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特開2022-148494観察位置調節器具及び観察位置調節方法
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  • 特開-観察位置調節器具及び観察位置調節方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148494
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】観察位置調節器具及び観察位置調節方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20220929BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G02B21/00
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050204
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】内田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AA14
2H052AB01
2H052AB10
2H052AC05
2H052AC33
2H052AF14
(57)【要約】
【課題】植物におこる病害や虫害の適切な観察を可能とする観察位置調節器具及び観察位置調節方法を提供する。
【解決手段】可搬型の顕微鏡1により葉2を観察する際に用いられる観察位置調節器具10であって、葉2の一方側面に配置され、葉2に向けて光を照射可能な光源11と、光の照射方向において光源11からの光を遮光する位置に備えられた遮光板12とを備え、遮光板12には、光源11から照射された光を遮光することなく、葉2の一方側面における所定の照射範囲に照射可能な透光部15が備えられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の顕微鏡により葉を観察する際に用いられる観察位置調節器具であって、
前記葉の一方側面に配置され、前記葉に向けて光を照射可能な光源と、
光の照射方向において前記光源からの光を遮光する位置に備えられた遮光板とを備え、
前記遮光板には、前記光源から照射された光を遮光することなく、前記葉の一方側面における所定の照射範囲に照射可能な透光部が備えられている観察位置調節器具。
【請求項2】
前記光源において前記透光部の中心に対応する位置に、前記葉の一方側面における所定の照射範囲に照射される光を遮光する遮光部が備えられている請求項1に記載の観察位置調節器具。
【請求項3】
前記光源はLEDライトである請求項1又は2に記載の観察位置調節器具。
【請求項4】
前記光源及び前記遮光板は、共通のハウジングに設置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の観察位置調節器具。
【請求項5】
顕微鏡及び請求項1から4のいずれか一項に記載の観察位置調節器具を用いて葉を観察する観察位置調節方法であって、
光源から照射された光が、前記葉の一方側面における所定の照射範囲に照射されるように、前記観察位置調節器具を前記葉に対して相対的に移動させる照射位置調節工程と、
前記顕微鏡の視野に前記葉の他方側面に透過した光の照射範囲が収まるように前記顕微鏡を位置させる観察位置調節工程とを有する観察位置調節方法。
【請求項6】
前記顕微鏡は、鏡筒と、前記鏡筒の一方に備えられた接眼レンズと、前記鏡筒の他方に備えられた対物レンズと、照明部と、当該顕微鏡の視野範囲を囲むよう設けられた筒状ガイドとを備えており、
前記観察位置調節工程は、前記葉の他方側面に透過した前記光の照射範囲と、前記筒状ガイドとを相対的に位置合わせすることにより行われる請求項5に記載の観察位置調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の顕微鏡により葉を観察する際に用いられる観察位置調節器具及び当該観察位置調節器具を用いて葉を観察する観察位置調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物は病害や虫害により生産量の25%程度の被害を受けている。このような病害や虫害による植物の被害軽減のためには農薬が適切に使用される必要がある。すなわち、使用する農薬を適切に選ぶためには、病害や虫害が正確に観察され判別される必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、カメラを用いて異変が起きた野菜の写真を撮影し、得られた画像データを予め保有している病害の画像データベースと比較し、異変の原因となった病害を判別する方法が開示されている。この方法では、色調や1つ以上の病害の特徴を用いて、病害を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-111078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カメラを用いた判別においては、撮影環境の外乱や植物の生育の過程で撮影される画像は色調が変化しやすく、判別結果が必ずしも正確でなかった。
【0006】
外乱の要因や色調の変化を低減して観察する方法として、倍率が200倍程度の可搬型の顕微鏡を用いる方法もある。しかし、このような顕微鏡は視野が3mm程度と狭く、視野に微小なカビや薄いカビを捉えることが困難である。
【0007】
