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  • 特開-採掘ポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148726
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】採掘ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20220929BHJP
   F04D 1/08 20060101ALI20220929BHJP
   F04D 7/04 20060101ALI20220929BHJP
   E21B 43/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F04D29/44 A
F04D1/08 A
F04D7/04 H
E21B43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050521
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 聡
(72)【発明者】
【氏名】深尾 伸次
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA04
3H130AA27
3H130AB05
3H130AB22
3H130AB46
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC01
3H130BA22A
3H130BA24A
3H130BA42A
3H130CA12
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EB01A
(57)【要約】
【課題】スラリー成分による影響が低減された採掘ポンプを提供する。
【解決手段】採掘ポンプは、生産管と、ポンプロータと、ポンプロータを囲うポンプステータと、を備え、ポンプロータは、ポンプシャフトと、ポンプシャフトとともに回転するインペラと、を有し、ポンプステータは、インペラの外側に流路を形成するステータ本体と、ステータシュラウドと、ステータ本体とステータシュラウドとを接続する複数のベーンと、を有し、ステータシュラウドは、ベーンから流出した流れの流出方向の延長線上に形成された案内面と、案内面の上方の端縁に接続され、案内面と交差する方向に延びる段差面と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる軸線に沿う筒状をなす生産管と、
該生産管内で前記軸線方向に延びるポンプロータと、
前記生産管と前記ポンプロータとの間で該ポンプロータを囲うポンプステータと、
を備え、
前記ポンプロータは、
前記軸線方向に順次接続された複数のポンプシャフトと、
これらポンプシャフトにそれぞれ複数段が設けられて、前記ポンプシャフトとともに回転することで上方に原油を汲み上げるインペラと、
を有し、
前記ポンプステータは、
前記軸線に沿って延びる筒状をなすことで前記インペラの外側に流路を形成するステータ本体と、
前記インペラに前記軸線方向の上方から対向することで前記流路を形成するステータシュラウドと、
前記ステータ本体と前記ステータシュラウドとを接続するとともに周方向に間隔をあけて配列された複数のベーンと、
を有し、
前記ステータシュラウドは、
前記ベーンから流出した流れの流出方向の延長線上に形成された案内面と、
該案内面の前記軸線方向の上方の端縁に接続され、前記案内面と交差する方向に延びる段差面と、
を有する採掘ポンプ。
【請求項2】
前記案内面は、径方向内側に向かうに従って次第に前記軸線方向に延びるように湾曲している請求項1に記載の採掘ポンプ。
【請求項3】
前記案内面と前記段差面の間に形成され、前記軸線方向に延びる円筒面をさらに有する請求項1又は2に記載の採掘ポンプ。
【請求項4】
前記段差面は、径方向に延びている請求項1から3のいずれか一項に記載の採掘ポンプ。
【請求項5】
前記段差面は、径方向内側に向かうに従って前記軸線方向の下方に向かって延びている請求項1から3のいずれか一項に記載の採掘ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、採掘ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
油井から原油をくみ上げるための装置として、これまでESP(Electrical Submersible Pump:人工採油電動ポンプ)と呼ばれるポンプが広く用いられてきた。下記特許文献1に示されるように、この種のポンプは、回転軸回りに回転する回転軸と、この回転軸に一体に設けられた複数のインペラと、回転軸及びインペラを外周側から覆うケーシングと、を備えている。このポンプは、井戸(油田)に挿入された配管内に配置され、電動機によって回転軸を回転させることで、地下の石油を上方にくみ上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-508701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、採掘される原油は、液状成分に加えて、微細な固体粒子であるスラリー成分を多く含むことが知られている。