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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148620
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】紫外線放射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20220929BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220929BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20220929BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20220929BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220929BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20220929BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20220929BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220929BHJP
【FI】
A61L9/20
F21S2/00 600
F21V7/04 300
F21V7/30
F21V29/503
F21V29/70
F21S8/04 120
F21Y115:10 500
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050369
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】玉井 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】山田 太一
(72)【発明者】
【氏名】福島 正徳
(72)【発明者】
【氏名】圷 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180DD04
4C180HH05
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】紫外線が放射されている状態にあることを確認しやすくできる紫外線放射装置を提供する。
【解決手段】紫外線放射装置11は、反射体18、紫外線発光素子31および内部蛍光体19を備える。反射体18は、内部で発生する光を外部に出射可能な出射部26を有する。紫外線発光素子31は、反射体18の内部に設けられ、紫外線波長域の光を放射する。内部蛍光体19は、反射体18の内部に設けられ、少なくとも一部が出射部26に対向され、紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で発生する光を外部に出射可能な出射部を有する反射体と;
前記反射体の内部に設けられ、紫外線波長域の光を放射する紫外線発光素子と;
前記反射体の内部に設けられ、少なくとも一部が前記出射部に対向され、前記紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する内部蛍光体と;
を備えることを特徴とする紫外線放射装置。
【請求項2】
開口部を備える本体と、
内部で発生する光を外部に出射可能な出射部を有し、前記開口部に前記出射部が包含されるように前記本体内に配設される反射体と;
前記反射体の内部に設けられ、紫外線波長域の光を放射する紫外線発光素子と;
前記紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する外部蛍光体を有する可視光放射部を備え、前記開口部から外部へ突出するように配設された突出部と;
を備えることを特徴とする紫外線放射装置。
【請求項3】
開口部を備える本体と、
内部で発生する光を外部に出射可能な出射部を有し、前記開口部に前記出射部が包含されるように前記本体内に配設される反射体と;
前記本体の内部に設けられ、紫外線波長域の光を放射する紫外線発光素子と;
前記本体の内部に設けられ、少なくとも一部が前記開口部に対向され、前記紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する内部蛍光体と;
前記紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する外部蛍光体を有する可視光放射部を備え、前記開口部から外部へ突出するように配設された突出部と;
を備えることを特徴とする紫外線放射装置。
【請求項4】
前記内部蛍光体の少なくとも一部に接する接線に垂直な法線方向と前記出射部とが一致する
ことを特徴とする請求項1または3記載の紫外線放射装置。
【請求項5】
前記突出部は、可視光透過部材で構成されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の紫外線放射装置。
【請求項6】
前記出射部の上部からは前記紫外線波長域の光が支配的に出射され、前記出射部の下部からは前記可視域の光が支配的に出射される
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の紫外線放射装置。
