(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148503
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、生体情報取得システム及び生体情報取得方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20220929BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220929BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20220929BHJP
A61B 5/026 20060101ALI20220929BHJP
A61B 5/0275 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61B5/16 110
A61B5/02 310Z
A61B5/0245 100A
A61B5/026 120
A61B5/0275 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050214
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】大塚 利彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 高弘
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA10
4C017AA11
4C017AB03
4C017AC28
4C017BC21
4C017FF05
4C038PP03
4C038PS00
4C038VB13
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】映像から生体情報を簡便かつ精度良く取得できる情報処理装置、プログラム、生体情報取得システム及び生体情報取得方法を提供すること。
【解決手段】測定装置1は、ユーザの指5を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する制御部110を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理部を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記映像の指における爪の外側の領域であって前記爪とは異なる領域の映像に関する情報に基づいて前記生体情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記映像の指における爪の領域の映像に関する情報に基づいて前記生体情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの指を載置可能な載置部と、
ユーザの指が載置された前記載置部を覆うことができるカバーと、
前記載置部に載置されたユーザの指を撮像する撮像部と、を備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザの指の一部を圧迫する圧迫部を備え、
前記処理部は、
前記圧迫部による圧迫を行った状態で前記生体情報を取得する請求項1から4の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記圧迫部による圧迫を行っていない状態で撮像した映像に関する情報から前記生体情報を取得し、圧迫状態の前記生体情報と圧迫していない状態の前記生体情報に基づいて血流状態を判定する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの指を撮像可能な撮像部と、前記撮像部が撮像した指の映像に関する情報を外部に送信可能な第1通信部と、を有する測定装置と、
前記測定装置と通信可能な第2通信部と、前記第1通信部を介して前記第2通信部が受信した前記映像に関する情報に基づいてユーザの血流に関連する生体情報を取得する処理部と、を有する情報処理装置と、
を備えることを特徴とする生体情報取得システム。
【請求項8】
コンピュータに、
ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理機能を実行させるプログラム。
【請求項9】
情報処理装置が実行する生体情報取得方法であって、
ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理ステップを含む生体情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、生体情報取得システム及び生体情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体情報を収集する手法として、人の皮膚を撮像した映像の解析が行われている。映像の解析による生体情報の収集は、Webカメラやスマートフォンといった、撮像のためのデバイスが身近に存在していることや、映像を用いるため非接触であることから、日常的な健康管理への利用が期待されている。特許文献1では、対象者の映像信号を画像として取得し、画像に基づき輝度又は映像脈波を抽出し、それらの値に応じた色相を対象者の画像に重畳させ表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、解析用の映像を撮像する場合、ユーザ(対象者)は、撮像する撮像部に対して、身体の撮像対象部位を適切な位置に移動させる必要がある。特許文献1に記載されているような従来の構成では、ユーザは、撮像部に対する顔の位置を適切にするために体全体を移動させる必要がある。また、撮像位置が適切でなければ、解析結果にも影響を与えるおそれがあり、利便性及び測定精度の向上という観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、映像から生体情報を簡便かつ精度良く取得できる情報処理装置、プログラム、生体情報取得システム及び生体情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、映像から生体情報を簡便かつ精度良く取得できる情報処理装置、プログラム、生体情報取得システム及び生体情報取得方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生体情報取得システムの構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る撮像部の構成を示す構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る測定装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る測定装置の機能的構成のうち、生体情報取得処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の機能的構成のうち、生体情報取得処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】指の肌の領域に設定された測定領域を説明するための概略図である。
【
図8】測定領域内の画素の輝度値から脈波情報を取得することを説明する概略図である。
【
図9】脈波情報から生体情報を算出することを説明する概略図である。
【
