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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148696
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】セル特性評価装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20160101AFI20220929BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20220929BHJP
【FI】
H01M8/02
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050467
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】依田 将和
(72)【発明者】
【氏名】越後 満秋
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA15
5H126BB06
5H126FF06
5H126FF09
5H126GG02
(57)【要約】
【課題】セルとセルの両側面に当接する集電部とをガス通流管及びセル支持管によって挟んでセルの特性評価を行うセル特性評価装置において、歪がない状態でのセルの特性評価を行えるようにする。
【解決手段】セル11と集電部12を挟む一対のガス通流管21およびセル支持管22のうちの少なくとも一方のガス通流管21およびセル支持管22と、集電部12との間に位置するセル支持部30が備えられている。セル支持部30は、ガス通流管21からセル11へのガス流入を可能にし、かつ、セル11からガス通流路23へのガス流出を可能にする状態でガス通流管21の集電部側の端部21aとセル支持管22の集電部側の端部22aとに亘っている。セル支持部30の集電部に接触する集電部側面30aが平坦面である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層、対極電極層、前記電極層と前記対極電極層との間に配置される電解質層を少なくとも有する電気化学反応に用いるセルと、前記セルの両面のそれぞれに当接する集電部と、を有するセル部に対して前記セル部の両側に分かれて位置して前記セル部を挟む一対の評価筒部が備えられ、
前記一対の評価筒部それぞれは、前記セルに対するガス供給と前記セルからのガス排出との一方を行うガス通流管と、前記ガス通流管を外側から囲い、かつ、前記ガス通流管との間に前記セルに対するガス供給と前記セルからのガス排出との他方を行うガス通流路を形成するセル支持管と、を備え、
前記一対の評価筒部の少なくとも一方の評価筒部と前記集電部との間において、前記ガス通流管と前記セルとの間でのガス流通を可能にし、かつ、前記セルと前記ガス通流路との間でのガス流通を可能にする状態で前記ガス通流管の前記集電部側の端部と前記セル支持管の前記集電部側の端部とに亘って位置するセル支持部が備えられ、
前記セル支持部の前記集電部に接触する集電部側面が平坦面であるセル特性評価装置。
【請求項2】
前記セル支持部は、前記セル支持管との一体形成によって前記セル支持管に支持されている請求項1に記載のセル特性評価装置。
【請求項3】
前記セル支持部は、前記セル支持管に脱着可能に支持されている請求項1に記載のセル特性評価装置。
【請求項4】
前記セル支持部は、金属製である請求項1から3のいずれか一項に記載のセル特性評価装置。
【請求項5】
前記セルが板状の金属を支持体とする請求項1から4のいずれか一項に記載のセル特性評価装置。
【請求項6】
前記セルが固体酸化物形セルである請求項1から5のいずれか一項に記載のセル特性評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セル特性評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池などの電気化学反応に用いるセルの特性を評価するセル特性評価装置には、セルとセルの両側面に当接する集電部とを有するセル部に対してセル部の両側に分かれて位置してセル部を挟む一対の評価筒部が備えられ、一対の評価筒部それぞれは、セルに対するガス供給とセルからのガス排出との一方を行うガス通流管と、ガス通流管を外側から囲い、かつ、ガス通流管との間にセルに対するガス供給とセルからのガス排出との他方を行うガス通流路を形成するセル支持管と、を備えるものがある。
【0003】
