(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148516
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20220929BHJP
G06F 21/45 20130101ALI20220929BHJP
【FI】
G06F21/31
G06F21/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050235
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 和
(72)【発明者】
【氏名】小野 靖和
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 隆哉
(57)【要約】
【課題】ユーザID入力欄に誤って入力されたパスワードが他人に見られることを防止するとともに、パスワードの再入力の手間を軽減する情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザIDを入力するためのユーザID入力欄と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄とを有する操作画面を表示し、当該操作画面においてユーザの入力を受け付ける。情報処理装置は、操作画面のユーザID入力欄に入力済みの文字列が、登録済みのユーザIDと、当該文字列に対応する範囲で一致するか否かを判定する。入力済みの文字列が登録済みのユーザIDと一致しないと判定されると、情報処理装置は、ユーザID入力欄に入力済みの当該文字列をパスワード入力欄へ移動させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ認証用に登録されたユーザID及びパスワードが格納された記憶手段と、
ユーザIDを入力するためのユーザID入力欄と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄とを有する操作画面を表示し、前記操作画面においてユーザの入力を受け付ける受付手段と、
前記操作画面の前記ユーザID入力欄に入力済みの文字列が、前記登録済みのユーザIDと、当該文字列に対応する範囲で一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記文字列が前記登録済みのユーザIDと一致しないと判定されると、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記文字列と前記登録済みのユーザIDとを、それぞれの先頭の文字から順に1文字ずつ比較し、
前記移動手段は、前記判定手段によって比較された文字が一致しなくなると、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記ユーザID入力欄に新たに文字が入力されるごとに、当該入力された文字を、前記登録済みのユーザIDにおける対応する文字と比較し、
前記移動手段は、前記判定手段によって比較された文字が一致しなくなると、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動手段によって前記文字列を前記ユーザID入力欄から前記パスワード入力欄へ移動させたことをユーザに通知する通知手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記パスワード入力欄に入力された文字は、当該入力された文字を隠すために所定の記号に変換されて表示される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段には、ユーザ認証用に登録された複数のユーザに対応する複数のユーザIDと、各ユーザIDに対応するパスワードとが格納されており、
前記移動手段は、前記判定手段により前記文字列が前記登録済みの複数のユーザIDのいずれとも一致しないと判定されると、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザID入力欄に文字を入力する際に許容されるべき誤入力の文字数である許容文字数が予め設定され、
前記移動手段は、前記許容文字数が1以上に設定されている場合、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列に含まれる文字のうち、前記登録済みのユーザIDにおける対応する文字と一致しない文字の数が、前記許容文字数を上回るまで、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させない
