(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148599
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ヘルメット対応表示システム、表示制御方法、ヘルメット、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A42B 3/04 20060101AFI20220929BHJP
A42B 3/28 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A42B3/04
A42B3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050344
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591284601
【氏名又は名称】株式会社演算工房
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】王 ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】多川 博章
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ ひろみ
(72)【発明者】
【氏名】荒木 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】林 稔
(72)【発明者】
【氏名】王 葆平
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107CA02
3B107DA07
3B107DA17
3B107DA21
3B107EA05
3B107EA19
(57)【要約】
【課題】装着者であるユーザに向けて画像が表示されるヘルメットの活用により、ユーザの利便性が向上されるようにする。
【解決手段】ヘルメットに備えられる防爆めがねと、前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理を行う情報処理部と、前記情報処理部による情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えてヘルメット対応表示システムを構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットに備えられる防爆めがねと、
前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、
互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理を行う情報処理部と、
前記情報処理部による情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部と
を備えるヘルメット対応表示システム。
【請求項2】
前記情報処理部は、ヘルメットにおいて備えられる
請求項1に記載のヘルメット対応表示システム。
【請求項3】
前記情報処理部は、ヘルメットの外部の情報処理装置において備えられる
請求項1に記載のヘルメット対応表示システム。
【請求項4】
前記情報処理部は、建設現場において配置される対象物を計測した距離に基づいて、対象物の状態についての検査を行う
請求項1から3のいずれか一項に記載のヘルメット対応表示システム。
【請求項5】
前記対象物は鉄筋である
請求項4に記載のヘルメット対応表示システム。
【請求項6】
前記複数の撮像装置は、前記防爆めがねに設けられる
請求項1から5のいずれか一項に記載のヘルメット対応表示システム。
【請求項7】
防爆めがねと、
前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、
互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置とを備えるヘルメットに対応する表示システムの表示制御方法であって、
情報処理部が、前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理を行う情報処理ステップと、
表示制御部が、前記情報処理ステップによる情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御ステップと
を含む表示制御方法。
【請求項8】
防爆めがねと、
前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、
互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部と
を備えるヘルメット。
【請求項9】
防爆めがねと、
前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、
