(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148848
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】プレート貼付け構造および操作機器
(51)【国際特許分類】
H01H 9/02 20060101AFI20220929BHJP
H01H 13/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01H9/02 A
H01H13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050674
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】福島 慶彦
【テーマコード(参考)】
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5G052AA11
5G052AA23
5G052BB01
5G052HA13
5G052HA24
5G052JA02
5G052JA03
5G052JB05
5G052JB13
5G206AS02H
5G206AS46H
5G206DS02H
5G206GS03
5G206HS14
5G206HS15
5G206HS26
5G206HU18
5G206KS03
5G206KS57
5G206QS02
5G206RS05
5G206RS24
(57)【要約】
【課題】プレートを筐体表面に貼り付ける際に、プレートと筐体表面との間に空気噛みが生じても、空気噛みを円滑かつ確実に解消することが可能なプレート貼付け構造および当該プレート貼付け構造を備えた操作機器を提供する。
【解決手段】プレート貼付け構造20は、筐体100と、筐体100の表面に貼り付けられるシート状のプレート200と、を備える。筐体100は、プレート200が貼り付けられる表面に形成された溝106と、筐体100を貫通するとともに溝106に繋がる孔(孔101、ヒンジ部102の隙間、抜き孔103、孔104)と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の表面に貼り付けられるシート状のプレートと、を備え、
前記筐体は、
前記プレートが貼り付けられる表面に形成された溝と、
前記筐体を貫通するとともに前記溝に繋がる孔と、を有する、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載のプレート貼付け構造において、
前記溝は、貼付け時に前記プレートが重なる前記筐体の表面の領域全体に広がるように配置されている、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプレート貼付け構造において、
複数の前記溝が、前記筐体の表面に形成されている、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項4】
請求項3に記載のプレート貼付け構造において、
前記複数の溝は、前記筐体の表面に格子状に形成されている、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のプレート貼付け構造において、
前記孔は、前記筐体に収容された発光源からの光を通過させる光通過口である、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載のプレート貼付け構造において、
前記孔は、前記筐体に収容されたスイッチを操作するためのヒンジ部を形成するための隙間である、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載のプレート貼付け構造において、
前記孔は、前記筐体の形成時に型を抜くための抜き孔である、
ことを特徴とするプレート貼付け構造。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のプレート貼付け構造と、
前記筐体に収容された回路基板と、を備え、
前記プレートは、所定の操作を行うための操作プレートである、
ことを特徴とする操作機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体表面にプレートを貼り付けるためのプレート貼付け構造および当該プレート貼付け構造を備えた操作機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置の操作機器(リモコン)等では、表示項目や操作項目が配置されたプレートが、操作機器の筐体表面に設置される。具体的には、プレートの裏面に接着層が付設され、この接着層を筐体表面に貼り付けることにより、プレートが筐体表面に設置される。
【0003】
