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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148451
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
H01L21/304 647A
H01L21/304 648K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050136
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】國枝 省吾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC26
5F157BB23
5F157BC13
5F157BD02
5F157BD55
5F157BF22
5F157BF32
5F157BF33
5F157BF34
5F157BF47
5F157BF48
5F157BF49
5F157BF52
5F157BF55
5F157BF59
5F157BF72
5F157CB03
5F157CB14
5F157CB28
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB32
5F157DB33
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】基板を適切に乾燥できる基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板Wを処理する基板処理方法であって、脱水工程と吐出工程(混合液吐出工程)と固化膜形成工程と昇華工程を備える。脱水工程は混合液を脱水する。混合液は昇華性物質と溶媒を含む。吐出工程は、脱水工程によって脱水された混合液を、基板Wの上面W1に吐出する。固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上の混合液から溶媒を蒸発させる。固化膜形成工程は、昇華性物質を含む固化膜を基板Wの上面W1上に形成する。昇華工程は、固化膜を昇華させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理方法であって、
昇華性物質と溶媒を含む混合液を脱水する脱水工程と、
前記脱水工程によって脱水された前記混合液を、基板の上面に吐出する吐出工程と、
基板の前記上面上の前記混合液から前記溶媒を蒸発させて、前記昇華性物質を含む固化膜を基板の前記上面上に形成する固化膜形成工程と、
前記固化膜を昇華させる昇華工程と、
を備える
基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記脱水工程は、前記混合液における水の質量パーセント濃度を、1.2wt%以下にする
基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法において、
前記脱水工程は、前記混合液中の水を吸着する吸着部、および、前記混合液から水を分離する分離部の少なくともいずれかを用いて、前記混合液を脱水する
基板処理方法。
【請求項4】
基板を処理する基板処理方法であって、
溶媒を含む第1処理液を脱水する脱水工程と、
前記脱水工程によって脱水された前記第1処理液に昇華性物質を加えた混合液を、基板の上面に吐出する吐出工程と、
基板の前記上面上の前記混合液から前記溶媒を蒸発させて、前記昇華性物質を含む固化膜を基板の前記上面上に形成する固化膜形成工程と、
前記固化膜を昇華させる昇華工程と、
を備える
基板処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理方法において、
前記脱水工程は、前記第1処理液における水の質量パーセント濃度を、1.2wt%以下にする
基板処理方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の基板処理方法において、
前記脱水工程は、前記第1処理液中の水を吸着する吸着部、および、前記第1処理液から水を分離する分離部の少なくともいずれかを用いて、前記第1処理液を脱水する
基板処理方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記吐出工程は、吐出部によって前記混合液を基板の前記上面に吐出し、
前記脱水工程は、前記吐出部に連通接続される流路または前記吐出部に連通接続される槽において実行される
基板処理方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記溶媒は、以下の化合物a1)-a10)の少なくともいずれかを含む
a1) アセトン
a2) メタノール
a3) エタノール
a4) イソプロピルアルコール
a5) tert-ブタノール
a6) 1-プロパノール
a7) イソブタノール
a8) 1-エトキシ-2-プロパノール
a9) 1-ブタノール
a10) プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
基板処理方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記昇華性物質は、
シクロヘキサノンオキシム、
樟脳、
ナフタレン、および、
ε-カプロラクタム
の少なくともいずれかを含む
基板処理方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記昇華工程は、乾燥ガスを前記固化膜に供給する
基板処理方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記混合液は、さらに、界面活性剤を含む
基板処理方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記吐出工程は、界面活性剤を、前記混合液とともに、基板に供給する
基板処理方法。
【請求項13】
請求項4から7のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1処理液は、さらに、界面活性剤を含む
基板処理方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記界面活性剤は、疎水性を有する
基板処理方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の基板処理方法において、
基板は、基板の上面に形成されるパターンを有する
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に処理を行う基板処理方法に関する。基板は、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板を乾燥する基板処理方法を開示する。具体的には、特許文献1の基板処理方法は、液膜形成工程と、固化膜形成工程と、昇華工程を備える。液膜形成工程は、処理液の液膜を基板の上面に形成する。処理液は、溶媒とシクロヘキサノンオキシムを含む。固化膜形成工程は、溶媒を蒸発させる。固化膜形成工程は、シクロヘキサノンオキシムの固化膜を、基板の上面に形成する。昇華工程は、固化膜を昇華させる。固化膜は、液体を経ずに、気体に変化する。特許文献1の基板処理方法によれば、基板を適切に乾燥できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-9988公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板処理方法であっても、基板を適切に乾燥できない場合があった。例えば、従来の基板処理方法であっても、基板の上面に形成されるパターンが倒壊する場合があった。例えば、パターンが微細であるとき、従来の基板処理方法はパターンの倒壊を十分に抑制できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板を適切に乾燥できる基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために鋭意研究した。まず、本発明者らは、基板を適切に乾燥できない原因を検討した。その結果、基板を適切に乾燥できない原因が処理液に含まれる水であると、本発明者らは推測した。
【0007】
処理液は、溶媒と昇華性物質を含む。溶媒は、もともと(最初は)、水をほとんど含まない。例えば、製造者が製品として溶媒を出荷するとき、溶媒は水をほとんど含まない。製造者が製品の品質を管理するからである。例えば、製造者は、溶媒における水の濃度を規定値以下に管理するからである。昇華性物質も、同様である。したがって、処理液は水を含まないはずである。
【0008】
本発明者らは、基板処理方法において使用される処理液を見直した。処理液を生成し、使用するとき、処理液が水を取り込む場合があることを、本発明者らは気付いた。処理液を生成するとき、溶媒と昇華性物質は、タンクに貯留され、または、配管を流れる。処理液を使用するとき、処理液は、タンクに貯留され、または、配管を流れる。このため、処理液を生成し、使用するとき、溶媒、昇華性物質または処理液は、タンク、配管または空気から、水を僅かに取り込み得る。そして、水を僅かに含む処理液が基板に供給される場合がある。基板に供給されるときの処理液に含まれる水が基板を適切に乾燥できない原因であると、本発明者らは推測した。
【0009】
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに鋭意検討することによって得られたものであり、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、基板を処理する基板処理方法であって、昇華性物質と溶媒を含む混合液を脱水する脱水工程と、前記脱水工程によって脱水された前記混合液を、基板の上面に吐出する吐出工程と、基板の前記上面上の前記混合液から前記溶媒を蒸発させて、前記昇華性物質を含む固化膜を基板の前記上面上に形成する固化膜形成工程と、前記固化膜を昇華させる昇華工程と、を備える基板処理方法である。
【0010】
基板処理方法は、脱水工程と吐出工程を含む。脱水工程は、混合液を脱水する。混合液は、昇華性物質と溶媒を含む。吐出工程は、脱水工程によって脱水された混合液を、基板の上面に吐出する。よって、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0011】
基板処理方法は、固化膜形成工程を含む。固化膜形成工程は、基板の上面上の混合液から溶媒を蒸発させる。固化膜形成工程は、昇華性物質を基板の上面上に析出させる。固化膜形成工程は、基板の上面上に固化膜を形成する。固化膜は、析出された昇華性物質を含む。上述の通り、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、固化膜形成工程は、基板の上面上に固化膜を適切に形成できる。
【0012】
基板処理方法は、昇華工程を含む。昇華工程は、固化膜を昇華させる。固化膜の昇華によって、固化膜は基板の上面から除去される。上述の通り、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、昇華工程は、基板を適切に乾燥できる。
【0013】
まとめると、上述の基板処理方法によれば、基板を適切に乾燥できる。
【0014】
上述の基板処理方法において、前記脱水工程は、前記混合液における水の質量パーセント濃度を、1.2wt%以下にすることが好ましい。固化膜形成工程は、基板の上面上に固化膜を一層適切に形成できる。昇華工程は、基板を一層適切に乾燥できる。
【0015】
上述の基板処理方法において、前記脱水工程は、前記混合液中の水を吸着する吸着部、および、前記混合液から水を分離する分離部の少なくともいずれかを用いて、前記混合液を脱水することが好ましい。脱水工程は、混合液を好適に脱水できる。
【0016】
本発明は、基板を処理する基板処理方法であって、溶媒を含む第1処理液を脱水する脱水工程と、前記脱水工程によって脱水された前記第1処理液に昇華性物質を加えた混合液を、基板の上面に吐出する吐出工程と、基板の前記上面上の前記混合液から前記溶媒を蒸発させて、前記昇華性物質を含む固化膜を基板の前記上面上に形成する固化膜形成工程と、前記固化膜を昇華させる昇華工程と、を備える基板処理方法である。
【0017】
基板処理方法は、脱水工程と吐出工程を含む。脱水工程は、第1処理液を脱水する。第1処理液は、溶媒を含む。吐出工程は、混合液を、基板の上面に吐出する。混合液は、脱水工程によって脱水された第1処理液を含む。さらに、混合液は、昇華性物質を含む。よって、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0018】
