基材の前記検知用配線が設けられた面に貼着された耐水性の保護シートとを有し、
前記2本の検知用配線の前記検出手段に接続された端部とは反対側の端部間の導通状態を検出することで水分を検知する水分検知タグであって、
前記ベース基材は、少なくとも前記2本の検知用配線が設けられた領域に、前記2本の検知用配線と交差する方向に延び、前記2本の検知用配線を切断するための第1の切り離し線を有し、
前記保護シートは、前記第1の切り離し線に対向する領域または前記第1の切り離し線よりも前記検出手段側の領域にて前記第1の切り離し線に並行して延びた第2の切り離し線を有し、
前記ベース基材と前記保護シートとは、前記第1の切り離し線の前記検出手段側に沿う領域が一定の幅で貼着されていない、水分検知タグ。
【請求項2】
請求項1に記載の水分検知タグにおいて、
前記第2の切り離し線は、前記ベース基材と前記保護シートとが貼着されていない領域の前記検出手段側の端辺に重なるように設けられている、水分検知タグ。
【請求項3】
請求項1に記載の水分検知タグにおいて、
前記第1の切り離し線は、前記2本の検知用配線が延びる方向に並んで複数設けられ、
前記第2の切り離し線は、前記複数の第1の切り離し線のそれぞれに対応して複数設けられている、水分検知タグ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水分検知タグにおいて、
前記アンテナは、長手方向を具備する形状であり、前記長手方向が、前記2本の検知用配線が延びる方向に向いている、水分検知タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分の発生を目視によらずに検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用製品の多様化に伴い、おむつが乳児用のみならず、高齢者用に開発、販売されている。このようなおむつは、装着者が排泄した後、早めに取り替えることが好ましいため、排泄したことを知らせる仕組みが考えられている。その1つとして、装着者が排泄した場合に変色する仕組みが採用されている。しかしながら、変色によって排泄を知らせるおむつは、乳児の場合は変色を確認しやすいものの、変色を確認するには洋服を脱がせる等しておむつを表出させる必要があるため、高齢者用のおむつとしては採用が難しい。
【0003】
ここで、特許文献1には、2つの濡れ検知端子を有し、漏れによる水分によって濡れ検知端子間が短絡した場合に通信が不可能となるICタグをおむつ内に組み込み、漏れを検知する技術が開示されている。そのようなICタグをおむつに取り付けることで、おむつの装着者が排泄したことを目視によらずに把握することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように、漏れによる水分によって2つの濡れ検知端子間が短絡することで水分を検知するものにおいては、水分が付着するように濡れ検知端子が表出しているため、濡れ検知端子が、擦れたり酸化したりすることで劣化してしまうという問題点がある。特に、濡れ検知端子は、水分が付着するものであるため、劣化が進みやすい。濡れ検知端子が劣化すると、水分を検知する性能が低下し、正しい検知結果を得ることができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、2本の検知用配線が水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線の劣化による水分の検知性能の低下を回避することができる水分検知タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び互いに並行して延びた2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記2本の検知用配線の一端に接続されて前記ベース基材に設けられ、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
前記ベース基材の前記検知用配線が設けられた面に貼着された耐水性の保護シートとを有し、
前記2本の検知用配線の前記検出手段に接続された端部とは反対側の端部間の導通状態を検出することで水分を検知する水分検知タグであって、
前記ベース基材は、少なくとも前記2本の検知用配線が設けられた領域に、前記2本の検知用配線と交差する方向に延び、前記2本の検知用配線を切断するための第1の切り離し線を有し、
前記保護シートは、前記第1の切り離し線に対向する領域または前記第1の切り離し線よりも前記検出手段側の領域にて前記第1の切り離し線に並行して延びた第2の切り離し線を有し、
前記ベース基材と前記保護シートとは、前記第1の切り離し線の前記検出手段側に沿う領域が一定の幅で貼着されていない。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材に設けられた2本の検知用配線の両端部のうち、2本の検知用配線間の導通状態を検出する検出手段に接続された端部とは反対側の端部間の導通状態を検出することで水分が検知されることになるが、ベース基材の少なくとも2本の検知用配線が設けられた領域に、2本の検知用配線と交差する方向に延び、2本の検知用配線を切断するための第1の切り離し線が設けられるとともに、ベース基材の検知用配線が設けられた面に貼着された耐水性の保護シートに、第1の切り離し線に対向する領域または第1の切り離し線よりも検出手段側の領域にて第1の切り離し線に並行して延びた第2の切り離し線が設けられているので、検知用配線の検出手段に接続された端部とは反対側の端部が水分の検知のための使用等により劣化した場合に、第1の切り離し線及び第2の切り離し線によってベース基材及び保護シートを破断することで検知用配線を切断して劣化した部分を取り除くことができる。その際、ベース基材と保護シートとが、第1の切り離し線の検出手段側に沿う領域が一定の幅で貼着されていないことにより、検知用配線のうち切断されて新たに端部となった部分には、一定の幅で保護シートが貼着されていないものとなり、水分が検知用配線の端部近傍に浸透しやすくなり、水分の検知性能が維持される。
【0009】
