(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148497
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】運転支援制御装置、運転支援制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220929BHJP
A61B 5/12 20060101ALI20220929BHJP
A61B 5/18 20060101ALI20220929BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20220929BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G08G1/16 C
A61B5/12
A61B5/18
G08B21/24
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050208
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁科 裕司
【テーマコード(参考)】
4C038
5C086
5H181
【Fターム(参考)】
4C038AA04
4C038AB05
4C038VA17
4C038VA18
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA09
5C086FA02
5C086FA06
5H181AA01
5H181CC12
5H181FF04
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車両の運転者が健常者または聴覚障害者であっても、適正に運転を支援することで車両運転の安全性および快適性の向上を図る。
【解決手段】外部警告疑似音を出力する外部警告疑似音出力部と、出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する聴力判定部と、運転者に報知を行う報知部と、外部警告音を検出する外部警告音検出部と、聴力判定部が運転者の聴力の低下を判定し且つ外部警告音検出部が外部警告音を検出したときに報知部により外部警告音以外の報知を行う報知制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部警告疑似音を出力する外部警告疑似音出力部と、
出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する聴力判定部と、
運転者に報知を行う報知部と、
外部警告音を検出する外部警告音検出部と、
前記聴力判定部が運転者の聴力の低下を判定し且つ前記外部警告音検出部が外部警告音を検出したときに前記報知部により外部警告音以外の報知を行う報知制御部と、
を備える運転支援制御装置。
【請求項2】
前記外部警告疑似音出力部は、周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音を出力し、前記聴力判定部は、運転者が聞き取り可能な周波数帯域の外部警告疑似音があると判定したとき、前記報知制御部は、前記報知部により運転者が聞き取り可能な周波数帯域の音で報知を行う、
請求項1に記載の運転支援制御装置。
【請求項3】
前記報知制御部は、聴力の低下がない運転者に対して音声による案内を行う第1案内モードと、聴力の低下がある運転者に対して音声による案内と共に、音声以外の報知を行う第2案内モードとを選択可能である、
請求項1または請求項2に記載の運転支援制御装置。
【請求項4】
外部警告疑似音を出力するステップと、
出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定するステップと、
運転者の聴力の低下を判定し且つ外部警告音を検出したときに外部警告音以外の報知を行うステップと、
を含む運転支援制御方法。
【請求項5】
外部警告疑似音を出力するステップと、
出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定するステップと、
運転者の聴力の低下を判定し且つ外部警告音を検出したときに外部警告音以外の報知を行うステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援制御装置、運転支援制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
聴覚障害者が車両を運転するとき、聴覚障害者は、緊急車両のサイレン音を聞くことが困難である。そこで、聴覚障害者が車両を運転するとき、受信機がサイレン音を受信すると、バイブレータにより聴覚障害者である運転者に通報する装置がある。このような装置としては、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
