(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148858
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/4091 20060101AFI20220929BHJP
G11C 11/405 20060101ALI20220929BHJP
G11C 7/06 20060101ALI20220929BHJP
G11C 7/12 20060101ALI20220929BHJP
H01L 21/8242 20060101ALN20220929BHJP
【FI】
G11C11/4091 160
G11C11/405
G11C7/06 120
G11C7/12
H01L27/108 601
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050690
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】和田 政春
【テーマコード(参考)】
5F083
5M024
【Fターム(参考)】
5F083AD01
5F083AD11
5F083GA11
5F083JA60
5F083LA03
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA19
5M024AA37
5M024BB15
5M024CC63
5M024CC66
5M024FF08
5M024PP01
5M024PP03
5M024PP07
(57)【要約】
【課題】 誤動作を抑制された半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態による半導体記憶装置は、メモリセルと、ビット線と、センスアンプと、電位生成回路と、を含む。メモリセルは、第1端及び第2端を有するキャパシタと、第1トランジスタと、を含む。第1トランジスタは、第3端及び第4端を有し、第4端において第1端と接続され、酸化物半導体を含む。ビット線は、第3端と接続されている。センスアンプは、ビット線と接続され、第1電位の第1ノード及び第1電位より低い第2電位の第2ノードとの間に接続されている。電位生成回路は、第1電位と第2電位の差の中間の大きさの第3電位と異なる第4電位を第2端に供給するように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端及び第2端を有するキャパシタと、
第3端及び第4端を有し、前記第4端において前記第1端と接続され、酸化物半導体を含んだ第1トランジスタと、
を含むメモリセルと、
前記第3端と接続されたビット線と、
前記ビット線と接続され、第1電位の第1ノード及び前記第1電位より低い第2電位の第2ノードとの間に接続されたセンスアンプと、
前記第1電位と前記第2電位の差の中間の大きさの第3電位と異なる第4電位を前記第2端に供給するように構成された電位生成回路と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第4電位は、前記第3電位より低い、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記センスアンプは、前記メモリセルに対するデータ読出しの間に前記ビット線を前記第3電位にするようにさらに構成されており、
前記データ読出しの間で前記第1トランジスタがオフである間に前記ビット線は前記第3電位から低下し、
前記第4電位は、前記ビット線の前記第3電位からの前記低下の量に基づく、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記センスアンプは、前記メモリセルに対するデータ読出しの間に前記ビット線を前記第3電位にするようにさらに構成されており、
前記データ読出しの間で前記第1トランジスタがオフである間に前記ビット線は前記第3電位から前記第4電位に低下する、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記センスアンプは、
前記第1ノードと第3ノードとの間の第1導電型の第2トランジスタと、
前記第3ノードと前記第2ノードとの間の第2導電型の第3トランジスタと、
前記第3ノードと前記第3トランジスタのゲートとの間の第4トランジスタと、
前記第1ノードと第4ノードとの間の前記第1導電型の第5トランジスタと、
前記第4ノードと前記第2ノードとの間の前記第2導電型の第6トランジスタと、
前記第4ノードと前記第6トランジスタのゲートとの間の第7トランジスタと、
を含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2トランジスタは、第1オン抵抗を有し、
前記第3トランジスタは、第2オン抵抗を有し、
前記第1電位と前記第2電位は、第1電位差を有し、
前記第4電位は、前記第1電位差と、前記第1オン抵抗と前記第2オン抵抗の和に対する前記第2オン抵抗の割合との積に等しい、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2トランジスタは、第1オン抵抗を有し、
前記第3トランジスタは、第2オン抵抗を有し、
前記電位生成回路は、
前記第2トランジスタのオン抵抗と実質的に同じ大きさの第1抵抗と、
前記第1抵抗と接続された第5端を有し、前記第3トランジスタのオン抵抗と実質的に同じ大きさの第2抵抗と、
前記第5端と接続された非反転入力端子、及び前記第2端と接続された反転入力端子並びに出力端子を有する演算増幅回路と、
を備える、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1抵抗は、前記第1導電型の第8トランジスタを含み、
前記第2抵抗は、前記第2導電型の第9トランジスタを含む、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2端と前記ビット線との間の第10トランジスタをさらに備える、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概して半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)が知られている。DRAMのメモリセルは、キャパシタとトランジスタを含む。メモリセルは、キャパシタに蓄積されている電荷に基づいて、データを保持する。データ読出しの対象のメモリセルのデータに基づく電位がセンスアンプによって増幅され、これによって、記憶されているデータが判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9,093,175号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誤動作を抑制された半導体記憶装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態による半導体記憶装置は、メモリセルと、ビット線と、センスアンプと、電位生成回路と、を含む。上記メモリセルは、第1端及び第2端を有するキャパシタと、第1トランジスタと、を含む。上記第1トランジスタは、第3端及び第4端を有し、上記第4端において上記第1端と接続され、酸化物半導体を含む。上記ビット線は、上記第3端と接続されている。上記センスアンプは、上記ビット線と接続され、第1電位の第1ノード及び上記第1電位より低い第2電位の第2ノードとの間に接続されている。上記電位生成回路は、上記第1電位と上記第2電位の差の中間の大きさの第3電位と異なる第4電位を上記第2端に供給するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置の機能ブロック及び関連する構成要素を示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態のメモリセルの構成要素及び構成要素の接続を示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態のメモリセル及び参考用のメモリセルでのリーク電流を示す。