【請求項7】
前記内部蛍光体が放射する可視域の光には、少なくとも360nmから420nmの波長成分が含まれている
ことを特徴とする請求項1、3、4いずれか一記載の紫外線放射装置。
【請求項8】
前記外部蛍光体が放射する可視域の光には、少なくとも360nmから420nmの波長成分が含まれている
ことを特徴とする請求項2または3記載の紫外線放射装置。
【請求項9】
前記紫外線発光素子が放射する光の紫外線波長域は、300nm以下である
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一記載の紫外線放射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線を放射する紫外線放射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば殺菌を目的として紫外線を放射する紫外線ランプが用いられている。紫外線ランプは、放電灯タイプが用いられてきたが、紫外線波長域の光を放射するLEDなどの紫外線発光素子への置き換えが検討されている。
【0003】
放電灯タイプの紫外線ランプの場合、紫外線の放射とともに可視光が放射されるため、紫外線を放射しているか否かを確認することが可能であった。それに対して、紫外線発光素子の場合、紫外線波長域の光のみが放射され、可視域の光は放射されないため、紫外線を放射している状態にあるのか否かを確認することが困難となっている。
【0004】
また、紫外線発光素子からの紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する蛍光体を備えた紫外線放射装置がある。この紫外線放射装置では、可視域の光の放射を視認することにより紫外線が放射されている状態にあることを確認可能であるが、確認しやすくするために可視域の光の視認性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-167147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線が放射されている状態にあることを確認しやすくできる紫外線放射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の紫外線放射装置は、反射体、紫外線発光素子および内部蛍光体を備える。反射体は、内部で発生する光を外部に出射可能な出射部を有する。紫外線発光素子は、反射体の内部に設けられ、紫外線波長域の光を放射する。内部蛍光体は、反射体の内部に設けられ、少なくとも一部が出射部に対向され、紫外線波長域の光で励起されて可視域の光を放射する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の紫外線放射装置によれば、紫外線が放射されている状態にあることを確認しやすくすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態を示す紫外線放射装置の斜視図である。
図2】同上紫外線放射装置の断面図である。
図3】第2の実施形態を示す紫外線放射装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態を、図1および図2を参照して説明する。
【0011】
図1に、空気を殺菌する殺菌灯の例を示す。殺菌灯10は、紫外線放射装置11と、この紫外線放射装置11を天井から吊り下げ状態に取り付ける取付装置12とを備えている。なお、本明細書において、「殺菌」の用語は、「除菌」、「滅菌」、「減菌」などに置き換え可能である。
【0012】
図1に加え、図2に、殺菌灯10の長尺に形成された本体15の長手方向に垂直な面の断面図を示す。紫外線放射装置11は、本体15と、この本体15内に配置される発光モジュール16、放熱体17、反射体18および内部蛍光体19と、本体15または本体15とは別の場所に配置される電源装置とを備えている。
【0013】
本体15は、紫外線放射装置11の外郭をなす筐体であり、水平方向である幅方向に長尺に形成されている。本体15は、例えば金属板にて形成されており、上面部22、下面部23および背面部24を有する断面略コ字形で、長手方向の両端を閉塞する端面部25を有する四角形筒状に設けられている。本体15の前面側には、光が外部に出射する出射部26を構成する開口部(本体開口部)27が設けられている。
【0014】
また、発光モジュール16は、基板30と、この基板30の表面に実装された複数の紫外線発光素子31とを備えている。
【0015】
基板30は、長尺な平板状に形成されている。基板30は、放熱性が良好な銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属材料を主成分とする基板ベースを有し、あるいは、紫外線劣化しにくい例えば窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)などの無機材料を主成分とする基板ベースを有している。この基板ベースの表面に絶縁層が形成され、この絶縁層上に接続回路を構成する金属製の配線パターン32が形成されている。基板30の配線パターン32上に複数の紫外線発光素子31が実装されている。
【0016】