以下の特許文献1には、片面に粘着層を有するシート体が記載されている。ここでは、粘着層の全面に亘って、格子状に溝が形成されている。各溝は、粘着層の外周まで延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、プレートを筐体表面に貼り付ける場合、筐体表面とプレートの間に空気が入り込む、いわゆる空気噛みの状態が起こり得る。このような空気噛みが生じると、プレートに空気噛みによる不所望な膨らみが生じ、操作機器の外観が損なわれてしまう。
【0006】
上記特許文献1の構成では、そもそも粘着層自体の厚みが小さいため、接着層に形成される溝の深さも顕著に浅くなる。このため、シート体を筐体表面に貼り付けた際に、溝が潰れてしまい、空気を溝から外部に逃がし得ない状態が起こり得る。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、プレートを筐体表面に貼り付ける際に、プレートと筐体表面との間に空気噛みが生じても、空気噛みを円滑かつ確実に解消することが可能なプレート貼付け構造および当該プレート貼付け構造を備えた操作機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、プレート貼付け構造に関する。この態様に係るプレート貼付け構造は、筐体と、前記筐体の表面に貼り付けられるシート状のプレートと、を備える。前記筐体は、前記プレートが貼り付けられる表面に形成された溝と、前記筐体を貫通するとともに前記溝に繋がる孔と、を有する。
【0009】
本態様に係るプレート貼付け構造によれば、プレートを筐体表面に貼り付ける際に、プレートと筐体表面との間に空気噛みが生じた場合、指などで空気を押して、空気を溝に追い込むことにより、溝を介して孔へと空気を逃がすことができる。また、筐体表面に溝が形成されるため、溝を深く確保できる。このため、プレートが筐体表面に貼り付けられても、溝が塞がることがない。よって、上記のように空気を溝へと追い込むことにより、空気噛みを円滑かつ確実に解消することができる。
【0010】
本態様に係るプレート貼付け構造において、前記溝は、貼付け時に前記プレートが重なる前記筐体の表面の領域全体に広がるように配置されていることが好ましい。
【0011】
こうすると、空気噛みが生じた場合に、空気と溝との距離を短くできるため、作業者は、空気を溝に追い込むために、空気を長い距離に亘って移動させなくてもよい。よって、空気噛みをより円滑に解消することができる。
【0012】
本態様に係るプレート貼付け構造は、複数の前記溝が、前記筐体の表面に形成されるよう構成され得る。
【0013】
この構成によれば、筐体表面における溝の密度を簡易に高めることができる。よって、空気噛みが生じた場合に、空気が何れかの溝に接近しやすくなり、空気を溝へと容易に追い込むことができる。
【0014】
この場合、前記複数の溝は、前記筐体の表面に格子状に形成されていることが好ましい。こうすると、空気噛みが生じた場合に、空気の周囲を溝が囲む。よって、空気の周囲の何れかの溝に空気を追い込めばよい。
【0015】
なお、このように格子状に溝が形成される場合、プレート貼付け時に空気噛みが生じても、空気噛みの位置が溝の位置に揃いやすくなる。このため、プレートの貼付け作業に伴って、この位置の空気が溝から孔へと逃げやすくなる。したがって、格子状に溝が形成される場合には、プレート貼付け後に残る空気噛みの領域を減少させることができる。よって、プレートの貼付け作業をより簡易に行うことができる。
【0016】
本態様に係るプレート貼付け構造において、前記孔は、前記筐体に収容された発光源からの光を通過させる光通過口とされ得る。
【0017】
あるいは、前記孔は、前記筐体に収容されたスイッチを操作するためのヒンジ部を形成するための隙間とされ得る。
【0018】
また、前記孔は、前記筐体の形成時に型を抜くための抜き孔であってもよい。
【0019】
これらのように、他の目的で筐体に設けられる孔を空気噛み解消用の孔に共用することにより、筐体の構成をより簡素にできる。よって、より簡素な構成により、空気噛みを円滑に解消できる。
【0020】
本発明の第2の態様は、操作機器に関する。この態様に係る操作機器は、上記第1の態様に係るプレート貼付け構造と、前記筐体に収容された回路基板と、を備える。前記プレートは、所定の操作を行うための操作プレートである。
【0021】
本態様に係る操作機器によれば、上記第1の態様に係るプレート貼付け構造を備えるため、プレートと筐体表面との間の空気噛みを、円滑かつ確実に解消できる。よって、空気噛みによる操作機器の外観不良を抑制でき、操作機器の品質を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、プレートを筐体表面に貼り付ける際に、プレートと筐体表面との間に空気噛みが生じても、空気噛みを円滑かつ確実に解消することが可能なプレート貼付け構造および当該プレート貼付け構造を備えた操作機器を提供することができる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係る操作機器の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る筐体および回路基板の構成を示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、筐体に回路基板とカバーが設置された状態を示す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、筐体に回路基板とカバーが設置された構造体を発光源およびスイッチが並ぶ位置で切断した断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、
