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特開2022-148664コンベヤローラの取付構造、コンベヤ装置、並びに、コンベヤローラの取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148664
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】コンベヤローラの取付構造、コンベヤ装置、並びに、コンベヤローラの取付方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/12 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B65G39/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050423
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】西村 厚
(72)【発明者】
【氏名】長澤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033BB01
3F033BC02
3F033BC04
3F033GA06
3F033GB01
3F033GC05
(57)【要約】
【課題】歯車で動力を伝達するコンベヤ装置の組み立て作業を容易化することが可能な技術を提供する。
【解決手段】コンベヤローラの取付構造において、フレーム部材は、フレーム側係合部38を有し、ローラ部材2は、ローラ本体15と、軸部21を有するものとする。軸部21は、歯車部材6が取り付けられる歯車固定部を備えたものとする。取付部材5は、軸部21を挿通させて支持する軸支持部51aと、フレーム側係合部38と係合する取付側係合部55,56を有するものとする。軸支持部51aに軸部21を挿通し、ローラ本体2と歯車固定部が取付部材5を挟んで両側に位置した状態で、取付部材5をフレーム部材3に上方又は下方から差し込むことが可能であり、フレーム部材3に差し込むことで取付側係合部55,56がフレーム側係合部38と係合し、軸部21が取付部材5を介してフレーム部材に支持されるものとする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部材にローラ部材を取り付けて形成されるコンベヤ装置において、取付部材を介して前記ローラ部材を前記フレーム部材に取り付けるコンベヤローラの取付構造であって、
前記フレーム部材は、フレーム側係合部を有し、
前記ローラ部材は、ローラ本体と、軸部を有し、
前記軸部は、歯車部材が取り付けられる歯車固定部を備え、前記軸部と前記歯車部材が共に回転するものであり、
前記取付部材は、前記軸部を挿通させて支持する軸支持部と、前記フレーム側係合部と係合する取付側係合部を有し、
前記軸支持部に前記軸部を挿通し、前記ローラ本体と前記歯車固定部が前記取付部材を挟んで両側に位置した状態で、前記取付部材を前記フレーム部材に上方又は下方から差し込むことが可能であり、
前記フレーム部材に差し込むことで前記取付側係合部が前記フレーム側係合部と係合し、前記軸部が前記取付部材を介して前記フレーム部材に支持される、コンベヤローラの取付構造。
【請求項2】
前記取付部材は、前記取付側係合部の一つとして係合溝部を有し、
前記係合溝部は、前記取付部材の縁部分に形成される溝部分であり、前記取付部材の下方及び両側方からなる3方のうちの1以上に形成される溝部分である、請求項1に記載のコンベヤローラの取付構造。
【請求項3】
前記取付部材は、前記取付側係合部の一つとして係合爪部を有し、
前記係合爪部は、片持ち状に延びた支持部と、前記支持部の先端側に形成された係止部とを有し、且つ、前記フレーム部材に差し込むことで弾性変形する、請求項1又は2に記載のコンベヤローラの取付構造。
【請求項4】
前記軸支持部は、周囲と一体に設けられた軸受部材によって構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のコンベヤローラの取付構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤローラの取付構造により、前記ローラ部材が前記フレーム部材に取り付けられている、コンベヤ装置。
【請求項6】
前記コンベヤローラを複数有し、それぞれの前記コンベヤローラに前記歯車部材が取り付けられ、
2つの前記コンベヤローラにそれぞれ取り付けられた2つの前記歯車部材が、間に設けられた一又は複数の連動用歯車部材を介して連動することで、2つの前記コンベヤローラの間で動力が伝達される、請求項5に記載のコンベヤ装置。
【請求項7】
前記コンベヤローラを複数有し、前記コンベヤローラは、動力源となる駆動ローラと、前記駆動ローラと共に回転する従動ローラを含む、請求項5又は6に記載のコンベヤ装置。
【請求項8】
前記フレーム部材に取り付けられるカバー部材を有し、
前記取付部材の上方に隣接する位置に、前記カバー部材の少なくとも一部が位置する、請求項5乃至7のいずれかに記載のコンベヤ装置。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤローラの取付構造により、前記コンベヤローラを前記フレーム部材に取り付けるコンベヤローラの取付方法であり、
前記コンベヤローラは、前記軸部となる第一軸部と、第二軸部を有し、