複数の紫外線発光素子31は、基板30の長手方向に沿って配列されるように、基板30の配線パターン32上に実装されている。複数の紫外線発光素子31は、接続回路によって直列または直並列に接続されている。紫外線発光素子31は、ピーク波長が300nm以下の紫外線波長域の光(UV-C)であって、好ましくは260~280nmの紫外線波長域の光(以下、紫外線という)を放射する。紫外線発光素子31は、紫外線のみを放射し、可視光波長域の光(以下、可視光という)を含む他の波長域の光を放射しない。紫外線発光素子31は、例えば紫外線LEDなどの半導体発光素子が用いられている。紫外線発光素子31には、基板30の配線パターン32に面実装されるフリップチップ形が用いられてもよいし、基板30の配線パターン32にワイヤを介して電気的に接続されるフェースアップ形が用いられてもよい。
【0017】
紫外線発光素子31は、基板30と反対の表面に垂直な光軸Zを中心とした紫外線の配光角θが、例えば約120°に構成されている。発光モジュール16は、放熱体17に取り付けられて本体15内の下部側に配置され、光軸Zが上方の例えば鉛直方向に向けられている。発光モジュール16は、本体15の前後方向の中央よりも前面側である開口部27側に寄った位置に配置されている。具体的には、図2に示す断面方向に見た場合、紫外線発光素子31の中心が、本体15の下面部23の中心よりも開口部27側に位置するように発光モジュール16は配置される。この配置により、紫外線発光素子31からの一次紫外線が人のいる方向へ直接放射されない構成となるとともに、紫外線発光素子31から照射される光を効率良く外部へ取り出すことができ、殺菌効率を高めることが期待できる。
【0018】
また、放熱体17は、放熱性が良好な銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属材料を主成分としているか、紫外線劣化しにくい例えば窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)などの無機材料を主成分としている。
【0019】
放熱体17は、厚みが反射体18よりも厚い略板状で、長尺に設けられている。放熱体17は、本体15内の下部側に長手方向に沿って配置されている。放熱体17の上面に発光モジュール16の基板30の裏面側が接触して取り付けられ、放熱体17と基板30とが熱的に接続されている。
【0020】
また、反射体18は、放熱性が良好な銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属材料を主成分とするか、紫外線劣化しにくい例えば窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化ケイ素(Si)などの無機材料を主成分としている。
【0021】
反射体18は、放熱体17と別体に設けられて放熱体17に熱的に接続される構成であるが、放熱体17と一体に設けられてもよい。
【0022】
反射体18は、断面略円筒状で、放熱体17の長手方向と略同寸法となる長尺に設けられている。反射体18の前面側には、出射部26を構成する開口部(反射体開口部)35が形成されている。反射体18の内面は、紫外線および可視光を反射する反射面36に形成されている。反射面36は、例えば鏡面などの高い反射率特性を有するように形成されている。反射面36の長手方向に交差する断面形状は、全体に同一半径の円弧状でもよいし、例えば、紫外線発光素子31の光軸Zに対向する上面域と、開口部35に対向して内部蛍光体19が配置される背面域とで異なる反射面形状に設けてもよい。
【0023】
また、本体15の開口部27の下部側から前方に突出部37が突出されている。突出部37は、本体15の開口部27の幅方向(長手方向)の全域に配置され、反射体18の内部に対向する内面側が凹曲面、外面側が凸曲面となる円弧状に形成されているが、直線状に形成されていてもよい。突出部37は、内面側が反射面36に形成され、反射体18の一部として構成されている。なお、突出部37は、例えば黒色として光反射を抑制するようにしてもよいし、反射体18とは別体として構成されてもよい。突出部37は、紫外線発光素子31の配光角θの範囲外に配置され、紫外線発光素子31からの一次紫外線は照射されない。つまり、突出部37は、紫外線発光素子31から照射された光は直接照射されない。また、突出部37は、紫外線発光素子31からの二次紫外線は照射される。つまり、突出部37は、本体15の出射部26から下方へ向けて出射される光(反射体18で反射した紫外線など)の光路上に配置され、下方への紫外線の照射を遮蔽する遮蔽部38として構成されている。
【0024】
また、内部蛍光体19は、少なくとも一部が開口部35に対向する反射体18の背部側の内面(背面部24と対向する面とは反対側の面)に、反射体18の長手方向に沿って例えば塗布によって形成されている。そして、内部蛍光体19の形成された面の少なくとも一部に接する接線に垂直な法線方向(例えば図2のA方向)に出射部26が形成されている。内部蛍光体19は、紫外線発光素子31の配光角θの範囲内に少なくとも一部が配置され、好ましくは全部が配置され、紫外線発光素子31からの一次紫外線が直接入射される。そして、内部蛍光体19は、紫外線の入射によって励起され、可視光を放射する。内部蛍光体19が放射する可視光には、少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分が含まれていることが望ましい。また、内部蛍光体19は、反射体18に配設される蛍光体である。本実施形態においては、反射体18は本体15内に配設されるため内部蛍光体19と呼んでいるが、内部蛍光体19は、本体15内に配設されなくてもよい。例えば、反射体18が、突出部37とは異なる形で本体15から突出する構造となっており、その反射体18の突出箇所に内部蛍光体19が配設されてもよい。
