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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148687
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0323 20190101AFI20220929BHJP
   F24F 1/0029 20190101ALI20220929BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20220929BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F24F1/0323
F24F1/0029
B60H1/00 102B
B60H1/22 651Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050457
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】519150315
【氏名又は名称】サンデン・アドバンストテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 直孝
(72)【発明者】
【氏名】金子 智
(72)【発明者】
【氏名】狩野 靖明
(72)【発明者】
【氏名】戸部 隆久
(72)【発明者】
【氏名】小和田 芳夫
【テーマコード(参考)】
3L049
3L051
3L211
【Fターム(参考)】
3L049BD03
3L051BE05
3L211BA51
3L211CA05
(57)【要約】
【課題】1つの送風機で2つの熱交換器の両方に風を分配しつつ、デッドスペースができないように、コンポーネントを配置して、小型化できる空調装置を提供する。
【解決手段】空調装置1は、複数の熱交換器(凝縮器30、蒸発器50)を備えた冷媒回路と、熱交換器に空気を送風する軸流ファン60と、がケース10内に収容された空調装置1において、複数の熱交換器は、空気流通方向と直交する方向に配置され、軸流ファン60は、複数の熱交換器の配置方向に対して一方側に配置され、複数の熱交換器に空気を供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱交換器を備えた冷媒回路と、前記熱交換器に空気を送風する軸流ファンと、がケース内に収容された空調装置において、
前記複数の熱交換器は、空気流通方向と直交する方向に配置され、
前記軸流ファンは、前記複数の熱交換器の配置方向に対して一方側に配置され、前記複数の熱交換器に空気を供給する、
ことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
配置方向一方側の前記熱交換器へ流れる空気の風速分布を均一化する一方側整流部を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載された空調装置。
【請求項3】
前記一方側整流部は、
前記軸流ファンから前記配置方向一方側の熱交換器へ流れる空気の流路における配置方向一方側端面に形成され、配置方向他方側に突出する突出部である、
ことを特徴とする請求項2に記載された空調装置。
【請求項4】
配置方向他方側の前記熱交換器へ流れる空気の風速分布を均一化する他方側整流部を設けた、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された空調装置。
【請求項5】
前記他方側整流部は、
前記軸流ファンから前記配置方向他方側の熱交換器へ流れる空気の流路を絞る絞り部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載された空調装置。
【請求項6】
前記空気流通方向と直交し鉛直方向と平行な、配置方向一方側の前記熱交換器における中心軸と、配置方向他方側の前記熱交換器における中心軸と、が離間している、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された空調装置。
【請求項7】
配置方向一方側の前記熱交換器における中心軸は、配置方向他方側の前記熱交換器における中心軸よりも、前記軸流ファンにおける前記空気流通方向と直交し鉛直方向と平行な中心軸に近くなるように配置した、
ことを特徴とする請求項6に記載された空調装置。
【請求項8】
発熱体と、
前記発熱体に取り付けられた放熱部と、
を備え、