このように、ベース基材及び保護シートに設けられた第1の切り離し線及び第2の切り離し線によってベース基材及び保護シートを破断することで検知用配線を切断して劣化した部分を取り除くことができ、それにより、2本の検知用配線が水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線の劣化による水分の検知性能の低下が回避されることになる。
【0010】
また、第2の切り離し線が、ベース基材と保護シートとが貼着されていない領域の検出手段側の端辺に重なるように設けられていれば、検知用配線のうち切断されて新たに端部となった部分上に保護シートが存在しないものとなり、水分が検知されやすくなる。
【0011】
また、第1の切り離し線が、2本の検知用配線が延びる方向に並んで複数設けられ、第2の切り離し線が、複数の第1の切り離し線のそれぞれに対応して複数設けられていれば、検知用配線を切断して劣化した部分を取り除いた後にさらに検知用配線が劣化した場合でも、検知用配線を再度切断して劣化した部分を取り除くことができる。
【0012】
また、アンテナが長手方向を具備する形状であるものにおいては、アンテナの長手方向が2本の検知用配線が延びる方向に向いていれば、水分検知タグを例えばおむつの上端辺の近傍に装着する場合にアンテナの長手方向が上端辺に平行になる向きで装着することで、おむつの装着者が、検出手段における検出結果を受信するリーダライタ側のアンテナが取り付けられたベッド上で寝返りをうったとしても、水分検知タグのアンテナとリーダライタ側のアンテナとの距離が大きく変化せず、安定した通信性能を得ることができながらも、検知用配線を切断した場合でもおむつ内の水分が発生する部分と検知用配線の水分を検知する端部との距離が大きく変化せず、安定した検知性能も得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベース基材及び保護シートに設けられた第1の切り離し線及び第2の切り離し線によってベース基材及び保護シートを破断することで検知用配線を切断して劣化した部分を取り除くことができ、それにより、2本の検知用配線が水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線の劣化による水分の検知性能の低下を回避することができる。
【0014】
また、第2の切り離し線が、ベース基材と保護シートとが貼着されていない領域の検出手段側の端辺に重なるように設けられているものにおいては、検知用配線のうち切断されて新たに端部となった部分上に保護シートが存在しないものとなり、水分を検知しやすくすることができる。
【0015】
また、第1の切り離し線が、2本の検知用配線が延びる方向に並んで複数設けられ、第2の切り離し線が、複数の第1の切り離し線のそれぞれに対応して複数設けられているものにおいては、検知用配線を切断して劣化した部分を取り除いた後にさらに検知用配線が劣化した場合でも、検知用配線を再度切断して劣化した部分を取り除くことができる。
【0016】
また、アンテナが長手方向を具備する形状であり、アンテナの長手方向が2本の検知用配線が延びる方向に向いているものにおいては、水分検知タグを例えばおむつの上端辺の近傍に装着する場合にアンテナの長手方向が上端辺に平行になる向きで装着することで、おむつの装着者が、検出手段における検出結果を受信するリーダライタ側のアンテナが取り付けられたベッド上で寝返りをうったとしても、水分検知タグのアンテナとリーダライタ側のアンテナとの距離が大きく変化せず、安定した通信性能を得ることができながらも、検知用配線を切断した場合でもおむつ内の水分が発生する部分と検知用配線の水分を検知する端部との距離が大きく変化せず、安定した検知性能も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の水分検知タグの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート及び粘着層を取り除いた構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した水分検知タグの使用形態の一例を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【
図3】
図1に示した水分検知タグが
図2に示したようにおむつ本体に取り付けられた状態にておむつの装着者が排尿した場合の作用を説明するための図であり、(a)はおむつの装着者が排尿していないときの状態を示す図、(b)はおむつの装着者が排尿したときの状態を示す図である。
【
図4】
図1に示した水分検知タグを用いておむつの装着者の排尿を検知するためのシステムの一例を示す図である。
【
図5】
図4に示したシステムにおいて
図1に示した水分検知タグが
図2に示したようにおむつ本体に取り付けられた場合のおむつの装着者の排尿を検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図1に示した水分検知タグにおけるミシン目及び一定の幅で設けられた糊殺し層による効果を説明するための図であり、(a)はベース基材及び防水シートが破断されていない状態を表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はミシン目によってベース基材及び防水シートが破断されていく状態を表面から見た図、(d)はミシン目によってベース基材及び防水シートが破断された状態を表面から見た図、(e)は(d)に示したA-A’断面図である。
【
図7】本発明の水分検知タグの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート及び粘着層を取り除いた構成を示す図である。
【
図8】
図7に示した水分検知タグにおけるミシン目及び一定の幅で設けられた糊殺し層による効果を説明するための図であり、(a)はベース基材及び防水シートが破断されていない状態を表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はミシン目によってベース基材及び防水シートが破断されていく状態を表面から見た図、(d)はミシン目によってベース基材及び防水シートが破断された状態を表面から見た図、(e)は(d)に示したA-A’断面図である。
【