この種のセル特性評価装置としては、例えば非特許文献1に示されるものがある。非特許文献1に示されるものでは、ガス通流管(porcelain tubes for gases input)、セル支持管(porcelain tubes)が備えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】B. Kuzin, M. Perfiliev, V. Gorelov, S. Beresnev 及び Ju. Kleschev、「ELECTROCHEMISTRY OF FUEL CELLS WITH H+ ELECTROLYTE BASED ON BaCeO3」、「THE FIFTH INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON SOLID OXIDE FUEL CELLS V」、The Electrochemical Society, Inc、1997年3月、Proceeding Volume 97-18、P348~357
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、ガス通流管の集電部側の端部とセル支持管の集電部側の端部との間にセル部を挟む方向での位置ずれが発生しがちであってガス通流管とセル支持管とがセル部を挟むことに起因するセル変形操作力が発生するので、湾曲するなど歪んだ状態のセルに対する特性評価が行われてしまう。ガス通流管やセル支持管をセル部の挟み方向に弾性支持してガス通流管やセル支持管のセル部を挟む荷重の調整を行う荷重調整バネを備えても、ガス通流管の集電部側の端部とセル支持管の集電部側の端部との位置ずれを解消し切れず、セルの適正な特性の評価を得ることができない。ガス通流管の集電部側の端部とセル支持管の集電部側の端部との位置ずれの大きさによっては、セルにクラックが発生してセルが破損する。
【0006】
本発明は、歪がない状態でのセルの特性評価を行うことができ、かつ、セルを破損させないセル特性評価装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるセル特性評価装置は、
電極層、対極電極層、前記電極層と前記対極電極層との間に配置される電解質層を少なくとも有する電気化学反応に用いるセルと、前記セルの両面のそれぞれに当接する集電部と、を有するセル部に対して前記セル部の両側に分かれて位置して前記セル部を挟む一対の評価筒部が備えられ、前記一対の評価筒部それぞれは、前記セルに対するガス供給と前記セルからのガス排出との一方を行うガス通流管と、前記ガス通流管を外側から囲い、かつ、前記ガス通流管との間に前記セルに対するガス供給と前記セルからのガス排出との他方を行うガス通流路を形成するセル支持管と、を備え、前記一対の評価筒部の少なくとも一方の評価筒部と前記集電部との間において、前記ガス通流管と前記セルとの間でのガス流通を可能にし、かつ、前記セルと前記ガス通流路との間でのガス流通を可能にする状態で前記ガス通流管の前記集電部側の端部と前記セル支持管の前記集電部側の端部とに亘って位置するセル支持部が備えられ、前記セル支持部の前記集電部に接触する集電部側面が平坦面である。
【0008】
本構成によると、セル部が一対の評価筒部におけるガス通流管およびセル支持管によってセル部の両側から挟まれるが、セル支持部が集電部に平坦面で接触する状態でセル部を支持しつつガス通流管およびセル支持管によるセル部の挟持に対抗するので、セルを変形させる操作力が発生せず、歪まない状態でのセルの特性評価を行うことができる。また、セルの破損を防止できる。
【0009】
本発明においては、
前記セル支持部は、前記セル支持管との一体形成によって前記セル支持管に支持されていると好適である。
【0010】
本構成によると、外径がガス通流管の外径よりも大きいセル支持管にセル支持部を一体形成するので、セル支持部を一体形成し易い。
【0011】
本発明においては、
前記セル支持部は、前記セル支持管に脱着可能に支持されていると好適である。
【0012】
本構成によると、ガス通流管の外側に位置するセル支持管とセル支持部との間でセル支持部の脱着を行えるので、セル支持部の点検作業などを行うに際し、セル支持部を脱着し易い。
【0013】
本発明においては、
前記セル支持部は、金属製であると好適である。
【0014】
本構成によると、セル支持部と集電部との導通が可能になってセルから集電部に導入された電気情報がセル支持部に伝達されるので、集電部からの電気情報を取出すケーブルを集電部に接続するのに比べ、集電部よりもガス通流管側に位置するセル支持部に作業容易に接続しても集電部からの電気情報を取出すことができる。
【0015】
本発明においては、
前記セルが板状の金属を支持体とするセルであると好適である。
【0016】
本構成によると、支持体となる板状の金属の塑性変形に対応して、セル支持部が集電部に平坦面で接触する状態を維持しつつ、歪まない状態でのセルの特性評価を行うことができる。とりわけ、板状の金属支持体の厚さが薄い場合に好適であり、例えば、その厚さが1mm以下であると好ましく、0.5mm以下であるとより好ましく、0.3mm以下であると更に好ましい。また、その厚さの下限は、セルを構成できる厚さであれば良い。
【0017】
本発明においては、
前記セルが固体酸化物形セルであると好適である。
【0018】
本構成によると、固体酸化物形セルが作動する高温域(例えば、500℃~1000℃)においてもセル支持部が集電部に平坦面で接触する状態を維持しつつ、歪まない状態でのセルの特性評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】セル特性評価装置の全体を示す概要図である。
