(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148454
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】粘性改良剤
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20220929BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220929BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20220929BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20220929BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20220929BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20220929BHJP
C07C 215/12 20060101ALN20220929BHJP
C07C 233/20 20060101ALN20220929BHJP
C07C 233/09 20060101ALN20220929BHJP
C07C 211/07 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
C09K3/00 103N
C08K3/013
C08L71/02
C08L67/00
C08K5/20
C08K5/17
C07C215/12
C07C233/20
C07C233/09 Z
C07C211/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050139
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】浦本 海
(72)【発明者】
【氏名】松村 陽平
【テーマコード(参考)】
4H006
4J002
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB80
4J002CF001
4J002CH011
4J002DA018
4J002DA058
4J002DA068
4J002DE048
4J002DE218
4J002DH058
4J002DJ008
4J002DK008
4J002EN006
4J002EN026
4J002EN066
4J002EP017
4J002FD018
4J002FD206
4J002FD207
4J002GT00
4J002HA01
(57)【要約】
【課題】チクソトロピー性に優れる粘性改良剤を提供することである。
【解決手段】有機流体及び微粒子を含んでなる組成物用の粘性改良剤であって、モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)を含むことを特徴とする粘性改良剤を用いる。モノアミンのカルボン酸アミド(A)は式(1)で表されるアミドが好ましい。
R
1は炭素数7~21の炭化水素基、R
2及びR
3は水素原子、炭素数1~6の炭化水素基又は炭素数1~6のヒドロキシアルキル基(R
2とR
3とがアルキレン基を形成してもよく、R
2及びR
3が共に水素原子となることはない)、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機流体及び微粒子を含んでなる組成物用の粘性改良剤であって、モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)を含むことを特徴とする粘性改良剤。
【請求項2】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)が式(1)で表されるアミドである請求項1に記載の粘性改良剤。
【化1】
R
1は炭素数7~21の炭化水素基、R
2及びR
3は水素原子、炭素数1~6の炭化水素基又は炭素数1~6のヒドロキシアルキル基(R
2とR
3とがアルキレン基を形成してもよく、R
2及びR
3が共に水素原子となることはない)、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子を表す。
【請求項3】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)の重量に基づいて、モノアミンのカルボン酸アミド(A)の含有量が25~99重量%、アミン(B)の含有量が1~75重量%である請求項1又は2に記載の粘性改良剤。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン化合物及び/又はポリエステルポリオール、微粒子及び請求項1~3のいずれかに記載の粘性改良剤を含んでなることを特徴とするポリウレタン製造用のプレミックス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「(A)赤リン3~50質量%、(B)沈降防止剤0.2~15質量%を含むポリウレタン用難燃剤組成物(沈降防止剤が、カーボンブラック、微粉シリカ、水添ヒマシ油ワックス、脂肪酸アミドワックスおよび有機クレーから選択される少なくとも一種)」が知られており(特許文献1の請求項1及び2)、この沈降防止剤が粘性改良剤として作用すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の沈降防止剤では、チクソトロピー性が不十分であるという問題がある。本発明の目的は、チクソトロピー性に優れる粘性改良剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の粘性改良剤の特徴は、有機流体及び微粒子を含んでなる組成物用の粘性改良剤であって、モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)を含む点を要旨とする。