聴覚障害者が自分で所有の車両を運転する場合、車両に上述した支援装置を装着しておけばよい。ところが、カーシェアリングなどにより利用される車両は、不特定多数の人が運転を行う。そのため、カーシェアリングした車両の全てに支援装置を装着すると、聴覚障害者以外の人が車両を運転する場合であっても、支援装置が作動してしまい、煩わしいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の運転者が健常者または聴覚障害者であっても、適正に運転を支援することで車両運転の安全性および快適性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の運転支援制御装置は、外部警告疑似音を出力する外部警告疑似音出力部と、出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する聴力判定部と、運転者に報知を行う報知部と、外部警告音を検出する外部警告音検出部と、前記聴力判定部が運転者の聴力の低下を判定し且つ前記外部警告音検出部が外部警告音を検出したときに前記報知部により外部警告音以外の報知を行う報知制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る運転支援制御方法は、外部警告疑似音を出力するステップと、出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定するステップと、運転者の聴力の低下を判定し且つ外部警告音を検出したときに外部警告音以外の報知を行うステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、外部警告疑似音を出力するステップと、出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定するステップと、運転者の聴力の低下を判定し且つ外部警告音を検出したときに外部警告音以外の報知を行うステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の運転者が健常者または聴覚障害者であっても、適正に運転を支援することで車両運転の安全性および快適性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る運転支援装置としてのナビゲーションシステムを表すブロック図である。
【
図2】
図2は、運転支援制御処理を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、運転支援制御処理の変形例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る運転支援制御装置、運転支援制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[ナビゲーションシステム]
図1は、本実施形態に係る運転支援装置としてのナビゲーションシステムを表すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例であるGPS(Global Positioning System)受信部11と、操作部12と、通信部13と、地図情報記憶部14と、マイク15と、スピーカ16と、表示部(報知部)17と、報知部18と、制御部(運転支援制御装置)20とを備える。ナビゲーションシステム1は、現在位置から目的地までの経路案内を行う。
【0014】
なお、以下では、ナビゲーションシステム1は、車両に搭載されているものとして説明するが、これに限定されない。例えば、ナビゲーションシステム1は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、コンピュータ(パーソナルコンピュータ)等で構成されてもよい。
【0015】
GPS受信部11は、GPS受信回路、GPS受信アンテナ等から構成されており、GPS信号を受信する。GPS受信部11は、受信したGPS信号を位置情報取得部21に出力する。
【0016】
操作部12は、制御部20に対する各種の操作を受付ける。操作部12は、ユーザから出発地、出発日時、目的地、経由地などを入力可能である。操作部12は、例えば、物理的なスイッチ、タッチパネルで構成されている。操作部12は、受付けた操作に応じた電気信号を操作情報取得部22に出力する。
【0017】
通信部13は、例えば、通信回路等によって構成されている。通信部13は、ネットワーク(例えば、インターネット)と無線で接続されている。通信部13は、ネットワークを介して、通信制御部23の制御に従って他の情報通信装置等との間で情報の送受信を行う。通信部13は、例えば、ユーザが所有するスマートフォン等との間で情報の送受信を行う。通信部13が通信を行う通信方式は任意の通信方式を適用可能である。通信部13は、通信制御部23との間で情報の送受信を行う。
【0018】
地図情報記憶部14は、各種の地図情報を記憶している。地図情報は、信号機の位置、休憩できるポイント等の各種の道路情報を含む道路地図データである。地図情報は、例えば、主要道路と、所謂抜け道や裏道との情報を含む。地図情報記憶部14は、ナビゲーションシステム1の構成に含まれず、通信部13を用いて外部のサーバから地図情報を取得可能としてもよい。地図情報記憶部14は、取得した地図情報を地図情報取得部24に出力する。
【0019】
マイク15は、例えば、車両の外部に配置されている。マイク15は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり、車両が動作している間は、外部の音を常時収録する。マイク15は、車両のアクセサリ電源がONである間、外部の音を収録する。マイク15は、収録した音データを音データ取得部25に出力する。ここで、音データとは、緊急車両や踏切警報器が発するサイレン音、警察官のホイッスル音などの外部警告音や車外の騒音などである。
