(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148601
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F28F 17/00 20060101AFI20220929BHJP
F28F 1/12 20060101ALI20220929BHJP
F28F 13/04 20060101ALI20220929BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20220929BHJP
F28F 13/18 20060101ALI20220929BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20220929BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20220929BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F28F17/00 501A
F28F1/12 G
F28F13/04
F28D1/053 A
F28F13/18 A
F28F13/18 B
F28F1/02 A
F28F1/32 Y
F25B39/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050346
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井岡 久美子
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡田 成浩
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA22
3L103BB42
3L103CC18
3L103CC23
3L103CC30
3L103DD08
3L103DD33
3L103DD36
3L103DD67
3L103DD69
3L103DD70
3L103DD85
3L103DD87
(57)【要約】
【課題】 伝熱管に付着した液滴を良好に排水することが可能な熱交換器および当該熱交換器を備える冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る熱交換器は、複数の冷媒流路を有する扁平な伝熱管と、前記伝熱管に接触するフィンと、を備えている。さらに、前記伝熱管の表面の少なくとも一部が撥水性を有し、前記フィンの表面の少なくとも一部が親水性を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷媒流路を有する扁平な伝熱管と、
前記伝熱管に接触するフィンと、
を備え、
前記伝熱管の表面の少なくとも一部が撥水性を有し、
前記フィンの表面の少なくとも一部が親水性を有している、
熱交換器。
【請求項2】
前記伝熱管の表面のうち撥水性を有する部分には、多数の微細構造が設けられている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記伝熱管の表面のうち撥水性を有する部分には、撥水コーティング層が形成されている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記フィンの表面のうち親水性を有する部分には、親水コーティング層が形成されている、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数の冷媒流路は、前記伝熱管の幅方向に並び、
前記伝熱管は、前記幅方向における第1端部および第2端部を有し、
前記第1端部は、前記第2端部よりも重力方向の下方に位置している、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
間隔を空けて平行に配列された複数の前記伝熱管を備え、
前記フィンは、
隣り合う前記伝熱管の間にそれぞれ位置する複数のフィン片と、
前記複数のフィン片の端部で前記伝熱管の配列方向に連通してなる連通部と、
を有している、
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記熱交換器を通る気流を発生させるファンと、
を備えている冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に冷媒流路を有した複数の扁平な伝熱管と、これら伝熱管に接触する複数のフィンとを備えた熱交換器が知られている。この種の熱交換器は、例えば空気調和機等の冷凍サイクル装置に利用されている。
【0003】