基板処理方法は、固化膜形成工程を含む。固化膜形成工程は、基板の上面上の混合液から溶媒を蒸発させる。固化膜形成工程は、昇華性物質を基板の上面上に析出させる。固化膜形成工程は、基板の上面上に固化膜を形成する。固化膜は、析出された昇華性物質を含む。上述の通り、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、固化膜形成工程は、基板の上面上に固化膜を適切に形成できる。
【0019】
基板処理方法は、昇華工程を含む。昇華工程は、固化膜を昇華させる。固化膜の昇華によって、固化膜は基板の上面から除去される。上述の通り、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、昇華工程は、基板を適切に乾燥できる。
【0020】
まとめると、上述の基板処理方法によれば、基板を適切に乾燥できる。
【0021】
上述の基板処理方法において、前記脱水工程は、前記第1処理液における水の質量パーセント濃度を、1.2wt%以下にすることが好ましい。固化膜形成工程は、基板の上面上に固化膜を一層適切に形成できる。昇華工程は、基板を一層適切に乾燥できる。
【0022】
上述の基板処理方法において、前記脱水工程は、前記第1処理液中の水を吸着する吸着部、および、前記第1処理液から水を分離する分離部の少なくともいずれかを用いて、前記第1処理液を脱水することが好ましい。脱水工程は、第1処理液を好適に脱水できる。
【0023】
上述の基板処理方法において、前記吐出工程は、吐出部によって前記混合液を基板の前記上面に吐出し、前記脱水工程は、前記吐出部に連通接続される流路または前記吐出部に連通接続される槽において実行されることが好ましい。脱水工程は、吐出部に連通接続される流路または吐出部に連通接続される槽において実行される。例えば、脱水工程は、吐出部に連通接続される流路を流れる混合液、または、吐出部に連通接続される槽に貯留される混合液を脱水する。例えば、脱水工程は、吐出部に連通接続される流路を流れる第1処理液、または、吐出部に連通接続される槽に貯留される第1処理液を脱水する。よって、吐出工程が基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0024】
上述の基板処理方法において、
前記溶媒は、以下の化合物a1)-a10)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
a1) アセトン
a2) メタノール
a3) エタノール
a4) イソプロピルアルコール
a5) tert-ブタノール
a6) 1-プロパノール
a7) イソブタノール
a8) 1-エトキシ-2-プロパノール
a9) 1-ブタノール
a10) プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
これにより、基板を適切に乾燥できる。
【0025】
上述の基板処理方法において、前記昇華性物質は、シクロヘキサノンオキシム、樟脳、ナフタレン、および、ε-カプロラクタムの少なくともいずれかを含むことが好ましい。これにより、基板を適切に乾燥できる。
【0026】
上述の基板処理方法において、前記昇華工程は、乾燥ガスを前記固化膜に供給することが好ましい。昇華工程は、固化膜を効率良く昇華させることができる。
【0027】
上述の基板処理方法において、前記混合液は、さらに、界面活性剤を含むことが好ましい。吐出工程は、基板の上面上に混合液を一層適切に供給できる。
【0028】
上述の基板処理方法において、前記吐出工程は、界面活性剤を、前記混合液とともに、基板に供給することが好ましい。吐出工程は、基板の上面上に混合液を一層適切に供給できる。
【0029】
上述の基板処理方法において、前記第1処理液は、さらに、界面活性剤を含むことが好ましい。吐出工程は、基板の上面上に混合液を一層適切に供給できる。
【0030】
上述の基板処理方法において、前記界面活性剤は、疎水性を有することが好ましい。吐出工程は、基板の上面上に混合液をさらに一層適切に供給できる。
【0031】
上述の基板処理方法において、前記界面活性剤は、前記化合物a1)-a10)(但し、前記溶媒に含まれるものを除く)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。吐出工程は、基板の上面上に混合液をさらに一層適切に供給できる。
【0032】
上述した基板処理方法において、基板は、基板の上面に形成されるパターンを有することが好ましい。パターンを保護しつつ、基板を適切に乾燥できる。例えば、パターンが倒壊することを好適に抑制しつつ、基板を適切に乾燥できる。
【0033】
本発明は、基板を昇華乾燥するための処理液であって、昇華性物質と溶媒を含む混合液を脱水処理することによって得られる処理液である。
【0034】
混合液は、昇華性物質と溶媒を含む。処理液は、混合液を脱水処理することによって得られる。このため、処理液における水の濃度は、十分に低い。よって、処理液を基板に供給することによって、基板を好適に乾燥できる。
【0035】
本発明は、基板を昇華乾燥するための処理液であって、溶媒を含む第1処理液を脱水し、かつ、脱水された前記第1処理液に昇華性物質を加えることによって得られる処理液である。
【0036】
第1処理液は、溶媒を含む。処理液は、第1処理液を脱水し、かつ、脱水された第1処理液を昇華性物質に加えることによって得られる。このため、処理液における水の濃度は、十分に低い。よって、処理液を基板に供給することによって、基板を好適に乾燥できる。
【0037】
本発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を略水平姿勢で保持する基板保持部と、昇華性物質と溶媒を含む混合液を脱水する脱水部と、前記基板保持部に保持される基板の上面に、前記脱水部によって脱水された混合液を、吐出する吐出部と、を備える基板処理装置である。
【0038】
基板処理装置は、基板保持部と脱水部と吐出部を備える。基板保持部は、基板を略水平姿勢で保持する。混合液は、昇華性物質と溶媒を含む。脱水部は、混合液を脱水する。吐出部は、基板保持部に保持される基板の上面に、脱水部によって脱水された混合液を、吐出する。よって、吐出部が基板保持部に保持される基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。このため、基板処理装置は、上述の基板処理方法を好適に実行できる。すなわち、基板処理装置は、基板を適切に乾燥できる。
【0039】
上述の基板処理装置において、前記混合液における水の濃度を計測する第1センサと、第1センサの検出結果を取得する制御部と、を備えることが好ましい。制御部は、混合液における水の濃度を好適に監視できる。
【0040】
本発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を略水平姿勢で保持する基板保持部と、溶媒を含む第1処理液を脱水する脱水部と、前記基板保持部に保持される基板の上面に、前記脱水部によって脱水された前記第1処理液に昇華性物質を加えた混合液を、吐出する吐出部と、を備える基板処理装置である。
【0041】
基板処理装置は、基板保持部と脱水部と吐出部を備える。基板保持部は、基板を略水平姿勢で保持する。第1処理液は、溶媒を含む。脱水部は、第1処理液を脱水する。吐出部は、基板保持部に保持される基板の上面に、混合液を、吐出する。混合液は、脱水部によって脱水された第1処理液を含む。さらに、混合液は、昇華性物質を含む。よって、吐出部が基板保持部に保持される基板の上面に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。このため、基板処理装置は、上述の基板処理方法を好適に実行できる。すなわち、基板処理装置は、基板を適切に乾燥できる。
【0042】
上述の基板処理装置において、第1処理液における水の濃度を検出する第1センサと、前記第1センサの検出結果を取得する制御部と、を備えることが好ましい。制御部は、第1処理液における水の濃度を好適に監視できる。
【0043】
上述した基板処理装置において、基板が前記基板保持部に保持されるとき、基板は、基板の前記上面に形成されるパターンを有することが好ましい。パターンを保護しつつ、基板を適切に処理できる。
【0044】
上述した基板処理装置において、前記基板保持部に保持される基板の上面に乾燥ガスを供給するガス供給部と、を備えることが好ましい。基板を効率良く乾燥できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明の基板処理方法によれば、基板を適切に乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】第1実施形態の基板処理装置の内部を示す平面図である。
図2】基板処理装置の制御ブロック図である。
図3】第1実施形態の処理ユニットおよび混合液調整ユニットの構成を示す図である。
図4】基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
図5】混合液吐出工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図6】固化膜形成工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図7】固化膜形成工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図8】昇華工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図9】昇華工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図10】第1実験例および第1比較例で処理された各基板の評価を示す表である。
図11】第2実験例で処理された各基板の評価を示す表である。
図12】混合液における水の濃度と、倒壊率の中央値の関係を示す対数グラフである。
図13】混合液吐出工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図14】固化膜形成工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図15】昇華工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図16】固化膜形成工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図17】昇華工程における基板の上面を模式的に示す図である。
図18】第2実施形態の処理ユニットおよび混合液調整ユニットの構成を示す図である。
図19】第3実施形態の処理ユニットおよび混合液調整ユニットの構成を示す図である。
図20】第4実施形態の処理ユニットおよび混合液調整ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して本発明の基板処理装置を説明する。
【0048】
<1.第1実施形態>
<1-1.基板処理装置の概要>
図1は、第1実施形態の基板処理装置の内部を示す平面図である。基板処理装置1は、基板Wに処理を行う。基板Wに行われる処理は、乾燥処理を含む。
【0049】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。基板Wは、薄い平板形状を有する。基板Wは、平面視で略円形状を有する。
【0050】
基板処理装置1は、インデクサ部3と処理ブロック7を備える。処理ブロック7はインデクサ部3に接続される。インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。処理ブロック7は、基板Wに処理を行う。インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。
【0051】
本明細書では、便宜上、インデクサ部3と処理ブロック7が並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7からインデクサ部3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0052】
インデクサ部3は、複数(例えば、4つ)のキャリア載置部4を備える。各キャリア載置部4はそれぞれ、1つのキャリアCを載置する。キャリアCは、複数枚の基板Wを収容する。キャリアCは、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)、OC(Open Cassette)である。
【0053】
インデクサ部3は、搬送機構5を備える。搬送機構5は、キャリア載置部4の後方に配置される。搬送機構5は、基板Wを搬送する。搬送機構5は、キャリア載置部4に載置されるキャリアCにアクセス可能である。搬送機構5はハンド5aとハンド駆動部5bを備える。ハンド5aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部5bは、ハンド5aに連結される。ハンド駆動部5bは、ハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、水平面内においてハンド5aを回転させる。
