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特開2022-148870情報検索装置、情報検索方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148870
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】情報検索装置、情報検索方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/338 20190101AFI20220929BHJP
   G06F 16/9536 20190101ALI20220929BHJP
【FI】
G06F16/338
G06F16/9536
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050711
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 瞭
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA09
5B175HA02
5B175HB01
(57)【要約】
【課題】周囲に存在する他者の検索情報を有効に活用して、より検索効率を高める。
【解決手段】見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部22bと、通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部22dと、辞書記憶部22bから見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、辞書記憶部22bとともに共有検索履歴記憶部22dからも見出し語を抽出し、辞書記憶部22bから抽出された見出し語を検索候補表示部42に表示させ、共有検索履歴記憶部22dから抽出された見出し語を共有検索候補42Aとしてタッチパネル式表示部17で表示させる制御部21とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部と、
通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部と、
前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶部からも見出し語を抽出する見出し語抽出部と、
前記見出し語抽出部により前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶部から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御部と、
を備える情報検索装置。
【請求項2】
前記第1の表示制御部で表示させた複数の見出し語の中から選択された1つに対応して前記辞書記憶部から説明情報を読み出して第3の表示領域に表示させる第2の表示制御部と、
前記第2の表示制御部で説明情報を表示させた見出し語の情報を通信接続された前記他の情報検索装置に対して発信する発信部と、
をさらに備える、請求項1記載の情報検索装置。
【請求項3】
前記共有検索履歴記憶部は、予め設定したしきい値以上の数の前記他の情報検索装置と通信接続が可能である場合に、受信した前記見出し語の情報を記憶する、請求項1または2記載の情報検索装置。
【請求項4】
前記共有検索履歴記憶部は、所定の受信電波強度を満たす前記他の情報検索装置からの受信により取得した見出し語の情報を記憶する、請求項1乃至3いずれか一項記載の情報検索装置。
【請求項5】
前記共有検索履歴記憶部は、所定の識別情報を含む前記他の情報検索装置からの検索文字列の情報を記憶する、請求項1乃至4いずれか一項記載の情報検索装置。
【請求項6】
前記共有検索履歴記憶部は、予め設定された時間条件に従って記憶内容をクリアする、請求項1乃至5いずれか一項記載の情報検索装置。
【請求項7】
見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部を備える装置での情報検索方法であって、
通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶工程と、
前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶工程での記憶内容からも見出し語を抽出する見出し語抽出工程と、
前記見出し語抽出工程で前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶工程での記憶内容から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御工程と、
を有する情報検索方法。
【請求項8】
検索文字列とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部を備える装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、前記コンピュータを、
通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部と、
前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶部からも見出し語を抽出する見出し語抽出部と、