図10】算出可能な生体情報と、生体情報に対応する判定閾値、心身状態推定結果とをまとめた表である。
【
図11】脈波情報から算出したローレンツプロットの一例を示すグラフである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る測定装置が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図13】本発明の第1の変形例に係る測定装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図14】本発明の第1の変形例に係る撮像部の構成を示す構成図である。
【
図15】本発明の第1の変形例に係る測定装置の機能的構成のうち、生体情報取得処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図16】カフの圧迫の有無による脈波測定結果の違いを説明する説明図である。
【
図17】本発明の第1の変形例に係る測定装置が実行する処理の流れのうち一部分を説明するフローチャートである。
【
図18】本発明の第2の変形例に係る測定装置が実行する処理の流れのうち一部分を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[実施形態の概略]
<生体情報取得システム>
図1は、本実施形態に係る測定装置1が含まれる生体情報取得システムSの全体構成を示す構成図である。
図1に示すように、生体情報取得システムSは、複数の測定装置1、測定装置1毎に対応したタブレット端末であるユーザ端末2、ネットワーク3及びサーバ群4を含む。
【0011】
測定装置1は、ユーザの指を撮像した映像から血流に関連する生体情報を取得可能な測定装置である。測定装置1の台数には、特に制限はなく、n台(nは、任意の自然数)の測定装置1が生体情報取得システムSに含まれていても良い。なお、以下の説明において、n台の測定装置1を特に区別することなく説明する場合には、符号の末尾のアルファベットを省略し、単に「測定装置1」と称する。
【0012】
本実施形態の測定装置1は、
図2に示すように、ユーザの指5を置くための指置台32bと、指の映像を撮像する撮像部16と、指置台32bと撮像部16を覆う筐体32aと、を備える。測定装置1は、指置台32bに置かれた指5を撮像部16によって撮像して取得した指の映像からユーザの血流変動を測定する。
【0013】
また、測定装置1は、有線通信又は無線通信によって電気的にユーザ端末2と接続され、各種の情報の送受信をしている。また、ユーザ端末2は、ネットワーク3を介して、サーバ群4に含まれる各サーバと、相互に通信可能に接続されている。
【0014】
ネットワーク3は、例えば、インターネットや、LAN(Local Area Network)や、携帯電話網の何れか又はこれらを組み合わせたネットワークにより実現される。
【0015】
サーバ群4には、測定装置1と協働する各種のサーバが含まれる。例えば、サーバ群4には、測定装置1のユーザを認証するための認証サーバが含まれる。また、例えば、サーバ群4には、ユーザのプロファイル情報を格納する測定データ格納サーバが含まれる。ユーザのプロファイル情報には、ユーザに関する設定情報やユーザによる測定装置1の利用履歴等の情報が含まれる。
【0016】
なお、
図1に示した生体情報取得システムSは一例に過ぎず、他の機能を有するサーバがサーバ群4に含まれていても良い。また、サーバ群4に含まれる複数のサーバを、それぞれ別個のサーバ装置で実現しても良く、単一のサーバ装置にて実現するようにしても良い。
【0017】
<測定装置>
図3は、本発明の一実施形態に係る測定装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。測定装置1は、
図3に示すように、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、撮像部16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、電源部22と、脈波解析部33と、を備えている。
【0018】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0019】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0020】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、撮像部16、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20、ドライブ21、電源部22及び脈波解析部33が接続されている。
【0021】
撮像部16は、
図2に示されるように、指置台32bに置かれた指5を検出する不図示のセンサと、光学レンズ部とイメージセンサとを備えたカメラ16aと、筐体32a内部を照らす照明16bと、を有する。光学レンズ部は、被写体を撮像するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。撮像部16にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0022】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、デジタル信号が生成され、撮像部16の出力信号として出力される。このような撮像部16の出力信号は、CPU11等に適宜供給される。照明16bは、例えばLEDで構成されている。
【0023】
なお、本実施形態に係る測定装置1は、センサによって指置台32bに置かれた指5を認識している。しかし、測定装置1は、センサではなく撮像部16のカメラ16aにより撮像された映像に基づき、指5を認識させても良い。例えば、測定装置1は、撮像された映像において指5の肌色を検出して認識させても良い。
【0024】
入力部17は、各種ボタンやマイク等で構成され、ユーザの指示操作や指示音声に応じて各種情報を入力する。
【0025】
出力部18は、液晶ディスプレイ等で構成され、CPU11が出力する画像データや映像データに対応する画像や映像を出力する。
【0026】
記憶部19は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
【0027】
通信部20は、CPU11が、ネットワーク3を介して他の装置(例えば、サーバ群4に含まれる各サーバ)との間で通信を行うための通信制御を行う。
【0028】
ドライブ21には、リムーバブルメディア100を装着可能なインターフェースにより構成される。ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア100が適宜装着される。リムーバブルメディア100には、各種のプログラムや、画像データや映像データ等の各種データが格納されていても良い。更に、ドライブ21によってリムーバブルメディア100から読み出されたプログラムや、画像データ等や映像データ等の各種のデータは、必要に応じて記憶部19にインストールさせても良い。
【0029】
電源部22は、外部電源に接続されることにより、測定装置1の各部に電力を供給可能に構成される。
【0030】
