(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014868
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬の調製におけるTanreqingの応用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/36 20150101AFI20220113BHJP
A61K 36/539 20060101ALI20220113BHJP
A61K 36/355 20060101ALI20220113BHJP
A61K 36/634 20060101ALI20220113BHJP
A61K 35/413 20150101ALI20220113BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220113BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61K35/36
A61K36/539
A61K36/355
A61K36/634
A61K35/413
A61P11/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017442
(22)【出願日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】202010647584.7
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521056722
【氏名又は名称】シャンハイ・カイバオ・ファーマスーティカル・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シャオリ
(72)【発明者】
【氏名】ム、ジンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、シャオヨン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ、シュハン
【テーマコード(参考)】
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB48
4C087BB53
4C087CA03
4C087MA02
4C087MA13
4C087MA22
4C087MA23
4C087MA35
4C087MA37
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4C087MA43
4C087MA52
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZC75
4C088AB12
4C088AB64
4C088AC01
4C088AD13
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA08
4C088MA13
4C088MA22
4C088MA23
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA43
4C088MA52
4C088MA66
4C088NA14
4C088ZA59
4C088ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬を提供する。
【解決手段】慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬の調製におけるTanreqingの応用であって、Tanreqingの処方は黄ごん、熊胆粉、山羊角、金銀木、レンギョウから組成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬の調製におけるTanreqingの応用。
【請求項2】
請求項1の上記の応用において、上記のTanreqingの処方は黄ごん、熊胆粉、山羊角、金銀木、レンギョウから組成される。
【請求項3】
請求項1の上記の応用において、上記の薬は薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
【請求項4】
請求項1の上記の応用において、上記の薬の投薬形態は経口投薬形態または非経口投薬形態である。
【請求項5】
請求項4の上記の応用において、上記の経口投薬形態は錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル、乳液、シロップ剤またはスプレー剤である。