前記見出し語抽出部により前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶部から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子辞書等に好適な情報検索装置、情報検索方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
単語学習をより広く効果的に行える辞書機能を備えた電子辞書に関する技術が提案されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-179335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術を含めて、電子辞書において検索文字列検索を行なう場合、検索文字列として文字列が一文字ずつ入力される毎に検索候補を絞っていく通常の検索の他に、過去の検索履歴を参照して検索候補を予測する検索方法などが実用化されている。
【0005】
このうち、検索候補を予測する検索方法では、その電子辞書単体での過去の検索履歴が参照されるものであり、他者の所有する電子辞書等での検索結果が反映されることはない。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、周囲に存在する他者の検索情報を有効に活用して、より検索効率を高めることが可能な情報検索装置、情報検索方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部と、通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部と、前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶部からも見出し語を抽出する見出し語抽出部と、前記見出し語抽出部により前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶部から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周囲に存在する他者の検索情報を有効に活用して、より検索効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る電子辞書の外観構成を示す図。
図2】同実施形態に係る電子辞書の電子回路の機能構成を示すブロック図。
図3】同実施形態に係る周囲の他者と検索状況を共有するモード設定下での辞書検索の処理内容を示すフローチャート。
図4】同実施形態に係る[英英和辞典]選択時のタッチパネル式表示部の画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を電子辞書に適用した場合の一実施形態について、図面を参照して説明する。
[構成]
図1は、同実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す正面図である。なお、本実施形態は、以下に説明する電子辞書10として構成されるだけでなく、辞書機能を備えたタブレット型のPC(Personal Computer)、スマートフォン、電子ブック、携帯ゲーム機、通信ネットワーク上のサーバなどとしても構成され得る。
【0011】
電子辞書10は、その本体ケース11と蓋体ケース12とがヒンジ部13を介して展開/閉塞可能な折り畳み型ケースを備えて構成される。折り畳み型ケースを展開した本体ケース11の表面には、[ホーム]キー14a、機能指定キー14b、文字入力キー14c、[決定]キー14d、[戻る]キー14e、[BOX]キー14f、カーソル移動キー14g、[シフト]キー14hなどを含むキー入力部14(ハードウェアキー)、音声出力部(スピーカを含む)15および音声入力部(マイクロホンを含む)16、などが設けられる。
【0012】
また、蓋体ケース12の表面には、タッチパネル式表示部17が設けられる。タッチパネル式表示部17は、電子辞書10のユーザがペンや手指でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置とが一体となった構造であり、バックライト付の液晶画面に透明のタッチパネルを積層して構成される。
【0013】
キー入力部14の[ホーム]キー14aは、キー入力部14にホーム画面を表示させるためのキーである。特に図示されないが、本電子辞書10の初期設定あるいはユーザ操作に応じて登録された複数のアイコンが表示される。各アイコンは、当該アイコンの表記に対応する機能を実現するための図面や記号である。例えば、辞書コンテンツや学習コンテンツを利用する機能(アプリケーション)を直接起動させるアプリケーションアイコンや、1つのカテゴリに属する複数の機能のアイコンの一覧画面を表示させるグループアイコンを含む。
【0014】
キー入力部14の機能指定キー14bは、各キーに表記されている辞書コンテンツ([大辞林]など)、辞書コンテンツのカテゴリ([国語]、[古語]、[漢和]、[英英和]など)[コンテンツ一覧]やツールの1つのカテゴリ[学習帳]を、それぞれ直接指定するためのキーである。
【0015】
また、キー入力部14のキーは、[シフト]キー14hが操作された後に続けて操作されることで、そのキートップに枠囲みなしで表記されたキーとしてではなく、枠囲みして表記されたキーとして機能する。例えば、[シフト]キー14hの操作の後に[削除]キーが操作されると、[削除]キーではなく[設定]キーとして機能する。
【0016】