図2】セル支持部の拡大図である。
図3】セルの断面図である。
図4】セル支持部の平面図である。
図5図4のV-V断面矢視図である。
図6】別の実施形態を備えるセル支持部の平面図である。
図7】別の実施形態を備えるセル支持部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
〔セル特性評価装置の全体の構成〕
セル特性評価装置1は、燃料電池を構成するセル11(図3参照)の特性評価を行うものである。図1に示されるように、セル特性評価装置1は、台座3および上支持体4を備え、かつ、台座3と上支持体4との間において、評価対象のセル11を有するセル部10に対してセル部10の上側と下側とに分かれて位置し、セル部10を上下から挟む上下一対の評価筒部20を備えている。上下一対の評価筒部20のうちの下の評価筒部20とセル部10との間に、セル支持部30が設けられている。
【0022】
〔セル部の構成〕
図2に示されるように、セル部10は、評価対象のセル11と、セル11の両面のそれぞれに当接する集電部12と、を備えている。セル11は、図3に示されるように、電解質層11aと、電解質層11aの一方の側面に形成された空気極(電極層)11bと、電解質層11aの他方の側面に形成された燃料極(対極電極層)11cと、燃料極11cに当て付けられ、燃料極11cとの導通が可能な板状の金属製のセル支持体11dと、を備えている。例えば、本実施形態では、厚さ0.3mmの金属板をセル支持体11dとする固体酸化物形燃料電池を用いた。なお、セル支持体11dには、燃料極11cへの燃料導入、および、燃料極11cの燃料排出を可能にする複数の貫通孔11eが備えられている。本実施形態では、セル11は、空気極側が上向きになり、燃料極側が下向きになる状態でセル部10に備えられている。集電部12は、電気伝導性を備えている。集電部12は、多孔質体、発泡体などの適宜な部材によって構成され、セル11に対する燃料導入、および、セル11の燃料排出を可能している。本実施形態では、セル支持体11dを備えるセル11を特性評価対象のセルとしているが、これに限らず、特性評価対象のセルとしては、セル支持体11dを備えないなど、どのような構造を有するセルであってもよい。
【0023】
〔上の評価筒部の構成〕
図1に示されるように、上下一対の評価筒部20のうちの上の評価筒部20は、セル11に対するガス供給を行うガス通流管21、および、ガス通流管21の外側に位置するセル支持管22を備えている。図1,2に示されるように、セル支持管22は、セル11を支持するように、かつ、セル支持管22とガス通流管21との間にセル11からのガス排出を行うガス通流路23を形成するように構成されている。セル支持管22によるセル11の支持は、セル支持管22のセル部側の端部22aとセル11との間に設けられた環状のシール材24を介してセル支持体11dの外周を押し付ける状態で行われる。シール材24は、セル支持管22とセル11との間からの空気漏れを防止するものである。シール材24は、セル支持管22に支持されている。
【0024】
図1に示されるように、ガス通流管21の上部に、ガス入口25が備えられている。セル支持管22の上部に、ガス出口26が備えられている。図2に示されるように、ガス通流管21の集電部側の端部21aに、ガス供給口27がセル部10に向けて開口されている。セル支持管22の集電部側の端部22aに、ガス回収口28がセル部10に向けて開口されている。ガス通流管21の端部21aは、集電部12の外周に押し付けられる。
【0025】
上の評価筒部20においては、ガス通流管21にガス入口25から空気(酸素)が供給され、供給された空気がガス通流管21によってガス供給口27から集電部12を介してセル11における空気極11bに導入される。空気極11bから出た空気が集電部12およびガス回収口28を介してガス通流路23に回収され、回収された空気がセル支持管22によってガス出口26からセル支持管22の外部に排出される。空気極11bから集電部12に導入された電気情報は、集電部12に接続されたケーブル(図示せず)によって取り出される。
【0026】
〔下の評価筒部の構成〕
図1に示されるように、上下一対の評価筒部20のうちの下の評価筒部20は、上の評価筒部20と同様に、セル11に対するガス供給を行うガス通流管21と、ガス通流管21の外側に位置するセル支持管22と、を備えている。図1,2に示されるように、セル支持管22は、セル11を支持するように、かつ、セル支持管22とガス通流管21との間にセル11からのガス排出を行うガス通流路23を形成するように構成されている。セル支持管22によるセル11の支持は、セル支持管22の集電部側の端部22aとセル11との間に設けられたセル支持部30および環状のシール材29を介して行われる。シール材29は、セル支持部30とセル11との間からの燃料漏れを防止するものである。シール材29は、セル支持部30に支持されている。
【0027】