【請求項6】
請求項4の上記の応用において、上記の非経口投薬形態は注射剤である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTanreqingの新しい応用分野に、特に慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬におけるTanreqingの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive Pulmonary disease、以下”COPD”と呼ぶ)とは慢性気管支炎か肺胞に構造的な損傷を起こす疾患による肺気腫、或いは両者の合併によって、気管支から肺胞への気道が閉鎖される疾患である。症状としては痰を伴う長期の咳嗽、気道閉塞による気流の速度の低下による呼吸困難、及び通常の風邪などの呼吸感染が挙げられる。この病気は世界中で死亡率が高く、それに喫煙、大気汚染などのために、また速く増加している。
【0003】
COPD急性増悪が健康状況や入院や再入院及びCOPDの進行に影響を与える。COPD急性増悪は複雑なイベントで、常に気道炎症の悪化や、病態生理粘液の過分泌、顕著なエアートラッピングなどの現象を伴う。これらの変化が更に急性増悪の主な症状とする呼吸困難を悪化させる。他の症状としては、痰の色が濃くなり、喀痰の量が多くなり、咳嗽、喘息がある。
【0004】
Tanreqing製剤が黄ごん、熊胆粉、山羊角、金銀木、レンギョウから科学的に配合され、解熱、解毒、痰を溶かし、抗痙攣、抑菌、抗ウイルス、免疫調節などの作用がある。臨床的には呼吸器系疾患、肝臓胆嚢疾患、消化器系疾患などに使用できるとのこと。しかし、今のところ、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療のための薬の調製におけるこの処方の適用に関する報告はまだない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は先行技術の欠陥を考慮して、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬の調製におけるTanreqingの応用を提供することである。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明によって採用される技術的解決策は以下の通りである。
【0007】
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬の調製におけるTanreqingの応用が提供される。
【0008】
他の一つの好ましい実施例において、上記のTanreqingの処方は黄ごん、熊胆粉、山羊角、金銀木、レンギョウから組成される。
【0009】
他の一つの好ましい実施例において、上記の薬は薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
【0010】
他の一つの好ましい実施例において、上記の薬の投薬形態は経口投薬形態または非経口投薬形態である。
【0011】
他の一つの好ましい実施例において、上記の経口投薬形態は錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル、乳液、シロップ剤またはスプレー剤である。
【0012】
他の一つの好ましい実施例において、上記の非経口投薬形態は注射剤である。
【0013】
本発明は、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪モデルラットに対するTanreqingの効果を研究し、本実験の結果は、Tanreqing高、中、低用量はいずれも異なった程度で、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪期のラットの肺機能、肺組織病理的な損傷を改善し、一定の用量依存性を示している。Tanreqing高、中、低用量は炎症反応を異なる程度で改善できる。Tanreqing高、中用量は低用量より優れている。よって、Tanreqingは慢性閉塞性肺疾患の急性増悪の治療薬の調製に使える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ブランク対照群の肺組織(左)、気管支(右)HE染色後の電子顕微鏡画像である。
【
図2】
図2は、モデル対照群の肺組織(左)、気管支(右)HE染色後の電子顕微鏡画像である。
【
図3】