【
図4】
図4は、第1実施形態のセンスアンプの一部の構成要素及び構成要素の接続を示す。
【
図5】
図5は、第1実施形態のビット線の電位の一部及び電位生成回路から出力される電位を示す。
【
図6】
図6は、第1実施形態の半導体記憶装置のいくつかの要素のデータ読出しの間の電位を時間に沿って示す。
【
図7】
図7は、参考用の半導体記憶装置のいくつかの要素の電位を時間に沿って示す。
【
図8】
図8は、第2実施形態のセンスアンプの一部の構成要素及び構成要素の接続並びに関連する構成要素を示す。
【
図9】
図9は、第2実施形態の電位生成回路の構成要素及び構成要素の接続、並びに関連する構成要素を示す。
【
図10】
図10は、第2実施形態の半導体記憶装置のいくつかの要素のデータ読出しの間の電位を時間に沿って示す。
【
図11】
図11は、参考用の半導体記憶装置のいくつかの要素の電位を時間に沿って示す。
【
図12】
図12は、第2実施形態の変形例の電位生成回路の構成要素及び構成要素の接続、並びに関連する構成要素を示す。
【
図13】
図13は、第3実施形態の電位生成回路の構成要素及び構成要素の接続、並びに関連する構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一の参照符号を付され、繰返しの説明は省略される場合がある。略同一の機能及び構成を有する複数の構成要素が相互に区別されるために、参照符号の末尾にさらなる数字又は文字が付される場合がある。
【0008】
或る実施形態についての記述は全て、明示的に又は自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0009】
各機能ブロックが、以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、或る第1要素が別の第2要素に「接続されている」とは、第1要素が直接的又は常時或いは選択的に導電性となる要素を介して第2要素に接続されていることを含む。
【0011】
1.第1実施形態
1.1.構造(構成)
図1は、第1実施形態の半導体記憶装置の機能ブロックを示す。
図1に示されるように、半導体記憶装置1は、メモリコントローラ2により制御される。半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ11、入出力回路12、制御回路13、ロウ選択回路14、カラム選択回路15、書込み回路16、読出し回路17、電位生成回路18、及びセンスアンプ19を含む。
【0012】
メモリセルアレイ11は、複数のメモリセルMC、複数のワード線WL、複数のビット線BL、及びプレート線PLを含む。各メモリセルMCは、1ビットのデータを記憶することができる。各メモリセルMCは、1つのビット線BLとプレート線PLの間に接続されており、また、1つのワード線WLと接続されている。ワード線WLは行(ロウ)と関連付けられている。ビット線BLは列(カラム)と関連付けられている。1つの行の選択及び1つの列の選択により、1つのメモリセルMCが特定される。
【0013】
入出力回路12は、メモリコントローラ2から、制御信号CNT、コマンドCMD、アドレス信号ADD、及びデータDATを受け取る。入出力回路12は、メモリコントローラ2にデータDATを送信する。データDATは、半導体記憶装置1でのデータ書込みの場合は、書込みデータである。データDATは、半導体記憶装置1からのデータ読出しの場合は、読出しデータである。
【0014】
制御回路13は、入出力回路12から制御信号CNT及びコマンドCMDを受け取る。制御回路13は、制御信号CNTによって指示される制御及びコマンドCMDに基づいて、書込み回路16及び読出し回路17を制御する。
【0015】
電位生成回路18は、制御回路13の制御に基づいて、相違する大きさの複数の電位を生成する。電位生成回路18は、生成される電位を、メモリセルアレイ11、書込み回路16、及び読出し回路17に供給する。
【0016】
書込み回路16は、メモリセルMCへのデータの書込みのための処理及び制御を行う。書込み回路16は、入出力回路12から書込みデータDwを受け取る。書込みデータDwは、データ書込み対象のメモリセルMCに書き込まれるデータである。書込み回路16は、電位生成回路18から、データ書込みにおいて使用される1又は複数の電位を受け取る。書込み回路16は、制御回路13の制御及び書込みデータDwに基づいて、データ書込みに使用される1又は複数の電位をカラム選択回路15に供給する。
【0017】
読出し回路17は、メモリセルMCからのデータの読出しのための処理及び制御を行う。
読出し回路17は、電位生成回路18から、データ読出しにおいて使用される1又は複数の電位を受け取る。読出し回路17は、制御回路13の制御に基づいて、データ読み出しに使用される電位を使用して、メモリセルMCに記憶されているデータを割り出す。割り出されたデータは、読出しデータDrとして、入出力回路12に供給される。
【0018】
ロウ選択回路14は、入出力回路12からアドレス信号ADDを受け取る。ロウ選択回路14は、電位生成回路18から受け取られた電位をメモリセルアレイ11に供給することにより、受け取られたアドレス信号ADDにより特定される行と関連付けられた1つのワード線WLを選択された状態にする。
【0019】
カラム選択回路15は、入出力回路12からアドレス信号ADDを受け取る。カラム選択回路15は、電位生成回路18から受け取られた電位をメモリセルアレイ11に供給することにより、受け取られたアドレス信号ADDにより特定される列と関連付けられたビット線BLを選択された状態にする。
【0020】
センスアンプ19は、複数のセンスアンプ回路SAC(図示せず)を含む。センスアンプ19は、電位生成回路18から複数の電位を受け取り、受け取られた電位を使用して動作する。センスアンプ19は、データ読出しの間、データ読出し対象のメモリセルMCに記憶されているデータの割出しのために、ビット線BL上の電位を増幅する。
【0021】
1.1.1.メモリセル
図2は、第1実施形態のメモリセルの構成要素及び構成要素の接続を示す。