本発明は、植物におこる病害や虫害の適切な観察を可能とする観察位置調節器具及び観察位置調節方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するための、本発明に係る観察位置調節器具の特徴構成は、可搬型の顕微鏡により葉を観察する際に用いられる観察位置調節器具であって、前記葉の一方側面に配置され、前記葉に向けて光を照射可能な光源と、光の照射方向において前記光源からの光を遮光する位置に備えられた遮光板とを備え、前記遮光板には、前記光源から照射された光を遮光することなく、前記葉の一方側面における所定の照射範囲に照射可能な透光部が備えられている点にある。
【0009】
上述の構成によると、観察位置調節器具の光源から照射された光は遮光板に備えられている透光部を介して葉の一方側面に照射される。この光は葉を透過して、葉の一方側面の裏面である他方側面からも視認できる。所定の照射範囲、すなわち葉の他方側面に透過する光の照射範囲に含まれるように、葉のうち顕微鏡により観察したい部分である観察対象部を位置させておくと、葉の他方側面に透過した光の照射範囲が視野に収まるように顕微鏡を配置するだけで、葉の観察対象部を容易に視野に入れることができる。これにより当該観察対象部を容易に観察することができる。
【0010】
可搬型の顕微鏡を用いて葉に生じた異変を観察する構成であるため、従来のようなカメラを用いて葉に生じた異変を撮影する場合に比べて、より至近距離から葉に生じた異変を確認することができる。カメラよりも至近距離から葉を観察することができるため、観察環境の外乱の影響が低減できる。したがって、病害や害虫の判別精度を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る観察位置調節器具の更なる特徴構成は、前記光源において前記透光部の中心に対応する位置に、前記葉の一方側面における所定の照射範囲に照射される光を遮光する遮光部が備えられている点にある。
【0012】
光源から照射された光は遮光部において遮光されるため、葉の一方側面には環状の光が照射され、葉の他方側面には環状の光が透過することとなる。当該葉の他方側面に透過した光のうち、遮光部によって遮光されている部分、つまり環状の光の中心に、葉の観察対象部が位置するように観察位置調節器具を位置させるとともに、顕微鏡の視野に当該遮光部によって遮光されている部分が収まるように顕微鏡を位置させるだけで、観察対象部を容易に視野に入れることができる。これにより当該観察対象部を光源からの光の影響を受けない状態で観察することができる。
【0013】
本発明に係る観察位置調節器具の更なる特徴構成は、前記光源はLEDライトである点にある。
【0014】
光源がLEDライトであることから発熱が少なく、葉の観察時に、葉に光源の熱による影響を与える虞がない。
【0015】
本発明に係る観察位置調節器具の更なる特徴構成は、前記光源及び前記遮光板は、共通のハウジングに設置されている点にある。
【0016】
光源及び透光部が、共通のハウジングに設置されていることから取扱性に優れる。
【0017】
上述の目的を達成するための、本発明に係る観察位置調方法の特徴構成は、顕微鏡及び上述のいずれかの特徴構成を備えた観察位置調節器具を用いて葉を観察する観察位置調節方法であって、光源から照射された光が、前記葉の一方側面における所定の照射範囲に照射されるように、前記観察位置調節器具を前記葉に対して相対的に移動させる照射位置調節工程と、前記顕微鏡の視野に前記葉の他方側面に透過した光の照射範囲が収まるように前記顕微鏡を位置させる観察位置調節工程とを有する点にある。
【0018】
上述の構成によると、観察位置調節器具の光源から照射された光は遮光板に備えられている透光部を介して葉の一方側面に照射される。この光は葉を透過して、葉の一方側面の裏面である他方側面からも視認できる。所定の照射範囲、すなわち葉の他方側面に透過する光の照射範囲に含まれるように、葉のうち顕微鏡により観察したい部分である観察対象部を位置させておくと、葉の他方側面に透過した光の照射範囲が視野に収まるように顕微鏡を配置するだけで、葉の観察対象部を容易に視野に入れることができる。これにより当該観察対象部を容易に観察することができる。
【0019】
本発明に係る観察位置調節方法の更なる特徴構成は、前記顕微鏡は、鏡筒と、前記鏡筒の一方に備えられた接眼レンズと、前記鏡筒の他方に備えられた対物レンズと、照明部と、当該顕微鏡の視野範囲を囲むよう設けられた筒状ガイドとを備えており、前記観察位置調節工程は、前記葉の他方側面に透過した前記光の照射範囲と、前記筒状ガイドとを相対的に位置合わせすることにより行われる点にある。
【0020】
観察位置調節工程は、葉の他方側面に透過した光の照射範囲と筒状ガイドとの相対的な位置が合うように、当該筒状ガイドを葉に当接させるという簡単な作業により可能であるため、観察作業において熟練を要しない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】観察位置調節器具の概略図である。
図2】観察位置調節器具によって葉に光を照射したときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る観察位置調節器具及び観察位置調節方法について説明する。
【0023】
図1には、可搬型の顕微鏡1と、当該顕微鏡1の観察対象である葉2と、本発明に係る観察位置調節器具10が示されている。
【0024】
顕微鏡1は、本実施形態においては光学顕微鏡から構成されている。顕微鏡1は、鏡筒4と、当該鏡筒の一方に備えられた接眼レンズ5と、当該鏡筒4の他方に備えられた対物レンズ6と、視野範囲を照らす照明部としてのLEDライト(図示せず)と、当該顕微鏡の視野範囲を囲むよう設けられた筒状ガイド7とを備えている。筒状ガイド7は、透明のプラスチック等の樹脂から構成された筒状体であって、当該筒状ガイド7を葉2の葉面に当接させることにより、対物レンズ6と葉2との距離が、当該顕微鏡1のピントの調節可能範囲に収まるように構成されている。