図3は、Tanreqing高用量組の肺組織(左)、気管支(右)HE染色後の電子顕微鏡画像である。
【
図4】
図4は、Tanreqing中用量組の肺組織(左)、気管支(右)HE染色後の電子顕微鏡画像である。
【
図5】
図5は、Tanreqing低用量組の肺組織(左)、気管支(右)HE染色後の電子顕微鏡画像である。
【
図6】
図6は、デキサメタゾン組の肺組織(左)、気管支(右)HE染色後の電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、図面および特定の実施形態を参照して以下でさらに説明されるが、それは本発明の限定ではない。
【0016】
本実施例が慢性閉塞性肺疾患の急性増悪のモデルラットに対するTanreqingの影響を提供する。
【0017】
実験材料
1.1 Tanreqingのカプセル
メーカー:上海凱宝薬業株式会社、バッチNO:1911102
処方組成:黄ごん、熊胆粉、山羊角、金銀木、レンギョウ
人間の臨床用量(体重60kg)一人あたり:0.06g/Kg/d
人に対するラットの等価容量:
Dラット=D人*(HIラット/HI人)(Wラット/ W人)2/3
Dラット=D人*6.3=0.06g/Kg/d*6.3=0.38g/Kg/d。
【0018】
1.1.2 デキサメタゾン錠
規格:0.75mg×100錠
パッチNO:191067
メーカー:浙江仙▲きょ▼製薬株式会社
使用前に錠剤6錠で合計0.6g、精製水50mlを取り、最終濃度の0.012g/mlの懸濁液を配合する。
【0019】
用法:経口
用量:成人には投与量初回から1日2~4回で、1回量が0.75~3.00mg(1~4錠)で、維持用量が1日0.75mg(1錠)で、病気次第とのこと。
【0020】
本実験は1回0.75mgで、1日3回の用量で計算する。
【0021】
人間の臨床用量(体重60kg):
【数1】
人に対するラットの等価用量が
Dラット=D人*(HIラット/HI人)(Wラット/W人)2/3
Dラット=D人*6.3=0.0075g/Kg/d*6.3=0.23g/Kg/dである。
【0022】
1.2 実験動物
SDラット、SPFグレード、80匹(オスとメス各40匹)、体重260~300g。動物品質証明書番号:1107261911004350、山東済南朋悦動物飼育有限会社、ライセンス番号:SCXK(▲ろ▼)2019-0003。
【0023】
飼育環境:河南伝統中国医薬大学第一付属病院のIVC研究所のSPF動物室、ライセンス番号:SYXK(豫)2015-0005。
【0024】
室温:(23±2)℃、湿度:50%~65%
照明:12時間の明暗サイクル、風通しが良い。
【0025】
ラットは6~8匹ずつ無菌のプラスチック製ケージで収容され、水を自由に摂取させる。
【0026】
飼料:実験動物用全価栄養飼料、SPF(Beijing)Biotechnology Co.,Ltd.から購入し、ライセンス番号:SCXK(京)3019ー0010、飼料栄養品質測定報告書が「合格」であることと証明され、121°Cで15分間湿熱滅菌され、乾燥させる。
【0027】
給水:精製水、当日自分で作る。
【0028】
1.3 実験試薬
HONQIQUブランドフィルター付きローストタイプタバコ(タール量:10mg、ニコチン量:1.0mg、一酸化炭素量:11mg、河南中煙工業会社)、パラホルムアルデヒド(天津化学試薬会社)、リン酸二水素ナトリウム(西安化学試薬工場)、リン酸水素二ナトリウム(洛陽化学試薬工場)、EDTA-K2抗凝固剤チューブ(上海化学試薬研究所)、無水エタノール(鄭州派尼試薬工場)、IL-6、IL-10およびTNF-α ELISA試薬ボックス(両方規格がともに96Tで、武漢博士徳生物工程有限会社)、CRP及びSAA ELISA試薬ボックス(両方規格がともに96Tで、ELABSCIENCE有限会社)。
【0029】
細菌:肺炎桿菌Klebsiella Pneumoniae(KP)(菌株番号:46114)は、中国食品医薬品検定研究所の中国医学細菌保管管理センターから購入し、使用前に細菌濃度を6×108CFU/mlに調製する。
【0030】
リポ多糖(LPS):米国Sigmaから購入、バッチ番号:L2880。
【0031】
2.動物実験
2.1 モデル構築
