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特開2022-148703搬送物の気流制御システム及びこれを用いた搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148703
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】搬送物の気流制御システム及びこれを用いた搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B65G47/14 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050486
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】599069507
【氏名又は名称】株式会社ダイシン
(71)【出願人】
【識別番号】502254796
【氏名又は名称】有限会社メカノトランスフォーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】神戸 祐二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 友幸
(72)【発明者】
【氏名】徐 世傑
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭雄
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080BB03
3F080BB05
3F080CE11
3F080DA18
3F080EA09
3F080EA15
3F080FB08
(57)【要約】
【課題】気流の圧力や流量等の態様を搬送物の種類や搬送条件等に応じて正確にかつ再現性良く制御することにより、搬送物の選別不良や供給効率の低下を防止する。
【解決手段】搬送路121に沿って搬送される搬送物Pの気流制御システムであって、気流源101に接続された気流経路に接続されて搬送路に臨む噴気口122と、気流経路を開閉する開閉弁104と、搬送路上において噴気口に近づく搬送物を検出する搬送物検出器109の検出態様に応じて判定を行う搬送物判定部115と、搬送物判定部の判定結果に応じて開閉弁を開閉制御する開閉弁駆動部116と、気流経路において開閉弁とは別に設けられ、気流経路における気流の態様を調整可能な気流調整機構105と、搬送物、搬送条件等に応じた気流調整データを出力する制御部111と、気流調整データに基づいて気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部113とを具備する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、
気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、
前記気流経路を開閉する開閉弁と、
前記搬送路上において前記噴気口に近づく前記搬送物を検出する搬送物検出器の検出態様に応じて判定を行う搬送物判定部と、
前記搬送物判定部の判定結果に応じて前記搬送物が前記噴気口に臨むタイミングで前記開閉弁を開閉制御する開閉弁駆動部と、
前記気流経路において前記開閉弁とは別に設けられ、前記開閉弁が開状態にあるときの前記気流経路における気流の態様を調整可能な気流調整機構と、
前記搬送物、搬送条件、搬送路構造、若しくは、気流制御の種別に応じた気流調整データを出力する制御部と、
前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、
を具備する搬送物の気流制御システム。
【請求項2】
前記気流調整機構は、前記気流経路における前記開閉弁と前記噴気口との間の前記気流の態様を調整可能に構成される、
請求項1に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項3】
前記気流調整機構は、前記気流経路における前記気流源と前記開閉弁との間の前記気流の態様を調整可能に構成される、
請求項1に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項4】
前記気流の態様に応じた検出信号を出力する気流態様検出器をさらに具備し、
前記気流調整設定部は、前記開閉弁が開状態にあるときの前記検出信号に基づいて前記気流調整機構の再設定を行う、
請求項1-3のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項5】
前記制御部から新たな前記気流調整データが出力されると、前記気流調整設定部が前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構を設定するとともに、前記開閉弁の開状態にあるときの前記気流態様検出器の前記検出信号に応じて前記気流調整機構を再設定する気流調整プロセスが実行される、
請求項1-4のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項6】
前記噴気口からの前記気流の吹き付けによる前記搬送路上の前記搬送物の気流制御の態様を検出し、判定する気流制御態様判別部をさらに有し、
前記気流調整設定部は、前記気流制御態様判別部の判別結果に基づいて前記気流調整機構の再設定を行う、
請求項1-5のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項7】
前記制御部から新たな前記気流調整データが出力されると、前記気流調整設定部が前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構を設定するとともに、前記気流制御態様判別部の前記判別結果に応じて前記気流調整機構を再設定する気流調整プロセスが実行される、
請求項1-6のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項8】
搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、
気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、
前記気流経路を開閉する開閉弁と、
前記搬送路上において前記噴気口に近づく前記搬送物を検出する搬送物検出器の検出態様に応じて判定を行う搬送物判定部と、
前記搬送物判定部の判定結果に応じて前記搬送物が前記噴気口に臨むタイミングで前記開閉弁を開閉制御する開閉弁駆動部と、
前記気流経路において前記開閉弁とは別に設けられ、前記開閉弁が開状態にあるときの前記気流経路における気流の態様を調整可能な気流調整機構と、
前記気流の態様に応じた検出信号を出力する気流態様検出器と、
前記検出信号に基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、
を具備する搬送物の気流制御システム。
【請求項9】
搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、
気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、
前記気流経路を開閉する開閉弁と、
前記搬送路上において前記噴気口に近づく前記搬送物を検出する搬送物検出器の検出態様に応じて判定を行う搬送物判定部と、
前記搬送物判定部の判定結果に応じて前記搬送物が前記噴気口に臨むタイミングで前記開閉弁を開閉制御する開閉弁駆動部と、
前記気流経路において前記開閉弁とは別に設けられ、前記開閉弁が開状態にあるときの前記気流経路における気流の態様を調整可能な気流調整機構と、
前記噴気口からの前記気流の吹き付けによる前記搬送路上の前記搬送物の気流制御の態様を判別する気流制御態様判別部と、
前記気流制御態様判別部の判別結果に基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、
を具備する搬送物の気流制御システム。
【請求項10】
前記気流調整機構は、前記気流の態様を調整するための気流調整弁を備え、
前記気流調整設定部は、前記気流調整弁の調整構造を駆動する調整駆動部を備える、
請求項1-9のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項11】
前記気流調整弁はニードル弁である、
請求項10に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項12】
前記開閉弁は圧電バルブである、
請求項1-11のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システム。
【請求項13】
請求項1-12のいずれか一項に記載の搬送物の気流制御システムと、
前記搬送路に沿って前記搬送物を搬送する搬送機構と、
を具備する搬送装置。
【請求項14】
前記搬送機構は、前記搬送路を振動させることにより前記搬送物を搬送する、
請求項13に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送物の気流制御システム及びこれを用いた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーツフィーダなどの搬送路上で搬送物を搬送する途中で、不正な姿勢などを備える搬送物を搬送路から排除したり、或いは、搬送物の姿勢を反転させたりするために、搬送物に対してエアなどの気流を吹き付ける場合がある。搬送路の搬送面には上記気流を噴出するための噴気口が設けられ、この噴気口と搬送物との位置関係により、搬送物が搬送路上から吹き飛ばされたり、搬送物が搬送路上で回転したりする。このような搬送物に対して気流を作用させるといった搬送物の気流制御システムや搬送装置としては、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
上記のような搬送装置では、一般に、エアコンプレッサやエアボンベなどの圧縮空気などの気流供給源から開閉弁を介して上記噴気口へ気流を供給する気流経路が樹脂チューブなどにより設けられる。このとき、開閉弁の手前(気流供給源の側)にニードルによってエア圧を制御可能に構成された、スピードコントローラとしても用いられるニードル弁(絞り弁)を取り付け、このニードル弁のニードルのねじ込み量を手動で設定することにより、開閉弁に供給されるエア圧、或いは、開弁時に流れるエア流量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-335487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の搬送装置では、近年、ミリサイズやマイクロサイズなどの微細な電子部品を搬送する場合があったり、搬送物を高速に供給することが要求される場合があったりすることから、噴気口から吹き付けられる気流の圧力や流量の調整が困難になってきている。例えば、気流の圧力や流量が不足すると搬送物の排除や反転が生じなくなって搬送物の選別不良を招くという問題がある。また、気流の圧力や流量が過剰になると、気流を吹き付ける必要のない前後の搬送物まで吹き飛ばしたり反転させたりしてしまうことがあることから、搬送物の供給効率の低下を招くという問題がある。特に、搬送装置がパーツフィーダなどの振動式搬送装置である場合には、搬送物が振動を受けて搬送されていくことから不安定な状態にあるため、気流の圧力や流量の設定次第で問題が生ずる確率が増大する。
【0006】
