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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148681
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】管内伝搬音抑制構造
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20220929BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20220929BHJP
   F24F 13/24 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G10K11/16 100
F24F13/02 H
F24F13/24 242
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050451
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100213388
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 康司
(72)【発明者】
【氏名】小林 正明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 明彦
(72)【発明者】
【氏名】小泉 穂高
(72)【発明者】
【氏名】河井 康人
【テーマコード(参考)】
3L080
5D061
【Fターム(参考)】
3L080AE02
5D061EE12
5D061EE22
5D061EE31
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れた騒音低減効果が得られると共に低コスト化を可能とする管内伝搬音抑制構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る管内伝搬音抑制構造2は、管体20と、管体20の内面に固定され、かつ管体20の長手方向Dに沿って間隔をあけて配置された3枚以上の仕切り板300と、を備える。隣り合う一方の仕切り板300の自由端340から他方の仕切り板300の自由端340まで延在する吸音材400と、吸音材400と内面22との間に設けられた空気層50と、を有する第1構造11と、隣り合う仕切り板300の自由端側340が開口する第2構造12と、を備える。仕切り板300は、それぞれ長手方向Dと交差して配置され、かつ、仕切り板300が長手方向Dから見て環状に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体と、前記管体の内面に固定され、かつ前記管体の長手方向に沿って間隔をあけて配置された3枚以上の仕切り板と、を備える管内伝搬音抑制構造であって、
隣り合う一方の前記仕切り板の自由端から他方の前記仕切り板の自由端まで延在する吸音材と、前記吸音材と前記内面との間に設けられた空気層と、を有する第1構造と、
隣り合う前記仕切り板の自由端側が開口する第2構造と、
を備え、
前記仕切り板は、それぞれ前記長手方向と交差して配置され、かつ、前記仕切り板が前記長手方向から見て環状に配置されることを特徴とする、管内伝搬音抑制構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1構造と前記第2構造は、前記長手方向に沿って交互に配置されることを特徴とする、管内伝搬音抑制構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内伝搬音抑制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の位相干渉・共鳴器などを応用した減音装置は、低周波数領域の特定の周波数の音をピンポイントでしか低減することができず、低周波数領域の音を広い範囲で低減することができないのでトンネル掘削時の発破音などを減音することができないという問題があった。
【0003】
そこで、伝搬音の伝搬方向と交差する方向に沿った仕切り板のエッジに吸音層を備えることにより、エッジ付近で粒子速度に基づく振動エネルギを熱エネルギに変換することで所望の周波数領域の伝搬音を広い範囲で大きく低減することができる減音装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