【0025】
例えば、内部蛍光体19の下部側は開口部35の下部側よりも上側に位置されてもよい。開口部35の下部側で反射もしくは内部蛍光体19で変換された光の多くは、開口部35から上方に向けて(例えば、天井に向かって)取り出される。開口部35から上方に向けて取り出された可視光は視認性の向上にはそれほど寄与しないため、内部蛍光体19の下部側は開口部35の下部側よりも上側に位置されることが好ましい。また、内部蛍光体19の上部側は開口部35の上部側よりも下側に位置されてもよい。この構成により、内部蛍光体19で変換された光が、開口部35より上側の反射体18で反射することを抑制することができ、より多くの可視光を外部に取り出すことが期待できる。つまり、可視光の視認性の向上が期待できる。また、内部蛍光体19の上部側は開口部35の上部側よりも上側に位置されてもよい。開口部35の上部側で反射もしくは内部蛍光体19で変換された光の多くは、開口部35から下方に向けて(例えば、床面に向かって)取り出される。そのため、開口部35から下方に向けて取り出された可視光は、人の目に届きやすく視認性の向上に寄与することが期待できる。このように、開口部35の上部側(上半分)からは、紫外線が支配的に取り出され、開口部35の下部側(下半分)からは、可視光が支配的に取り出されるように、反射体18(内部蛍光体19)が形成されることが望ましい。ここでの支配的とは、例えば、放射束の大小である。開口部35の上部側(上半分)からは紫外線の放射束が多くなるように取り出され、開口部35の下部側(下半分)からは、可視光の放射束が多くなるように取り出される。また、ここでの支配的とは、例えば、光の割合である。開口部35の上部側(上半分)からは、開口部35の下部側(下半分)から取り出される紫外線よりも規定数以上の紫外線が取り出されるように構成され、開口部35の下部側(下半分)からは、開口部35の上部側(上半分)から取り出される可視光よりも規定数以上の可視光が取り出されるように構成される。ここでの規定数は、光の出力を示す値(放射束、スペクトル強度、照度、光束など)で定められる。そして、例えば規定数としては10倍が定められるが、任意の倍数であってもよい。
【0026】
また、電源装置は、例えば商用交流電源からの交流電力を所定の直流電力に変換して発光モジュール16に供給し、紫外線発光素子31を点灯させる。電源装置は、例えば本体15の内部または外部に配置される。本体15の内部に配置される場合には、下面部23や背面部24と反射体18との間に配置され、また、本体15の外部に配置される場合には、本体15の上面や背面に配置される。なお、電源装置は、天井や取付装置12に配置してもよい。
【0027】
また、取付装置12は、天井面に設置されるサポート、上端がサポートに取り付けられるとともに下端に紫外線放射装置11が取り付けられるパイプ41、およびサポートを覆うカバー42などを備えている。天井からの電源線がパイプ41内に配線されて電源装置に電気的に接続される。なお、取付装置12は、鎖やワイヤなどの吊具で紫外線放射装置11を吊り下げ、電源線を電源装置に電気的に接続してもよい。
【0028】
そして、紫外線放射装置11の電源装置に給電されることにより、紫外線発光素子31が点灯され、紫外線発光素子31から紫外線が放射される。紫外線発光素子31から放射された一次紫外線のうち、一部が光軸Z上に位置する反射体18の上部域に照射され、さらに一部が開口部35から外部に出射され、さらに一部が内部蛍光体19に照射される。
【0029】
反射体18に照射された紫外線が反射面36で反射され、反射された紫外線のうち、一部が開口部35から外部に出射され、さらに一部が反射体18の内部で反射されて開口部35から外部に出射され、さらに一部が内部蛍光体19に照射される。
【0030】
内部蛍光体19は、紫外線の照射により励起され、可視光が放射される。内部蛍光体19から放射された可視光のうち、一部が対向する開口部35から外部に直接出射され、さらに一部が反射体18の反射面36に照射され、さらに反射面36で反射された可視光が開口部35から外部に出射されたり内部蛍光体19に照射される。内部蛍光体19からは全方向に可視光が放射されるため、可視光が照射される反射体18の反射面36は内部蛍光体19が形成されている背部域も含まれた全域となる。そのため、内部蛍光体19から背面方向に放射された可視光は、反射体18の背部域の反射面36で反射して前方へ反射される。
【0031】
本体15の開口部27の下部側には突出部37つまり遮蔽部38が突出されているため、反射体18の内部から開口部27を通じて下方へ向かう紫外線が遮蔽され、下方への紫外線の照射が抑制される。
【0032】
また、紫外線発光素子31が発生する熱は放熱体17に伝達され、励起によって蛍光体が発生する熱が反射体18に伝達され、これら放熱体17および反射体18から空気中に放熱され、さらに放熱体17および反射体18から本体15に伝達されて本体15から空気中に放熱される。
【0033】
そして、紫外線放射装置11の紫外線発光素子31の点灯時には、内部蛍光体19から可視光が放射され、さらに、内部蛍光体19から放射された可視光が開口部27から外部に出射されて天井面などに照射され、および反射体18の反射面36に照射され、これら可視光を視認することで、紫外線が放射されている状態にあることを確認することができる。
【0034】
