(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014885
(43)【公開日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ケーブル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20220113BHJP
H01B 7/02 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01B13/00 511Z
H01B7/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097525
(22)【出願日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】63/048,693
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202110175504.7
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521254915
【氏名又は名称】リ、ジェームス チェン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、ジェームス チェン
【テーマコード(参考)】
5G309
【Fターム(参考)】
5G309QA02
(57)【要約】
【課題】より優れた電気的特性及び機械的特性を有するケーブル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に内層を被覆する工程と、外層を円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻くことで、1本のケーブルを形成する工程とを有する、ケーブルの製造方法。本発明によると、内層にシワが発生することを防止でき、内層と第1の導体との密着性及び被覆性を向上させることができる。さらに、本発明によると、ケーブルの全体的な構造強度を向上させると共に、内層と外層の変形及び第1の導体の偏心等の問題を防止でき、ケーブルの真円度及び同心度を向上させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の外表面に前記内層を被覆する工程と、
外層を前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の長さ方向に沿って連続に前記内層の外表面に巻くことで、1本のケーブルを形成する工程と、
を有することを特徴とする、ケーブルの製造方法。
【請求項2】
前記内層は、1つの第1の被覆テープを含み、
前記第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に前記第1の被覆テープを被覆する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のケーブルの製造方法。
【請求項3】
前記内層は、複数の第1の被覆テープを含み、
前記複数の第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ順に前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に1つの前記第1の被覆テープを被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープの外表面に別の第1の被覆テープを順次に被覆する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のケーブルの製造方法。
【請求項4】
前記第1の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のケーブルの製造方法。
【請求項5】
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、請求項4に記載のケーブルの製造方法。
【請求項6】
前記外層は、1つの第2の被覆テープを含み、
前記第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻く、
ことを特徴とする、請求項1に記載のケーブルの製造方法。
【請求項7】
前記外層は、複数の第2の被覆テープを含み、
前記複数の第2の被覆テープの1つを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープの外表面に巻く、
ことを特徴とする、請求項1に記載のケーブルの製造方法。
【請求項8】
前記第2の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のケーブルの製造方法。
【請求項9】
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、請求項8に記載のケーブルの製造方法。
【請求項10】
第1の導体と、内層と、外層とを含むケーブルであって、
前記内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の外表面に前記内層を被覆し、
前記外層を前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の長さ方向に沿って連続に前記内層の外表面に巻く、
ことを特徴とする、ケーブル。
【請求項11】
前記内層は、1つの第1の被覆テープを含み、
前記第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に前記第1の被覆テープを被覆する、
ことを特徴とする、請求項10に記載のケーブル。
【請求項12】
前記内層は、複数の第1の被覆テープを含み、
前記複数の第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ順に前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に前記第1の被覆テープの1つを被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープの外表面に別の第1の被覆テープを順次に被覆する、
ことを特徴とする、請求項10に記載のケーブル。
【請求項13】
前記第1の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、請求項11又は12に記載のケーブル。
【請求項14】
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、請求項13に記載のケーブル。
【請求項15】
前記外層は、1つの第2の被覆テープを含み、
