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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148890
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】計測装置、電動装置および計測方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 25/00 20060101AFI20220929BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20220929BHJP
   G01M 13/028 20190101ALI20220929BHJP
【FI】
G08C25/00 B
G08C17/00 Z
G01M13/028
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050743
(22)【出願日】2021-03-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】柳野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 知之
【テーマコード(参考)】
2F073
2G024
【Fターム(参考)】
2F073AA12
2F073AA28
2F073AA29
2F073AA31
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE11
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
2G024AB00
2G024BA12
2G024BA21
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA06
2G024FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】計測データの送信時の配線ノイズを抑制しつつ、計測データの送信に用いられる電源の供給の安定化を図る。
【解決手段】一態様に係る計測装置によれば、可動体16に設けられ、可動体の状態を計測する計測部と、可動体に設けられ、計測部で計測された計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する送信部と、計測部と送信部を含むセンサモジュール18に有線で電源を供給する給電部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体の運動によって前記可動体と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記可動体の状態を計測する計測部と、
前記計測部と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記計測部で計測された計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する送信部と、
前記計測部および前記送信部に有線で電源を供給する給電部とを備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記計測部および前記送信部は、前記可動体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記可動体に設けられ、前記計測部で計測された計測結果に基づいて前記送信データを生成するマイクロコンピュータをさらに備え、
前記給電部は、前記マイクロコンピュータに有線で電源を供給することを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記計測部は、前記可動体の振動を計測する振動センサであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記給電部は、前記可動体の移動に伴って移動するアクチュエータに有線で電源を供給し、前記アクチュエータに供給される電源を前記計測部および前記送信部に有線で分配することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項6】
前記可動体と前記アクチュエータとの相対位置は不変であることを特徴とする請求項5に記載の計測装置。
【請求項7】
前記給電部は、
前記アクチュエータに設けられ、外部から供給される電力を前記アクチュエータに供給するとともに、前記計測部および前記送信部に分配する端子台と、
前記可動体に設けられ、前記計測部および前記送信部に分配される電力を変換する電力変換部とを備えることを特徴とする請求項5または6に記載の計測装置。
【請求項8】
前記端子台と前記電力変換部との間の第1電源配線は前記端子台と前記電力変換との間で固定され、
前記端子台と前記アクチュエータとの間の第2電源配線は前記端子台と前記アクチュエータとの間で固定され、
前記外部から前記端子台に至る第3電源配線は前記端子台に対して可動であることを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
前記可動体は、案内軸に沿って直動運動するナットであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項10】