本実施形態の紫外線放射装置11では、内部蛍光体19の少なくとも一部が出射部26に対向する位置に設けられることにより、すなわち内部蛍光体19の少なくとも一部に接する接線に垂直な法線方向と出射部26とが一致されることにより、内部蛍光体19から放射される可視光の視認性が向上し、紫外線が放射されている状態にあることを確認しやすくできる。
【0035】
さらに、内部蛍光体19の少なくとも一部が紫外線発光素子31の配光角θの範囲内に配置され、内部蛍光体19に紫外線発光素子31からの一次紫外線が直接入射されることにより、内部蛍光体19からの可視光の放射効率が向上し、可視光の視認性を向上できる。
【0036】
また、内部蛍光体19が放射する可視光に360nmから420nmのUV-Aの波長成分が含まれている場合には、可視光が照射される箇所で活性酸素が生成され、殺菌効果を高めることができる。
【0037】
また、DNAの紫外線吸収スペクトルは、260nmに吸収ピーク波長を持ち、300nmではピーク値の1/25を下回る吸収値となることから、紫外線発光素子31が放射する紫外線の波長は300nm以下、好ましくは260~280nmであることにより、効率良く殺菌効果を得ることができる。
【0038】
また、本体15の開口部27の下部側から前方に突出部37である遮蔽部38が突出されているため、本体15内から開口部27を通じて下方へ向かう紫外線を遮蔽し、下方への紫外線の照射を抑制できる。
【0039】
また、放熱体17は紫外線発光素子31が発生する熱を吸収する熱容量を確保するために質量が大きいが、本体15の下部側に配置されるため、紫外線放射装置11の吊り下げ時の姿勢を安定させることができる。
【0040】
次に、図3に第2の実施形態を示す。
【0041】
突出部37が、第1の実施形態において遮蔽部38を構成するのに代えて、可視光放射部50を構成している。可視光放射部50は、可視光を透過する透明な可視光透過部材51と、この可視光透過部材51の内面に設けられた外部蛍光体52とを備えている。外部蛍光体52は、突出部37に配設される蛍光体である。本実施形態においては、突出部37は本体15外に配設されるため外部蛍光体52と呼んでいるが、外部蛍光体52は、本体15外に配設されなくてもよい。例えば、突出部37が、本体15内にも位置するように配設されており、その突出部37の本体15内に位置する箇所に外部蛍光体52が配設されてもよい。
【0042】
可視光透過部材51は、可視光を透過する透明なガラスで形成されている。なお、可視光透過部材51は、紫外線劣化しにくく、紫外線を吸収し、可視光は透過する例えばホウケイ酸ガラスなどの無機材料を主成分として形成されていてもよい。
【0043】
外部蛍光体52は、紫外線の入射によって励起され、可視光を放射する。外部蛍光体52は、可視光のみを放射し、紫外線を透過せず、つまり紫外線を放射しない構成でもよい。外部蛍光体52が放射する可視光には、内部蛍光体19と同様に、少なくとも360nmから420nmのUV-Aの波長成分が含まれていることが望ましい。
【0044】
そして、紫外線発光素子31の点灯時に、反射体18の反射面36で反射された紫外線の一部が外部蛍光体52に照射される。外部蛍光体52は、紫外線の照射により励起されて可視光が放射される。外部蛍光体52から放射された可視光の一部は可視光透過部材51を透過して外部に照射され、さらに一部は反射体18の内部に照射される。
【0045】
そのため、可視光放射部50および反射体18の内部が光り、可視光の視認性が向上し、紫外線が放射されている状態にあることを確認しやすくできる。
【0046】
なお、可視光放射部50を備える場合、内部蛍光体19は備えなくてもよいが、内部蛍光体19を備えることで、可視光の視認性をより向上できる。
【0047】
なお、上述した各実施形態において、出射部26は紫外線および可視光を透過可能なカバーで閉塞されていてもよい。この場合、例えば、本体15の両端に通気口を設け、少なくとも一端側にファンを設けることにより、ファンにより本体15の外部と内部とで空気を循環させ、空気の殺菌効率を向上させるとともに、放熱性を向上させてもよい。
【0048】
また、紫外線放射装置11は、吊り下げ形を説明したが、壁面などに設置する直付け形または埋込形にも適用できる。
【0049】
また、上述した実施形態では、本体15の下面部23側に、発光モジュール16と放熱体17を、配設する構造を示したが、発光モジュール16と放熱体17は、本体15の上面部22側に配設されてもよい。この場合、反射体18の上部側に空隙が配設され、その空隙部分に発光モジュール16と放熱体17が配設される。そして、発光モジュール16からは、下方に向けて光が照射される。なお、突出部37の位置は上述した実施形態と同様の位置である。(図2図3と同様の位置)。また、本体15の上面部22側に発光モジュール16と放熱体17を配設する場合は、発光モジュール16は、本体15の前後方向の中央よりも後面側である本体15の背面部24に寄った位置に配置されることが好ましい。言い換えれば、紫外線発光素子31の中心が、本体15の上面部22の中心よりも背面部24側に位置するように発光モジュール16は配置されることが好ましい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
11 紫外線放射装置
15 本体
18 反射体
19 内部蛍光体
26 出射部
27 開口部
31 紫外線発光素子
37 突出部
50 可視光放射部
51 可視光透過部材
52 外部蛍光体
図1
図2
図3