脈波解析部33は、ユーザの肌等の映像を解析して脈波情報を算出可能な脈波解析回路を有する。例えば、脈波解析部33は、撮像部16が撮像した映像が入力されると、脈波解析回路を介して、後述する各種生体情報を算出する。本実施形態では、後述する制御部110の映像処理部111により映像の解析を行い、脈波情報や各種生体情報を算出しているが、脈波解析部33がそれぞれ算出しても良い。
【0031】
また、測定装置1は、上述したハードウェアに加えて、他のハードウェアを更に備えていても良い。例えば、測定装置1は、ランプやスピーカあるいは振動用モータ等で構成され、光や音声あるいはバイブレーション信号を出力する出力部等を更に備えても良い。
【0032】
図4は、
図3の測定装置1の機能的構成のうち、生体情報取得処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。生体情報取得処理とは、測定装置1がユーザから取得した生体情報の変化に基づいて測定結果を表示又は記憶又は外部に送信する一連の処理をいう。
【0033】
まず、各種情報を記憶する記憶部19について説明する。記憶部19には、画面表示の処理におけるガイダンスに関する各種のデータや、測定を行うための情報、測定結果を表示するための情報、測定結果を示す情報、生体情報取得処理に関する情報等が格納される。なお、上述した各種のデータは、記憶部19にのみ格納されていても良いが、ドライブ21によってリムーバブルメディア100に適宜格納されるようにしても良い。更に、各情報は、サーバ群4に含まれる測定データ格納サーバ等に適宜格納されるようにしても良い。
【0034】
次に、生体情報取得処理を実行する各機能ブロックについて説明する。本実施形態の制御部110は、
図4に示すように、映像処理部(映像処理機能)111と、出力処理部(出力処理機能)112と、入力処理部(入力処理機能)113と、データ処理部(データ処理機能)114と、判定処理部(判定処理機能)115と、通信処理部(通信処理機能)116と、を有する。
【0035】
映像処理部111は、撮像部16が撮像した被写体としてのユーザを含む映像を解析することにより、ユーザに関する情報(以下、「被写体情報」と称する。)を取得する。被写体情報は、例えば、ユーザ映像の指5等における各部位の色や、ユーザの状態を示す生体情報(バイタルデータと呼ばれることもある。)等である。撮像部16が取得する情報(映像)を解析することで測定が行われるので、ユーザに接触することなく血流に関連する生体情報を逐次取得できる。具体的な映像処理部111による映像データの解析については後述する。また、映像処理部111は、取得した生体情報を出力する際、少なくとも記憶部19に当該生体情報を出力する。これにより、記憶部19には、取得した生体情報の履歴が格納される。
【0036】
出力処理部112は、出力部18の画面に表示映像として動画像を表示する制御を行う。これにより、脈波測定の進捗状況等を動的に視覚化でき、分かり易く表示できる。また、出力処理部112は、ガイド画像や測定データ等を合成する合成処理等も行う。例えば、出力処理部112は、
図9に示されるようなユーザの指5と測定結果を示す画像(測定結果表やグラフ等)とを合成した合成映像を合成したプレビュー映像を表示する制御を行う。
【0037】
また、入力処理部113は、入力部17に入力されたユーザによる操作を受け付ける処理を実行する。例えば、入力処理部113は、入力部17に入力されたユーザによる生体情報取得処理開始の操作を受け付ける。
【0038】
データ処理部114は、取得した生体情報に関するデータを管理するための処理を行う。例えば、データ処理部114は、映像処理部111により算出された生体情報を取得する。更に、データ処理部114は、取得した生体情報を記憶部19に記憶させる。また、データ処理部114は、出力処理部112に指令して、取得した生体情報に関するデータを出力部18の画面に表示させる。
【0039】
判定処理部115は、記憶部19に記憶された各種の閾値に基づいて、生体情報取得処理における各種の判定を行う。例えば、判定処理部115は、映像処理部111により算出された生体情報と所定の閾値と比較することで判定を行い、判定結果をデータ処理部114に出力する。
【0040】
通信処理部116は、外部の機器と通信を行うための処理を行う。例えば、サーバ群4に含まれる認証サーバと通信を行う。これにより、生体情報取得処理を行うユーザが認証される。また、通信処理部116は、サーバ群4に含まれる測定データ格納サーバと通信を行うことにより、生体情報取得処理におけるユーザのプロファイル情報を更新する。
【0041】
<ユーザ端末>
次に、ユーザ端末2の一例について
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るユーザ端末2のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0042】
本実施形態のユーザ端末2は、CPU51と、ROM52と、RAM53と、バス54と、入出力インターフェース55と、入力部56と、出力部57と、記憶部58と、通信部59と、バッテリ60と、を備えるコンピュータである。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0043】
次に、ユーザ端末2の機能的構成について説明する。
図6は、本実施形態に係るユーザ端末2の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
【0044】
ユーザ端末2の各種の制御を行う制御部70は、演算処理を実行するCPU51によって実現される。本実施形態の制御部70は、通信処理部(通信処理機能)71と、出力処理部(出力処理機能)72と、入力処理部(入力処理機能)73と、情報取得管理部(情報取得管理機能)74と、を有する。
【0045】
通信処理部71は、通信部59を介してサーバ群4と各種の情報をやり取りする処理を実行する。また、通信処理部71は、通信部59を介して測定装置1と各種の情報をやり取りする処理を実行する。
【0046】
出力処理部72は、出力部57の画面に画像を表示するための処理を実行する。例えば、出力処理部72は、測定装置1から送信された生体情報を通信処理部71が取得した場合に、通信処理部71の指令により、出力部57の画面に生体情報を表示させる処理を行う。
【0047】
入力処理部73は、入力部56に入力されたユーザによる操作を受け付ける処理を実行する。例えば、入力処理部73は、タッチパネルにおいて、出力部57に表示された情報を入力として受け付け、出力部57の画面に表示する情報を切り替える処理等を実行させる指令を出力処理部72に送信する。
【0048】
情報取得管理部74は、生体情報取得処理に関する指令や生体情報取得処理におけるユーザの選択情報を測定装置1に通信部59を介して送信する処理を実行する。また、情報取得管理部74は、測定装置1から生体情報や生体情報に基づく判定結果等を受信する処理を実行する。
【0049】
[映像データの解析]
次に、測定装置1における映像データの解析について、
図7から9を用いて説明する。
図7は、
図2における指置台32bに置いた指5と、指の肌の領域に設定された測定領域としての関心領域ROI(Region Of Interest)とが示される概略図である。
図8は、関心領域ROI内の画素の輝度値を算出し、取得した脈波の波形を表示することを説明するための概略図である。細線の波形は脈波の元波形を示し、太線は帯域通過フィルタ後の脈波の波形を示す。
図9は、測定した脈波情報から生体情報を算出することを説明する概略図である。まず、