図2に示されるように、各メモリセルMCは、セルキャパシタCC及びn型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)CTを含む。セルキャパシタCCは、一端においてプレート線PLと接続されており、他端においてトランジスタCTの一端と接続されている。セルキャパシタCCは、トランジスタCTと接続されるノードにおいて蓄積される電荷を使用して、データを記憶する。セルキャパシタCCのトランジスタCTと接続されるノードは、以下、ストレージノードSNと称される場合がある。ストレージノードが電荷を蓄積しているか否かの状態が、メモリセルMCが“1”データを記憶している状態及び“0”データを記憶している状態に対応付けられる。以下、例として、ストレージノードSNが電荷を蓄積している状態は、メモリセルMCが“1”データを記憶している状態として扱われ、ストレージノードSNが電荷を蓄積していない状態は、メモリセルMCが“0”データを記憶している状態として扱われる。
【0022】
トランジスタCTは、他端において1つのビット線BLと接続されており、ゲートにおいて1つのワード線WLと接続されている。トランジスタCTの一部を構成する半導体は、少なくとも、チャネルが形成される領域(チャネル領域)を提供する。半導体の材料は、酸化物半導体を含むか、酸化物半導体から実質的に構成される。本明細書及び特許請求の範囲において「実質的に構成される」は、「実質的に構成される」要素が、意図されない不純物を含むことを許容することを意味する。酸化物半導体は、半導体の特性を有する酸化物を指す。酸化物半導体の例は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及び錫(Sn)のうち1以上を含む酸化物である。酸化物半導体は、より具体的には、例えば、In、Ga、Zn、及びOから構成されるものであってもよいし、In、Al、Zn、及びOから構成されるものであってもよい。
【0023】
一般に、酸化物半導体のバンドギャップは、シリコンのバンドギャップより広い。このため、電圧を印加されていない状態での酸化物半導体の導電率は、電圧を印加されていない状態でのシリコンの導電率より低い。よって、酸化物半導体を含んだトランジスタは、シリコンを含んだトランジスタのカットオフ特性よりも高いカットオフ特性を有する。以下、酸化物半導体を含んだトランジスタは酸化物半導体トランジスタと称される場合があり、シリコンを含んだトランジスタはシリコントランジスタと称される場合がある。酸化物半導体トランジスタのカットオフ特性が、シリコントランジスタのカットオフ特性より高いため、酸化物半導体トランジスタでのオフしている間のリーク電流は、シリコントランジスタでのオフしている間のリーク電流より低い。このため、メモリセルMCでは、ストレージノードSNからトランジスタCTに向かうリーク電流は少ない。よって、メモリセルMCは、シリコントランジスタを含む場合よりも、高いデータ保持能力(リテンション特性)を有する。
【0024】
一方、酸化物半導体を含んだトランジスタCTを含んだメモリセルMCでは、以下の現象が生じ得る。
図3は、第1実施形態のメモリセルでのリーク電流、及び参考用のメモリセルでのリーク電流を示す。
図3は、左側において参考用のメモリセルMCRについて示し、右側において第1実施形態のメモリセルMCについて示す。
【0025】
メモリセルMCRは、メモリセルMCでのトランジスタCTに代えて、トランジスタCTRを含む。トランジスタCTRは、シリコントランジスタからなる。セルキャパシタCCは、ストレージノードSNとプレート線PLとの間で、電流のリークを生じ得る。
図3を参照して記述されるように、一般に、トランジスタは、ソース又はドレインからバックゲートに向かうリーク電流を生じ得る。半導体の材料の違いに基づいてトランジスタCTRは、トランジスタCTよりも高いリーク電流を生じる。トランジスタCTRでのリーク電流は、セルキャパシタCCを介するリーク電流より大きい。このため、トランジスタCTRでは、ストレージノードSNからの電荷の流出は、トランジスタCTRを介しバックゲートに向かうものが支配的である。
【0026】
一方、トランジスタCTでのリーク電流は小さく、セルキャパシタCCを介するリーク電流より小さい。このため、トランジスタCTでは、ストレージノードSNからの電荷の流出は、プレート線PLに向かうものが支配的である。
【0027】
1.1.2.センスアンプ
図4は、第1実施形態のセンスアンプ19の一部の構成要素及び構成要素の接続を示す。上記のように、センスアンプ19は、複数のセンスアンプ回路SACを含む。
図4は、1つのセンスアンプ回路SACを示す。
図4はまた、センスアンプ回路SACに関連する構成要素及び構成要素の接続を示す。
【0028】
図4に示されるように、センスアンプ回路SACは、p型のMOSFET TP1及びTP2、並びにn型のMOSFET TN1、TN2、TN3、及びTN4を含む。センスアンプ19は、さらに、トランジスタTN5及びTN6を含む。トランジスタTP1は、ノードSAPとノードN1との間に接続されている。ノードSAPは、例えば、電位生成回路18から電位を供給される。ノードSAPは、電源電位Vddsa及び電位Vddsa/2のうちの動的に切り替わる一方を供給される。電源電位Vddsaは、半導体記憶装置1で使用される電源電位Vddと同じ大きさを有していてもよいし、電源電位Vddと異なる大きさを有していてもよい。トランジスタTP1は、ゲートにおいて、ノードN2と接続されている。トランジスタTP1は、オンしている間、或る大きさの抵抗(オン抵抗)Rpを有する。
【0029】
トランジスタTN1は、ノードN1とノードSANとの間に接続されている。ノードSANは、例えば、電位生成回路18から電位を供給される。ノードSANは、電位Vddsa/2及び接地電位(共通電位)Vss(例えば0V)のうちの動的に切り替わる一方を供給される。トランジスタTN1は、ゲートにおいて、1つのビット線BLと接続されている。トランジスタTN1は、オン抵抗Rnを有する。
【0030】
トランジスタTP2は、ノードSAPとノードN2との間に接続されている。トランジスタTP2は、ゲートにおいて、ノードN1と接続されている。トランジスタTP2は、オン抵抗Rpと実質的に同じ大きさのオン抵抗を有する。本明細書において、或る2つの構成要素の或る特性が「実質的に同じ」であることは、同じであることを目指して2つの構成要素が形成されるものの、これらの構成要素の製造のための技術の限界等の不可避な理由に起因して完全に同じではないケースを許容することを意味する。
【0031】
トランジスタTN2は、ノードN2とノードSANとの間に接続されている。トランジスタTN2は、オン抵抗Rnと実質的に同じ大きさのオン抵抗を有する。トランジスタTN2のゲートは、ノード ̄BLとして機能する。ノード ̄BLは、以下、相補ビット線 ̄BLと称される場合がある。相補ビット線 ̄BLは、参照電位(又は基準電位)を有するノードとして機能する。参照電位は、データ読出しの開始のときに、データ読出し対象のメモリセルMCに記憶されているデータに基づいてビット線BLに現れる電位の割出しのために使用される。以下、データ読出し対象のメモリセルMCは、選択メモリセルMCと称される場合がある。
【0032】
トランジスタTN3は、ノードN1と相補ビット線 ̄BLとの間に接続されている。トランジスタTN3は、ゲートにおいて信号ISOを受け取る。信号ISOは、例えば、読出し回路17中のセンスアンプ回路SACとは別の構成要素から供給される。
【0033】