前記フレーム部材は、対となる第一サイドフレーム部と第二サイドフレーム部を有し、
前記第一軸部と前記第二軸部のそれぞれを前記第一サイドフレーム部と前記第二サイドフレーム部に取り付ける取付方法であって、
前記第一軸部を前記軸支持部に挿通し、前記第一軸部の前記歯車固定部に前記歯車部材を取り付ける第一工程と、
前記第二軸部を前記第二サイドフレーム部の軸挿通孔に挿通する第二工程と、
前記第一工程及び前記第二工程の後に、前記取付部材を前記第一サイドフレーム部に差し込む第三工程を含む、コンベヤローラの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置におけるコンベヤローラの取付構造に関する。また、そのようなコンベヤローラの取付構造でコンベヤローラを取り付けたコンベヤ装置に関する。また、コンベヤローラの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組み立てラインや、宅配便の集荷場では、搬送物の搬送にコンベヤ装置が使用されている。このようなコンベヤ装置として、ベルトコンベヤやローラコンベヤがある。
例えば、このようなローラコンベヤとして、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1のローラコンベヤは、一般的なローラコンベヤと同様に、平行に配置される左右一対のサイドフレームからなるフレーム部材と、複数のコンベヤローラ(搬送ローラ)を有しており、それぞれのコンベヤローラが2つのサイドフレームに軸支されている。詳細には、コンベヤローラの長手方向の片側に位置する軸部分が、一方のサイドフレームの軸受孔に挿通され、他方側に位置する軸部分が他方のサイドフレームの軸受孔に挿通されている。そして、コンベヤローラの本体部分が2つのサイドフレームの間で回転する。
【0003】
また、コンベヤローラのうちの一つは、駆動ローラとなるモータ内蔵ローラであり、他のコンベヤローラは、自由に回転する従動ローラとなっている。隣接するコンベヤローラ同士は伝動ベルトで巻回されており、駆動ローラが回転することで、全ての従動ローラが回転する。なお、このローラコンベヤは、コンベヤローラとして機能するローラ部分を備えたストッパ部材が設けられたものである。
【0004】
また、特許文献2には、複数のローラを有するローラ式コンベア(ローラコンベヤ)が開示されている。このローラ式コンベアでは、それぞれのローラが、ローラ部と歯車部とを有しており、これらが共に回転する。そして、隣接する2つのローラの歯車部同士の間にフレームに取り付けられた他の歯車が位置している。つまり、特許文献2のローラ式コンベアでは、歯車によって隣接するローラ同士の間で動力が伝達され、隣接するローラ同士が連動して回転する。
【0005】
また、特許文献2における実施形態1のローラ式コンベアでは、ローラの軸部分となるガイドピンを、フレームの一部である支持部の上に載置し、フレームにカバーを取り付ける。このとき、カバーの下縁に形成された凹部によってガイドピンを押さえ、ローラをフレームに取り付ける。
なお、特許文献2における実施形態2のローラ式コンベアでは、ローラ部と歯車部を有するローラをフレームの壁部分に形成された軸受孔に挿通することで、フレームの壁部分の内側にローラ部を配し、フレームの壁部分の外側に歯車部を配する。このローラは、平行に延びるフレームの一方のみに支持されるローラとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-70123号公報
【特許文献2】特開2001-171816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、特許文献1に開示されたようなコンベヤ装置において、隣接するコンベヤローラ同士の動力の伝達を伝動ベルトではなく、歯車で行うことを考えた。そして、そのようなコンベヤ装置を実際に試作してみたところ、コンベヤ装置の組み立てが非常に煩雑であった。
すなわち、このようなコンベヤ装置では、コンベヤローラの軸部分をフレーム部材の軸受け孔に挿通してコンベヤローラを取り付けた後、フレーム部材の外側からコンベヤローラの軸部分に歯車部材を取り付ける必要があった。しかしながら、コンベヤ装置を狭い場所に構築する場合等において、組み立て作業がやり難く、組み立てに時間を要してしまう場合があった。
【0008】
また、上記した特許文献2における実施形態1のローラ式コンベアでは、ローラの軸部分を支持部の上に位置合わせをして載置し、さらに、カバーを取り付ける際にローラの軸部分の上にカバーの凹部を合わせて取り付けねばならず、組み立て作業が困難であった。
さらに、上記した特許文献2における実施形態2のローラ式コンベアでは、フレームの内側からローラを軸受孔に挿通するので、歯車部の大きさが軸受孔を通過可能な大きさとなる必要がある。すなわち、採用可能な歯車の大きさの自由度が低いという問題がある。また、特許文献1のように、1つのコンベヤローラを2つのサイドフレームで支持する構造とする場合、ローラの端部を軸受孔に挿通する作業が極めて困難となり、延いては、組み立て作業が困難となる。
【0009】
すなわち、従来のコンベヤ装置では、コンベヤ装置の組み立て作業を容易化するという観点から、改良の余地があった。特に、コンベヤローラ(ローラ部材)の軸部に別途形成された歯車を取り付ける作業が必要な場合において、コンベヤ装置の組み立て作業を容易化する上で改良の余地があった。
【0010】
