(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148584
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】パン粉付き調理食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20220929BHJP
A23L 7/157 20160101ALI20220929BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20220929BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23L7/157
A23L5/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050324
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000165284
【氏名又は名称】月島食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加登 博文
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
【Fターム(参考)】
4B025LB08
4B025LG27
4B025LG32
4B025LG52
4B035LC03
4B035LE17
4B035LG15
4B035LG26
4B035LG43
4B035LK04
4B035LK14
4B035LP07
4B035LP27
(57)【要約】
【課題】品質が向上したパン粉付き調理食品を提供する。
【解決手段】パン粉と結着材を含有する水溶液とを混合する工程と、前記水溶液との混合により吸水したパン粉をその吸水を保った状態で具材に付着させる工程とを有する、パン粉付き調理食品の製造方法である。その結着材としては、セルロースエーテル、卵白、及び乳清蛋白からなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン粉と結着材を含有する水溶液とを混合する工程と、前記水溶液との混合により吸水したパン粉をその吸水を保った状態で具材に付着させる工程とを有する、パン粉付き調理食品の製造方法。
【請求項2】
前記パン粉を付着させた具材を加熱調理して加熱調理されたパン粉付き調理食品を得る、請求項1に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【請求項3】
前記パン粉を付着させた具材をそのまま又は加熱調理した後、冷凍して冷凍されたパン粉付き調理食品を得る、請求項1に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【請求項4】
前記結着材がセルロースエーテル、卵白、及び乳清蛋白からなる群から選ばれた1種又は2種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【請求項5】
前記セルロースエーテルがメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項4に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【請求項6】
前記水溶液との混合により吸水したパン粉を水分が14質量%を超え、40質量%以下の状態で前記具材に付着させる、請求項1~6のいずれか1項に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【請求項7】
前記パン粉が水分14質量%以下の乾燥パン粉である、請求項1~7のいずれか1項に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロッケ、トンカツ、エビフライなどのパン粉付き調理食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コロッケ、トンカツ、エビフライなどのパン粉付き調理食品は、弁当等のおかずなどとしてとても人気のある食品であるが、弁当や総菜、冷凍食品など、水分を多く含む状態で包装したり保存したりする場合、更には電子レンジによる再加熱を行った場合などにおいて、パン粉が水分を吸収してしんなりとし、衣の見栄えとしての剣立ちや衣の食感としてのサクミにおいて、品質が低下してしまうことが課題とされていた。
【0003】
パン粉付き調理食品に関しては、例えば、特許文献1には、パン粉をゲル化剤の水溶液と接触させて前記水溶液を前記パン粉に吸収させる工程と、前記パン粉を乾燥させる工程と、前記パン粉をコーティングとして食物基材に施す工程とから成る、パン粉コーティングされた食物の製造方法の発明が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、乾燥パン粉100質量部と;α化澱粉及び/又は粉状蛋白4~50質量部と;増粘多糖類0.2~6質量部とを含むパン粉組成物を、素材に直接付着させた後、焼き調理することを特徴とするパン粉付調理食品の製造方法の発明が開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、乾燥パン粉の表面に粉状澱粉及び増粘多糖類が付着しており、該乾燥パン粉に付着した該粉状澱粉及び増粘多糖類の量が、合計で、該乾燥パン粉100質量部に対して14~70質量部であり、かつ該粉状澱粉及び増粘多糖類の質量比が10:1~1:2である加工パン粉を、素材に直接付着させた後、揚げ又は焼き調理することを特徴とする、パン粉付調理食品の製造方法の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002-505092号公報