前記放熱部を、前記複数の熱交換器と熱交換する空気が流れる通風路における前記複数の熱交換器よりも風上側に設けた、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された空調装置。
【請求項9】
前記放熱部を、配置方向一方側の前記熱交換器の前記通風路内に設けた、
ことを特徴とする請求項8に記載された空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調装置は、冷媒回路の構成部品(圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁など)や送風機といった空調に必要なコンポーネント一式を単体のケース内に収容したものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
従来技術として、送風機として吹き出し側送風機と排気側送風機を備え、ケース内に並列配置した蒸発器と凝縮器の下側に冷風室又は温風室を設け、吹き出し側送風機と排気側送風機は、上方から凝縮器又は蒸発器を通過した空気を、冷風室又は温風室に導いた後、上方に吹き出又は排気するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-83113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した空調装置は、小型化することで、家屋の室内や車室内に省スペースで設置することができる。また、ウイルス感染症対策や室内CO濃度の低減を考慮した場合、換気された空間を局所的又はパーソナルに空調することが求められるが、前述した空調装置を局所的な空調やパーソナル空調に用いる際には、小型化の要求が更に高くなる。
【0006】
これに対して、前述した従来技術は、ケース内に冷風室や温風室といった空間を設けているので、空調コンポーネントをケース内に収容する空調装置においては、所望の空調能力を得るために空調コンポーネントの収納スペースを十分に確保した場合には、装置の大型化が避けられない。
【0007】
また従来技術は、吹き出し用と排気用の2つの送風機がケース内のスペースを占有することで、ケースを小型化するのに限界がある。これに対して、送風機を1つにして吹き出し用と排気用の流路を分けることが考えられるが、ケース内の蒸発器と凝縮器に任意の送風バランスで風量を分配するのは困難であり、また、ケース内に並列配置された蒸発器と凝縮器の風上側の配列方向中間位置に1つの送風機を配置した場合、送風機を配置した空間の配列方向両端側にデッドスペースができて、ケース内にスペース効率よく空調コンポーネントを配置することができなくなる。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、ケース内に空調に必要なコンポーネントを収容した空調装置において、1つの送風機で2つの熱交換器(蒸発器、凝縮器)の両方に風を分配しつつ、デッドスペースができないように空調コンポーネントを配置して、小型化に対応できる空調装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明による空調装置は、以下の構成を具備するものである。
【0010】
空調装置は、複数の熱交換器を備えた冷媒回路と、前記熱交換器に空気を送風する軸流ファンと、がケース内に収容された空調装置において、前記複数の熱交換器は、空気流通方向と直交する方向に配置され、前記軸流ファンは、前記複数の熱交換器の配置方向に対して一方側に配置され、前記複数の熱交換器に空気を供給する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、1つの送風機で2つの熱交換器の両方に風を分配しつつ、デッドスペースができないように、空調コンポーネントを配置して、小型化できる空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における空調装置の構成を示す概略斜視図である。図1(a)は、空調装置の外観を示す概略斜視図であり、図1(b)は、本発明の実施の形態における空調装置の内部構成を示す概略斜視図である。
図2】空調装置の内部構成を示す一部透過概略斜視図である。
図3】空調装置の概略構成を示す上面図および側面図である。図3(a)は、空調装置1の概略構成を示す上面図であり、図3(b)は、側面図である。
図4】本実施の形態におけるファンダクトの概略構成を示す図である。図4(a)は、ファンダクトの概略構成を示す正面図であり、図4(b)は、側面図であり、図4(c)は、背面図である。
図5】本実施の形態におけるファンダクトとの比較例を示す図である。図5(a)は、ファンダクトとの比較例を示す正面図であり、図5(b)は、側面図であり、図5(c)は、背面図である。