【0054】
処理ブロック7は、搬送機構8を備える。搬送機構8は、基板Wを搬送する。搬送機構8と搬送機構5は、相互に、基板Wを受け渡し可能である。搬送機構8は、ハンド8aとハンド駆動部8bを備える。ハンド8aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部8bは、ハンド8aに連結される。ハンド駆動部8bは、ハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、水平面内においてハンド8aを回転させる。
【0055】
処理ブロック7は、複数の処理ユニット11を備える。各処理ユニット11は、搬送機構8の側方に配置される。各処理ユニット11は、基板Wに処理を行う。
【0056】
処理ユニット11は、基板保持部13を備える。基板保持部13は、基板Wを保持する。
【0057】
搬送機構8は、各処理ユニット11にアクセス可能である。搬送機構8は、基板保持部13に基板Wを渡すことができる。搬送機構8は、基板保持部13から基板Wを取ることができる。
【0058】
図2は、基板処理装置1の制御ブロック図である。基板処理装置1は、制御部10を備える。制御部10は、搬送機構5、8と処理ユニット11を制御する。
【0059】
制御部10は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。制御部10は、記憶媒体に予め格納される各種の情報を有する。制御部10が有する情報は、例えば、搬送機構5、8を制御するための搬送情報である。制御部10が有する情報は、例えば、処理ユニット11を制御するための処理情報である。処理情報は、処理レシピとも呼ばれる。
【0060】
基板処理装置1の動作例を簡単に説明する。
【0061】
インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。具体的には、搬送機構5は、キャリアCから処理ブロック7の搬送機構8に基板Wを渡す。
【0062】
処理ブロック7は、インデクサ部3から、処理ユニット11に基板Wを分配する。具体的には、搬送機構8は、搬送機構5から、各処理ユニット11の基板保持部13に基板Wを搬送する。
【0063】
処理ユニット11は、基板保持部13に保持された基板Wを処理する。処理ユニット11は、例えば、基板Wに乾燥処理を行う。
【0064】
処理ユニット11が基板Wを処理した後、処理ブロック7は、処理ユニット11からインデクサ部3に基板Wを戻す。具体的には、搬送機構8は、基板保持部13から搬送機構5に基板Wを搬送する。
【0065】
インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。具体的には、搬送機構5は、搬送機構8からキャリアCに基板Wを搬送する。
【0066】
<1-2.処理ユニット11の構成>
図3は、処理ユニット11の構成を示す図である。各処理ユニット11は、同一の構造を有する。処理ユニット11は、枚葉式に分類される。すなわち、各処理ユニット11は、一度に1枚の基板Wのみを処理する。
【0067】
基板保持部13は、1枚の基板Wを保持する。基板保持部13は、基板Wを略水平姿勢で保持する。基板保持部13は、基板Wの周縁部または基板Wの下面を保持する。
【0068】
処理ユニット11は、回転駆動部14を備える。回転駆動部14は、基板保持部13に連結される。回転駆動部14は、基板保持部13を回転させる。基板保持部13に保持される基板Wは、基板保持部13と一体に回転する。基板保持部13に保持される基板Wは、回転軸線B回りに回転する。回転軸線Bは、例えば、基板Wの中心を通り、鉛直方向Zに延びる。
【0069】
処理ユニット11は、第1ノズル15aと第2ノズル15bと第3ノズル15cと第4ノズル15dと第5ノズル15eを備える。以下では、第1-第5ノズル15a―15eを区別しない場合には、単に、「ノズル15」と呼ぶ。各ノズル15はそれぞれ、液体または気体を基板Wに吐出する。より詳しくは、各ノズル15はそれぞれ、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に、液体または気体を吐出する。各ノズル15はそれぞれ、処理位置と待機位置に移動可能である。処理位置は、例えば、基板保持部13に保持される基板Wの上方の位置である。待機位置は、例えば、基板保持部13に保持される基板Wの上方から外れた位置である。
【0070】
処理ユニット11は、筐体16を備える。筐体16は、略箱形状を有する。筐体16は、筐体16の内部に、基板保持部13と回転駆動部14とノズル15を収容する。基板Wは、筐体16の内部において、処理される。
【0071】
筐体16の内部は、常温に保たれる。筐体16の内部は、常圧に保たれる。このため、基板Wは、常温および常圧の環境の下で処理される。ここで、常温は、室温を含む。常温は、例えば、5℃以上で35℃以下の範囲内の温度である。常温は、例えば、10℃以上で30℃以下の範囲内の温度である。常圧は、標準大気圧(1気圧、1013hPa)を含む。常圧は、例えば、0.7気圧以上で、1.3気圧以下の範囲内の気圧である。本明細書では、絶対真空を基準とした絶対圧力で、圧力を示す。
【0072】
処理ユニット11は、さらに、不図示のカップを備えてもよい。カップは、筐体16の内部に設置される。カップは、基板保持部13の周囲に配置される。カップは、基板保持部13に保持される基板Wから飛散した液体を受け止める。
【0073】
処理ユニット11は、配管17a、17b、17c、17d、17eを備える。配管17a-17eはそれぞれ、第1-第5ノズル15a-15eに接続される。配管17aの少なくとも一部は、筐体16の外部に設けられてもよい。配管17b-17eも、配管17aと同様に配置されてもよい。
【0074】
処理ユニット11は、弁18a、18b、18c、18d、18eを備える。弁18a-18eはそれぞれ、配管17a-17eに設けられる。弁18aは、筐体16の外部に設けられてもよい。弁18b-18eも、弁18aと同様に配置されてもよい。
【0075】
基板処理装置1は、混合液調整ユニット20を備える。混合液調整ユニット20は、配管17aに接続される。混合液調整ユニット20は、第1ノズル15aに連通接続される。
【0076】
混合液調整ユニット20は、混合液を第1ノズル15aに送る。第1ノズル15aは、混合液を吐出する。混合液調整ユニット20は、複数の処理ユニット11に対して、混合液を供給してもよい。
【0077】
第1ノズル15aは、本発明における吐出部の例である。
【0078】
配管17bは、薬液供給源19bに接続される。薬液供給源19bは、第2ノズル15bに連通接続される。薬液供給源19bは、薬液を第2ノズル15bに送る。第2ノズル15bは、薬液を吐出する。
【0079】
薬液は、例えば、エッチング液である。薬液は、例えば、フッ化水素酸(HF)およびバッファードフッ酸(BHF)の少なくともいずれかを含む。
【0080】
配管17cは、リンス液供給源19cに接続される。リンス液供給源19cは、第3ノズル15cに連通接続される。リンス液供給源19cは、リンス液を第3ノズル15cに送る。第3ノズル15cは、リンス液を吐出する。
【0081】
リンス液は、例えば、脱イオン水(DIW)である。
【0082】
配管17dは、置換液供給源19dに接続される。置換液供給源19dは、第4ノズル15dに連通接続される。置換液供給源19dは、置換液を第4ノズル15dに送る。第4ノズル15dは、置換液を吐出する。
【0083】
置換液は、例えば、有機溶剤である。置換液は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)である。
【0084】
配管17eは、乾燥ガス供給源19eに接続される。乾燥ガス供給源19eは、第5ノズル15eに連通接続される。乾燥ガス供給源19eは、乾燥ガスを第5ノズル15eに送る。第5ノズル15eは、乾燥ガスを吐出する。第5ノズル15eは、乾燥ガスを吹き出す。
【0085】
乾燥ガスは、常温よりも低い露点を有する。露点は、例えば、約-76℃である。このため、乾燥ガスは、常温では、結露しない。乾燥ガスにおける水の濃度は、十分に低い。乾燥ガスは、例えば、空気である。乾燥ガスは、例えば、圧縮エアである。乾燥ガスは、例えば、不活性ガスである。乾燥ガスは、例えば、窒素ガスである。
【0086】
第5ノズル15eは、本発明におけるガス供給部の例である。
【0087】
薬液供給源19bは、基板処理装置1の要素であってもよい。例えば、薬液供給源19bは、基板処理装置1に含まれる薬液槽であってもよい。あるいは、薬液供給源19bは、基板処理装置1の要素でなくてもよい。例えば、薬液供給源19bは、基板処理装置1の外部に設置されるユーティリティ設備であってもよい。同様に、リンス液供給源19c、置換液供給源19dおよび乾燥ガス供給源19eはそれぞれ、基板処理装置1の要素であってもよいし、基板処理装置1の要素でなくてもよい。
【0088】
図2を、参照する。制御部10は、回転駆動部14と、弁18a-18eを制御する。
【0089】
<1-3.混合液調整ユニット20の構成>
図3を、参照する。第1実施形態では、混合液調整ユニット20は、混合液を脱水する。このため、第1ノズル15aは、脱水された混合液を吐出する。
【0090】
混合液調整ユニット20は、第1槽21を備える。第1槽21は、第1ノズル15aに連通接続される。第1槽21は、混合液を貯留する。
【0091】
混合液は、昇華性物質と溶媒を含む。混合液は、例えば、昇華性物質と溶媒のみからなる。
【0092】
ここで、「昇華性物質」とは、昇華性を有する物質である。「昇華性」とは、単体、化合物若しくは混合物が、液体を経ずに、固体から気体、又は気体から固体へと相転移する特性である。
【0093】
さらに、昇華性物質は、昇華性を有することに加え、以下の条件1-3を満たすことが好ましい。
条件1:昇華性物質は、常温において固体である。
条件2:昇華性物質は、常温において溶媒に溶解可能である。
条件3:昇華性物質は、常温において0.01Pa(絶対圧力)以上の蒸気圧を有する。
【0094】
昇華性物質は、例えば、シクロヘキサノンオキシム、樟脳、ナフタレン、および、ε-カプロラクタムの少なくともいずれかを含む。
【0095】
溶媒は、常温で液体である。溶媒は、昇華性物質を溶解する。溶媒は、常温において、昇華性物質の蒸気圧よりも高い蒸気圧を有することが好ましい。
【0096】
溶媒は、例えば、以下の化合物a1)-a10)の少なくともいずれかを含む
a1) アセトン
a2) メタノール
a3) エタノール
a4) イソプロピルアルコール
a5) tert-ブタノール
a6) 1-プロパノール
a7) イソブタノール
a8) 1-エトキシ-2-プロパノール
a9) 1-ブタノール
a10) プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0097】
混合液中の昇華性物質は、溶媒に溶解されている。すなわち、混合液は、溶媒と、溶媒に溶解された昇華性物質を含む。
【0098】
なお、上述した置換液は、溶媒と同種の液体であってもよい。置換液は、溶媒と類似の液体であってもよい。化合物a1)-a10)の少なくともいずれかは、溶媒と置換液の両方に含まれてもよい。
【0099】
混合液調整ユニット20は、脱水部23を備える。脱水部23は、混合液を脱水する。脱水部23は、混合液に含まれる水を、混合液から除去する。
【0100】
脱水部23は、吸着部24を備える。吸着部24は、第1槽21に設置される。吸着部24は、混合液に含まれる水を吸着する。吸着部24に吸着された水は、混合液から除去された水に相当する。これにより、吸着部24は、第1槽21に貯留される混合液を脱水する。
【0101】
具体的に、吸着部24は、第1槽21に貯留される混合液中に配置される。吸着部24は、第1槽21の混合液に浸漬される。吸着部24は、混合液に接する。吸着部24は、混合液に含まれる水のみを選択的に吸着する。
【0102】
吸着部24は、例えば、粒形状、円筒形状、円柱形状またはペレット形状を有する。吸着部24は、例えば、多孔質形状を有する。吸着部24は、吸湿性を有する。吸着部24は、例えば、ゼオライトである。吸着部24は、例えば、モレキュラーシーブである。吸着部24は、例えば、酸化カルシウムである。吸着部24は、例えば、硫酸カルシウムである。吸着部24は、乾燥剤とも呼ばれる。
【0103】
混合液調整ユニット20は、配管31とポンプ33とフィルタ34と継ぎ手37を備える。配管31は、第1槽21に連通接続される。配管31は、第1槽21から配管17aに延びる。ポンプ33は、配管31に設けられる。ポンプ33は、第1槽21から配管31に、混合液を送る。フィルタ34は、配管31に設けられる。フィルタ34は、配管31を流れる混合液を濾過する。フィルタ34は、混合液から異物を除去する。異物は、例えば、吸着部24である。継ぎ手37は、配管31に接続される。継ぎ手37は、さらに、配管17aに接続される。このため、ポンプ33は、第1槽21から配管17a(第1ノズル15a)に、混合液を送る。