図9】本発明の水分検知タグの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示した防水シートを取り除いた構成を示す図である。
【
図10】
図9に示した水分検知タグにおけるミシン目及び一定の幅で設けられた糊殺し層による効果を説明するための図であり、(a)はベース基材及び防水シートが破断されていない状態を表面から見た図、(b)はミシン目によってベース基材及び防水シートが破断された状態を表面から見た図である。
【
図11】
図9に示した水分検知タグによる特有の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の水分検知タグの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート20及び粘着層30aを取り除いた構成を示す図である。なお、後述するように、粘着層30a上には糊殺し層50a~50eが積層されているが、ミシン目14a~14eと糊殺し層50a~50eとの位置関係を示すために、
図1(d)においては、糊殺し層50a~50eを記載している。
【0020】
本形態は
図1に示すように、ベース基材10の表面に耐水性を具備する防水シート20が積層、貼着されるとともに、ベース基材10の裏面に剥離紙40が剥離可能に貼着されて構成された水分検知タグ1である。
【0021】
ベース基材10は、例えば紙等の吸湿性を具備する材料から構成されており、長方形の形状を有している。ベース基材10の一方の面には、非接触通信用のアンテナ12及び2本の検知用配線13a,13bが形成されているとともに、検出手段となるICチップ11が搭載されている。
【0022】
アンテナ12は、ベース基材10の一方の面に、2つの二等辺三角形の導体が空隙を介して並ぶようにして形成されている。なお、アンテナ12の形状としてはこれに限らず、2つの帯状の導体が空隙を介して津億線上に並んだものや、1つの導体から構成されたもの等、様々なものが考えられる。
【0023】
2本の検知用配線13a,13bは、それぞれ一方の端部がICチップ11に接続され、そこからICチップ11から離れる方向に互いに並行して延びて終端している。
【0024】
ICチップ11は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの検知用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び検知用端子が設けられた面が搭載面となって、ベース基材10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面に搭載され、異方性導電ペースト(不図示)によって固定されている。ICチップ11のアンテナ端子はそれぞれアンテナ12に接続され、ICチップ11の検知用端子は、検知用配線13a,13bのそれぞれの一方の端部に接続されており、異方性導電ペーストによって、アンテナ端子がアンテナ12に、検知用端子が検知用配線13a,13bにそれぞれ導通している。ICチップ11は、アンテナ12を介した非接触通信によって得た電力による電流を検知用配線13a,13bに流すことで検知用配線13a,13b間の抵抗値を検出し、その抵抗値に基づいて検知用配線13a,13b間の導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してアンテナ12を介して非接触送信する。
【0025】
ベース基材10には、互いに並行した第1の切り離し線となる5本のミシン目14a~14eが形成されている。ミシン目14a~14eは、検知用配線13a,13bが延びる方向に並んでおり、それぞれが検知用配線13a,13bを跨るようにしてベース基材10の1つの端辺からその端辺に対向する端辺まで検知用配線13a,13bと交差する方向に延びている。なお、ミシン目14a~14eのカット部は、検知用配線13a,13bと重ならないようにする必要がある。
【0026】
防水シート20は、本願発明にて保護シートとなるものである。防水シート20は、一方の面の全面に粘着層30aが積層されており、ベース基材10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが設けられた面に、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部を表出させて積層され、粘着層30aによって貼着されている。防水シート20としては、防水シート20の一方の面に粘着層30aが積層された防水タック紙を使用することができる。このように、防水シート20によってICチップ11が覆われていることで、ICチップ11を水分から保護することができる。また、防水シート20には、ベース基材10に形成されたミシン目14a~14eと並行して並び、ミシン目14a~14eのそれぞれに対応した第2の切り離し線となるミシン目21a~21eが防水シート20の1つの端辺からその端辺に対向する端辺まで延びて形成されている。具体的には、ミシン目14aに対応してミシン目21aが設けられ、ミシン目14bに対応してミシン目21bが設けられ、ミシン目14cに対応してミシン目21cが設けられ、ミシン目14dに対応してミシン目21dが設けられ、ミシン目14eに対応してミシン目21eが設けられている。
【0027】
粘着層30aのベース基材10との貼着面には、ベース基材10と防水シート20とを貼着するための粘着層30aによる貼着力をなくすための糊殺し層50a~50eが積層されている。糊殺し層50a~50eは、ミシン目14a~14eとそれに対応するミシン目21a~21eとの間にそれぞれ積層されている。なお、糊殺し層50a~50eは、UVニスを塗布した後に硬化させることで積層することや、糊殺し層50a~50eの幅を有する細い幅の紙片を粘着層30aに貼り付けることで積層すること等が考えられる。
【0028】
これにより、ベース基材10と防水シート20とは、ベース基材10に形成されたミシン目14a~14eのそれぞれのICチップ11側に沿う領域が、糊殺し層50a~50eによって、一定の幅となる糊殺し層50a~50eの幅で貼着されていない。
【0029】
剥離紙40は、剥離台紙(不図示)の一方の面に剥離剤(不図示)が塗布されて構成され、粘着層30bによってベース基材10に剥離可能に貼着されている。
【0030】