図6】本実施の形態における軸流ファンの空気の流れを説明するための空調装置の内部配置を示す概略構成図である。図6(a)は、空調装置の内部配置を示す正面図であり、図6(b)は、側面図であり、図6(c)は、背面図である。
図7】本実施の形態における軸流ファンの空気の流れとの比較例を示す図である。図7(a)は、軸流ファンの空気の流れとの比較例を示す正面図であり、図7(b)は、側面図であり、図7(c)は、背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図面における重複説明は適宜省略する。
なお、各図面において、正面図における左右方向をX軸、正面図における前後方向をY軸、正面図における上下方向をZ軸とする。
【0014】
まず、本実施の形態の空調装置1について、説明する。
図1図2に示すように、空調装置1は、ケース10内に、圧縮機20と、凝縮器(熱交換器)30と、蒸発器(熱交換器)50と、軸流ファン60と、インバーター装置70と、ファンダクト(通風路)80と、備えている。ここで、圧縮機20と凝縮器30と蒸発器50は図示省略した膨張弁などと冷媒回路を構成している。したがって、空調装置1は、複数の熱交換器(配置方向一方側の熱交換器である蒸発器50と他方側の熱交換器である凝縮器30)を備えた冷媒回路と、熱交換器に空気を送風する軸流ファン60と、がケース10内に収容されている。
なお、本実施の形態において、空調装置1は、凝縮器30と蒸発器50とを、上下方向(図面のZ軸方向)に並列に配置したが、これに限らず、凝縮器30と蒸発器50とを、左右方向(図面のX軸方向)に並列に配置するものとしてもよい。
【0015】
圧縮機20と、凝縮器30と、蒸発器50とは、図示しない配管によって接続されており、内部を冷媒が循環するようになっている。
【0016】
(圧縮機20)
圧縮機20は、上記配管内を流れる冷媒を圧縮するものである。圧縮されて高圧ガスとなった冷媒は、配管を通って凝縮器30に流入する。
【0017】
(凝縮器30)
凝縮器30は、熱交換器であり、圧縮機20から吐出された冷媒と、軸流ファン60から送風される空気との間で熱交換を行うものである。この凝縮器30により、冷媒が液化される。凝縮器30で熱交換された冷媒は、図示省略した膨張弁で減圧され、配管を通って蒸発器50に流入する。また、軸流ファン60から凝縮器30に送風された空気は、凝縮器30を通り熱交換され、ケース10に設けられた排気口11から流出する。
【0018】
(蒸発器50)
蒸発器50は、図示省略した膨張弁で減圧された冷媒を気化する。蒸発器50は、熱交換器であり、膨張弁により減圧された冷媒と、軸流ファン60から送風される空気との間で熱交換を行う。
【0019】
軸流ファン60から蒸発器50に送風された空気は、蒸発器50を流れる冷媒に吸熱され、冷却される。冷却された空気は、ケース10に設けられた開口部12から、空調ダクト110に流出する。空調ダクト110に流出した空気は、例えば、車室内などに冷風として吹き出される。
蒸発器50で熱交換された冷媒は、配管を通って圧縮機20に流入する。圧縮機20に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0020】
(軸流ファン60)
軸流ファン60は、ケース10に設けられた図示しない吸気口から取り込んだ空気を、ファンダクト80を通じて、送風するものである。また、軸流ファン60は、凝縮器30および蒸発器50の配置方向に対して一方側に配置され、凝縮器30および蒸発器50に空気を供給するものである。
【0021】
なお、軸流ファン60から送風される空気は、以下に説明するファンダクト80の形状によって、凝縮器30および蒸発器50のそれぞれに分配されて、送風される。
また、本実施の形態において、軸流ファン60は、蒸発器50側から軸流ファン60側を見たときに(以下、正面視という)、時計回りに風が吹き出すようにファンが回転するようになっている。
【0022】
なお、図1図2に示すように、凝縮器30が下部に、蒸発器50が上部に配置されている。すなわち、凝縮器30および蒸発器50は、軸流ファン60による空気流通方向と直交する方向に配置されている。
【0023】
また、本実施の形態において、正面視で、蒸発器50が左側に、凝縮器30が右側に配置されている。