この減音装置は、伝搬方向と直交する仕切り板等で区切られた適切な大きさの複数の窪みの並びがある場合、この窪みの開口面を形成する仕切り板付近で開口面の法線方向に大きな粒子速度の領域が集中して現れることから、この粒子速度の増大が集中する領域に吸音層を設けることにより音エネルギを熱エネルギに変換する。
【0005】
そして、この減音装置は、上記のトンネル工事の発破音のみならず、例えばオフィスビルの天井又は空中に設けられるダクト内を伝搬する伝搬音に対しても有用であることから管内伝搬音抑制構造と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-207385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の管内伝搬音抑制構造についてさらなる改良が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、優れた騒音低減効果が得られると共に低コスト化を可能とする管内伝搬音抑制構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[1]本発明に係る管内伝搬音抑制構造の一態様は、
管体と、前記管体の内面に固定され、かつ前記管体の長手方向に沿って間隔をあけて配置された3枚以上の仕切り板と、を備える管内伝搬音抑制構造であって、
隣り合う一方の前記仕切り板の自由端から他方の前記仕切り板の自由端まで延在する吸音材と、前記吸音材と前記内面との間に設けられた空気層と、を有する第1構造と、
隣り合う前記仕切り板の自由端側が開口する第2構造と、
を備え、
前記仕切り板は、それぞれ前記長手方向と交差して配置され、かつ、前記仕切り板が前記長手方向から見て環状に配置されることを特徴とする。
【0011】
[2]上記管内伝搬音抑制構造の一態様において、
前記第1構造と前記第2構造は、前記長手方向に沿って交互に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る管内伝搬音抑制構造によれば、優れた騒音低減効果が得られると共に低コスト化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る管内伝搬音抑制構造を説明する模式図である。
図2】実施例及び比較例の試験体における第1構造と第2構造の配置を説明する図である。
図3】実施例及び比較例の試験体における第1構造と第2構造の配置を説明する図である。
図4】音源、測定点及び試験体の配置を説明する縦断面図である。
図5】実施例1と比較例1,2の騒音低減効果を示すグラフである。
図6】実施例2と比較例1,2の騒音低減効果を示すグラフである。
図7】実施例3と比較例1,2の騒音低減効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
図1を用いて本実施形態に係る管内伝搬音抑制構造2について説明する。図1は、本実施形態に係る管内伝搬音抑制構造2を説明する模式図であり、(a)が管内伝搬音抑制構造2の(b)におけるA-A断面図であり、(b)が管内伝搬音抑制構造2の(a)におけるB-B断面図である。なお、図2の(a)では断面形状を明確に表すために端面に表れない仕切り板300及び吸音材400の一部を破線で示す。
【0016】
図1に示すように、管内伝搬音抑制構造2は、管体20と、管体20の内面22に固定され、かつ管体20の長手方向Dに沿って間隔をあけて配置された3枚以上の仕切り板300と、を備える。管体20における仕切り板300の枚数は、管体20の長さや要求される伝搬音の抑制効果によって増減することができ、図1では5枚の例について説明する。
【0017】
管体20は、管体20の両端に開口する第1開口部24から第2開口部26へ向けて長手方向Dに沿って延びる。長手方向Dは、管体20が屈曲する場合であっても、仕切り板300が配置される管体20の範囲における長手方向である。また、長手方向Dは、当該範囲における音の伝搬方向であり、管体20の軸線方向に沿った方向(X方向)である。
【0018】
管体20は、例えば、建築物に設けられるダクトである。管体20は、管体20の内面22が正面視で四角形であるが、これに限らず、例えば四角形以外の多角形、円形や半円形等であってもよい。管体20がダクトである場合には、管体20の材質は、例えば、亜鉛めっき鉄板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板等の金属製、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製であることができる。