【0104】
混合液調整ユニット20は、第1センサ39を備える。第1センサ39は、混合液における水の濃度を検出する。第1センサ39は、例えば、カールフィッシャー法、または、赤外線吸収法によって、混合液における水の濃度を検出する。第1センサ39は、例えば、第1槽21に設けられる。第1センサ39は、例えば、第1槽21に貯留される混合液における水の濃度を検出する。
【0105】
図2を参照する。制御部10は、混合液調整ユニット20を制御する。制御部10は、混合液調整ユニット20と、通信可能に電気的に接続される。制御部10は、第1センサ39の検出結果を取得する。制御部10は、ポンプ33を制御する。
【0106】
制御部10は、混合液調整ユニット20を制御するための調整情報を有する。調整情報は、制御部10の記憶媒体に予め記憶されている。
【0107】
<1-4.混合液調整ユニット20および処理ユニット11の動作例>
図4は、基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、ステップS1とステップS11-S18を備える。ステップS1は、混合液調整ユニット20によって実行される。ステップS11-18は、実質的に処理ユニット11によって実行される。ステップS1は、ステップS11-18と並行して実行される。混合液調整ユニット20および処理ユニット11は、制御部10の制御にしたがって、動作する。
【0108】
ステップS1:脱水工程
脱水部23は、混合液を脱水する。脱水部23は、第1槽21において、混合液を脱水する。脱水部23は、吸着部24を用いて、混合液を脱水する。吸着部24は、第1槽21に貯留される混合液を脱水する。これにより、第1槽21の混合液は、脱水される。第1槽21内の混合液における水の濃度は、十分に低くなる。
【0109】
例えば、脱水工程は、混合液における水の質量パーセント濃度を2.5wt%以下にすることが好ましい。さらに、脱水工程は、混合液における水の質量パーセント濃度を1.2wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、混合液における水の質量パーセント濃度を0.7wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、混合液における水の質量パーセント濃度を0.2wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、混合液における水の質量パーセント濃度を0.1wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、混合液における水の質量パーセント濃度を0.03wt%以下にすることが好ましい。
【0110】
第1センサ39は、混合液における水の濃度を検出する。制御部10は、第1センサ39の検出結果を監視する。
【0111】
ステップS11:回転開始工程
基板保持部13は、基板Wを保持する。回転駆動部14は、基板保持部13を回転させる。基板保持部13に保持される基板Wは、回転を開始する。ステップS12-S17は、基板Wが回転した状態で、実行される。
【0112】
ステップS12:薬液吐出工程
弁18bが開く。第2ノズル15bは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に薬液を吐出する。薬液は、基板Wの上面W1に供給される。そして、弁18bが閉じる。第2ノズル15bは、薬液の吐出を停止する。
【0113】
ステップS13:リンス液吐出工程
弁18cが開く。第3ノズル15cは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1にリンス液を吐出する。リンス液は、基板Wの上面W1に供給される。リンス液は、基板Wを洗浄する。具体的には、リンス液は、基板W上から薬液を除去する。そして、弁18cが閉じる。第3ノズル15cは、リンス液の吐出を停止する。
【0114】
ステップS14:置換液吐出工程
弁18dが開く。第4ノズル15dは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に置換液を吐出する。置換液は、基板Wの上面W1に供給される。これにより、置換液は、基板W上のリンス液と置き換わる。言い換えれば、置換液は、基板W上からリンス液を除去する。そして、弁18dが閉じる。第4ノズル15dは、置換液の吐出を停止する。
【0115】
ステップS15:混合液吐出工程
弁18aが開く。第1ノズル15aは、脱水工程(ステップS1)によって脱水された混合液を、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に吐出する。脱水された混合液は、基板Wの上面W1に供給される。これにより、脱水された混合液は、基板W上の置換液と置き換わる。言い換えれば、脱水された混合液は、基板W上から置換液を除去する。そして、弁18aが閉じる。第1ノズル15aは、脱水された混合液の吐出を停止する。
【0116】
混合液調整ユニット20は、脱水工程(ステップS1)によって脱水された混合液を、第1ノズル15aに送る。具体的には、ポンプ33は、第1槽21から配管17aに、脱水された混合液を送る。
【0117】
図5は、混合液吐出工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを有する。パターンPは、基板Wの上面W1に形成される。言い換えれば、基板Wが基板保持部13に保持されるとき、パターンPは基板Wの上面W1に位置する。基板Wが基板保持部13に保持されるとき、パターンPは上方を向く。
【0118】
パターンPは、例えば、処理ユニット11が基板Wを処理する前に形成されてもよい。パターンPは、例えば、薬液吐出工程(ステップS12)によって、形成されてもよい。
【0119】
パターンPは、凸部W2と凹部Aを有する。凸部W2は、基板Wの一部である。凸部W2は、構造体である。凸部W2は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)やポリシリコン膜で構成される。凸部W2は、上方に隆起する。凹部Aは、凸部W2の側方に隣接する。凹部Aは、空間である。凹部Aは、上方に開放されている。凸部W2は、凹部Aを区画する壁に相当する。
【0120】
混合液Dは、基板Wの上面W1上に位置する。混合液Dは、基板Wの上面W1を覆う膜を形成する。
【0121】
混合液Dは、上面D1を有する。上面D1は、パターンPの全部よりも高い位置に位置する。上面D1は、凸部W2の全部よりも高い位置に位置する。パターンPの全部は、混合液Dに浸漬される。凸部W2の全部は、混合液Dに浸漬される。
【0122】
凹部Aは、混合液Dで満たされる。凹部Aの全部は、混合液Dのみで満たされる。
【0123】
なお、置換液は、既に、混合液Dによって、基板Wの上面W1から除去された。このため、置換液は、既に、基板Wの上面W1上に存在しない。置換液は、凹部Aに残らない。
【0124】
気体Eは、混合液Dの上方に位置する。気体Eは、上面D1と接する。上面D1は、混合液Dと気体Eの間の気液界面に相当する。凸部W2は、上面D1と接しない。このため、混合液Dは、凸部W2に対してメニスカスを形成しない。よって、混合液Dの表面張力は、凸部W2に働かない。
【0125】
混合液吐出工程は、さらに、混合液Dの上面D1の高さ位置を調整してもよい。上面D1の高さ位置は、混合液Dの膜厚に相当する。例えば、第1ノズル15aが混合液Dを基板Wに吐出しながら、上面D1の高さ位置を調整してもよい。例えば、第1ノズル15aが混合液Dの吐出を停止した後に、上面D1の高さ位置を調整してもよい。例えば、基板Wの回転速度を調節することによって、上面D1の高さ位置を調整してもよい。例えば、基板Wの回転時間を調節することによって、上面D1の高さ位置を調整してもよい。
【0126】
ステップS15の混合液吐出工程は、本願発明における吐出工程の例である。
【0127】
ステップS16:固化膜形成工程
溶媒は、基板Wの上面W1上の混合液Dから蒸発する。溶媒は、液体から気体に変化する。溶媒は、基板Wの上面W1上から除去される。溶媒の蒸発によって、昇華性物質は基板Wの上面W1上に析出する。固化膜が、基板Wの上面W1上に形成される。固化膜は、析出した昇華性物質を含む。固化膜は、溶媒を含まない。固化膜は、固体である。
【0128】
図6は、固化膜形成工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。溶媒が混合液Dから蒸発するに従って、混合液Dは徐々に固化膜Fに変わる。まず、混合液Dの表面が、固化膜Fに変わる。混合液Dの上面D1の高さ位置は、低くなる。固化膜Fは、混合液Dの上面D1を覆う。基板W上に残った混合液Dは、固化膜Fの下方に位置する。
【0129】
固化膜Fは、気体Eと接する。混合液Dは、気体Eと接しない。混合液Dの上面D1は、気体Eと接しない。上面D1が固化膜Fに覆われることによって、混合液Dと気体Eの間の気液界面は、消失する。このため、固化膜形成工程では、混合液Dは、凸部W2に有意な力を作用することなく、減少する。溶媒は、凸部W2に有意な力を作用することなく、基板Wの上面W1から去る。
【0130】
図7は、固化膜形成工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。最終的に、混合液Dは、基板Wの上面W1から消失する。混合液Dに含まれる溶媒は基板Wの上面W1から去り、混合液Dに含まれる昇華性物質は固化膜に変わるからである。このため、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに混合液Dは残らない。凹部Aは、固化膜Fで満たされる。凹部Aの全部は、固化膜Fのみで満たされる。パターンPは、固化膜Fと接する。凸部W2は、固化膜Fと接する。
【0131】
液体は、基板Wの上面W1に存在しない。液体は、凹部Aに存在しない。パターンPは、液体と接しない。凸部W2は、液体と接しない。
【0132】
ステップS17:昇華工程
弁18eは開く。第5ノズル15eは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に、乾燥ガスを供給する。言い換えれば、第5ノズル15eは、基板W上の固化膜に乾燥ガスを供給する。固化膜は、昇華する。固化膜は、液体を経ずに、固体から気体に変化する。固化膜の昇華によって、固化膜は基板Wの上面W1から除去される。なお、昇華工程も、常温で実行される。このため、乾燥ガスは、結露しない。そして、弁18eは閉じる。第5ノズル15eは、乾燥ガスの供給を停止する。
【0133】
図8は、昇華工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。固化膜Fが昇華するに従って、固化膜Fは徐々に減少し、気体Eが凹部Aに入る。
【0134】
固化膜Fが昇華するとき、固化膜Fは液体に変化しない。このため、液体は、基板Wの上面W1に存在しない。液体は、凹部Aに存在しない。パターンPは、液体と接しない。凸部W2は、液体と接しない。固化膜Fは、凸部W2に有意な力を作用することなく、基板Wの上面W1から去る。
【0135】
図9は、昇華工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。最終的に、固化膜Fは、基板Wの上面W1上から無くなる。凹部Aは、気体Eで満たされる。凹部Aの全部は、気体Eのみで満たされる。液体は、基板Wの上面W1に存在しない。基板Wは、完全に乾燥される。
【0136】
ステップS18:回転停止工程
回転駆動部14は、基板保持部13の回転を停止する。基板保持部13に保持される基板Wは、回転を停止する。基板Wは、静止する。処理ユニット11は、基板Wに対する処理を終了する。
【0137】
<1-5.脱水工程の技術的意義>
第1実験例と第1比較例によって、脱水工程の技術的意義を説明する。
【0138】
第1実験例は、以下の条件で実行される。第1実験例は、薬液吐出工程とリンス液吐出工程と置換液吐出工程と混合液吐出工程と固化膜形成工程と昇華工程を含む一連の処理を、基板Wに対して実行する。薬液吐出工程は、フッ化水素酸を薬液として使用する。リンス液吐出工程は、脱イオン水(DIW)をリンス液として使用する。置換液吐出工程は、イソプロピルアルコールを置換液として使用する。
【0139】
混合液は、シクロヘキサノンオキシムを昇華性物質として、イソプロピルアルコールを溶媒として、含む。混合液に含まれるシクロヘキサノンオキシムとイソプロピルアルコールの体積比は、以下の通りである。
シクロヘキサノンオキシム:イソプロピルアルコール=1:40
【0140】
脱水工程は、モレキュラーシーブを用いて、混合液を脱水する。具体的には、混合液にモレキュラーシーブを投与して、混合液を1日以上放置する。