熱交換器が蒸発器として機能する場合において、結露等で生じる液滴(水滴)が伝熱管の表面に付着することがある。この液滴が伝熱管の表面から適切に排水されない場合、熱交換性能が低下し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、伝熱管に付着した液滴を良好に排水することが可能な熱交換器および当該熱交換器を備える冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る熱交換器は、複数の冷媒流路を有する扁平な伝熱管と、前記伝熱管に接触するフィンと、を備えている。さらに、前記伝熱管の表面の少なくとも一部が撥水性を有し、前記フィンの表面の少なくとも一部が親水性を有している。
【0007】
実施形態に係る冷凍サイクル装置は、前記熱交換器と、前記熱交換器を通る気流を発生させるファンと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置の概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る熱交換器の概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるIII-III線に沿う熱交換器の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図3におけるIV-IV線に沿う熱交換器の概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る伝熱管の表面に設けられる微細構造の一例を示す概略的な斜視図である。
【
図6】
図6は、比較例に係る伝熱管の概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る熱交換器の効果を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る熱交換器の概略的な断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る熱交換器の概略的な断面図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る熱交換器の概略的な断面図である。
【
図11】
図11は、第5実施形態に係る熱交換器の概略的な断面図である。
【
図12】
図12は、第6実施形態に係る熱交換器の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各実施形態においては、熱交換器を備える冷凍サイクル装置の一例として、冷房運転および暖房運転が可能な空気調和機を開示する。ただし、各実施形態にて開示する構成は、空気調和機以外の冷凍サイクル装置にも適用できる。また、各実施形態にて開示する熱交換器は、冷凍サイクル装置以外の装置において利用することもできる。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置1の概略的な構成を示す図である。冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器4と、膨張弁5と、室内熱交換器6と、これらの要素を接続する冷媒配管7とを備えている。さらに、冷凍サイクル装置1は、室外熱交換器4に送風する室外ファン8と、室内熱交換器6に送風する室内ファン9とを備えている。
【0011】
圧縮機2は、圧縮機本体2aと、アキュムレータ2bとを備えている。アキュムレータ2bは、冷媒配管7を介して供給される冷媒を気液分離し、ガス冷媒を圧縮機本体2aに供給する。圧縮機本体2aは、アキュムレータ2bから供給されるガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を生成する。
【0012】
このような冷凍サイクル装置1においては、四方弁3により冷媒の流れを変えることで、冷房運転や暖房運転等を切り替えることができる。
図1の例では、実線矢印が冷房運転における冷媒の流れを示し、破線矢印が暖房運転における冷媒の流れを示している。
【0013】
例えば冷房運転においては、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張弁5および室内熱交換器6の順に冷媒が流れる。このとき、室外熱交換器4が凝縮器として機能し、室内熱交換器6が蒸発器として機能することにより、室内が冷房される。
【0014】
一方、暖房運転においては、四方弁3の流路が破線で示すように切り替わり、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張弁5および室外熱交換器4の順に冷媒が流れる。このとき、室内熱交換器6が凝縮器として機能し、室外熱交換器4が蒸発器として機能することにより、室内が暖房される。
【0015】
図2は、本実施形態に係る熱交換器100の概略的な平面図である。この熱交換器100は、
図1に示した室外熱交換器4や室内熱交換器6に利用することができる。
【0016】
