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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148820
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】金属繊維積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/4234 20120101AFI20220929BHJP
   D04H 1/498 20120101ALI20220929BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220929BHJP
   B32B 15/01 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
D04H1/4234
D04H1/498
B32B5/26
B32B15/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050646
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000229863
【氏名又は名称】アンビック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智博
(72)【発明者】
【氏名】梅崎 智和
【テーマコード(参考)】
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AB01B
4F100AB01C
4F100AB01D
4F100AB04A
4F100AB04B
4F100AB04C
4F100AB04D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA06
4F100BA07
4F100DG06A
4F100DG06B
4F100DG06C
4F100DG12D
4F100JA13
4F100JD02
4L047AA02
4L047AB07
4L047BA04
4L047CA02
4L047CA04
4L047CA19
4L047CB03
4L047CB06
(57)【要約】
【課題】細い金属繊維であってもウエブ化でき、地合(表面形態)、交絡状態、高密度化、平滑化及び通気性も良好な金属繊維積層体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)2a,2bと、繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)3を含む少なくとも3層の金属繊維積層体1であって、金属繊維層(B)3は内層に配置されており、全体はウォータージェットにより積層一体化されている。金属繊維層(A2a,2b)は、平均繊維直径6μm以上の金属短繊維をカード機により繊維ウエブとしたものであり、金属繊維層(B)3は、平均繊維直径6μm未満の金属長繊維束を割繊機により短繊維化しかつ繊維ウエブとしたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)と、平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)を含む少なくとも3層の金属繊維積層体であって、
前記金属繊維層(B)は内層に配置されており、
前記少なくとも3層の金属繊維積層体はウォータージェットにより積層一体化されていることを特徴とする金属繊維積層体。
【請求項2】
前記金属繊維層(A)を構成する金属繊維の平均繊維長は、前記金属繊維層(B)を構成する金属繊維の平均繊維長よりも長い請求項1に記載の金属繊維積層体。
【請求項3】
前記金属繊維積層体には、さらに補強用金属織物を含む請求項1又は2に記載の金属繊維積層体。
【請求項4】
前記金属繊維積層体を構成する金属繊維はステンレス繊維である請求項1~3のいずれかに記載の金属繊維積層体。
【請求項5】
前記金属繊維積層体の単位面積当たりの質量(目付)は100~3000g/mである請求項1~4のいずれかに記載の金属繊維積層体。
【請求項6】
前記金属繊維積層体の厚さは1~20mmである請求項1~5のいずれかに記載の金属繊維積層体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の金属繊維積層体の製造方法であって、
金属繊維層(A)は、平均繊維直径6μm以上の金属短繊維をカード機により繊維ウエブとしたものであり、
金属繊維層(B)は、平均繊維直径6μm未満の金属長繊維束を割繊機により短繊維化しかつ繊維ウエブとしたものであり、
前記金属繊維層(B)を内側に配置し、前記金属繊維層(A)を外側に配置し、
前記金属繊維層(A)の表面からウォータージェット加工により全体を積層一体化することを特徴とする金属繊維積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い強度、耐熱性及び耐食性が必要とされる金属繊維積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属繊維不織布は、高い強度、耐熱性及び耐食性を備え、圧延加工、溶接加工などの機械加工が可能であり、様々な形状や構造に加工できることから、耐熱クッション材、断熱材、吸音材、ガラスの研磨剤などに広く使用されている。
前記金属繊維不織布は、耐熱性、耐圧強度、耐食性などの要求特性に応じて、例えばステンレス鋼線、ニッケル合金線、タングステン線などの耐食性金属繊維が選択され、これを所定の空孔特性を持つように繊維直径、目付、成形厚さなどの仕様が設定される。特に5mm程度以下の厚さのシート状とした濾材を用いるときには、各金属繊維は被処理流体の流れと直行する向きに配向されるとともに、各繊維同士はその接触部で強固に焼結されることから、例えば被処理流体中で生じる偏析などによるゲル状物を細かく分断できる利点もあり、この利点も理由の一つとして金属繊維不織布が採用されている。