【0141】
混合液吐出工程は、脱水工程によって脱水された混合液を使用する。
【0142】
第1比較例は、以下の条件で実行される。脱水工程を省略する。混合液吐出工程は、脱水工程によって脱水されていない混合液を使用する。これら以外は、比較例は、実験例と同じ条件で、実行される。
【0143】
第1実験例および第1比較例で処理された各基板Wを、以下の評価基準で、評価する。観察者は、基板W上の測定点を観察する。測定点は、基板W上の任意の位置の微小領域である。測定点は、走査型電子顕微鏡によって50000倍に拡大される。観察者は、各測定点において、凸部W2の数N、および、倒壊した凸部W2の数nを計数する。ここで、数nは、数N以下である。観察者は、各測定点における倒壊率を算出する。さらに、倒壊率の平均値と倒壊率の中央値を算出する。
【0144】
倒壊率は、次式の通り、数N、nによって規定される。
各測定点における倒壊率=n/N*100 (%)
倒壊率の平均値(%)は、各測定点における倒壊率の和を、測定点の数で除した値である。倒壊率の中央値(%)は、各測定点における倒壊率を大きさの順に並べた数列において、中央に位置する倒壊率である。
【0145】
図10は、第1実験例および第1比較例で処理された各基板Wの評価を示す表である。第1実験例の場合、倒壊率の平均値は、12.99(%)であった。第1実験例の場合、倒壊率の中央値は、2.57(%)であった。第1比較例の場合、倒壊率の平均値は、23.25(%)であった。第1比較例の場合、倒壊率の中央値は、8.18(%)であった。第1実験例では、第1比較例に比べて、倒壊率の平均値が著しく低い。第1実験例では、第1比較例に比べて、倒壊率の中央値が著しく低い。
【0146】
<1-6.混合液中における水の濃度とパターンの倒壊率の関係>
第2実験例によって、混合液中における水の濃度とパターンの倒壊率の関係を説明する。
【0147】
第2実験例では、混合液吐出工程は、水の濃度を意図的に変えた混合液を使用する。これら以外は、第2実験例は、第1実験例と同じ条件で、実行される。
【0148】
具体的には、7種の混合液Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dgを準備した。混合液吐出工程は、混合液Da-Dgのいずれか1つを使用した。したがって、第2実験例では、一連の処理は、少なくとも7回、実行される。そして、7種の基板Wを得た。7種の基板Wを、上述の評価基準で、評価した。
【0149】
図11は、第2実験例で処理された各基板Wの評価を示す表である。図11に示される「混合液における水の濃度」は、混合液における水の質量パーセント濃度である。混合液における水の濃度は、カールフィッシャー法によって測定された。
【0150】
基本的に、混合液における水の濃度が低くなるにしたがって、倒壊率の平均値は低下する。混合液における水の質量パーセント濃度が2.50wt%以下では、倒壊率の平均値は40%未満である。混合液における水の質量パーセント濃度が1.22wt%以下では、倒壊率の平均値は40%未満である。混合液における水の質量パーセント濃度が0.63wt%以下では、倒壊率の平均値は11%未満である。混合液における水の質量パーセント濃度が0.18wt%以下では、倒壊率の平均値は11%未満である。混合液における水の質量パーセント濃度が0.097wt%以下では、倒壊率の平均値は7%未満である。
【0151】
図11、12を参照する。図12は、混合液における水の濃度と、倒壊率の中央値の関係を示す対数グラフである。基本的に、混合液における水の濃度が低くなるにしたがって、倒壊率の中央値は低下する。混合液における水の濃度が2.50wt%以下では、倒壊率の中央値は18%未満である。混合液における水の濃度が1.22wt%以下では、倒壊率の中央値は17%未満である。混合液における水の濃度が0.63wt%以下では、倒壊率の中央値は6%未満である。混合液における水の濃度が0.18wt%以下では、倒壊率の中央値は5%未満である。混合液における水の濃度が0.097wt%以下では、倒壊率の中央値は4%未満である。
【0152】
<1-7.混合液に含まれる水が適切な乾燥を妨げるメカニズム>
上述の通り、混合液における水の濃度が高くなるほど、パターンPの倒壊率が高くなる。この現象は、第1、第2の原因の少なくともいずれかに起因すると、本発明者等は推察する。
第1の原因は、混合液吐出工程の終了時、凹部Aに置換液が残ることである。
第2の原因は、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに混合液が残ることである。
【0153】
第1の原因について説明する。図13は、混合液吐出工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。図14は、固化膜形成工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。図15は、昇華工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。図13-15は、混合液における水の濃度が高い場合を示す。
【0154】
図13を参照する。水は親水性である。凸部W2は疎水性である。このため、混合液Dにおける水の濃度が高いほど、混合液Dと凸部W2の間の親和性は低下する。言い換えれば、混合液Dにおける水の濃度が高いほど、混合液Dと凸部W2の間の相性は悪くなる。凹部Aは、凸部W2に隣接する。よって、混合液Dにおける水の濃度が高いほど、混合液Dは凹部Aに入りにくくなる。したがって、混合液吐出工程では、混合液Dは、基板Wの上面W1から置換液Gを十分に除去できない。混合液吐出工程が終了する時、置換液Gは、液体として、凹部Aに残る。合液吐出工程の終了時においても、凹部Aの全部は混合液Dのみで満たされない。
【0155】
図14を参照する。その結果、固化膜形成工程では、凹部Aの全部は、固化膜Fのみで満たされない。言い換えれば、固化膜Fは凹部Aの全部に形成されない。固化膜形成工程の終了時においても、置換液Gが、液体として、凹部Aに存在する。
【0156】
図15を参照する。昇華工程では、固化膜Fが昇華する。固化膜Fが昇華した後も、置換液Gは、凹部Aに残る。置換液Gは、上面G1を有する。固化膜Fが昇華した後、上面G1は気体Eと接することになる。上面G1は、置換液Gと気体Eの間の気液界面となる。上面G1は、凸部W2と接する。このため、置換液Gは、凸部W2に対してメニスカスを形成する。よって、置換液Gの表面張力が、凸部W2に働く。置換液Gは、凸部W2に有意な力を作用させる。その結果、凸部W2(パターンP)は倒壊する。例えば、隣り合う2つの凸部W2は、くっつく。
【0157】
これに対して、第1実施形態では、脱水工程は、混合液Dにおける水の濃度を十分に低くする。混合液Dにおける水の濃度が低いほど、混合液Dと凸部W2の間の親和性は高くなる。言い換えれば、混合液Dにおける水の濃度が低いほど、混合液Dと凸部W2の間の相性は良好になる。このため、混合液Dにおける水の濃度が低いほど、混合液Dは凹部Aに円滑に入る。したがって、混合液吐出工程では、混合液Dは、基板Wの上面W1から置換液を十分に除去できる。凹部Aに置換液が残ることを、混合液Dは好適に抑制できる(図5参照)。置換液は、凸部W2に有意な力を作用することなく、基板Wの上面W1から去る。凸部W2は、好適に保護される。パターンPの倒壊は、好適に抑制される。
【0158】
第2の原因について説明する。図16は、固化膜形成工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。図17は、昇華工程における基板Wの上面W1を模式的に示す図である。図16-17は、混合液における水の濃度が高い場合を示す。
【0159】
混合液吐出工程の終了時、凹部Aに置換液が残らないと仮定する。この場合、混合液吐出工程の終了時、凹部Aの全部は混合液Dのみで満たされる(図5参照)。
【0160】
図16を参照する。固化膜形成工程では、溶媒は混合液Dから蒸発する。但し、混合液Dに含まれる水は蒸発し難い。水の蒸気圧は、溶媒の蒸気圧よりも低いからである。混合液Dにおける水の濃度が高い場合、混合液に含まれる全ての溶媒が蒸発した後も、混合液Dは凹部Aに残る。その結果、固化膜形成工程の終了時において、凹部Aに混合液が残る。固化膜Fは、凹部Aの全部に形成されない。基板W上に残った混合液Dは、溶媒を含まないが、水を含む。このため、残った混合液Dは、高い水分濃度を有する。
【0161】
図17を参照する。昇華工程では、固化膜Fが昇華する。固化膜Fが昇華した後も、混合液Dは凹部Aに残る。固化膜Fが昇華した後、混合液Dの上面D1は気体Eと接することになる。上面D1は、混合液Dと気体Eの間の気液界面となる。上面D1は、凸部W2と接する。このため、混合液Dは、凸部W2に対してメニスカスを形成する。よって、混合液Dの表面張力が、凸部W2に働く。特に、混合液Dにおける水の濃度は、高い。このため、混合液Dの表面張力は、比較的に高い。よって、混合液Dは、凸部W2に有意な力を作用させる。その結果、凸部W2(パターンP)は倒壊する。
【0162】
これに対して、第1実施形態では、脱水工程は、混合液Dにおける水の濃度を十分に低くする。混合液Dにおける水の濃度が十分に低い場合、溶媒の蒸発および昇華性物質の析出によって、混合液Dは消失する。すなわち、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに混合液Dは残らない(図7参照)。混合液Dは、凸部W2に有意な力を作用することなく、基板Wの上面W1から去り、あるいは、固化膜Eに変わる。凸部W2は、好適に保護される。パターンPの倒壊は、好適に抑制される。
【0163】
<1-8.第1実施形態の効果>
混合液は、昇華性物質と溶媒を含む。基板処理方法は、脱水工程を含む。脱水工程は、混合液を脱水する。言い換えれば、脱水工程は、混合液に含まれる水を、混合液から、除去する。このため、混合液を生成し、使用するとき、混合液が水を取り込むことを好適に抑制できる。混合液を生成し、使用するとき、混合液における水の濃度が上昇することを好適に抑制できる。
【0164】
基板処理方法は、混合液吐出工程を含む。混合液吐出工程は、脱水工程によって脱水された混合液を、基板Wの上面W1に吐出する。よって、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を適切に供給できる。例えば、混合液吐出工程の終了時、凹部Aに置換液が液体として残ることを抑制できる。例えば、混合液吐出工程の終了時、凹部Aの全部を混合液のみで満たすことができる。
【0165】
基板処理方法は、固化膜形成工程を含む。固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上の混合液から溶媒を蒸発させる。固化膜形成工程は、固化膜を基板Wの上面W1上に形成する。固化膜は、昇華性物質を含む。上述の通り、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上に固化膜を適切に形成できる。例えば、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに混合液が残ることを抑制できる。例えば、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに水が残ることを抑制できる。例えば、固化膜形成工程は、凹部Aの全部に固化膜を形成できる。例えば、固化膜形成工程は、凹部Aの全部を固化膜のみで満たすことができる。
【0166】
基板処理方法は、昇華工程を含む。昇華工程は、固化膜を昇華させる。言い換えれば、昇華工程は、固化膜を、液体を経ずに、気体に変える。固化膜の昇華によって、固化膜は基板Wの上面W1から除去される。上述の通り、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、昇華工程は、基板Wを適切に乾燥できる。例えば、昇華工程は、凸部W2と接する気液界面を形成せずに、基板Wの上面W1から固化膜を除去できる。
【0167】
まとめると、上述の基板処理方法によれば、基板Wを適切に乾燥できる。
【0168】
脱水工程は、例えば、混合液における水の質量パーセント濃度を、1.2wt%以下にする。このため、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を好適に供給できる。固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上に固化膜を一層適切に形成できる。昇華工程は、基板Wを一層適切に乾燥できる。
【0169】
脱水工程は、吸着部24を用いて、混合液を脱水する。吸着部24は混合液中の水を吸着する。このため、脱水工程は混合液を好適に脱水できる。
【0170】