ラットは購入後環境に慣らすために七日間滅菌飼料を飼育し、自由に滅菌水を摂取させ、定期的に精製水及び水道電気操作システムをチェックし、環境を静かに維持する。14匹のラットブランク対照群としてを脇に置き、残りのラットをタバコ受動喫煙暴露と肺炎桿菌Klebsiella Pneumoniae(KP)を繰り返して感染させる方法により慢性閉塞性肺疾患(COPD)の安定期に入るモデルラットを確立する。具体的には、タバコに火を付け、ラットにタバコを少なくとも3時間間隔で1日2回で、ともに12週間で、それに煙の濃度を3000±500PPmに達するように暴露させる。1~8週目に、KP懸濁液(6×108CFUml)0.1mlを5日毎に1回でモデルラットの鼻腔にたらし込む。鼻腔投与方法は滅菌シリンジ1mlを使ってKP懸濁液0.1mlを吸い取り、ラットが息を吸うタイミングで鼻腔の中にたらし込んで、左右の鼻腔に交互に入れる。13週目の初日に、気管にリポ多糖(LPS)2mg/kgをたらし込み、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪期に入るモデルラットを確立する。モデリングに成功した残りのモデルラットは、モデル対照群、Tanreqing高用量群、Tanreqing中用量群、Tanreqing低用量群、デキサメタゾン群に分け、群ごとに12匹がいる。
【0032】
2.2 投与と処理
12週目の2日目から、ブランク対照群とモデル対照群に同量の精製水(10ml/kg/d)を強制経口投与開始し、他の群にはそれぞれTanreqing高用量群、Tanreqing中用量群、Tanreqing低用量群及びデキサメタゾン群を1日1回で1週間投与する(表1に示す)。まず血液サンプルの採取を行い、尾静脈血を採取し、その前に、全てのラットを断食させ、精製水を自由に摂取させる。その後、10wt%のウレタンを腹腔内に注射してラットを麻酔し、露出的な気管挿管を行い、動物肺機能測定システム(PET)を使ってラットの肺機能に起こる変化を測定する。また、腹部の大動脈から採血し、2時間放置後、遠心し、血清を採取して炎症性因子のIL-6、IL-10、CRPとSAAレベルを測定する。また、ラットの胸を切開し気管と肺全体を取り出し、右主気管支を結紮して、左肺の気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid,BALF)を回収し、炎症性因子TNF-αレベルを測定する。左肺は4%パラホルムアルデヒドで1時間灌流され、灌流後に、病理学的な検査が行われるまで、4%パラホルムアルデヒドで直接固定される。
【0033】
【表1】
2.3 統計処理
データはSPSS22.0ソフトウェアによって分析された。一元配置分散分析(One-Way ANOVA)を採用してグループ同士を比較し、分散均一性を満たす場合は最小有意差(Least Significant Difference,LSD)を採用し、分散均一性が満たされない場合はDunnett’s T3を採用した。結果が平均±標準偏差(x±s)で表され、検査レベルα=0.05である。
【0034】
3.検査指標と結果
3.1 一般的な観察
各グループのラットの皮膚の色、身体活動、精神状態、くしゃみ、呼吸の深化などの症状を毎日観察していた。
【0035】
モデリングされて2週間後、モデルラットが違った程度の精神的な疲労と食物摂取量の減少が見られ、4~8週間のモデルラットは毛皮が黄色くつやつやしていなくて、倦怠して横になることが好きで、呼吸が速くて、軟便、敷物が湿っぽいなどの状況が出て、8~12週間のモデルラットは喘鳴や痰を伴い喘息や、倦怠や横になることが好きや、呼吸困難や、口や鼻に少量の分泌物や、食物と水の摂取量の減少などの症状が出て、LPSを気管内にたらし込むと、ラットは明らかな喘鳴を伴う息切れがあり、一部のラットは、咳とか、頻繁に鼻をつかみとか、くしゃくしゃなどの症状が出た。投与後、Tanreqing高用量群、Tanreqing中用量群のラットは精神がよくなり、喘鳴を伴う喘息や息切れや咳も軽くなり、食物や水の摂取量や活動も多くなり、Tanreqing低用量群には、精神がちょっと良くなり、活動量が多くなり、呼吸困難の改善が明らかではなく、デキサメタゾン群には活動が増加し、喘息や喘鳴が大幅に軽減され、咳やくしゃみが消えた。
【0036】
ラットの死亡状況:モデリング中に5匹ラットが死亡し、その中に、一匹の雌ラットが10週目に死亡、解剖したら暗赤色のプラークや肺膿瘍が散在された肺の腫れを示し、1匹の雄ラットが急性増悪期の麻酔の過剰摂取で死亡、3匹ラット(2匹雄、1匹雌)が気管内にLPSをたらし込み後死亡、喘鳴と呼吸困難があり、解剖したら、肺に暗赤色のプラークが多く、肺の腫れが見られ、そのうちの1匹が肺膿瘍が明らかで、1匹が喉頭水腫を伴った。投与中でモデル対照群に1匹が死亡、解剖したら気管支分泌物が多く、肺が腫れに暗赤色で、膿斑が散在されている。
【0037】
3.2 肺の病理組織学検査