互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置とを備えるヘルメットにおけるコンピュータを、
前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメット対応表示システム、表示制御方法、ヘルメット、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットに、作業者の目の前方に位置させることが可能なようにウェアラブル端末を設け、ヘルメットを装着した作業者が、ウェアラブル端末のディスプレーに表示されたカメラ映像やデータ画像を見ることができるようにされた技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装着者であるユーザに向けて画像が表示されるヘルメットが使用される環境にて、当該ヘルメットの活用により、ユーザの利便性が向上されるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装着者であるユーザに向けて画像が表示されるヘルメットの活用により、ユーザの利便性が向上されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、ヘルメットに備えられる防爆めがねと前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理を行う情報処理部と、前記情報処理部による情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えるヘルメット対応表示システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、防爆めがねと、前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置とを備えるヘルメットに対応する表示システムの表示制御方法であって、情報処理部が、前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理を行う情報処理ステップと、表示制御部が、前記情報処理ステップによる情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御ステップとを含む表示制御方法である。
【0008】
また、本発明の一態様は、防爆めがねと、前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えるヘルメットである。
【0009】
また、本発明の一態様は、防爆めがねと、前記防爆めがねをユーザが装着した状態において、ユーザに向けて画像を表示するように前記防爆めがねに設けられる表示部と、互いに所定の距離を隔ててヘルメットに設けられ、ユーザが前記ヘルメットを装着した状態において、それぞれが前記ヘルメットの外部の所定の方向を撮像するように設けられる複数の撮像装置とを備えるヘルメットにおけるコンピュータを、前記複数の撮像装置のそれぞれにより撮像して得られた複数の撮像画像間の視差を利用して撮像画像における対象物までの距離を計測した結果を利用した所定の情報処理に応じた画像を前記表示部に表示させる表示制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、装着者であるユーザに向けて画像が表示されるヘルメットの活用により、ユーザの利便性が向上されるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るヘルメットの外観例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るヘルメットの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態のヘルメットについて説明する。本実施形態のヘルメットは、例えば工事現場にて作業者が装着するものである場合を例に挙げる。
図1及び
図2を参照して、本実施形態のヘルメット1の構成例について説明する。
図1は、本実施形態のヘルメット1の外観例を示している。同図においては、ヘルメット1を作業者W(ユーザの一例)が装着している状態が示されている。
図2は、ヘルメット1の機能構成例を示している。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態のヘルメット1は、本体部11と庇12とを備えた外形を有する。
図2に示されるように、本実施形態のヘルメット1は、ヘッドライト20、防爆めがね30、カメラ40(40-L、40-R)、骨伝導ヘッドセット50、バッテリ60、電源回路65、制御部100、通信部110、及び記憶部120を備える。
【0014】
ヘッドライト20は、
図1に示されるように、作業者Wにより装着された状態において、作業者Wの前方を照明するように設けられる。
【0015】
防爆めがね30は、