図7を用いて映像処理部111によって解析される映像データの取得について説明する。
【0050】
映像処理部111は、輪郭や部位のパターンマッチングや肌色識別等のトラッキングに関する処理を行うことで、指の輪郭や位置、肌の領域を認識し、指の所定の部位領域の検出を行う。例えば、映像中の、ユーザ映像から指の輪郭と位置を検出して、指の領域が自動的に認識される。そして、映像処理部111は、この検出した部位領域の肌の色といった状態を検出する。また、
図7に示すように、映像処理部111は、指5の爪5aよりも付け根側に破線枠で示す関心領域ROI(Region of Interest)を設定する。
【0051】
なお、本実施形態では、爪5a以外肌の部分に関心領域ROIを設定している。これは、爪5aに、位置認識のための白色のベースコートが塗っており、脈波の測定ができないためである。爪5aにベースコートを塗っていない場合は、関心領域ROIは爪5aに設定しても良い。また、本実施形態では、関心領域ROIは、予め決められた範囲で設定される。しかし、関心領域ROIは、予め決められた範囲ではなくても良い。例えば、制御部110は、映像において肌の色から肌領域を自動で認識し、関心領域ROIが最大となる範囲を自動で設定しても良い。
【0052】
映像処理部111は、映像からの脈波抽出は、血中のヘモグロビンが緑色の光を良く吸収する性質を利用し、脈拍、脈波等の血流に関連する生体情報を取得する。緑信号の波長は一般的に495-570nmといわれており、ヘモグロビンは500~600nmの辺りで吸収係数が高くなっている。血流の上昇時は皮膚表面に血液の量が多くなって単位時間あたりのヘモグロビン量が増加するため、血流が上昇する前に比べ多くの緑信号がヘモグロビンによって吸収される。そのため、血流の上昇時に検出される緑信号の輝度は低下することになる。なお、撮像部16の撮像素子が光を輝度に変換する場合は、撮像素子の手前にRGBのフィルタを配置し、RGBそれぞれの画素の輝度値を算出する。この場合、緑色のフィルタを通った光が輝度値となる。撮像素子の感度が波長に対してフラットでなくても、上述のフィルタによってある程度、波長帯域を絞り込めるので精度よく、緑信号を検出できる。
【0053】
映像処理部111は、
図8に示すように、関心領域ROI内の映像における身体の映像情報に含まれる輝度情報に基づいて脈波情報を取得する。より具体的には、映像処理部111は、緑信号の輝度の取得を単位時間毎に行って緑信号の輝度の時間変化から脈波情報を取得する。なお、単位時間は、例えば、動画像のフレームレートであり、映像を構成する時間的に連続する画像毎に緑信号の輝度を取得することができる。
【0054】
更に、映像処理部111は、赤信号に対しても同様に輝度の取得を単位時間毎に行い、単位時間毎に取得した緑信号から差し引かせても脈波情報の算出をさせても良い。映像処理部111は、この緑信号の輝度から赤信号の輝度を差し引いた輝度の時間変化から脈波情報を取得することができ、脈波情報の精度をより高くすることができる。また、本実施形態では、撮像部16でユーザの身体の対象部位を撮像する動作から、緑信号の輝度を取得する動作までを、脈波測定として説明している。
【0055】
また、脈波情報には、振幅PAがある。
図8の太線で示す波形は、脈波の元波形を帯域通過フィルタにかけることで、振幅成分を取り出した波形である。映像から解析される脈波は、一定の振幅PAの範囲内に波形を示す周期的な波形を示している。この脈波の振幅PAは、脈波波形の隣り合う最大値と最小値の差を意味している。即ち、振幅PAは、緑信号の輝度の最大値と最小値の差を意味する。
【0056】
なお、振幅PAを取得するための範囲は、異常値がなく振幅が安定している領域であることが好ましい。例えば、予め設定される閾値を超えた異常値が検出された場合等は、異常値が外れるように脈波情報を取得する。あるいは、撮像時に映像が適切に取得できなかった旨を表示し、再撮像を行って適切な脈波情報を取得しても良い。あるいは、撮像開始から所定時間を経過した後の脈波を振幅の算出に用いても良い。あるいは、所定時間内に取得された脈波から異常値を除いて振幅を算出しても良い。このように、振幅の算出は、種々の方法を適用できる。
【0057】
更に、本実施形態に係る映像処理部111は、
図9に示すように映像解析により取得した脈波に対して周波数解析や時間領域解析等を行うことで、後述する各種生体情報を算出可能である。本実施形態では、
図10に示すように、LF/HF、FFIのSD(標準偏差)、ローレンツプロットのばらつき変化率、脈拍数の変化率、PAの変化率、ベースラインの変化率、CVRR、歪み時間といった心身の生体情報が算出可能である。各生体情報についての詳細は後述する。
【0058】
また、本実施形態に係る測定装置1では、各種生体情報を指標として、
図10に示す閾値と比較することによって、
図10に示すように、4項目の心身状態を推定することができる。
図10は、本実施形態に係る測定装置1が算出可能な血流に関連する生体情報と、生体情報に対応する判定閾値及び心身状態推定結果とをまとめた表である。
【0059】
例えば、
図10に示すようにLF/HF、FFIのSD(標準偏差)、ローレンツプロットのばらつき変化率、脈拍数の変化率は、ユーザの心身状態が緊張傾向・リラックス傾向かを推定することができる。また、PAの変化率、ベースラインの変化率は、ユーザの血行の良し悪しを推定することができる。また、CVRR、歪み時間は、それぞれユーザの心拍調整機能の良し悪し、ユーザの血圧の高低について推定することができる。なお、
図10に示した閾値は一例にすぎず数値や条件は適宜変更することができる。このようにして、推定されたユーザの心身状態に関する情報は、出力部18の画面に表示させても良いし、外部の機器に送信して外部の機器の動作の判断基準に用いても良い。
【0060】
次に、それぞれの生体情報について詳細を説明する。まず、LF/HFは、脈波のパルスの間隔の揺らぎを示し自律神経の傾向を示す指標である。また、LF/HFは、周波数解析等により算出される。LF/HFの数値が大きいほど、測定装置1は、ユーザを緊張傾向にあると判定できる。また、LF/HFの数値が小さいほど、測定装置1は、ユーザをリラックス傾向にあると判定できる。
【0061】
次に、FFI(Foot to Foot Interval)の標準偏差について説明する。FFIは、脈波波形のボトムのピークの時間的間隔を示し、FFIの標準偏差は、脈波波形の間隔のばらつき具合を示す指標である。FFIの標準偏差が小さいほど、測定装置1は、ユーザを緊張傾向にあると判定できる。また、FFIの標準偏差が大きいほど、測定装置1は、ユーザをリラックス傾向にあると判定できる。
【0062】
次に、ローレンツプロットのばらつき変化率について
図11を用いて説明する。ローレンツプロットのばらつき変化率は、自律神経の傾向を示す指標である。ローレンツプロットのばらつき変化率は、以下のように算出される。まず、ローレンツプロットについて説明する。ローレンツプロットは、連続する2つの脈波の隣り合う間隔について、一方を横軸、他方を縦軸として、グラフにプロットしたものであり、脈波間隔のばらつきを見ることができる。
【0063】
例えば、あるk番目の脈波に注目した場合、k番目の脈波と、その後の脈波である、k+1番目の脈波との間隔をそれぞれ、グラフの縦軸と横軸に対応させてプロットする。このようにプロットした一例を
図11に示す。連続する脈波の間隔の揺らぎが小さいほど、中央に点が集まる。一方、連続する脈波の間隔の揺らぎが大きいほど、周囲に分散する。
【0064】