【0020】
スピーカ16は、例えば、車両の内部に配置されている。スピーカ16は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり、車両が動作している間は、音を出力可能である。スピーカ16は、車両のアクセサリ電源がONである間、音を出力可能である。スピーカ16は、外部警告疑似音出力部31が出力した外部警告疑似音を出力する。
【0021】
表示部17は、各種の情報を表示する。表示部17は、例えば、制御部20の表示制御部27の制御に従って、各種の情報を表示する。表示部17は、例えば、現在位置から目的地までの経路案内の映像を表示する。表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または、有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含むディスプレイである。表示部17は、操作部12がタッチパネルで構成される場合には、操作部12と一体に設けられる。表示部17は、表示制御部27から表示内容が入力される。
【0022】
報知部18は、各種の情報を報知する。報知部18は、例えば、制御部20の報知制御部28の制御に従って、各種の情報を報知する。報知部18は、運転者に対して各種の情報を音声により報知する。また、報知部18は、運転者に聴力の低下があるとき、運転者に対して外部警告音が発生したことを報知する。このとき、報知部18は、外部警告音以外で外部警告音が発生したことを運転者へ報知する。具体的に、報知部18は、例えば、LEDランプ、ハンドルの振動付与、シートの振動付与などを用いて報知する。なお、報知部18の一部の機能を表示部17と兼用してもよい。報知部18は、報知制御部28から報知内容が入力される。
【0023】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)がRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部20は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0024】
制御部20は、位置情報取得部21と、操作情報取得部22と、通信制御部23と、地図情報取得部24と、音データ取得部25と、音データ解析部(外部警告音検出部)26と、表示制御部27と、報知制御部28とを備える。また、制御部20は、外部警告疑似音出力部31と、聴力判定部32と、経路設定部33と、経路案内部34とを備える。
【0025】
位置情報取得部21は、車両の現在の位置情報を取得する。位置情報取得部21は、例えば、GPS受信部11が受信したGPS信号に基づいて、車両の現在の位置情報を取得する。
【0026】
操作情報取得部22は、操作部12から各種の情報を受付ける。操作情報取得部22は、例えば、操作部12から出発地、出発日時、目的地、経由地などの情報を受付ける。
【0027】
通信制御部23は、通信部13を介した各種の通信を制御する。通信制御部23は、例えば、ユーザの所有するスマートフォン等との間の通信を制御する。ユーザの所有するスマートフォン等は、通信部13による通信先として、予め登録されている。
【0028】
地図情報取得部24は、地図情報記憶部14から地図情報を取得する。地図情報取得部24は、位置情報取得部21が取得した車両の現在位置と経由地や目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から経由地を経由した目的地までに関する地図情報を地図情報記憶部14から取得する。
【0029】
音データ取得部25は、車両の周囲にて収録した音データを取得する。より詳しくは、音データ取得部25は、マイク15が収録した音データを取得する。
【0030】
音データ解析部26は、音データ取得部25が取得した音データを解析する。音データ解析部26は、解析した音データを報知制御部28へ出力する。音データ解析部26は、外部警告音を検出する外部警告音検出部として機能する。より詳しくは、音データ解析部26は、取得した音データがサイレンなどの外部警告音であるか否かを判定する。音データ解析部26は、取得した音データが外部警告音であると判定したとき、外部警告音を取得したことを報知制御部28へ出力する。ここで、外部警告音は、緊急車両や踏切警報器が発するサイレン音、警察官のホイッスル音などである。
【0031】
表示制御部27は、各種の情報を表示部17に表示させる。表示制御部27は、例えば、出発地から経由地や目的地までの経路案内の映像を表示部17に表示させる。また、表示制御部27は、現在位置から経由地や目的地までの経路案内の映像を表示部17に表示させる。
【0032】
報知制御部28は、各種の情報を報知部18により報知させる。報知制御部28は、例えば、出発地から経由地や目的地までの経路案内の音声像を報知部18により報知させる。また、報知制御部28は、現在位置から経由地や目的地までの経路案内の音声を報知部18により報知させる。
【0033】