【0019】
管体20は、長手方向Dにおいて同一の管径を有しているが、複数の異なる管径により
構成されてもよい。例えば、図2に示すように第1開口部24から図の左端の仕切り板300までの間を第1開口部24とほぼ同じ第1の管径として、複数の仕切り板300のある範囲を第1の管径よりも大きな第2の管径とし、図の右端の仕切り板300から第2開口部26までの間を第1の管径となるように変化させてもよい。
【0020】
仕切り板300は、内面22から管体20の中心側へ向けて突出するように配置される。そのため、管体20の内面22の各面において騒音低減効果が得られる。仕切り板300は、それぞれ長手方向Dと交差(本例では直交)して配置され、かつ、仕切り板300が長手方向Dから見て環状に配置される。すなわち、仕切り板300は、正面視で上面、底面及び両側面の内面22に沿って連続することで環状に設けられ、図1の(b)に示すように中央に開口を有する一枚の板状体である。環状とは、開口及び外形の形状に限らず図1の(b)のように長手方向Dから見て中央の開口の周りに連続する形状であり、例えば本実施形態のように仕切り板300の開口及び外形が共に四角形の辺を形成するように環状となるものを含み、また開口及び外形が共に円形の円環状となるものも含む。仕切り板300は、図1のように内面22の全周に固定されるものが好ましいが、これに限らず内面22の一部の面例えば対向する両側面のみに固定してもよい。また、仕切り板300は、図1のように1枚の板体の中央に開口を設けたものでもよいし、複数の板体を互いに接合して1枚の板体としてもよいし、複数の板体を並べて1枚の板体のように近接配置して構成されてもよい。
【0021】
仕切り板300は、例えば、内面22に対して鉛直方向に立設されたY-Z方向に延びる板状体である。仕切り板300は、内面22に、伝搬音の伝搬方向(管体20の長手方向D)に沿って間隔をあけて配置される。隣り合う仕切り板300の間隔は、管体20の径や求められる伝搬音抑制効果に応じて設定できるが、例えば50mm~200mmである。仕切り板300は、下端の固定端320が内面22上に固定される。仕切り板300は、固定端320の反対側が自由端340である。自由端340は、仕切り板300の中央にある開口(図1の(a)を参照)の縁を形成する部分である。仕切り板300の開口は、自由端340から内面22までの距離で気柱共鳴による騒音低減効果が得られるので、仕切り板300の中央に設けられることが好ましいが、仕切り板300の中心と開口の中心とが一致していなくてもよい。仕切り板300の開口の形状は、図1の(b)のように内面22と相似形であることが好ましく、四角形に限らず、例えば内面22の形状に合わせて円形や多角形であってもよい。
【0022】
仕切り板300の高さは、それぞれ内面22から自由端340までの高さであって、管体20の径や求められる伝搬音抑制効果に応じて設定できるが、例えば100mm~400mmである。仕切り板300の材質は、一般的に遮音材として用いられる材質を採用でき、例えば、金属、ガラス、樹脂、木材である。
【0023】
仕切り板300は、3枚以上が内面22上に配置される。仕切り板300の枚数は、要求される伝搬音抑制効果に応じて設定できる。仕切り板300と内面22との接合は、双方の材質に従って適切な接合方法を採用でき、例えば、双方とも金属であれば溶接、ボルト接合等が採用でき、双方とも合成樹脂であれば接着、溶着等が採用できる。隣り合う仕切り板300の間で気柱共鳴による騒音低減効果が得られるため、仕切り板300の枚数は多い方が好ましい。所定の高さ及び間隔を有する仕切り板300の気柱共鳴による騒音低減効果は、主に200Hz~800Hzの間で得られる。
【0024】
管内伝搬音抑制構造2は、第1構造11と第2構造12とを備える。管内伝搬音抑制構造2は、複数の第1構造11と複数の第2構造12とを備えることが好ましい。第1構造11と第2構造12は、上記仕切り板300を用いて構成される。
【0025】
第1構造11は、隣り合う一方の仕切り板300の自由端340から他方の仕切り板300の自由端340まで延在する吸音材400と、吸音材400と内面22との間に設けられた空気層50と、を有する。吸音材400は、隣り合う仕切り板300の間隔と等しい長さを備える。
【0026】