図1では、[英英和辞典]が選択され、タッチパネル式表示部17の上部に位置する検索文字列入力部41に、見出し語の先頭となる2文字[te]が入力された状態を例として示している。検索文字列入力部41の下部左側では、検索候補表示部42として文字列[te]に該当する一定数の英単語を表示しており、その先頭位置で英単語[Te]がカーソルCの付帯表記により、仮に選択状態となっている状態を示す。検索文字列入力部41下部右側のボックス表示部43では、その時点で選択状態となっている英単語[Te]に対応して、英英和辞書コンテンツに基づく説明情報の一部が表示されている状態を示す。
【0017】
図2は、電子辞書10の電子回路の機能構成を示すブロック図である。
電子辞書10の電子回路は、コンピュータである制御部(CPU:Central Processing Unit)21を備える。制御部21は、フラッシュROMなどの記憶部22に予め記憶された制御プログラムに従って回路各部の動作を制御する。CPU等のプロセッサは1つでも2つ以上でも良い。
【0018】
なお、制御プログラムおよび後述する辞書データの少なくとも一方は、メモリカードなどの外部記録媒体23から記録媒体読取部24により読み取られて記憶部22に記憶されても良いし、通信部25を介して外部の図示しないネットワーク上のウェブサーバ等からダウンロードされたものを記憶部22に記憶しても良い。
【0019】
制御部21には、データバスおよび制御バスを介して、記憶部22、記録媒体読取部24、通信部25を接続するほか、キー入力部14、音声出力部15、音声入力部16、タッチパネル式表示部17を接続する。
【0020】
記憶部22は、本電子辞書10の全体の動作を司るシステムプログラム、通信部25を介して外部の機器と通信接続するための通信プログラムのほか、検索処理プログラム記憶領域22a、辞書データ記憶領域22b、検索履歴記憶領域22c、共通検索履歴データベース22d、作業データ記憶領域22eなど、本電子辞書10により各種の機能を実行するためのプログラムやデータを記憶する記憶領域が確保される。
【0021】
検索処理プログラム記憶領域22aは、辞書データ記憶領域22bに辞書データとして記憶される各種の辞書コンテンツ(英英和辞典/英和辞典/和英辞典/英英辞典/国語辞典/百科事典/…)に基づいて、ユーザ所望の見出し語と当該見出し語に関連付けられた訳語、語義、用例、解説などの説明情報を検索して表示させるための制御プログラムなどを記憶する領域である。辞書データ記憶領域22bには、各種辞書コンテンツが記憶されており、見出し語と当該見出し語の説明情報が関連付けて記憶されている。即ち、辞書データ記憶領域22bは、見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部として機能する。
【0022】
検索履歴記憶領域22cには、本電子辞書10が単独で動作する際のユーザ操作に応じた検索に従い、見出し語とその説明情報が検索結果として表示される際に、検索対象とされた見出し語がその検索回数の情報とともに検索履歴として記憶される。
【0023】
共通検索履歴データベース22dは、本電子辞書10のユーザを含んで、外部の同様の電子辞書10で見出し語を選択し、その説明情報を表示させたことを共有する際に、後述する動作にしたがって、検索対象とされる見出し語をその検索回数の情報とともに検索履歴としてデータベース化して記憶する。即ち、共通検索履歴データベース22dは、通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部として機能する。
検索処理プログラム記憶領域22aは、辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、辞書記憶部とともに共有検索履歴記憶部からも見出し語を抽出する見出し語抽出部として機能する。
【0024】
作業データ記憶領域22eには、制御部21による制御プログラムに従った回路各部の動作の制御に伴い、ユーザ操作に応じて入力されたデータや制御部21により取得、あるいは生成されるなどした各種のデータが必要に応じて一時記憶(保持)される。
【0025】
通信部25は、例えば無線PAN(Personal Area Network)技術の1つであるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)規格に基づいて、周囲に存在する同様の電子辞書などの情報検索装置と無線接続する。
通信部25は、通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信する。さらに通信部25は、説明情報を表示させた見出し語の情報を、通信接続された他の情報検索装置に対して発信する発信部として機能する。
また通信部25は、無線ルータなどを介して外部の図示しないネットワーク上のウェブサーバ等と無線接続して、制御プログラムなどをダウンロードする。
【0026】
[動作]
次に本実施形態の動作について説明する。
本動作では、学校内の1つの教室において、電子辞書10を使用するユーザがクラスメイト達と検索履歴を共有することで、授業中に辞書検索を行なう際の検索効率を挙げるべく実行する場合を想定している。
【0027】
本実施形態では、電子辞書10で辞書検索を行うに当たって、周囲の他者と検索状況を共有するか否かのモードを選択可能とする。図1のタッチパネル式表示部17では、画面の上端右側で「周辺端末との通信/許可待機中」と示したように、周囲の他者と検索履歴を共有していないモードでの動作を示している。このモード下では、例えば、見出し語の先頭からの一部の文字列「te」が入力された時点での[決定]キー14dの操作に対応して、アルファベット順で検索候補を一定数表示する。