図4の断面図の一部を拡大した断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、筐体の前面にプレートが設置された状態を示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、筐体の前面とプレートとの間に空気噛みが生じた状態を示す正面図である。
【
図8】
図8(a)、(b)は、変更例に係る、筐体表面に形成された溝および孔の配置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
以下の本実施形態には、給湯装置の操作機器(リモコン)に本発明を適用した場合の構成が示される。便宜上、各図には、操作機器の上下左右前後を示す矢印が付記されている。
【0027】
図1は、操作機器10の構成を示す分解斜視図である。
図2は、筐体100および回路基板300の構成を示す正面図である。
【0028】
操作機器10は、筐体100と、プレート200と、回路基板300と、カバー400とを備える。筐体100およびプレート200は、プレート200を筐体100の前面に貼り付けるためのプレート貼付け構造20を構成する。後述のように、プレート貼付け構造20は、プレート200の貼付け時に、筐体100の前面とプレート200と間に生じた空気噛みを解消するための構成を有する。
【0029】
筐体100は、後面が開放された箱形状を有する。正面から見た時の筐体100の形状は、略正方形である。筐体100は、たとえば、硬質の樹脂材料で構成される。筐体100が金属等の硬質の他の材料により構成されてもよい。
【0030】
筐体100の前面には、回路基板300に実装された6つの発光源301からの光をそれぞれ通過させる6つの孔101が形成されている。すなわち、これら6つの孔101は、発光源301からの光を通過させる光通過口である。正面視において、孔101の形状は、左右に長い長方形である。孔101は、筐体100前面の左側の範囲に上下に並んで4つ配置され、さらに、上側の中央に左右に並んで2つ配置されている。これらの孔101の位置は、それぞれ、回路基板300側の6つの発光源301の位置に対応している。孔101は、筐体100を前後に貫通している。
【0031】
また、筐体100の前面には、上下に並ぶ4つのヒンジ部102が形成されている。すなわち、
図2に示すように、筐体100の前面に、前後に貫通する円弧状の隙間102aを形成することにより、前後に弾性変形可能なヒンジ部102が形成される。これらのヒンジ部102の位置は、それぞれ、回路基板300に実装された4つのスイッチ302の位置に対応している。
【0032】
さらに、筐体100の前面には、3つの抜き孔103が形成されている。抜き孔103の奥には、回路基板300から引き出された配線(図示せず)を留めるための爪103aが配置される。爪103aは、筐体100の裏面に一体形成されている。抜き孔103は、筐体100の形成に用いる型を爪103aの位置において前方に抜くためのものである。
【0033】
この他、筐体100の前面には、孔104と、2つの孔105が形成されている。2つの孔105は、回路基板300を筐体100に装着するためのネジ孔である。筐体100の後面には、2つの孔105に対応する位置に、回路基板300を支持するためのボス(図示せず)が形成されている。孔105は、ボスとともに筐体100を前後に貫通している。
【0034】
筐体100の後面には、ボスとともに回路基板300を支持するための突起(図示せず)が形成され、さらに、回路基板300を支持しつつ回路基板300の外周を規制して回路基板300を位置決めする切欠き形状の突起(図示せず)が形成されている。回路基板300は、これらのボスおよび突起に支持されて、筐体100の裏面に設置される。
【0035】
筐体100の前面には、プレート200の貼付け時にプレート200が重なる領域に、複数の溝106が格子状に形成されている。本実施形態では、上下に延びる8つの溝106が、左右方向に略均等に並んで配置され、左右に延びる7つの溝106が上下方向に略均等に並んで配置されている。
図2に示すように、これら溝106のうち、いくつかは、孔101、ヒンジ部102の隙間102a、抜き孔103および孔104の1つまたは複数に連通している。
【0036】
回路基板300は、操作機器10の機能を実行するための回路が実装されている。上述のように、回路基板300には、6つの発光源301と、4つのスイッチ302が実装されている。発光源301は、LEDである。発光源301が、LED以外の発光源であってもよい。スイッチ302は、前面に操作子を有し、この操作子が押し込まれることにより動作する押圧式のスイッチである。上述のヒンジ部102が押圧されてヒンジ部102が後方に撓むことにより、スイッチ302の操作子が押し込まれてスイッチ302が動作する。