以下に、上記のように構成された水分検知タグ1の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0031】
図2は、
図1に示した水分検知タグ1の使用形態の一例を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【0032】
図1に示した水分検知タグ1は、例えば
図2に示すようにおむつ本体60に取り付けられ、おむつ2として使用することが考えられる。
【0033】
図2に示すおむつ2は、カバーシート61の内面に吸水パッド62が取り付けられて構成されたおむつ本体60の上端辺の近傍の領域において、カバーシート61と吸水パッド62との間に水分検知タグ1が挟み込まれて構成されている。水分検知タグ1は、剥離紙40が剥離され、表出した粘着層30bによってカバーシート61に貼着されることでカバーシート61と吸水パッド62との間に固定される。そして、吸水パッド62に吸収された排尿による水分を検知することで、おむつ2の装着者が排尿したことを目視によらずに認識するために使用される。なお、カバーシート61と吸水パッド62の組み合わせの例としては、市販されているおむつと尿取りパッドの組み合わせ等がある。
【0034】
図3は、
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられた状態にておむつ2の装着者が排尿した場合の作用を説明するための図であり、(a)はおむつ2の装着者が排尿していないときの状態を示す図、(b)はおむつ2の装着者が排尿したときの状態を示す図である。
【0035】
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられた状態でおむつ2の装着者が排尿していない場合は、
図3(a)に示すように、2本の検知用配線13a,13bが導通しておらず、非導通状態となっている。
【0036】
一方、
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられた状態において、おむつ2の装着者が排尿すると、排尿による水分が吸水パッド62に吸水され、その後、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部が防水シート20に覆われずに表出していることで、
図3(b)に示すように、排尿による水分3が吸水パッド62を介して検知用配線13a,13bの防水シート20で覆われていない端部間に付着し、それにより、2本の検知用配線13a,13bが水分3によって短絡して導通状態となる。そして、この検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、おむつ2の装着者が排尿した旨が検知されることになる。
【0037】
このように、おむつ2の装着者が排尿していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっており、一方、おむつ2の装着者が排尿した場合は、検知用配線13a,13b間が導通状態となるため、検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、おむつ2の装着者が排尿していることを検知することができる。
【0038】
以下に、上述した作用を利用して水分検知タグ1を用いておむつ2の装着者の排尿を検知する具体的な方法について説明する。
【0039】
図4は、
図1に示した水分検知タグ1を用いておむつ2の装着者の排尿を検知するためのシステムの一例を示す図である。
【0040】
図1に示した水分検知タグ1を用いて
図2に示したおむつ2の装着者の排尿を検知するためのシステムとしては、
図4に示すように、
図2に示したおむつ2の装着者が寝るベッド4に取り付けられ、水分検知タグ1に対して非接触通信が可能な読取手段となるリーダライタ5と、リーダライタ5と有線または無線を介して接続された処理手段となる管理用パソコン6とを有するシステムが考えられる。なお、水分検知タグ1に対して非接触通信を行うためのアンテナのみをベッド4に取り付け、このアンテナにリーダライタ5に接続することで、リーダライタ5が水分検知タグ1との間にてアンテナを介して非接触通信を行う構成としてもよい。また、リーダライタ5に管理用パソコン6の処理機能を搭載してこれらを一体化してもよい。
【0041】
図5は、
図4に示したシステムにおいて
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられた場合のおむつ2の装着者の排尿を検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図1に示した水分検知タグ1においては、リーダライタ5にて水分検知タグ1が検出されると(ステップ1)、まず、リーダライタ5から、水分検知タグ1に電力が供給されるとともに、検知用配線13a,13b間の導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が水分検知タグ1に対して送信される(ステップ2)。
【0043】
リーダライタ5から供給された電力が水分検知タグ1にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が水分検知タグ1のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ3)、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13b間に電流が供給される。