すなわち、正面視において、軸流ファン60の空気流通方向と直交し鉛直方向と平行な、蒸発器50の上下方向の中心軸50A(図6参照)と、凝縮器30の上下方向の中心軸30A(図6参照)と、が離間している。また、蒸発器50の中心軸50Aは、凝縮器30の中心軸30Aよりも、軸流ファン60における空気流通方向と直交し鉛直方向と平行な中心軸に近くなるように配置されている。また、凝縮器30の中心軸30Aは、蒸発器50の中心軸50Aよりも、軸流ファン60の回転方向上流側に配置されている。
【0024】
このため、上記のように、軸流ファン60は、正面視で時計回り(図6(c)は背面視であるので反時計回りとなっている)にファンが回転するようになっているので、軸流ファン60に近い側の熱交換器である蒸発器50の中心軸50Aに対し、軸流ファン60に遠い側の熱交換器である凝縮器30の中心軸30Aが、軸流ファン60の回転方向上流側となるように、凝縮器30および蒸発器50が配置されている(この配置による空気の流れの詳細については後述する)。
【0025】
上記のように、空調装置1は、凝縮器30が下部に、蒸発器50が上部に配置されている。そして、軸流ファン60は、凝縮器30および蒸発器50の配置方向に対して一方側の上部に設けられており、凝縮器30および蒸発器50と、軸流ファン60と、の間にファンダクト80が設けられている。さらに、圧縮機20は、軸流ファン60の下部で、ファンダクト80の一部下部および一部軸流ファン60側に設けられている。したがって、空調装置1は、各コンポーネント(圧縮機20、凝縮器30、蒸発器50、軸流ファン60、ファンダクト80)が、少ないデッドスペースで、小型化してケース10内に収められている。
【0026】
(インバーター装置70)
インバーター装置70は、電源から供給された電力の電圧や周波数を変換して出力するものであり、例えば、圧縮機20を稼働させるモーターの回転数を制御している。
【0027】
また、インバーター装置70は、インバーター基板(放熱部)71にインバーター(発熱体)72等が取り付けられており、ファンダクト80の途中に設けられている(詳細は後述する)。すなわち、インバーター基板71をファンダクト80の途中に取り付ける。
【0028】
インバーター72は、高温となる発熱体であり、インバーター基板71は、このインバーター72で発生した熱の放熱部であるので、インバーター基板71を通風路であるファンダクト80の途中に設けることによって、軸流ファン60から送風された空気によって、インバーター装置70を冷却することができる。
【0029】
(ファンダクト80)
ファンダクト80は、軸流ファン60によって送出された空気を、凝縮器30および蒸発器50のそれぞれに導くものである。以下、図3図4を参照して、ファンダクト80の形状について説明する。また、図5に、ファンダクト80の形状に違いによる比較例を示す。
【0030】
図4(a)に示すように、ファンダクト80は、上下方向に長く、正面視で左上から右下に向かって大きな通風路が設けられている。また、図4(b)に示すように、ファンダクト80は、上部ダクト部81と、下部ダクト部82と、を有している。なお、比較例として示す、図5に示すファンダクト280においても、上部ダクト部281と、下部ダクト部282と、を有するものとする。
【0031】
上部ダクト部81は、軸流ファン60と蒸発器50との間、および、軸流ファン60と下部ダクト部82との間、に設けられ、軸流ファン60から直接、空気が送出されるものである。上部ダクト部81に送出された空気は、蒸発器50および下部ダクト部82に流入する。
【0032】
また、上部ダクト部81の、軸流ファン60と蒸発器50との間には、ファンダクト80の上部端面に蒸発器50側から凝縮器30側に突出する突出部(一方側整流部)81aが設けられている。ここで、軸流ファン60から送出される空気は、外周方向に向かう風量の方が、中心部から真直ぐ進む風量よりも大きくなる。このため、軸流ファン60から送出される風量は、軸流ファン60の回転軸方向に送出される量よりも、軸流ファンの半径方向(図4(b)において左上および左下方向)に送出される量が大きくなる。
【0033】
したがって、上記のように、上部ダクト部81に突出部81aが設けられていることにより、軸流ファン60から送出された上部方向の大きな風量が、下方に押し下げられ、蒸発器50へ流れる空気の風速分布を均一化することができる。
一方、図5に示す比較例の上部ダクト部281のように、突出部81aが無いと、上方の風量は大きいが、軸流ファン60の回転軸方向への風量が小さいため、蒸発器50に対して均一に風を当てることができない。
【0034】