そこで本発明は、歯車で動力を伝達するコンベヤ装置の組み立て作業を容易化することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、フレーム部材にローラ部材を取り付けて形成されるコンベヤ装置において、取付部材を介して前記ローラ部材を前記フレーム部材に取り付けるコンベヤローラの取付構造であって、前記フレーム部材は、フレーム側係合部を有し、前記ローラ部材は、ローラ本体と、軸部を有し、前記軸部は、歯車部材が取り付けられる歯車固定部を備え、前記軸部と前記歯車部材が共に回転するものであり、前記取付部材は、前記軸部を挿通させて支持する軸支持部と、前記フレーム側係合部と係合する取付側係合部を有し、前記軸支持部に前記軸部を挿通し、前記ローラ本体と前記歯車固定部が前記取付部材を挟んで両側に位置した状態で、前記取付部材を前記フレーム部材に上方又は下方から差し込むことが可能であり、前記フレーム部材に差し込むことで前記取付側係合部が前記フレーム側係合部と係合し、前記軸部が前記取付部材を介して前記フレーム部材に支持される、コンベヤローラの取付構造である。
【0012】
本様相のコンベヤローラの取付構造によると、作業をやり易い場所で予めローラ部材の軸部に歯車部材を取り付け、ローラ部材に歯車部材を取り付けた状態で、ローラ部材をフレーム部材に取り付けることができる。加えて、取付部材をフレーム部材に上方又は下方から差し込むことで、ローラ部材の軸部がフレーム部材に支持された状態となるので、上下の二部材にそれぞれ形成された凹部等でローラ部材の軸部を挟んで支持するような構造に比べ、位置合わせが容易である。これらのことから、コンベヤ装置の組み立て作業を容易化できる。また、フレーム部材の軸孔に歯車部材を取り付けた軸部を挿通する必要がなく、取り付ける歯車部材の大きさの自由度が高い。
【0013】
上記した様相は、前記取付部材は、前記取付側係合部の一つとして係合溝部を有し、前記係合溝部は、前記取付部材の縁部分に形成される溝部分であり、前記取付部材の下方及び両側方からなる3方のうちの1以上に形成される溝部分であることが好ましい。
【0014】
この好ましい様相によると、簡易な構成で取付部材とフレーム部材を係合させることが可能であり、フレーム部材と係合させた取付部材の不意のずれを防止できる。
【0015】
上記した様相は、前記取付部材は、前記取付側係合部の一つとして係合爪部を有し、前記係合爪部は、片持ち状に延びた支持部と、前記支持部の先端側に形成された係止部とを有し、且つ、前記フレーム部材に差し込むことで弾性変形することが好ましい。
【0016】
この好ましい様相によると、取付部材とフレーム部材を強固に係合させることが可能である。
【0017】
上記した様相は、前記軸支持部は、周囲と一体に設けられた軸受部材によって構成されていることが好ましい。
【0018】
この好ましい様相では、周囲の本体部分と軸受部材が一体化された取付部材により、ローラ部材の軸部をフレーム部材に支持させる。このため、別途ベアリング等の取付作業を行う必要がなく、好ましい。
【0019】
本発明の他の様相は、上記したコンベヤローラの取付構造により、前記ローラ部材が前記フレーム部材に取り付けられている、コンベヤ装置である。
【0020】
本様相のコンベヤ装置は、組み立て作業が容易である。
【0021】
上記した様相は、前記コンベヤローラを複数有し、それぞれの前記コンベヤローラに前記歯車部材が取り付けられ、2つの前記コンベヤローラにそれぞれ取り付けられた2つの前記歯車部材が、間に設けられた一又は複数の連動用歯車部材を介して連動することで、2つの前記コンベヤローラの間で動力が伝達されることが好ましい。
【0022】
上記した様相は、前記コンベヤローラを複数有し、前記コンベヤローラは、動力源となる駆動ローラと、前記駆動ローラと共に回転する従動ローラを含むことが好ましい。
【0023】
この好ましい様相では、搬送路の下側といった搬送路の周辺にモータ等の動力源を別途設けたりする必要がなく、搬送路の周辺に広くスペースを確保することが可能となる。
【0024】
上記した様相は、前記フレーム部材に取り付けられるカバー部材を有し、前記取付部材の上方に隣接する位置に、前記カバー部材の少なくとも一部が位置することが好ましい。
【0025】
この好ましい様相では、運用時の取付部材のがたつきを防止できる。
【0026】
本発明の他の様相は、上記したコンベヤローラの取付構造により、前記コンベヤローラを前記フレーム部材に取り付けるコンベヤローラの取付方法であり、前記コンベヤローラは、前記軸部となる第一軸部と、第二軸部を有し、前記フレーム部材は、対となる第一サイドフレーム部と第二サイドフレーム部を有し、前記第一軸部と前記第二軸部のそれぞれを前記第一サイドフレーム部と前記第二サイドフレーム部に取り付ける取付方法であって、前記第一軸部を前記軸支持部に挿通し、前記第一軸部の前記歯車固定部に前記歯車部材を取り付ける第一工程と、前記第二軸部を前記第二サイドフレーム部の軸挿通孔に挿通する第二工程と、前記第一工程及び前記第二工程の後に、前記取付部材を前記第一サイドフレーム部に差し込む第三工程を含む、コンベヤローラの取付方法である。
【0027】
本様相においても、コンベヤ装置の組み立て作業を容易化できる。また、取り付ける歯車部材の大きさの自由度が高い。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、歯車で動力を伝達するコンベヤ装置の組み立て作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係るコンベヤ装置を示す図であり、(a)は、斜視図であり、(b)は搬送方向と直交する方向からみた側面図である。