トランジスタTN4は、ノードN2とビット線BLとの間に接続されている。トランジスタTN4は、ゲートにおいて信号ISOを受け取る。信号ISOは、例えば、読出し回路17中のセンスアンプ回路SACとは別の構成要素から供給される。
【0034】
トランジスタTN5は、少なくとも1つのビット線BLとノードNBPとの間に接続されている。ノードNBPは、電位生成回路18から、プリチャージ電位Vpcを受け取る。プリチャージ電位Vpcは、Vddsa/2であり、参照電位としても機能する。以下、プリチャージ電位Vpcは、プリチャージ電位(Vddsa/2)と称される場合がある。トランジスタTN5は、ゲートにおいて、信号EQを受け取る。信号EQは、例えば、読出し回路17中のセンスアンプ回路SACとは異なる構成要素から供給される。
【0035】
トランジスタTN6は、少なくとも1つの相補ビット線 ̄BLとノードNBPとの間に接続されている。トランジスタTN6は、ゲートにおいて、信号EQを受け取る。
【0036】
トランジスタTP1及びTN1は、第1インバータ回路を構成し、トランジスタTP2及びTN2は第2インバータを構成する。トランジスタTN3及びTN4がオンしている間は、第1インバータ回路は、第2インバータ回路といわゆるクロス接続されている。すなわち、第1インバータ回路の入力ノード及び出力ノードは、第2インバータ回路の出力ノード及び入力ノードとそれぞれ接続されている。
【0037】
1.1.3.電位生成回路
電位生成回路18は、或る大きさの電位Vplを生成し、電位Vplはプレート線PLに供給される。電位Vplは、データ読出しの間に選択メモリセルMCと接続されたビット線BLの電位が種々の要因で変動することに対処するために、変動に基づいて決定される大きさを有する。以下、選択メモリセルMCと接続されたビット線BLは、選択ビット線BLと称される場合がある。
【0038】
具体的には、電位Vplは、以下のように決定されることが可能である。
図5の上側の部分に示されるとともに
図6を参照して後に記述されるように、選択ビット線BLは、電源電位Vddsaと、接地電位Vssとの間の大きさ、すなわち、Vddsa/2の大きさのプリチャージ電位Vpcにプリチャージされ、プリチャージの終了後、選択メモリセルMCに記憶されているデータに基づく電位を付加される。プリチャージされることを終了した選択ビット線BLの電位は、種々の要因で、選択メモリセルMCに記憶されているデータに基づく電位の付加の前に、Vddsa/2から変動し得る。電位Vplは、この変動の量に基づいて決定されることが可能である。より具体的な例は、以下の通りである。
【0039】
図3を参照して記述されるように、トランジスタCTでは、プレート線PLに向かって電荷が流出する。このため、選択メモリセルMCに記憶されているデータに基づいて選択ビット線BLに現れる電位は、プレート線PLに電荷が流出しない場合での電位より低い。よって、プリチャージが終了すると、選択ビット線BLの電位は、Vddsa/2から、或る正の大きさΔVだけ低下し得る。このことに基づいて、
図5の下側の部分に示されるように、プレート線PLの電位Vplの大きさは、Vddsa/2-ΔVとされることが可能である。
【0040】
1.2.動作
図6は、第1実施形態の半導体記憶装置のいくつかの要素のデータ読出しの間の電位を時間に沿って示す。電位を示される要素のうち、ワード線WLは、選択メモリセルMCと接続されたワード線WLであり、以下、選択ワード線WLと称される場合がある。また、選択ビット線BLと接続されているセンスアンプ回路SACと接続されている相補ビット線 ̄BLは、以下、選択相補ビット線 ̄BLと称される場合がある。
【0041】
図6に示されるように、プレート線PLの電位は、電位Vplに維持される。
【0042】
図6の期間の開始の時点で各要素の電位は、以下の通りである。選択ワード線WLは、アサートされており、すなわち、電源電位Vddを有する。このため、選択メモリセルMCのトランジスタCTはオンしており、選択メモリセルMCのセルキャパシタCCは選択ビット線BLと接続されている。
【0043】
信号EQは、ネゲートされており、すなわち、接地電位Vssを有する。このため、トランジスタTN5及びTN6はオフしており、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLはいずれも、プリチャージ電位VpcのノードNBPと接続されていない。すなわち、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLはプリチャージされていない。
【0044】
信号ISOは、アサートされており、すなわち、電源電位Vddを有する。このため、トランジスタTN3及びTN4はオンしており、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLは、それぞれノードN2及びN1と接続されている。
【0045】
ノードSAPは、電源電位Vddsaを有し、ノードSANは、接地電位Vssを有する。このため、センスアンプ回路SACは、電源の供給を受けて、オンしている、すなわち、動作できる状態にある。
【0046】
以上のような電位の状態に基づいて、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLのうちの一方は、電源電位Vddsaを有しており、他方は、接地電位Vssを有している。選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLのいずれが電源電位Vddsaを有しているかは、選択メモリセルMCが“0”データを記憶しているか、“1”データを記憶しているかに依存する。選択メモリセルMCが“0”データを記憶している場合、選択ビット線BLは、接地電位Vssを有する。また、このことに基づいて、ストレージノードSNは、接地電位Vssを有する。一方、選択メモリセルMCが“1”データを記憶している場合、選択ビット線BLは、電源電位Vddsaを有する。また、このことに基づいて、ストレージノードSNは、電源電位Vddsaを有する。以下、選択メモリセルMCが“0”データを記憶している場合は、“0”データ記憶ケースと称される場合があり、選択メモリセルMCが“1”データを記憶している場合は、“1”データ記憶ケースと称される場合がある。
【0047】
データ読出しの開始に伴い、時刻t0において、選択ワード線WLはネゲートされ、すなわち、選択ワード線WLの電位は接地電位Vssとされる。このため、選択メモリセルMCのトランジスタCTはオフし、選択メモリセルMCのセルキャパシタCCは選択ビット線BLから切断される。選択ワード線WLの電位は、時刻t3まで継続する。
【0048】
時刻t1から時刻t2は、イコライズの期間である。時刻t1において、ノードSAPの電位が電位Vddsa/2とされるとともに、ノードSANの電位が電位Vddsa/2とされる。このため、センスアンプ回路SACは、電源の供給を受けず、電位を増幅する機能をオフする。ノードSAPの電位及びノードSANの電位は、時刻t4まで継続する。
【0049】