【0028】
また、このモード下で、さらに当該電子辞書10での検索履歴を使用する設定が選択されている場合には、検索履歴記憶領域22cに記憶される内容に基づいて、検索文字列の入力に対応した見出し語の検索候補を一定数表示する。
【0029】
タッチパネル式表示部17により「許可待機中」の文字列部分をユーザがタッチ操作することで、当該文字列部分の表示が「許可中」に切り替わるとともに、周囲の他者と検索履歴を共有するモードへと移行する。
【0030】
図3は、周囲の他者と検索履歴を共有するモード設定下で、制御部21が通信部25の機能をオンして実行する、辞書検索の処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
制御部21は、通信部25によるBLE(登録商標)規格に則ったブロードキャスト通信により、基本となるオブザーバ(受信デバイス)としての動作を開始させる(ステップS101)。
【0032】
オブザーバとしての動作の際、制御部21は電子辞書として動作中であることを示す、予め策定された電子辞書ビーコンを通信部25により受信し続ける。
【0033】
次に制御部21は、当該時点で周囲に存在する他の端末からの電子辞書ビーコンの受信数が予め設定したしきい値、例えば1学級の生徒数が35人であれば10以上、得られるか否かにより、共通検索履歴データベース22dに記憶する情報の信頼性を確保できているかどうかを判断する(ステップS102)。
【0034】
この電子辞書ビーコンの受信に際しては、ビーコンが隣の教室との間に存在する壁面を通過する際に電波強度が低下すると考えられることから、予め適切なしきい値以上のRSSI(受信信号強度)が得られるものに限定することで、同一の教室内に存在するクラスメイトの端末のみを選択してカウントできる。
【0035】
ステップS102において、電子辞書ビーコンの受信数が、予め設定したしきい値未満であると判断した場合(ステップS102のNO)、共通検索履歴データベース22dに記憶する情報の信頼性を確保できないものとして、共通検索履歴データベース22dの内容をリセットした上で(ステップS111)、ステップS102からの処理に戻る。
【0036】
またステップS102において、電子辞書ビーコンの受信数が、予め設定したしきい値以上であると判断した場合(ステップS102のYES)、共通検索履歴データベース22dに記憶する情報の信頼性は確保できているものとして、次に制御部21は、電子辞書10で検索文字列入力部41への入力された検索文字列に基づく検索を命令するキー入力部14の[決定]キー14dが操作されたか否かを判断する(ステップS103)。
【0037】
[決定]キー14dが操作されていないと判断した場合(ステップS103のNO)、次に制御部21は、受信している電子辞書ビーコンの中に、検索単語の情報が含まれているものが少なくとも1つあるか否かにより、周囲の他の端末で見出し語が選択され、その見出し語に対する説明情報ボックス表示部43で表示されて参照されたか否かを判断する(ステップS109)。
【0038】
検索単語の情報が含まれている電子辞書ビーコンの受信がないと判断した場合(ステップS109のNO)、周囲の他の端末では見出し語の選択がなされていないものとして、制御部21は、再びステップS102からの処理に戻る。
【0039】
こうして、電子辞書ビーコンの受信数が予め設定したしきい値以上ある動作環境下では、制御部21がステップS102、S103、S109の処理を繰り返し実行することで、当該電子辞書10で検索の命令がなされるか、検索単語の情報が含まれている電子辞書ビーコンの受信があるのを待機する。
【0040】
ステップS109において、受信している電子辞書ビーコンの中に、検索単語の情報が含まれているものが少なくとも1つあり、周囲の他の端末で見出し語が選択され、見出し語に対する説明情報が表示されて参照されたと判断した場合(ステップS109のYES)、制御部21は、含まれていた検索単語の情報を共通検索履歴データベース22dに格納するべく更新記憶させる(ステップS110)。このとき、格納しようとする検索単語の情報がすでに共通検索履歴データベース22dに記憶されていた場合には、当該検索単語に対応する受信数の情報を「+1」更新設定する。
【0041】
ステップS110で共通検索履歴データベース22dの更新記憶を終えた後、制御部21は、再びステップS102からの処理に戻る。
【0042】
またステップS103において、検索文字列入力部41に入力された検索文字列に基づく検索を命令する[決定]キー14dが操作されたと判断した場合(ステップS103のYES)、制御部21は、入力された検索文字列に基づいて辞書データ記憶領域22bと共有検索履歴データベース22dとを参照して見出し語を検索し、検索した結果として見出し語を一覧表示する(ステップS104)。
【0043】
図4は、[英英和辞典]が選択され、タッチパネル式表示部17の画面上部に位置する検索文字列入力部41に、見出し語の先頭となる2文字[te]が入力されて[決定]キー14dが操作された場合の表示状態を例として示している。同画面の上端右側では「周辺端末との通信/許可中」と示すように、周囲の他者と検索履歴を共有するモードを選択していることが表示される。この共有のモードが選択されている場合、周囲の他の端末においても、検索文字列の入力状態は端末毎に異なるものの、図4と同様の画面が表示されているものとする。
【0044】