【0003】
特許文献1には、セラミック織布を基布としてその表面に切削法によって製造された金属繊維の集合体をニードリングして絡ませ、2層構造あるいは3層構造に積層し、必要によりこの積層した上にセラミック塗料をコートした金属不織布を用いてバグフィルターとすることが提案されている。特許文献2には、金属繊維を不織布状に分散し焼結して得られる金属繊維焼結体を、濾材を用いたフィルターであって、該濾材の通気抵抗の加圧処理による変化率が2~70%の金属繊維焼結フィルターが提案されている。特許文献3には、線径1μmのステンレス繊維焼結フィルターの表面に、厚さ約5μmの金、ニッケルなどの金属メッキ、又は蒸着加工し、線径を太くし、表面加工の厚さ及び線径を変えることによりフィルターの細孔を制御した精密フィルターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-181225号公報
【特許文献2】特開2002-119811号公報
【特許文献3】特開平10-314521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来繊維直径の細い金属繊維は、カード機で粉砕され易く、ウエブ(シート)化が困難であった。また、繊維直径の細い金属繊維をニードルパンチで積層すると、細い繊維が粒状の塊として不織布表面に表出して、地合(表面形態)が悪くなるという問題があった。加えて、強直な金属繊維は、ニードルパンチでは交絡が困難であり、高密度化し難く表面を平滑化できず、通気性が低くならないという問題もあった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、細い金属繊維であってもウエブ(シート)化でき、地合(表面形態)も良好で、交絡状態もよく、高密度化、平滑化及び通気性も良好な金属繊維積層体及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の金属繊維積層体は、平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)と、平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)を含む少なくとも3層の金属繊維積層体であって、前記金属繊維層(B)は内層に配置されており、前記少なくとも3層の金属繊維積層体はウォータージェットにより積層一体化されている。
【0008】
本発明の金属繊維積層体の製造方法は、前記金属繊維積層体の製造方法であって、
金属繊維層(A)は、平均繊維直径6μm以上の金属短繊維をカード機により繊維ウエブとしたものであり、
金属繊維層(B)は、平均繊維直径6μm未満の金属長繊維束を割繊機により短繊維化しかつ繊維ウエブとしたものであり、
前記金属繊維層(B)を内側に配置し、前記金属繊維層(A)を外側に配置し、
前記金属繊維層(A)の表面からウォータージェット加工により全体を積層一体化する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属繊維積層体は、平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)と、平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)を含み、前記金属繊維層(B)は内層に配置されており、前記少なくとも3層の金属繊維積層体はウォータージェットにより積層一体化されていることにより、細い金属繊維であってもウエブ(シート)化でき、地合(表面形態)も良好で、交絡状態もよく、高密度化、平滑化及び通気性も良好な金属繊維積層体を提供できる。また、本発明の製造方法は、細繊度の金属長繊維束を割繊機により短繊維化しかつ繊維ウエブとし、これを内層に配置してウォータージェット加工により全体を積層一体化することにより、前記金属繊維積層体を効率よく合理的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の一実施態様の金属繊維積層体の模式的断面図である。
図2図2は本発明の別の実施形態の金属繊維積層体の模式的断面図である。
図3図3は本発明の一実施態様の金属繊維積層体の平面写真である。
図4図4は本発明の一実施態様の割繊機の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の金属繊維積層体は、平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)と、平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)を含む少なくとも3層で構成され、金属繊維層(B)は内層に配置され、前記少なくとも3層の金属繊維積層体はウォータージェットにより積層一体化されている。平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)を含むことにより、高密度化ができ、通気性を下げることができる。金属繊維層(B)を内層に配置することにより、地合(表面形態)を良好にできる。ウォータージェットにより積層一体化することにより、各金属繊維層間の繊維の交絡状態を良くし、高密度化及び平滑化ができる。
【0012】
金属繊維層(A)を構成する金属繊維の直径は7~15μmが好ましく、より好ましくは8~12μmである。また、金属繊維層(B)を構成する金属繊維の直径は1~5μmが好ましく、より好ましくは2~4μmである。
【0013】
金属繊維層(A)を構成する金属繊維の平均繊維長は、金属繊維層(B)を構成する金属繊維の平均繊維長よりも長いのが好ましい。金属繊維層(A)を構成する金属繊維の平均繊維長は、金属繊維層(B)を構成する金属繊維の平均繊維長に比べて2倍以上長いのが好ましく、より好ましくは3倍以上である。これにより、内層に配置されている金属繊維層(B)の脱落繊維を防止できる。
【0014】