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記移動手段は、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる際に、文字の入力用の入力カーソルも前記ユーザID入力欄から前記パスワード入力欄へ移動させる
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザ認証用に登録されたユーザID及びパスワードが格納された記憶手段を備える情報処理装置の制御方法であって、
ユーザIDを入力するためのユーザID入力欄と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄とを有する操作画面を表示し、前記操作画面においてユーザの入力を受け付ける受付工程と、
前記操作画面の前記ユーザID入力欄に入力済みの文字列が、前記登録済みのユーザIDと、当該文字列に対応する範囲で一致するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記文字列が前記登録済みのユーザIDと一致しないと判定されると、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる移動工程と、
を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PC等の情報処理装置は、ユーザ認証に必要となるユーザID及びパスワード等の認証情報をユーザが入力するための入力欄を有する入力画面を表示し、当該入力画面を介してユーザによる認証情報の入力を受け付けることがある。このような入力画面において、パスワード入力欄に誤ったパスワードが入力された場合、ユーザ認証に失敗することになる。その場合、ユーザは、例えばパスワードの再入力を行う必要がある。特許文献1には、入力されたパスワードから計算したハッシュ値に基づいてパスワードが正しいか否かを判定し、判定結果に応じて異なる表示物を表示することで、パスワードの誤入力を入力確定前にユーザに知らせる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術によれば、パスワード入力欄における誤入力を検知することが可能であるものの、ユーザID入力欄における誤入力の検知は行われていない。このため、例えばユーザID入力欄にユーザが誤ってパスワードを入力してしまうと、入力されたパスワードが他人に見られてしまう可能性がある。また、ユーザID入力欄に入力したパスワードをユーザが消去し、パスワード入力欄にパスワードを再入力する手間も生じる。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザID入力欄に誤って入力されたパスワードが他人に見られることを防止するとともに、パスワードの再入力の手間を軽減する情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザ認証用に登録されたユーザID及びパスワードが格納された記憶手段と、ユーザIDを入力するためのユーザID入力欄と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄とを有する操作画面を表示し、前記操作画面においてユーザの入力を受け付ける受付手段と、前記操作画面の前記ユーザID入力欄に入力済みの文字列が、前記登録済みのユーザIDと、当該文字列に対応する範囲で一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記文字列が前記登録済みのユーザIDと一致しないと判定されると、前記ユーザID入力欄に入力済みの前記文字列を前記パスワード入力欄へ移動させる移動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、情報処理装置において、ユーザID入力欄に誤って入力されたパスワードが他人に見られることを防止するとともに、パスワードの再入力の手間を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理装置のハードウェア構成例、機能構成例、及びRAMに格納されるデータの一例を示すブロック図
【
図2】RAMに保持されるユーザ情報の登録データの一例を示す図
【
図5】入力判定処理(S402)の手順を示すフローチャート
【
図7】入力判定処理(S402)の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[第1実施形態]
<情報処理装置>
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示している。本実施形態の情報処理装置は、ユーザによって使用されるPC等のユーザ端末である。なお、情報処理装置は、ユーザ端末以外の装置であってもよく、例えば、プリンタ又は複合機(MFP)等の画像形成装置又は画像処理装置であってもよい。