図2図1の駆動ローラを示す模式的に示す機構図である。
図3図1の上側第一フレーム部を示す斜視図であり、一部を拡大して示す。
図4図1の取付部材を示す斜視図であり、(a)は、前側からみた斜視図であり、(b)は、取付部材を天地逆にして後側からみた斜視図である。
図5図1の取付部材を示す正面図である。
図6図1のコンベヤ装置を組み立てる様子を示す説明図であり、(a)は、搬送ローラの一端側の軸部を上側第二フレーム部の軸孔に挿通し、他端側の軸部に取付部材及び歯車部材を取り付ける様子を示す。(b)は、(a)に続いて取付部材を上側第一フレーム部と係合させる様子を示す。
図7】取付部材を上側第一フレーム部に係合させる様子を模式的に示す説明図であり、歯車部材を省略して示す図であって、(a)、(b)の順に係合させる。
図8図7に続いて取付部材を上側第一フレーム部に係合させる様子を模式的に示す説明図であり、歯車部材を省略して示す図であって、(a)~(c)の順に係合させる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係るコンベヤ装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0031】
本実施形態のコンベヤ装置1は、所謂ローラコンベヤであり、図1(a)で示されるように、複数の搬送ローラ2(ローラ部材)と、フレーム部材3を備えている。そして、詳しくは後述するが、搬送ローラ2の固定軸が取付部材5を介してフレーム部材3に支持されている(図6等参照)。
また、複数の搬送ローラ2は、間隔を空けて並列配置されており、それぞれの搬送ローラ2の片側軸に歯車部材6が取り付けられている(図1(b)参照)。このことから、図1(b)で示されるように、複数の歯車部材6もまた、搬送方向で間隔を空けて並列配置されている。ここで、複数の歯車部材6によって構成される歯車列において、隣接配置される2つの歯車部材6は、これらの間に位置する連動用歯車部材7と噛合している。
【0032】
すなわち、搬送方向の上流側から一番目の歯車部材6と、二番目の歯車部材6が、搬送方向の上流側から一番目の連動用歯車部材7と噛合している。以下同様に、同二番目の歯車部材6と同三番目の歯車部材6が、同二番目の連動用歯車部材7と噛合しており、同三番目の歯車部材6と同四番目の歯車部材6が、同三番目の連動用歯車部材7と噛合している、といった具合である。
つまり、いずれか一つの搬送ローラ2が回転すると、歯車部材6、連動用歯車部材7によって構成される歯車列によって動力が伝達され、他の搬送ローラ2もまた同方向に回転する。
【0033】
複数の搬送ローラ2は、本実施形態では、図1(a)で示されるように、一つが動力源となる駆動ローラ10(ローラ部材)であり、その他が自由に回転する従動ローラ11(ローラ部材)である。
【0034】
駆動ローラ10は、図2で示されるように、ローラ本体15の内部にモータ16と、減速機17と、回路基板等(図示しない)が内蔵されたものである。ローラ本体15は、長手方向の両端が開口した金属製の筒体であり、同両端が閉塞部材19,20によって閉塞されている。
2つの閉塞部材19,20には、第一固定軸21(軸部、第一軸部)、第二固定軸22(軸部、第二軸部)がそれぞれ取り付けられている。つまり、駆動ローラ10は、ローラ本体15の長手方向の両端に2つの固定軸(第一固定軸21、第二固定軸22)を有する。そして、2つの固定軸のそれぞれが、ローラ本体15の長手方向の端部で、外側に向かって軸方向に突出する。このため、第一固定軸21の外部に露出した部分と、第二固定軸22の外部に露出した部分の間にローラ本体15が位置する。
【0035】
ここで、本実施形態の駆動ローラ10は、2つの閉塞部材19,20が、ローラ本体15に対して相対回転しない状態で取り付けられている。そして、第一固定軸21と第二固定軸22がそれぞれ別の閉塞部材19,20に相対回転しない状態で固定されている。つまり、2つの固定軸が、ローラ本体15及び2つの閉塞部材19,20に対して相対回転しない構造としており、モータ16が稼働してローラ本体15が回転すると、2つの固定軸も共に回転する。
【0036】
ここで、一般的なモータ内蔵ローラでは、2つの固定軸が閉塞部材に対して軸受け(ベアリング)を介して回転可能に取り付けられており、閉塞部材に対して相対回転可能となっている。このことから、一般的なモータ内蔵ローラが2つのサイドフレームに軸支された状態でモータを稼働すると、ローラ本体が回転する一方で2つの固定軸は回転しない。
つまり、本実施形態の駆動ローラ10は、モータ16の稼働に伴ってローラ本体15と共に2つの固定軸が回転するという点が、一般的なモータ内蔵ローラとは異なる。
【0037】
本実施形態の従動ローラ11もまた、円筒状のローラ本体と、ローラ本体の両端にそれぞれ位置する2つの固定軸(軸部、第一軸部、第二軸部)を有しており、2つの固定軸のそれぞれが閉塞部材を介してローラ本体に固定されている(詳細な図示を省略する)。そして、ローラ本体に2つの閉塞部材が相対回転しない状態で固定され、2つ閉塞部材のそれぞれに固定軸が相対回転しない状態で固定されている。つまり、従動ローラ11もまた、2つの固定軸がローラ本体に対して相対回転せず、一体に回転する構造としている。したがって、従動ローラ11は、一方の固定軸が回転すると、それに伴ってローラ本体と他方の固定軸が回転する。すなわち、少なくとも一方の固定軸が回転することで、ローラ本体が回転する。なお、2つの固定軸のうち、上記した歯車部材6が取り付けられる固定軸がローラ本体と共に回転する構造であればよく、他方の固定軸は、閉塞部材に対して相対回転するものとしてもよい。