また、上部ダクト部81の、軸流ファン60と蒸発器50との間には、インバーター基板71が取り付けられている。より詳しくは、インバーター基板71は、ファンダクト80の上部ダクト部81に、差し込まれるように取り付けられ、インバーター基板71の一部およびインバーター72の取り付け部方向が、ファンダクト80の外部に露出している。このインバーター基板71が設けられた位置を通る空気は、凝縮器30側へ流れ、蒸発器50側へはほとんど流れない。すなわち、インバーター基板71は、蒸発器50よりも風上側に設けられ、インバーター基板71から熱を受けた空気のほとんどは蒸発器50側に流れず、蒸発器50によって冷やされた空気をぬるくしてしまうこともない。
【0035】
このため、インバーター装置70は、放熱部たるインバーター基板71がファンダクト80内で送風される空気によって冷却され、インバーター72を適切に冷却させることができる。しかも、凝縮器30と熱交換した空気は、凝縮器30により温められるため、凝縮器30へ流れる空気がインバーター基板71により多少温められても問題はない。したがって、ファンダクト80内を過熱させることなく、蒸発器50に送風する空気を温めてしまうことも防止して、インバーター72を冷却させることができる。
なお、インバーター基板71以外の発熱がない、または、発熱量の少ない基板類等に関しては、凝縮器30の上方の蒸発器50の側方などのスペースに設けることができる。
【0036】
また、上部ダクト部81は、上部後方側ダクト83と、上部前方側ダクト84と、を有している。
上部後方側ダクト83は、軸流ファン60側から突出部81aの後端あたりまでの領域であり、上部前方側ダクト84は、突出部81aの後端あたりから蒸発器50に至るまでの領域である。
【0037】
上部後方側ダクト83では、軸流ファン60側から上方に送出された空気が、突出部81aによってダクトが絞られ、上部前方側ダクト84へと流入する。上部前方側ダクト84では、上部が後端から前方に向かって拡がった構造(図4(b)参照)となっているので、上部前方側ダクト84に流入した空気が、一様に拡がって蒸発器50に送出されるようになっている。
【0038】
また、上部後方側ダクト83の下部は、上流側から下流側に拡がった形状となっている(図4(b)参照)ので、軸流ファン60から下方に送出された空気が、効率よく下部ダクト部82へと送出される。
【0039】
下部ダクト部82は、上部ダクト部81(上部後方側ダクト83)と、凝縮器30と、の間に設けられている。下部ダクト部82は、上流側が上部ダクト部81に接続され、下流側が凝縮器30と接続されている。
また、下部ダクト部82は、下部後端側に、絞り部(他方側整流部)82aが設けられている。
【0040】
一方、図5に示す比較例の下部ダクト部282では、絞り部82aが設けられていない。このように、絞り部82aがない場合、下部ダクト部282の上方での風量が下方での風量に比べて小さくなってしまう。このため、凝縮器30に対して、一様に空気を当てることができない。
【0041】
これに対し、本実施の形態の下部ダクト部82のように、絞り部82aが設けられていると、下部ダクト部82に上方から流入した空気は、絞り部82aにより、絞り部82aから下方に流れる空気の流量が絞られる。したがって、下部ダクト部82に絞り部82aを設けることにより、下部ダクト部82の下方へ多量の空気が流れることを抑制することができ、凝縮器30に流れる空気分布を一様にすることができる。
【0042】
また、ファンダクト80は、図4のs1、s2に示す上部ダクト部81と下部ダクト部82とのつなぎ目付近が拡げられている。一方、ファンダクト80の上部においては、図4のs3に示すように、むやみに拡げられてはいない。すなわち、ファンダクト80は、上方が左側に寄って、下方が右側に寄った形状となっている。
ファンダクト80は、上記のように、上部ダクト部81と下部ダクト部82とのつなぎ目付近が拡げられているので、軸流ファン60から送出された空気を、十分に下方に流通させることができる。
【0043】
これに対し、図5に示す比較例のファンダクト280のように、t1およびt2部分が拡げられておらず、上部ダクト部281および下部ダクト部282の上下方向の太さが同じであり、つなぎ目付近が同じ太さで斜めに傾斜した形状となっており、上部ダクト部281から下部ダクト部282に対して、十分に空気を流入させることができず、所望の空気量を凝縮器30に流通させることができない。
【0044】
次に、軸流ファン60の回転方向と、凝縮器30および蒸発器50の配置について、説明する。
【0045】
図6、および、前述のように、軸流ファン60は、正面視で時計回りに回転する。そして、正面視(以下、特に断らない限り正面視において右左という)で、蒸発器50は、左側に配置され、蒸発器50の下方に設置された凝縮器30は、右側に配置されている。すなわち、軸流ファン60は、正面視で時計回りに回転するので、下部では右側から左側に回転する。