このようなスラリー成分が回転軸の軸受や回転軸の表面に混入すると、摩耗や損耗が進行して正常なポンプ性能を得られなくなる虞がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、スラリー成分による影響が低減された採掘ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る採掘ポンプは、上下方向に延びる軸線に沿う筒状をなす生産管と、該生産管内で前記軸線方向に延びるポンプロータと、前記生産管と前記ポンプロータとの間で該ポンプロータを囲うポンプステータと、を備え、前記ポンプロータは、前記軸線方向に順次接続された複数のポンプシャフトと、これらポンプシャフトにそれぞれ複数段が設けられて、前記ポンプシャフトとともに回転することで上方に原油を汲み上げるインペラと、を有し、前記ポンプステータは、前記軸線に沿って延びる筒状をなすことで前記インペラの外側に流路を形成するステータ本体と、前記インペラに前記軸線方向の上方から対向することで前記流路を形成するステータシュラウドと、前記ステータ本体と前記ステータシュラウドとを接続するとともに周方向に間隔をあけて配列された複数のベーンと、を有し、前記ステータシュラウドは、前記ベーンから流出した流れの流出方向の延長線上に形成された案内面と、該案内面の前記軸線方向の上方の端縁に接続され、前記案内面と交差する方向に延びる段差面と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スラリー成分による影響が低減された採掘ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る採掘ポンプの構成を示す縦断面図である。
図2】本開示の実施形態に係る採掘ポンプの要部拡大断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る採掘ポンプの動作中における流体の流れを示す説明図である。
図4】本開示の実施形態に係る採掘ポンプの変形例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(採掘ポンプの構成)
以下、本開示の実施形態に係る採掘ポンプについて、図1から図3を参照して説明する。本実施形態に係る採掘ポンプ100は、油井から原油をくみ上げるための装置である。図1及び図2に示すように、この採掘ポンプ100は、ポンプ本体90と、モータ80と、掘削管9と、下端スラスト軸受部10と、を備えている。ポンプ本体90は、モータ80から供給された動力によって駆動する。掘削管9は、これらポンプ本体90、モータ80、下端スラスト軸受部10を外周側から覆うとともに、上下方向に延びる軸線Oを中心とする筒状をなしている。
【0010】
ポンプ本体90は、生産管本体1aと、ポンプロータ21と、ポンプステータ3と、を有している。生産管本体1aは、掘削管9と同軸をなすとともに、掘削管9の内周側に配置される筒状の部材である。ポンプロータ21は、軸線O方向に接続された複数のポンプシャフト21sと、ポンプシャフト21s同士を接続するカップリングスリーブ(不図示)と、これらポンプシャフト21sに固定された複数のインペラ5と、を有している。インペラ5の構成については後述する。
【0011】
ポンプステータ3は、インペラ5を外周側から覆うステータ本体3hと、ステータ延長部3eと、を有する。ステータ本体3hは、下方から上方に向かうに従って拡径と縮径を繰り返すことでインペラ5を収容するとともに、原油が流通するためのステータ流路Fsを画成する。インペラ5、及びポンプステータ3の構成については後述する。ステータ延長部3eは、ステータ本体3hの下方に一体に設けられるとともに、軸線Oを中心とする筒状をなしている。このステータ延長部3eの下端には、下端スラストパッド7dが取り付けられている。
【0012】
モータ80は、生産管先端部1bと、モータロータ22と、コイル81と、磁性部材22mと、を有している。生産管先端部1bは、上述の生産管本体1aの下方に一体に設けられた筒状をなしている。生産管本体1aと、生産管先端部1bは、全体として生産管1を形成する。生産管先端部1bの内周面には、周方向に配列された複数のコイル81が設けられている。このコイル81は、外部から供給された電流によって電磁力を発生させる。モータロータ22は、これらコイル81の内周側に配置され、軸線Oに沿って延びる円柱状をなしている。モータロータ22は、上述のポンプロータ21をなす複数のポンプシャフト21sのうち、最も下方に位置するポンプシャフト21sに対して下端スプラインカップリング30dを介して接続されている。これら複数のポンプシャフト21s、及びモータロータ22は、全体としてロータ2を形成している。モータロータ22の外周面には、磁性部材22mとしての永久磁石が設けられている。コイル81に通電することで発生した磁界と磁性部材22mの磁界との間で生じる電磁力によって、ロータ2に回転力が与えられる。
【0013】
なお、生産管先端部1bは、掘削管9の内周面から径方向内側に向かって張り出す円環状の支持部4によって下方から支持されている。支持部4の内周側の開口は、原油を取り込むための開口部Hとされている。モータロータ22の下端は、この開口部H中に挿通されている。モータロータ22の内部には、上記の開口部Hに加えて原油を吸込むための吸込流路Fが形成されている。この吸込流路Fは、ポンプステータ3の内周側に形成されているステータ流路Fsに連通している。
【0014】