前記可動体は、回転軸の周りに回転運動するアームであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項11】
可動体を有する第1アクチュエータと、
前記可動体の移動に伴って移動する第2アクチュエータと、
前記可動体の運動によって前記可動体と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記可動体の状態を計測する計測部と、
前記計測部と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記計測部で計測された計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する送信部と、
前記送信部から送信された送信データを無線で受信する受信部と、
前記第2アクチュエータ、前記計測部および前記送信部に有線で電源を供給する給電部とを備えることを特徴とする電動装置。
【請求項12】
前記計測部および前記送信部は、前記可動体に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の電動装置。
【請求項13】
前記第1アクチュエータは、
前記可動体であるナットと、前記ナットを直動運動させる案内軸が設けられた直動装置と、
前記案内軸を回転させる第1モータとを備えることを特徴とする請求項11または12に記載の電動装置。
【請求項14】
前記第2アクチュエータは、回転軸の周りに回転可能なアームを備え、
前記第1アクチュエータは、前記回転軸の周りに前記アームを回転させる第2モータとを備えることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の電動装置。
【請求項15】
可動体の状態を計測するステップと、
前記可動体の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信するステップと、
前記計測および前記送信に用いられる電源を有線で供給するステップとを備えることを特徴とする計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、電動装置および計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械などの可動部を運動させるため、ボールねじ、リニアガイド、軸受およびモータなどの可動部品が搭載されることがある。工作機械などの可動部の運動に伴って、可動部品に発熱、摩耗および損傷などが発生し、工作機械の動作に支障をきたすことがある。このため、可動部品の状態を計測するセンサを可動部品に搭載し、可動部品の状態を監視することがある。
【0003】
特許文献1には、ボールねじのナットに取り付けた振動センサからの振動波形を出力する異常検出装置が開示されている。
特許文献2には、無線送信機の電源として電池が搭載されるときの電池寿命の管理を不要とするために、オン・オフスイッチの開閉をヘッド側誘導コイルと本体側誘導コイルとの間の相互誘導によるインピーダンス変化として検出し、本体側に非接触で伝達する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04-62450号公報
【特許文献2】特開平09-262744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の異常検出装置では、振動センサの検出値を有線で送信すると、信号線の配線に伴う摩擦帯電ノイズおよび電磁ノイズが発生することがある。
また、特許文献2に開示の技術では、オン・オフスイッチの開閉を本体側に非接触で伝達できるが、計測データの送信に用いられる電源を安定して供給することができない。
そこで、本発明は、計測データの送信時の配線ノイズを抑制しつつ、計測データの送信に用いられる電源の供給の安定化を図ることが可能な計測装置、電動装置および計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一態様に係る計測装置によれば、可動体の運動によって前記可動体と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記可動体の状態を計測する計測部と、前記計測部と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記計測部で計測された計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する送信部と、前記計測部および前記送信部に有線で電源を供給する給電部とを備える。
【0007】
これにより、信号線の配線に伴うノイズを抑制しつつ、可動体の状態に関する計測データを送信することが可能となるとともに、計測データの送信に用いられる電源を有線で供給することが可能となる。このため、計測データの送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、可動体の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0008】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記計測部および前記送信部は、前記可動体に設けられている。
【0009】
これにより、計測部は、可動体の状態を効率よく計測することが可能となり、可動体の状態の計測精度を向上させることができる。