一方、開閉弁の開弁態様を調整することによって搬送物の気流制御の態様を調整する場合も考えられるが、前述の微細な搬送物を高速に選別するためには、高速に開閉可能な開閉弁が要求されるようになっているため、このような高速な開閉弁による気流の態様の調整機能は一般的に不正確かつ再現性の乏しいものが多いため、正確かつ再現性の良好な搬送物の気流制御の態様を実現できないという問題がある。例えば、圧電バルブは高速に動作するものの、温度特性やヒステリシス特性が悪いものが多いため、搬送物の気流制御の態様を高精度かつ再現性良く実現することができない。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決するものであり、その課題は、気流の圧力や流量等の態様を搬送物の種類や搬送条件等に応じて正確にかつ再現性良く制御することにより、搬送物の選別不良や供給効率の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の搬送物の気流制御システムは、搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、前記気流経路を開閉する開閉弁と、前記搬送路上において前記噴気口に近づく前記搬送物を検出する搬送物検出器の検出態様に応じて判定を行う搬送物判定部と、前記搬送物判定部の判定結果に応じて前記搬送物が前記噴気口に臨むタイミングで前記開閉弁を開閉制御する開閉弁駆動部と、前記気流経路において前記開閉弁とは別に設けられ、前記開閉弁が開状態にあるときの前記気流経路における気流の態様を調整可能な気流調整機構と、前記搬送物、搬送条件、搬送路構造、若しくは、気流制御の種別に応じた気流調整データを出力する制御部と、前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、を具備する。これによれば、搬送物の気流制御の態様に応じた気流調整データに基づいて、開閉弁とは別に設けられた気流調整機構における気流調整の態様が設定されることにより、気流経路に沿って供給される気流の態様を正確にかつ再現性よく調整できる。
【0009】
本発明において、前記気流調整機構は、前記気流経路における前記開閉弁と前記噴気口との間の前記気流の態様を調整可能に構成されることが好ましい。これによれば、開閉弁よりも噴気口の側において気流経路における気流の態様が調整されるため、搬送物の気流制御の態様をさらに正確にかつ再現性よく実現できる。ただし、前記気流調整機構は、前記気流経路における前記気流源と前記開閉弁との間の前記気流の態様を調整可能に構成されるようにしても構わない。
【0010】
本発明において、前記気流の態様に応じた検出信号を出力する気流態様検出器をさらに具備し、前記気流調整設定部は、前記開閉弁が開状態にあるときの前記検出信号に基づいて前記気流調整機構の再設定を行うことが好ましい。この場合において、前記気流調整設定部は、前記検出信号が前記気流調整データに対応する目標値に近づくように、前記気流調整機構を帰還制御することが望ましい。また、前記気流調整設定部は、前記開閉弁が開状態になる度に前記再設定を行うことが望ましい。なお、上記気流調整データの代わりに、任意の目標値を基準にするなどの種々の方法により、前記開閉弁が開状態にあるときの前記検出信号に基づいて前記気流調整機構の設定を行うようにしてもよい。
【0011】
本発明において、前記制御部から新たな前記気流調整データが出力されると、前記搬送路上の前記搬送物の有無に拘わらず、前記気流調整設定部が前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構を設定するとともに、前記開閉弁の開状態にあるときの前記気流態様検出器の前記検出信号に応じて前記気流調整機構を再設定する気流調整プロセスが実行されることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記噴気口からの前記気流の吹き付けによる前記搬送路上の前記搬送物の気流制御の態様を検出し、判定する気流制御態様判別部をさらに有し、前記気流調整設定部は、前記気流制御態様判別部の判別結果に基づいて前記気流調整機構の再設定を行うことが好ましい。この場合において、前記気流調整設定部は、前記判別結果が前記気流調整データに対応する目標結果に近づくように、前記気流調整機構を帰還制御することが望ましい。また、前記気流調整設定部は、前記開閉弁が開状態になる度に前記再設定を行うことが望ましい。なお、上記気流調整データの代わりに、任意の目標値を基準にするなどの種々の方法により、前記気流制御態様判別部の判別結果に基づいて前記気流調整機構の設定を行うようにしてもよい。
【0013】
本発明において、前記制御部から新たな前記気流調整データが出力されると、前記搬送路上の前記搬送物の有無に拘わらず、前記気流調整設定部が前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構を設定するとともに、前記気流制御態様判別部の前記判別結果に応じて前記気流調整機構を再設定する気流調整プロセスが実行されることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記気流調整機構は、前記気流の態様を調整するための気流調整弁を備え、前記気流調整設定部は、前記気流調整弁の調整構造を駆動する調整駆動部を備えることが好ましい。前記気流調整弁はニードル弁などの絞り弁であることが望ましい。
【0015】
本発明において、前記開閉弁は、圧電バルブであることが好ましい。
【0016】
次に、本発明に係る搬送装置は、上記の搬送物の気流制御システムと、前記搬送路に沿って前記搬送物を搬送する搬送機構と、を具備することが好ましい。この場合において、前記搬送機構は、前記搬送路を振動させることにより前記搬送物を搬送することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、気流の圧力や流量を搬送物や搬送条件等に応じて適切に制御することにより、搬送物の選別不良や供給効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る搬送物の気流制御システム及び搬送装置の第1実施形態の全体構成例を模式的に示す概略構成図である。
図2】第2実施形態の全体構成例を模式的に示す概略構成図である。
図3】第3実施形態の全体構成例を模式的に示す概略構成図である。
図4】各実施形態において用いられる動作プログラムの概略手順を示す概略フローチャートである。
図5図4に示す動作プログラムの一部手順の変形例を示す概略フローチャートである。