前記第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻く、
ことを特徴とする、請求項10に記載のケーブル。
【請求項16】
前記外層は、複数の第2の被覆テープを含み、
前記複数の第2の被覆テープの1つを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープの外表面に巻く、
ことを特徴とする、請求項10に記載のケーブル。
【請求項17】
前記第2の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、請求項15又は16に記載のケーブル。
【請求項18】
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、請求項17に記載のケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル及びその製造方法に関し、特に、電気的特性及び機械的特性が優れたケーブル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ケーブルは、導体と絶縁層とを含む。絶縁層は、導体の外表面を覆い、導体を保護して絶縁性を提供する。
【0003】
従来のケーブルの製造方法としては、押出成形及び巻き付け等の方法が挙げられる。
図1に示すように、押出成形方法は、導体2の外表面に絶縁材料を押出成形して絶縁層3を形成することで、1本のケーブル1を形成する。
図16に示すように、巻き付け方法は、導体の外表面に絶縁性被覆テープを巻いて絶縁層を形成することで、1本のケーブルを形成する。
【0004】
高速ケーブルの伝送効率が求められる場合には、挿入損失(Insertion Loss(dB))を低減するために、通常、絶縁層として、低誘電率の材料を使用することが必要である。前記低誘電率の材料としては、例えば、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、パーフルオロアルコキシアルカン(perfluoroalkoxy alkane、PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene、FEP)、及びポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethene、PTFE)等が挙げられる。押出成形方法の絶縁材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、及びパーフルオロアルコキシアルカン等の材料を用いて製造することが多い。巻き付け方法の絶縁性被覆テープは、ポリテトラフルオロエチレン等の材料を用いて製造することが多い。
【0005】
しかしながら、押出成形方法の課題としては、絶縁層の誘電率が高周波・高速伝送の性能に大きく影響を及ぼすため、通常、発泡材を使用することによって誘電率を低減するが、発泡材は、その製造工程において均一性及び歩留まりの基準に到達しにくいことである。
【0006】
巻き付け方法は、押出成形方法の課題を解決することができるが、ポリテトラフルオロエチレン製の絶縁性被覆テープが柔らかいため、巻き付け装置は導体に巻いた絶縁性被覆テープの張力を制御しにくい。巻き付け装置によって絶縁性被覆テープにかかる張力が高い場合には、絶縁性被覆テープが延伸変形され、シワが発生しやすい。巻き付け装置によって絶縁性被覆テープにかかる張力が低い場合には、絶縁性被覆テープの被覆性が悪くなり、導体への密着性も悪くなり、絶縁性被覆テープと導体との間で滑りが生じるおそれがある。
図17に示すように、絶縁層が明らかに変形し、シワが発生し、真円度が低く、導体が偏心し、ケーブルの同心度が低い。これらの問題により、ケーブルの電気的特性及び機械的特性が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、内層にシワが発生することを防止でき、第1の導体の外表面に内層を平坦に被覆し、内層と第1の導体との密着性及び被覆性を向上させることができるケーブル、及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、ケーブルの全体的な構造強度を向上させると共に、内層と外層の変形及び第1の導体の偏心等の問題を防止でき、ケーブルの真円度及び同心度を向上させることができるケーブル、及びその製造方法を提供する。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、従来の巻き付け方法によって製造したケーブルと比べて、より優れた電気的特性及び機械的特性を有するケーブル、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明のケーブルの製造方法は、内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に内層を被覆する工程と、外層を円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻くことで、1本のケーブルを形成する工程と、を有する。
【0011】
1つの実施例においては、内層が1つの第1の被覆テープを含み、かつ、第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に第1の被覆テープを被覆する。
【0012】
1つの実施例においては、内層が複数の第1の被覆テープを含み、かつ、前記複数の第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ順に円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に1つの前記第1の被覆テープを被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープの外表面に別の第1の被覆テープを順次に被覆する。
【0013】
好ましくは、第1の被覆テープの材料は、絶縁材料である。
【0014】
好ましくは、絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0015】
1つの実施例においては、外層が1つの第2の被覆テープを含み、かつ、第2の被覆テープを円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻く。
【0016】
1つの実施例においては、外層が複数の第2の被覆テープを含み、かつ、前記複数の第2の被覆テープの1つを円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープを円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープの外表面に巻く。
【0017】
好ましくは、第2の被覆テープの材料は、絶縁材料である。