報知制御部28は、運転者が聴覚障害者であるとき、音データ解析部26から車外で外部警告音が発せられたことを受け付けると、報知部18を作動させる。より詳しくは、音データ解析部26は、音データ取得部25が取得した外部の音データが外部警告音であると判定したとき、報知制御部28は、報知部18を作動させる。報知部18は、聴覚障害者である運転者に対して、外部警告音が発生したことをLEDランプ、ハンドルの振動付与、シートの振動付与などにより知らせる。このとき、表示制御部27は、音データ解析部26から車外で外部警告音が発せられたことを受け付けると、表示部17を作動させる。表示制御部27は、表示部17に「緊急車両が接近しています」といった視覚的な表示を行わせる。
【0034】
報知制御部28は、通常案内モード(第1案内モード)と緊急案内モード(第2案内モード)とを選択して作動可能である。通常案内モードとは、運転者が聴力の低下のない健常者であるとき、運転者に対して音声による案内を行う。緊急案内モードとは、運転者が聴力の低下がある聴覚障害者であるとき、運転者に対して音声による案内を行うだけでなく、外部警告音以外の報知を行う。
【0035】
外部警告疑似音出力部31は、外部警告疑似音をスピーカ16から出力する。スピーカ16は、車両の内部に配置される。スピーカ16を報知部18と兼用してもよい。ここで、外部警告疑似音とは、外部警告音としてのサイレン音に類似した音である。外部警告疑似音出力部31は、例えば、運転者が車両の運転席に座ってエンジンを始動したときに、スピーカ16に外部警告疑似音の出力指令を出力し、スピーカ16を作動して運転者に外部警告疑似音を聞かせる。このとき、外部警告疑似音出力部31は、外部警告疑似音と共に騒音を出力する。騒音は、マイク15が収録して音データ取得部25が取得した車外の騒音であることが好ましいが、事前に作成した騒音であってもよい。すなわち、外部警告疑似音出力部31は、スピーカ16を用いて実際に外部警告音が発生した環境に近い状況で外部警告疑似音を再現する。
【0036】
また、外部警告疑似音出力部31は、外部警告疑似音をスピーカ16により出力させるとき、周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音を順に出力させる。外部警告疑似音出力部31は、例えば、運転者が車両の運転席に座ってエンジンを始動したときに、周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音をスピーカ16から出力させて運転者に聞かせる。
【0037】
聴力判定部32は、外部警告疑似音出力部31によりスピーカ16から出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する。具体的に、聴力判定部32は、運転者が外部警告疑似音を聞き取れたかどうかにより運転者の聴力の低下を判定する。聴力判定部32は、スピーカ16から外部警告疑似音を出力させたとき、表示制御部27により運転者が外部警告疑似音を聞き取れたかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。意思確認表示は、例えば、表示部17に表示された「外部警告疑似音が聞こえましたか?」「はい」「いいえ」の表示である。運転者は、「外部警告疑似音が聞こえましたか?」の表示を見て「はい」または「いいえ」の表示部をタッチする。
【0038】
聴力判定部32は、スピーカ16から外部警告疑似音の出力に対する運転者のタッチ操作「はい」または「いいえ」を受け付けて運転者の聴力を判定する。聴力判定部32は、運転者のタッチ操作「はい」を受け付けると、運転者に聴力の低下がなく、運転者が健常者であることを報知制御部28に出力する。ここで、報知制御部28は、通常案内モードを選択する。一方、聴力判定部32は、運転者のタッチ操作「いいえ」を受け付けると、運転者に聴力の低下があり、運転者が聴覚障害者であることを報知制御部28に出力する。ここで、報知制御部28は、緊急案内モードを選択する。
【0039】
また、聴力判定部32は、外部警告疑似音出力部31によりスピーカ16から出力された周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する。聴力判定部32は、スピーカ16から周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音を出力させたとき、表示制御部27により運転者が外部警告疑似音を聞き取れたかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。意思確認表示は、例えば、表示部17に表示された「外部警告疑似音が聞こえましたか?」「はい」「いいえ」の表示である。
【0040】
ここで、運転者は、「はい」の表示部をタッチすると、聴力判定部32は、表示制御部27により運転者がどの周波数帯域の外部警告疑似音を聞き取れたかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。意思確認表示は、例えば、表示部17に表示された「1番目の音が聞こえた」「2番目の音が聞こえた」などの表示である。ここで、運転者が「1番目の音が聞こえた」の表示部をタッチすると、聴力判定部32は、運転者が聞き取れた周波数帯域の音を報知制御部28に出力する。報知制御部28は、報知部18により運転者が聞こえやすい周波数帯域で経路案内などの報知を行う。
【0041】
経路設定部33は、出発地または現在位置から経由地および目的地までの車両が走行する経路を設定する。経路設定部33は、例えば、現在位置から目的地までの経路に関する地図情報を地図情報記憶部14から取得し、取得した地図情報に基づいて、現在位置から経由地および目的地までの経路を設定する。