【0011】
情報処理装置100は、CPU101、RAM102、入力装置103、通信インタフェース(I/F)104、記憶装置105、及び表示装置106を備える。CPU101は、記憶装置105に格納されている制御プログラムをRAM102に読み出して実行することで、情報処理装置100内の各デバイスの動作を制御する。RAM102には、情報処理装置100の制御プログラム等の各種プログラム、及び画像データ等の各種データが格納される。例えば、ユーザ認証用のユーザID及びパスワード(ユーザ情報)の登録データがRAM102に格納される。記憶装置105には、情報処理装置100の制御プログラム、OS(オペレーティングシステム)、アプリケーションプログラム等の各種プログラム、及びデバイスドライバ等が予め格納される。記憶装置105は、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ(HDD)等)、半導体記憶装置(ソリッドステートドライブ(SSD)等)、又は光記憶装置(光ディスク等)といった、不揮発性記憶装置で構成されうる。
【0012】
入力装置103は、マウス、キーボード、及びタッチパネル等の、ユーザが情報を入力するためのデバイスで構成される。通信I/F104は、USB I/F、シリアルI/F、パラレルI/F、及びネットワークI/Fのいずれで構成されてもよい。本実施形態では、通信I/F104は、有線LAN又は無線LAN等のネットワークに接続され、当該ネットワークを介して外部装置(例えば、外部データベース及び認証制御装置)との通信を行うネットワークI/Fで構成される。表示装置106は、液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報及び操作画面等の表示に使用される。
【0013】
図1(B)は、情報処理装置100の機能構成例、及びRAM102に格納されるデータの一例を示しており、本実施形態における、入力装置103及び表示装置106を用いた入力受付処理の関連するものを示している。
【0014】
本実施形態において、CPU101は、記憶装置105に格納された制御プログラムを読み出して実行することで、入力判定部151、文字列移動部152、移動通知部153、及び表示制御部154として機能する。入力判定部151は、操作画面上でユーザ認証用のユーザ情報(ユーザID)として入力された文字列が、RAM102に登録データとして保持されたユーザ情報と一致するか否かを判定する機能を有する。文字列移動部152は、操作画面で入力された入力文字列が、RAM102に保持されたユーザ情報と一致しない場合に、入力文字列を、操作画面内でユーザID入力欄からパスワード入力欄へ移動させる機能を有する。移動通知部153は、文字列移動部152によって文字列の移動が行われたことを示すメッセージを表示装置106に表示することでユーザへの通知を行う機能を有する。表示制御部154は、表示装置106の画面表示を制御する機能を有する。
【0015】
また、
図1(B)に示すように、本実施形態のCPU101は、ユーザ認証に使用されるユーザ情報(ユーザID及びパスワード)として予め登録された登録データをRAM102に保持する。
図2は、RAM102に保持されるユーザ情報の登録データの一例を示している。同図に示すように、本実施形態では、複数のユーザに対応するユーザ情報が、情報処理装置100におけるユーザ認証用に予め登録され、RAM102に保持されている。ユーザ情報は、各ユーザに対応するユーザIDと、各ユーザIDと関連付けられたパスワードとで構成される。なお、ユーザ情報の登録データは、記憶装置105から読み出されてRAM102に保持されてもよいし、通信I/F104を介して外部データベースから取得されてRAM102に保持されてもよい。
【0016】
<入力受付処理の例>
図3は、本実施形態におけるユーザ認証用の認証情報の入力をユーザから受け付ける入力受付処理の例を示している。入力受付処理は、例えば、ユーザが所定のサービスにログイン(サインイン)する際にユーザ認証を必要とする場合に、入力装置103及び表示装置106を介して認証情報の入力を受け付けるために実行される。
【0017】
図3(A)は、表示制御部154によって表示装置106に表示される操作画面の例として、ユーザ認証用の認証情報の入力に用いられる入力画面301を示している。入力画面301は、ユーザ認証用の認証情報を入力可能なユーザID入力欄302及びパスワード入力欄303を有する。ユーザは、入力装置103を用いて、ユーザIDを示す文字列を1文字ずつ順にユーザID入力欄302に入力可能であり、パスワードを示す文字列を1文字ずつ順にパスワード入力欄303に入力可能である。表示制御部154は、パスワード入力欄303に入力された文字を隠す表示制限設定が解除されていない限り、パスワード入力欄303に入力された各文字を、所定の記号(例えば「●」又は「*」)に変換して表示する。表示制限設定が解除されている場合、表示制御部154は、パスワード入力欄303に入力された各文字を変換無しでそのまま表示する。