混合液吐出工程は、第1ノズル15aによって混合液を基板Wの上面W1に吐出する。脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される槽(具体的には第1槽21)において実行される。具体的には、脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される第1槽21に貯留される混合液を脱水する。よって、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0171】
吸着部24は、第1槽21に設置される。このため、第1ノズル15aに連通接続される第1槽21において、脱水工程を好適に実行できる。
【0172】
溶媒は、上述の化合物a1)-a10)の少なくともいずれかを含む。このため、基板Wを適切に乾燥できる。
【0173】
昇華性物質は、シクロヘキサノンオキシム、樟脳、ナフタレン、および、ε-カプロラクタムの少なくともいずれかを含む。このため、基板Wを適切に乾燥できる。
【0174】
昇華工程は、乾燥ガスを固化膜に供給する。このため、昇華工程は、固化膜を効率良く昇華させることができる。
【0175】
基板Wは、基板Wの上面W1に形成されるパターンPを有する。基板処理方法によれば、パターンPを保護しつつ、基板Wを適切に乾燥できる。基板処理方法によれば、パターンPの倒壊を抑制しつつ、基板Wを適切に乾燥できる。
【0176】
混合液吐出工程が使用する処理液は、脱水された混合液である。具体的には、混合液吐出工程が使用する処理液は、昇華性物質と溶媒を含む混合液を脱水処理することによって得られる処理液である。このため、混合液吐出工程が使用する処理液は、十分に低い水分濃度を有する。よって、基板Wを好適に乾燥できる。
【0177】
基板処理装置1は、基板保持部13と脱水部23と第1ノズル15aを備える。基板保持部13は基板Wを略水平姿勢で保持する。脱水部23は、昇華性物質と溶媒を含む混合液を脱水する。第1ノズル15aは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に、脱水部23によって脱水された混合液を、吐出する。よって、第1ノズル15aが基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。このため、基板処理装置1は、上述の基板処理方法を好適に実行できる。すなわち、基板処理装置1は、基板Wを適切に乾燥できる。
【0178】
脱水部23は、吸着部24を備える。吸着部24は、混合液中の水を吸着する。よって、脱水部23は、混合液を好適に脱水できる。
【0179】
基板Wが基板保持部13に保持されるとき、基板Wは、基板Wの上面W1に形成されるパターンPを有する。このため、基板処理装置1は、パターンPを保護しつつ、基板Wを適切に乾燥できる。
【0180】
基板処理装置1は、第5吐出部15eを備える。第5吐出部15eは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に乾燥ガスを供給する。このため、基板Wを効率良く乾燥できる。
【0181】
基板処理装置1は、第1センサ39と制御部10を備える。第1センサ39は、混合液における水の濃度を計測する。制御部10は、第1センサ39の検出結果を取得する。このため、制御部10は、混合液における水の濃度を好適に監視できる。
【0182】
<2.第2実施形態>
図面を参照して、第2実施形態の基板処理装置1を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0183】
第2実施形態は、基板処理装置1の概要および処理ユニット11の構成に関しては、第1実施形態と略同じである。以下では、第2実施形態の混合液調整ユニット20の構成を説明する。
【0184】
<2-1.混合液調整ユニット20の構成>
図18は、第2実施形態の処理ユニット11および混合液調整ユニット20の構成を示す図である。第2実施形態では、混合液調整ユニット20は、第1処理液を脱水する。このため、第1ノズル15aは、脱水された第1処理液を吐出する。より詳しくは、第1ノズル15aは、脱水された第1処理液に、昇華性物質を加えた混合液を吐出する。
【0185】
第1槽21は、第1処理液を貯留する。
【0186】
第1処理液は、溶媒を含む。第1処理液に含まれる溶媒は、例えば、上述した化合物a1)-a10)の少なくともいずれかを含む。
【0187】
第1処理液は、例えば、昇華性物質を含まない。第1処理液は、例えば、溶媒のみからなる。
【0188】
第1センサ39は、第1処理液における水の濃度を検出する。
【0189】
混合液調整ユニット20は、循環配管32を備える。循環配管32は、第1槽21の外部に設けられる。循環配管32は、第1槽21に連通接続される第1端と、第1槽21に連通接続される第2端を有する。
【0190】
ポンプ33とフィルタ34はそれぞれ、循環配管32に設けられる。ポンプ33が運転するとき、第1処理液は、第1槽21と循環配管を循環する。具体的には、第1処理液は、第1槽21から循環配管32の第1端を通じて循環配管32に流出し、さらに、第1処理液は、循環配管32から循環配管32の第2端を通じて第1槽21に戻る。
【0191】
脱水部23は、循環配管32に設けられる。脱水部23は、循環配管32を流れる第1処理液を脱水する。脱水部23によって脱水された第1処理液は、第1槽21に戻る。
【0192】
脱水部23は、吸着部24に加えて、ハウジング25を備える。ハウジング25は、循環配管32に連通接続される。ハウジング25は、吸着部24を収容する。ハウジング25によって、吸着部24は、循環配管32に設けられる。吸着部24は、循環配管32を流れる第1処理液と接する。吸着部24は、第1処理液に含まれる水を吸着する。これにより、吸着部24は、循環配管32を流れる第1処理液を脱水する。
【0193】
脱水部23は、分離部26を備える。分離部26は、循環配管32に設けられる。分離部26は、第1処理液から、第1処理液に含まれる水を分離する。これにより、分離部26は、循環配管32を流れる第1処理液を脱水する。なお、分離部26は、不図示の排液管に連通接続される。分離部26は、第1処理液から分離した水を、排液管に排出する。
【0194】
分離部26は、例えば、脱水フィルタである。分離部26は、例えば、分離膜を含む。分離部26は、例えば、ゼオライト膜を含む。
【0195】
混合液調整ユニット20は、第1槽21に加えて、第2槽41を備える。第2槽41は、第1ノズル15aに連通接続される。第2槽41は、第2処理液を貯留する。
【0196】
第2処理液は、昇華性物質を含む。 昇華性物質は、例えば、シクロヘキサノンオキシム、樟脳、ナフタレン、および、ε-カプロラクタムの少なくともいずれかを含む。
【0197】
第2処理液は、例えば、溶媒を含む。第2処理液に含まれる溶媒は、例えば、第1処理液に含まれる溶媒と同種である。
【0198】
混合液調整ユニット20は、循環配管42とポンプ43とフィルタ44を備える。循環配管42は、第2槽41の外部に設けられる。循環配管42は、第2槽41に連通接続される第1端と、第2槽41に連通接続される第2端を有する。ポンプ43は、循環配管42に設けられる。ポンプ43は、第2処理液を送る。ポンプ43が運転するとき、第2処理液は、第2槽41と循環配管42を循環する。具体的には、第2処理液は、第2槽41から、循環配管42の第1端を通じて、循環配管42に流出し、さらに、第2処理液は、循環配管42から、循環配管42の第2端を通じて、第2槽41に戻る。フィルタ44は、循環配管42に設けられる。フィルタ44は、循環配管42を流れる第2処理液を濾過する。フィルタ44は、第2処理液から異物を除去する。
【0199】
混合液調整ユニット20は、混合部51を備える。混合部51は、脱水処理された第1処理液を第2処理液に加えて、混合液を生成する。
【0200】
混合部51は、配管52a、52bを備える。配管52aは、循環配管32から分岐する。配管52aは、循環配管32に接続される。配管52bは、循環配管42から分岐する。配管52bは、循環配管42に接続される。
【0201】
混合部51は、弁53a、53bを備える。弁53aは、配管52aに設けられる。弁53bは、配管52bに設けられる。
【0202】
混合部51は、継ぎ手57を備える。継ぎ手57は、配管52a、52bを接続する。さらに、継ぎ手57は、配管17aに接続される。配管52a、52bと配管17aは互いに、継ぎ手57を介して、連通する。
【0203】
図示を省略するが、制御部10は、ポンプ43、弁53a、53bを制御する。
【0204】
<2-2.混合液調整ユニット20および処理ユニット11の動作例>
図4を参照する。第2実施形態の基板処理方法は、第1実施形態と同様に、ステップS1とステップS11-S18を備える。ステップS11-S14、S16-S18の動作は、第1実施形態と第2実施形態の間で実質的に共通する。このため、ステップS11-S14、S16-S18の動作説明を省略する。ステップS1、S15の動作を説明する。
【0205】
ステップS1:脱水工程
脱水部23は、第1処理液を脱水する。脱水部23は、循環配管32において、第1処理液を脱水する。脱水部23は、吸着部24および分離部26を用いて、第1処理液を脱水する。具体的には、ポンプ33は、運転する。第1処理液は、第1槽21と循環配管32の間を循環する。吸着部24は、循環配管32を流れる第1処理液を脱水する。分離部26も、循環配管32を流れる第1処理液を脱水する。これにより、循環配管32を流れる第1処理液は、脱水される。脱水された第1処理液は、第1槽21に戻る。第1槽21内の第1処理液における水の濃度は、十分に低くなる。
【0206】
例えば、脱水工程は、第1処理液における水の質量パーセント濃度を2.5wt%以下にすることが好ましい。さらに、脱水工程は、第1処理液における水の質量パーセント濃度を1.2wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、第1処理液における水の質量パーセント濃度を0.7wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、第1処理液における水の質量パーセント濃度を0.2wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、第1処理液における水の質量パーセント濃度を0.1wt%以下にすることが好ましい。脱水工程は、第1処理液における水の質量パーセント濃度を0.03wt%以下にすることが好ましい。
【0207】
第1センサ39は、第1処理液における水の濃度を検出する。制御部10は、第1センサ39の検出結果を監視する。
【0208】
ステップS15:混合液吐出工程
ポンプ33、43は運転する。弁53a、53bは開く。さらに、弁18aは開く。脱水された第1処理液は、循環配管32から配管52aに流れる。第2処理液は、循環配管42から配管52bに流れる。第1処理液と第2処理液は、継ぎ手57において合流する。第2処理液は、脱水された第1処理液に加えられる。すなわち、昇華性物質は、脱水された第1処理液に加えられる。脱水された第1処理液に昇華性物質が加えられた混合液は、配管17aを通じて、第1ノズル15aに流れる。第1ノズル15aは、脱水された第1処理液に昇華性物質が加えられた混合液を、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に吐出する。混合液は、基板Wの上面W1に供給される。これにより、混合液は、基板W上の置換液と置き換わる。そして、弁18a、53a、53bが閉じる。第1ノズル15aは、混合液の吐出を停止する。
【0209】
<2-3.第2実施形態の効果>
第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0210】
基板処理方法は、脱水工程と混合液吐出工程を含む。脱水工程は、第1処理液を脱水する。言い換えれば、脱水工程は、第1処理液に含まれる水を、第1処理液から、除去する。第1処理液は、溶媒を含む。混合液吐出工程は、混合液を、基板Wの上面W1に吐出する。混合液は、脱水工程によって脱水された第1処理液を含む。さらに、混合液は、昇華性物質を含む。このため、混合液を生成し、使用するとき、混合液が水を取り込むことを好適に抑制できる。混合液を生成し、使用するとき、混合液における水の濃度が上昇することを好適に抑制できる。よって、吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を適切に供給できる。例えば、混合液吐出工程の終了時、凹部Aに置換液が液体として残ることを抑制できる。例えば、混合液吐出工程の終了時、凹部Aの全部を混合液のみで満たすことができる。
【0211】