また、時刻t1において、信号EQがアサートされ、すなわち、信号EQの電位は電源電位Vddとされる。これにより、トランジスタTN5及びTN6がオンし、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLがノードNBPに接続される。この結果、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLはともに、同じ電位へとイコライズされる。具体的には、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLはともに、プリチャージ電位Vpc、すなわち電位Vddsa/2にプリチャージされる。
【0050】
時刻t2において、信号EQがネゲートされる。これにより、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLのプリチャージは終了する。また、信号ISOはネゲートされ、すなわち、信号ISOの電位は接地電位Vssとされる。これにより、トランジスタTN3及びTN4はオフし、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLは、それぞれセンスアンプ回路SACのノードN2及びN1から切断され、すなわちアイソレーションされる。
【0051】
時刻t2でのプリチャージの終了及びアイソレーションの開始により、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位は、電位Vddsa/2から変動し、具体的には、Vddsa/2-ΔVとなる。
【0052】
時刻t3から時刻t4は、チャージシェアの期間である。時刻t3において、選択ワード線WLがアサートされる。この結果、チャージシェアが開始する。チャージシェアにより、選択ビット線BLに蓄積されている電荷と、選択メモリセルMCのストレージノードSNに蓄積されている電荷が共有される。この結果、選択ビット線BLの電位は、選択メモリセルMCに記憶されているデータに基づいて、上昇又は下降する。“0”データ記憶ケースでは、ストレージノードSNの電位がプレート線PLの電位Vplに向かって上昇するとともに、選択ビット線BLの電位が下降する。ストレージノードSN及び選択ビット線BLは、上昇しているストレージノードSNの電位と、下降している選択ビット線BLの電位が等しくなったときの大きさの電位VB0を有する状態になる。選択相補ビット線 ̄BLの電位は維持される。
【0053】
一方、“1”データ記憶ケースでは、ストレージノードSNの電位がプレート線PLの電位Vplに向かって下降するとともに、選択ビット線BLの電位が上昇する。ストレージノードSN及び選択ビット線BLは、下降しているストレージノードSNの電位と、上昇している選択ビット線BLの電位が等しくなったときの大きさの電位VB1を有する状態になる。選択相補ビット線 ̄BLの電位は維持される。
【0054】
時刻t4から時刻t5はプリセンスの期間である。時刻t4において、ノードSAPの電位が電源電位Vddsaとされるとともに、ノードSANの電位が接地電位Vssとされる。この結果、選択ビット線BLの電位は、選択メモリセルMCに記憶されているデータに基づいて、上昇又は下降する。“0”データ記憶ケースでは、選択ビット線BLの電位は、接地電位Vssに向かって下降する。一方、“1”データ記憶ケースでは、選択ビット線BLの電位は、電源電位Vddsaに向かって上昇する。
【0055】
時刻t5以降は、センス及びリストアの期間である。時刻t5において、信号ISOがアサートされる。これにより、トランジスタTN3及びTN4がオンし、センスアンプ回路SACは、ノードN1及びN2の一方の電位を電源電位Vddsaに、他方の電位を接地電位Vssに増幅する。センスアンプ回路SACによる増幅により、“0”データ記憶ケースでは、選択ビット線BLの電位が接地電位Vssまで下げられるとともに、選択相補ビット線 ̄BLの電位が電源電位Vddsaまで上げられる。一方、“1”データ記憶ケースでは、選択ビット線BLの電位が電源電位Vddsaまで上げられるとともに、選択相補ビット線 ̄BLの電位が接地電位Vssまで下げられる。
【0056】
図中の参照符号M0及びM1については、後述される。
【0057】
1.3.利点(効果)
第1実施形態によれば、以下に記述されるように、誤動作を抑制された半導体記憶装置が提供されることが可能である。
【0058】
まず、比較のために
図7を参照して、参考用の半導体記憶装置100が記述される。
図7は、参考用の半導体記憶装置100のいくつかの要素の電位を時間に沿って示す。
図7に示されるように、半導体記憶装置100では、プレート線PLの電位は、電位Vplrに維持される。電位Vplrは、Vddsa/2の大きさを有する。
図7の時刻t10、t11、t12、t13、及びt15において、それぞれ、第1実施形態の
図6の時刻t0、t1、t2、t3、及びt5での動作に相当する動作が起こる。
【0059】
半導体記憶装置100の場合、理想的なケースとしてプリチャージ終了後の選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位がVddsa/2を維持していれば、チャージシェアによる選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位の変動は、電位Vddsa/2から開始する。しかしながら、
図5を参照して記述されるように、プリチャージ終了後、すなわち、チャージシェアの開始のときの選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位がVddsa/2から低下し得る。このことに起因して、以下の現象が生じ得る。
【0060】
すなわち、“1”データ記憶ケースでは、選択相補ビット線 ̄BL上の参照電位は、Vddsa/2-ΔVの大きさを有しており、選択ビット線BLは、或る大きさの電位VB1rを有している。選択相補ビット線 ̄BL上の参照電位と選択ビット線BL上の電位の差は、或る大きさのM1rであり、これは、“1”データ記憶ケースでのマージンとして機能し、“1”データ記憶ケースマージンM1rと称される場合がある。“1”データ記憶ケースマージンM1rは、理想的なケース(チャージシェア開始のときに選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLが電位Vddsa/2を有するケース)での“1”データ記憶ケースマージンより大きい。このため、チャージシェアの開始のときに選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位がVddsa/2から低下することは、“1”データ記憶ケースマージンM1rの増加につながる。
【0061】
一方、“0”データ記憶ケースでは、選択相補ビット線 ̄BL上の参照電位は、Vddsa/2-ΔVの大きさを有しており、選択ビット線BL上は、或る大きさの電位VB0rを有している。選択相補ビット線 ̄BL上の参照電位と選択ビット線BL上の電位の差は、或る大きさのM0rであり、これは、“0”データ記憶ケースでのマージンとして機能し、以下、“0”データ記憶ケースマージンM0rと称される場合がある。“0”データ記憶ケースマージンM0rは、理想的なケース(チャージシェア開始のときに選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLが電位Vddsa/2を有するケース)での“0”データ記憶ケースマージンより小さい。このため、チャージシェアの開始のときに選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位がVddsa/2から低下することは、“0”データ記憶ケースマージンM0rの減少につながる。