図6図4に示す動作プログラムの別の一部手順の変形例を示す概略フローチャートである。
図7図4に示す動作プログラムの一部手順の別の変形例を示す概略フローチャートである。
図8図4に示す動作プログラムの別の一部手順の別の変形例を示す概略フローチャートである。
図9】開閉弁として好適な圧電バルブの一例を示す概略断面図(a)及び側面図(b)である。
図10】気流調整機構として好適な絞り弁の一例の記号を示す図(a)及び絞り弁の一例の外観を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1及び図4を参照して、本発明に係る搬送物の気流制御システム及び搬送装置の第1実施形態を説明する。ここで、図1は第1実施形態の全体構成例を模式的に示す概略構成図、図4は第1実施形態の動作手順を示す概略フローチャートである。
【0020】
本実施形態の搬送装置100は、搬送路121(121a、121b)に沿って搬送物Pを搬送するように構成された搬送機構120に用いられる搬送物の気流制御システムを有する。搬送機構120は、図示を省略するが、例えば、振動式搬送装置としての公知のパーツフィーダやリニアフィーダなどによって構成される。図示例では、一つの搬送路121のうちの異なる箇所121a、121bにおいて、それぞれ搬送面の一部に噴気口122,123が開口し、これらの噴気口122,123から吹き付けられる気流により搬送物Pの搬送位置や搬送姿勢が制御される例を示してある。
【0021】
本実施形態の搬送物の気流制御システムには、エアコンプレッサ等の気体圧縮機構やガスボンベなどの圧縮エア等を供給する気流供給源(気流源)101と、気流の圧力を制御するレギュレータ102と、気流経路を分岐可能に構成されるマニホールド103とを備える。図示例の場合、マニホールド103から2本の気流経路が搬送機構120の搬送路121へ伸びる。一つの気流経路には開閉弁104が接続され、その下流側に気流調整部AJSが設けられる。また、もう一つの気流経路には開閉弁を介在させずに気流調整部AJSが設けられる。気流調整部AJSには、気流経路における気流の態様を調整する気流調整機構105,107と、気流経路における気流の態様を検出する気流態様検出器106,108が設けられる。ここで、気流経路における気流の態様とは、気流の圧力、気流の流量、気流の流速などをいう。
【0022】
一方、搬送路121の噴気口122が設けられた上記箇所121bの上流側に隣接する搬送物検出箇所には、カメラ等の画像取得装置109が設置されている。画像取得装置109は、上記搬送物検出箇所において搬送物Pを撮像し、その画像を搬送物判定部115に出力する。搬送物判定部115では、画像処理手段115aにおいて上記画像に対し、搬送物Pの良否、搬送姿勢などを判別するための画像処理が行われる。例えば、画像の二値化、エッジ抽出、パターニング処理などである。この画像処理によって得られた情報から判定出力手段115bは判定結果を出力する。この判定結果は、搬送物Pが良品であるか、不良品であるか、正常な搬送姿勢であるか、非正常な搬送姿勢であるか、複数の搬送姿勢のいずれであるか、などを示す情報である。この判定結果は開閉弁駆動部116に送出され、開閉弁駆動部116では、判定結果に応じた駆動信号を開閉弁104に送出し、開閉弁104を判定結果に応じた開弁態様となるように開閉制御することができる。ここでいう開弁態様とは、開閉弁104の弁開度や開弁時間である。なお、本実施形態において、開閉弁駆動部116は、上記判定結果により気流を搬送物Pに吹き付けるべきときには、開閉弁104に対して一定の駆動信号(一定の弁開度と一定の開弁時間を生じさせる信号)を送るようにしてもよい。これは、本実施形態では、上記気流調整機構105,107が設定されることによって気流経路の気流の態様が好適に調整されているため、開閉弁104によって気流経路の気流の態様を調整する必要がないからである。
【0023】
上記開閉弁104としては、高速に開閉動作を行うことができる開閉弁を用いることが好ましく、特に、圧電体の変形を利用して気流経路を開閉する圧電バルブを用いることが好ましい。例えば、図9に示す圧電バルブ134では、筐体134a内において、入口134bに連通した内部空間134cに収容固定された支持体134dと一対の傾動アーム134eに両端が接続された圧電体134fを備える。傾動アーム134eは、圧電体134fと支持体134dにそれぞれ傾動可能に支持される。一対の傾動アーム134eはそれぞれ弾性体134gを介して弁体134hを保持している。傾動アーム134e及び弾性体134gは圧電体134fの変位拡大機構を構成し、弁体134hを駆動する。駆動部134DRから与えられる電圧により生ずる圧電体134fの長手方向の伸縮に応じて、上記一対の傾動アーム134eが内外に傾動することによって弾性体134gを介して弁体134hが移動し、内部空間134cの出口134iを開閉させる。
【0024】
本実施形態の制御装置としては、MPU(マイクロプロセッサユニット)などの演算処理部を装備する制御部111と、後述する種々の気流調整データを格納する記憶部112と、気流調整設定部113,114とを有する。制御部111は、搬送物の気流制御システム全体を管理する。この制御部111は、必要に応じて、搬送機構120の制御をも行うように構成できる。記憶部112は、各種メモリ等により構成され、搬送物、搬送条件、搬送路構造、若しくは、気流制御の種別を示す気流調整データを記憶する。この気流調整データは、より具体的には、例えば、搬送物Pの種類(製品番号、サイズ、形状、重量、密度等を示す値等)、搬送条件(搬送機構120の駆動周波数、駆動電圧、搬送速度、搬送密度等)、搬送物Pの気流制御の態様(搬送路121上からの搬送物Pの排除、搬送物Pの反転等の搬送姿勢の変更(変更角度量を含む。)等)、搬送物Pに対する気流の吹付条件(搬送路上の搬送物Pに対する噴気口の開口大きさ、開口形状、開口位置、開口高さ、開口向き等)などに応じた制御データである。
【0025】