熱交換器100は、第1ヘッダ10と、第2ヘッダ20とを備えている。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、いずれも長尺な管であり、間隔を空けて平行に配置されている。
【0017】
第1ヘッダ10の両端部は、エンドキャップ11,12により閉じられている。さらに、第1ヘッダ10は、冷凍サイクル装置1の冷媒配管7と接続するための第1継手13を有している。
【0018】
同様に、第2ヘッダ20の両端部は、エンドキャップ21,22により閉じられている。さらに、第2ヘッダ20は、冷媒配管7と接続するための第2継手23を有している。
【0019】
熱交換器100は、複数の伝熱管30と、複数のフィン40(プレートフィン)とをさらに備えている。複数の伝熱管30は、第1配列方向D1に間隔を空けて互いに平行に並んでいる。複数のフィン40は、第2配列方向D2に間隔を空けて互いに平行に並んでいる。
【0020】
図2の例においては、伝熱管30の第1配列方向D1における配列ピッチがフィン40の第2配列方向D2における配列ピッチよりも大きい。一例として、隣り合うフィン40の間隔(配列ピッチ)は、1.5mm程度である。
【0021】
各伝熱管30の第2配列方向D2における一端は、第1ヘッダ10に連結されている。また、各伝熱管30の第2配列方向D2における他端は、第2ヘッダ20に連結されている。例えば、第1継手13を通じて熱交換器100に冷媒が供給されたとき、当該冷媒は第1ヘッダ10から各伝熱管30に分流され、第2ヘッダ20にて合流して、第2継手23を通じて熱交換器100から排出される。また、第2継手23を通じて熱交換器100に冷媒が供給されたとき、当該冷媒は第2ヘッダ20から各伝熱管30に分流され、第1ヘッダ10にて合流して、第1継手13を通じて熱交換器100から排出される。
【0022】
互いに流路が接続された複数の熱交換器100により、上述の室外熱交換器4や室内熱交換器6が構成されてもよい。この場合、第1継手13および第2継手23のいずれか一方が、熱交換器100同士の流路の接続に用いられてもよい。
【0023】
第1ヘッダ10、第2ヘッダ20、各伝熱管30および各フィン40は、金属材料で形成されている。この金属材料としては、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることができる。第1ヘッダ10、第2ヘッダ20、各伝熱管30および各フィン40は、例えばろう付けにより接合されている。
【0024】
図3は、
図2におけるIII-III線に沿う熱交換器100の概略的な断面図である。具体的には、
図3においては、
図2におけるIII-III線に沿う熱交換器100の断面のうち4つの伝熱管30を含む領域を表し、図中の最下方の伝熱管30を破線で示している。
【0025】
図3に示すように、伝熱管30の幅方向WDと、伝熱管30の厚み方向TDとを定義する。伝熱管30は、
図2に示した第2配列方向D2に長尺であり、かつ厚み方向TDにおける厚さが幅方向WDにおける幅よりも十分に小さい扁平な形状を有している。
【0026】
本実施形態においては、厚み方向TDが第1配列方向D1と一致している。また、熱交換器100が室外熱交換器4として室外機に組付けられた状態、あるいは熱交換器100が室内熱交換器6として室内機に組付けられた状態において、第1配列方向D1は、重力方向GDと平行である。
【0027】
熱交換器100は、送風方向SDの気流に晒される。この気流は、熱交換器100が室外熱交換器4として利用される場合には室外ファン8により生成され、熱交換器100が室内熱交換器6として利用される場合には室内ファン9により生成される。
【0028】
本実施形態においては、送風方向SDと幅方向WDが一致している。
図3においては、熱交換器100よりも送風方向SDの上流側(一次側)にUSMの符号を付し、下流側(二次側)にDSMの符号を付している。
【0029】
伝熱管30は、幅方向WDにおいて第1端部31および第2端部32を有している。第1端部31は、伝熱管30のうち最も下流側DSMに位置する部分である。第2端部32は、伝熱管30のうち最も上流側USMに位置する部分である。
【0030】
伝熱管30は、
図2に示した第1ヘッダ10内の流路および第2ヘッダ20内の流路と連通する複数の冷媒流路33を有している。これら冷媒流路33は、第1端部31と第2端部32の間において幅方向WDに並んでいる。
【0031】
フィン40は、第1配列方向D1に隣り合う伝熱管30の間にそれぞれ配置された複数のフィン片41と、これらフィン片41を接続する接続部42(連通部)とを有している。本実施形態においては、接続部42が各伝熱管30よりも下流側DSMに位置している。すなわち、接続部42は、各フィン片41の下流側DSMの端部に接続されている。接続部42は、第1配列方向D1におけるフィン40の両端の間にわたって連通するように形成されている。各フィン片41と、第1配列方向D1に連通してなる接続部42とは、本実施形態においては、一体に形成されている。