金属繊維積層体には、さらに補強用金属織物を含んでいてもよい。補強用金属織物があると、積層体を補強できる。補強用金属織物は平均繊維直径6μm以上の金属長繊維で織製されたものが好ましい。
【0015】
金属繊維積層体を構成する金属繊維はステンレス鋼線、ニッケル合金線、タングステン線などの耐食性金属繊維が好ましい。この中でもコストの安いステンレス繊維が好ましい。
【0016】
金属繊維積層体の単位面積当たりの質量(目付)は100~3000g/mが好ましく、より好ましくは300g/m~1500g/mである。この目付であれば様々な用途に適用できる。
【0017】
本発明の金属繊維積層体の製造方法は次の工程を含む。
(1)金属繊維層(A)の製造工程
金属繊維層(A)は、平均繊維直径6μm以上の金属短繊維をカード機により繊維ウエブとしたものである。カード機を使用することにより効率よくウエブを製造できる。金属繊維層(A)の構成繊維は平均繊維直径6μm以上であり、比較的強度があることからカード機を使用できる。
(2)金属繊維層(B)の製造工程
金属繊維層(B)は、平均繊維直径6μm未満の金属長繊維束を割繊機により短繊維化しかつ繊維ウエブとしたものである。平均繊維直径6μm未満の金属長繊維は細いため、カード機にかけることは困難である。そこで割繊機を使用し、金属長繊維束を短繊維化しかつ繊維ウエブとする。割繊機は、生け花に使う剣山の形状をした金属針が基台に埋め込まれて固定されており、この金属針により金属長繊維束は短繊維化され、かつ繊維ウエブに形成される。本発明は割繊機を使用したことにより、細繊度の金属繊維を効率よく繊維ウエブに形成できたことが本発明を着想する大きな要因となった。
(3)積層一体化工程
金属繊維層(B)を内側に配置し、金属繊維層(A)を外側に配置し、金属繊維層(A)の表面からウォータージェット加工により全体を積層一体化する。ウォータージェット加工は、ノズルから加圧水を噴射して積層体の繊維同士を絡め、一体化する加工手段である。ノズル径は0.01~5.0mmが好ましく、ノズル径は0.01~2.0mmがより好ましい。水圧は1~50Paが好ましく、1~20Paがより好ましい。ウォータージェット加工することにより、地合(表面形態)も良好で、交絡状態もよく、高密度化、平滑化及び通気性も良好な金属繊維積層体が得られる。
【0018】
次に図面を用いて説明する。下記の図面において同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施態様の金属繊維積層体1の断面図である。この金属繊維積層体1は、平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)2a,2bが両外面に配置され、平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)3は内層に配置され、3層の金属繊維積層体はウォータージェット加工されて積層一体化されている。
【0019】
図2は本発明の別の実施形態の金属繊維積層体4の断面図である。この金属繊維積層体4は、平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)2aが一方の外面に配置され、平均繊維直径6μm未満の金属繊維層(B)3は内層に配置され、その下に補強用金属織物(織布)5が配置され、他方の外面には平均繊維直径6μm以上の金属繊維層(A)2bが配置され、金属繊維層(A)2a又は2b側からウォータージェット加工されて積層一体化されている。
【0020】
図3は本発明の一実施態様の金属繊維積層体の平面写真である。この写真はタテ70mm、ヨコ200mmのサンプルの写真である。特徴的なことはウォータージェット加工面には水流噴射に沿ったウォータージェット痕(孔)が観察される。
【0021】
図4は本発明の一実施態様の割繊機6の概略説明図である。この割繊機6は、金属長繊維束7をフィードテーブル8とフィードロール9を介して針刃ロール10に供給し、高速で回転している針刃ロール10で金属長繊維束を機械的な力で解繊し、金属短繊維11とし、コンベアベルト13に落下させて金属繊維ウエブ12にする。
【実施例0022】
以下、実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<測定方法及び評価>
下記の実施例及び比較例の測定方法及び評価は下記に従って行った。
(1)目付
JIS L1913の6.2に記載の方法に準拠して求めた。
(2)厚さ
JIS L1906の6.1 A法に記載の方法に準拠して求めた。
(3)生産性
ニードルパンチと比較して不織布化の評価をした。
A:基準速度
B:基準速度×0.7倍
C:基準速度×0.5倍
(4)通気性
JIS L1913の6.8.1に記載の方法(フラジール法)に準拠して求めた。
(5)地合
不織布表面にある繊維の粒状の塊を目視にて確認した。
A:10個未満/5cm×5cm
B:10~20未満/5cm×5cm
C:20個以上/5cm×5cm
【0023】
<使用した原料及び共通条件>
(1)金属繊維層(A)
・繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブ、目付100g/m(日本製線株式会社製)を使用した。
・繊維直径12μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブ、目付100g/m(日本製線株式会社製)を使用した。
(2)金属繊維層(B)
平均繊維直径4μmのステンレス長繊維束(ベカルト東鋼メタルファイバー株式会社製)を使用し、図4に示す割繊機により短繊維化しかつ繊維ウエブとした。このウエブは平均繊維直径4μm、平均繊維長2mm、目付100g/mであった。
(3)補強用金属織物
ステンレス長繊維織物(日本精線株式会社製、目付715g/m、織物組織:平織)を使用した。この織物の経糸及び緯糸は、フィラメント繊度:180decitex、フィラメント構成本数:48本(以下、180dtex-48fという) であった。
(4)ウォータージェット加工条件
ノズル径:0.2mm、水圧:10Pa、加工速度:5.0m/分とした。
