(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014845
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】フェノールフォームのフィルムラミネート複合パネル
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20220113BHJP
B32B 27/42 20060101ALI20220113BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20220113BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20220113BHJP
E04B 2/86 20060101ALI20220113BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B27/42 101
E04B1/76 500E
E04B1/80 100Q
E04B2/86 601L
E04B5/43 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020131074
(22)【出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】508023710
【氏名又は名称】松 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】松 俊彦
【テーマコード(参考)】
2E001
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DD01
2E001DD05
2E001FA12
2E001GA12
2E001GA23
2E001GA42
2E001HD02
2E001HD11
2E001MA01
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AK33A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DJ01A
4F100EC03
4F100EJ19
4F100EJ42
4F100JJ02
(57)【要約】
【課題】 鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄骨造の屋根の屋上断熱防水などにおいて、断熱性能の高いフェノールフォームはその吸水性の高さと部分圧縮強度の弱さの為、使用されなかった。
【解決手段】 フェノールフォームの両面に、ポリエステルテレフタレートフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムの複層フィルムを、無延伸ポリプロピレンフィルム面で熱融着させる構成のフェノールフォームの複合パネルとした。
これにより耐水性を上げ、また部分圧縮強度をフィルムによる面で加重を分散することにより上げることが出来、屋上断熱防水の分野やコンクリートとの緊結補助具を使用して鉄筋コンクリート造のスラブコンクリートに打ち込むことが出来る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂発泡体からなる断熱材の両面に、フィルムを熱ローラーで加熱融着し一体化し製造することを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
上記発泡体に張り合わせるフィルムはポリエステルテレフタレートフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムの複層フィルムであることを特徴とする断熱パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェノールフォームの両面にフィルムを熱ラミネートにより接着し一体化したパネルによる圧縮強度並びに曲げ強度の強化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の断熱パネルとしては、特開2004-332269で開示された断熱防水用途に発砲スチロール系断熱材やあるいはフェノールフォーム断熱材の表面にエキスパンドメタルを接着し一本化した複合構造のものがある。この従来技術においては、発泡体は当然断熱材としての役割を果たし、エキスパンドメタルが補強材となり歩行や作業に耐えられるよう張り合わせられシリコン系あるいはウレタン系などの接着剤がエキスパンドメタルとの接着の役割を果たしている。
【0003】
従来の第2の用途としての型枠兼用断熱パネルとしては、特許2823916に開示された発砲ポリスチレン板からなる断熱板の片面にプラスチックスフィルムを熱融着し貼付けて積層したものがある。この型枠兼用パネルは、発砲ポリスチレン板からなる断熱板の片面にプラスチックスフィルムを貼付けて積層したものである。
【0004】
その使用態様としては、床下空間を有する鉄筋コンクリート造構造物の1階床スラブの下面に断熱材を敷き詰める構成の施工において、床下空間内に支保工を組み立てた後、この支保工上にプラスチックスフィルムをしたに向けて載置し、この型枠兼用断熱パネル上に配筋し、コンクリートを打設して行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来の第1の断熱パネルは、エキスパンドメタルによって断熱材としての発泡スチロールを補強する役割を果たすが、エキスパンドメタルはパネルの重量が重くなり、運搬や取付作業の妨げとなった。またエキスパンドメタルの木口の錆が止められず長期間の使用には錆の問題が発生する。
【0008】
上記した第2の従来の型枠兼用断熱パネルは、プラスチックスフィルムの張力によって配筋作業時や発砲ポリスチレン板上へのコンクリートの打設時の積載荷重による引張力が負担され、コンクリートの型枠パネルとして使用すると共に断熱材としても使用するが、打設するコンクリートとフォームとの附着性を損なわないようにフィルムを下面にのみ貼付けていたので、フィルムを貼付けても曲げ強度を効果的に高めることができなかった。このため、フォームの曲げ剛性を高めるのにフォームの厚みや密度を増さなければならないという問題がある。