【0018】
図3(B)は、
図3(A)に示す入力画面301において、ユーザID入力欄302に1文字目が入力された状態と、当該1文字目の入力に応じて入力判定部151によって実行される判定処理の例を示している。この判定処理では、ユーザID入力欄302に新たに1文字が入力されたことに応じて、当該入力済みの文字列と、ユーザ認証用のユーザ情報として登録済みの各ユーザID(
図2)との比較を、それぞれの先頭の文字から1文字ずつ順に行う。これにより、入力済みの(先頭から1文字から成る)文字列に対応する範囲において、当該入力済みの文字列が登録済みの各ユーザIDと一致するか否かを判定する。入力判定部151は、入力済みの文字列が、登録済みの1つ以上のユーザIDと一致した場合、ユーザID入力欄302におけるユーザによるユーザIDの入力の受け付けを継続する。
【0019】
図3(B)の例では、ユーザID入力欄302に「A」が入力され、当該入力された文字と、登録済みの各ユーザIDの1文字目とを比較した結果、登録済みの全てのユーザIDと一致するという判定結果が得られている。この場合、入力判定部151は、ユーザIDの入力の受け付けを継続する。
【0020】
図3(C)は、
図3(A)に示す入力画面301において、ユーザID入力欄302に3文字目が入力された状態と、3文字目の入力に応じて入力判定部151によって実行される判定処理の例を示している。この例では、ユーザID入力欄302に文字列「ACi」が入力され、当該入力済みの文字列について上述の判定処理が行われる。その結果、入力済みの(先頭から3文字から成る)文字列に対応する範囲において、当該入力済みの文字列が登録済みのいずれのユーザIDとも一致しないという判定結果が得られている。この場合、
図3(C)に示すように、文字列移動部152は、ユーザID入力欄302に入力済みの文字列を、パスワード入力欄303へ移動させ、ユーザID入力欄302を空欄にする移動処理を行う。
【0021】
図3(D)は、上述の移動処理の完了後の入力画面301の表示状態の例を示している。本例では、ユーザID入力欄302に入力されていた文字列がパスワード入力欄303に移動され、当該移動された文字列の各文字が、表示制限設定に従って記号「●」に変換されて表示されている。更に、移動通知部153は、ユーザID入力欄302にユーザIDとして入力された文字列をパスワード入力欄303へ移動させたことを示す通知304を、入力画面301内に表示している。なお、
図3(D)に示すように、この通知は、ユーザID入力欄302におけるユーザIDの誤入力を検知したため、セキュリティ保護を目的として文字列を移動させたことを示すメッセージを含んでもよい。このような通知により、ユーザID入力欄302に入力した文字列が移動された理由をユーザが容易に把握することが可能になる。
【0022】
<処理手順>
図4は、本実施形態における入力受付処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図4の各ステップの処理は、CPU101が制御プログラムを記憶装置105から読み出して実行することによって情報処理装置100において実現される。
【0023】
S401で、CPU101(入力判定部151)は、表示装置106に表示した入力画面(例:入力画面301)のユーザID入力欄(例:ユーザID入力欄302)に対するユーザIDの入力を受け付ける。CPU101は、S401においてユーザID入力欄に1文字が入力されるごとに、S402で、当該入力欄に入力済みの文字列(入力文字列)について入力判定処理(
図5)を行う。この入力判定処理は、入力文字列が、ユーザ認証用のユーザ情報として登録済みのいずれかのユーザIDと一致するか否かを判定する処理と、不一致である場合に入力文字列をユーザID入力欄からパスワード入力欄(例:パスワード入力欄303)へ移動させる処理とを含む。S402の入力判定処理は、後述する
図5の手順に従って実行される。
【0024】
次にS403で、CPU101は、S402の入力判定処理においてユーザID入力欄からパスワード入力欄への入力文字列の移動が行われたか否かを判定する。CPU101は、移動が行われた場合にはS407へ処理を進め、移動が行われなかった場合にはS404へ処理を進める。S404へ処理を進めた場合、CPU101は、ユーザID入力欄に対する入力の受け付けを継続する。