吸音材400は、仕切り板300の自由端340に設けられ、第1構造11は隣り合う仕切り板300の間に吸音材400で蓋をしたような構造である。したがって、図1の(b)に示すように、吸音材400は、仕切り板300の自由端340によって形成される開口に沿って環状に設けられ、吸音材400の外周に沿って空気層50が環状に形成される。吸音材400は、自由端340と面一に設置されるが、自由端340からわずかに突出してもよい。吸音材400は、内面22に対して所定の間隔をあけて配置される。
【0027】
吸音材400の材質としては、グラスウール、ロックウール、多孔質体等を採用することができる。多孔質体としては、例えば活性炭を採用することができる。吸音材400としては、価格や取り扱いの容易さなどからグラスウールが好ましい。
【0028】
吸音材400の自由端340に対する取付方法は、双方の材質により適切な方法を採用できるが、グラスウールやロックウール等は柔軟で固定しにくいため、仕切り板300にあらかじめ吸音材400を取り付ける部材を設けることが好ましい。そして、吸音材400の取付状態等の確認や交換によるメンテナンスが必要になるが、そのメンテナンス時に管内に第2構造12が存在することでその空間を利用できる。
【0029】
空気層50は、隣り合う仕切り板300の間であって、吸音材400と内面22との間に形成される。第1構造11は、吸音材400によって蓋をされた状態の空気層50を設けることにより、主に800Hz以上の周波数に対する騒音低減効果に優れる。
【0030】
第2構造12は、隣り合う仕切り板300の自由端340側が開口する。第2構造12は、所定の高さ及び間隔を有する仕切り板300の気柱共鳴による騒音低減効果は、主に200Hz~800Hzの間で得られる。しかも、第2構造12には吸音材400がないため、第1構造11よりも200Hz~800Hzにおける気柱共鳴の騒音低減効果に優れる。管内伝搬音抑制構造2によれば、第1構造11だけの構造よりも第2構造12を設けることにより、優れた騒音低減効果が得られる。また、管内伝搬音抑制構造2によれば、第2構造12が吸音材400を備えないことにより、第1構造11だけの構造よりも低コスト化を可能とし、吸音材400を設置する手間も削減できる。さらに、第2構造12を第1構造11のメンテナンスを行うスペースとして利用することも可能である。
【0031】
第1構造11と第2構造12は、長手方向Dに沿って交互に配置されることが好ましい。第2構造12を連続して設けるよりも、第1構造11と第2構造12を交互に配置した方がより200Hz~400Hzにおける気柱共鳴の騒音低減効果に優れる。また、第1構造11の設置個数と第2構造12の設置個数や第1構造11の連続配置個数と第2構造12の連続配置個数等を変更することにより、特定の周波数帯における騒音低減効果が変化するので、騒音源の周波数特性に合わせて第1構造11と第2構造12の個数や並べ方を調整してもよい。
【0032】
管内伝搬音抑制構造2は、例えば、トンネル、オフィス、病院、学校、工場などに採用することができる。
【実施例0033】
[試験体]
図2図3及び図4を用いて試験体2a~2fについて説明する。図2は、実施例及び
比較例の試験体2a~2cにおける第1構造11と第2構造12の配置を説明する図であり、図3は、実施例及び比較例の試験体2d,2eにおける第1構造11と第2構造12の配置を説明する図であり、図3は、スピーカ6、測定点7及び試験体2fの配置を説明する縦断面図である。図2の(a)~(c)及び図3の(d),(e)の各図は、左側に各試験体2a~2eの縦断面図、右側に各試験体2a~2eの正面図を示す。なお、破線は吸音材400を示す。
【0034】
図2の(a)は、比較例1の試験体2aである。試験体2aは、10枚の仕切り板300を有する高さ750mmの塩化ビニル製の管体20bと、管体20bの両端に接合された高さ350mmの正方形の第1開口部24及び第2開口部26を有する塩化ビニル製の管体20a,20cと、からなる筒体を用いた。管体20bの両端は、中央に高さ350mmの正方形の開口が形成された仕切り板300を備え、仕切り板300の開口が管体20a,20cの開口に接続される。試験体2aは、第1開口部24から250mmの位置から750mmの位置まで厚さ5mmの仕切り板300が50mm間隔で10枚配置され、隣接する仕切り板300の間に長さ50mmの吸音材400がそれぞれ固定されて、9つの第1構造11が長手方向Dに沿って並ぶ構造とした。仕切り板300の内面22からの高さ(固定端320から自由端340までの距離)は200mmであり、自由端340により形成される正方形の開口は幅350mmであった。吸音材400は、長手方向Dに沿った長さが50mm、厚さが50mm、自由端340に沿った長さが350mmで、材質がグラスウール(32kg/m3)であった。空気層50は、内面22からの高さが150mmであった。