ここで、ローレンツプロットのばらつきについて説明する。まず、ローレンツプロットを数値で評価する。本実施形態では、例えば、直交する軸にローレンツプロットを投影させることで数値化して、ローレンツプロットのばらつきを算出している。具体的には、ローレンツプロットのグラフにおいて、各ローレンツプロットのデータの分布の中心及び、kとk+1が同じとなるような点を通る軸をy-x軸とする。また、各ローレンツプロットのデータの分布の中心を通り、y-x軸と直交する軸をy-(-x)軸とする。
【0065】
1~3分間のデータの各ローレンツプロットを、上述の2軸にそれぞれ投影して、y-x軸上でのばらつきσ(x)とy―(―x)軸上でのばらつきσ(-x)とする。この場合に、ローレンツプロットのばらつきを、楕円の面積S=π×σ(x)×σ(-x)として、評価する。楕円の面積が大きいほど、ばらつきが大きく、楕円の面積が小さいほど、ばらつきが小さい。
【0066】
ローレンツプロットのばらつき変化率は、脈波測定時のローレンツプロットのばらつきを通常状態のローレンツプロットのばらつきで除することで算出する。本実施形態では、記憶部19が予め通常状態のローレンツプロットのばらつきを記憶しており、測定装置1は、ローレンツプロットのばらつきの変化率を算出する際に記憶部19が保持している通常状態のローレンツプロットのばらつきを呼び出して算出に用いている。
【0067】
また、制御部110は、ローレンツプロットのばらつき変化率と閾値を比較することで、ユーザの心身状態を推定する。算出したばらつきの変化率が閾値を超えている場合、測定装置1は、ユーザをリラックス傾向にあると判定できる。また、算出したばらつきの変化率が閾値以下の場合、測定装置1は、ユーザを緊張傾向にあると判定できる。
【0068】
次に、脈拍数の変化率について説明する。脈拍数の変化率は、自律神経の傾向を示す指標である。また、脈拍数は所定時間内の心臓の拍動の回数である。例えば、1分間で心臓が拍動する回数を脈拍数とする。脈拍数の変化率は、脈波測定時の脈拍数を通常状態の脈拍数で除することで算出される。本実施形態では、記憶部19が予め通常状態の脈拍数を記憶しており、測定装置1は、脈拍数の変化率を算出する際に記憶部19が保持している通常状態の脈拍数を呼び出して算出に用いている。
【0069】
また、制御部110は、脈拍数の変化率と閾値を比較することで、ユーザの心身状態を推定する。例えば、算出した脈拍数の変化率が閾値を超えている場合、測定装置1は、ユーザを緊張傾向にあると判定できる。また、算出した脈拍数の変化率が閾値以下の場合、測定装置1は、ユーザをリラックス傾向にあると判定できる。
【0070】
次に、PA(Pulse Amplitude)の変化率については、脈波波形の振幅の増減を示す指標である。PAの変化率は以下の式のように算出することができる。
PAの変化率 = (PA2/PA1)・・・(式)
PA1:通常状態のPAの測定値の平均値
PA2:測定における所定時間のPAの測定値の平均値
通常状態のPAの測定値の平均値は、予め測定され、測定装置1の記憶部19に記憶させている。制御部110は、生体情報を算出する際に、記憶部19から通常状態のPAの測定値の平均値を呼び出し、その数値を用いて計算を行う。また、PAの変化率が小さいほど、測定装置1は、ユーザを血行が悪い傾向にあると判定できる。また、PAの変化率が大きいほど、測定装置1は、ユーザを血行が良い傾向にあると判定できる。
【0071】
次に、ベースライン変化率は、血行状態に関する指標である。ベースライン変化率は下記の式のように算出することができる。
ベースライン変化率=(BL2/BL1)・・・(式)
BL1:通常状態の脈波情報のベースライン
BL2:測定における脈波情報のベースライン
【0072】
ここで、ベースラインとは、所定時間内の換算輝度の平均値である。また、本実施形態では、通常状態の脈波情報のベースライン予め測定され、測定装置1の記憶部19に記憶させている。制御部110は、生体情報を算出する際に、記憶部19から通常状態のベースラインを呼び出し、その数値を用いて計算を行う。ベースラインの変化率が閾値以下の場合、測定装置1は、ユーザの血行が悪いと判定できる。また、ベースラインの変化率が閾値を超えている場合、測定装置1は、ユーザの血行が良いと判定できる。
【0073】
次に、ベースラインとPAのそれぞれの意味について考察する。上述の通り、映像の輝度から脈波情報を抽出する原理は、ヘモグロビンによって吸収される緑色光の輝度の時間的変化を捉えるものである。従って、ベースラインは測定期間中における対象部位のヘモグロビン量の平均とほぼ比例関係にあると考えられる。即ち、ベースラインの変化は、その測定部位における平均血液量の変化として解釈することができる。これに対して脈波振幅は、それ自体、脈の拍動を示すものであるから、PAの変化は拍動の強さの変化として解釈することができる。
【0074】
なお、本実施形態に係る制御部110は、ローレンツプロットのばらつき変化率、脈拍数の変化率、PAの変化率、ベースラインの変化率を算出する際に、算出の基準として通常状態のデータを記憶部19に記憶させている。しかし、算出の基準とするデータは、これに限らず、例えば、同じ年代のユーザの平均値を用いても良いし、同じ性別のユーザの平均値を用いても良い。また、映像処理部111は、生体情報取得処理時に2回以上データを取得し、取得したデータのうち1つを算出の基準としても良い。
【0075】
次に、CVRR(Coefficient of Variation of R-R intervals)、脈波パルスの間隔の揺らぎを示し、心拍調整機能の状態を示す指標である。また、CVRRは、脈波情報の周波数解析等により算出される。CVRRが小さいほど、測定装置1は、ユーザの心拍調整機能が不良状態であると判定できる。また、CVRRが大きいほど、測定装置1は、ユーザの心拍調整機能が良好状態であると判定できる。
【0076】
次に、歪み時間は、血圧の相対的な変動を示す指標である。また、歪み時間は、脈波情報において、脈波成分と血圧の変動による波形歪み成分との時間的なずれである。歪み時間が小さいほど、測定装置1は、ユーザの血圧が高い状態と判定できる。また、歪み時間が大きいほど、測定装置1は、ユーザの血圧が低い状態と判定できる。なお、以上の指標に限らず、本実施形態に係る測定装置1は、取得した脈波情報に基づきユーザの心身状態を示す各種の指標を算出できる。
【0077】
[生体情報取得処理]
次に、生体情報取得処理の流れについて
図12を参照して説明する。
図12は、
図4の機能的構成を有する
図3の測定装置1が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。生体情報取得処理は、ユーザの指5が指置台32bに置かれた状態で、ユーザによるユーザ端末2の入力部56への生体情報取得処理開始の操作により開始される。
【0078】
まず、制御部110は、
図12に示すように撮像部16の測定パラメータを予め設定された初期値に設定する(ステップS10)。測定パラメータとは、撮像部16のカメラ16aの撮像に関する設定値である。設定値は、例えば、カメラ16aの露出や焦点距離、倍率、照明16bのLEDの明るさ、輝度等の設定に関する数値である。測定パラメータを適正に設定することで、映像のノイズを低減でき、測定する脈波情報の信頼性を高めることができる。
【0079】