【0025】
S404で、CPU101(入力判定部151)は、ユーザID入力欄への入力が確定したか否かを判定する。例えば、マウスのクリック若しくはキーボードのTabキーの押下により、ユーザID入力欄の外部に対してフォーカスが移動した場合、又は、キーボードのEnterキー押下により、入力の確定が指示された場合、入力が確定したと判定される。CPU101は、ユーザID入力欄への入力が確定していない場合にはS401へ処理を戻し、入力が確定した場合にはS405へ処理を進める。
【0026】
S405で、CPU101(入力判定部151)は、ユーザID入力欄に対してユーザIDが未入力である(即ち、ユーザID入力欄が空欄である)か否かを判定する。CPU101は、ユーザID入力欄が空欄である場合にはS406へ処理を進め、ユーザIDが未入力であることを示すメッセージを表示装置106に表示することでユーザへの通知を行う。その後、CPU101は、処理をS401へ戻す。一方、CPU101は、ユーザID入力欄が空欄ではない(ユーザIDの入力が完了した)場合にはS405からS407へ処理を進める。
【0027】
S407(入力判定部151)で、CPU101は、パスワード入力欄に対してユーザIDが未入力である(即ち、パスワード入力欄が空欄である)か否かを判定する。CPU101は、パスワード入力欄が空欄である場合にはS408へ処理を進め、パスワードが未入力であることを示すメッセージを表示装置106に表示することでユーザへの通知を行う。その後S409で、CPU101(入力判定部151)は、パスワード入力欄に対するパスワードの入力を受け付けるとともに、S407へ処理を戻す。一方、CPU101は、S407で、パスワード入力欄が空欄ではない(パスワードの入力が完了した)場合には、
図4の手順による処理を終了する。
【0028】
<入力判定処理(S402)>
図5は、入力判定処理(S402)の手順を示すフローチャートである。まずS501で、CPU101(入力判定部151)は、ユーザID入力欄に入力された入力文字列を取得する。次にS502で、CPU101(入力判定部151)は、入力文字列と登録済みの各ユーザID(
図2)とを、それぞれの先頭の文字から順に1文字ずつ比較する。これにより、CPU101は、入力文字列に対応する範囲で、入力文字列と登録済みの1つ以上のユーザIDとが一致するか否かを判定する。CPU101は、入力文字列に対応する範囲で、入力文字列と登録済みの1つ以上のユーザIDとが一致する場合には、
図5の手順による処理(S402)を終了し、一致しない場合にはS503へ処理を進める。
【0029】
S503で、CPU101(文字列移動部152)は、ユーザID入力欄に入力された入力文字列をパスワード入力欄へ移動させ、ユーザID入力欄を空欄にする(ユーザID入力欄に表示されていた文字列を消去する)処理を行う。このように、CPU101は、入力文字列と登録済みのユーザIDとを、それぞれの先頭の文字から順に1文字ずつ比較し、比較した文字が一致しなくなると、ユーザID入力欄に入力済みの入力文字列をパスワード入力欄へ移動させる。なお、CPU101は、ユーザID入力欄に新たに文字が入力されるごとに、当該入力された文字を、登録済みのユーザIDにおける対応する文字と比較してもよい。更に、CPU101は、比較した文字が一致しなくなると、ユーザID入力欄に入力済みの入力文字列をパスワード入力欄へ移動させてもよい。
【0030】
その後、S504で、CPU101(表示制御部154)は、パスワード入力欄に対する表示制限設定が解除されていない限り、当該設定を適用する。具体的には、CPU101は、パスワード入力欄に移動させた文字列の各文字を、当該入力欄に入力された文字を隠すために所定の記号(例えば「●」又は「*」)に変換して表示する。
【0031】
表示制限設定を適用すると、S505で、CPU101(表示制御部154)は、文字の入力用の入力カーソルを、ユーザID入力欄からパスワード入力欄へ移動させる。これにより、例えば、ユーザがユーザID入力欄に誤ってパスワードを入力していた場合に、パスワード入力欄においてパスワードの入力をそのまま継続することが可能になり、ユーザにとっての利便性を高めることが可能である。なお、本実施形態では文字列の移動に応じて入力カーソルの移動も行っているが、入力カーソルを移動させずにユーザID入力欄に位置付けている状態を継続してもよい。
【0032】
最後にS506で、CPU101(移動通知部153)は、ユーザID入力欄にユーザIDとして入力された文字列をパスワード入力欄へ移動させたことを示すメッセージを表示装置106に表示することでユーザへの通知を行い、