【0010】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記可動体に設けられ、前記計測部で計測された計測結果に基づいて前記送信データを生成するマイクロコンピュータをさらに備え、前記給電部は、前記マイクロコンピュータに有線で電源を供給する。
【0011】
これにより、計測データの処理に用いられる電源の供給の安定化を図ることが可能となるとともに、計測データの宛先情報を送信データに付加したり、計測データの圧縮化および暗号化などの処理を行ってから、計測データを送信することができ、データ送信の効率性および安全性を向上させることができる。
【0012】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記計測部は、前記可動体の振動を計測する振動センサである。
【0013】
これにより、可動体の運動に支障をきたすことなく、可動体の状態を診断することが可能となり、可動体の摩耗および損傷などの発生を監視することができる。
【0014】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記給電部は、前記可動体の移動に伴って移動するに有線で電源を供給し、前記アクチュエータに供給される電源を前記計測部および前記送信部に有線で分配する。
【0015】
これにより、外部からアクチュエータに接続される電源線を介して送信部に電源を供給することができ、外部から計測部および送信部に供給される電源を別途設ける必要がなくなる。このため、計測データの送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、計測部および送信部の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができる。
【0016】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記可動体と前記アクチュエータとの相対位置は不変である。
【0017】
これにより、可動体の移動に伴ってアクチュエータが移動する場合においても、可動体とアクチュエータとの間において、計測部および送信部に電源を供給する電源線を固定することができる。このため、計測部および送信部に有線で電源を供給した場合においても、可動体とアクチュエータとの間における電源線の配線長を短くすることを可能としつつ、可動体とアクチュエータとの間における電源線の断線を防止することができる。
【0018】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記給電部は、前記アクチュエータに設けられ、外部から供給される電力を前記アクチュエータに供給するとともに、前記計測部および前記送信部に分配する端子台と、前記可動体に設けられ、前記計測部および前記送信部に分配される電力を変換する電力変換部とを備える。
【0019】
これにより、アクチュエータに供給される電源の設計変更を伴うことなく、計測部および送信部への給電に適した仕様で計測部および送信部に電力を供給することができる。
【0020】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記端子台と前記電力変換との間の第1電源配線は前記端子台と前記電力変換部との間で固定され、前記端子台と前記アクチュエータとの間の第2電源配線は前記端子台と前記アクチュエータとの間で固定され、前記外部から前記端子台に至る第3電源配線は前記端子台に対して可動である。
【0021】
これにより、可動体の移動に伴ってアクチュエータが移動する場合においても、可動体およびアクチュエータの移動に支障をきたすことなく、可動体およびアクチュエータのそれぞれに適した仕様に対応しつつ、可動体およびアクチュエータに有線で電源を供給することが可能となる。
【0022】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記可動体は、案内軸に沿って直動運動するナットである。
【0023】
これにより、ナットの状態を計測し、その計測結果の送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、その計測結果を無線で送信することが可能となる。このため、計測データの計測および送信に用いられる電源の監視にかかる手間を軽減しつつ、直動運動するナットの摩耗および損傷などの監視精度の低下を抑制することができる。
【0024】
また、一態様に係る計測装置によれば、前記可動体は、回転軸の周りに回転運動するアームである。
【0025】
これにより、アームの状態を計測し、その計測結果の送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、その計測結果を無線で送信することが可能となる。このため、計測データの計測および送信に用いられる電源の監視にかかる手間を軽減しつつ、回転運動するアームの摩耗および損傷などの監視精度の低下を抑制することができる。
【0026】
また、一態様に係る電動装置によれば、可動体を有する第1アクチュエータと、前記可動体の移動に伴って移動する第2アクチュエータと、前記可動体の運動によって前記可動体と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記可動体の状態を計測する計測部と、前記計測部と相対位置が変化しない位置に設けられ、前記計測部で計測された計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する送信部と、前記送信部から送信された送信データを無線で受信する受信部と、前記第2アクチュエータ、前記計測部および前記送信部に有線で電源を供給する給電部とを備える。