【0042】
経路設定部33は、現在位置から経由地および目的地までの経路における渋滞に関する情報を取得する。経路設定部33は、例えば、現在位置から目的地までの経路が渋滞しているか否かを示す情報、渋滞の程度を示す情報等を、通信部13および通信制御部23を介して外部のサーバ等から取得する。
【0043】
経路設定部33は、例えば、現在位置から目的地までの間に経由地が設定されている場合には、区間ごとに異なる条件で経路を設定してもよい。具体的には、現在位置から目的地までの間に経由地が設定されている場合、経路設定部33は、現在位置から経由地までの区間と、経由地から目的地までの区間とでは、異なる条件で経路を設定してもよい。
【0044】
経路案内部34は、経路案内を行う。経路案内部34は、例えば、経路設定部33によって設定された現在位置から経由地および目的地までの経路を、表示制御部27によって表示部17に地図情報等を表示させたり、音声を用いて経路案内を行ったりする。
【0045】
[運転支援制御方法]
以下、具体的な運転支援制御方法について説明する。
図2は、運転支援制御処理を表すフローチャートである。
【0046】
図1および
図2に示すように、ステップS11にて、制御部20は、車両のエンジンが始動されたか否かを判定する。ここで、エンジンが始動されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、エンジンが始動されたと判定(Yes)されると、ステップS12にて、外部警告疑似音出力部31は、外部警告疑似音をスピーカ16から出力する。ステップS13にて、聴力判定部32は、外部警告疑似音出力部31によりスピーカ16から出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する。すなわち、聴力判定部32は、スピーカ16から外部警告疑似音を出力させたとき、表示制御部27により運転者が外部警告疑似音を聞き取れたかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。
【0047】
ステップS14にて、聴力判定部32は、表示部17の意思確認表示に対して、運転者がスピーカ16からの外部警告疑似音が聞こえたとの回答があったか否かを判定する。ここで、運転者から聞こえたとの回答があったとき、運転者が外部警告疑似音を聞き取れたと判定(Yes)し、ステップS15にて、運転者が健常者であることを報知制御部28に出力し、報知制御部28は、通常案内モードを選択する。そして、ステップS16にて、制御部20は、車両のエンジンが停止されたか否かを判定する。ここで、エンジンが停止されていないと判定(No)されると、報知制御部28は、通常案内モードでの案内を継続する。一方、エンジンが停止されたと判定(Yes)されると、通常案内モードでの案内を終了する。
【0048】
また、ステップS14にて、運転者から聞こえないとの回答があったとき、運転者が外部警告疑似音を聞き取れなかったと判定(No)し、ステップS17にて、運転者が聴覚障害者であることを報知制御部28に出力し、報知制御部28は、緊急案内モードを選択する。ステップS18にて、報知制御部28は、音データ解析部26から車外で外部警告音が発せられたか否かを判定する。ここで、外部警告音が発せられていないと判定されると、緊急案内モードを継続する。一方、外部警告音が発せられたと判定されると、ステップS19にて、報知制御部28は、外部警告音であったことを報知部18により報知する。すなわち、報知部18は、聴覚障害者である運転者に対して、外部警告音が発生したことをLEDランプ、ハンドルの振動付与、シートの振動付与などにより知らせる。また、表示制御部27は、聴覚障害者である運転者に対して、外部警告音が発生したことを表示部17に表示させる。
【0049】
ステップS20にて、報知制御部28は、報知部18や表示部17により外部警告音を発せられたことを知らせたとき、表示制御部27により運転者が外部警告音の発生を認識したかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。ステップS21にて、運転者は、表示部17のタッチパネルなどにより外部警告音の発生を確認したと回答する。そして、ステップS22にて、制御部20は、車両のエンジンが停止されたか否かを判定する。ここで、エンジンが停止されていないと判定(No)されると、報知制御部28は、緊急案内モードでの案内を継続する。一方、エンジンが停止されたと判定(Yes)されると、緊急案内モードでの案内を終了する。
【0050】
[運転支援制御方法の変形例]
また、運転支援制御方法の変形例について説明する。
図3は、運転支援制御処理の変形例を表すフローチャートである。
【0051】
図1および