【0032】
隣り合う伝熱管30の間に配置されたフィン片41は、これら伝熱管30の双方と接触している。隣り合うフィン片の間には、スリット43が形成されている。スリット43は、フィン40の上流側USMの端辺に開口している。伝熱管30は、スリット43に挿入されている。
【0033】
スリット43は、上流側USMに位置する拡幅部43aを有している。拡幅部43aの第1配列方向D1における幅は、下流側DSMに近づくに連れて減少している。拡幅部43aを設けることにより、熱交換器100の製造時において、伝熱管30をスリット43に対して円滑に挿入することが可能となる。
【0034】
図4は、
図3におけるIV-IV線に沿う熱交換器100の概略的な断面図である。伝熱管30は、重力方向GDの上方を向く上面34と、重力方向GDの下方を向く下面35とを有している。
図4の断面において、上面34および下面35は、互いに平行である。
【0035】
フィン40は、第1側面44と、第2側面45とを有している。例えば、第1側面44および第2側面45は、第1配列方向D1(重力方向GD)と平行な平面であり、第2配列方向D2と直交する。
【0036】
伝熱管30の表面(上面34および下面35)は、撥水性を有している。一方、フィン40の表面(第1側面44および第2側面45)は、親水性を有している。本開示において、「伝熱管30の表面が撥水性を有し、フィン40の表面が親水性を有する」とは、伝熱管30の表面の撥水性がフィン40の表面の撥水性よりも高いこと、あるいは反対に、伝熱管30の表面の親水性がフィン40の表面の親水性よりも低いことを意味する。
【0037】
他の観点から言うと、「伝熱管30の表面が撥水性を有し、フィン40の表面が親水性を有する」は、伝熱管30の表面およびフィン40の表面にそれぞれ同条件で液滴を配置した際に、伝熱管30の表面における液滴の接触角が、フィン40の表面における液滴の接触角よりも大きいことを意味する。
【0038】
伝熱管30の表面の接触角は例えば90°以上であり、好ましくは120°以上である。また、フィン40の表面の接触角は例えば90°未満であり、好ましくは60°未満である。一例として、接触角は、1μLの純水の液滴を表面に滴下し、協和界面科学社製の自動接触角測定器(DropMasterシリーズ)を用いて測定することができる。
【0039】
本実施形態においては、上面34および下面35を含む伝熱管30の表面全体に撥水性の微細構造50が形成されている。また、第1側面44および第2側面45を含むフィン40の表面全体に親水コーティング層60が形成されている。
【0040】
図5は、微細構造50の一例を示す概略的な斜視図である。微細構造50は、多数の凸部により構成されており、本実施形態では多数の突起51により構成されている。
図5の例において、突起51は、先端に向けて先細る三角錐状である。
【0041】
撥水性を発現する微細構造50としては、他の種々の構造を採用し得る。例えば、微細構造50は、
図5の例とは異なる形状の突起により構成されてもよい。また、微細構造50は、多数の凹部(溝、窪み)により構成されてもよいし、突起と凹部の組み合わせにより構成されてもよい。
【0042】
親水コーティング層60の材料は、伝熱管30の表面よりも高い親水性を発揮するものであれば特に限定されない。親水コーティング層60は、伝熱管30とフィン40のろう付けに際してフィン40の表面に塗布されるフラックスであってもよい。
【0043】
続いて、本実施形態が奏する効果の一例について説明する。
図6は、本実施形態との比較例に係る伝熱管30Xの概略的な断面図である。
図6に示す伝熱管30Xは、本実施形態に係る伝熱管30と同様の形状を有している。ただし、伝熱管30Xの表面(上面34および下面35)には、微細構造50が形成されていない。これにより、伝熱管30Xの表面は、十分な撥水性を有していない。
【0044】
この伝熱管30Xを備える熱交換器が蒸発器として機能している場合、結露等で生じる液滴200が伝熱管30Xの上面34に付着することがある。液滴200は、送風方向SDに流れる気流により下流側DSMに流される。
【0045】
伝熱管30の表面が十分な撥水性を有していないと、液滴200が伝熱管30の表面に濡れ広がり、伝熱管30から流れ落ちにくい。例えば、液滴200は、第1端部31の下方にも回り込む。長時間にわたり液滴200が伝熱管30Xの表面に留まると、着霜の原因となる。着霜が生じると、熱交換効率が低下し得る。
【0046】
図7は、本実施形態に係る熱交換器100の効果を説明するための図である。図中の(a)(b)(c)は、いずれも
図4と同様の伝熱管30およびフィン40の断面を示している。
【0047】