左肺を4%パラホルムアルデヒドで固定し、常法に従い脱水、パラフィン包埋、4μm切片を作製、HEで染色し、肺の病理学的な変化を光学顕微鏡で観察した。毎グループから8切片を作製し、切片毎に光学顕微鏡の下にランダムに6つの視野下の画像を高解像度カラー病理画像分析システムで撮影して、肺胞の平均線形切片(mean linear intercePt,MLI)と平均肺胞数(mean alveolar numbers,MAN)を計算して、肺胞の大きさと密度を計算した。方法は切片毎の中央に「10」を描き、その長さ(L)を測定し、肺胞中の隔膜数(Ns)を記録し、MLI(μm)=L/Ns、それに、各視野の肺胞数(Na)と視野毎の面積(S)も計算し、MAN (/mm2) =Na/S。気管支壁の厚さ(Wall thickness,Wt)を使って気管支の病理学変化を表し、気管支のグレードを指定するために気管支の短径が100~300μm以内にある必要がある。400倍の顕微鏡で、各気管支の中心を通す3つの長径(c1/c2/c3)と3つの短径(d1/d2/d3)測定し、Wt(μm)=[(c1-d1)+(c2-d2)+(c3-d3)]/(3×2)。
【0038】
【0039】
図1に示すように、ブランク対照群(8匹)は各肺組織の肺胞構造が正常であり、肺胞腔に明らかな炎症性浸潤はなく、肺胞壁に明らかな肥厚または狭窄はなく、各細気管支の構造は基本的に正常であり、管腔の中に明らかな炎症性細胞浸潤は見られなかった。
【0040】
図2に示すように、モデル対照群(8匹)は各肺組織の肺胞に明らかな拡張、肺胞壁の破裂、肺胞の部分的融合、肺胞腔および気管支への炎症細胞の浸潤、気管支壁の肥厚、肺の周りの多数の炎症細胞浸潤、管腔狭窄が見られた。
【0041】
図3に示すように、Tanreqing高用量群(8匹)は各肺組織の部分的肺胞拡張、肺胞中に少量な炎症性細胞浸潤が見られ、肺胞壁の構造が基本的に正常であり、各細気管支の上皮に明らかな脱洛はなく、少量のリンパ球浸潤が気管支内腔に見られ、病変程度はモデル対照群と比較して有意に減少したこと認められる。
【0042】
図4に示すように、Tanreqing中用量群(8匹)は各肺組織では肺胞壁の一部の断裂、少量の炎症細胞が肺胞腔に浸潤が見られ、各細気管支の構造は基本的に正常であり、上皮細胞は明らかな脱落はなく、内腔に明らかな炎症細胞の浸潤はなく、病変程度はモデル対照群と比較して低下した。
【0043】
図5に示すように、Tanreqing低用量群(8匹)は各肺組織では肺胞壁の一部の断裂、付近肺胞が融合拡張、肺胞腔及び肺胞間隔に少量な炎症細胞浸潤が見られ、気管支内腔及び周りに炎症細胞浸潤が見られ、モデル対照群と比較して病変改善程度が明らかではなかった。
【0044】
図6に示すように、デキサメタゾン群(8匹)は各肺組織では肺胞壁の一部の断裂、肺胞内腔の肥厚、少量の炎症細胞浸潤が見られ、各細気管支の構造が基本的に正常であり、上皮細胞に明らかな脱落はなく、内腔に明らかな炎症細胞浸潤はなく、モデル対照群と比較して病変程度が少し減軽した。
【0045】
肺胞構造と気管支肥厚の測定結果に対して、各群の肺胞構造と気管支肥厚の変化X±SD,n=8)が表2に示す通りである。
【0046】
【表2】
ブランク対照群と比較して、モデル対照群は、MLIが上昇し、MANが減少し、気管支壁の厚さが増大した(P<0.05)。モデル対照群と比較して、Tanreqing高、中用量群およびデキサメタゾン群はMLIが減少傾向と、MANが増加傾向を示し、有意な統計的差異はなかった(P>0.05);Tanreqing高用量群とデキサメタゾン群の気管支壁厚は少し減少した(P>0.05)。Tanreqing中用量群の気管支壁の厚さはデキサメタゾン群より高かった(P<0.05)。
【0047】
3.3 肺機能
取材する前にラットの腹腔に10wt% 1.0ml/100gのウレタンを注射し麻酔し、露出的に気管挿管し、動物肺機能測定システム(PET)を採用して、強制肺活量(fvc)、0.1秒での強制呼気量(FEV0.1)、0.3秒での強制呼気量(FEV0.3)、最大呼気流量(PEF)、最大呼気中間流量(MMEF)、機能的残気量(FRC)など各ラット関連パラメーターを測定し、各群のラットの肺機能の変化(X±SD)が表3に示す通りである。
【0048】
【表3】
注意:n=6-12;ブランク対照群と比較して、aP<0.05、aaP<0.01;モデル対照群と比較して、bP<0.05、bbP<0.01。
【0049】