気流調整設定部113,114は、制御部111から記憶部112に記憶されていた気流調整データを受け取り、この気流調整データに基づいて上記気流調整部AJSの気流調整機構105,107を設定する。すなわち、上記の気流調整機構105,107によって気流経路の気流の態様が所定の調整態様になるように設定する。気流調整機構105,107は、例えば、図10(a)に示す絞り弁と逆止弁を連結した構成が挙げられる。この構成は、例えば、図10(b)に示すニードル弁135で構成できる。図10(b)に示すニードル弁135は、弁本体135aに螺入されるニードル軸(調整構造)135bを回転駆動可能に構成されるステッピングモータ等よりなる駆動モータ(調整駆動部)135cによって流量を精密に調整可能である。この気流調整機構105,107としては、上記ニードル弁135のように、気流経路の気流の態様を正確に、かつ、再現性よく調整できるものが好ましく、その調整態様の設定自体に多少の時間がかかっても構わない。一般的には、流量調整弁として好適なものを用いることが好ましい。
【0026】
気流調整設定部113,114は、上記気流調整機構105,107を設定した後に、必要に応じて、気流態様検出器106,108で検出される気流の態様、例えば、気流の圧力、流量、流速等の検出値を、現在の上記気流調整データに対応する設定値或いは目標値と比較し、検出値と設定値若しくは目標値の差異がある程度大きければ、設定値若しくは目標値の修正、或いは、気流調整データの再設定が必要として、上記差異が小さくなるように、上記修正、或いは、上記再設定を実施する。例えば、本実施形態では、気流調整設定部113,114は、気流態様検出器106,108の検出信号に基づいて気流調整機構105,107の設定値をフィードバック制御する。このとき、気流調整設定部113,114は、搬送物判定部115から出力される判定結果に応じて、開閉弁104が開状態にあるときの上記気流態様検出器106,108の検出信号を読み込み、上記修正若しくは再設定、或いは、フィードバック制御を行うようにしている。ここで、図示例では、気流調整設定部113,114は、制御部111を介して、搬送物判定部115から判定結果若しくはタイミング信号を受け入れるように構成されているが、例えば、開閉弁駆動部116の駆動信号若しくはタイミング信号を受け入れるように構成しても構わない。なお、気流態様検出器106,108は、例えば、各種の圧力センサや流量(流速)センサなどで構成できる。
【0027】
なお、図1に示す概略構成図では、搬送路121の上記箇所121aでは、他の搬送物P上に重なって搬送されていく搬送物を全て排除するために、噴気口123から気流が常時吹きだしている。また、上記箇所121bでは、正常な搬送物Pをそのまま通過させる一方で、非正常な搬送物Pを搬送路121上から排除するか、或いは、正常な搬送姿勢にある搬送物Pをそのまま通過させる一方で、非正常な搬送姿勢にある搬送物Pを反転させるようにしている。このとき、複数の搬送姿勢を判別し、その搬送姿勢に応じて気流の強さや時間を増減させて搬送姿勢の変更角度量を切り替えるようにしてもよい。上記のような搬送路121上の複数箇所121a、121bでの種々の搬送物Pの気流制御の組み合わせは任意であり、各箇所での搬送物の気流制御の態様に応じて、気流調整データの内容や気流調整設定部113,114の制御態様も適宜に設定される。なお、気流調整設定部114の機能や作動態様は、気流調整設定部113と同様に構成できる。
【0028】
図4は、上記制御部111によって実行される動作プログラムの処理手順を示す概略フローチャートである。なお、制御部111としては、本実施形態のようなMPUを演算処理部とする構成に限らず、種々のハードウェア構成を採用できる。このとき、図4は、ハードウェア構成の如何に拘わらず、制御部111の一般的な動作手順を示すものと理解されたい。
【0029】
まず、制御部111は、図示しない操作部(操作パネルその他の入力手段)への入力があるまで待機し(ステップ141)、搬送物、搬送条件、搬送路121の構造、若しくは、気流制御の種別、すなわち、搬送物の種類、搬送物の搬送条件、搬送物の気流制御の態様、搬送物に対する気流の吹付条件などに関する操作入力があれば(ステップ142)、当該操作入力に対応する気流調整データを記憶部112から呼び出し、それを気流調整設定部113,114に出力する(ステップ143)。このとき、制御部111は、予め登録されている出力先の気流調整設定部113,114の構成条件(例えば、上記の搬送物の気流制御の態様や搬送物に対する気流の吹付条件など)に応じて気流調整データを自動的に選択(上記操作入力に対応する入力信号を自動で入力)するようにしてもよい。
【0030】
次に、気流調整設定部113,114は、上記気流調整データに基づいて気流調整機構105,107を設定し、当該気流調整データに対応する気流の態様となるように調整する(ステップ144)。その後、搬送機構120から出力される連動信号や操作入力などの入力信号によって搬送物の搬送処理が開始されるまで待機する(ステップ145)。搬送処理が開始されると、画像取得装置109により撮影された画像(ステップ146)が搬送物判定部115において処理され、搬送物判定処理によって判定結果が出力される(ステップ147)。ここで、判定結果を受け取った開閉弁駆動部116は、当該判定結果が搬送物の気流制御を要するものであれば(ステップ148)、駆動信号を出力し(ステップ149)、開閉弁104を開弁させる。搬送物の搬送処理が終了しない限り、次の搬送物に対して同様の判定処理を繰り返す。判定結果が搬送物の気流制御を要しない場合には、搬送物の搬送処理が終了しない限り、そのまま次の搬送物に対して同様の判定処理を繰り返す。搬送物の搬送処理が終了すると(ステップ150)、搬送機構120から出力される停止信号や停止の操作入力がなされない限り、上述の操作入力の待機状態に戻る。なお、以上の処理手順は、上記気流態様検出器106,108を備えない場合においても同様に行われる。最終的にシステムが停止されれば(ステップ151)、処理を終了する。一方、システムが停止されなければ、再び最初の待機状態に戻る(ステップ141)。