【0062】
選択相補ビット線 ̄BL上の参照電位と選択ビット線BL上の電位の差、すなわち、マージンは、センスアンプ回路SACの正確なデータの割出しに寄与する。よって、“0”データ記憶ケースでは、小さなマージンM0rによって、センスアンプ回路SACの誤動作に繋がり得る。
【0063】
トランジスタCTが酸化物半導体トランジスタであるため、
図3を参照して記述されるように、ストレージノードSNとプレート線PLとの間にリーク電流が生じ得る。このため、ストレージノードSNの電位の低下又は上昇が生じ、これにより選択ビット線BL上の電位を低下又は上昇させる。“0”データ記憶ケースのチャージシェアにおける選択ビット線BLの電位は、リーク電流が生じない場合よりも高い。このため、オフセットキャンセルによって選択相補ビット線 ̄BLの電位が下がった場合、“0”データ記憶ケースのプリチャージ終了後の選択ビット線BLの電位は、リーク電流が生じない場合よりも低い。このため、“0”データ記憶ケースマージンM0rはさらに小さくなり得る。
【0064】
第1実施形態によれば、プレート線PLの電位Vplは、プリチャージ終了後の選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位に基づく大きさを有し、プリチャージ電位Vpcより低い。特に、電位Vplは、プリチャージ終了後に選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位の低下の大きさΔVと実質的に同じ大きさだけ、プリチャージ電位(Vddsa/2)より低い。このため、電位Vplは参考用の半導体記憶装置100でのプレート線PLの電位Vplr(=Vddsa/2)より低い。そして、チャージシェアによって、ストレージノードSNの電位は電位Vplに向かって上昇又は下降し、ストレージノードSN及び選択ビット線BLが有する電位は実質的に同じ大きさを有する状態になる。選択ビット線BLは、“0”データ記憶ケースでは、或る大きさの電位VB0を有し、“1”データ記憶ケースでは、或る大きさの電位VB1を有する。“0”データ記憶ケースマージンはM0であり、“1”データ記憶ケースマージンはM1である。プレート線PLの電位Vplがプリチャージ電位(Vddsa/2)より低いことにより、チャージシェア後の選択ビット線BLの電位VB0及びVB1は、半導体記憶装置100での電位VB0r及びVB1rよりそれぞれ低い。このため、第1実施形態での“0”データ記憶ケースマージンM0は、半導体記憶装置100での“0”データ記憶ケースマージンM0rより大きい。よって、“0”データ記憶ケースでのセンスアンプ回路SACの誤動作が抑制されることが可能である。
【0065】
2.第2実施形態
第2実施形態は、センスアンプ回路SAC及び電位生成回路18の構成の点、及びこれに関連する点において、第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる特徴が主に記述される。
【0066】
2.1.構成
第2実施形態のセンスアンプ回路SAC及び電位生成回路18は、第1実施形態のセンスアンプ回路SAC及び電位生成回路18とそれぞれ異なる。以下、第2実施形態のセンスアンプ回路SAC及び電位生成回路18は、第1実施形態のセンスアンプ回路SAC及び電位生成回路18との区別のために、それぞれセンスアンプ回路SACb及び電位生成回路18bと称される場合がある。また、第2実施形態の半導体記憶装置1、及び読出し回路17は、第1実施形態の半導体記憶装置1、読出し回路17、及びセンスアンプ19との区別のために、それぞれ、半導体記憶装置1b、読出し回路17b、及びセンスアンプ19bと称される場合がある。
【0067】
2.1.2.センスアンプ
図8は、第2実施形態のセンスアンプ19bの一部の構成要素及び構成要素の接続を示す。
図8は、1つのセンスアンプ回路SACbを示す。
図8はまた、センスアンプ回路SACbに関連する構成要素及び構成要素の接続を示す。
【0068】
図8に示されるように、センスアンプ回路SACbは、第1実施形態のセンスアンプ回路SACに含まれる構成要素に加えて、n型のMOSFET TN11及びTN12を含む。
【0069】
トランジスタTN11は、ノードN1と、トランジスタTN1のゲートとの間に接続されている。トランジスタTN11は、ゲートにおいて、信号OCを受け取る。信号OCは、例えば、読出し回路17b中のセンスアンプ回路SACbとは異なる構成要素から供給される。
【0070】
トランジスタTN12は、ノードN2と、トランジスタTN12のゲートとの間に接続されている。トランジスタTN12は、ゲートにおいて、信号OCを受け取る。
【0071】
2.1.3.電位生成回路
図9は、第2実施形態の電位生成回路の構成要素及び構成要素の接続、並びに関連する構成要素を示す。
図9に示されるように、電位生成回路18bは、抵抗R1及びR2、並びにオペアンプOPを含む。抵抗R1は、トランジスタTP1(又はTP2)のオン抵抗Rpと実質的に同じ大きさの抵抗を有する。抵抗R1は、電源電位Vddsaを受けるノードとノードN11との間に接続されている。抵抗R1は、例えば、半導体中の不純物拡散領域、及び(又は)ポリシリコン又は金属の配線により実現されることが可能である。
【0072】
抵抗R2は、トランジスタTN1(又はTN2)のオン抵抗Rnと実質的に同じ大きさの抵抗を有する。抵抗R2は、ノードN11と、接地電位Vssを受けるノードとの間に接続されている。抵抗R2は、例えば、半導体中の不純物拡散領域、及び(又は)ポリシリコン又は金属の配線により実現されることが可能である。
【0073】
オペアンプOPは、非反転入力端子において、ノードN11と接続されている。オペアンプOPは、出力端子において、プレート線PL及び自身の反転入力端子と接続されている。オペアンプOPの動作により、プレート線PLの電位Vplbは、ノードN11の電位に維持される。ノードN11の電位は、電源電位Vddsaと接地電位Vssの電位差Vddsaの抵抗R1及びR2による分圧に等しい。すなわち、ノードN11の電位は、電位差Vddsaと、抵抗R1及びR2の和に対する抵抗R2の割合と、の積の大きさに等しい。よって、プレート線PLの電位Vplbは、電位差Vddsaのオン抵抗Rp及びRnの比による分圧に等しい大きさに維持される。より具体的には、プレート線PLの電位Vplbは、Vddsa/2-(ΔV1+ΔV2)/2の大きさを有する。ΔV1は、後述のように、プリチャージ後の選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの一方の電位の低下の量であり、ΔV2は、後述のように、プリチャージ後の選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの一方の電位の低下の量である。
【0074】
2.2.動作