【0035】
図2の(b)は、実施例1の試験体2bである。試験体2bは、第1開口部24側から長手方向Dに沿って4つの第2構造12が並び、続いて5つの第1構造11が並ぶ構造とした。仕切り板300及び吸音材400の形状及び材質は、比較例1の試験体2aと同じであった。
【0036】
図2の(c)は、実施例2の試験体2cである。試験体2cは、第1開口部24側から長手方向Dに沿って2つの第2構造12が並び、続いて7つの第1構造11が並ぶ構造とした。仕切り板300及び吸音材400の形状及び材質は、比較例1の試験体2aと同じであった。
【0037】
図3の(d)は、実施例3の試験体2dである。試験体2dは、第1開口部24側から長手方向Dに沿って交互に第1構造11と第2構造12が並ぶ構造とした。仕切り板300及び吸音材400の形状及び材質は、比較例1の試験体2aと同じであった。
【0038】
図3の(e)は、比較例2の試験体2eである。試験体2eは、第1開口部24側から長手方向Dに沿って9つの第2構造12が並び、吸音材を備えない構造とした。仕切り板300の形状及び材質は、比較例1の試験体2aと同じであった。
【0039】
図4の試験体2fは、その内面22に仕切り板300及び吸音材400を有しない高さ350mmの正方形の開口を有する塩化ビニル製の四角筒状の管体20であった。試験体2fは、試験体2a~2eの音圧レベルを測定した際に比較の基準となる試験体である。
【0040】
[音圧レベルの測定]
試験体2a~2fを図4に示す装置に試験体2fのように第1開口部24を下にして設置して、それぞれ音圧レベル(dB)を測定した。図4は、音源であるスピーカ6と測定点7の配置を説明する縦断面図である。図4では、試験体2fを中心に開口のあるベニヤ板4の上に配置させ、ベニヤ板4の開口を塞ぐようにスピーカ6を配置した。ベニヤ板4とスピーカ6との間には緩衝材5を設けた。スピーカ6は、WASEDA E.E.W-
3232平面スピーカ(300×300mm)を使用した。試験音にはピンクノイズを用い、測定状況によらず入力電圧を一定とした。試験体2fは、第1開口部24をベニヤ板4上に配置して音の伝搬方向が試験体2fの中心軸線上を通るようにした。第2開口部26の中心と測定点7との距離は500mmであった。図4の装置は、無響室内に配置した。
【0041】
まず、試験体2fを当該装置に配置してスピーカ6から試験音を放出しながら、測定点7における基準となる音圧レベルを測定した。次に、試験体2fを図2及び図3に示す試験体2a~試験体2eに替えてそれぞれの音圧レベルを同様に測定し、試験体2fの音圧レベルと比較した。
【0042】
図5図7は、試験体2a~2eにおける100Hz~1.25kHzの試験体2fに対する騒音低減効果(dB)を示した。図5図7において、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は試験体2fの音圧レベルに対して試験体2a~2eの音圧レベルが低減した低減量を示す騒音低減効果(dB)である。
【0043】
図5に示すように、実施例1の試験体2b(▲)は、比較例2の試験体2e(×)よりも全ての周波数において騒音低減効果が大きく、比較例1の試験体2a(●)に比べて250Hz~400Hzにおいて騒音低減効果が大きかった。
【0044】
図6に示すように、実施例2の試験体2c(■)は、比較例2の試験体2e(×)よりも全ての周波数において騒音低減効果が大きく、比較例1の試験体2a(●)に比べて250Hz~400Hzにおいて騒音低減効果が大きく、しかも100Hz~200Hz及び500Hz~1.25kHzにおいて同等の騒音低減効果を有していた。
【0045】
図7に示すように、実施例3の試験体2d(〇)は、比較例2の試験体2e(×)よりも全ての周波数において騒音低減効果が大きく、比較例1の試験体2a(●)に比べて200Hz~315Hzにおいて騒音低減効果が大きかった。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0047】
2…管内伝搬音抑制構造、2a~2f…試験体、4…ベニヤ板、5…緩衝材、6…スピーカ、7…測定点、11…第1構造、12…第2構造、20,20a,20b,20c…管体、22…内面、24…第1開口部、26…第2開口部、50…空気層、300…仕切り板、320…固定端、340…自由端、400…吸音材、D…長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7