図7(a)においては、液滴200が伝熱管30の上面34に付着している。本実施形態においては、上面34が撥水性を有している。したがって、液滴200は、上面34においては濡れ広がりにくい。液滴200は、気流によって伝熱管30から下流側DSMに飛ばされるか、あるいは
図7(b)に示すようにフィン40の表面(第1側面44または第2側面45)に接触する。
【0048】
フィン40の表面には、親水コーティング層60が形成されている。したがって、液滴200がフィン40の表面に接触すると、液滴200がフィン40の表面に引き寄せられる。これにより、液滴200が伝熱管30の表面から排水される。
【0049】
フィン40の第1側面44および第2側面45は、重力方向GDと平行である。したがって、第1側面44および第2側面45に付着した液滴200は、例えば接続部42を伝って下方に流れ落ちる。
【0050】
特に、本実施形態においては、接続部42が伝熱管30の下流側DSMに設けられている。したがって、第1側面44、第2側面45または伝熱管30の上面34に付着した液滴200は、気流により下流側DSMに流れ、接続部42に導かれやすい。
【0051】
このように、本実施形態に係る熱交換器100においては、伝熱管30に付着した液滴の排水性を高めることができる。これにより、熱交換効率の低下を抑制し、熱交換器100の性能を高めることができる。また、熱交換器100を室外熱交換器4および室内熱交換器6の少なくとも一方として備える冷凍サイクル装置1の性能も高めることができる。
【0052】
以下に、熱交換器100に適用し得る他の実施形態を開示する。各実施形態において特に言及しない構成は、第1実施形態と同様である。また、各実施形態にて開示する構成は、適宜に組み合わせることができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る熱交換器100の概略的な断面図である。本実施形態においては、伝熱管30の表面(上面34および下面35)に撥水コーティング層70が形成されている。
【0053】
撥水コーティング層70の材料は、フィン40の表面(親水コーティング層60)よりも高い撥水性を発揮するものであれば特に限定されない。撥水コーティング層70が形成された伝熱管30の表面においては、例えば接触角が90°以上であり、好ましくは120°以上である。
【0054】
このように、微細構造50に代えて撥水コーティング層70を形成する場合であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態に係る熱交換器100の概略的な断面図である。本実施形態においては、伝熱管30の下面35に気流が当たるように熱交換器100が送風方向SDに対して傾斜している。
【0056】
これにより、幅方向WDと送風方向SDは非平行となる。また、第1配列方向D1と重力方向GD、さらには厚み方向TDと重力方向GDも非平行となる。第1端部31は、第2端部32よりも重力方向GDの下方に位置している。
【0057】
第1および第2実施形態と同じく、伝熱管30の表面は撥水性を有し、フィン40の表面は親水性を有している。伝熱管30の表面の撥水性は、例えば第1実施形態のように微細構造50により与えられてもよいし、第2実施形態のように撥水コーティング層70により与えられてもよい。
【0058】
本実施形態のように熱交換器100を送風方向SDに対して傾けた場合には、伝熱管30に付着する液滴が第1端部31に向けて流れやすくなる。これにより、伝熱管30の表面に付着する液滴をより良好に排水することができる。
【0059】
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態に係る熱交換器100の概略的な断面図である。本実施形態においては、伝熱管30の下面35に気流が当たるように伝熱管30が送風方向SDに対して傾斜している。これにより、第3実施形態と同様に、第1端部31が第2端部32よりも重力方向GDの下方に位置している。
【0060】
第1および第2実施形態と同じく、伝熱管30の表面は撥水性を有し、フィン40の表面は親水性を有している。伝熱管30の表面の撥水性は、例えば第1実施形態のように微細構造50により与えられてもよいし、第2実施形態のように撥水コーティング層70により与えられてもよい。
【0061】
本実施形態の構成であっても、第3実施形態と同様に伝熱管30の表面に付着する液滴をより良好に排水することができる。
【0062】
[第5実施形態]
図11は、第5実施形態に係る熱交換器100の概略的な断面図である。本実施形態においては、フィン40の接続部42が各伝熱管30の上流側USMに設けられている。すなわち、接続部42は、各フィン片41の上流側USMの端部に接続されている。
【0063】
スリット43は、フィン40の下流側DSMの端辺に開口している。
図9の例においては、各伝熱管30の第1端部31が各フィン片41よりも下流側DSMに突出しているが、この例に限られない。