【0018】
好ましくは、絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0019】
前記の目的を達成するために、本発明のケーブルは、第1の導体と、内層と、外層とを含む。内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に内層を被覆する。また、外層を円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻く。
【0020】
1つの実施例においては、内層が1つの第1の被覆テープを含み、かつ、第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に第1の被覆テープを被覆する。
【0021】
1つの実施例においては、内層が複数の第1の被覆テープを含み、かつ、前記複数の第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ順に円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体の外表面に1つの前記第1の被覆テープを被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープの外表面に別の第1の被覆テープを順次に被覆する。
【0022】
好ましくは、第1の被覆テープの材料は、絶縁材料である。
【0023】
好ましくは、絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0024】
1つの実施例においては、外層が1つの第2の被覆テープを含み、かつ、第2の被覆テープを円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻く。
【0025】
1つの実施例においては、外層が複数の第2の被覆テープを含み、かつ、前記複数の第2の被覆テープの1つを円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に内層の外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープを円周方向に沿いながら第1の導体の長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープの外表面に巻く。
【0026】
好ましくは、第2の被覆テープの材料は、絶縁材料である。
【0027】
好ましくは、絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のケーブルは、第1の導体の外表面に内層を被覆することで、内層にシワが発生することを防止でき、第1の導体の外表面に内層を平坦に被覆し、内層と第1の導体との密着性及び被覆性を向上させることができる。
【0029】
さらに、本発明のケーブルは、外層を連続に内層の外表面に巻くことで、ケーブルの全体的な構造強度を向上させると共に、内層と外層の変形及び第1の導体の偏心等の問題を防止でき、ケーブルの真円度及び同心度を向上させることができる。
【0030】
なお、従来の巻き付け方法によって製造したケーブルと比べて、本発明のケーブルは、より優れた電気的特性(例えば、インピーダンス値、挿入損失、時間差)及び機械的特性(例えば、真円度、シワ、可撓性性/曲げ性)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明に係るケーブルの製造方法のフローチャートである。
【
図3】本発明に係るケーブルの製造方法の第1の実施例の工程S1の模式図である。
【
図4】本発明に係るケーブルの製造方法の第1の実施例の工程S2の模式図である。
【
図5】本発明に係るケーブルの第1の実施例の横断面図である。
【
図6】本発明に係るケーブルの第1の実施例の縦断面図である。
【
図7】本発明に係るケーブルモジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図8】本発明に係るケーブルモジュールの第1の実施例の横断面図である。
【
図9】本発明に係るケーブルの製造方法の第2の実施例の工程S1の模式図である。
【
図10】本発明に係るケーブルの製造方法の第2の実施例の工程S1の模式図である。
【
図11】本発明に係るケーブルの製造方法の第2の実施例の工程S2の模式図である。
【
図12】本発明に係るケーブルの製造方法の第2の実施例の工程S2の模式図である。
【
図13】本発明に係るケーブルの第2の実施例の横断面図である。
【
図14】本発明に係るケーブルの第2の実施例の縦断面図である。
【
図15】本発明に係るケーブルモジュールの第2の実施例の横断面図である。
【
図16】従来のケーブルの巻き付け構造を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面及び符号を開示しながら本発明の実施形態を詳しく説明する。
【0033】
図2~
図6を参照しながら説明する。
図2~
図6は、それぞれ本発明に係るケーブルの製造方法のフローチャート、第1の実施例の工程S1及び工程S2の模式図、ケーブル41の第1の実施例の横断面図及び縦断面図である。本発明に係るケーブルの製造方法は、内層20の両側辺211、212をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体10の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体10の外表面に内層20を被覆する工程S1と、外層30を円周方向に沿いながら第1の導体10の長さ方向に沿って連続に内層20の外表面に巻くことで、1本のケーブル41を形成する工程S2とを含む。
【0034】
さらに、
図2及び
図3に示すように、第1の実施例の工程S1において、内層20は、1つの第1の被覆テープ21を含む。第1の被覆テープ21の両側辺211、212をそれぞれ円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体10の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体10の外表面に第1の被覆テープ21を被覆する。
図2及び
図4に示すように、第1の実施例の工程S2において、外層30は、第2の被覆テープ31を含む。第2の被覆テープ31を円周方向に沿いながら第1の導体10の長さ方向に沿って連続に内層20の第1の被覆テープ21の外表面に巻くことで、1本のケーブル41を形成する(
図5及び
図6を参照)。好ましくは、第1の被覆テープ21及び第2の被覆テープ31の材料は、絶縁材料であり、絶縁性を提供する。絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
【0035】
図5及び