【0027】
これにより、第1アクチュエータの可動体を介して第2アクチュエータを駆動しつつ、第2アクチュエータに有線で供給される電源から、計測部および送信部の電源を有線で供給することが可能となるとともに、可動体の状態に関する計測データを無線で送信することが可能となる。このため、計測データの計測および送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、可動体の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0028】
また、一態様に係る電動装置によれば、前記計測部および前記送信部は、前記可動体に設けられている。
【0029】
これにより、計測部は、可動体の状態を効率よく計測することが可能となり、可動体の状態の計測精度を向上させることができる。
【0030】
また、一態様に係る電動装置によれば、前記第1アクチュエータは、前記可動体であるナットと、前記ナットを直動運動させる案内軸が設けられた直動装置と、前記案内軸を回転させる第1モータとを備える。
【0031】
これにより、第1アクチュエータに設けられたナットを介して第2アクチュエータを直動運動させつつ、第2アクチュエータに有線で供給される電源から、当該ナットに設けられた計測部および送信部の電源を有線で供給することが可能となるとともに、ナットの状態に関する計測データを無線で送信することが可能となる。このため、計測データの計測および送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、直動装置の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0032】
また、一態様に係る電動装置によれば、前記第2アクチュエータは、回転軸の周りに回転可能なアームを備え、前記第1アクチュエータは、前記回転軸の周りに前記アームを回転させる第2モータとを備える。
【0033】
これにより、第1アクチュエータに設けられた第2モータを介して第2アクチュエータに設けられたアームを回転運動させつつ、第1アクチュエータに有線で供給される電源から、アームに設けられた計測部および送信部の電源を有線で供給することが可能となるとともに、アームの状態に関する計測データを無線で送信することが可能となる。このため、計測データの計測および送信に用いられる電源の供給の安定化を図りつつ、アームの状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0034】
また、一態様に係る計測方法によれば、可動体の状態を計測するステップと、前記可動体の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信するステップと、前記計測および前記送信に用いられる電源を有線で供給するステップとを備える。
【0035】
これにより、計測データの送信時の配線ノイズを抑制しつつ、計測データの送信に用いられる電源の供給の安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一つの態様によれば、計測データの送信時の配線ノイズを抑制しつつ、計測データの送信に用いられる電源の供給の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施形態に係る電動装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1のコラムおよびスライダの可動部の概略構成を示す斜視図である。
図3図3は、図2のR1部分の詳細な構成を示す斜視図である。
図4図4は、図2のR2部分の詳細な構成を示す斜視図である。
図5図5は、図3の構成を示すブロック図である。
図6図6は、図5の構成をY軸方向から見た矢視図である。
図7図7は、図5のセンサモジュールの構成を示すブロック図である。
図8図8は、第2実施形態に係る電動装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。
【0039】
図1は、第1実施形態に係る電動装置の概略構成を示す斜視図である。
図1において、工作機械1は、例えば、X軸、Y軸およびZ軸の3軸加工機である。工作機械1は、基台2、案内部3、テーブル4、コラム5、スライダ6およびヘッド7を備える。基台2上には、案内部3およびコラム5が設置される。案内部3上には、テーブル4が設置される。案内部3は、Y軸に沿って移動可能にテーブル4を案内する。コラム5は、テーブル4の上方にスライダ6を支持し、X軸に沿って移動可能にスライダ6を案内する。スライダ6は、Z軸に沿って移動可能にヘッド7を案内する。ヘッド7は、テーブル4上に設置されたワークに加工を施す。この加工は、工具を用いた穴あけ加工または切削加工でもよいし、放電加工でもよいし、レーザ加工でもよいし、3Dプリントでもよい。
【0040】
テーブル4を駆動するために、基台2には、不図示のY軸モータおよびY軸ボールネジが設けられる。Y軸ボールネジのねじ軸はY軸に沿って配置される。Y軸ボールネジのナットは、テーブル4に固定される。そして、Y軸モータを回転させることで、Y軸ボールネジのねじ軸が回転し、ねじ軸の回転がナットの直動運動に変換されることで、テーブル4がY軸に沿って移動する。
【0041】