図10は、第2実施形態の半導体記憶装置のいくつかの要素のデータ読出しの間の電位を時間に沿って示す。
【0075】
図9を参照して記述されるとともに
図10に示されるように、プレート線PLの電位は、電位Vplbに維持される。
【0076】
図10は、信号OCの付加、及び選択ビット線BL並びに選択相補ビット線 ̄BLの電位の点で、第1実施形態の
図6と異なる。
【0077】
図10の期間の開始の時点で、信号OCはネゲートされており、すなわち、接地電位Vssを有する。このため、センスアンプ回路SACbのトランジスタTN11及びTN12はオフしている。よって、トランジスタTN1のゲートがノードN1から切断されているとともに、トランジスタTN2のゲートがノードN2から切断されている。
【0078】
時刻t1において、信号OCがアサートされ、すなわち、信号OCの電位は電源電位Vddとされる。これにより、トランジスタTN11及びTN12がオンし、トランジスタTN1はダイオード接続され、トランジスタTN2はダイオード接続される。また、ノードN1は、トランジスタTN11を介して選択ビット線BLと接続される。さらに、ノードN2は、トランジスタTN12を介して選択相補ビット線 ̄BLと接続される。信号OCの電位は、時刻t3まで維持される。
【0079】
時刻t2から時刻t3はオフセットキャンセルの期間である。時刻t2におけるアイソレーションにより、トランジスタTN3を介したノードN1と選択相補ビット線 ̄BLの接続及びトランジスタTN4を介したノードN2と選択ビット線BLの接続は解除される。一方、上記のように、トランジスタTN11及びTN12により、ノードN1及びN2は、それぞれ選択ビット線BL及び相補選択ビット線 ̄BLと接続されている。よって、ノードN1及びN2の電位が、それぞれ、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLに転送されている。
【0080】
時刻t2において、ノードSAPの電位が電源電位Vddsaとされるとともに、ノードSANの電位が接地電位Vssとされる。この結果、センスアンプ回路SACは電位を増幅できる状態になる。また、時刻t2でのプリチャージの終了及びアイソレーションの開始により、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位は、プリチャージ電位(Vddsa/2)から変動する。この変動のとき、オンしているトランジスタTN11及びTN12の働きにより、オフセットキャンセルが行われる。すなわち、トランジスタTN11によりトランジスタTN1はオンしており、よって、ノードN1とノードSANとの間に、トランジスTN1のオン抵抗が形成される。同様に、トランジスタTN12により、トランジスタTN2はオンしており、よって、ノードN2とノードSANとの間に、トランジスタTN2のオン抵抗が形成される。このため、ノードN1にトランジスタTP1のオン抵抗とトランジスタTN1のオン抵抗の比に基づく電位が生じ、ノードN2にトランジスタTP2のオン抵抗とトランジスタTN2のオン抵抗の比に基づく電位が生じる。一般に、p型のMOSFETとn型のMOSFETは、相違するオン抵抗を有し、n型のMOSFETのオン抵抗は、p型のMOSFETのオン抵抗より低い。このため、ノードN1の電位及びノードN2の電位は、いずれも、ノードSAPとノードSANの電位差の中間の値ではなく、中間値より低い。オフセットキャンセルによるノードN1及びノードN2の電位の変化により、選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの一方の電位は、Vddsa/2から、或る正の大きさΔV1だけ低下し、他方の電位はVddsa/2から或る正の大きさのΔV2だけ低下する。ΔV2はΔV1より大きい。
【0081】
ΔV1とΔV2の差は、トランジスタTP1(又はTP2)とトランジスタTN1(又はTN2)のオン抵抗の差に基づく。このため、チャージシェアの開始の時点でノードN1及びN2は、トランジスタTP1(又はTP2)のオン抵抗Rp及びトランジスタTN1(又はTN2)のオン抵抗Rnの差に基づく電位差を有する。そして、そのような電位差を有するノードN1及びN2を反映して選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLが充電される。このような電位に充電された選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位に基づいてセンスが行われる。よって、オフセットキャンセルにより、トランジスタTP1のオン抵抗RpとTN1のオン抵抗Rnの差が等価的にキャンセル(補償)される。この結果、オフセットキャンセルの間、選択ビット線BLが高い方の電位を有する場合の選択ビット線BLの電位と参照電位との差(マージン)と、選択ビット線BLが低電位を有する場合の選択ビット線BLの電位と参照電位との差のアンバランスが改善される。
【0082】
時刻t3において、ノードSAPの電位が電位Vddsa/2とされるとともに、ノードSANの電位が電位Vddsa/2とされる。この結果、センスアンプ回路SACは電位を増幅できない状態になる。時刻t3からのチャージシェアにより、“0”データ記憶ケースでは、選択ビット線BLは、或る大きさの電位VB0bを有する状態になる。選択相補ビット線 ̄BLの電位は維持される。一方、“1”データ記憶ケースでは、選択ビット線BLの電位は、或る大きさの電位VB1bを有する状態になる。選択相補ビット線 ̄BLの電位は維持される。
【0083】
図中の参照符号M0b及びM1bについては、後述される。
【0084】
2.3.利点
第2実施形態によれば、第1実施形態と同じく、プレート線PLの電位Vplは、プリチャージ終了後の選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位に基づく大きさを有し、プリチャージ電位Vpcより低い。このため、第1実施形態の利点と同じ利点を得られる。
【0085】
また、第2実施形態によれば、オフセットキャンセルの適用により、以下に記述されるように、“0”データ記憶ケースマージンと“1”データ記憶ケースマージンのアンバランスが抑制される。
【0086】
図11は、参考用の半導体記憶装置200のいくつかの要素の電位を時間に沿って示す。半導体記憶装置200では、半導体記憶装置100と同じく、プレート線PLの電位Vplは、Vddsa/2の大きさを有する。時刻t12からオフセットキャンセルが行われ、時刻t13からチャージシェアが行われる。オフセットキャンセルにより、チャージシェア後の選択ビット線BLの電位は低い。このため、選択ビット線BLは、“0”データ記憶ケースでは、或る大きさの電位VB0brを有し、“1”データ記憶ケースでは、或る大きさの電位VB1brを有する。よって、“1”データ記憶ケースマージンM1rbは、オフセットキャンセル無しの場合のマージンM1r(
図7を参照)より小さく、“0”データ記憶ケースマージンM0rbは、オフセットキャンセル無しの場合のマージンM0rより大きい。すなわち、“0”データ記憶ケースマージンM0rbと“1”データ記憶ケースマージンM1rbのアンバランス、すなわち差は、
図7のケースよりは小さい。しかしながら、“0”データ記憶ケースマージンM0rbと“1”データ記憶ケースマージンM1rbの差は依然大きい。