【0044】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて検知用配線13a,13b間の抵抗値が検出されることで、検知用配線13a,13b間の導通状態が検出されることになる(ステップ4)。ここで、水分検知タグ1が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられ、おむつ2の装着者が排尿していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている。その状態においては、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13b間に電流が供給されても、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっていることから検知用配線13a,13b間には電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0045】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態になっていると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13b間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ5)。なお、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するように、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分3によって短絡した抵抗値、すなわち、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が非導通状態であると判断するための抵抗値として、ほぼ無限大ではなく、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0046】
一方、水分検知タグ1が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられ、おむつ2の装着者が排尿している場合は、上述したように、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分3によって短絡することで導通状態となっているため、ICチップ11においては、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分3が付着した領域間で接続された抵抗値が検出されることになる。
【0047】
検知用配線13aと検知用配線13bとが水分3によって短絡することで導通状態となっている場合は、上述したように、検出される抵抗値は、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値となることから、ICチップ11においては、検出された抵抗値が、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値以下である場合は、検知用配線13a,13b間が導通状態にあると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13b間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、上述したようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が導通状態にあると判断するための抵抗値として、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値ではなく、それのよりも大きな一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0048】
このように、リーダライタ5においては、水分検知タグ1にて検出された検知用配線13a,13b間の導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0049】
上記のようにして水分検知タグ1からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ7)。
【0050】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ8)、管理用パソコン6において、水分検知タグ1からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、おむつ2の装着者が排尿しているかどうかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、検知用配線13a,13b間が非導通状態である場合は、おむつ2の装着者が排尿していないと判断され、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合は、おむつ2の装着者が排尿していると判断されることになる。
【0051】
ここで、ベース基材10にミシン目14a~14bが形成されているとともに防水シート20にミシン目21a~21eが形成され、ベース基材10と防水シート20とが、ミシン目14a~14bのそれぞれのICチップ11側に沿う領域が糊殺し層50a~50eの幅で貼着されていないことによる効果について説明する。
【0052】
図6は、
図1に示した水分検知タグ1におけるミシン目14a~14e,21a~21e及び一定の幅で設けられた糊殺し層50a~50eによる効果を説明するための図であり、(a)はベース基材10及び防水シート20が破断されていない状態を表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はミシン目14e,21eによってベース基材10及び防水シート20が破断されていく状態を表面から見た図、(d)はミシン目14e,21eによってベース基材10及び防水シート20が破断された状態を表面から見た図、(e)は(d)に示したA-A’断面図である。
【0053】
上述したように、
図1に示した水分検知タグ1においては、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部が水分を検知しやすくするために防水シート20に覆われずに表出している。そのため、検知用配線13a,13bの防水シート20に覆われていない端部が、擦れたり酸化したりすることで劣化してしまう虞がある。
【0054】
そこで、
図6(a),(b)に示したような状態で水分検知タグ1を使用し、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部が劣化した場合、