スライダ6を駆動するために、コラム5には、不図示のX軸モータおよびX軸ボールネジが設けられる。X軸ボールネジのねじ軸はX軸に沿って配置される。X軸ボールネジのナットは、スライダ6に固定される。そして、X軸モータを回転させることで、X軸ボールネジのねじ軸が回転し、ねじ軸の回転がナットの直動運動に変換されることで、スライダ6がX軸に沿って移動する。
【0042】
ヘッド7を駆動するために、スライダ6には、不図示のZ軸モータおよびZ軸ボールネジが設けられる。Z軸ボールネジのねじ軸はZ軸に沿って配置される。Z軸ボールネジのナットは、ヘッド7に固定される。そして、Z軸モータを回転させることで、Z軸ボールネジのねじ軸が回転し、ねじ軸の回転がナットの直動運動に変換されることで、ヘッド7がZ軸に沿って移動する。
【0043】
このとき、スライダ6には、Z軸モータを動作させるための電源が外部から供給される。外部からスライダ6に電源を供給するために、スライダ6には、外部電源線19cが引き込まれる。このとき、スライダ6は、X軸に沿って移動可能であるため、外部電源線19Cも移動可能である。外部電源線19Cを移動自在に保護するため、ケーブルベアを用いてもよい。
【0044】
ヘッド7には、ワークを加工するために、加工用モータ、放電装置またはレーザ光源などが設置される。このとき、ヘッド7には、モータ、放電装置またはレーザ光源を動作させるための電源が外部から供給される。外部からヘッド7に電源を供給するために、ヘッド7には、外部電源線29cが引き込まれる。このとき、ヘッド7は、Z軸に沿って移動可能であるため、外部電源線29Cも移動可能である。外部電源線29Cを移動自在に保護するため、ケーブルベアを用いてもよい。
【0045】
図2は、図1のコラムおよびスライダの可動部の概略構成を示す斜視図、図3は、図2のR1部分の詳細な構成を示す斜視図、図4は、図2のR2部分の詳細な構成を示す斜視図、図5は、図3の構成を示すブロック図、図6は、図5の構成をY軸方向から見た矢視図である。
【0046】
図2および図3において、コラム5は、ベース11、X軸モータ12、端子台13、カップリング14、ねじ軸15、ナット16、軸受17A、17Bおよびセンサモジュール18を備える。
ベース11は、X軸に沿うようにねじ軸15を支持する。このとき、ねじ軸15は、軸受17A、17Bを介して回転自在に支持される。
【0047】
また、ベース11上には、X軸モータ12および端子台13が配置される。X軸モータ12は、X軸モータ12の回転軸がねじ軸15と同一直線上にくるように配置される。X軸モータ12の回転軸は、カップリング14を介してねじ軸15に結合される。端子台13は、X軸モータ12に隣接して配置される。
【0048】
ナット16は、ねじ軸15のX軸回りの回転運動をX軸方向の直動運動に変換する。ナット16は、ベース21に固定される。このとき、ベース21は、ナット16のX軸方向の直動運動に伴ってX軸方向に直動運動する。例えば、ナット16には、センサモジュール18が装着される。ここで、センサモジュール18にナット16を装着することにより、センサモジュール18は、ナット16の状態を効率よく計測することが可能となり、ナット16の状態の計測精度を向上させることができる。なお、センサモジュール18の装着位置は、必ずしもナット16に限定されることなく、ナット16の運動によってセンサモジュール18と端子台23の相対位置が変わらない位置であればよく、例えば、ベース21であってもよい。センサモジュール18は、ナット16の直動運動の妨げにならない位置に配置される。センサモジュール18は、ナット16にねじ止めしてもよいし、ナット16に貼り付けてもよいし、ナット16に埋め込まれてよいし、樹脂のポッティングによりナット16に固定されてもよい。センサモジュール18は、ナット16の状態を計測し、ナット16の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する。ナット16の状態は、ナット16の運動時または制動時に発する振動であってもよいし、ナット16の運動時または制動時に発する音響であってもよいし、ナット16の運動時または制動時の発熱であってもよい。
【0049】
センサモジュール18と離れた位置には、受信機41が設置される。受信機41は、センサモジュール18から送信された送信データを受信する。ここで、受信機41の受信結果に基づいて、ナット16の状態を診断することにより、ねじ軸15またはナット16などの摩耗または損傷を検知したり、ナット16の制動時の振動が小さくなるようにX軸モータ12の回転(角速度または各加速度)を制御したりすることができる。
【0050】
図2および図4において、スライダ6は、ベース21、Z軸モータ22、端子台23、カップリング24、ねじ軸25、ナット26、軸受27A、27Bおよびセンサモジュール28を備える。
ベース21は、Z軸に沿うようにねじ軸25を支持する。このとき、ねじ軸25は、軸受27A、27Bを介して回転自在に支持される。
【0051】
また、ベース21上には、X軸モータ22および端子台23が配置される。Z軸モータ22は、Z軸モータ22の回転軸がねじ軸25と同一直線上にくるように配置される。Z軸モータ22の回転軸は、カップリング24を介してねじ軸25に結合される。端子台23は、Z軸モータ22に隣接して配置される。
【0052】