【0038】
フレーム部材3は、図1(a)で示されるように、上部フレーム部3aと、下部フレーム部3bを有している。そして、上部フレーム部3aを下部フレーム部3bの上に載置した状態とし、上部フレーム部3aと下部フレーム部3bを一体に固定することで、フレーム部材3が組み立てられる。
【0039】
上部フレーム部3aは、一対のサイドフレームである上側第一フレーム部30(第一サイドフレーム部)及び上側第二フレーム部31(第二サイドフレーム部)と、カバー部材32を有する。
上側第一フレーム部30は、図3で示されるように、側壁形成部35と、上側板部36と、下側板部37を有する。
【0040】
側壁形成部35は、搬送方向に延びる長尺状の部材であり、搬送方向と直交する方向に厚さを有する立板状の部分である。側壁形成部35には、複数のローラ取付部38(フレーム側係合部)が設けられている。複数のローラ取付部38は、搬送方向で間隔を空けて並列配置するように、それぞれが形成されている。
【0041】
ローラ取付部38は、切欠溝状の部分であり、側壁形成部35の一部が欠落して形成された欠落部分である。すなわち、ローラ取付部38は、側壁形成部35を厚さ方向に貫通する。
【0042】
ローラ取付部38は、取付溝部40と係止部41を有する。
取付溝部40は、搬送方向に幅を有し、側壁形成部35の上端から下方に向かって延びる切欠溝状の部分である。本実施形態の取付溝部40は、側壁形成部35の厚さ方向を視線方向とする平面視において、外形が略長方形状(略四角形状)となっている。
本実施形態の取付溝部40は、上方が開放され、側壁形成部35の高さ方向における中途部分まで延びる溝である。また、取付溝部40は、内周部分に、搬送方向で離間対向する側壁面40a,40bと、これらの間で延びる下側面40cを有する。
【0043】
ここで、取付溝部40と側壁形成部35の上面との境界(側壁面40a,40bと側壁形成部35の上面との境界)となる2つの角部分は、丸みを帯びた形状となっている。また、取付溝部40の下側に位置する角部分(下側面40cと側壁面40a,40bの境界となる角部分)もまた、丸みを帯びた形状となっている。
【0044】
係止部41は、対となる2つの小溝部41aによって構成されている。2つの小溝部41aは、搬送方向で離れた位置にそれぞれ形成されており、いずれも取付溝部40と連続する欠落部分であって、互いに離れる方向に延びている。詳細には、一方の小溝部41aが、側壁面40aと連続する部分であり、取付溝部40(側壁面40a)から搬送方向の上流側に延びている。そして、他方の小溝部41aが、側壁面40bと連続する部分であり、取付溝部40(側壁面40b)から搬送方向の下流側に延びている。
なお、搬送方向は、取付溝部40の延び方向(上下方向)と交わる方向でもある。
ここで、2つの小溝部41aは、同じ高さに形成され、搬送方向で離間対向している。つまり、2つの小溝部41aは、取付溝部40の延び方向における中途部分(取付溝部40の上端と下端の間)で互いに離れる方向に延びている。本実施形態では、小溝部41aは、側壁形成部35の厚さ方向を視線方向とする平面視において、外形が略四角形状(略正方形状)となっている。
【0045】
上側板部36と下側板部37は、いずれも平板状の部分であり、それぞれ側壁形成部35の上端部分や下端部分と連続する。すなわち、側壁形成部35の上端部分や下端部分を内側に折り曲げて形成されている。
上側板部36は、複数設けられ、搬送方向で間隔を空けて並列配置されている。上側板部36は、カバー部材32(図1(a)参照)が載置される部分であり、カバー部材32を取り付けるための取付用孔が設けられている。
【0046】
上側第二フレーム部31は、図1(a)で示されるように、側壁形成部43と、上側板部44と、下側板部45を有する。
【0047】
側壁形成部43は、搬送方向に延びる長尺状の部材であり、搬送方向と直交する方向に厚さを有する立板状の部分である。側壁形成部43には、上記したローラ取付部38に替わって、軸孔43a(軸挿通孔、図6参照)が設けられている点において、上記した上側第一フレーム部30の側壁形成部35とは異なる。軸孔43aは、側壁形成部43を厚さ方向に貫通する孔であり、搬送ローラ2の固定軸(第二固定軸22)を略丁度挿通可能な孔である。軸孔43aは、複数設けられ、搬送方向で間隔を空けて並列配置されている。
【0048】
上側板部44と、下側板部45は、いずれも平板状の部分であり、それぞれ側壁形成部43の上端部分、下端部分と連続する。すなわち、側壁形成部43の上端部分、下端部分を内側に折り曲げて形成されている。また、上側板部44は、複数設けられ、搬送方向で間隔を空けて並列配置されている。
【0049】
カバー部材32は、図1(a)で示されるように、平板状の部材であり、上側板部36(図3参照)の上に載置され、上側板部36に一時締結要素等を介して一体に取り付けられる。なお、ここでいう「一時締結要素」とは、締結要素の一種であり、原則的に破壊せずに取り外しが可能な締結要素をいい、例えば、ねじや、ボルトナットの組み合わせなどをいう。