【0037】
この他、回路基板300には、発光源301およびスイッチ302に関連する制御回路等の回路部(図示せず)が配置されている。
【0038】
プレート200は、使用者が操作機器10に操作を行うための操作プレートである。プレート200は、樹脂等の可撓性かつ半透明の材料からなる薄板状の部材である。正面視において、プレート200は、筐体100よりやや小さい形状を有する。すなわち、プレート200は、筐体100の前面の外周に沿って形成された縁部107の内側に嵌まり込む形状である。プレート200の後面には、全領域に接着層201が付設されている。たとえば、接着層201の後面に付設された剥離紙を剥がすことにより、接着層201が外部に露出する。
【0039】
この他、プレート200の前面には、筐体100の前面の孔101およびヒンジ部102に対応する位置に、表示項目202と操作項目203(
図6参照)が、それぞれ設けられている。表示項目202には、それぞれ、使用者に所定の報知を行うための標記が付され、操作項目203には、それぞれ、受け付ける操作の内容を示す標記が付されている。
【0040】
カバー400は、筐体100の開口を後方から塞ぐ蓋である。カバー400は、硬質の樹脂や金属等からなっている。筐体100の4つの側壁108の後端に、内周側が一段低い段部(図示せず)が形成されている。この段部にカバー400が嵌められて、カバー400が筐体100に装着される。
【0041】
操作機器10の組み立て時には、まず、回路基板300が、筐体100後面に形成された上述のボスおよび突起に載せられて、ボスにねじ止めされる。また、回路基板300から引き出された配線が、筐体100の後面に形成された爪103aに掛けられて、筐体100の後面に付設される。こうして、回路基板300が筐体100内に装着された後、カバー400が、4つの側壁108後端の段部に嵌められて、筐体100に装着される。これにより、筐体100、回路基板300およびカバー400の組み立てが完了する。
【0042】
図3は、筐体100に回路基板300とカバー400が設置された状態を示す正面図である。
【0043】
図3に示すように、筐体100の孔101の位置に、回路基板300側の発光源301が位置づけられる。また、筐体100のヒンジ部102の位置に、回路基板300側のスイッチ302が位置づけられる。
図3では、便宜上、爪103aに掛けられた配線の図示が省略されている。
【0044】
図4は、
図3の構造体を発光源301およびスイッチ302が並ぶA-A’位置で切断した断面図である。
図5は、
図4の断面図の一部を拡大した断面図である。
【0045】
図5に示すように、複数の溝106のうち2つは、位置P11、P12、P13、P14において、発光源301からの光を通過させる孔101に繋がっている。孔101は、筐体100後面に形成された筒部101aに沿って延びている。筒部101aの後端と回路基板300の前面との間には、僅かな隙間G11が存在する。したがって、これら2つの溝106は、孔101および隙間G11を介して、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。また、これら2つの溝106に繋がる他の溝106も、これら2つの溝106を介して、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。
【0046】
また、
図5に示す位置P15、P16において、2つの溝106が、ヒンジ部102を形成するための隙間102aに繋がっている。したがって、これら2つの溝106は、隙間102aを介して、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。また、
図4に示すように、他の2つのヒンジ部102の隙間102aにも、他の2つの溝106が繋がっている。したがって、これら4つの溝106に繋がる他の溝106も、これら4つの溝を介して、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。
【0047】
また、
図5に示すように、孔104にも、位置P17、P18、P19において、複数の溝106が繋がっている。したがって、これらの溝106も、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。また、これらの溝106に繋がる他の溝106も、これらの溝106を介して、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。
【0048】
この他、
図4に示すように、3つの抜き孔103にも、複数の溝106が繋がっている。したがって、これらの溝106も、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。また、これらの溝106に繋がる他の溝106も、これらの溝106を介して、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。