【0006】
本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物の特徴は、ポリオキシアルキレン化合物及び/又はポリエステルポリオール、微粒子及び上記の粘性改良剤を含んでなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粘性改良剤は、有機流体及び微粒子を含んでなる組成物に対して優れたチクソトロピー性を付与できる。
【0008】
本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物は、上記の粘性改良剤を含んでいるので、チクソトロピー性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)は、モノアミンとカルボン酸とを公知のアミド化反応によって得られる化合物が含まれる。
【0010】
モノアミンとしては、炭素数2~6の脂肪族モノアミン、炭素数3~6の脂環式モノアミン及び炭素数6~8の芳香族モノアミン等が含まれる。
【0011】
炭素数2~6の脂肪族モノアミンとしては、ジメチルアミン、ジメタノールアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、エチルメチルアミン、N-エチルメタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、プロピルアミン、プロパノールアミン、イソプロピルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、メチルプロピルアミン、N-メチルプロパノールアミン、N-プロピルメタノールアミン、ブチルアミン、ブタノールアミン、イソブチルアミン、イソブタノールアミン、メチルブチルアミン、N-メチルブタノールアミン、N-ブチルメタノールアミン、エチルプロピルアミン、N-エチルプロパノールアミン、N-プロピルエタノールアミン、ペンチルアミン、ペンタノールアミン、イソペンチルアミン、イソペンタノールアミン、メチルペンチルアミン、N-メチルペンタノールアミン、N-ペンチルメタノールアミン、エチルブチルアミン、N-エチルブタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジプロパノールアミン、ヘキシルアミン及びヘキサノールアミン等が挙げられる。
【0012】
炭素数3~6の脂環式モノアミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、モルホリン、ピペリジン及びシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0013】
炭素数6~8の芳香族モノアミンとしては、アニリン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン及びベンジルアミン等が挙げられる。
【0014】
カルボン酸としては特に制限はないが、モノカルボン酸及び2~4価のポリカルボン酸が含まれる。
【0015】
モノカルボン酸としては、炭素数8~22の飽和又は不飽和の脂肪酸が使用でき、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸及びリシノール酸等が挙げられる。また、これら以外に天然油脂脂肪酸も使用でき、ヤシ油脂肪酸、落花生油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、トール油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、チクソトロピー性の観点から、オレイン酸及びヤシ油脂肪酸が好ましい。
【0016】
ポリカルボン酸としては、2価のカルボン酸{炭素数4~38の飽和又は不飽和のジカルボン酸:たとえば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びダイマー酸(炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化した二塩基酸の混合物、以下同じ。)};3価のカルボン酸{炭素数6~22の飽和又は不飽和のトリカルボン酸:たとえば、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、アコニット酸、トリメシン酸、トリメリット酸及びアガリン酸};4価のカルボン酸{炭素数6~10の飽和又は不飽和のテトラカルボン酸:たとえば、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸及びピロメリト酸}等が挙げられる。
【0017】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)としては、式(1)で表されるアミドが好ましく例示できる。
【0018】
【0019】
R1は炭素数7~21の炭化水素基、R2及びR3は水素原子、炭素数1~6の炭化水素基又は炭素数1~6のヒドロキシアルキル基(R2とR3とがアルキレン基を形成してもよく、R2及びR3が共に水素原子となることはない)、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子を表す。