図6に示すように、本発明に係るケーブル41は、第1の導体10と、内層20と、外層30とを含む。第1の導体10、内層20、及び外層30の構造及びその接続関係は、上記の通りである。
【0036】
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係るケーブルモジュールの製造方法のフローチャートである。
図8は、本発明に係るケーブルモジュール40の第1の実施例の横断面図である。本発明に係るケーブルモジュールの製造方法は、下記の工程を含む。
【0037】
工程S10:前記2本のケーブル41の内側を互いに接触させる。
【0038】
工程S20:第2の導体42を前記2本のケーブル41の外表面に接触させる。
【0039】
工程S30:内膜43の両側辺をそれぞれ他の円周方向及び他の円周方向の逆方向に沿って前記2本のケーブル41の一側及び前記第2の導体42の一側に巻いて互いに結合させることで、内膜43が前記2本のケーブル41及び第2の導体42を覆う。
【0040】
工程S40:中膜44を他の円周方向に沿いながら前記2本のケーブル41の長さ方向に沿って連続に内膜43の外表面に巻く。
【0041】
工程S50:外膜45を他の円周方向に沿いながら前記2本のケーブル41の長さ方向に沿って連続に中膜44の外表面に巻くことで、ケーブルモジュール40を形成する。
【0042】
図8に示すように、本発明に係るケーブルモジュール40は、前記2本のケーブル41と、第2の導体42と、内膜43と、中膜44と、外膜45とを含む。前記2本のケーブル41、第2の導体42、内膜43、中膜44、及び外膜45の構造及びその接続関係は、上記の通りである。好ましくは、内膜43及び中膜44の材料は、アルミホイルマイラー(Al-Mylar)であり、外膜45の材料は、ホットメルトポリエチレンテレフタレートマイラー(Hot-melt-PET Mylar)である。
【0043】
図2及び
図9~
図14を参照しながら説明する。
図2及び
図9~
図14は、それぞれ本発明に係るケーブルの製造方法のフローチャート、第2の実施例の工程S1及び工程S2の模式図、ケーブル41Aの第2の実施例の横断面図及び縦断面図である。
図2、
図9及び
図10に示すように、第2の実施例の工程S1において、内層20Aは、複数の第1の被覆テープ21を含む。前記複数の第1の被覆テープ21の両側辺211、212をそれぞれ順に円周方向及び円周方向の逆方向に沿って第1の導体10の両側に巻いて互いに結合させることで、第1の導体10の外表面に1つの前記第1の被覆テープ21を被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープ21の外表面に別の第1の被覆テープ21を順次に被覆する。
図2、
図11及び
図12に示すように、第2の実施例の工程S2において、外層30Aは、複数の第2の被覆テープ31を含む。前記複数の第2の被覆テープ31の1つを円周方向に沿いながら第1の導体10の長さ方向に沿って連続に内層20Aの最外側に位置する第1の被覆テープ21の外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープ31を円周方向に沿いながら第1の導体10の長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープ31の外表面に巻くことで、1本のケーブル41Aを形成する(
図13及び
図14を参照)。好ましくは、第1の被覆テープ21及び第2の被覆テープ31の材料は、絶縁材料であり、絶縁性を提供する。絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
【0044】
図13及び
図14に示すように、本発明のケーブル41Aは、第1の導体10と、内層20Aと、外層30Aとを含む。第1の導体10、内層20A、及び外層30Aの構造及びその接続関係は、上記の通りである。
【0045】
図7及び
図15を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係るケーブルモジュールの製造方法のフローチャートである。
図15は、本発明に係るケーブルモジュール40Aの第2の実施例の横断面図である。第1の実施例のケーブルモジュールの製造方法と第2の実施例のケーブルモジュールの製造方法との相違点としては、第2の実施例がケーブル41Aを使用することである。第1の実施例のケーブルモジュールの構造と第2の実施例のケーブルモジュールの構造との相違点としては、ケーブル41Aとケーブル41の構造が異なることである。それら以外には、第2の実施例の技術的な特徴は、第1の実施例と同じである。
【0046】
出願人は、本発明のケーブル41、41A及び従来の巻き付け方法によって製造したケーブルに対して様々な電気的特性及び機械的特性の試験を行った。電気的特性についての試験は、インピーダンス値(Differential Impedance)と、挿入損失(Insertion Loss @13.28G/Hz)と、時間差(Skew)とを含む。インピーダンス値の目標値は、105±5Ωである。機械的特性についての試験は、真円度と、シワと、可撓性/曲げ性とを含む。可撓性/曲げ性の試験条件は、(1)曲げ半径が10×Rであり、(2)曲げ性角度が180°±90°であり、(3)曲げ速度が13cycles/minであり、及び(4)負荷が50gである。試験の結果を下記の表にまとめる。
【表1】
【0047】
上記の表から分かるように、従来の巻き付け方法によって製造したケーブルと比べて、本発明のケーブル41、41Aは以下の利点を有する。
(1)本発明のケーブル41、41Aの真円度が明らかにより高く、円形に近い。
(2)本発明のケーブル41、41Aのインピーダンス値が目標値である105Ωにより近く、より安定なインピーダンス値を有する。
(3)本発明のケーブル41、41Aの挿入損失がより低く、伝送した信号の信頼性及び完全性がより高い。
(4)本発明のケーブル41、41Aの時間差がより低く、誤判定を生じにくく、符号誤り率が低減される。
(5)本発明のケーブル41、41Aの可撓性/曲げ性がより高く、使用寿命がより長い。
(6)本発明のケーブル41、41Aは、シワがないため、内層20、20Aと第1の導体10との密着性及び被覆性を向上させることができる。
【0048】
上記をまとめると、本発明のケーブル41、41Aは、第1の導体10の外表面に内層20、20Aを被覆することにより、内層20、20Aにシワが発生することを防止でき、第1の導体10の外表面に内層20、20Aを平坦に被覆し、内層20、20Aと第1の導体10との密着性及び被覆性を向上させることができる。上記の結果は、
図18の金属組織図から明確に観察される。
【0049】
さらに、本発明のケーブル41、41Aは、内層20、20Aの外表面に外層30、30Aを連続に巻くことにより、ケーブル41、41Aの全体的な構造強度を向上させると共に、内層20、20Aと外層30、30Aの変形及び第1の導体10の偏心等の問題を防止でき、ケーブル41、41Aの真円度及び同心度を向上させることができる。上記の結果は、