図5の手順による処理(S402)を終了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置100において、RAM102には、ユーザ認証用に登録されたユーザID及びパスワードをRAM102が格納される。CPU101は、ユーザIDを入力するためのユーザID入力欄と、パスワードを入力するためのパスワード入力欄とを有する操作画面(例:入力画面301)を表示し、当該操作画面においてユーザの入力を受け付ける。CPU101は、操作画面のユーザID入力欄に入力済みの文字列が、登録済みのユーザIDと、当該文字列に対応する範囲で一致するか否かを判定する。入力済みの文字列が登録済みのユーザIDと一致しないと判定されると、CPU101は、ユーザID入力欄に入力済みの当該文字列をパスワード入力欄へ移動させる。
【0034】
このように、本実施形態では、ユーザID入力欄に文字列が入力されると、当該文字列を登録済みのユーザIDと比較することで、当該入力欄における誤入力を検知し、誤入力の検知に応じて、入力済みの文字列をパスワード入力欄へ移動させる。パスワード入力欄に入力された文字は、表示制限設定に従って、当該入力された文字を隠すために所定の記号(例:「●」又は「*」)に変換されて表示される。このため、パスワード入力欄に移動された文字列は隠されることになる。また、ユーザID入力欄に誤って入力したパスワードがパスワード入力欄に移動されることで、ユーザにとってパスワードの再入力の手間が省かれる。このように、本実施形態によれば、情報処理装置100において、ユーザID入力欄に誤って入力されたパスワードが他人に見られることを防止するとともに、パスワードの再入力の手間を軽減することが可能になる。
【0035】
[第2実施形態]
第2実施形態では、
図6及び
図7を参照して、ユーザID入力欄に入力された文字列の文字数が、予め設定された許容文字数以下であれば、誤入力を検知したとしても入力文字列の移動を行わない例について説明する。以下では、説明の簡略化のため、第1実施形態と共通する点についての説明を省略する。
【0036】
第1実施形態では、入力画面のユーザID入力欄に1文字のみが入力された場合であっても、当該1文字が登録済みのいずれのユーザIDとも一致しなければ、当該1文字をパスワード入力欄へ移動させることになる。実際には、CPU101による判定の速度よりもユーザの手入力の速度の方が速い可能性がある。その場合、1文字の誤入力が生じた時点で上述の判定及び当該1文字の移動を行うことができない可能性がある。また、単に1文字の誤入力が生じただけで直ちにパスワード欄への入力文字を移動させてしまうと、かえってユーザにとって不便である場合もありうる。
【0037】
そこで、本実施形態では、ユーザID入力欄に文字を入力する際に許容されるべき誤入力の文字数である許容文字数が予め設定される。入力判定部151は、第1実施形態と同様、ユーザID入力欄に入力された入力文字列と登録済みの各ユーザID(
図2)との比較を、それぞれの先頭の文字から1文字ずつ順に行う。入力判定部151は更に、入力文字列に対応する範囲で、入力文字列と登録済みの1つ以上のユーザIDとが一致するか否かを判定し、その判定結果を出力する。文字列移動部152は、入力文字列に含まれる文字のうち、登録済みのユーザIDにおける対応する文字と一致しない文字の数が許容文字数を上回るまで、パスワード入力欄への入力文字列を移動は行わないようにする。
【0038】
<入力受付処理の例>
図6は、本実施形態におけるユーザ認証用の認証情報の入力をユーザから受け付ける入力受付処理の例を示している。本例では、ユーザID入力欄へのユーザによる入力における誤入力を許容する文字数(許容文字数)として「2」が予め設定された場合の処理例を示す。
【0039】
図6(A)は、入力画面301において、ユーザID入力欄302に4文字目が入力された状態と、当該4文字目の入力に応じて入力判定部151によって実行される判定処理の例を示している。入力判定部151は、入力文字列を構成する各文字を先頭から順に、登録済みの各ユーザID(
図2)における対応する文字と比較することで、それらが一致するか否かを判定し、入力判定結果を出力する。本例において、入力判定結果の「〇」は、対応する文字が一致するユーザIDが存在することを示し、「×」は、対応する文字が一致するユーザIDが存在しないことを示す。
【0040】
図6(A)の例では、入力文字列の3文字目及び4文字目が、登録済みのいずれのユーザIDにおける対応する文字とも不一致である(即ち、誤入力された)ことを示す判定結果が得られている。この場合、不一致であると判定された文字数(即ち、2)は、予め設定された許容文字数以下である。このような判定結果に基づいて、文字列移動部152は、この時点において、ユーザID入力欄302からパスワード入力欄303への入力文字列を移動は行わない。
【0041】