【0020】
炭素数7~21の炭化水素基(R1)としては、ヘプチル、ヘプテニル、オクチル、オクテニル、ノニル、ノネニル、デシル、デセニル、ウンデシル、ウンデセニル、ドデシル、ドデセニル、テトラデシル、テトラデセニル、ペンタデシル、ペンタデセニル、ヘキサデシル、ヘキサデセニル、ヘプタデシル、ヘプタデセニル、ヒドロキシヘプタデセニル、ヘプタデカジエニル、ヘプタデカトリエニル、オクタデシル、オクタデセニル、ノナデシル、ノナデセニル、ノナデカジエニル、ノナデカトリエニル、ノナデカテトラエニル、イコシル、イコセニル、ヘンイコシル及びヘンイコセニル等が挙げられる。
【0021】
R2及びR3のうち、炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル及びフェニル等が挙げられる。
【0022】
また、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシイソブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシイソペンチル、及びヒドロキシヘキシル等が挙げられる。
【0023】
R2とR3とがアルキレン基を形成する場合、アルキレン基としては、ペンチル及び3-オキサペンチル(「-N(R2)R3」は以下の化学構造を形成する)等が挙げられる。
【0024】
【0025】
R2及びR3のうち、チクソトロピー性の観点から、水素原子、炭素数3~6の炭化水素基及び炭素数2~4のヒドロキシアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基及びヘキシル基である。R2及びR3は同じでも異なってもよい。
【0026】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)は公知の方法によって容易に得ることができ、たとえば、モノアミンとカルボン酸とを加熱脱水(たとえば、減圧下又は常圧下で60~250℃)してアミド化する方法や、モノアミンとカルボン酸ハライド又はカルボン酸エステルとを反応させて脱ハロゲン化水素又は脱アルコールする方法によって得られる。また、モノアミン又はアンモニアとカルボン酸とを加熱脱水してアミド化した後、炭素数2~4のアルキレンオキシドを反応させてアルカノールアミンのカルボン酸アミドとしてもよい。なお、アルカノールアミンとカルボン酸とを反応触媒を用いたり100℃を越える温度で加熱脱水する場合、アミド及びエステルが生成するが、無触媒下及び/又は100℃以下で加熱脱水するか、加熱脱水後100℃以下で熱処理することにより大部分のエステルがアミドに変換される。
【0027】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)は、精製して単一成分としてもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で未反応物や副生物を含んでいてもよい。
【0028】
アミン(B)としては、上記のモノアミン(第1級アミン、第2級アミン)の他に、第3級アルカノールアミン、(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレンの炭素数2~3)及びこのN-置換体、アルカンポリアミン並びに、アレーンポリアミンが含まれる。なお、アミン(B)にはポリウレタン製造用に使用される第三級アミン等を含まない。
【0029】
第3級アルカノールアミンとしては、炭素数4~6のヒドロキシアルキルアミンが含まれ、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0030】
(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレンの炭素数2~3)としては、アルキレン基s個(sは少なくとも1)に対して(s+1)個の窒素原子{アミノ基(-NH2)及び/又はアザ基(-NH-)に由来する窒素原子}をもつポリアミンが含まれ、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びプロピレンジアミン等が挙げられる。
【0031】
(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレンの炭素数2~3)のN-置換体としては、(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレンの炭素数2~3)の窒素に結合した水素原子のうち一部の水素原子を炭化水素基に置換した変性体が含まれ、N-メチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N’,N’’-トリメチルジエチレントリアミン、N,N’,N’’,N’’’-テトラメチルトリエチレンテトラミン及びN,N’-ジメチルプロピレンジアミン等が挙げられる。
【0032】
アレーンポリアミンとしては、炭素数6~12の芳香族ポリアミンが含まれ、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノナフタレン及びベンゼントリアミン等が挙げられる。
【0033】
アルカンポリアミンとしては、炭素数4~8の脂肪族ポリアミンが含まれ、ヘキサンジアミン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン及びオクタンジアミン等が挙げられる。
【0034】