ナット26は、ねじ軸25のZ軸回りの回転運動をZ軸方向の直動運動に変換する。ナット26は、モータボックス31に固定される。このとき、モータボックス31は、ナット26のZ軸方向の直動運動に伴ってZ軸方向に直動運動する。ナット26には、センサモジュール28が装着される。センサモジュール28は、ナット26の直動運動の妨げにならない位置に配置される。センサモジュール28は、ナット26にねじ止めしてもよいし、ナット26に貼り付けてもよいし、ナット26に埋め込まれてもよいし、樹脂のポッティングによりナット26に固定されてもよい。センサモジュール28は、ナット26の状態を計測し、ナット26の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する。ナット26の状態は、ナット26の運動時または制動時に発する振動であってもよいし、ナット26の運動時または制動時に発する音響であってもよいし、ナット26の運動時または制動時の発熱であってもよい。
【0053】
ヘッド7は、モータボックス31を備える。モータボックス31には、不図示の加工用モータおよび端子台が収容される。加工用モータは、図1のテーブル4上に設置されたワークの加工に用いられる。
【0054】
センサモジュール28と離れた位置には、受信機42が設置される。受信機42は、センサモジュール28から送信された送信データを受信する。ここで、受信機42の受信結果に基づいて、ナット26の状態を診断することにより、ねじ軸25またはナット26などの摩耗または損傷を検知したり、ナット26の制動時の振動が小さくなるようにZ軸モータ22の回転(角速度および角加速度)を制御したりすることができる。
【0055】
ここで、図3図5および図6に示すように、端子台23には、外部から外部電源線19Cが引き込まれている。また、端子台23からは、モータ電源線19Bが引き出され、Z軸モータ22に接続される。モータ電源線19Bは、Z軸モータ22に有線で電源を供給する。さらに、端子台23からは、センサ電源線19Aが引き出され、センサモジュール18に接続される。センサ電源線19Aは、センサモジュール18に有線で電源を供給する。このとき、外部電源線19Cからは、モータ電源線19Bとセンサ電源線19Aを並列に引き出すことができる。そして、外部電源線19Cを介して供給された電源は、モータ電源線19Bを介してZ軸モータ22に供給されるとともに、センサ電源線19Aに分配され、センサモジュール18に供給される。
【0056】
なお、図5および図6では、ナット16は、端子台23が設置されるベース21の面と反対側の面に固定される場合を例にとった。この場合、端子台23から引き出されたセンサ電源線19Aを、ナット26に装着されたセンサモジュール18に接続するため、センサ電源線19Aを通す開口部21Aをベース21に設けてもよい。なお、端子台23の位置は、図5および図6の例に限定されることなく、例えば、ナット26が固定される面上に存在してもよいし、ベース21の側面に存在してもよい。
【0057】
ここで、ベース21は、ナット16のX軸方向の直動運動に伴ってX軸方向に直動運動する。このとき、端子台23はベース21に固定され、センサモジュール18はナット16に固定されているため、端子台23とセンサモジュール18との相対位置は変化しない。従って、端子台23とセンサモジュール18との間において、センサ電源線19Aを固定することができ、センサ電源線19Aの配線長を短くすることを可能としつつ、センサ電源線19Aの断線を防止することができる。
また、Z軸モータ22に有線で電源を供給する外部電源線19Cを介してセンサモジュール18に有線で電源を供給することができ、センサモジュール18に有線で電源を供給するために、Z軸モータ22に外部から電源を供給する外部電源とは別個に、センサモジュール18に外部から電源を供給する外部電源を設ける必要がなくなる。このため、センサモジュール18に用いられる電源の供給の安定化を図ることができ、センサモジュール18の電源の監視にかかる手間を軽減することが可能となるとともに、センサモジュール18の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができ、センサモジュール18の設置を容易化することができる。
さらに、ナット16の状態に関する計測データをセンサモジュール18から無線で受信機41に送信することにより、計測データの送信時の信号線の配線に伴う摩擦帯電ノイズおよび電磁ノイズを抑制することが可能となり、ナット16の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0058】
また、図4に示すように、モータボックス31内の端子台には、外部から外部電源線29Cが引き込まれている。また、モータボックス31内の端子台からは、不図示のモータ電源線が引き出され、加工用モータに接続される。さらに、モータボックス31内の端子台からは、センサ電源線29Aが引き出され、センサモジュール28に接続される。センサ電源線29Aは、センサモジュール28に有線で電源を供給する。
【0059】
ここで、モータボックス31は、ナット26のZ軸方向の直動運動に伴ってZ軸方向に直動運動する。このとき、センサ電源線29Aが引き出される端子台はモータボックス31に固定され、センサモジュール28はナット26に固定されているため、センサ電源線29Aが引き出される端子台とセンサモジュール28との相対位置は変化しない。従って、センサ電源線29Aが引き出される端子台とセンサモジュール28との間において、センサ電源線29Aを固定することができ、センサ電源線29Aの配線長を短くすることを可能としつつ、センサ電源線29Aの断線を防止することができる。