カバー部材32が上側第一フレーム部30に取り付けられると、図1(b)で示されるように、カバー部材32の一部が、ローラ取付部38及び取付部材5の上側に隣接する位置に配される。また、他の一部が、図1(a)で示されるように、搬送方向と直交する方向で外側に向かって張り出た(片持ち状に張り出た)状態となる。すなわち、カバー部材32の一部が、あたかも庇のように、歯車部材6と連動用歯車部材7によって形成されるギア列の上方に配される。
【0050】
下部フレーム部3bは、図1(a)で示されるように、一対の下側第一フレーム部47と、下側第二フレーム部48を有する。
下側第一フレーム部47は、立壁状の下側側壁形成部47aと、平板状の下側載置板部47bを有する。
【0051】
下側側壁形成部47aは、搬送方向と直交する方向に厚さを有する立板状の部分である。下側載置板部47bは、下側側壁形成部47aの上端と連続する部分であり、下側側壁形成部47aの上端部分を内側に折り曲げて形成されている。この下側載置板部47bは、上側第一フレーム部30(下側板部37)が載置される部分である。
【0052】
下側側壁形成部47aには、複数の連動用歯車部材7が回転可能に軸支されている。連動用歯車部材7は、上記したように、2つの歯車部材6間に配され、一方の歯車部材6の動力を他方の歯車部材6に伝達する部材である。複数の連動用歯車部材7は、下側側壁形成部47aの外側(厚さ方向の外側)に配され、間隔を空けて並列配置されている。そして、連動用歯車部材7は、それぞれの回転軸が搬送方向と直交する方向に延びている。すなわち、連動用歯車部材7の回転軸は、歯車部材6の回転軸と延び方向が同じとなっている。
【0053】
下側第二フレーム部48もまた、立壁状の下側側壁形成部48aと、平板状の下側載置板部48bを有する。下側側壁形成部48aは、搬送方向と直交する方向に厚さを有する立板状の部分であり、上記した下側側壁形成部47aと離間対向するように配される。下側載置板部48bは、下側側壁形成部48aの上端と連続する部分であり、下側側壁形成部48aの上端部分を内側に折り曲げて形成されている。この下側載置板部47bは、上側第二フレーム部31が載置される部分である。
【0054】
続いて、取付部材5について説明する。なお、以下の説明において、搬送方向を左右方向とも称し、搬送方向の上流側を左側(左方)、搬送方向の下流側を右側(右方)とも称す。さらに、搬送方向と直交する方向を前後方向とも称し、上側第一フレーム部30の外側を前側(前方)、内側を後側(後方)とも称す。
【0055】
取付部材5は、図4図5で示されるように、合成樹脂製の本体部50と、軸受部材51が一体に形成されている。軸受部材51は、ベアリングであり、搬送ローラ2の固定軸を挿入する軸孔51a(軸支持部)を有する。この軸孔51aは、取付部材5を厚さ方向に貫通する部分となる。
【0056】
取付部材5は、前後方向に厚さを有する厚板状の部材である。取付部材5は、本体部50の上部の幅方向(左右方向)の長さが、下部の幅方向の長さよりも短くなっている。
取付部材5は、本体部50の上部に対となる2つの係合爪部55(取付側係合部)が設けられ、本体部50の下部に係合溝部56(取付側係合部)が設けられている。
【0057】
2つの係合爪部55は、一方が取付部材5の左右方向における片側端部(左端)近傍に設けられ、他方が取付部材5の左右方向における他方側端部(右端)近傍に設けられている。
係合爪部55は、上下方向に延びるスリット部60の外側(左右方向の外側)に隣接する位置に形成される。なお、特に限定されるものでないが、スリット部60の下側部分は、図5で示されるように、溝幅(左右方向の長さ)が下方に向かうにつれて狭くなる。
【0058】
係合爪部55は、一方が係合溝部56の片側側方部56a(詳しくは後述する、図4(b)参照)の上方に隣接する位置に形成され、他方が他方側側方部56b(詳しくは後述する、図4(a)参照)の上方に隣接する位置に形成される。そして、それぞれが上方に向かって片持ち状に延びた状態となるように形成されている。
【0059】
詳細には、係合爪部55は、支持板部55a(支持部)と、支持板部55aの先端側に位置する突起部55b(係止部)が一体に形成された部分であり、先端側がしなるように弾性変形可能である。
支持板部55aは、側面視(視線方向を左右方向とした平面視)において、外形が略台形状となる立板状部分である。詳細には、側面視において、上側部分の長さが下側部分の長さよりも短くなる。
突起部55bは、一部が支持板部55aの上側に位置し、一部が支持板部55aの外側面(左右方向の外側面)よりもさらに外側に突出する突起状(塊状)の部分である。
突起部55bは、下側に傾斜面部63を有する。傾斜面部63は、下端部分が支持板部55aの外側面の上端部分と連続し、下向きの面であって、上方に向かうにつれて左右方向の外方に向かうように傾斜する(延びる)面である。
【0060】
係合溝部56は、図4で示されるように、本体部50の下側の周縁部分に形成される溝であり、2つの溝壁形成部65,66の間に形成されている。ここで、本体部50の下側部分は、正面視した形状が略四角形状となる部分となっている。そして、係合溝部56と、2つの溝壁形成部65,66は、本体部50の下側の周縁部分のうち、左右方向の片側側方(左方)から、下方を経て、他方が他方側側方(右方)まで延びている。すなわち、これらは周縁の三方に跨って延びている。
【0061】
つまり、係合溝部56は、左右方向の両端にそれぞれ位置する片側側方部56a及び他方側側方部56bと、下側部56cを有する。ここで、係合溝部56の溝底部分では、片側側方部56aと下側部56cの境界となる位置と、他方側側方部56bと下側部56cの境界となる位置に傾斜面70を有する(一方については図示しない、図4(b)参照)。