基板処理方法は、固化膜形成工程を含む。固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上の混合液から溶媒を蒸発させる。固化膜形成工程は、固化膜を基板Wの上面W1上に形成する。固化膜は、昇華性物質を含む。上述の通り、吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上に固化膜を適切に形成できる。例えば、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに混合液が残ることを抑制できる。例えば、固化膜形成工程の終了時、凹部Aに水が残ることを抑制できる。例えば、固化膜形成工程は、凹部Aの全部に固化膜を形成できる。例えば、固化膜形成工程は、凹部Aの全部を固化膜のみで満たすことができる。
【0212】
基板処理方法は、昇華工程を含む。昇華工程は、固化膜を昇華させる。言い換えれば、昇華工程は、固化膜を、液体を経ずに、気体に変える。固化膜の昇華によって、固化膜は基板Wの上面W1から除去される。上述の通り、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。したがって、昇華工程は、基板を適切に乾燥できる。例えば、昇華工程は、凸部W2と接する気液界面を形成せずに、基板Wの上面W1から固化膜を除去できる。
【0213】
まとめると、上述の基板処理方法によれば、基板Wを適切に乾燥できる。
【0214】
脱水工程は、例えば、第1処理液における水の質量パーセント濃度を、1.2wt%以下にする。このため、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を好適に供給できる。固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上に固化膜を一層適切に形成できる。昇華工程は、基板Wを一層適切に乾燥できる。
【0215】
脱水工程は、吸着部24および分離部26を用いて、混合液を脱水する。吸着部24は第1処理液中の水を吸着する。分離部26は第1処理液から水を分離する。このため、脱水工程は第1処理液を好適に脱水できる。
【0216】
脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される流路(具体的には循環配管32)において実行される。具体的には、脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される循環配管32を流れる第1処理液を脱水する。よって、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0217】
吸着部24および分離部26は、循環配管32に設置される。このため、第1ノズル15aに連通接続される循環配管32において、脱水工程を好適に実行できる。
【0218】
混合液は、昇華性物質を含む第2処理液を、第1処理液に、加えることによって得られる。すなわち、昇華性物質が第2処理液に溶解した状態で、昇華性物質は第1処理液に加えられる。よって、昇華性物質と溶媒を含む混合液を好適に得ることができる。
【0219】
混合液吐出工程が使用する処理液は、脱水された第1処理液を含む。具体的には、溶媒を含む第1処理液を脱水し、かつ、脱水された第1処理液に昇華性物質を加えることによって得られる処理液である。このため、混合液吐出工程が使用する処理液は、十分に低い水分濃度を有する。よって、基板Wを好適に乾燥できる。
【0220】
基板処理装置は、基板保持部13と脱水部23と第1ノズル15aを備える。脱水部23は、第1処理液を脱水する。第1ノズル15aは、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に、混合液を、吐出する。混合液は、脱水部によって脱水された第1処理液を含む。さらに、混合液は、昇華性物質を含む。よって、第1ノズル15aが基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。このため、基板処理装置1は、上述の基板処理方法を好適に実行できる。すなわち、基板処理装置1は、基板Wを適切に乾燥できる。
【0221】
脱水部23は、吸着部24と分離部26を備える。吸着部24は、第1処理液中の水を吸着する。分離部26は、第1処理液から水を分離する。よって、脱水部23は、第1処理液を好適に脱水できる。
【0222】
基板処理装置1は、第1センサ39と制御部10を備える。第1センサ39は、第1処理液における水の濃度を計測する。制御部10は、第1センサの検出結果を取得する。このため、制御部10は、第1処理液における水の濃度を好適に監視できる。
【0223】
<3.第3実施形態>
図面を参照して、第3実施形態の基板処理装置1を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0224】
第3実施形態は、基板処理装置1の概要および処理ユニット11の構成に関しては、第1実施形態と略同じである。以下では、第3実施形態の混合液調整ユニット20の構成を説明する。
【0225】
<3-1.混合液調整ユニット20の構成>
図19は、第3実施形態の処理ユニット11および混合液調整ユニット20の構成を示す図である。第3実施形態では、混合液調整ユニット20は、混合液を脱水する。このため、第1ノズル15aは、脱水された混合液を吐出する。さらに、第1ノズル15aは、脱水された混合液とともに、界面活性剤を吐出する。
【0226】
第1槽21は、混合液を貯留する。混合液は、昇華性物質と溶媒を含む。
【0227】
脱水部23は、吸着部24と分離部26を備える。吸着部24は、第1槽21および循環配管32に設けられている。
【0228】
混合液調整ユニット20は、第1槽21に加えて、第3槽61を備える。第3槽61は、第1ノズル15aに連通接続される。第3槽61は、界面活性剤を貯留する。界面活性剤は、液体である。
【0229】
界面活性剤は、疎水性を有する。界面活性剤は、上述した化合物a1)-a10)(但し、第1槽に貯留される溶媒に含まれるものを除く)の少なくともいずれかを含む。化合物a1)-a10)はそれぞれ、溶媒と界面活性剤の両方に含まれない。
【0230】
混合液調整ユニット20は、循環配管62とポンプ63とフィルタ64を備える。循環配管62は、第3槽61の外部に設けられる。循環配管62は、第3槽61に連通接続される第1端と、第3槽61に連通接続される第2端を有する。ポンプ63は、循環配管62に設けられる。ポンプ63は、界面活性剤を送る。ポンプ63が運転するとき、界面活性剤は、第3槽61と循環配管62を循環する。具体的には、界面活性剤は第3槽61から、循環配管62の第1端を通じて、循環配管62に流出し、さらに、界面活性剤は、循環配管62から、循環配管62の第2端を通じて、第3槽61に戻る。フィルタ64は、循環配管62に設けられる。フィルタ64は、循環配管62を流れる界面活性剤を濾過する。フィルタ64は、界面活性剤から異物を除去する。
【0231】
混合部51は、脱水処理された混合液に、界面活性剤を加える。
【0232】
混合部51は、配管52cを備える。配管52cは、循環配管62から分岐する。配管52cは、循環配管62に接続される。配管52cは、さらに、継ぎ手57に接続される。配管52a、52cと配管17aは互いに、継ぎ手57を介して、連通する。
【0233】
混合部51は、弁53cを備える。弁53cは、配管52cに設けられる。
【0234】
図示を省略するが、制御部10は、ポンプ63と弁53cを制御する。
【0235】
<3-2.混合液調整ユニット20および処理ユニット11の動作例>
図4を参照する。第3実施形態の基板処理方法は、第1実施形態と同様に、ステップS1とステップS11-S18を備える。ステップS11-S14、S16-S18の動作は、第1実施形態と第3実施形態の間で実質的に共通する。このため、ステップS11-S14、S16-S18の動作説明を省略する。ステップS1、S15の動作を説明する。
【0236】
ステップS1:脱水工程
脱水部23は、混合液を脱水する。脱水部23は、第1槽21および循環配管32において、混合液を脱水する。脱水部23は、吸着部24および分離部26を用いて、混合液を脱水する。具体的には、ポンプ33は、運転する。混合液は、第1槽21と循環配管32の間を循環する。吸着部24は、第1槽21に貯留される混合液を脱水する。吸着部24は、さらに、循環配管32を流れる混合液を脱水する。分離部26は、循環配管32を流れる混合液を脱水する。これにより、第1槽21に貯留される混合液および循環配管32を流れる混合液は、脱水される。第1槽21内の混合液における水の濃度は、十分に低くなる。
【0237】
ステップS15:混合液吐出工程
ポンプ33、53は運転する。弁53a、53cは開く。さらに、弁18aは開く。脱水された混合液は、循環配管32から配管52aに流れる。界面活性剤は、循環配管62から配管52cに流れる。第1処理液と界面活性剤は、継ぎ手57において合流する。界面活性剤は、脱水された混合液に加えられる。脱水された混合液と界面活性剤は、配管17aを通じて、第1ノズル15aに流れる。第1ノズル15aは、脱水された混合液と界面活性剤を、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に吐出する。より詳しくは、第1ノズル15aは、脱水された混合液と界面活性剤を含む処理液を、吐出する。第1ノズル15aから吐出される処理液は、混合液に界面活性剤が添加された処理液である。混合液と界面活性剤は、基板Wの上面W1に供給される。これにより、混合液と界面活性剤は、基板W上の置換液と置き換わる。そして、弁18a、53a、53cが閉じる。第1ノズル15aは、混合液の吐出を停止する。
【0238】
<3-3.第3実施形態の効果>
第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0239】
脱水工程は、吸着部24および分離部26を用いて、混合液を脱水する。よって、脱水工程は、混合液を一層好適に脱水できる。
【0240】
脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される槽(具体的には第1槽21)、および、前記吐出部に連通接続される流路(具体的には循環配管32)において実行される。具体的には、脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される第1槽21に貯留される混合液を脱水する。さらに、脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される循環配管32を流れる混合液を脱水する。よって、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0241】
吸着部24は、第1槽21に設置される。このため、第1ノズル15aに連通接続される第1槽21において、脱水工程を好適に実行できる。吸着部24および分離部26はそれぞれ、循環配管32に設置される。このため、第1ノズル15aに連通接続される循環配管32において、脱水工程を好適に実行できる。
【0242】
混合液吐出工程は、界面活性剤を、混合液とともに、基板に供給する。界面活性剤と基板W(例えば凸部W2)の間の親和性は、比較的に高い。このため、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。例えば、混合液は、凹部Aに一層円滑に入る。例えば、混合液吐出工程の終了時、凹部Aに置換液が液体として残ることを抑制できる。例えば、混合液吐出工程の終了時、凹部Aの全部を混合液のみで満たすことができる。その結果、基板Wを一層適切に乾燥できる。
【0243】
混合液吐出工程は、混合液と界面活性剤を含む処理液を、基板Wの上面W1に吐出する。このため、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を、さらに一層適切に供給できる。
【0244】
界面活性剤は、疎水性を有する。このため、界面活性剤と基板W(例えば凸部W2)の間の親和性は、一層高い。したがって、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。
【0245】
界面活性剤は、上述の化合物a1)-a10)(但し、溶媒に含まれるものを除く)の少なくともいずれかを含む。このため、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。
【0246】
<4.第4実施形態>
図面を参照して、第4実施形態の基板処理装置1を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0247】
第4実施形態は、基板処理装置1の概要および処理ユニット11の構成に関しては、第1実施形態と略同じである。以下では、第4実施形態の混合液調整ユニット20の構成を説明する。
【0248】
<4-1.混合液調整ユニット20の構成>
図20は、第4実施形態の処理ユニット11および混合液調整ユニット20の構成を示す図である。第4実施形態では、混合液調整ユニット20は、第1処理液を脱水する。このため、第1ノズル15aは、脱水された第1処理液を吐出する。より詳しくは、第1ノズル15aは、脱水された第1処理液に、昇華性物質を加えた混合液を吐出する。さらに、第1ノズル15aは、混合液とともに、界面活性剤を吐出する。