これらのうち、モノアミン(第1級アミン、第2級アミン)、第3級アルカノールアミン及び(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレンの炭素数2~3)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族モノアミン(第1級又は第2級)、第3級アルカノールアミン及び(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレンの炭素数2~3)が好ましく、特に好ましくは(ポリ)エチレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ヘキシルアミン及びトリエタノールアミンである。
【0035】
モノアミンのカルボン酸アミド(A)の含有量(重量%)は、モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)の重量に基づいて、25~99が好ましく、さらに好ましくは50~90である。また、アミン(B)の含有量(重量%)は、モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)の重量に基づいて、1~75が好ましく、さらに好ましくは10~50である。この範囲であると、チクソトロピー性がさらに良好となる。
【0036】
本発明の粘性改良剤は、モノアミンのカルボン酸アミド(A)及びアミン(B)を均一混合して調製できる。なお、アミン(B)が第1級又は第2級のモノアミンの場合、第1級又は第2級のモノアミンを過剰に使用してモノアミンのカルボン酸アミド(A)を調製して未反応アミンをそのまま含有させてもよい。
【0037】
本発明の粘性改良剤を適用できる有機流体は特に制限なく、流動性のある有機物、すなわち非水流体が含まれ、特にポリオキシアルキレン化合物及び/又はポリエステルポリオール等に効果的である。有機流体として、ポリオキシアルキレン化合物及び/又はポリエステルポリオール以外に、有機溶媒(アミド、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素及び脂肪族炭化水素等)等にも適用できる。
【0038】
ポリオキシアルキレン化合物としては、炭素数2~4のオキシアルキレンの繰り返し単位を含む化合物が含まれ、モノアルコール、モノカルボン酸又はモノアミンのアルキレンオキシド(炭素数2~4)付加体、2~6価のポリオールのアルキレンオキシド(炭素数2~4)付加体、これらのアルキレンオキシド付加体と脂肪酸とのエステル化物、加水分解性シリル基含有アルキレンオキシド付加体(特開昭52-73998公報等)及びこれらのアルキレンオキシド付加体とイソシアネートとの反応体(ウレタンプレポリマー、すなわち、イソシアネートオリゴマー)等が挙げられる。
【0039】
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸とジオールとの反応体(少なくとも2個の水酸基を持つポリエステルであって、ジオールの一部をトリオールに変更したものでもよい)等が挙げられる。
【0040】
本発明の粘性改良剤を適用できる微粒子は特に制限はなく、特に炭素微粒子(カーボンブラック等の微粒子)、金属炭酸塩微粒子(炭酸カルシウム等の微粒子)及びリン化合物微粒子(赤リン又はポリリン酸アンモニウム等の微粒子)に効果的である。また、これらの他に、金属水酸化物微粒子(水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム等の微粒子)、金属酸化物微粒子(酸化チタン又は酸化アルミニウム等の微粒子)、金属硫酸塩微粒子(硫酸カルシウム、硫酸バリウム又は硫酸セリウム等の微粒子)、金属ケイ酸塩微粒子(ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム又はケイ酸マグネシウム等の微粒子)、金属微粒子(金、ロジウム、パラジウム又は白金等の微粒子)、窒化物微粒子(メラミン、ポリリン酸メラミン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素又は窒化ケイ素等の微粒子)及びこれらを含む複合体微粒子(セピオライト、ゼオライト、コージェライト、ベーマイト、イモゴライト、セリサイト、合金、珪藻土、ハイドロタルサイト、クレー、タルク、マイカ又はガラス等の微粒子)等にも効果的である。
【0041】
本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物は、ポリオキシアルキレン化合物及び/又はポリエステル、微粒子及び上記の粘性改良剤を含んでいれば、これらの他に、ポリウレタン用として用いられる添加剤(整泡剤、劣化防止剤、可塑剤、硬化剤及び発泡剤等)等を含んでもよい。
【0042】
整泡剤としては、ジメチルシロキサン整泡剤及びポリエーテル変性ジメチルシロキサン整泡剤等が挙げられる。劣化防止剤としては、トリアゾール劣化防止剤及びベンゾフェノン劣化防止剤等が挙げられる。可塑剤としては、フタル酸エステル及びアジピン酸エステル等が挙げられる。硬化剤としては、第三級アミン(アルカノールアミンを含まない)、錫化合物、ビスマス化合物及びアセチルアセトン金属塩等が挙げられる。発泡剤としては、水、ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等が挙げられる。
【0043】
本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物は、イソシアネートと混合した後、硬化させて、ポリウレタンを調製できる。
【0044】
イソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性体等が含まれる。