図6(c)に示すように、ベース基材10に形成されたミシン目14a~14eのうち、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部に最も近いミシン目14eと、ミシン目14eに対応するミシン目21eとによってベース基材10及び防水シート20を破断することで、
図6(d),(e)に示すように、検知用配線13a,13bを切断して劣化した部分を取り除くことができる。
【0055】
そして、ベース基材10と防水シート20とが、上述したように、ミシン目14eとミシン目21eとの間の領域が、糊殺し層50eの幅で貼着されていないことで、検知用配線13a,13bのうち切断されて新たに端部となった部分上に防水シート20が粘着層30a及び糊殺し層50eとともに存在しないものとなり、水分の検知機能が維持される。
【0056】
その後、検知用配線13a,13bのうち切断されて新たに端部となった部分が劣化した場合は、同様に、ミシン目14a~14eのうち、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部に最も近いミシン目14dと、ミシン目14dに対応するミシン目21dとによってベース基材10及び防水シート20を破断することで上記同様の効果を得ることができる。
【0057】
このように、本形態においては、ベース基材10及び防水シート20にそれぞれ設けられた複数のミシン目14a~14e,21a~21eによってベース基材10及び防水シート20を破断することで検知用配線13a,13bを切断して劣化した部分を取り除くことができ、それにより、2本の検知用配線13a,13bが水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線13a,13bの劣化による水分の検知性能の低下を回避することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の水分検知タグの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート120及び粘着層30aを取り除いた構成を示す図である。なお、後述するように、粘着層30a上には糊殺し層50a~50eが積層されているが、ミシン目14a~14eと糊殺し層50a~50eとの位置関係を示すために、
図7(d)においては、糊殺し層50a~50eを記載している。
【0059】
本形態は
図7に示すように、
図1に示したものに対して防水シート120の形状及び構成が異なる水分検知タグ101である。
【0060】
本形態の水分検知タグ101の防水シート120は、ベース基材10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面の全面に積層され、粘着層30aによって貼着されている。防水シート120に形成されたミシン目21a~21eのそれぞれは、ベース基材10に形成されたミシン目14a~14eのうち対応するミシン目に対向して設けられている。具体的には、ミシン目21aがミシン目14aに対向して設けられ、ミシン目21bがミシン目14bに対向して設けられ、ミシン目21cがミシン目14cに対向して設けられ、ミシン目21dがミシン目14dに対向して設けられ、ミシン目21eがミシン目14eに対向して設けられている。
【0061】
また、糊殺し層50a~50fは、粘着層30aのベース基材10との貼着面に積層されているが、このうち糊殺し層50a~50eはそれぞれ、ミシン目14a~14eのICチップ11側に沿う領域に一定の幅で積層されている。また、糊殺し層50fは、粘着層30aのベース基材10との貼着面においてベース基材10の端辺から一定の幅で積層されている。
【0062】
上記のように構成された水分検知タグ101においては、ベース基材10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面の全面に防水シート120が積層されているものの、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部がベース基材10の端辺まで延びており、その領域においては、粘着層30aに糊殺し層50fが積層されることでベース基材10と防水シート120とが貼着されていないことにより、発生した水分が入り込み、
図1に示したものと同様にして検知用配線13a,13b間が短絡して導通状態になることで、水分を検知することができる。
【0063】
図8は、
図7に示した水分検知タグ101におけるミシン目14a~14e,21a~21e及び一定の幅で設けられた糊殺し層50a~50eによる効果を説明するための図であり、(a)はベース基材10及び防水シート120が破断されていない状態を表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はミシン目14e,21eによってベース基材10及び防水シート120が破断されていく状態を表面から見た図、(d)はミシン目14e,21eによってベース基材10及び防水シート120が破断された状態を表面から見た図、(e)は(d)に示したA-A’断面図である。
【0064】
図1に示したものと同様に、
図8(a),(b)に示したような状態で水分検知タグ101を使用し、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部が劣化した場合、
図8(c)に示すように、ベース基材10に形成されたミシン目14a~14eのうち、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部に最も近いミシン目14eと、ミシン目14eに対応するミシン目21eとによってベース基材10及び防水シート120を破断することで、
図8(d),(e)に示すように、検知用配線13a,13bを切断して劣化した部分を取り除くことができる。
【0065】
そして、ベース基材10と防水シート120とが、上述したように、ミシン目14eのICチップ11側に沿う領域が、糊殺し層50eの幅で貼着されていないとともに、ミシン目21eが対応するミシン目14eに対向して形成されていることで、検知用配線13a,13bのうち切断されて新たに端部となった部分においては、粘着層30aに糊殺し層50eが積層されることでベース基材10と防水シート120とが貼着されていないことにより、発生した水分が入り込み、水分の検知機能が維持される。ただし、