【0049】
結局のところ、全ての溝106が、直接または他の溝106を介して、孔101、隙間102a、抜き孔103および孔104の何れかに繋がっており、これにより、筐体100と回路基板300との間の空間に繋がっている。
【0050】
図3に示す構造体の前面に、プレート200が貼り付けられる。すなわち、プレート200の後面に付設された接着層201が、筐体100前面の縁部107の内側の領域に重なるように、プレート200が縁部107の内側に嵌められる。これにより、プレート200が筐体100の前面に貼り付けられる。これにより、操作機器10の組み立てが完了する。
図6は、組み立てが完了した操作機器10の正面図を示している。
【0051】
ところで、上記のように、プレート200を筐体100の前面に貼り付ける場合、筐体100の前面とプレート200との間に空気噛みが生じることがある。空気噛みが生じると、プレート200に空気噛みによる不所望な膨らみが生じ、操作機器10の外観が損なわれてしまう。
【0052】
これに対し、本実施形態では、上記のように、筐体100の前面に、孔101、ヒンジ部102の隙間102a、抜き孔103および孔104に繋がる複数の溝106が形成されている。これにより、上記のような空気噛みが生じても、以下のように、空気噛みを円滑に解消することができる。
【0053】
図7は、筐体100の前面とプレート200との間に空気噛みが生じた状態を示す正面図である。便宜上、
図7には、プレート200に重なる筐体100前面の領域の構造が破線で示されている。
【0054】
図7の例において、A1、A2は、空気噛みにより生じた空気の塊(空気塊)を示している。ここでは、2カ所において、空気噛みが生じている。この場合、作業者は、空気塊A1を囲む4つの溝106のうち何れかに、空気塊A1を追い込めばよい。たとえば、空気塊A1を直上の溝106に追い込む場合、作業者は、自身の指やジグ等を用いて、白抜きの矢印のように、空気塊A1の下部を押して、空気塊A1を上方に移動させる。これにより、空気塊A1が直上の溝106に到達すると、破線矢印で示すように、空気塊A1は直上の溝106内を左右方向に流通し、この溝106が繋がるヒンジ部102の隙間102aや孔104等を介して、筐体100内部の空間へと逃がされる。これにより、空気塊A1が解消する。
【0055】
同様に、作業者は、空気塊A2を囲む4つの溝106のうち何れかに、空気塊A2を追い込む。たとえば、空気塊A2を直左の溝106に追い込む場合、作業者は、自身の指やジグ等を用いて、白抜きの矢印のように、空気塊A2の右部を押して、空気塊A2を左方に移動させる。これにより、空気塊A2が直左の溝106に到達すると、破線矢印で示すように、空気塊A2は直左の溝106内を上下方向に流通し、この溝106が繋がる抜き孔103等を介して、筐体100内部の空間へと逃がされる。これにより、空気塊A2が解消する。
【0056】
こうして、空気噛みにより生じた全ての空気塊が解消される。これにより、空気噛みにより生じていたプレート200の不所望な膨らみが消滅し、操作機器10の外観が改善される。
【0057】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0058】
図1に示したように、筐体100は、プレート200が貼り付けられる表面(前面)に形成された溝106と、筐体100を貫通するとともに溝106に繋がる孔(孔101、ヒンジ部102の隙間102a、抜き孔103、孔104)と、を有する。これにより、プレート200を筐体100の表面に貼り付ける際に、プレート200と筐体100の表面との間に空気噛みが生じても、
図7に示したように、指などで空気塊A1、A2を押して、空気塊A1、A2を溝106へと追い込むことにより、溝106を介してこれらの孔へと空気を逃がすことができる。また、筐体100の表面に溝106が形成されるため、溝106を深く確保できる。このため、プレート200が筐体100の表面に貼り付けられても、溝106が塞がることがない。よって、上記のように空気塊を溝106へと追い込むことにより、空気噛みを円滑かつ確実に解消することができる。
【0059】
図3および
図7に示したように、溝106は、貼付け時にプレート200が重なる筐体100の表面の領域全体に広がるように配置されている。これにより、空気噛みが生じた場合に、空気塊と溝106との距離が短くでき、作業者は、空気塊を溝106に追い込むために、空気塊を短い距離だけ移動させればよい。よって、空気噛みをより円滑に解消することができる。
【0060】
また、
図3および
図7に示したように、複数の溝106が、筐体100の表面に形成されている。これにより、筐体100の表面における溝106の密度を簡易に高めることができる。よって、空気噛みが生じた場合に、空気塊が何れかの溝106に接近しやすくなり、空気塊を溝106へと容易に追い込むことができる。