図18の金属組織図から明確に観察される。
【0050】
なお、従来の巻き付け方法によって製造したケーブルと比べて、本発明のケーブル41、41Aは、より優れた電気的特性(例えば、インピーダンス値、挿入損失、時間差)及び機械的特性(例えば、真円度、シワ、可撓性/曲げ性)を有する。
【0051】
なお、本発明のケーブル41、41Aを用いて製造したケーブルモジュール40、40Aは、本発明のケーブル41、41Aのすべての利点を有する。
【0052】
上記の内容は、あくまで本発明の実施例に過ぎず、本発明を制限することを意図するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更は、いずれも本発明に含まれる。
【0053】
(付記)
(付記1)
内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の外表面に前記内層を被覆する工程と、
外層を前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の長さ方向に沿って連続に前記内層の外表面に巻くことで、1本のケーブルを形成する工程と、
を有することを特徴とする、ケーブルの製造方法。
【0054】
(付記2)
前記内層は、1つの第1の被覆テープを含み、
前記第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に前記第1の被覆テープを被覆する、
ことを特徴とする、付記1に記載のケーブルの製造方法。
【0055】
(付記3)
前記内層は、複数の第1の被覆テープを含み、
前記複数の第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ順に前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に1つの前記第1の被覆テープを被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープの外表面に別の第1の被覆テープを順次に被覆する、
ことを特徴とする、付記1に記載のケーブルの製造方法。
【0056】
(付記4)
前記第1の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、付記2又は3に記載のケーブルの製造方法。
【0057】
(付記5)
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、付記4に記載のケーブルの製造方法。
【0058】
(付記6)
前記外層は、1つの第2の被覆テープを含み、
前記第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻く、
ことを特徴とする、付記1に記載のケーブルの製造方法。
【0059】
(付記7)
前記外層は、複数の第2の被覆テープを含み、
前記複数の第2の被覆テープの1つを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープの外表面に巻く、
ことを特徴とする、付記1に記載のケーブルの製造方法。
【0060】
(付記8)
前記第2の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、付記6又は7に記載のケーブルの製造方法。
【0061】
(付記9)
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、付記8に記載のケーブルの製造方法。
【0062】
(付記10)
第1の導体と、内層と、外層とを含むケーブルであって、
前記内層の両側辺をそれぞれ円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の外表面に前記内層を被覆し、
前記外層を前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の長さ方向に沿って連続に前記内層の外表面に巻く、
ことを特徴とする、ケーブル。
【0063】
(付記11)
前記内層は、1つの第1の被覆テープを含み、
前記第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に前記第1の被覆テープを被覆する、
ことを特徴とする、付記10に記載のケーブル。
【0064】
(付記12)
前記内層は、複数の第1の被覆テープを含み、
前記複数の第1の被覆テープの両側辺をそれぞれ順に前記円周方向及び前記円周方向の逆方向に沿って前記第1の導体の両側に巻いて互いに結合させることで、前記第1の導体の前記外表面に前記第1の被覆テープの1つを被覆し、さらに、被覆された前記第1の被覆テープの外表面に別の第1の被覆テープを順次に被覆する、
ことを特徴とする、付記10に記載のケーブル。
【0065】
(付記13)
前記第1の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、付記11又は12に記載のケーブル。
【0066】
(付記14)
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、付記13に記載のケーブル。
【0067】
(付記15)
前記外層は、1つの第2の被覆テープを含み、
前記第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻く、
ことを特徴とする、付記10に記載のケーブル。
【0068】
(付記16)
前記外層は、複数の第2の被覆テープを含み、
前記複数の第2の被覆テープの1つを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に前記内層の前記外表面に巻いて、さらに、別の第2の被覆テープを前記円周方向に沿いながら前記第1の導体の前記長さ方向に沿って連続に先に巻いた前記第2の被覆テープの外表面に巻く、
ことを特徴とする、付記10に記載のケーブル。
【0069】
(付記17)
前記第2の被覆テープの材料は、絶縁材料であることを特徴とする、付記15又は16に記載のケーブル。
【0070】
(付記18)
前記絶縁材料は、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、付記17に記載のケーブル。
【符号の説明】
【0071】
1 ケーブル
2 導体
3 絶縁層
10 第1の導体
20、20A 内層
21 第1の被覆テープ
211、212 側辺
30、30A 外層
31 第2の被覆テープ
40、40A ケーブルモジュール
41、41A ケーブル
42 第2の導体
43 内膜
44 中膜
45 外膜
S1~S2 工程
S10~S50 工程