図1に示したもののように、検知用配線13a,13bのうち切断されて新たに端部となった部分上に防水シート120が存在しない構成であれば、水分を検知しやすくすることができる。
【0066】
その後、検知用配線13a,13bのうち切断されて新たに端部となった部分が劣化した場合は、同様に、ミシン目14a~14eのうち、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部に最も近いミシン目14dと、ミシン目14dに対応するミシン目21dとによってベース基材10及び防水シート120を破断することで上記同様の効果を得ることができる。
【0067】
このように、本形態においても、ベース基材10及び防水シート120にそれぞれ設けられた複数のミシン目14a~14e,21a~21eによってベース基材10及び防水シート120を破断することで検知用配線13a,13bを切断して劣化した部分を取り除くことができ、それにより、2本の検知用配線13a,13bが水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線13a,13bの劣化による水分の検知性能の低下を回避することができる。
【0068】
なお、上述した2つの実施の形態において、ベース基材10及び防水シート20,120に形成されるミシン目14a~14e,21a~21eは、少なくとも一方がミシン目であれば他方はスリットでもよい。
【0069】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の水分検知タグの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示した防水シート220を取り除いた構成を示す図である。なお、後述するように、糊殺し層250a~250eは、ベース基材210と防水シート220とを貼着するための粘着層上に積層されているが、ミシン目214a~214eと糊殺し層250a~250eとの位置関係を示すために、
図9(b)においては、糊殺し層250a~250eを記載している。
【0070】
本形態は
図9に示すように、
図1に示したものに対して、主に検知用配線213a,213bの延びる方向が異なる水分検知タグ201である。
【0071】
本形態における検知用配線213a,213bは、アンテナ12を構成する2つの導体が並ぶ方向に延びている。アンテナ12は、2つの二等辺三角形の導体が空隙を介して並ぶようにして形成されていることで、長手方向を具備する形状であり、それにより、アンテナ12の長手方向が、検知用配線213a,213bが延びる方向となっている。
【0072】
ベース基材210には
図1に示したものと同様に、第1の切り離し線となる5本のミシン目214a~214eが、検知用配線213a,213bが延びる方向に並んで形成されている。ベース基材210には、検知用配線213a,213bに並行して延びたスリット215が形成されており、ミシン目214a~214eのそれぞれは、ベース基材210の1つの端辺から検知用配線213a,213bを跨ってスリット215まで検知用配線213a,213bと交差する方向に延びている。なお、ミシン目214a~214eのカット部は、検知用配線213a,213bと重ならないようにする必要がある。
【0073】
防水シート220は、一方の面の全面に粘着層(不図示)が積層されており、ベース基材210のアンテナ12及び検知用配線213a,213bが形成された面に、検知用配線213a,213bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部を表出させて積層され、粘着層によって貼着されている。防水シート220には、ベース基材210に形成されたミシン目214a~214eと並行して並び、ミシン目214a~214eのそれぞれに対応した第2の切り離し線となるミシン目221a~221eが形成されている。具体的には、ミシン目214aに対応してミシン目221aが設けられ、ミシン目214bに対応してミシン目221bが設けられ、ミシン目214cに対応してミシン目221cが設けられ、ミシン目214dに対応してミシン目221dが設けられ、ミシン目214eに対応してミシン目221eが設けられている。また、防水シート220には、ベース基材210に形成されたスリット215と対向するようにスリット222が形成されている。ミシン目221a~221eは、防水シート220の1つの端辺からスリット222まで延びている。
【0074】
ベース基材210と防水シート220とを貼着するための粘着層のベース基材210との貼着面には、ミシン目214a~214eとそれに対応するミシン目221a~221eとの間に粘着層による貼着力をなくすための糊殺し層250a~250eが積層されている。
【0075】
上記のように構成されたベース基材210と防水シート220とは、
図1に示したものと同様に粘着層によって貼着されているが、糊殺し層250a~250eが積層された領域は、互いに貼着されていない。
【0076】
これにより、ベース基材210と防水シート220とは、ベース基材210に形成されたミシン目214a~214eのそれぞれの、検知用配線214a,214bが延びる方向におけるICチップ11側に沿う領域が、糊殺し層250a~250eによって、一定の幅となる糊殺し層250a~250eの幅で貼着されていない。
【0077】
上記のように構成された水分検知タグ201においても、水分が発生した場合、
図1に示したものと同様にして検知用配線213a,213b間が短絡して導通状態になることで、水分を検知することができる。
【0078】
図10は、
図9に示した水分検知タグ201におけるミシン目214a~214e,221a~221e及び一定の幅で設けられた糊殺し層250a~250eによる効果を説明するための図であり、(a)はベース基材210及び防水シート220が破断されていない状態を表面から見た図、(b)はミシン目214e,221eによってベース基材210及び防水シート220が破断された状態を表面から見た図である。
【0079】
図1に示したものと同様に、