【0087】
第2実施形態によれば、オフセットキャンセルの適用により、“0”データ記憶ケースマージンM0bと“1”データ記憶ケースマージンM1bのアンバランスが抑制されることが可能である。
【0088】
第2実施形態によれば、電位生成回路18bを含み、電位生成回路18bは、プレート線PLの電位Vplbを、電位差Vddsaのオン抵抗Rp及びRnの比による分圧に等しい大きさに維持する。オン抵抗Rp及びRnの相違に起因して、オフセットキャンセルによる選択ビット線BL及び相補選択ビット線 ̄BLの電位の低下の量ΔV1及びΔV2も相違する。しかしながら、電位Vplbは、ちょうど、プリチャージ後の選択ビット線BLの電位と相補選択ビット線 ̄BLの電位の間の大きさを有する。このため、プレート線PLの電位に向かって上昇又は下降した結果として生じる“0”データ記憶ケースマージンM0rbと“1”データ記憶ケースマージンM1rbの差のアンバランスの抑制は、オン抵抗Rp及びRnの相違に依存する。すなわち、オン抵抗Rp及びRnの違いが反映された形での、“0”データ記憶ケースマージンM0rbと“1”データ記憶ケースマージンM1rbの差のアンバランスの抑制が可能である。
【0089】
2.4.変形例
図12は、第2実施形態の変形例の電位生成回路の構成要素及び構成要素の接続を示す。
図12に示されるように、変形例の電位生成回路18b2は、電位生成回路18bでの抵抗R1及びR2に代えて、それぞれ、p型のMOSFET TP21、及びn型のMOSFET TN21並びにTN22を含む。
【0090】
トランジスタTP21は、トランジスタTP1(及び(又は)TP2)と実質的に同じオン抵抗Rpを有する。そのために、例として、トランジスタTP21は、トランジスタTP1のゲート長及びゲート幅と実質的に同じゲート長及びゲート幅を有するとともに、トランジスタTP1のチャネル領域の不純物濃度と実質的に同じ不純物濃度を有することが可能である。
【0091】
トランジスタTP21は、電源電位VddsaのノードとノードN11との間に接続されている。トランジスタTP21は、ゲートにおいて、ノードN11と接続されており、ダイオード接続されている。
【0092】
トランジスタTN21は、トランジスタTN1(及び(又は)TN2)と実質的に同じオン抵抗Rnを有する。そのために、例として、トランジスタTN21は、トランジスタTN1のゲート長及びゲート幅と実質的に同じゲート長及びゲート幅を有するとともに、トランジスタTN1のチャネル領域の不純物濃度と実質的に同じ不純物濃度を有することが可能である。トランジスタTN21は、ノードN11と接地電位Vssのノードとの間に接続されている。
【0093】
トランジスタTN22は、ノードN11と、トランジスタTN21のゲートの間に接続されている。トランジスタTN22は、ゲートにおいて、信号OCを受け取る。信号OCがアサートされている間、トランジスタTN22がオンすることにより、トランジスタTN21はダイオード接続されている。
【0094】
変形例によれば、オフセットキャンセルの間、ノードN11の電位は、トランジスタTP21のオン抵抗とトランジスタTN21のオン抵抗に基づく大きさを有し、トランジスタTP21のオン抵抗及びTN21のオン抵抗は、それぞれ、トランジスタTP1のオン抵抗Rp及びトランジスタTN1のオン抵抗Rnと実質的に同じである。よって、オフセットキャンセルの間、プレート線PLの電位Vplbは、ビット線BLの電位と実質的に同じ大きさに維持される。この維持の精度は、ノードN11の電位を定めるトランジスタTP21及びTN21のそれぞれのオン抵抗が、ビット線BLの電位を定めるトランジスタTP1及びTN1のそれぞれのオン抵抗Rp及びRnと実質的に同じであるため、高い。
【0095】
3.第3実施形態
第3実施形態は、第1及び第2実施形態に基づき、電位生成回路18の点で、第1及び第2実施形態と異なる。以下、第1及び第2実施形態と異なる特徴が主に記述される。
【0096】
第3実施形態の電位生成回路18は、他の実施形態の電位生成回路18と異なる。以下、第3実施形態の電位生成回路18は、他の実施形態の電位生成回路18との区別のために、電位生成回路18cと称される場合がある。
【0097】
第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態のいずれにも適用されることが可能である。第3実施形態は、第2実施形態の変形例に適用されてもよい。
【0098】
図13は、第3実施形態の電位生成回路の構成要素及び構成要素の接続、並びに関連する構成要素を示す。
図13に示されるように、電位生成回路18cは、第1実施形態の電位生成回路18の構成及び第2実施形態の電位生成回路18bの構成に加えて、n型のMOSFET TN31を含む。
図13は、例として、第2実施形態がベースとして使用される場合の第3実施形態について示す。トランジスタTN31は、プレート線PLとビット線BLとの間に接続されている。トランジスタTN31は、ゲートにおいて、信号BLEQを受け取る。信号BLEQは、読出し回路17中の構成要素から供給される。信号BLEQは、例えば、信号OCと同じ論理レベルを有する。よって、オフセットキャンセルの間、トランジスタTN31によって、プレート線PLと選択ビット線BLが接続される。
【0099】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同じく、プレート線PLの電位Vplは、プリチャージ終了後の選択ビット線BL及び選択相補ビット線 ̄BLの電位に基づく大きさを有し、プリチャージ電位Vpcより低い。このため、第1実施形態の利点と同じ利点を得られる。
【0100】
また、第3実施形態によれば、電位生成回路18cは、プレート線PLとビット線BLとの間のトランジスタTN31を含み、トランジスタTN31はオフセットキャンセルの間、オンされる。よって、オフセットキャンセルの間、プレート線PLとビット線BLは接続される。このため、プレート線PLの電位Vplをビット線BLの電位と実質的に同じ大きさにする機能は、第1及び第2実施形態での機能より高い。よって、第1及び第2実施形態よりも、高い精度で、“0”データ記憶ケースマージンM0と“1”データ記憶ケースマージンM1のアンバランスが抑制されることが可能である。
【0101】
さらに、第3実施形態が第2実施形態をベースとすることにより、第2実施形態と同じく、オフセットキャンセルのための構成が設けられる。このため、第2実施形態と同じ利点を得られる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、11…メモリセルアレイ、12…入出力回路、13…制御回路、14…ロウ選択回路、15…カラム選択回路、16…書込み回路、17…読出し回路、18…電位生成回路、19…センスアンプ、MC…メモリセル、WL…ワード線、BL…ビット線、PL…プレート線、 ̄BL…相補ビット線、Vpc…プリチャージ電位、CT…トランジスタ、CC…セルキャパシタ、MCR…メモリセル、CTR…トランジスタ、SN…ストレージノード、SAC…センスアンプ回路、SAP…ノード、SAN…ノード、Vdd…電源電位、Vddsa…電源電位、Vss…接地電位、Vpl…電位