検索文字列入力部41の下部左側では、検索候補表示部42として入力された文字列[te]に該当する英単語として、共通検索履歴データベース22dの内容に基づいた、共有の検索履歴の情報中で最も重複した受信数が多い順に、2つの英単語[tender][temporary]を共通検索候補表示部42A内で表示している。
【0045】
共通検索候補表示部42Aにおいては、より重複した受信数が多い、上段側の英単語[tender]に対して、仮に選択状態であることをカーソルCを付加して表示している。このカーソルCの位置に対応して、右側のボックス表示部43においても、英単語[tender]の意味に関する実際の辞書コンテンツに基づく詳細な説明を表示する。なお本図では、図面が煩雑となることを避けるべく、あえてボックス表示部43内での文言を大幅に省略した内容([※~tenderの意味~])で表現している。
即ち、制御部21は、見出し語抽出部により辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、共有検索履歴記憶部から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御部として機能する。
【0046】
また、共通検索候補表示部42Aの下部の検索候補表示部42においては、入力された検索文字列[te]に基づいて、辞書データ記憶領域22bに記憶される英英和辞書コンテンツを用いて検索した見出し語として、例えば6つの英単語[team][teem][telegram][term(1)][term(2)][terrorism]を表示している。
【0047】
このように、周囲の他の端末と検索履歴を共有するモードの設定下では、見出し語の先頭からの文字入力に対応して、周囲の端末ですでに検索された見出し語の中から検索された数が多いものから優先的に表示される。そのため、授業中などでは、同じ教室内に存在する周囲の他の端末で、検索操作が早い者により得られた検索結果をいち早く履歴として共有し、自己の電子辞書10での検索動作に活用することができる。
【0048】
制御部21では、見出し語の検索結果の一覧表示に対して、カーソル移動キー14gおよび[決定]キー14dにより、見出し語を選択して決定するキー操作を受付け、選択された見出し語に対応する詳細な説明情報をボックス表示部43で表示する(ステップS105)。
即ち、制御部21は、第1の表示制御部で表示させた複数の見出し語の中から選択された1つに対応して辞書記憶部から説明情報を読み出して第3の表示領域に表示させる第2の表示制御部として機能する。
【0049】
制御部21は、電子辞書10で選択された見出し語の情報を反映させるべく、共通検索履歴データベース22dの更新記憶を実行する(ステップS106)。
【0050】
加えて、一時的にブロードキャスト通信におけるオブザーバ(受信デバイス)動作を取り止めてブロードキャスタ(発信デバイス)動作に切り替え、ステップS105で選択した見出し語の情報を含む電子辞書ビーコンを周囲の端末に対して送信する(ステップS107)。周囲の端末においては、この電子辞書ビーコンを受信することにより、含まれている見出し語の情報を用いてそれぞれの共通検索履歴データベース22dの更新記憶を実行することになる。
【0051】
この送信動作に関して、見出し語の情報を含む電子辞書ビーコンを逐次送信するのではなく、検索履歴記憶領域22cに電子辞書10で検索した検索履歴が所定数蓄積した時点で、見出し語の情報を含む辞書ビーコンを送信するものとしても良い。
【0052】
その後、制御部21は、ブロードキャスト通信における一時的なブロードキャスタ動作を取り止め、オブザーバ(受信デバイス)動作に切り替えて復帰した上で(ステップS108)、再びステップS102からの処理に戻る。
【0053】
[実施形態の効果]
以上詳述した如く本実施形態によれば、周囲に存在する他者の検索情報を有効に活用して、より検索効率を高めることが可能となる。
【0054】
また本実施形態では、周囲の他者の端末から検索結果を受信し、履歴として記憶するのみならず、自己の電子辞書10で検索した中から選択した見出し語の情報結果を他者の端末に対して発信することで、相互に検索履歴を共有できる。
【0055】
さらに本実施形態では、通信可能な電子辞書ビーコンの数が予め設定したしきい値以上ある場合にのみ、周囲の他者の端末から受信した検索結果を共通検索履歴データベース22dに記憶するものとしたので、共有する検索履歴の情報の信頼性を確保できる。
【0056】
加えて本実施形態では、所定の受信電波強度を満たす周囲の他者の端末を有効としたので、特に学校の教室など、空間的に分離された領域内を限定する場合などに、それ以外の領域との区分が容易で動作を制御し易くなる。
【0057】
また本実施形態では示さなかったが、例えば電子辞書10が発信する電子辞書ビーコンのヘッダ部分に、授業などでその都度与えられる識別情報を添付し、同一の識別情報を有する電子辞書ビーコンの受信のみを有効と判断して動作するようにすれば、同一空間内でもやり取りする情報が錯綜することなく、グループ分けして個別の種類の情報を利用できる。
【0058】
さらに、共通検索履歴データベース22dに記憶する情報に関して、例えば授業の1時間分に相当する時間が経過すると、自動的にクリアするような時限制御を行うことも考えられる。このような比較的短時間で共通検索履歴データベース22dの記憶内容をクリアすることで、授業の遷移に対応してその都度適切な見出し語の検索が実現できる。
【0059】