図10(a)に示したような状態で水分検知タグ201を使用し、検知用配線213a,213bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部が劣化した場合、ベース基材210に形成されたミシン目214a~214eのうち、検知用配線213a,213bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部に最も近いミシン目214eと、ミシン目214eに対応するミシン目221eとによってベース基材210及び防水シート220を破断することで、
図10(b)に示すように、検知用配線213a,213bを切断して劣化した部分を取り除くことができる。
【0080】
そして、ベース基材210と防水シート220とが、上述したように、検知用配線213a,213bが延びる方向についてのミシン目214eとミシン目221eとの間の領域が、糊殺し層250eの幅で貼着されていないことで、検知用配線213a,213bのうち切断されて新たに端部となった部分上に防水シート220が粘着層及び糊殺し層250eとともに存在しないものとなり、水分の検知機能が維持される。
【0081】
その後、検知用配線213a,213bのうち切断されて新たに端部となった部分が劣化した場合は、同様に、ミシン目214a~214dのうち、検知用配線213a,213bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部に最も近いミシン目214dと、ミシン目214dに対応するミシン目221dとによってベース基材210及び防水シート220を破断することで上記同様の効果を得ることができる。
【0082】
このように、本形態においても、ベース基材210及び防水シート220にそれぞれ設けられた複数のミシン目214a~214e,221a~221eによってベース基材210及び防水シート220を破断することで検知用配線213a,213bを切断して劣化した部分を取り除くことができ、それにより、2本の検知用配線213a,213bが水分によって導通することで水分を検知する構成において、検知用配線213a,213bの劣化による水分の検知性能の低下を回避することができる。
【0083】
以下に、
図9に示した水分検知タグ201による特有の効果について説明する。
【0084】
図11は、
図9に示した水分検知タグ201による特有の効果を説明するための図であり、水分検知タグ201が
図2に示したようにおむつ本体60に取り付けられた状態を示す。
【0085】
図9に示した水分検知タグ201を、
図11に示すように、おむつ本体60の上端辺の近傍に装着する場合にアンテナ12の長手方向が上端辺に平行になる向きで装着すれば、
図4に示したように、水分検知タグ201からの水分の検出結果を受信するリーダライタ5が取り付けられたベッド4上でおむつの装着者が寝返りをうったとしても、水分検知タグ201のアンテナ12とリーダライタ5側のアンテナとの距離が大きく変化せず、安定した通信性能を得ることができる。しかも、
図10に示したように、検知用配線213a,213bを切断していった場合でも、おむつ内の水分が発生する水分発生箇所203と検知用配線213a,213bの水分を検知する端部との距離dが大きく変化せず、安定した検知性能も得ることができる。
【0086】
なお、上述したように、防水シート220が、ベース基材210のアンテナ12及び検知用配線213a,213bが形成された面に、検知用配線213a,213bのICチップ11と接続された端部とは反対側の端部を表出させて積層されている形態に限らず、
図7に示したもののように、防水シート220が、ベース基材210のアンテナ12及び検知用配線213a,213bが形成された面の全面を覆って積層されていてもよい。その場合、ベース基材210に形成されたミシン目214a~214eと、防水シート220に形成されたミシン目221a~221eとは、
図7に示したものと同様に互いに対向したものとなる。
【0087】
また、
図1及び
図7に示したものにおいては、ミシン目14a~14eのそれぞれが、検知用配線13a,13bを跨るようにしてベース基材10の1つの端辺からその端辺に対向する端辺まで延びているが、検知用配線13a,13bを跨るように形成されていれば、ベース基材10の1つの端辺からその端辺に対向する端辺まで延びていなくてもよい。ただしその場合は、
図9に示したもののように、ベース基材10にスリット等の切り離し線を設け、ミシン目14a~14eのそれぞれがスリットをその端部として延びるように形成されている必要がある。この場合、ミシン目14a~14eのそれぞれが、ベース基材10の1つの端辺からその端辺に対向する端辺まで延びていないことで、水分がベース基材10と防水シート20,120との間に不用意に入り込みにくいという効果が生じる。
【0088】
また、上述した実施の形態にて示した防水シート20,120,220を透明な材料から構成すれば、検知用配線13a,13b,213a,213bの劣化している部分を、それ以外の部分の色等と比較することで視覚によって認識することができる。
【0089】
また、ベース基材10,210及び防水シート20,120,220に形成されるミシン目14a~14e,214a~214e,21a~21e,221a~221eの数は、5本に限らない。ただし、それぞれ複数本設けられていれば、検知用配線13a,13b,213a,213bを切断して劣化した部分を取り除いた後にさらに検知用配線13a,13b,213a,213bが劣化した場合でも、検知用配線13a,13b,213a,213bを再度切断して劣化した部分を取り除くことができる。
【0090】
また、上述した水分検知シート1,101,201は、
図2に示したようにおむつ2に限らず、建築部材のジョイント部分等に使用して漏水等を検知することもできる。
【符号の説明】
【0091】
1,101,201 水分検知タグ
2 おむつ
3 水分
4 ベッド
5 リーダライタ
6 管理用パソコン
10,210 ベース基材
11 ICチップ
12 アンテナ
13a,13b,213a,213b 検知用配線
14a~14e,21a~21e,214a~214e,221a~221e ミシン目
20,120,220 防水シート
30a,30b 粘着層
40 剥離紙
50a~50f,250a~250e 糊殺し層
60 おむつ本体
61 カバーシート
62 吸水パッド
203 水分発生箇所
215,222 スリット