図1に示されるように、左右のそれぞれにおいてテンプル31の端部側が、ヘルメット1に設けられたホルダ13と連結されている。ホルダ13は、連結されたテンプル31を保持する部位が回転可能とされている。これにより、作業者Wは、防爆めがね30を、同図のように作業者Wの目を覆うようにされた状態と、同図の状態から上に引き上げるようにしてヘルメット1の内側に収納させた状態との間で変化させることができる。
【0016】
防爆めがね30は、
図2に示されるように、表示部35を備える。表示部35は、自分の目を覆うように防爆めがね30を装着している状態において、作業者Wに向けた画像を表示する。
【0017】
表示部35が対応する表示デバイスについては特に限定されるものではない。表示部35が対応する表示デバイスは、例えば、レンズに画像を表示するものであってもよいし、網膜投影などによるものであってもよい。表示される画像は、平面的であってもよいし、作業者Wの視野において立体的に投影されるようなものであってもよい。
【0018】
このように表示部35が備えられることで、作業者Wは、自分の目を覆うように防爆めがね30を装着している状態において、防爆めがね30のレンズ越しに周囲を観察できるとともに、表示された画像も観察することができる。
【0019】
カメラ40(40-L、40-R)は、
図1に示されるように、互いに左右となる位置関係となるように設けられ、ヘルメット1を装着した作業者Wの視線に応じた前方を撮像するように設けられる。カメラ40-Lは、防爆めがね30のフレームの前方の左側に設けられ、カメラ40-Rは、防爆めがね30のフレームの前方の右側に設けられる。
このように設けられる2つのカメラ40は、左右それぞれの視差を利用して、撮像画像における物体の距離を算出することのできるステレオカメラとして機能することができる。
【0020】
なお、
図1では、カメラ40が防爆めがね30に取り付けられている例を示しているが、例えばヘルメット1の本体部11の左右に対して、ヘルメット1を装着した作業者Wの視線に応じた前方を撮像するように設けられてもよい。
【0021】
骨伝導ヘッドセット50は、
図1に示されるように、本体部51に対して骨伝導イヤホン52と骨伝導マイクロフォン53が設けられたヘッドセットである。骨伝導ヘッドセット50は、連結具55によりヘルメット1に取り付けられている。
同図の骨伝導ヘッドセット50は、作業者Wの耳に掛けられることで、骨伝導イヤホン52が作業者Wのこめかみ部分に当接し、骨伝導マイクロフォン53が作業者Wの頬に当接する状態となる。これにより、作業者Wは、骨伝導を介して骨伝導イヤホン52からの音を聴くことができるとともに、自分が発した音声を骨伝導マイクロフォン53により収音させることができる。
このように骨伝導を介して音声の聴き取りと発話音声の収音が行われることで、作業者Wは、例えば工事現場などの音の大きな環境であっても、明確に相手の音声を聞き、明確な自分の音声を相手に聞かせることができる。つまり、作業者Wは、骨伝導ヘッドセット50を利用することで、周囲の騒音にかかわらず円滑に他者と会話を行うことができる。
【0022】
また、作業者は、例えば制御部100により実行されるアプリケーションを操作するにあたり、骨伝導マイクロフォン53に対して命令となる言語を発話することで音声入力による操作を行うようにされてよい。
【0023】
バッテリ60は、ヘルメット1において電力供給を受けて動作するデバイスに供給する電力を蓄積する。バッテリ60は、例えば一次電池であってもよいし、リチウムイオン電池等の二次電池が使用されてよい。また、バッテリ60としての種別、形状等については特に限定されない。
バッテリ60は、ヘルメット1における所定の位置に取り付けられるようにして設けられる。バッテリ60は、ヘルメット1に対して着脱可能に取り付けられてよい。また、バッテリ60が二次電池である場合、バッテリ60はヘルメット1に取り付けられた状態のまま充電が可能なようにされてもよい。
【0024】
電源回路65は、バッテリ60に蓄積された電力を入力し、入力した電力から生成した電源電圧を、ヘルメット1に備えられた各種のデバイスに出力する。本実施形態において、電源回路65により電源電圧が供給されるデバイスには、ヘッドライト20、表示部35、カメラ40、骨伝導ヘッドセット50が含まれる。また、電源回路65により電源電圧が供給されるデバイスは、制御部100及び通信部110等としての機能を実現するコンピュータが含まれる。制御部100及び通信部110等に対応するコンピュータも、ヘルメット1内部に収容されるようにして設けられる。
また、例えば電源回路65は、外部から直流または交流の電力を入力してバッテリ60に充電を行うことが可能とされてもよい。
【0025】
制御部100は、ヘルメット1における各種制御を実行する。制御部100は、ヘルメット1における各種デバイス(ヘッドライト20、表示部35、カメラ40、骨伝導ヘッドセット50等)を制御する。また、制御部100は、通信部110の通信に関する制御を実行する。
【0026】