また、撮像されるユーザの肌の色等により、映像の輝度が変わることがある。このため、使用するユーザ間で個人差が想定される場合、各測定パラメータは初期値ではなく、ユーザに合わせてパラメータを設定しても良い。例えば、ステップS11で、指置台32b上の指5を撮像し、撮像された指5の映像に基づいて、設定値を変えても良い。更に、制御部110は、生体情報取得処理終了のタイミングでネットワーク3を介してサーバ群4の認証サーバに個人毎に測定パラメータを保存し、別の生体情報取得処理開始の時に、認証サーバから測定パラメータを呼び出して設定しても良い。
【0080】
本実施形態では、制御部110は、測定パラメータの設定を生体情報取得処理開始毎に行っている。しかし、制御部110は、設定した測定パラメータを記憶部19に保持させて、次回以降に同じユーザへの生体情報取得処理を行う場合に、保持された測定パラメータを使用しても良い。
【0081】
次に、制御部110は、撮像部16のセンサによりユーザの指5が検出されているか否かを判定する(ステップS11)。ユーザの指5がセンサにより検出されている場合(ステップS11:Yes)、制御部110は、関心領域ROIを指上に設定する(ステップS12)。
【0082】
次に、制御部110は、撮像部16に指5の撮像を開始させることで脈波の測定を開始する(ステップS13)。制御部110は、脈波測定が完了すると(ステップS14:Yes)、測定した脈波情報のS/N(Signal to Noise:信号対雑音)値を算出し、閾値と比較する(ステップS15)。
【0083】
ここで、S/N値は、測定した脈波情報について、脈波以外の雑音(ノイズ)がどのくらい含まれているかを確認するための指標である。S/N値が小さいほど、取得した映像データの信頼性があると判定できる。本実施形態では閾値を0.7に設定し、0.7未満のS/N値のデータが信頼できるデータであるとしている。なお、閾値は0.7に限らず適用する装置の目的に応じて設定可能である。
【0084】
S/N値が0.7未満の場合(ステップS15:No)、制御部110は、撮像部16にカメラ16aの露出等の測定パラメータの再調整を行わせ(ステップS17)、処理をステップS11に移行させる。一方、S/N値が0.7を超える場合(ステップS15:Yes)、制御部110は、
図10に示す生体情報のうち判定に使用するデータを算出する(ステップS16)。次に、制御部110は、算出した生体情報をユーザ端末2に表示させるために、算出した生体情報を、通信部20を介してユーザ端末2に送信する(ステップS18)。更に、制御部110は、脈波測定を終了させるか否かの選択する選択画面を表示させるために通信部20を介してユーザ端末2に測定終了選択表示の指令信号を送信する。
【0085】
ユーザ端末2の制御部70は、ユーザによる入力部56への測定終了選択を受け付ける。ユーザ端末2の制御部70は、通信部59を介して、測定終了選択情報を測定装置1に送信する。
【0086】
次に、制御部110は、受信した選択情報から、測定を終了するか否かを確認する(ステップS19)。選択情報が測定を終了する選択の場合(ステップS19:Yes)、制御部110は、記憶部19に算出した生体情報を記憶させる(ステップS20)。一方、選択情報が測定を終了しない選択の場合(ステップS19:No)、処理をステップS10に移行させる。
【0087】
以上のように構成される測定装置1は、ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する制御部110を備える。
【0088】
これにより、本実施形態に係る測定装置1においては、映像から生体情報を簡便かつ精度良く取得できる。また、本実施形態に係る測定装置1は、生体情報を活用した各種装置に活用できる。例えば、測定装置1は、取得した生体情報に基づいてネイルデザインを提示するネイルプリンタに活用できる。
【0089】
また、制御部110は、映像の指における爪の外側の領域であって爪とは異なる領域の映像に関する情報に基づいて血流に関連する生体情報を取得する。
【0090】
これにより、本実施形態に係る測定装置1は、例えば爪にネイルを施した指に対しても映像脈波を取得できる。
【0091】
また、制御部110は、映像の指における爪の領域の映像に関する情報に基づいて血流に関連する生体情報を取得する。
【0092】
これにより、本実施形態に係る測定装置1は、肌だけではなく、爪の領域でも映像脈波を取得することができ、映像脈波を取得する部位の選択の自由度を上げることができる。
【0093】
また、本実施形態に係る測定装置1は、ユーザの指5を載置可能な指置台32bと、ユーザの指5が載置された指置台32bを覆うことができる筐体32aと、指置台32bに載置されたユーザの指5を撮像する撮像部16と、を備える。
【0094】
これにより、本実施形態に係る測定装置1は、外部の光を遮った状態でユーザの指5を撮像可能である。映像脈波取得のための撮像において、日光等の外部の光はノイズとなり、取得した映像脈波の信頼性を下げるおそれがある。しかし、本実施形態では、撮像時に筐体32aが外部の光を遮っている。従って、測定装置1は、取得する映像脈波の信頼性を向上することができる。
【0095】
[変形例]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、上述の実施形態を変形し、以下に例示するような変形例とすることができる。また、以下に例示するような変形例を組み合わせることもできる。
【0096】
<第1の変形例>
上述した実施形態では、測定装置1では、LF/HF、FFIの標準偏差、ローレンツプロットのばらつき変化率、脈拍数の変化率、PAの変化率、ベースラインの変化率、CVRR、歪み時間といった生体情報を算出していたが、これに限らない。例えば、指を圧迫するカフを追加した構成で、指の圧迫した場合と指の圧迫をしていない場合とでそれぞれ脈波測定を行うことで、指の圧迫前後の脈波情報から血液量を算出させることが可能である。
【0097】
第1の変形例に係る測定装置1のハードウェア構成について、
図13を用いて説明する。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
図13は、本発明の第1の変形例に係る測定装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0098】
本実施形態の測定装置1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、バス14と、入出力インターフェース15と、撮像部16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、電源部22と、脈波解析部33と、圧迫部34と、を備えるコンピュータである。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0099】
圧迫部34は、
図14に示される細長い袋状の布で形成されるカフ34aと、カフ34aの内部に空気を送り込む不図示のポンプ部と、を有する。
図14は、測定装置1の撮像部16において、指置台32b上に置いた指5にカフ34aを巻いた様子である。圧迫部34は、ユーザの指5にカフ34aを巻いた状態で、ポンプ部にカフ34a内に空気を送り込ませることで、カフ34aを膨らませて指5の血管を圧迫して血流を調整可能である。なお、本実施形態では、カフ34a内に空気を送ることで、指5を圧迫させていたが、これに限らない。例えば、ユーザの指5をチューブ等で縛って圧迫しても良い。
【0100】
次に、第1の変形例に係る測定装置1の機能的構成について説明する。