【0045】
本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物において、粘性調整剤の含有量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物、ポリエステル及び難燃剤の重量に基づいて、0.01~10が好ましく、さらに好ましくは0.1~9、特に好ましくは0.2~8である。
【実施例0046】
以下、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0047】
<実施例1>
ジエタノールアミン1モル部とヤシ油脂肪酸1モル部とを100℃で脱水反応させて、モノアミンのカルボン酸アミド(A1)を調製した。なお、液体クロマトグラフィー分析及び1H-NMRスペクトル分析の結果(以下同じである。)、このアミド(A1)はジエタノールアミンのヤシ油脂肪酸アミドが主成分(95%)であった。
【0048】
モノアミンのカルボン酸アミド(A1)75部及びアミン(B1;ジエタノールアミン、東京化成工業株式会社)25部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(1)を得た。
【0049】
<実施例2>
ジエタノールアミン1モル部とオレイン酸1モル部とを100℃で脱水反応させて、モノアミンのカルボン酸アミド(A2)を調製した。なお、このアミド(A2)はジエタノールアミンのオレイン酸アミドが主成分(95%)であった。
【0050】
モノアミンのカルボン酸アミド(A2)90部及びアミン(B1)10部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(2)を得た。
【0051】
<実施例3>
モノエタノールアミン1モル部とオレイン酸1モル部とを100℃で脱水反応させて、モノアミンのカルボン酸アミド(A3)を調製した。なお、このアミド(A3)はモノエタノールアミンのオレイン酸アミドが主成分(97%)であった。
【0052】
モノアミンのカルボン酸アミド(A3)93部及びアミン(B2;2-アミノエタノール、東京化成工業株式会社)10部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(3)を得た。
【0053】
<実施例4>
イソプロパノールアミン1モル部とオレイン酸1モル部とを100℃で脱水反応させて、モノアミンのカルボン酸アミド(A4)を調製した。なお、このアミド(A4)はイソプロパノールアミンのオレイン酸アミドが主成分(98%)であった。
【0054】
モノアミンのカルボン酸アミド(A4)51部及びアミン(B3;DL-1-アミノ-1-プロパノール、東京化成工業株式会社)50部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(4)を得た。
【0055】
<実施例5>
ヘキシルアミン1モル部とオレイン酸1モル部とを脱水反応させて、モノアミンのカルボン酸アミド(A5)を調製した。なお、このアミド(A5)はヘキシルアミンのオレイン酸アミドが主成分(100%)であった。
【0056】
モノアミンのカルボン酸アミド(A5)75部及びアミン(B4;ヘキシルアミン、東京化成工業株式会社)25部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(5)を得た。
【0057】
<実施例6>
モノアミンのカルボン酸アミド(A1)75部及びアミン(B5;ジエチレントリアミン、東京化成工業株式会社)25部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(6)を得た。
【0058】
<実施例7>
モノアミンのカルボン酸アミド(A1)75部及びアミン(B6;Triethanolamine、東京化成工業株式会社)25部を均一混合して、本発明の粘性改良剤(7)を得た。
【0059】
<比較例1>
特許文献1の実施例で使用した『沈降防止剤J:脂肪酸アミドワックス,楠本化成(株)製「ディスパロン A603-20X」,有効成分20%』と同等品「脂肪酸アミドワックス(アルフローH-50S、日油株式会社、「アルフロー」は同社の登録商標である。)20部及びキシレン(1級、関東化学株式会社)80部を均一混合した溶液』を比較用の粘性改良剤(H1)とした。
【0060】
<評価1>
有機流体(1;p-フタル酸ポリエステルポリオール、川崎化成工業株式会社、マキシモールRFK-505、「マキシモール」は同社の登録商標である。)40.1部、微粒子(1;ポリリン酸アンモニウム難燃剤、クラリアント プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング、Exolite AP 422、「Exolite」は同社の登録商標である。)26.7部、評価試料{粘性改良剤(1)~(7)、比較用の粘性改良剤(H1)のいずれか}1部、液状難燃剤(トリス(クロロプロピル)ホスフェート難燃剤、大八化学工業株式会社、TMCPP)16部、発泡剤(1;Honeywell International Inc.、Solstice LBA、「SOLSTICE」は同社の登録商標である。)11.4部、シリコーン整泡剤(ダウ・東レ株式会社、SH-193)0.9部、水1.1部、硬化触媒(1;N―メチルジシクロヘキシルアミン、エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコ―ポレ―テツド、POLYCAT 12、「POLYCAT」は同社の登録商標である。)1.3部及び硬化触媒(2;1,2-ジメチルイミダゾール、東ソー株式会社、TOYOCAT-DM-70、「TOYOCAT」は同社の登録商標である。)1.3部を均一混合して、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(1-1)~(1-7)及び(1-H1)を得た。