【0061】
図3および
図7に示したように、複数の溝106は、筐体100の表面に格子状に形成されている。これにより、空気噛みが生じた場合に、空気塊の周囲を溝が囲む。よって、空気塊の周囲の何れかの溝106に空気塊を追い込めばよい。
【0062】
また、このように格子状に溝106が形成される場合、プレート200の貼付け時に空気噛みが生じても、空気噛みの位置が溝106の位置に揃いやすくなる。このため、プレート200の貼付け作業に伴って、この位置の空気が溝106から何れかの孔へと逃げやすくなる。したがって、格子状に溝106が形成された場合には、プレート200の貼付け後に残る空気噛みの領域(空気塊)を減少させることができる。よって、プレート200の貼付け作業をより簡易に行うことができる。
【0063】
図3および
図7に示したように、溝106が繋がる孔は、筐体100に収容された発光源301からの光を通過させる光通過口(孔101)、筐体に収容されたスイッチ302を操作するためのヒンジ部102を形成するための隙間102a、および筐体100の形成時に型を抜くための抜き孔103を含む。このように、他の目的で筐体100に設けられる孔を空気噛み解消用の孔に共用することにより、筐体100の構成をより簡素にできる。よって、より簡素な構成により、空気噛みを円滑に解消することができる。
【0064】
図1に示したように、操作機器10は、上記構成のプレート貼付け構造20と、筐体100に収容された回路基板300と、を備えている。ここでは、プレート200は、所定の操作を行うための操作プレートである。このように、操作機器10は、上記構成のプレート貼付け構造20を備えるため、プレート200と筐体100の表面との間の空気噛みを、円滑かつ確実に解消できる。よって、空気噛みによる操作機器10の外観不良を抑制でき、操作機器10の品質を高めることができる。
【0065】
<変更例>
本発明の適用形態は、上記実施形態に制限されるものではなく、上記以外に種々の変更が可能である。
【0066】
たとえば、上記実施形態では、複数の溝106が格子状に形成されたが、溝の形成方法は、これに限られるものではない。
【0067】
たとえば、
図8(a)に示すように、左右に延びる複数の溝111と、上下に延びる1つの溝111とが、互いに交差するように筐体100の前面に形成され、各溝111が互いに連通していてもよい。この場合も、何れかの溝111が、筐体100を前後に貫通する孔112に繋がっていればよく、これにより、全ての溝111が、孔112を介して筐体100の内部に連通していればよい。
【0068】
また、
図8(b)に示すように、同心円状の複数の溝121と、対角方向に延びる2つの溝121とが、互いに交差するように筐体100の前面に形成され、各溝121が互いに連通していてもよい。この場合も、何れかの溝121が、筐体100を前後に貫通する孔122に繋がっていればよく、これにより、全ての溝121が、孔122を介して筐体100の内部に連通していればよい。
【0069】
また、溝は必ずしも複数形成されなくてもよく、一筆書きの形状で1つの溝が形成されてもよい。たとえば、螺旋状の1つの溝が筐体100の正面に形成され、この溝上の何れかの位置で、筐体100を前後に貫通する孔に溝が繋がっていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、プレート200の後面に接着層201が付設されたが、筐体100の正面の方に、接着層201が付設されてもよい。この場合、筐体100の正面のうち、溝106を除く領域に、接着層が付設されればよい。この構成によっても、プレート200を筐体100の正面に貼り付ける際に空気噛みが生じても、上記と同様、空気塊を溝106へと追い込むことにより、空気噛みを解消することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、プレート貼付け構造20が給湯装置の操作機器10に適用されたが、プレート貼付け構造が適用される機器は、これに限られるものではない。たとえば、操作を受け付けることなく、単に、発光による報知のみを行う機器に本発明に係るプレート貼付け構造が適用されてもよい。また、操作の受付および報知の両方を行いながら所定の機能を実行する機器に、本発明に係るプレート貼付け構造が適用されてもよい。また、この機器において、報知のための領域のみにプレートが貼り付けられる場合は、この領域について、本発明に係るプレート貼付け構造が適用されてもよい。
【0072】
また、プレートが貼り付けられる領域は、機器の正面でなくてもよく、機器の側面等であってもよい。この場合、この側面に、本発明に係るプレート貼付け構造が適用されればよい。
【0073】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 操作機器
20 プレート貼付け構造
100 筐体
101 孔(光通過口)
102 ヒンジ部
102a 隙間(孔)
103 抜き孔(孔)
104 孔
106 溝
200 プレート
300 回路基板
301 発光源
302 スイッチ