また、2つの溝壁形成部65,66は、2条の突起部分(隆起部分)である。ここで、本体部50の下側部分のうち、左右方向の両端にそれぞれ位置する角部分は、丸みを帯びた形状となっている。つまり、2つの溝壁形成部65,66の突出端に位置する外側面は、側方に位置する部分と下方に位置する部分との境界に湾曲面を有し、この湾曲面を介して連続する。
【0062】
以上のことから、係合溝部56の溝底部分では、傾斜面70が形成された角部分であり、下側における左右方向の両端部分が面取り(C面取り)されたような形状となっている。そして、2つの溝壁形成部65,66もまた、下端側における左右方向の両端となる部分が面取り(R面取り)されたような形状となっている。
【0063】
続いて、取付部材5を介して搬送ローラ2をフレーム部材3に支持させ、コンベヤ装置1を組み立てる際の手順について説明する。
まず、上部フレーム部3aの上側第一フレーム部30と上側第二フレーム部31(図1(a)参照)に複数の搬送ローラ2を取り付ける。
【0064】
すなわち、図6(a)で示されるように、搬送ローラ2の一方の固定軸(第一固定軸21)に、取付部材5と歯車部材6を取り付ける(第一工程)。前後して、搬送ローラ2のもう一方の固定軸(第二固定軸22)を上側第二フレーム部31の軸孔43aに挿通する(第二工程)。
詳細には、搬送ローラ2の固定軸(第一固定軸21)を取付部材5の軸孔51aに挿通した状態とする。さらに、固定軸(第一固定軸21)のうち、取付部材5の軸孔51aから外側に突出する部分を歯車部材6の軸孔に挿通した状態とする。つまり、固定軸(第一固定軸21)は、その突出端近傍となる部分が歯車部材6を取り付ける歯車固定部となる。この歯車固定部は、固定軸のうち、取付部材5よりも外側(軸孔51aに内嵌されている部分よりも外側)に位置する部分となる。このように、この固定軸(第一固定軸21)には、内側から取付部材5、歯車部材6の順に取り付けられる。
【0065】
続いて、図6(b)で示されるように、搬送ローラ2に取付部材5と歯車部材6を取り付けた状態で、搬送ローラ2の片側端部の周辺を上方から下方に直線移動させる。そして、図7(a)、図7(b)で示されるように、取付部材5を取付溝部40(ローラ取付部38)に上方から差し込み(第三工程)、取付部材5の一部が取付溝部40に入り込んだ状態とする。つまり、取付部材5をローラ取付部38に対して相対移動させて近接させることで、取付部材5の係合溝部56(図6(b)等参照)と取付溝部40を係合させる。
【0066】
取付部材5の一部が取付溝部40に入り込んだ状態とすると、取付部材5の係合溝部56(図4参照)には、取付溝部40と隣接する側壁形成部35の一部が入り込んだ状態となる。言い換えると、側壁形成部35の一部が、厚さ方向の両側から2つの溝壁形成部65,66(図4参照)によって挟まれた状態となる。なお、このとき、2つの溝壁形成部65,66の間に側壁形成部35が略丁度嵌り込むようにしてもよく、少なくとも一方の溝壁形成部65,66と側壁形成部35の間に僅かな隙間が形成されてもよい。
【0067】
ここで、取付部材5のうち、突起部55bが設けられている部分の幅方向の長さL1は、取付溝部40の幅方向の長さL2よりも長くなっている(図7(a)参照)。このことから、図8(a)で示されるように、取付部材5を下方に移動させていくと、2つの係合爪部55のそれぞれの傾斜面部63が、取付溝部40と側壁形成部35の上面の境界に位置する角部分と当接する。
そして、取付部材5をさらに下方側に移動させていくと、図8(b)で示されるように、2つの係合爪部55が弾性変形する。具体的には、2つの係合爪部55の先端側同士が互いに近づく方向に移動した状態となる。つまり、それぞれの係合爪部55の先端側が幅方向(左右方向)の内側であり、隣接するスリット部60側に移動した状態となる。
【0068】
続いて、取付部材5をさらに下方側に移動させていくと、図8(c)で示されるように、2つの突起部55bが互いに離れる方向に移動し、それぞれ別の小溝部41aに入り込む。すなわち、2つの係合爪部55が係止部41と係合した状態となる。
さらに、係合溝部56の下側部56c(図4(b)参照)に側壁形成部35の一部(取付溝部40の下側に隣接する部分)が入り込む。そして、取付部材5は、取付溝部40の下側面40c(図3参照)に載置された状態となる。
【0069】
このことにより、搬送ローラ2の片側の固定軸(第一固定軸21)が取付部材5を介してフレーム部材3(上側第一フレーム部30)に支持された状態となる。この状態では、取付部材5の周縁の3方(幅方向の両側と下側)と隣接する位置に、側壁形成部35が位置した状態となり、取付部材5の三方が側壁形成部35によって囲まれる。そして、周縁の3方において、2つの溝壁形成部65,66(図4参照)で側壁形成部35が挟まれた状態となり、取付部材5の係合溝部56と取付溝部40が係合する。
このように、取付部材5の一対の係合爪部55と、係合溝部56から構成される二つの係合部が、それぞれ別の位置でフレーム部材3の取付溝部40、係止部41と係合するので、取付部材5がフレーム部材3に強固に取り付けられる。
【0070】
上側第一フレーム部30と上側第二フレーム部31に全ての搬送ローラ2を支持させた状態とした後、上側第一フレーム部30にカバー部材32を取り付ける。本実施形態では、上記したように、取付部材5の上方にカバー部材32が位置するので、コンベヤ装置1の稼働時における取付部材5のがたつき、延いては、歯車部材6のがたつきを防止できる。