【0046】
この時、軸流ファン60の下部に設けられた凝縮器30が、蒸発器50よりも右側、すなわち、上流側に設けられている。また、軸流ファン60の右側では、上方から下方に回転する。
そして、上記のように、ファンダクト80は、上方が左側に寄って下方が右側に寄っており、上部ダクト部81と下部ダクト部82とのつなぎ目付近が拡げられた形状となっている。このため、軸流ファン60の右側で下方に放出される空気が、下部ダクト部82を介して、凝縮器30に十分に送出させることができる。
【0047】
一方、図7に示す比較例においては、蒸発器50は右側に配置され、蒸発器50の下方に設置された凝縮器30は左側に配置されている。軸流ファン60は、本実施の形態(図6等に示す)と同様に、正面視で時計回りに回転するので、軸流ファン60の右側では、上方から下方に回転する。
【0048】
しかしながら、蒸発器50は右側に寄っており、ファンダクト380の上方右側も空間が狭くなっており、軸流ファン60から送出された空気の勢いが殺され、所望の方向に十分に空気を送出させることができない。このため、軸流ファン60から送出された空気が、下部ダクト部82を介して凝縮器30に達せず、凝縮器30に十分な空気を送出させることができない。
すなわち、本実施の形態のように、軸流ファン60の回転方向に応じて、凝縮器30と蒸発器50を設置することにより、軸流ファン60から送出された空気を有効に活用させることができる。
【0049】
このような空調装置1は、軸流ファン60によって上流側から下流側に向かってファンダクト80内に空気が送風される。このとき、軸流ファン60の回転中心軸方向へ流れる空気の流量は少なく、半径方向へ流れる空気の流量は多くなる。
【0050】
上方に向かった大きな空気の流れは、ファンダクト80の突出部81aによって下方に向かわされ、上部後方側ダクト83から上部前方側ダクト84を通って蒸発器50に一様に供給される。蒸発器50に供給された空気は、蒸発器50で冷却され、冷却された空気が空調ダクト110に供給される。
また、軸流ファン60から送出された空気の一部は、インバーター基板71に送出され、冷却することによって、インバーター72を冷却することができる。
【0051】
一方、軸流ファン60から送出され、下方に向かった空気は、上部ダクト部81から下部ダクト部82に供給され、下部ダクト部82の絞り部82aによって下方まで十分な空気が送出され、凝縮器30に一様に供給される。凝縮器30に供給された空気は、凝縮器30にて冷媒と熱交換することで加熱され、ケース10の排気口11から排出される。
【0052】
以上のように、本実施の形態の空調装置1によれば、1つの軸流ファン60で、2つの熱交換器(凝縮器30、蒸発器50)の両方に、風を所定の比率で分配しつつ、デッドスペースができないように、コンポーネント(圧縮機20、凝縮器30、蒸発器50、軸流ファン60)を配置して小型化し、熱交換器に均一に風を通過させることができる。
【0053】
また、本実施の形態の空調装置1によれば、各コンポーネントの配置に加え、ファンダクト80に突出部81aや絞り82a等を設けた所定の形状とすることにより、2つの熱交換器(凝縮器30、蒸発器50)に対する風量配分を狙った通りに調整することができる。
【0054】
さらに、本実施の形態の空調装置1によれば、ファンダクト80の形状とともに、ファンダクト80の拡張位置にインバーター基板71を配置したので、蒸発器50で冷却された空気を温めることなく、インバーター72を冷却することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、正面視において、軸流ファン60の回転を時計回りとし、蒸発器50を左側に、凝縮器30を右側に配置するものとしているが、これに限らず、軸流ファン60の回転を反時計回りとし、蒸発器50を右側に、凝縮器30を左側に配置するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 空調装置
10 ケース
11 排気口
12 開口部
20 圧縮機
30 凝縮器(熱交換器)
50 蒸発器(熱交換器)
60 軸流ファン
70 インバーター装置
71 インバーター基板(放熱部)
72 インバーター(発熱体)
80、280、380 ファンダクト(通風路)
81、281 上部ダクト部
81a 突出部(一方側整流部)
82、282 下部ダクト部
82a 絞り部(他方側整流部)
83 上部後方側ダクト
84 上部前方側ダクト
110 空調ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7