【0009】
また、プラスチックスフォームの表面は、局部圧縮強度が小さいので、作業員等がフォーム上を歩行すると陥没し易く、曲げ強度の低下や厚みの減少による断熱性の低下をまねくという問題がある。さらに、局部圧縮強度が小さいので、鉄筋スペーサーとして底面の大きい特殊なスペーサーが必要であった。また、ねじ込んだビス等が簡単に抜け落ちるため、電気ボックス等をねじ止めするのが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような従来の構成の材料が有していた問題を解決しようとするものであり、請求項1記載の断熱パネルは、従来考案されなかったフェノール樹脂発泡体からなるフォームの両面にフィルムを熱ラミネーションで貼付けることにより、圧縮強度と曲げ強度が弱く吸水性の高さとが欠点となるフェノールフォームの強度と吸水性を改善強化する。
【0011】
本発明はフェノールフォームにポリエステルテレフタレートフィルムを張り合わせる課題を解決するため請求項2記載のとおりフェノールフォームに張り合わせるフィルムはポリエステルテレフタレートフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムの複層フィルムを使用することにより熱ラミネーションを可能とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明により一体化されて断熱パネルでは、フェノールフォームの両面にポリエステルテレフタレートと無延伸ポリプロピレンフィルムとの複層フィルムを張付けているため、局部圧縮強度および曲げ強度を向上することができる。従って、コンクリートの打設時や防水施工時の歩行や他の作業において強い衝撃が加わった場合でも十分に耐えることができ通常の鉄筋スペーサーで施工ができる。しかも床スラブを形成する場合において鉄筋等に高い強度を要求することがなく、施工費および材料費の節減を図れる。
【0013】
吸水性が高く耐水性の弱いフェノールフォームであるが表裏両面をポリエステルテレフタレートと無延伸ポリプロピレンフィルムとのフィルムが覆うため簡単にテープで目地処理をすることによりその欠点をカバーできる。
【0014】
フォームがフェノール樹脂発泡体からなるので、軽量でしかも運搬や施工の作業能率の向上を図ることができる。また、両面に強度のある複層フィルムを張付けるため、粘着テープなどでの固定ができ合板型枠同様に電気ボックス等の固定が可能である。
【0015】
フォームをフェノール樹脂としているので、断熱性および耐熱性を向上することができる。
【0016】
前述のとおり請求項2記載のフェノールフォームの発泡体に張り合わせるフィルムはポリエステルテレフタレートフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとの複層フィルムであり、無延伸ポリプロピレンフィルムが接着層としての役割を果たし、フェノールフォームの表面のポリプロピレン不織布と熱融着する。さらにポリプロピレン不織布に浸透貫通してフェノールフォーム表層にも投錨効果を発生させより強固に接着しフェノールフォームと一体化しフェノールフォーム本体と表面材のポリプロピレン不織布とのピール強度もより強化され、局部圧縮強度および曲げ強度を向上させる。
【0017】
熱ラミネーションの手段によって接着するため、製造がきわめて簡単である。
【0018】
鉄骨鉄筋コンクリート造りあるいは鉄筋コンクリート造りの断熱施工コンクリート打ち込みや断熱防水分野等において、断熱性能は高いがその吸水性の高さ及び圧縮強度と曲げ強度が弱いために使用されなかったフェノールフォームを施工することができる。
【0019】
両面フィルムで強化されたフェノールフォームは型枠兼用の断熱パネルとしても施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1および
図2に示すように、この発明の一実施例の断熱パネルは、フェノールフォーム1の両面に複層フィルム2を貼付たものである。
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
フォームの発泡倍率は限定されるものではないが、好ましくは20~50倍の範囲内である。フォーム1の板厚は、曲げ強度と断熱性能の2つの要素に影響を与えるので、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常の使用状態では15~100mm程度、断熱性能を求められるため好ましくは35~75mmの範囲内で設定する場合が多い。
【0023】
複合フィルムは、第1にポリエステルテレフタレートであるが,他にポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレンあるいはポリエステル等の合成樹脂フィルムなどの裏面に無延伸ポリプロピレンフィルムを張り合わせた2層構造のものが挙げられる。第2に上記の2層構造のフィルムの間にアルミニウム箔を積層した3層構造のものが挙げられる。
【0024】
これら第1及び第2に挙げたフィルムの内でも特に、引張り強度および引張り弾性係数が大きく、曲げ強度に優れじん性のあるポリエステルテレフタレート,ポリエステルシートなどの合成樹脂フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムの複層フィルムが好ましい。
【0025】
また、第1及び第2に挙げたフィルムの厚みは20~300μ程度、好ましくは30~80μの範囲であり、表面に使用するポリエステルテレフタレート,ポリエステルなどの合成樹脂フィルムは20~70μフォーム側の無延伸ポリプロピレンフィルムは10~40μの範囲である。アルミニウム箔を積層する場合のアルミニウム箔は5~15μの範囲である。
【0026】
フォームとフィルムの張り合わせは熱ロールによる熱ラミネーションによって行うが、熱ロールの温度は120~200℃の範囲であり好ましくは130~190℃の範囲である。
【0027】
コンクリートの打設や防水層の仕上げの施工をする際には、上面側の目地に防湿防水テープで目張りをする。
【0028】
コンクリートを打設し打ち込み工法とする場合は、市販のフォームキーパーなどのアタッチメントを4~5個/m2取付、物理的にコンクリート面とパネルを留め付ける。