図6(B)は、入力画面301において、ユーザID入力欄302に5文字目が入力された状態と、当該5文字目の入力に応じて入力判定部151によって実行される判定処理の例を示している。本例では、入力文字列の3文字目、4文字目及び5文字目が、登録済みのいずれのユーザIDにおける対応する文字とも不一致である(即ち、誤入力された)ことを示す判定結果が得られている。この場合、不一致であると判定された文字数(即ち、3)は、予め設定された許容文字数を上回っている。このような判定結果に基づいて、文字列移動部152は、ユーザID入力欄302からパスワード入力欄303への入力文字列を移動させ、ユーザID入力欄302を空欄にする移動処理を行う。
【0042】
図6(C)は、上述の移動処理の完了後の入力画面301の表示状態の例を示している。本例では、
図3(D)の例と同様、ユーザID入力欄302に入力されていた文字列がパスワード入力欄303に移動され、当該移動された文字列の各文字が、表示制限設定に従って記号「●」に変換されて表示されている。更に、移動通知部153は、ユーザID入力欄302にユーザIDとして入力された文字列をパスワード入力欄303へ移動させたことを示す通知304を、入力画面301内に表示している。
【0043】
<処理手順>
本実施形態における入力受付処理は、第1実施形態と同様、
図4の手順に従って実行される。ただし、S402において、CPU101は、表示装置106に表示した入力画面(例:入力画面301)のユーザID入力欄(例:ユーザID入力欄302)に入力された入力文字列について、
図7の手順に従って入力判定処理を実行する。
【0044】
図7は、本実施形態における入力判定処理(S402)の手順を示すフローチャートである。まずS501及びS502で、CPU101は、第1実施形態と同様の処理を行う。S501で、CPU101(入力判定部151)は、ユーザID入力欄に入力された入力文字列を取得する。次にS502で、CPU101(入力判定部151)は、CPU101は更に、入力文字列に対応する範囲で、入力文字列と登録済みの1つ以上のユーザIDとが一致するか否かを判定する。CPU101は、入力文字列に対応する範囲で、入力文字列と登録済みの1つ以上のユーザIDとが一致する場合には、
図5の手順による処理(S402)を終了し、一致しない場合にはS701へ処理を進める。
【0045】
S701で、CPU101(入力判定部151)は、入力文字列に含まれる文字のうち、登録済みのユーザIDにおける対応する文字と一致しない文字の数(不一致の文字数)をカウントする。更にS702で、CPU101(入力判定部151)は、S701において得られた不一致の文字数が、予め設定された許容文字数を上回るか否かを判定する。CPU101は、不一致の文字数が許容文字数以下である場合には、
図7の手順による処理(S402)を終了し、不一致の文字数が許容文字数を上回る場合には、S503へ処理を進める。
【0046】
S503~S506の処理は、第1実施形態と同様である。これにより、ユーザID入力欄に入力された入力文字列がパスワード入力欄へ移動され(S503)、表示制限設定に従って入力文字列の各文字が所定の記号に変換して表示される(S504)。更に、入力カーソルの移動(S505)、及びユーザID入力欄にユーザIDとして入力された文字列をパスワード入力欄へ移動させたことを示すメッセージが表示装置106に表示される(S506)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、許容文字数が1以上に設定されている場合、ユーザID入力欄に入力済みの文字列に含まれる文字のうち、登録済みのユーザIDにおける対応する文字と一致しない文字の数が、許容文字数を上回るまで、ユーザID入力欄に入力済みの文字列をパスワード入力欄へ移動させないようにする。このように、許容文字数を上回る誤入力が生じるまでは入力済みの文字列の移動を行わない(例えば、単に1文字の誤入力が生じただけでは直ちにパスワード欄への入力文字の移動を行わない)。これにより、ユーザIDの入力時におけるユーザの利便性の低下を避けることが可能である。また、第1実施形態と同様に、ユーザID入力欄に誤って入力されたパスワードが他人に見られることを防止するとともに、パスワードの再入力の手間を軽減することが可能になる。
【0048】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0049】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
100:情報処理装置、101:CPU、102:RAM、103:入力装置、104:通信I/F、105:記憶装置、106:表示装置、151:入力判定部、152:文字列移動部、153:移動通知部、154:表示制御部