図15は、第1の変形例に係る測定装置1の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。第1の変形例に係る測定装置1の各種の制御を行う制御部110は、演算処理を実行するCPU11によって実現される。本実施形態の制御部110は、映像処理部(映像処理機能)111と、出力処理部(出力処理機能)112と、入力処理部(入力処理機能)113と、データ処理部(データ処理機能)114と、判定処理部(判定処理機能)115と、通信処理部(通信処理機能)116と、圧迫処理部(圧迫処理機能)118と、を有する。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0101】
圧迫処理部118は、指令により、圧迫部34のポンプ部を駆動して、カフ34a内に空気を送り込ませる制御を実行可能である。例えば、本変形例では、ユーザの指5を圧迫した状態で脈波測定を行う場合に、圧迫処理部118は、カフ34aの圧迫開始の指令を受信して、圧迫部34のポンプを駆動する。
【0102】
図16は、カフ34aの圧迫の有無による脈波測定結果の違いを説明する説明図であり、上段の図が指5の圧迫無しの状態での脈波測定を示す図で、下段の図が指5の圧迫有りの状態での脈波測定を示す図である。
【0103】
具体的には、上段の左図は、圧迫無しの状態で指5の脈波測定を行った場合の測定の様子を示す図である。上段の中央の図は、圧迫無しの状態で脈波測定中の指5の映像に関心領域ROIと脈波波形とを重畳させた様子を示す図である。上段の右の図は、指5の圧迫無しの状態で脈波測定を行った場合のベースラインを示すグラフである。本実施形態では、測定したベースラインを通常のベースラインとし、緑信号G1から赤信号R1を差し引いて算出され、G1-R1となる。
【0104】
また、具体的に、下段の左の図は、カフ34aを膨らませて指5の圧迫を行った上で指5の脈波測定を行った場合の測定の様子を示す図である。斜線が描かれたカフ34aの図は、カフ34aが圧迫状態であることを示す。下段の中央の図は、圧迫有りの状態で脈波測定中の指5の映像に関心領域ROIと脈波波形とを重畳させた様子を示す図である。下段の右の図は、指5の圧迫有りの状態で脈波測定を行った場合のベースラインを示すグラフである。本実施形態では、圧迫した状態で測定したベースラインを基準のベースラインとし、緑信号Gから赤信号Rを差し引いて算出され、G-Rとなる。
【0105】
図16の上下段の左図に示すように、指5を圧迫して行う脈波測定は、カフ34aによって圧迫すること以外は同じ条件で行う。また、
図16の上下段の中央の図を比較してわかるように、上段中央の図に比べて下段中央の図の映像脈波の振幅が小さいことがわかる。即ち、指5がカフ34aによって圧迫されることで、脈波振幅が小さくなっていることがわかる。
図16の上下段の左の図に示されるように、算出したベースラインを比較しても、圧迫された状態での脈波情報に基づくベースラインG-Rの方が小さくなっている。
【0106】
本実施形態では、制御部110は、圧迫無しの脈波測定により得られた通常のベースライン(G1-R1)から、圧迫有りの脈波測定により得られたベースライン(G―R)を基準として差し引くことで、基準の状態の血液量に対して、脈波測定時に増加した血液量を算出できる。
【0107】
次に、第1の変形例の具体的な処理について説明する。
図17は、測定装置1による生体情報取得処理の流れを説明するフローチャートの一部である。ステップS10~S16と、ステップS18~S20は、本発明の一実施形態と共通であるため、フローチャートと詳細な説明とは省略する。
【0108】
図12におけるステップS16から説明を行う。制御部110は、取得した脈波情報から各種生体情報を算出する(ステップS16)。次に、生成した生体情報、例えば算出したベースライン(G1-R1)を保存する(ステップS100)。次に、制御部110は、圧迫部34にポンプを駆動させ、指5に巻かれたカフ34aに空気を入れて指5の圧迫を開始させる(ステップS101)。
【0109】
制御部110は、カフ34a内の圧迫値(圧力)を圧迫部34から取得し、圧迫値が予め設定した設定値を上回っているか否かを確認する(ステップS102)。圧力値が設定値を上回っている場合(ステップS102:Yes)、制御部110は、圧迫部34にポンプの動作を停止させ、指5の圧迫を停止させる(ステップS103)。次に、制御部110は、撮像部16に指5の撮像を開始させて、脈波測定を開始する(ステップS104)。
【0110】
脈波測定が完了したら(ステップS105:Yes)、制御部110は、圧迫部34にポンプ内の空気を解放させ、指5の圧迫を解除する(ステップS106)。ステップS104からステップS105で測定した脈波から各種生体情報を算出する(ステップS107)。次に、制御部110は、ユーザ端末2の出力部57の画面に算出した生体情報を表示させるために、通信部20を介してユーザ端末2に生体情報と指令信号を送信する(ステップS108)。
【0111】
ユーザ端末2の制御部70は、取得した生体情報と指令信号に基づき、出力部57の画面に算出した生体情報、例えば算出したベースラインの情報(G-R)を表示する。
【0112】
引き続き、制御部110は、保存されたベースラインの情報(G1-R1)から算出したベースラインの情報(G-R)を差し引くことで血液量を算出する(ステップS109)。次に、制御部110は、ユーザ端末2の出力部57の画面に算出した血液量やグラフの推移を表示させるために、通信部20を介してユーザ端末2に算出した各種情報と指令信号を出す。
【0113】
ユーザ端末2の制御部70は、取得した各種情報と指令信号に基づき、出力部57の画面に算出した血液量やグラフ推移を表示させる(ステップS110)。次に、制御部110は、ユーザの指5を撮像して生体情報を取得する脈波測定ジョブを終了するか否かの選択画面の表示を促すための指令信号をユーザ端末2に送信する。
【0114】
ユーザ端末2の制御部70は、指令信号を受信すると、出力部57の画面に脈波測定ジョブを終了するか否かの選択画面が表示させる。画面に表示された選択肢がユーザによりタッチされることで、ユーザ端末2の制御部70は、ユーザの選択情報を受け付ける。また、ユーザ端末2の制御部70は、通信部59を介して測定装置1に脈波測定ジョブを終了するか続けるかの選択情報を送信する。
【0115】
次に、制御部110は、通信部20が受信した選択情報を確認する(ステップS111)。選択情報が脈波測定ジョブを終了する選択である場合(ステップS111:YES)、制御部110は、記憶部19に算出した生体情報を記憶させ(ステップS112)、処理をステップS18へ移行させる。選択情報が脈波測定ジョブを終了しない選択である場合(ステップS111:No)、制御部110は、処理をステップS10に移行させる。以降は、
図12を参照して説明した上記実施形態と同様の処理が実行させる。
【0116】
以上説明したように、第1の変形例に係る測定装置1は、ユーザの指5の一部を圧迫する圧迫部34を備え、制御部110は、圧迫部34による圧迫を行った状態で血流に関連する生体情報を取得する。
【0117】
これにより、本実施形態に係る測定装置1は、圧迫により血管の血流を止めた状態における血流に関連する生体情報を取得することができる。
【0118】