通信部110は、無線経由で外部と通信を行う。通信部110が対応する無線通信は、特に限定されないが、例えば無線LANであってよい。また、通信部110は、例えばBluetooth(登録商標)による近距離無線通信が可能とされてよい。
記憶部120は、制御部100が利用する各種の情報を記憶する。
【0027】
上記構成によるヘルメット1は、通信部110を介した無線通信により音声を送受信可能となる。これにより、作業者Wは、骨伝導ヘッドセット50を用いて、他の作業者や本部の管理者等の他者と会話を行うことが可能になる。
【0028】
また、上記構成によるヘルメット1は、制御部100の制御により、スマートグラスとしての表示部35を備える防爆メガネ30にて画像を表示することができる。
例えば、制御部100は、カメラ40により撮像して得られた撮像画像について所定の解析、分析を行った結果を反映した情報を表示することができる。
また、制御部100は、通信部110による通信により外部のサーバや端末の情報処理装置から取得した情報を表示することができる。
【0029】
また、本実施形態のカメラ40(40-L、40-R)は、ステレオカメラの撮像装置としての利用が可能である。そこで、例えば工事現場における所定の対象物をステレオカメラとしてのカメラ40により撮像して得られた画像を利用して、対象物の位置を計測するシステムが構築されてよい。このようなシステムは、例えば制御部100が撮像画像を入力して計測を行うようにされることで、ヘルメット1で完結するように構成されてもよい。あるいは、ヘルメット1が撮像画像を外部装置に送信し、外部装置にて対象物の位置等の計測が行われるようにされてもよい。この場合の外部装置としては、例えば作業者W等が所持する外部の携帯端末(例えばスマートフォン、タブレット端末等)、事務所等に設置されたコンピュータ等の端末、あるいはサーバ等を挙げることができる。
また、上記のシステムのそれぞれにおいて、対象物の計測結果が反映された画像が防爆めがね30の表示部35により作業者W向けに表示されるようにしてよい。
【0030】
具体的には、例えば鉄筋コンクリート構造物を建設する工事現場においては、コンクリートの打設前に鉄筋が配列される。配筋検査は、コンクリートの打設によって配列後の鉄筋がコンクリート内部に埋没する前に、鉄筋が正しく配列されていることを確認及び証明するために行われる検査である。配筋検査では、例えば配列された鉄筋の位置、径、ピッチ、及び本数等が検査される。
【0031】
本実施形態のヘルメット1は、配筋検査に対応する処理を行うことが可能なように構成される。本実施形態の制御部100は、配筋検査に対応する機能部として、情報処理部101と表示制御部102とを備える。情報処理部101は、配筋検査に対応する情報処理(配筋検査処理)を実行する。表示制御部102は、情報処理部101による配筋検査処理に対応する画像を表示部35に表示させる。
【0032】
本実施形態の配筋検査の作業の流れと、作業の流れに応じた配筋検査処理の一例について説明する。以降の説明において、工事現場にて配列された鉄筋について配列鉄筋とも記載する場合がある。
ヘルメット1を装着した作業者Wは、配列鉄筋のうちで検査対象とする範囲の配列鉄筋に対応して定めた検査位置にて立ち、検査対象の範囲の配列鉄筋がカメラ40により撮像されるようにする。この際、カメラ40により撮像して得られている撮像画像は、表示制御部102によりスルー画像として表示部35にて表示される。これにより、作業者Wは、表示されたスルー画像を見ながら、検査対象の配列鉄筋の範囲が適切にカメラ40の撮像範囲に収まるようにヘルメット1を向ける方向等を調整できる。
【0033】
作業者Wは、検査対象の配列鉄筋の範囲をカメラ40の撮像範囲に収めた状態で、配筋検査用の画像の撮影を指示する操作(撮影指示操作)を行う。撮影指示操作は、ヘルメット1における所定位置に設けられた撮影指示操作のための操作子に対する操作であってもよいし、骨伝導マイクロフォン53を用いた音声入力による操作であってもよい。
情報処理部101は、撮影指示操作が行われたタイミングでカメラ40により撮像して得られていた撮像画像を検査用画像として取得する。情報処理部101が取得した検査用画像は、2つのカメラ40-L、40-Rのそれぞれにより撮像して得られた2つの撮像画像である。
【0034】
情報処理部101は、取得した2つの検査用画像の視差を利用して、検査用画像内の配列鉄筋を対象として距離を測定する。
情報処理部101は、測定された配列鉄筋の距離と、作業者Wが撮像のために立っている位置とに基づいて、配列鉄筋の位置、配列鉄筋の径、配列鉄筋間のピッチ(間隔)、配列鉄筋の本数等の配筋状態を特定する。
また、情報処理部101は、特定された配筋状態が、設計に従って適正なものであるか否かの判定(配筋評価)を行う。この際、情報処理部101は、記憶部120が記憶する配筋設計データが示す配筋の設計内容と特定された配筋状態とを比較することで配筋評価を行ってよい。また、配筋評価として、特定された配筋状態において適正でないことが判定された場合には、情報処理部101は、配筋状態において適正でない箇所(即ち、適正でないとの配筋評価となった理由)を特定する。