図1に示されるように、ガス通流管21の下部に、ガス入口25が備えられている。セル支持管22の下部に、ガス出口26が備えられている。図2に示されるように、ガス通流管21の集電部側の端部21aに、ガス供給口27がセル支持部30に向けて開口されている。セル支持管22の集電部側の端部22aに、ガス回収口28がセル支持部30に向けて開口されている。
【0028】
〔セル支持部の構成〕
図2に示されるように、セル支持部30は、セル支持管22の集電部側の端部22aとガス通流管21の集電部側の端部21aとにわたって位置する状態でガス通流管21およびセル支持管22と集電部12との間に設けられている。すなわち、セル支持部30は、ガス通流管21のガス供給口27およびセル支持管22のガス回収口28を塞ぐ状態でガス通流管21の集電部側の端部21aとセル支持管22の集電部側の端部22aとに跨っている。ガス通流管21の端部21aは、セル支持部30の下面に当接される。図2,4,5に示されるように、セル支持部30の集電部12に接触する集電部側面30aは、集電部12に対して面接触するように平坦面にされている。セル部10は、集電部12に平坦面で面接触するセル支持部30によって支持されつつ一対の評価筒部20におけるガス通流管21およびセル支持管22によって挟まれる。
【0029】
セル支持部30は、ガス通流管21からセル11へのガス流入を可能にし、セル11からガス通流路23へのガス流出を可能にするように構成されている。
【0030】
具体的には、図4,5に示されるように、セル支持部30のうち、ガス通流管21のガス供給口27に対応する部位に、ガス通流管21から集電部12に対する燃料(水素)の導入を可能する流路を構成する第1貫通孔31が備えられている。第1貫通孔31は、セル支持部30の複数箇所に備えられている。詳述すると、セル支持部30のうち、ガス通流管21の管中心に対応する第1設置箇所と、第1設置箇所を中心に放射状に並ぶ複数の第2設置箇所と、第2設置箇所よりもガス通流管21の径方向外側に位置する箇所において第1設置箇所を中心に放射状に並ぶ複数の第3設置箇所とのそれぞれに第1貫通孔31が備えられている。セル支持部30のうち、セル支持管22のガス回収口28に対応する部位に、集電部12からガス通流路23への燃料(水素)の回収を可能にする流路を構成する第2貫通孔32が備えられている。第2貫通孔32は、セル支持部30の複数箇所に備えられている。詳述すると、第2貫通孔32は、セル支持部30のうち、第3設置箇所よりもガス通流管21の径方向外側に位置する箇所において第1設置箇所を中心に放射状に並ぶ複数の第4設置箇所に備えられている。図4,5に示されるように、セル支持部30の集電部側面30aに、複数の第1貫通孔31のうちの一部の第1貫通孔31と、複数の第2貫通孔32のうちの一部の第2貫通孔32とを連通させ、第1貫通孔31から第2貫通孔32への燃料の流動を可能にする連通溝33が形成されている。二つの連通溝33は、第1設置箇所で交差する状態で形成されている。
【0031】
セル支持部30は、金属製である。すなわち、セル支持部30は、集電部12との導通が可能であり、セル11の燃料極11cからセル支持体11dを介して集電部12に導入された電気情報がセル支持部30に伝達される。本実施形態では、セル支持部30は、ステンレス鋼によって製作されている。
【0032】
セル支持部30は、図2に示されるように、セル支持管22との一体形成によってセル支持管22に支持されている。
【0033】
下の評価筒部20においては、ガス通流管21にガス入口25から燃料(水素)が供給され、供給された燃料がガス通流管21によってガス供給口27からセル支持部30の第1貫通孔31を介してセル部10の集電部12に導入され、集電部12からセル支持体11dを介して燃料極11cに導入される。燃料極11cから排出される燃料がセル支持体11dから集電部12に流入し、集電部12からセル支持部30の第2貫通孔32、およびガス回収口28を介してガス通流路23に回収され、回収された燃料がセル支持管22によってガス出口26からセル支持管22の外部に排出される。燃料極11cからセル支持体11dを介して集電部12に導入された電気情報がセル支持部30の第1貫通孔31を通して集電部12に接続されたケーブル(図示せず)によって取り出される。セル支持部30は、金属製であって集電部12に導通し、燃料極11cから集電部12に導入される電気情報を取り出すケーブルをセル支持部30に接続することによっても、集電部12に導入される電気情報を取り出すことができる。
【0034】
〔セル部を挟む荷重の調整〕
図1に示されるように、上の評価筒部20において、ガス通流管21がセル支持管22の上部に備えられた貫通孔40を挿通し、ガス通流管21とセル支持管22とがセル部10を挟む方向に沿う方向にガス通流管21とセル支持管22とが相対移動できるように構成されている。ガス通流管21の上部と上支持体4との間に、ガス通流管21を弾性支持し、ガス通流管21のセル部10を挟む荷重を調整する第1荷重調整バネ41が設けられている。セル支持管22の上部と上支持体4との間に、セル支持管22を弾性支持し、セル支持管22のセル部10を挟む荷重を調整する第2荷重調整バネ42が設けられている。