【0031】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態において、上記気流調整データの修正若しくは上記気流態様検出器106,108を用いて気流調整機構105,107の(再)設定を行う場合の処理手順について説明する。図5は、前述の図4に示す処理手順において、搬送物の搬送処理(ステップ141-147)が開始される前に行われる気流調整機構105,107の設定処理(ステップ142、143)の代わりに、気流態様検出器106,108の検出信号を用いて行う気流調整機構105,107の設定処理を示す。なお、以下の説明では、気流調整データを修正し、その後、この修正された気流調整データに基づいて気流調整機構を再設定する場合について説明するが、気流調整データを修正せずに、気流態様検出器106,108の検出信号に基づいて、気流調整機構を再設定するように構成しても構わない。
【0032】
この設定処理では、まず、入力信号があると(ステップ152)、制御部111が気流調整データを記憶部112から呼び出し(ステップ153)、気流調整設定部113,114に出力し、気流調整設定部113,114が気流調整機構105,107を上記気流調整データに応じた状態に設定する(ステップ154)。次いで、制御部111は、搬送物判定部115若しくは開閉弁駆動部116に指令を送ることにより、ダミーの駆動信号を開閉弁104に出力させ、開閉弁104を開弁する(ステップ155)。そして、開閉弁104が開状態にあるときの気流態様検出器106の検出信号を取得し(ステップ156)、また、気流態様検出器108の検出信号を任意のタイミングで取得し、それらの検出値を気流調整機構105,107の目標値と比較する等により判別し(ステップ157)、再設定が必要であれば、気流調整データを修正し(ステップ158)、気流調整機構105,107の再設定を行う(ステップ154)。以後、必要に応じて上記と同様の処理を繰り返し、気流調整データの修正若しくは気流調整機構の再設定が不要な状態になれば、設定終了となる。なお、上記ダミーの駆動信号の代わりに、実際の駆動信号の出力タイミングで気流態様検出器106,108の検出信号を取得し、気流調整機構105,107の設定を行うようにしてもよい。
【0033】
図6は、図4に示す上記処理手順における搬送物の気流制御処理(ステップ146-150)の代わりに行うことのできる別の搬送物の気流制御処理(ステップ161―169)の処理手順を示す。この処理手順もまた、図5の場合と同様に、本実施形態において、上記気流態様検出器106,108を用いて気流調整データの修正若しくは気流調整機構105,107の再設定を行う場合の処理手順である。
【0034】
この処理手順では、画像取得装置109により取得された画像(ステップ161)を搬送物判定部115により処理し(ステップ162)、搬送物の気流制御を要するときは(ステップ163)、開閉弁駆動部116から駆動信号を出力し(ステップ164)、開閉弁104を開弁させる。そして、開閉弁104が開状態にあるときの気流態様検出器106の検出信号を取得し(ステップ165)、また、気流態様検出器108の検出信号を任意のタイミングで取得し、それらの検出値を目標値と比較して、気流調整データの修正が必要であれば(ステップ166)、気流調整データを修正し(ステップ167)、この修正した気流調整データに基づいて気流調整機構105,107を再設定する(ステップ168)。なお、この処理では、ステップ166において気流調整データの修正が不要であれば、処理を終了するか、或いは、そのまま次の搬送物の気流制御処理に進む。
【0035】
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態において、噴気口122,123からの気流の吹き付けによる搬送路121上の搬送物Pの気流制御時の気流制御の態様の結果を判別する気流制御態様判別部を設けた場合において、上記気流態様検出器106,108を用いて上記気流調整データの修正若しくは気流調整機構105,107の再設定を行う場合の処理手順について説明する。図7は、前述の図4に示す処理手順において、搬送物の搬送処理(ステップ141-147)が開始される前に行われる気流調整機構105,107の設定処理(ステップ142、143)の代わりに、上記気流制御態様判別部及び気流態様検出器106,108の検出信号を用いて行う気流調整機構105,107の設定処理を示す。なお、以下の説明では、気流調整データを修正し、その後、この修正された気流調整データに基づいて気流調整機構を再設定する場合について説明するが、気流調整データを修正せずに、気流態様検出器106,108の検出信号に基づいて、気流調整機構を再設定するように構成しても構わない。
【0036】
ここで、上記気流制御態様判別部は、搬送物Pの気流制御の態様の結果、例えば、搬送物Pに対する気流の吹き付けに起因して搬送物が制御される態様に応じた結果(気流によって搬送物Pが適切に排除されたか否か、搬送物Pが適切に反転されたか否か、搬送物Pの姿勢が適正になったか否か、前後の搬送物が気流に巻き込まれていないか否かなど)を検出し、その検出態様から、搬送物Pの気流によって制御された態様(排除、反転等)が正常か、それとも、非正常かを判別し、その判別結果を出力できるものであれば、特に限定されない。例えば、本実施形態では、気流制御態様判別部を上記搬送物判定部115によって構成することができる。この場合、図1に示す画像撮像装置109で取得した画像のうち、前述の搬送物検出箇所ではなく、上記箇所121bの周囲にある画像部分を搬送物判定部115で画像処理することによって、搬送物Pが噴気口122から吹き付けられた気流によってどのように移動、回動したかを判別し、その結果、気流制御の態様、すなわち、搬送物Pの排除や反転等が正常な状態で行われたか否かを判別する。なお、気流制御態様判別部を上記搬送物判定部115とは別に設けても構わない。
【0037】