【0024】
(実施例1)
(1)金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブと、
(2)金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmのステンレス繊維ウエブと、
(3)金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブを、
この順にA4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により図1に示す3層構造体とした。得られた3層構造体(A/B/A)の目付は300g/mであった。
【0025】
(実施例2)
金属繊維層(A)として平均繊維直径12μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブを使用した以外は実施例1と同様に実施した。得られた3層構造体(A/B/A)の目付は300g/mであった。
【0026】
(実施例3)
(1)金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブと、
(2)ステンレス繊維の織布と、
(3)金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmのステンレス繊維ウエブと、
(4)金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブを、
この順にA4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により図2に示す4層構造体とした。得られた4層構造体(A/B/織布/A)の目付は1200g/m(織布を含む)であった。
【0027】
実施例1~3で得られた各ステンレス繊維不織布構造体について、その性能を対比するために加工性、通気性、地合は表1の通りであった。
【0028】

【表1】
【0029】
実施例1~3は、金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmのステンレス繊維ウエブ4μmのステンレス繊維ウエブを中間層としたことで、不織布表面に細い繊維の粒状の塊を形成されなかった。また、不織布を高密度化することができ、通気性を低下することができた。
【0030】
(比較例1)
金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブを、A4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により構造体とした。この構造体の目付は300g/mであった。
【0031】
(比較例2)
金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブを、A4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により構造体とした。しかし、不織布を形成できなかった。
【0032】
(比較例3)
金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmのステンレス繊維ウエブと、金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブを、この順にA4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により2層構造体とした。この2層構造体の目付は1200g/m(織布を含む)であった。
【0033】
(比較例4)
金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブと、金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmのステンレス繊維ウエブを、この順にA4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により2層構造体とした。この2層構造体の目付は300g/mであった。
【0034】
(比較例5)
金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmと、金属繊維層(A)として平均繊維直径8μm、平均繊維長20mmのステンレス繊維ウエブと、金属繊維層(B)として平均繊維直径4μm、平均繊維長2mmのステンレス繊維ウエブを、この順にA4(210mm×297mm)サイズに積層して、ウォータージェット加工により3層構造体とした。この3層構造体の目付は300g/mであった。
【0035】
比較例1~5で得られた各ステンレス繊維不織布構造体について、その性能を対比するために加工性、通気性、地合は表2の通りであった。
【0036】
【表2】
【0037】
比較例2の4μmのステンレス繊維ウエブの1層は、ニードルパンチで繊維が絡まらず、不織布化できなかった。比較例1、3~4はニードルパンチで不織布化はできたが、4μmのステンレス繊維ウエブが、上層、或いは下層に配置されている為、不織布表面に細い繊維の粒状の塊が形成され易く、生産性が悪かった。また、ニードルパンチで4μmのステンレス繊維が絡まり難く、高密度化されなかった為、通気性が低くならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の金属繊維積層体は、高強度であり、耐熱性及び耐食性を備えており、種々な形状や構造に形成できるため、耐熱クッション材、断熱材、吸音材、ガラスの研磨剤、濾過用部材などに広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1,4 金属繊維積層体
2a,2b 金属繊維層(A)
3 金属繊維層(B)
5 補強用金属織物(織布)
6 割繊機
7 金属長繊維束
8 フィードテーブル
9 フィードロール
10 針刃ロール
11 金属短繊維
12 金属繊維ウエブ
13 コンベアベルト
図1
図2
図3
図4