ブランク対照群と比較して、モデル対照群のFVC、FEV0.3が低減し、FRCが増加した(P<0.05)。モデル対照群と比較して、Tanreqing高用量群、中用量群及びデキサメタゾン群のFEV0.3、MMEFがともに高まり(P<0.05,P<0.01)、Tanreqing高用量群のPEFが上昇し、Tanreqing高用量群、低用量群FRCが有意に低減した(P<0.05)ことが分かる。
【0050】
3.4 血算5種
サンプリング前に尾静脈から採血して、血算5種を検査して、白血球(WBC)、好中球比率(NEU%)、リンパ球比率(%LYMPH)と単球(%MONO)を統計する。
【0051】
各群の末梢欠炎症細胞変化(X±SD)の結果が表4に示す。
【0052】
【表4】
ブランク対照群と比較して、モデル対照群の末梢血WBC、NEU%が有意に上昇し、LYM%が有意に低減した(P<0.01)。モデル対照群と比較して、デキサメタゾン群のWBCが有意に低減し(P<0.01)、Tanreqing中用量群、低用量群がNEU%を有意に低減させ、LYM%を有意に増加させ(P<0.05,P<0.01)、Tanreqing高用量群、中容量群、低用量群及びデキサメタゾン群がともにMONO%を有意に低減させた(P<0.05、P<0.01)。デキサメタゾンと比較して、Tanreqing中用量群、低用量群がともにNEU%を低減させ、LYM%を有意に増加させた(P<0.05、P<0.01)ことが分かる。
【0053】
3.5 血清CRP、SAAレベル測定
酵素結合免疫吸着測定(enzyme-linked immuno sorbent assay,ELISA)を採用して各群の血清中のCRP、SAA表現を測定して、各群における血清CRP、SAAレベル変化(X±SD)の結果が表5に示す通りである。
【0054】
【表5】
注意:n=9-12;ブランク対照群と比較して、aP<0.05、aaP<0.01;モデル対照群と比較して、bP<0.05、bbP<0.01、低用量群とデキサメタゾン群と比較して、ccP<0.05。
【0055】
ブランク対照群と比較して、モデル対照群の血清CRP、SAAレベルが有意に上昇した(P<0.05、P<0.01)。モデル対照群と比較して、デキサメタゾン群の血清SAAレベルが有意に減少したが、CRPが上昇して(P<0.01)、Tanreqing高用量群がCRPを低減させる傾向があり、Tanreqing高用量群、中用量群、低用量群がSAAを低減させる傾向があり、しかし、統計学的に差がない(P>0.05)。デキサメタゾン群と比較して、Tanreqing高用量群、中用量群、低用量群のCRPレベルがともに有意に低減した(P<0.01)。
【0056】
ELISAを採用して血清中のIL-6、IL-10と肺胞洗浄液中のTNF-α表現を検査して、結果が表6に示す通りである。
【0057】
【表6】
注意:n=10-12;ブランク対照群と比較して、aP<0.05、aaP<0.01;モデル対照群と比較して、bP<0.05、bbP<0.01、デキサメタゾン群と比較して、cP<0.05、ccP<0.01、低用量群と比較して、dP<0.05、ddP<0.01。
【0058】
ブランク対照群と比較して、モデル対照群の血清IL-6、BALF中のTNF-αのレベルが有意に上昇し、血清IL-10が有意に低減した(P<0.05、P<0.01)。モデル対照群と比較して、Tanreqing高用量群、中用量群、低用量群の血清IL-10がともに有意に上昇し(P<0.01)、Tanreqing高用量群、中用量群及びデキサメタゾン群の血清IL-6、BALF中のTNF-αレベルがともに低減した(P<0.05、P<0.01)。デキサメタゾン群と比較して、Tanreqing高用量群、中用量群、低用量群のIL-6、IL-10レベルがともに上昇し(P<0.05、P<0.01)、Tanreqing低用量群のBALF中のTNF-αレベルが上昇した(P<0.05)。Tanreqingの3つの用量のうち、高用量群のIL-6は低用量群より有意に減少し(P<0.05)、中用量群ではTNF-αレベルが低用量群より減少し、IL-10が低用量群より増加した(P<0.05)。
【0059】
上記述べたように、Tanreqingが慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪の治療薬の調製に応用できる。
【0060】
上述は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の実施方式および保護の範囲を限定するものではない。当業者にとって、本発明の説明の内容を使用することによって行われるすべての同等の置換および明らかな変更が、本発明の保護範囲に含まれるべきであることを理解できるはずである。