そして、搬送ローラ2とカバー部材32が取り付けられた上部フレーム部3aを下部フレーム部3bの上に載置し、上部フレーム部3aを下部フレーム部3bに固定する。このことにより、上部フレーム部3aの歯車部材6と下部フレーム部3bの連動用歯車部材7と噛合し、コンベヤ装置1が組み立てられる。
【0071】
上記した実施形態では、コンベヤローラ(搬送ローラ2)が2つの固定軸を有するものとした。すなわち、ローラ本体の両端のそれぞれに、固定軸が一つずつ配されたものとした。しかしながら、搬送ローラは、これに限るものでない。
例えば、一つの固定軸がローラ本体を貫通して延びるものとしてもよい。この場合、ローラ本体の長手方向における片側端部に位置する固定軸の一部分が、片側の固定軸(軸部、第一固定軸)となり、他方側端部に位置する固定軸の一部分が、他方側の固定軸(軸部、第二固定軸)となる。
【0072】
上記した実施形態では、取付溝部40を上方が開放された形状とし、取付部材5を上方から差し込む例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、取付溝部を下方が開放された形状とし取付部材5を下方から差し込む構造としてもよい。
また、上記した実施形態では、2つの歯車部材6の間に1つの連動用歯車部材7を配した例について説明したが、2つの歯車部材6の間に配する連動用歯車部材7は、複数であってもよい。例えば、2つの歯車部材6の間に3つの連動用歯車部材7を配し、一方の歯車部材6の動力を他方の歯車部材6に伝達してもよい。
【0073】
上記した実施形態では、支持板部55aを側面視形状が略台形状となるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、側面視形状が略長方形状とし、前端及び後端に傾斜面が形成されない形状としてもよい。
また、上記した実施形態では、搬送物を一方向に搬送するコンベヤ装置(搬送装置)のフレーム部材3に対し、取付部材5を介して搬送ローラ2の固定軸を支持させる例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、二方向(複数方向)のいずれの方向にも選択的に搬送物を搬送させる(移動させる)ことができるコンベヤ装置であり、所謂移載装置と称されるコンベヤ装置のフレーム部材に対し、取付部材を介して搬送ローラの固定軸を支持させてもよい。また、固定軸を支持させるローラ部材は、必ずしも搬送面を形成する搬送ローラに限らず、例えば、搬送ローラに動力を供給するために設けるローラ部材であってもよい。すなわち、ローラ本体と軸部を備え、コンベヤ装置のフレームに支持される部材(ローラ)であればよい。
【0074】
上記した実施形態では、係合溝部56を周縁の三方に跨って延びる一つの溝とした例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。下方、左右方向の片側側方(左方)及び他方側側方(右方)のうち1以上の部分に形成された溝であればよい。
例えば、係合溝部は、取付部材の下方に設けられる溝であってもよい。すなわち、下方と両側方のうち、1つの部分に形成された一つの溝であってもよい。
また、左右方向の両側方にそれぞれ設けられる2つの溝であってもよい。さらに、左右方向のいずれか一方と下方に跨って設けられる溝でもよい。すなわち、下方と両側方のうち、2つの部分に形成される1つ又は2つの溝であってもよい。
しかしながら、取付部材をフレーム部材3に強固に係合させるという観点から、上記したように、三方に跨って延びる溝とすることが好ましい。すなわち、下方、左右方向の片側側方及び他方側側方の3つの部分に溝が形成されることが好ましい。なお、上記した一つの部分に形成される溝は、断続して延びていてもよい。すなわち、1つの部分に設けられる溝は、1つでもよく2以上でもよい。
【0075】
上記した実施形態では、取付部材5が2つの係合爪部55を有するものとした。また、フレーム部材3のローラ取付部38が2つの係止部41を有するものとした。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
取付部材5の係合爪部55と、ローラ取付部38の係止部41は、必ずしも設けなくてもよい。すなわち、係合爪部55、係止部41を設けず、取付部材の係合溝部56をローラ取付部の取付溝部40と係合させ、取付部材をカバー部材32で上方から押さえることで取付部材をフレーム部材に取り付けてもよい。
しかしながら、取付部材をフレーム部材に対してより強固に固定するという観点から、上記した構成とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0076】
1 コンベヤ装置
2 搬送ローラ(ローラ部材)
3 フレーム部材
5 取付部材
6 歯車部材
7 連動用歯車部材
10 駆動ローラ(ローラ部材)
11 従動ローラ(ローラ部材)
15 ローラ本体
21 第一固定軸(軸部、第一軸部)
22 第二固定軸(軸部、第二軸部)
30 上側第一フレーム部(第一サイドフレーム部)
31 上側第二フレーム部(第二サイドフレーム部)
32 カバー部材
38 ローラ取付部(フレーム側係合部)
43a 軸孔(軸挿通孔)
51 軸受部材
51a 軸孔(軸支持部)
55 係合爪部(取付側係合部)
55a 支持板部(支持部)
55b 突起部(係止部)
56 係合溝部(取付側係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8