また、制御部110は、圧迫部34による圧迫を行っていない状態で撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得し、圧迫状態の血流に関連する生体情報と圧迫していない状態の血流に関連する生体情報に基づいて血流状態を判定する。
【0119】
これにより、本実施形態に係る測定装置1は、圧迫された状態を基準とした場合の脈波測定時の血液増加量を測定することができる。これにより、血行状態を判定する指標を増やすことができ、より正確なユーザの心身状態の判定ができる。
【0120】
<第2の変形例>
上述した第1の変形例では、生体情報取得処理における圧迫部34による圧迫の停止制御(
図17のステップS102)は、予め設定された設定値を閾値として、比較し判定していたが、これに限られない。例えば、測定した脈波に含まれるノイズが一定以上となった場合にも停止させる制御をさせる。脈波情報に含まれるノイズの判定方法として、S/N値を用いて判定する。なお、第2の変形例に係る測定装置1は、第1の変形例に係る測定装置1と同様の構成であり、同じ名称をつけて詳細な説明を省略する。
【0121】
第2の変形例の具体的な処理について説明する。
図18は、測定装置1による生体情報取得処理の流れを説明するフローチャートの一部である。本変形例のフローチャートは、第1の変形例のステップS102~S104が、ステップS200~S202に置き換わった処理であり、他の部分の処理は、第1の変形例と共通であるため、フローチャートと詳細な説明とは省略する。
【0122】
まず、ステップS101から説明を行う。制御部110は、圧迫部34にポンプを駆動させ、指5に巻かれたカフ34aに空気を入れて指5の圧迫を開始させる(ステップS101)。次に、制御部110は、撮像部16に指5の撮像を開始させて、脈波測定を開始する(ステップS200)。次に、制御部110は、取得した脈波情報のS/N値と、カフ34aの圧迫値(圧力)を確認し(ステップS201)、S/N値が0.3未満である、もしくは、圧迫値が設定値を超えている場合(ステップS201:Yes)、制御部110は、圧迫部34にポンプの動作を停止させ、指5の圧迫を停止させる(ステップS202)。以降は、
図17を参照した上述の変形例と同様の処理が実行させる。なお、S/N値の閾値は0.3に限らず個人毎に応じて設定可能である。
【0123】
以上説明したように、第2の変形例に係る測定装置1では、指5の圧迫した場合としていない場合で脈波測定を行い、血液量を算出させる際に、脈波情報のノイズの量を見て圧迫の停止を判定する。これにより、測定装置1は、より正確に脈波測定を行うことができる。
【0124】
また、本実施形態では、測定装置1に本発明を適用していたが、これに限らない。例えば、本発明に係る情報処理装置は、ユーザ端末2でも良いし、サーバでも良い。また、本実施形態に係る生体情報取得システムSは、測定装置1により、ユーザの指5の映像に関する情報に基づいて血流に関連する生体情報を算出している。これに限らず、例えば、生体情報取得システムSは、ユーザの指5を撮像可能な撮像部16と、撮像部16が撮像した指5の映像に関する情報を外部に送信可能な通信部20とを有する測定装置1と、測定装置1と通信可能な通信部59と、通信部20を介して通信部59が受信した映像に関する情報に基づいてユーザの血流に関連する生体情報を取得する制御部70と、を有するユーザ端末2と、を備える構成としても良い。この構成では、ユーザ端末2が、通信部59が通信部20から受信した映像に関する情報に基づいてユーザの血流に関連する生体情報を取得することになる。
【0125】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、
図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が測定装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図4の例に限定されない。
【0126】
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成しても良いし、ソフトウェア単体で構成しても良いし、それらの組み合わせで構成しても良い。本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0127】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであっても良い。
【0128】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図3のリムーバブルメディア100により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア100は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図3のROM12や、
図3の記憶部19に含まれるハードディスク等で構成される。
【0129】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0130】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0131】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理部を備えることを特徴とする情報処理装置。
[付記2]
前記処理部は、前記映像の指における爪の外側の領域であって前記爪とは異なる領域の映像に関する情報に基づいて前記生体情報を取得することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
[付記3]
前記処理部は、前記映像の指における爪の領域の映像に関する情報に基づいて前記生体情報を取得することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
[付記4]
ユーザの指を載置可能な載置部と、
ユーザの指が載置された前記載置部を覆うことができるカバーと、
前記載置部に載置されたユーザの指を撮像する撮像部と、を備えることを特徴とする付記1から3の何れかに記載の情報処理装置。
[付記5]
ユーザの指の一部を圧迫する圧迫部を備え、
前記処理部は、
前記圧迫部による圧迫を行った状態で前記生体情報を取得する付記1から4の何れかに記載の情報処理装置。
[付記6]
前記処理部は、前記圧迫部による圧迫を行っていない状態で撮像した映像に関する情報から前記生体情報を取得し、圧迫状態の前記生体情報と圧迫していない状態の前記生体情報に基づいて血流状態を判定する付記5に記載の情報処理装置。
[付記7]
ユーザの指を撮像可能な撮像部と、前記撮像部が撮像した指の映像に関する情報を外部に送信可能な第1通信部と、を有する測定装置と、
前記撮像装置と通信可能な第2通信部と、前記第1通信部を介して前記第2通信部が受信した前記映像に関する情報に基づいてユーザの血流に関連する生体情報を取得する処理部と、を有する情報処理装置と、を備えることを特徴とする生体情報取得システム。
[付記8]
コンピュータに、
ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理機能を実行させるプログラム。
[付記9]
情報処理装置が実行する生体情報取得方法であって、
ユーザの指を撮像した映像に関する情報から血流に関連する生体情報を取得する処理ステップを含む生体情報取得方法。
【符号の説明】
【0132】
1 測定装置
2 ユーザ端末
70 制御部
110 制御部