【0035】
図1に示されるように、下の評価筒部20において、セル支持管22は、台座3が有する支柱部3aに支持されている。ガス通流管21は、セル支持管22の下部に備えられた貫通孔43を挿通し、ガス通流管21とセル支持管22とがセル部10を挟む方向に沿う方向にセル支持管22に対して相対移動できるように構成されている。ガス通流管21の下部と台座3との間に、ガス通流管21を弾性支持し、セル部10を挟むガス通流管21の荷重を調整する第3荷重調整バネ44が設けられている。
【0036】
〔別実施形態〕
(1)図6は、別の実施形態を備えるセル支持部30の平面図である。図7は、別の実施形態を備えるセル支持部30の断面図である。図6,7に示されるように、別の実施形態を備えるセル支持部30では、セル支持部30のうち、ガス通流管21からの燃料を集電部12に導入する導入部位30b、および、セル部10から集電部12に排出された燃料をガス通流路23に回収する回収部位が多孔質体によって構成されている。
【0037】
(2)上記した実施形態では、セル支持体11dを備えるセル11を特性評価対象のセルとした例を示したが、特性評価対象のセルは、セル支持体11dを備えないなど、どのような構造を有するセルであってもよい。
【0038】
(3)上記した実施形態では、金属板に貫通孔11eを備えたセル支持体11dを用いて燃料電池を構成するセル11の特性評価を行うものを示したが、焼結金属や発泡金属を板状に成型したものをセル支持体に用いるセルの特性評価に採用するものであってもよい。
【0039】
(4)上記した実施形態では、一対の評価筒部20のうち、上の評価筒部20を空気導入側に構成し、下の評価筒部20を燃料導入側に構成した例を示したが、これに限らない。たとえば、上の評価筒部20を燃料導入側に構成し、下の評価筒部20を空気導入側に構成したものであってもよい。また、一対の評価筒部20がセル部10を挟んで水平方向に並ぶものであってもよい。
【0040】
(5)上記した実施形態では、セル支持部30を一対の評価筒部20のうちの燃料導入側の評価筒部20において、ガス通流管21およびセル支持管22と集電部12との間のみに設けた例を示したが、これに限らない。一対の評価筒部20のうちの空気導入側の評価筒部20において、ガス通流管21およびセル支持管22と集電部12との間のみに設けてもよい。また、一対の評価筒部20の空気導入側および燃料導入側の両方の評価筒部20において、ガス通流管21およびセル支持管22と集電部12との間に設けてもよい。
【0041】
(6)上記した実施形態では、セル支持部30をセル支持管22に支持する例を示したが、ガス通流管21に支持するものであってもよい。また、上記した実施形態では、セル支持部30をセル支持管22に支持するのに、セル支持管22との一体形成によって支持する構成を採用したが、セル支持管22に脱着可能に支持する構成を採用してもよい。
【0042】
(7)上記した実施形態では、セル支持部30をステンレス鋼によって作製した例を示したが、これに限らない。たとえば、鋼材など各種の金属材によって作製したものであってもよい。また、金属製に限らず、セラミックス製など非金属製のセル支持部を採用するものであってもよい。
【0043】
(8)上記した実施形態では、燃料電池を構成するセル11の特性評価を行うものを示したが、電気分解反応に用いるセルなど、燃料電池以外の電気化学反応に用いるセルの特性評価に採用するものであってもよい。
【0044】
(9)上記した実施形態では、固体酸化物形セルとして固体酸化物形燃料電池を構成するセル11の特性評価を行うものを示したが、固体高分子形セルなどの特性評価に採用するものであってもよい。
【0045】
(10)セル11に対するガス供給をガス通流管21によって行い、セル11からのガス排出をガス通流路23によって行う例を示しが、これに限らない。セル11に対するガス供給をガス通流路23によって行い、セル11からのガス排出をガス通流管21によって行うものであってもよい。
【0046】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、燃料電池などの電気化学反応に用いるセルとセルの両側面に当接する集電部とを有するセル部に対してセル部の両側に分かれて位置してセル部を挟む一対の評価筒部が備えられ、一対の評価筒部それぞれは、セルに対するガス供給とセルからのガス排出との一方を行うガス通流管と、ガス通流管を外側から囲い、かつ、ガス通流管との間にセルに対するガス供給とセルからのガス排出との他方を行うガス通流路を形成するセル支持管と、を備えるセル特性評価装置に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
10 セル支持部
11 セル
12 集電部
20 評価筒部
21 ガス通流管
21a 集電部側の端部
22 セル支持管
22a 集電部側の端部
23 ガス通流路
30 セル支持部
30a 集電部側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7