【0025】
葉2は観察対象部3を有する。当該観察対象部3は、葉2のうち病害や害虫により異変が発生している部分である。
【0026】
観察位置調節器具10は、光源11と、遮光板12と、当該光源11及び遮光板12が設置されるハウジング13とを備えている。
【0027】
光源11は、LEDライトから構成されており、葉2に向けて光を照射可能に構成されている。ただし、光源11において後述する透光部15の中心に対応する位置に、葉2の一方側面における所定の照射範囲に照射される光を遮光する遮光部14が備えられている。
【0028】
遮光部14の形状や寸法は、用いる顕微鏡1の視野の大きさに応じて定められる。例えば、顕微鏡1の視野がΦ2mm程度の大きさであるときは、遮光部14はΦ1mm程度の直径を有する。なお、透光部15の形状は円形に限らず、例えば矩形であってよい。
【0029】
遮光板12は、光の照射方向において光源11からの光を遮光する位置に備えられており、光源11からの光を遮光するように構成されている。遮光板12は、例えば黒色のポリ塩化ビニル等の樹脂から構成されている。図1において、遮光板12は光源11から離間した位置に設けられている。ただし、遮光板12は光源11の表面に接触する位置に設けられていてもよい。
【0030】
遮光板12には、光源11から照射された光を遮光することなく、葉2の一方側面における所定の照射範囲に照射可能な透光部15が備えられている。透光部15の形状や寸法は、用いる顕微鏡1の対物レンズ6の形状や寸法に応じて定められる。例えば、顕微鏡1の筒状ガイド7の直径がΦ25mmであるときは、透光部15はΦ25mm程度の直径を有する。透光部15は遮光板12に形成された開口から構成することができる。なお、当該開口に透光性を有する窓が配置されていてもよい。
【0031】
ハウジング13は、アクリル等の樹脂製の板状体を加工することにより形成されている。本実施形態においては、ハウジング13は、縦横高さが5cm×5cm×5cm程度の大きさである。なお、当該寸法は例示である、また、ハウジング13には、作業者が把持するためのグリップが備えられていてもよい。
【0032】
以上の構成により、光源11から照射された光は、遮光板12及び遮光部14によって遮光されるため、葉2に照射される光は環状となる。
【0033】
以下に、顕微鏡1と、以上のように構成された観察位置調節器具10を用いた観察位置調節方法について説明する。
【0034】
当該観察位置調節方法は、照射位置調節工程と、観察位置調節工程とを有する。
【0035】
照射位置調節工程においては、光源11から照射された光が、葉2の一方側面における所定の照射範囲に照射されるように、観察位置調節器具10を葉2に対して相対的に移動させる。これにより光は葉2を透過して、葉2の一方側面の裏面である他方側面からも視認できる。図2に示すように、所定の照射範囲、すなわち葉2の他方側面に透過する光の照射範囲に含まれるように、葉2の観察対象部3を位置させておくと、葉2の他方側面に透過した光の照射範囲が視野に収まるように顕微鏡1を配置するだけで、葉2の観察対象部3を容易に視野に入れることができる。これにより当該観察対象部を容易に観察することができる。
【0036】
なお、顕微鏡1を葉2の他方側面に配置する際には、葉2の他方側面に透過した光の照射範囲と、顕微鏡1の筒状ガイド7とを相対的に位置合わした状態で、当該筒状ガイド7を葉2に当接させることにより行う。観察位置調節工程は、葉2の他方側面に透過した光の照射範囲と、筒状ガイド7とを相対的に位置合わせするという簡単な作業により可能であるため、観察作業において熟練を要しない。
【0037】
上述した実施形態においては、観察位置調節器具10は、光源11に遮光部14が備えられていたが、この限りではない。光源11に遮光部14が備えられていなくてもよい。
【0038】
上述した実施形態においては、観察位置調節器具10は、光源11及び遮光板12が設置されるハウジング13を備えている場合について説明したが、これに限らない。例えば、観察位置調節器具10がハウジング13を備えず、当該観察位置調節器具10の光源11として、金属製の枠体の内部空間にLED及び回路基板等を備え、LEDからの光を拡散させた状態で透過可能な拡散板が当該枠板に取り付けられ、更に、当該拡散板に遮光板12や遮光部14が直接取り付けられた構成とすることができる。このような光源11は、例えば、縦横高さが20cm×16cm×5cm程度の大きさとしたものを用いることができる。なお、当該寸法は例示である。
【0039】
上述した実施形態においては、顕微鏡1は、光学顕微鏡から構成されている場合について説明したがこの限りではない。例えば、顕微鏡1は、撮影機能を有し、撮影した画像をスマートフォンやパーソナルコンピュータに送信可能なデジタル顕微鏡から構成されてもよい。
【0040】
このような顕微鏡1により撮影された画像データは、スマートフォンやパーソナルコンピュータにおいて予め蓄積されている画像解析のデータベースに基づいて、病害や害虫の判別がされる。なお、このような判別には、例えばVGG16を転移学習させたモデルが用いられる。
【0041】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 :顕微鏡
2 :葉
3 :観察対象部
4 :鏡筒
5 :接眼レンズ
6 :対物レンズ
7 :筒状ガイド
10 :観察位置調節器具
11 :光源
12 :遮光板
13 :ハウジング
14 :遮光部
15 :透光部
図1
図2