またこれとは反対に、例えば共通検索履歴データベース22dに記憶する情報を、比較的長期、例えば1年程度蓄積しながら保持するものとしてもよい。この場合、共通検索履歴データベース22dの記憶内容を他者の端末に転送できるようにすれば、他のクラスや学年で蓄積された検索履歴の情報を継承することができ、より検索効率を高めることが可能となる。
【0060】
なお本実施形態では、見出し語の一部を少なくとも1文字入力した時点で、対応する見出し語の候補を表示するものとして説明したが、検索文字列の入力を行う以前の時点においても、共通検索履歴データベース22dに記憶している検索単語の情報中から、対応する受信数の数値が最も高いものから順次一定数を候補として表示するような動作としても良い。このような動作とした場合、文字入力しない状態でも所望する見出し語が候補中に現出する可能性があり、より検索効率を高めることができる。
【0061】
その他、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0062】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部と、
通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部と、
前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶部からも見出し語を抽出する見出し語抽出部と、
前記見出し語抽出部により前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶部から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御部と、
を備える情報検索装置。
[請求項2]
前記第1の表示制御部で表示させた複数の見出し語の中から選択された1つに対応して前記辞書記憶部から説明情報を読み出して第3の表示領域に表示させる第2の表示制御部と、
前記第2の表示制御部で説明情報を表示させた見出し語の情報を通信接続された前記他の情報検索装置に対して発信する発信部と、
をさらに備える、請求項1記載の情報検索装置。
[請求項3]
前記共有検索履歴記憶部は、予め設定したしきい値以上の数の前記他の情報検索装置と通信接続が可能である場合に、受信した前記見出し語の情報を記憶する、請求項1または2記載の情報検索装置。
[請求項4]
前記共有検索履歴記憶部は、所定の受信電波強度を満たす前記他の情報検索装置からの受信により取得した見出し語の情報を記憶する、請求項1乃至3いずれか一項記載の情報検索装置。
[請求項5]
前記共有検索履歴記憶部は、所定の識別情報を含む前記他の情報検索装置からの検索文字列の情報を記憶する、請求項1乃至4いずれか一項記載の情報検索装置。
[請求項6]
前記共有検索履歴記憶部は、予め設定された時間条件に従って記憶内容をクリアする、請求項1乃至5いずれか一項記載の情報検索装置。
[請求項7]
見出し語とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部を備える装置での情報検索方法であって、
通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶工程と、
前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶工程での記憶内容からも見出し語を抽出する見出し語抽出工程と、
前記見出し語抽出工程で前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶工程での記憶内容から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御工程と、
を有する情報検索方法。
[請求項8]
検索文字列とその説明情報を関連付けて記憶した辞書記憶部を備える装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、前記コンピュータを、
通信接続された他の情報検索装置において、ユーザ操作により説明情報が参照された見出し語の情報を受信して記憶する共有検索履歴記憶部と、
前記辞書記憶部から見出し語を検索するためのキーとして少なくとも一文字が入力された場合に、当該少なくとも一文字に基づいて、前記辞書記憶部とともに前記共有検索履歴記憶部からも見出し語を抽出する見出し語抽出部と、
前記見出し語抽出部により前記辞書記憶部から抽出された見出し語を第1の表示領域に表示させ、前記共有検索履歴記憶部から抽出された見出し語を第2の表示領域に表示させる第1の表示制御部と、
して機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0063】
10…電子辞書
11…本体ケース
12…蓋体ケース
13…ヒンジ部
14…キー入力部
14a…[ホーム]キー
14b…機能指定キー
14c…文字入力キー
14d…[決定]キー
14e…[戻る]キー
14f…[BOX]キー
14g…カーソル移動キー
14h…[シフト]キー
15…音声出力部
16…音声入力部
17…タッチパネル式表示部
21…制御部(CPU)
22…記憶部
22a…検索処理プログラム記憶領域
22b…辞書データ記憶領域
22c…検索履歴記憶領域
22d…共通検索履歴データベース
22e…作業データ記憶領域
23…外部記録媒体
24…記録媒体読取部
25…通信部
41…検索文字列入力部
42…検索候補表示部
42A…共有検索候補
43…ボックス表示部
C…カーソル
図1
図2
図3
図4