【特許文献2】特開2012-039913号公報
【特許文献3】特開2018-133999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らの知見によると、保存性の点で利便性が高い乾燥パン粉を利用したときなどにおいて、従来の技術のそのままでは、調理の際の衣付きや、水分が多い状態で保存したり電子レンジによる再加熱を行ったりした場合の衣の見栄えとしての剣立ち、あるいは衣の食感としてのサクミにおいて、改良効果が十分とはいいがたかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明らは鋭意研究した結果、結着材を含有する水溶液をパン粉に混合することでパン粉に吸水させて、その吸水させた状態でパン粉を具材に付着させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を備えるものである。
[1]パン粉と結着材を含有する水溶液とを混合する工程と、前記水溶液との混合により吸水したパン粉をその吸水を保った状態で具材に付着させる工程とを有する、パン粉付き調理食品の製造方法。
[2]本発明においては、前記パン粉を付着させた具材を加熱調理して加熱調理されたパン粉付き調理食品を得る、上記[1]に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
[3]本発明においては、前記パン粉を付着させた具材をそのまま又は加熱調理した後、冷凍して冷凍されたパン粉付き調理食品を得る、上記[1]に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
[4]本発明においては、前記結着材がセルロースエーテル、卵白、及び乳清蛋白からなる群から選ばれた1種又は2種以上である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
[5]本発明においては、前記セルロースエーテルがメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、上記[4]に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
[6]本発明においては、前記水溶液との混合により吸水したパン粉を水分が14質量を超え、40質量%以下の状態で前記具材に付着させる、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
[7]本発明においては、前記パン粉が水分14質量%以下の乾燥パン粉である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のパン粉付き調理食品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結着材を含有する水溶液をパン粉に混合することでパン粉に吸水させて、その吸水させた状態でパン粉を具材に付着させることで、保存性のよい乾燥パン粉を利用したときなどにおいても、調理の際の衣付きがよく、水分が多い状態で保存したり電子レンジによる再加熱を行ったりしたときでも、剣立ちや衣のサクミなどの品質の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、パン粉付き調理食品の製造方法を提供するものである。ここで、「パン粉付き調理食品」とは、所定の具材にパン粉を付着させてなる食品のことである。
【0011】
パン粉としては、食用として一般に入手可能なものを用いればよい。また、原料として小麦粉、糖類、食塩、イースト、イーストフード、油脂、水等を用いて、焙焼法、電極法などの方法によってパンを焼き、そのパンを粉砕し、必要に応じて乾燥することにより製造することができるので、そのようにして製造されたパン粉を使用してもよい。
【0012】
本発明は、乾燥パン粉により好適に適用され得る。この場合、乾燥重量法によって測定される水分含量が、14質量%以下の範囲であってよく、12質量%以下の範囲であってよく、10質量%以下の範囲であってよく、9質量%以下の範囲であってよい。
【0013】
本発明により提供されるパン粉付き調理食品は、特定の食品に限定されるものではない。例えば、畜肉類、魚介類、甲殻類、野菜類、根菜類、根菜類や畜肉などのパテ類、を具材とし、衣で被覆されたパン粉付きフライ食品、フライ様食品であってよい。具体的には、トンカツ、チキンカツ、メンチカツ等の肉類のフライ;エビフライ、イカフライ等の魚介類のフライ、すりつぶしたジャガイモ等を主材とするコロッケ、クリームコロッケ等のコロッケ類等であってよい。
【0014】
具材にパン粉を付着させるには、例えば、具材に小麦粉を打ち粉し、バッター液や溶き卵にくぐらせたりしてから、これに所定量のパン粉の中に入れて取り出し、余分なパン粉をはらったり、適当量のパン粉を部材にまんべんなく付着させればよい。
【0015】
また、ある実施形態においては、パン粉を付した状態で加熱調理を施した後のものを製造してもよく、あるいは、他の実施形態にいては、パン粉を付した状態で加熱調理前の段階で保存したり流通させたりするものを製造してもよい。また、限定されないが、必要に応じて冷凍してもよい。その場合、パン粉を付した状態で加熱調理を施す前の段階で冷凍してもよく、あるいは、加熱調理後に冷凍してもよい。よって、例えば、加熱調理されたパン粉付き調理食品を得るようにしてもよく、冷凍されたパン粉付き調理食品を得るようにしてもよく、加熱調理したうえ冷凍されたパン粉付き調理食品を得るようにしてもよい。
【0016】