【0061】
<評価2>
有機流体(1)40.1部、微粒子(1)20部、微粒子(2;赤リン、燐化学工業株式会社、ノーバレッド 120UFA、「ノーバレッド」は同社の登録商標である。)6.7部、評価試料{粘性改良剤(1)、(3)、(6)、比較用の粘性改良剤(H1)のいずれか}1部、液状難燃剤16部、発泡剤(1)11.4部、シリコーン整泡剤0.9部、水1.1部、硬化触媒(1)1.3部及び硬化触媒(2)1.3部を均一混合して、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(2-1)、(2-3)、(2-6)及び(2-H1)を得た。
【0062】
<評価3>
有機流体(2;ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、三洋化成工業株式会社、サンニックスGP-600、「サンニックス」は同社の登録商標である。)60部、有機流体(3;ポリオキシプロピレングリコール、三洋工業株式会社、サンニックスPP-400)40部、微粒子(1)20部、微粒子(2)6.7部、評価試料{粘性改良剤(1)、(3)、(6)、比較用の粘性改良剤(H1)のいずれか}1部、液状難燃剤16部、発泡剤(2:シクロペンタン、日本ゼオン株式会社、ゼオンソルブHP、「ゼオンソルブ」は同社の登録商標である。)15.7部、シリコーン整泡剤2部、水2.7部、硬化触媒(1)1.3部及び硬化触媒(2)1.3部を均一混合して、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(3-1)、(3-3)、(3-6)及び(3-H1)を得た。
【0063】
評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(1-1)~(1-7)、(1-H1)、(2-1)、(2-3)、(2-6)、(2-H1)、(3-1)、(3-3)、(3-6)及び(3-H1)について、粘弾性測定装置(回転型レオメーター、Physica MCR301、Anton Paar社)を用いて、剪断速度1s-1での粘度粘度(η1;15℃、Pa・s)及び100s-1での粘度(η2;15℃、Pa・s)をそれぞれ、測定し、次式からチクソトロピーインデックス(TI)を算出して、下表に示した。
【0064】
(TI)=(η1)/(η2)
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
本発明の粘性改良剤を用いると、比較用の粘性改良剤を用いた場合に比べて、チクソトロピーインデックス(TI)が著しく大きく、チクソトロピー性に極めて優れていた。
そして、本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物はチクソトロピー性に極めて優れているので、微粒子が沈降しにくく、長期保管しても均一状態の維持が期待できる。
【0069】
<評価4>
有機流体(4;重量平均分子量12,000のポリプロピレングリコール)27.8部、有機流体(5;重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール)18.5部、微粒子(4;重質炭酸カルシウム、竹原化学工業株式会社、SL-300)39.3部、微粒子(5;表面処理合成炭酸カルシウム、白石カルシウム株式会社、白艶華CCR、「白艶華」は同社の登録商標である。)13.9部及び評価試料{粘性改良剤(1)~(7)、比較用の粘性改良剤(H1)}1.0部を均一混合し、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(4-1)~(4-7)及び(4-H1)を得た。
【0070】
<評価5>
有機流体(4)27.8部、有機流体(5)18.5部、微粒子(6;カーボンブラック、三菱化学株式会社、MA100)53.2部及び評価試料{粘性改良剤(1)、比較用の粘性改良剤(H1)}1部を均一混合し、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(5-1)及び(5-H1)を得た。
【0071】
評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(4-1)~(4-7)、(4-H1)、(5-1)及び(5-H1)について、粘弾性測定装置(回転型レオメーター、Physica MCR301、Anton Paar社)を用いて、剪断速度1s-1での粘度粘度(η1;25℃、Pa・s)及び100s-1での粘度(η2;25℃、Pa・s)をそれぞれ、測定し、次式からチクソトロピーインデックス(TI)を算出して、下表に示した。
【0072】
(TI)=(η1)/(η2)
【0073】
【0074】
【0075】
本発明の粘性改良剤を用いると、比較用の粘性改良剤を用いた場合に比べて、チクソトロピーインデックス(TI)が著しく大きく、チクソトロピー性に極めて優れていた。
そして、本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物はチクソトロピー性に極めて優れているので、微粒子が沈降しにくく、長期保管しても均一状態の維持が期待できる。さらに、本発明のポリウレタン製造用のプレミックス組成物を垂直面や傾斜面に塗布しても垂れにくいと予想される。