【0249】
第1槽21は、第1処理液を貯留する。
【0250】
第1処理液は、溶媒を含む。第1処理液に含まれる溶媒は、例えば、上述した化合物a1)-a10)の少なくともいずれかを含む。第1処理液は、例えば、昇華性物質を含まない。第1処理液は、例えば、溶媒のみからなる。
【0251】
脱水部23は、吸着部24と分離部26を備える。吸着部24は、第1槽21および配管31に設けられている。分離部26は、配管31に設けられる。
【0252】
配管31は、継ぎ手37に接続される。継ぎ手37は配管52aに接続される。
【0253】
第2槽41は、第2処理液を貯留する。
【0254】
第2処理液は、昇華性物質を含む。昇華性物質は、例えば、シクロヘキサノンオキシム、樟脳、ナフタレン、および、ε-カプロラクタムの少なくともいずれかを含む。第2処理液は、例えば、溶媒を含む。第2処理液に含まれる溶媒は、例えば、第1処理液に含まれる溶媒と同種である。
【0255】
混合液調整ユニット20は、配管45を備える。配管45は、第2槽41に連通接続される。配管45は、第2槽41から配管17aに延びる。ポンプ43は、配管45に設けられる。ポンプ43は、第2槽41から配管45に、第2処理液を送る。フィルタ44は、配管45に設けられる。フィルタ44は、配管45を流れる第2処理液を濾過する。フィルタ44は、第2処理液から異物を除去する。
【0256】
混合液調整ユニット20は、継ぎ手47を備える。継ぎ手47は、配管45に接続される。継ぎ手47は、さらに、配管52bに接続される。
【0257】
第3槽61は、界面活性剤を貯留する。
【0258】
界面活性剤は、液体である。界面活性剤は、疎水性を有する。界面活性剤は、上述した化合物a1)-a10)(但し、第1槽に貯留される溶媒に含まれるものを除く)の少なくともいずれかを含む。化合物a1)-a10)はそれぞれ、溶媒と界面活性剤の両方に含まれない。
【0259】
混合液調整ユニット20は、配管65を備える。配管65は、第3槽61に連通接続される。配管65は、第3槽61から配管17aに延びる。ポンプ63は、配管65に設けられる。ポンプ63は、第3槽61から配管65に、界面活性剤を送る。フィルタ64は、配管65に設けられる。フィルタ64は、配管65を流れる界面活性剤を濾過する。フィルタ64は、界面活性剤から異物を除去する。
【0260】
混合液調整ユニット20は、継ぎ手67を備える。継ぎ手67は、配管65に接続される。継ぎ手67は、さらに、配管52cに接続される。
【0261】
配管52a、52b、52cは互いに、継ぎ手57を介して、連通する。混合部51は、脱水処理された第1処理液に、第2処理液と界面活性剤を加える。
【0262】
<4-2.混合液調整ユニット20および処理ユニット11の動作例>
図4を参照する。第4実施形態の基板処理方法は、第1実施形態と同様に、ステップS1とステップS11-S18を備える。ステップS11-S14、S16-S18の動作は、第1実施形態と第4実施形態の間で実質的に共通する。このため、ステップS11-S14、S16-S18の動作説明を省略する。ステップS1、S15の動作を説明する。
【0263】
ステップS1:脱水工程
脱水部23は、第1処理液を脱水する。脱水部23は、第1槽21において、第1処理液を脱水する。脱水部23は、吸着部24を用いて、第1処理液を脱水する。吸着部24は、第1槽21に貯留される第1処理液を脱水する。これにより、第1槽21の第1処理液は、脱水される。第1槽21内の第1処理液における水の濃度は、十分に低くなる。
【0264】
ステップS1,S15:脱水工程と混合液吐出工程
ポンプ33は運転する。弁53aは開く。ポンプ33は、第1槽21から配管31に、脱水された第1処理液を送る。第1処理液は、配管31を流れる。第1処理液が配管31を流れるとき、脱水部23は、さらに、第1処理液を脱水する。具体的には、配管31に設けられた吸着部24は、配管31を流れる第1処理液を脱水する。さらに、分離部26は、配管31を流れる第1処理液を脱水する。脱水された第1処理液は、配管31から混合部51(配管52a)に流れる。
【0265】
ポンプ43、63は運転する。弁53b、53cは開く。さらに、弁18aは開く。ポンプ43は、第2槽41から混合部51に、第2処理液を送る。ポンプ63は、第3槽61から混合部51に、界面活性剤を送る。
【0266】
継ぎ手57において、第2処理液は、脱水された第1処理液に加えられる。継ぎ手57において、脱水された第1処理液に昇華性物質が加えられた混合液が生成される。さらに、継ぎ手57において、界面活性剤は、混合液に加えられる。混合液と界面活性剤は、配管17aを通じて、第1ノズル15aに流れる。第1ノズル15aは、混合液と界面活性剤を、基板保持部13に保持される基板Wの上面W1に吐出する。より詳しくは、第1ノズル15aは、混合液と界面活性剤を含む処理液を、吐出する。混合液と界面活性剤は、基板Wの上面W1に供給される。これにより、混合液と界面活性剤は、基板W上の置換液と置き換わる。そして、弁18a、53a、53b、53cが閉じる。第1ノズル15aは、混合液の吐出を停止する。
【0267】
<4-3.第4実施形態の効果>
第4実施形態においても、第1-第3実施形態と同様な効果を奏する。
【0268】
脱水工程は、吸着部24および分離部26を用いて、第1処理液を脱水する。よって、脱水工程は、第1処理液を一層好適に脱水できる。
【0269】
脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される槽(具体的には第1槽21)、および、第1ノズル15aに連通接続される流路(具体的には配管31)において実行される。具体的には、脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される第1槽21に貯留される第1処理液を脱水する。さらに、脱水工程は、第1ノズル15aに連通接続される配管31を流れる第1処理液を脱水する。よって、混合液吐出工程が基板Wの上面W1に混合液を吐出するとき、混合液における水の濃度は十分に低い。
【0270】
吸着部24は、第1槽21に設置される。このため、第1ノズル15aに連通接続される第1槽21において、脱水工程を好適に実行できる。吸着部24および分離部26はそれぞれ、配管31に設置される。このため、第1ノズル15aに連通接続される配管31において、脱水工程を好適に実行できる。
【0271】
混合液吐出工程は、界面活性剤を、混合液とともに、基板Wに供給する。したがって、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。
【0272】
本発明は、実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0273】
(1)第1実施形態では、脱水工程は、吸着部24を用いて混合液を脱水した。第3実施形態では、脱水工程は、吸着部24および分離部26を用いて混合液を脱水した。但し、これに限られない。脱水工程は、吸着部24および分離部26の少なくともいずれかを用いて、混合液を脱水してもよい。
【0274】
(2)第2、第4実施形態では、脱水工程は、吸着部24および分離部26を用いて第1処理液を脱水した。但し、これに限られない。脱水工程は、吸着部24および分離部26の少なくともいずれかを用いて、第1処理液を脱水してもよい。
【0275】
(3)第2、第4実施形態では、昇華性物質を含む第2処理液を、第1処理液に、加えることによって、混合液を得た。すなわち、昇華性物質が第2処理液に溶解した状態で、昇華性物質は第1処理液に加えられた。但し、これに限られない。昇華性物質自体を、第1処理液に加えてもよい。昇華性物質(固体)を、第1処理液に添加してもよい。昇華性物質を、第1処理液に溶解させてもよい。
【0276】
(4)第1、第3実施形態では、混合液は、界面活性剤を含まない。第1槽21に貯留される混合液は、例えば、溶媒と昇華性物質のみからなる。但し、これに限られない。混合液は、界面活性剤を含んでもよい。本変形実施形態によれば、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。
【0277】
(5)第2、第4実施形態では、第1処理液は、界面活性剤を含まない。第1槽21に貯留される第1処理液は、例えば、溶媒のみからなる。但し、これに限られない。第1処理液は、界面活性剤を含んでもよい。本変形実施形態によれば、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。
【0278】
(6)第2、第4実施形態では、第2処理液は、界面活性剤を含まない。第2槽41に貯留される第2処理液は、例えば、昇華性物質と溶媒のみからなる。但し、これに限られない。第2処理液は、界面活性剤を含んでもよい。本変形実施形態によれば、混合液吐出工程は、基板Wの上面W1上に混合液を一層適切に供給できる。
【0279】
(7)界面活性剤が混合液、第1処理液および第2処理液の少なくともいずれかに含まれる場合であっても、界面活性剤は、疎水性を有することが好ましい。界面活性剤が混合液、第1処理液および第2処理液の少なくともいずれかに含まれる場合であっても、界面活性剤は、上述した化合物a1)-a10)(但し、溶媒に含まれるものを除く)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0280】
(8)第1-第4実施形態では、薬液吐出工程、リンス液吐出工程および置換液吐出工程を備えた。但し、これに限られない。例えば、薬液吐出工程、リンス液吐出工程および置換液吐出工程の少なくともいずれかを省略してもよい。例えば、薬液吐出工程、リンス液吐出工程および置換液吐出工程の全部を省略してもよい。
【0281】
(9)第1-第4実施形態では、混合液吐出工程を実行するとき、液体(例えば、置換液)が、基板Wの上面W1上に存在した。すなわち、混合液吐出工程は、乾燥していない状態の基板Wに、混合液を吐出した。但し、これに限られない。例えば、混合液吐出工程を実行するとき、液体(例えば、置換液)は、基板Wの上面W1上に存在しなくてもよい。例えば、混合液吐出工程は、乾燥した状態の基板Wに混合液を吐出してもよい。
【0282】
(10)第1-第4実施形態では、混合液吐出工程は、混合液によって、基板Wの上面W1から置換液を除去した。但し、これに限られない。例えば、混合液吐出工程は、混合液によって、基板Wの上面W1を洗浄してもよい。例えば、混合液吐出工程は、混合液によって、基板Wの上面W1に付着する異物を除去してもよい。例えば、混合液吐出工程は、混合液によって、基板Wの上面W1に付着する異物を溶解してもよい。異物は、例えば、レジスト残渣である。
【0283】
(11)第1-第4実施形態では、固化膜形成工程は、乾燥ガスを基板Wの上面W1に供給しなかった。但し、これに限られない。固化膜形成工程は、乾燥ガスを基板Wの上面W1に供給してもよい。固化膜形成工程は、乾燥ガスを基板W上の混合液に供給してもよい。これにより、固化膜形成工程は、基板Wの上面W1上に固化膜を効率良く形成できる。
【0284】
(12)第1-第4実施形態では、基板処理装置1は、第1センサ39を備えた。但し、これに限られない。第1センサ39を省略してもよい。
【0285】
(13)第1-第4実施形態では、第1センサ39は第1槽21に設けられた。但し、これに限られない。例えば、第1センサ39は、配管31または循環配管32に設けられてもよい。例えば、第1センサ39は、第1槽21、配管31および循環配管32から離れた位置に設けられてもよい。例えば、第1センサ39は、第1槽21、配管31および循環配管32と連通していない位置に設けられてもよい。
【0286】
(14)第1-第4実施形態および上記(1)から(13)で説明した各変形実施形態については、さらに各構成を他の変形実施形態の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0287】
1 … 基板処理装置
10 … 制御部
11 … 処理ユニット
13 … 基板保持部
15 … ノズル
15a … 第1ノズル(吐出部)
15e … 第5ノズル(ガス供給部)
16 … 筐体
20 … 混合液調整ユニット
21 … 第1槽
23 … 脱水部
24 … 吸着部
25 … ハウジング
26 … 分離部
31 … 配管
32 … 循環配管
33 … ポンプ
39 … 第1センサ
41 … 第2槽
61 … 第3槽
A … 凹部
D … 混合液
E … 気体
F … 固化膜
G … 置換液
P … パターン
W … 基板
W1 … 基板の上面
W2 … 凸部
S1 … 脱水工程
S15 … 混合液吐出工程(吐出工程)
S16 … 固化膜形成工程
S17 … 昇華工程
図1
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