図3に示すように、ステップS31にて、制御部20は、車両のエンジンが始動されたか否かを判定する。ここで、エンジンが始動されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、エンジンが始動されたと判定(Yes)されると、ステップS32にて、外部警告疑似音出力部31は、周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音を順にスピーカ16から出力する。ステップS33にて、聴力判定部32は、外部警告疑似音出力部31によりスピーカ16から出力された周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する。すなわち、聴力判定部32は、スピーカ16から周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音を出力させたとき、表示制御部27により運転者が周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音のいずれかを聞き取れたかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。
【0052】
ステップS34にて、聴力判定部32は、表示部17の意思確認表示に対して、運転者がスピーカ16からの外部警告疑似音が聞こえたとの回答があったか否かを判定する。ここで、運転者から聞こえたとの回答があったとき、運転者が外部警告疑似音を聞き取れたと判定(Yes)し、ステップS35にて、聴力判定部32は、運転者が周波数帯域の異なる全ての外部警告疑似音を聞き取れたかどうかを確認するための意思確認表示を表示部17に表示させる。ここで、運転者から全て聞こえたとの回答があったとき、運転者が周波数帯域の異なる全ての外部警告疑似音を聞き取れたと判定(Yes)し、ステップS36にて、運転者が健常者であることを報知制御部28に出力し、報知制御部28は、通常案内モードを選択する。
【0053】
一方、ステップS35にて、運転者から一部聞こえたとの回答があったとき、運転者が周波数帯域の異なる全ての外部警告疑似音のいずれかを聞き取れたと判定(No)し、ステップS38にて、報知制御部28は、経路案内などで使用する音声の周波数を運転者が聞こえやすい周波数帯域の音に変更する。そして、ステップS39にて、報知制御部28は、緊急案内モードを選択する。
【0054】
なお、ステップS37,S40,S41~S46の処理は、前述した実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0055】
[本実施形態の効果]
本実施形態の運転支援制御装置では、外部警告疑似音を出力する外部警告疑似音出力部31と、出力された外部警告疑似音により運転者の聴力を判定する聴力判定部32と、運転者に報知を行う報知部18と、外部警告音を検出する音データ解析部(外部警告音検出部)26と、聴力判定部32が運転者の聴力の低下を判定し且つ音データ解析部26が外部警告音を検出したときに報知部18により外部警告音以外の報知を行う報知制御部28とを備える。
【0056】
そのため、車両の運転前に出力された外部警告疑似音に対する運転者の反応により運転者の聴力を判定し、運転者の聴力が低下していると判定したとき、車外で外部警告音の発生を検出されると、外部警告音の発生を外部警告音以外の報知により運転者に知らせる。そのため、聴覚障害者である車両の運転者に対しても、外部警告音の発生を知らせることができ、適正に運転を支援することで車両運転の安全性および快適性の向上を図ることができる。
【0057】
本実施形態の運転支援制御装置では、外部警告疑似音出力部31は、周波数帯域の異なる複数の外部警告疑似音を出力し、聴力判定部32は、運転者が聞き取り可能な周波数帯域の外部警告疑似音があると判定したとき、報知制御部28は、報知部18により運転者が聞き取り可能な周波数帯域の音で報知を行う。そのため、報知部18は、運転者が聞き取り可能な周波数帯域の音で経路案内を行うこととなり、車両運転の安全性および快適性の向上を図ることができる。
【0058】
本実施形態の運転支援制御装置では、報知制御部28は、聴力の低下がない運転者に対して音声による案内を行う通常案内モードと、聴力の低下がある運転者に対して音声による案内と共に、音声以外の報知を行う緊急案内モードとを選択可能である。すなわち、緊急案内モードでは、音声による案内を行うだけでなく、外部警告音以外の報知を行う。そのため、車両の運転者が健常者または聴覚障害者であっても、適正に運転を支援することができる。
【0059】
これまで本発明に係る運転支援制御装置について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0060】
図示した運転支援制御装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0061】
運転支援制御装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0062】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0063】
また、蒸気の実施形態にて、運転支援制御装置をナビゲーションシステムに適用して説明したが、ドライブレコーダーに適用してもよく、また、単独の装置としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ナビゲーションシステム
11 GPS受信部
12 操作部
13 通信部
14 地図情報記憶部
15 マイク
16 スピーカ
17 表示部
18 報知部
20 制御部(運転支援制御装置)
21 位置情報取得部
22 操作情報取得部
23 通信制御部
24 地図情報取得部
25 音データ取得部
26 音データ解析部
27 表示制御部
28 報知制御部
31 外部警告疑似音出力部
32 聴力判定部
33 経路設定部
34 経路案内部