さらに、モータロータ22の外周面であって、上記磁性部材22mの上方には、径方向外側に向かって張り出すとともに、軸線Oを中心とする円環状の下端スラストカラー6dが設けられている。この下端スラストカラー6dは、ポンプステータ3(ステータ延長部3e)の内周面に設けられた下端スラストパッド7dによって上方、及び下方から支持されている。これら下端スラストカラー6d、及び下端スラストパッド7dは、下端スラスト軸受部10を形成している。この下端スラスト軸受部10、及び後述する中間スラスト軸受部Bsによって、ポンプステータ3に対してロータ2(ポンプロータ21、及びモータロータ22)が軸線O回りに回転可能に支持されている。
【0015】
続いて、図2を参照してインペラ5の構成について説明する。インペラ5は、ディスク51と、ブレード52と、シュラウドカバー53と、を有している。ディスク51は、ポンプシャフト21sの外周面に固定されるとともに、軸線Oを中心とする円盤状をなしている。ディスク51における下方を向く面は、ディスク主面51mとされている。ディスク主面51mは、下方から上方に向かうに従って、径方向内側から外側に向かうように湾曲している。
【0016】
ディスク主面51mには、周方向に間隔をあけて配列された複数のブレード52が設けられている。詳しくは図示しないが、各ブレード52は、径方向内側から外側に向かうに従って、ロータ2の回転方向前方側に向かって湾曲している。また、ブレード52の翼高さ(ディスク主面51mからの立ち上がり寸法)は、下方から上方に向かうに従って次第に小さくなっている。
【0017】
シュラウドカバー53は、上記複数のブレード52を下方から覆う漏斗状をなしている。シュラウドカバー53は、下方から上方に向かうに従って、径方向内側から外側に向かうように湾曲している。
【0018】
以上のように構成されたインペラ5は、外周側からステータ本体3hによって覆われている。ステータ本体3hの内周面のうち、シュラウドカバー53に対向する面は対向面31とされている。ステータ本体3hの内周面のうち、対向面31の上方に隣接する領域は、接続面32とされている。接続面32は、径方向外側に向かって曲面状に凹んでいる。さらに、この接続面32の上方に隣接する領域は、下流面33とされている。下流面33は、下方から上方に向かうに従って、径方向外側から内側に向かって延びている。この下流面33には、複数のベーン60、及び当該ベーン60の内周側に固定されたステータシュラウド3sが設けられている。各ベーン60は、下流面33から径方向内側に突出する板状をなしている。ベーン60は、周方向に間隔をあけて複数配列されている。ステータシュラウド3sは、上述のディスク51に対して上方から対向している。
【0019】
ステータシュラウド3sの外周面は、案内面34と、円筒面35と、段差面36とによって構成されている。案内面34は、ステータシュラウド3sの下端側から上方に向かうに従って、径方向外側から内側に向かって延びている。また、案内面34は径方向内側に向かって凹むように曲面的に湾曲している。案内面34は、図2中の矢印で示されるように、ベーン60から流出した流れの流出方向の延長線上に位置している。言い換えると、ベーン60の後縁に対する法線方向の直線はすべてこの案内面34に向かって延びている。案内面34の上方には円筒面35が接続されている。円筒面35は軸線Oに平行に延びている。円筒面35の上方の端縁には段差面36が接続されている。段差面36は、案内面34、及び円筒面35に対して交差する方向である径方向に広がっている。円筒面35と段差面36とによって断面視で矩形状の段差が形成されている。段差面36の径方向内側の端縁はポンプシャフト21sの外周面に対向している。
【0020】
(作用効果)
次に、上記の採掘ポンプ100の動作について説明する。採掘ポンプ100を稼動させるに当たっては、まず上述のモータ80に電力を供給することによって、ロータ2を回転させる。ロータ2が回転すると、掘削管9の下端に形成された開口部Hから油井内の原油がポンプ本体90によって上方に吸い上げられる。また、この時、原油はモータロータ22内に形成された吸込流路Fによっても吸い上げられる。
【0021】
ここで、採掘される原油は、液状成分に加えて、微細な固体粒子であるスラリー成分を多く含むことが知られている。このようなスラリー成分が軸受やポンプシャフト21sの表面に混入すると、摩耗や損耗が進行して正常なポンプ性能を得られなくなる虞がある。
【0022】
そこで、本実施形態では上述のようにステータシュラウド3sの外周面に案内面34、円筒面35、及び段差面36が形成されている。図3に示すように、案内面34に沿って流れたスラリー成分を含む原油の主流F1は、円筒面35によって軸線O方向の成分を与えられた後、段差面36を通過する。この段差面36が形成されていることによって、主流F1は剥離する。この剥離によって、段差面36の上方では剥離渦流れF2が形成される。剥離渦流れF2が滞留するため、主流F1は案内面34、及び円筒面35よりも径方向内側の領域には流れ込みにくくなる。その結果、スラリー成分がポンプシャフト21sの外周面に向かって流れ込む可能性が低減される。
【0023】
さらに、案内面34は、径方向内側に向かうに従って次第に軸線O方向に延びるように湾曲している。この構成によれば、案内面34によって流体の流れを軸線O方向に向かうように円滑に案内することができる。
【0024】
また、上記構成では、案内面34と段差面36の間に形成され、軸線O方向に延びる円筒面35をさらに有する。この構成によれば、円筒面35によって流体の流れ方向に軸線O方向成分をさらに大きく付与することができる。その結果、上述した主流F1に含まれるスラリー成分が径方向内側に向かってしまう可能性をさらに低減することができる。