この設定処理では、まず、入力信号があると(ステップ172)、制御部111が気流調整データを記憶部112から呼び出し(ステップ173)、気流調整設定部113,114に出力し、気流調整設定部113,114が気流調整機構105,107を上記気流調整データに応じた状態に設定する(ステップ174)。次いで、制御部111は、搬送物判定部115若しくは開閉弁駆動部116に指令を送ることにより、搬送物判定部115による画像処理により搬送物Pの到来するタイミングを検出し(175a)、このタイミング信号に合わせて駆動信号を開閉弁104に出力させ(175b)、開閉弁104を開弁する(ステップ175)。そして、噴気口122から搬送物Pに気流が吹付られることによる気流制御の態様、すなわち、搬送物Pの移動や回転の状態を気流制御態様判別処理により判別し(ステップ176)、その判別結果に応じて気流調整データの修正や気流調整機構の再設定を要するか否かを判断し(ステップ177)、気流調整データの修正が必要であれば、気流調整データを修正し(ステップ178)、気流調整機構105,107の再設定を行う(ステップ174)。以後、必要に応じて上記と同様の処理を繰り返し、気流調整データの修正若しくは気流調整機構の再設定が不要な状態になれば、設定終了となる。なお、上記のステップ175の代わりに、搬送物判定処理(ステップ147、148)を実行し、開閉弁駆動部116から駆動信号が出力されたときに、上記気流制御態様判別処理を実施してもよい。
【0038】
図8は、図4に示す上記処理手順における搬送物の気流制御処理(ステップ146-150)の代わりに行うことのできる別の搬送物の気流制御処理(ステップ181―189)の処理手順を示す。この処理手順もまた、図7の場合と同様に、本実施形態において、上記気流態様検出器106,108を用いて気流調整データの修正若しくは気流調整機構105,107の再設定を行う場合の処理手順である。
【0039】
この処理手順では、画像取得装置109により取得された画像(ステップ181)を搬送物判定部115により処理し(ステップ182)、搬送物の気流制御を要するときは(ステップ183)、開閉弁駆動部116から駆動信号を出力し(ステップ184)、開閉弁104を開弁させる。そして、気流制御態様判別部により、搬送物の気流制御の態様の判別結果を求め(ステップ185)、この判別結果に基づいて、気流調整データの修正が必要であれば(ステップ186)、気流調整データを修正し(ステップ187)、この修正した気流調整データに基づいて気流調整機構105,107を再設定する(ステップ188)。なお、この処理では、ステップ186において気流調整データの修正が不要であれば、処理を終了するか、或いは、そのまま次の搬送物の気流制御処理に進む。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、制御部111により記憶部112から呼び出された気流調整データを気流調整設定部113に出力し、気流調整設定部113では、上記気流調整データに応じて気流調整機構105,107を設定する。これにより、搬送物の種類、搬送物の搬送条件、搬送物の気流制御の態様、搬送物に対する気流吹付条件等に対応する各種の気流調整データにより自動的に気流経路の気流の態様が調整される。このように、開閉弁104とは別に設けられた気流調整機構105.107によって気流の態様が調整できるため、開閉弁104として高速で応答速度の速い弁構造を用いても、噴気口122から搬送物Pへ向けて吹き付けられる気流の態様、すなわち、気流の圧力、流量、流速などを、正確に、かつ、再現性良く構成できる。特に、高速応答の圧電バルブを用いることによって高速搬送で高密度の搬送機構120に対応することが可能になるが、通常の圧電バルブは温度特性やヒステリシス特性が悪いため、搬送物の気流制御のための気流の態様を正確にかつ再現性良く設定することが難しいという問題があったが、本実施形態では、このような問題を解決することができ、また、従来煩雑であった調整作業も容易化されるというメリットがある。
【0041】
特に、本実施形態では、気流態様検出器106,108の検出信号に基づいて気流調整機構105,107の再設定を行うことによって、さらに正確にかつ再現性の良好な搬送物の気流制御を行うことができる。また、本実施形態では、気流調整機構105,107と気流態様検出器106,108を気流調整部AJSとして設けることにより、気流経路に対する設置態様が簡易化されるとともに、気流調整設定部113,114との接続態様も簡易化される。さらに、開閉弁104の開状態の精度や再現性は、気流調整機構105,107による気流の態様(圧力や流量)や温度、駆動信号の形状等によって影響を受けることがある。特に、圧電バルブなどの高速動作が可能な開閉弁では、気流経路の圧力や流量、環境温度、駆動電圧、駆動電流、開閉速度などによって開状態における開口面積が変化するため、気流調整機構105,107を高精度に制御しても、噴気口122,123から吹き付けられる気流の態様を十分な精度で、再現性よく実現できない場合がある。このような場合でも、上述のように、気流態様検出器106,108の検出信号や気流制御態様判別部の判別結果に応じて気流調整機構105,107を修正、設定、再設定することにより、開閉弁の影響を除去することが可能である。
【0042】
次に、図2を参照して、本発明に係る第2実施形態を説明する。この第2実施形態では、上述の第1実施形態のように、開閉弁104に対して気流経路の下流側に気流調整部AJSの気流調整機構105が設けられていた構成とは異なり、開閉弁104に対して気流経路の上流側に気流調整部AJSの気流調整機構105′が設けられている。また、気流調整部AJSの気流態様検出器106′も開閉弁104の上流側に設けられている。
【0043】
本実施形態では、気流調整機構105′が開閉弁104の上流側に設けられるので、開閉弁104の開閉動作が噴気口122により近い場所で行われるように構成できる。このため、噴気口122から搬送物Pに作用する気流の吹付状態のオンオフをより正確かつ迅速に行うことができるため、搬送路211上の搬送物Pの高速搬送や高密度搬送に対応しやすくなり、例えば、前後に連なって搬送されてくる搬送物Pを誤って排除、反転させてしまうといった、搬送物の気流制御の誤りを容易に防止できる。また、開閉弁104に対して上流側から与えられる気流の圧力、流量、流速などを予め気流調整機構105′によって調整しておくことができるため、上流側の気流の態様やその変動に開閉動作が影響を受けやすい圧電バルブを開閉弁104として用いる場合でも、開閉弁104の開閉動作を安定させることができ、安定した開閉動作や開状態の再現性を確保しやすくなるという効果が得られる。