加熱調理する場合、その条件は、適宜、適用する食品のレシピ等に従って行えばよいが、例えば、160~190℃の食用油で油ちょうするなどである。また、少量の油をフライパンに敷いて、炒めたり、焼いたりするなどである。また、オーブン等で焼成するなどである。
【0017】
以上のとおり、本発明の製造方法は、広く一般にパン粉付き調理食品に適用され得る。ただし、本発明においては、パン粉を具材に付着させる際、特定の工程を経る必要がある。具体的には、パン粉と結着材を含有する水溶液とを混合する工程と、その混合により吸水したパン粉をその吸水を保った状態で具材に付着させる工程とを経る必要がある。
【0018】
結着材としては、食用の素材であればよく、特に制限はないが、例えば、増粘多糖類、澱粉質素材、蛋白質素材、セルロースエーテル類等が挙げられる。
【0019】
増粘多糖類としては、グアーガム、キサンタンガム、カードラン、カラギナン、マンナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、タラガム等が挙げられる。
【0020】
澱粉質素材としては、小麦粉、米粉、コーンフラワー、乾燥ポテト等が挙げられる。また、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、トウモロコシ澱粉、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉等の澱粉や、これら澱粉に、酸処理、酵素処理、エステル化、エーテル化、架橋化等の化学的処理、あるいは高周波処理、湿熱処理、放射線処理等の物理的処理を、単独もしくは複数施してなる加工澱粉等が挙げられる。
【0021】
蛋白質素材としては、カゼイン、乳清蛋白等の乳由来のものや、卵黄、全卵、卵白、これらを乾燥させた乾燥卵黄、乾燥全卵、乾燥卵白等の卵由来のものや、小麦蛋白、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白等の植物由来のものが挙げられる。
【0022】
セルロースエーテル類としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0023】
上記結着材として、なかでも、カードラン、カゼイン、乳清蛋白、乾燥卵黄、乾燥卵白、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく、乳清蛋白、乾燥卵白、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましい。
【0024】
結着材を含有する水溶液は、上記結着材を水に溶解あるいはよく分散させることにより調製され得る。結着材の含有量としては、水溶液をパン粉と混合した際に、均一に混合できる程度の粘度となるように調整すればよく、結着材の種類により好ましい含有量は異なるが、その水溶液の全質量中0.05~15質量%であってよく、0.1~10質量%であってよく、0.2~8質量%であってよい。
【0025】
また、結着材を含有する水溶液との混合により吸水したパン粉を、その吸水を保った状態で具材に付着させる必要がある。制限されないが、具材に付着させる際のパン粉の水分含量としては、14質量%超であってよく、18質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、22質量%以上であってよい。また「その吸水を保った状態」とは、パン粉に吸水させた水分のうち少なくとも50質量%を保った状態でよく、55質量%以上を保った状態でよく、60質量%以上を保った状態でよく、65質量%以上を保った状態でよく、70質量%以上を保った状態でよく、75質量%以上を保った状態でよく、80質量%以上を保った状態でもよい。水分含量が少ないと本発明による作用効果を奏し得ない場合がある。また、上記水分含量は40質量%以下であってよく、38質量%以下であってよく、36質量%以下であってよく、34質量%以下であってよい。また、水分含量が多いとパン粉同士が付着しすぎてダマになる場合がある。
【0026】
結着材を含有せしめた水溶液と、パン粉を混合すると、パン粉は水分を吸水するとともに、結着材の成分がパン粉に移行する。これにより、結着材の成分が発揮する粘性によって、パン粉同士が付着し、これらが肉に付着することにより衣付きがよくなる。また、パン粉同士の付着が、フライ等の加熱調理の際にはがれずに、剣立ちがよくなる。また、結着材の成分が発揮する硬性により、衣のサクミを感じやすくなる。
【0027】
また、結着材を含有せしめた水溶液と、パン粉を混合する工程において、パン粉および結着材を含有せしめた水溶液以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲内において、食物繊維、澱粉質素材、植物性たん白、風味素材等を混合せしめてもよい。これらの中でも、パン粉のサクミをより感じさせやすくする観点から、粒状や繊維状の植物性たん白を混合することが好ましい。
【実施例0028】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0029】
<試験例1>
〔1.結着材〕
表1に示す各種の結着材を水に溶解し、その結着材を含有する水溶液を調製した。
【0030】
【0031】
〔2.パン粉の処理〕
調製例1~11の結着材を含有する水溶液を、表2に示す配合で乾燥パン粉(場合によっては更に脱脂大豆加工品)と混合して水分を吸水させた(実施例1~16、比較例2)。また、生パン粉(参考例1)又は乾燥パン粉(比較例1)を、処理を加えずに使用した。
【0032】
【0033】
【0034】
〔3.豚カツの調理・保存・試食〕
結着材を含有する水溶液による吸水の処理を施したパン粉、又は未処理のパン粉を使用して、豚カツを調理した。具体的には、1cm幅にカットした豚ヒレ肉の2~3枚(約30g)を打ち粉して、バッター液にくぐらせ、パン粉を付着させた。フライパンにおよそ1200mLの食用油を入れ、170℃に加温して、パン粉を付した豚ヒレ肉を入れて、5分間揚げた。