【0064】
第1および第2実施形態と同じく、伝熱管30の表面は撥水性を有し、フィン40の表面は親水性を有している。伝熱管30の表面の撥水性は、例えば第1実施形態のように微細構造50により与えられてもよいし、第2実施形態のように撥水コーティング層70により与えられてもよい。
【0065】
本実施形態のように各伝熱管30の上流側USMに接続部42を設けた場合であっても、伝熱管30の表面が撥水性を有し、フィン40の表面が親水性を有することにより、伝熱管30の表面に付着する液滴を良好に排水することができる。また、フィン40に付着した液滴が接続部42に沿って下方に流れるため、熱交換器100の排水性が向上する。
【0066】
[第6実施形態]
図12は、第6実施形態に係る熱交換器100の概略的な断面図である。本実施形態において、フィン40は、第1接続部42aと、第2接続部42bとを有している。
【0067】
第1接続部42aは、各伝熱管30の下流側DSMに設けられている。すなわち、第1接続部42aは、各フィン片41の下流側DSMの端部に接続されている。第1接続部42aは、第1配列方向D1におけるフィン40の両端の間にわたって形成されている。
【0068】
第2接続部42bは、各伝熱管30の上流側USMに設けられている。すなわち、第2接続部42bは、各フィン片41の上流側USMの端部に接続されている。第2接続部42bは、第1配列方向D1におけるフィン40の両端の間にわたって形成されている。
【0069】
図12の例においては、第1接続部42aの幅が第2接続部42bの幅よりも大きい。スリット43は、伝熱管30の外形と同様の形状を有している。伝熱管30は、スリット43に嵌められている。
【0070】
第1および第2実施形態と同じく、伝熱管30の表面は撥水性を有し、フィン40の表面は親水性を有している。伝熱管30の表面の撥水性は、例えば第1実施形態のように微細構造50により与えられてもよいし、第2実施形態のように撥水コーティング層70により与えられてもよい。
【0071】
本実施形態のように第1接続部42aおよび第2接続部42bを設けた場合、各伝熱管30の下流側DSMにおいては液滴が第1接続部42aに沿って下方に流れ、各伝熱管30の上流側USMにおいては液滴が第2接続部42bに沿って下方に流れる。したがって、熱交換器100の排水性が向上する。
【0072】
送風時には、伝熱管30に付着した液滴が下流側DSMに向けて流れる。そのため、
図12の例のように第1接続部42aの幅が第2接続部42bの幅よりも大きい場合には、液滴が第1接続部42aを伝って良好に排水される。
【0073】
なお、フィン40に第1接続部42aおよび第2接続部42bを設ける場合には、フィン40および熱交換器100が大型化し得る。この点に関し、
図12の例においては第2接続部42bの幅が小さいために、フィン40および熱交換器100の大型化を抑制できる。
【0074】
以上の各実施形態においては、プレート状のフィン40を備える熱交換器100を開示した。各実施形態における伝熱管30は、例えば波型のコルゲートフィンを備える熱交換器など、他種の熱交換器にも適用できる。
【0075】
各実施形態においては、伝熱管30の表面全体が撥水性を有する場合を例示した。他の例として、伝熱管30の表面の一部のみが撥水性を有してもよい。一例として、液滴が付着しやすい上面34に微細構造50や撥水コーティング層70を設け、下面35には微細構造50や撥水コーティング層70を設けなくてもよい。
【0076】
各実施形態においては、フィン40の表面全体が親水性を有する場合を例示した、他の例として、フィン40の表面の一部のみが親水性を有してもよい。一例として、液滴が流れ落ちる経路となる接続部42(あるいは第1接続部42a,第2接続部42b)の表面に親水コーティング層60を設け、フィン片41の表面に親水コーティング層60を設けなくてもよい。
【0077】
伝熱管30の表面に撥水性を与える手段は、微細構造50および撥水コーティング層70に限られない。また、フィン40の表面に親水性を与えるための手段は、親水コーティング層60に限られない。例えば、伝熱管30を形成する金属材料の表面自体が十分な撥水性を有するならば、伝熱管30の表面に微細構造50や撥水コーティング層70を設けなくてもよい。また、フィン40を形成する金属材料の表面自体が十分な親水性を有するならば、フィン40の表面に親水コーティング層60を設けなくてもよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…冷凍サイクル装置、30…伝熱管、31…第1端部、32…第2端部、33…冷媒流路、34…上面、35…下面、40…フィン、41…フィン片、42…接続部、44…第1側面、45…第2側面、50…微細構造、60…親水コーティング層、70…撥水コーティング層、100…熱交換器、WD…幅方向、TD…厚み方向、GD…重力方向、SD…送風方向。