【0025】
加えて、上記構成では、段差面36は、径方向に延びている。この構成によれば、段差面36が径方向に延びていることによって、案内面34から流出した流れに対してより安定的に剥離渦流れF2を形成させることができる。剥離渦流れF2が発達するほど、主流F1が径方向内側に向かってしまう可能性を低減することができる。その結果、採掘ポンプ100をより安定的に運用することができる。
【0026】
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、採掘ポンプ100を例に説明した。しかしながら、上述の案内面34、円筒面35、及び段差面36は、スラリー等の固形成分を含む流体を扱う回転機械であればいかなるものにも好適に適用することが可能である。
【0027】
さらに、上記実施形態とは異なり、円筒面35を形成せず、案内面34の上側の端縁に直接的に段差面36を形成することも可能である。このような構成によっても上述したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
また、図4に示すように、段差面36bが径方向内側に向かうに従って軸線O方向の下方に向かって延びるように構成することも可能である。このような構成によれば、案内面34、及び円筒面35から流出した流れに対してより積極的かつ安定的に渦流れを形成させることができる。
【0029】
<付記>
各実施形態に記載の採掘ポンプ100は、例えば以下のように把握される。
【0030】
(1)第1の態様に係る採掘ポンプ100は、上下方向に延びる軸線Oに沿う筒状をなす生産管1と、該生産管1内で前記軸線O方向に延びるポンプロータ21と、前記生産管1と前記ポンプロータ21との間で該ポンプロータ21を囲うポンプステータ3と、を備え、前記ポンプロータ21は、前記軸線O方向に順次接続された複数のポンプシャフト21sと、これらポンプシャフト21sにそれぞれ複数段が設けられて、前記ポンプシャフト21sとともに回転することで上方に原油を汲み上げるインペラ5と、を有し、前記ポンプステータ3は、前記軸線Oに沿って延びる筒状をなすことで前記インペラ5の外側に流路を形成するステータ本体3hと、前記インペラ5に前記軸線O方向の上方から対向することで前記流路を形成するステータシュラウド3sと、前記ステータ本体3hと前記ステータシュラウド3sとを接続するとともに周方向に間隔をあけて配列された複数のベーン60と、を有し、前記ステータシュラウド3sは、前記ベーン60から流出した流れの流出方向の延長線上に形成された案内面34と、該案内面34の前記軸線O方向の上方の端縁に接続され、前記案内面34と交差する方向に延びる段差面36と、を有する。
【0031】
上記構成によれば、ベーンから流出した流体の流れは、案内面34に沿って上方に流れる。その後、流れが段差面36を通過する際に、当該段差面36によって流れの剥離が生じ、段差面36の上方に渦が形成される。この渦が形成されることによって、流体の主流は段差面36の直上には入り込みにくくなる。つまり、スラリー成分がこの領域に入り込みにくくなる。その結果、ステータシュラウド3sの内周側に位置するポンプシャフト21sの表面にスラリー成分が混入する可能性を低減することができる。
【0032】
(2)第2の態様に係る採掘ポンプ100では、前記案内面34は、径方向内側に向かうに従って次第に前記軸線O方向に延びるように湾曲している。
【0033】
上記構成によれば、案内面34によって流体の流れを軸線O方向に向かうように円滑に案内することができる。
【0034】
(3)第3の態様に係る採掘ポンプ100は、前記案内面34と前記段差面36の間に形成され、前記軸線O方向に延びる円筒面35をさらに有する。
【0035】
上記構成によれば、円筒面35によって流体の流れ方向に軸線O方向成分をさらに大きく付与することができる。
【0036】
(4)第4の態様に係る採掘ポンプ100では、前記段差面36は、径方向に延びている。
【0037】
上記構成によれば、段差面36が径方向に延びていることによって、案内面34から流出した流れに対してより安定的に渦を形成させることができる。
【0038】
(5)第5の態様に係る採掘ポンプ100では、前記段差面36は、径方向内側に向かうに従って前記軸線O方向の下方に向かって延びている。
【0039】
上記構成によれば、段差面36が径方向内側に向かうに従って軸線O方向の下方に向かって延びていることで、案内面34から流出した流れに対してより積極的かつ安定的に渦を形成させることができる。
【符号の説明】
【0040】
100 採掘ポンプ
1 生産管
1a 生産管本体
1b 生産管先端部
2 ロータ
3 ポンプステータ
3e ステータ延長部
3h ステータ本体
4 支持部
5 インペラ
6d 下端スラストカラー
7d 下端スラストパッド
9 掘削管
10 下端スラスト軸受部
21 ポンプロータ
21s ポンプシャフト
22m 磁性部材
30d 下端スプラインカップリング
31 対向面
32 接続面
33 下流面
34 案内面
35 円筒面
36,36b 段差面
51 ディスク
51m ディスク主面
52 ブレード
53 シュラウドカバー
60 ベーン
80 モータ
81 コイル
90 ポンプ本体
F 吸込流路
F1 主流
F2 渦流れ
O 軸線
図1
図2
図3
図4