【0035】
情報処理部101は、配筋状態の特定結果が反映された画像(配筋検査画像)を生成する。表示制御部102は、情報処理部101が生成した配筋検査画像を表示部35にて表示させる。
作業者Wは、表示部35に表示された配筋検査画像を見ることで、例えば特定された配筋状態としての内容を確認することができる。また、作業者Wは、配筋検査画像を見ることで、配列鉄筋が適正であるか否かを確認することができる。また、配筋検査画像を見ることで、作業者Wは、配列鉄筋が適正でない場合には、配列鉄筋において適正でない箇所がどこであるのかを確認できる。
【0036】
なお、例えば、作業者Wが検査対象の配列鉄筋の範囲をカメラ40の撮像範囲に収めようとしている状態において、情報処理部101は、撮像画像から手前側(カメラ40側)の鉄筋の奥側にて遮蔽された鉄筋の検出(被遮蔽鉄筋検出)を行ってよい。
このため、情報処理部101は、カメラ40により撮像して得られている撮像画像を、被遮蔽鉄筋検出に利用する画像として取得する。情報処理部101は、取得した撮像画像を利用して、手前の鉄筋により遮蔽されている奥側の鉄筋(被遮蔽鉄筋)を検出する。例えば、情報処理部101は、奥側の鉄筋のうちで、一方の撮像画像においては存在しないが、他方の撮像画像においては存在する奥側の鉄筋を被遮蔽鉄筋として検出するようにされてよい。
情報処理部101は、被遮蔽鉄筋を検出した場合、当該被遮蔽鉄筋が検出されたことを作業者Wに向けて報知する画像(被遮蔽鉄筋報知画像)を表示部35に表示させる。被遮蔽鉄筋報知画像は、図示は省略するが、被遮蔽鉄筋が検出されたことを作業者Wに向けて報知するとともに、検出された被遮蔽鉄筋の位置を示すようにされた画像とされてよい。
被遮蔽鉄筋報知画像を見た作業者Wは、例えば、カメラ40の撮像方向を変えてみたり、自分が立っている位置を若干ずらしてみるなどして、被遮蔽鉄筋が遮蔽されずに撮像されるように調節することができる。
【0037】
また、情報処理部101は、配筋評価の結果が反映されたデータ(例えば、ファイル形式であってよい)を記憶部120に記憶させてよい。あるいは、情報処理部101は、配筋評価の結果が反映されたデータを、通信部110から外部の端末や外部のサーバに送信してよい。
【0038】
上記構成による本実施形態のヘルメット1によれば、作業者Wは、ヘルメット1を装着すれば、例えば配筋検査のアプリケーションが実装されたタブレット端末やスマートフォン等の携帯端末を使用することなく、配筋検査を行える。つまり、作業者Wの工事現場における作業のもとでの利便性が向上される。
【0039】
なお、情報処理部101は、ヘルメット1の外部のサーバや外部の情報処理端末等の情報処理装置が備えられてよい。この場合、ヘルメット1は例えばシンクライアント端末として機能する。つまり、この場合のヘルメット1の制御部100は、カメラ40により撮像して得られた撮像画像を、通信部110から外部の情報処理装置に送信する。情報処理装置は配筋検査処理を実行し、実行した配筋検査処理結果の情報を、ヘルメット1に送信する。ヘルメット1の表示制御部102は、受信した配筋検査処理結果の情報を表示部35に表示させる。また、本実施形態のヘルメット1は配筋検査だけでなく、撮像画像を用いた他の検査に用いることもできる。例えば、検査者が遠隔で工事現場の鉄筋以外の対象物の施工状況を確認する際の遠隔立会を行うために使用すること等、対象物の状態の検査を行うことも可能である。
【0040】
なお、本実施形態のヘルメット1は、工事現場で作業者Wが使用するものに限定されない。例えば、本実施形態のヘルメット1は、高所等で点検、整備等を行う作業者が使用してもよいし、防災用等として使用されてもよい。
また、ヘルメット1の用途に応じて、情報処理部101が実行する処理と、表示制御部102が表示部35に表示させる画像は適宜変更されてよい。例えば、ヘルメット1が防災用に利用される場合、情報処理部101は、例えば通信部110によりネットワーク上の災害情報を提供するサーバ等から受信した災害情報を取得し、表示制御部102が取得された災害情報を表示部35に表示させてよい。また、この場合の情報処理部101は、カメラ40により撮像して得られた画像を解析して危険な場所を検出し、表示制御部102は、ヘルメット1を装着しているユーザに向けた警告のための表示が表示部35にて行われるようにされてよい。
【0041】
なお、上述の制御部100等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の制御部100等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 ヘルメット、20 ヘッドライト、30 防爆メガネ、35 表示部、40(40-L、40-R) カメラ、50 骨伝導ヘッドセット、52 骨伝導イヤホン、53 骨伝導マイクロフォン、60 バッテリ、65 電源回路、100 制御部、101 情報処理部、102 表示制御部、110 通信部、120 記憶部