【0035】
得られた豚カツ2枚をプラスチック容器に入れて蓋をし、20℃で3時間放置した。なお、プラスチック容器内の湿気分を、上部を開放した小容器に水4gを入れてプラスチック容器内に置くことで調整した。20℃で3時間放置後、電子レンジ(600W、50秒)でレンジアップしたうえ3分放置後に蓋を開けて、豚カツの観察・試食を行った。
【0036】
〔4.評価・結果〕
乾燥パン粉に吸水させた後のパン粉組成物について、下記測定条件により水分を測定した。
(測定条件)
マイクロ波油分/水分計:SMART TURBO(CEM社)
POWER:60%
温度:MAX 120℃
Constant Weight法
・Delta Weight:0.5mg
・Delta Time:15秒
【0037】
また、下記式により、肉の重量に対する衣付きの割合を求めた。
衣付き%=〔(全体の重量)-(肉の重量)〕/(肉の重量)×100
【0038】
また、官能評価を専門パネラー6名により下記の採点基準で評点してもらい、平均点を求めた。
(衣の見栄え)
4点 非常に剣立ちがある
3点 剣立ちがある
2点 やや剣立ちがある
1点 剣立ちがない
(結着材を含有しない比較例1を1点とした。)
(衣のサクミ)
4点 かなりサクミがある
3点 サクミがある
2点 ややサクミが残っている
1点 サクミがない
(結着材を含有しない比較例1を1点とした。)
【0039】
表3には、各例の配合組成の概要とともに評価結果を示す。
【0040】
【0041】
【0042】
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)参考例1と比較例1の結果にみられるとおり、生パン粉に比べて乾燥パン粉を使用すると、衣付き、剣立ち、衣のサクミの点で、いずれも評価が悪くなった。
(2)実施例1、2の結果にみられるとおり、結着材としてグアーガム又はもち米澱粉(α化)を含有する水溶液を用いて乾燥パン粉に吸水させると、衣付き、衣のサクミの評価の点で、評価が改善する傾向がみられた。ただし、剣立ちの評価の改善はみられなかった。
(3)実施例3~8の結果にみられるように、結着材としてヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、乾燥卵白、又は乳清蛋白濃縮物を含有する水溶液を用いて乾燥パン粉に吸水させると、衣付き、剣立ち、衣のサクミの評価の点で、評価が改善する傾向がみられた。
(4)実施例4~8の結果にみられるように、結着材としてメチルセルロース(MCE-400)、メチルセルロース(MCE-100TS)、メチルセルロース(MCE-4000)を含有する水溶液を用いて乾燥パン粉に吸水させると、剣立ち、衣のサクミの評価の点で、いずれも生パン粉を用いたときと同等か、または、評価の改善がみられた。
(5)実施例9の結果にみられるように、結着材としてメチルセルロース(MCE-400)を含有する水溶液を用いて乾燥パン粉に吸水させ、更に脱脂大豆加工品を配合すると、衣付き、剣立ち、衣のサクミの評価の点で、いずれも生パン粉を用いたときより、更に評価の改善がみられた。これは、実施例4の結果にみられた、メチルセルロース(MCE-400)を単独で配合するより、より顕著な改善効果であった。
(6)実施例6と実施例10,11とを比較した結果にみられるように、結着材としてメチルセルロース(MCE-4000)を含有する水溶液を用いて、乾燥パン粉に添加する添加量を減らしたり、増やしたりすると、衣付きの評価の点で、やや評価が悪くなる傾向がみられたが、剣立ち、サクミの評価はいずれも良好であった。
(7)実施例6と実施例12とを比較した結果にみられるように、結着材としてメチルセルロース(MCE-4000)を含有する水溶液を用いて、乾燥パン粉に添加する際の結着材の濃度を2倍にすると、衣付きの評価の点で、やや評価が悪くなる傾向がみられたが、剣立ち、サクミの評価はいずれも良好であった。
(8)実施例7と実施例13,14とを比較した結果にみられるように、結着材として乾燥卵白を含有する水溶液を用いて、乾燥パン粉に添加する添加量を減らしたり、増やしたりすると、衣付きの評価の点で、やや評価が悪くなる傾向がみられたが、剣立ち、サクミの評価はいずれも良好であった。
(9)実施例7と実施例15とを比較した結果にみられるように、結着材として乾燥卵白を含有する水溶液を用いて、乾燥パン粉に添加する際の結着材の濃度を2倍にすると、衣付きの評価の点で、やや評価が悪くなる傾向がみられたが、剣立ち、サクミの評価はいずれも良好であった。
(10)実施例8と実施例16とを比較した結果にみられるように、結着材として乳清蛋白濃縮物を含有する水溶液を用いて、乾燥パン粉に添加する際の結着材の濃度を2倍にすると、剣立ち、衣のサクミの評価の点でより高い評価となり、衣付きは同等であった。
【0043】
<試験例2>
試験例1の実施例6と同様にして、結着材としてメチルセルロース(MCE-4000)を含有する水溶液を用いて、乾燥パン粉を吸水させた。そのパン粉組成物を、バットに広げ、室温で1.5時間または4時間放置して乾燥させた。このようにして一旦吸水させてなるパン粉組成物を乾燥させた以外、試験例1の実施例6と同様にして、豚カツを調理して評価した。その結果を、試験例1の実施例6及び比較例1の結果とともに表4に示す。
【0044】
【0045】
その結果、結着材を含有する水溶液で乾燥パン粉を処理しても、その後所定時間放置してから豚カツの調理に用いると、水分の減少に伴い、処理例2-1では衣付き、剣立ち、衣のサクミの評価が低下した。また、処理例2-2では衣付き、剣立ち、衣のサクミの評価が比較例1と同等となった。