【0044】
次に、図3を参照して、本発明に係る第3実施形態を説明する。この第3実施形態では、上述の第2実施形態のように、開閉弁104に対して気流経路の上流側に気流調整部AJSの気流調整機構105′が設けられている。しかし、気流調整部AJSの気流態様検出器106′は、開閉弁104の下流側に設けられている。このように、気流態様検出器106′は、開閉弁104に対して気流調整機構105′と同じ側に設けられる必要は必ずしもなく、気流経路のいずれの側に設けても構わない。ただし、
気流態様検出器106、106′を噴気口122に近い場所に設置することにより、噴気口122から吹き付けられ、搬送物Pが実際に受ける気流の態様に近い状態を検出しやすくなるため、気流態様検出器106,106′の検出信号を用いて気流調整データを修正したり、気流調整機構105,105′を再設定したりするときの、気流調整機構105,105′による気流調整の効果を高めることができる。気流対応検出器106′は、図示例では開閉弁104と噴気口122との間の配管の途中に接続されているが、例えば、搬送機構120の搬送路121を構成する搬送ブロックの内部に形成された通気路120a内の気流の態様を検出するように設置されることがさらに望ましい。なお、これらの点は、第1実施形態や第2実施形態においても同様に実現できる。
【0045】
なお、本発明に係る搬送物の気流制御システム及び搬送装置は、上述の図示例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態のそれぞれの特徴点は、支障がない限り、任意の組み合わせにて、相互に組み合わせて構成することができる。また、図4に示す動作プログラム若しくは処理手順は、図5図8に示す各手順を任意に組み替えて構成してもよく、また、図5図8に示す各手順同士を任意に組み合わせて構成しても構わない。
【0046】
さらに、上記各実施形態では、気流態様検出器の検出信号、及び/又は、上記気流制御態様判別部による判別結果、に応じて、気流調整機構を再設定する場合があるが、これらの代わりに、上記検出信号や上記判別結果に対応する気流調整データを予め用意し、これらを必要に応じて読みだして、その気流調整データに基づいて気流調整機構を設定するようにしてもよい。
【0047】
ちなみに、本明細書において、気流の態様とは気流経路における気流の圧力、流量、流速などといった、気流経路における気流のありさま、状態、様子などを言う。また、気流調整の態様とは、気流調整機構による気流経路の気流を調整する態様、すなわち、気流調整機構による気流の調整のありさま、状態、様子などを言う。さらに、気流の制御態様とは、噴気口からの気流の吹き付けによる搬送物を制御する態様、すなわち、気流による搬送物の制御のありさま、状態、様子などを言う。ここで、搬送物の制御とは、搬送物を、排除、反転などにより、移動させたり、姿勢を変更させたりすることを言う。
【0048】
なお、本明細書に記載の各発明は、いずれも、気流経路に開閉弁が設置される場合に関するものであるが、上記各実施形態の気流調整設定部114、気流調整機構107、気流態様検出器108に係る気流経路のように、開閉弁が設置されない気流経路についても、以下の発明として把握することができる。
【0049】
搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、
気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、
前記気流経路において気流の態様を調整可能な気流調整機構と、
前記搬送物、搬送条件、搬送路構造、若しくは、気流制御の種別に応じた気流調整データを出力する制御部と、
前記気流調整データに基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、
を具備する搬送物の気流制御システム。
【0050】
搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、
気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、
前記気流経路において気流の態様を調整可能な気流調整機構と、
前記気流の態様に応じた検出信号を出力する気流態様検出器と、
前記検出信号に基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、
を具備する搬送物の気流制御システム。
【0051】
搬送路に沿って搬送される搬送物を気流によって制御するシステムであって、
気流源に接続された気流経路に接続されて前記搬送路に臨む噴気口と、
前記気流経路において気流の態様を調整可能な気流調整機構と、
前記噴気口からの前記気流の吹き付けによる前記搬送路上の前記搬送物の気流制御の態様を判別する気流制御態様判別部と、
前記気流制御態様判別部の判別結果に基づいて前記気流調整機構の気流調整の態様を設定する気流調整設定部と、
を具備する搬送物の気流制御システム。
【符号の説明】
【0052】
100…搬送装置(搬送物の気流制御システム)、101…気流供給源、102…レギュレータ、103…マニホールド、104…開閉弁、105、105′、107…気流調整機構、106,106′,108…気流態様検出器、109…画像取得装置、111…制御部、112…記憶部、113,114…気流調整設定部、115…搬送物判定部(気流制御態様判別部)、AJS…気流調整部、115a…画像処理手段、115b…判定出力手段(判別出力手段)、116…開閉弁駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10