また、モータボックス31内の加工用モータに有線で電源を供給する外部電源線29Cを介してセンサモジュール28に有線で電源を供給することができ、センサモジュール28に有線で電源を供給するために、加工用モータに外部から電源を供給する外部電源とは別個に、センサモジュール28に外部から電源を供給する外部電源を設ける必要がなくなる。このため、センサモジュール28に用いられる電源の供給の安定化を図ることができ、センサモジュール28の電源の監視にかかる手間を軽減することが可能となるとともに、センサモジュール28の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができ、センサモジュール28の設置を容易化することができる。
さらに、ナット26の状態に関する計測データをセンサモジュール28から無線で受信機42に送信することにより、計測データの送信時の信号線の配線に伴う摩擦帯電ノイズおよび電磁ノイズを抑制することが可能となり、ナット26の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0060】
図7は、図5のセンサモジュールの構成を示すブロック図である。なお、図7では、図5のセンサモジュール18を例にとったが、図4のセンサモジュール28についても同様に構成することができる。また、図7では、Z軸モータ22が直流モータである場合を例にとる。
【0061】
図7において、センサモジュール18は、DCDCコンバータ51、加速度センサ52、マイクロコンピュータ(マイコンとも言う)53および無線モジュール54を備える。DCDCコンバータ51は、外部から供給される電力を加速度センサ52、マイコン53および無線モジュール54に供給可能な電力に変換する。加速度センサ52は、ナット16にかかる加速度を計測する。加速度センサ52は、例えば、振動センサとして用いることができる。マイコン53は、加速度センサ52で計測された計測データに基づいて送信データを生成する。このとき、マイコン53は、計測データの宛先情報を送信データに付加したり、計測データの圧縮化および暗号化などの処理を行ってもよい。また、マイコン53は、加速度センサ52で計測された計測データから振動成分を抽出し、その振動成分(例えば、振幅、周波数および位相)を送信データとして生成してもよい。マイコン53は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を備える。このとき、マイコン53の機能を提供するためのプログラムがROMに記憶される。そして、そのプログラムをRAMに読み出してCPUが実行することによりマイコン53の機能が実現される。無線モジュール54は、マイコン53から出力された送信データを無線周波数帯に変換し、送信データを無線で送信する。
【0062】
センサモジュール18は、ナット16に装着され、ナット16は、テーブル21に固定される。テーブル21上には、Z軸モータ22および端子台23が設けられる。
外部電源線19Cを介して供給される電源は、端子台23を介してモータ電源線19Bおよびセンサ電源線19Aに分配される。このとき、Z軸モータ22には、モータ電源線19Bを介して電源が供給され、センサモジュール18には、センサ電源線19Aを介して電源が供給される。
【0063】
そして、X軸モータ12の回転に伴ってねじ軸15がX軸周りに回転し、ねじ軸15のX軸周りの回転運動がナット16のX軸方向の直動運動に変換される。ナット16のX軸方向の直動運動に伴って、テーブル21がZ軸モータ22および端子台23とともにX軸方向に直動運動する。このため、端子台23がX軸方向に直動運動しても、ナット16に装着されたセンサモジュール18と、端子台23との相対位置は変化しない。このとき、センサ電源線19Aを介して供給された電源は、DCDCコンバータ51を介して電力変換された後、加速度センサ52、マイコン53および無線モジュール54に供給される。
【0064】
ここで、センサモジュール18には、センサ電源線19Aを介して有線で電源が供給されるとともに、センサ電源線19Aは、センサモジュール18および端子台23に対して固定することが可能となり、センサ電源線19Aの配線長を短くしつつ、センサ電源線19Aの断線を防止することが可能となる。このため、図1の工作機械1の稼働中に電源切れおよび電圧不安定などが発生せず、センサモジュール18への電源供給の安定化を図ることができる。
また、センサモジュール18に電源を供給するために、端子台23からセンサ電源線19Aを引き出し、センサモジュール18に接続すればよい。このため、センサモジュール18の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができ、センサモジュール18の動作の安定性を確保しつつ、センサモジュール18の設置の容易化を図ることができる。
【0065】
なお、図7では、Z軸モータ22が直流モータである場合を例にとったが、Z軸モータ22は交流モータであってもよい。このとき、電力変換器として、DCDCコンバータ51の代わりにACDCコンバータを設けることができる。
【0066】
また、図7では、ナット16の状態を計測するために、加速度センサ52を振動センサとして用いた場合を示したが、加速度センサ52の代わりに、音響センサを設けてもよいし、温度センサを設けてもよいし、設置方向または種類などの異なる複数のセンサを設けてもよい。
【0067】
図8は、第2実施形態に係る電動装置の概略構成を示す斜視図である。
図8において、産業用ロボット61は、例えば、シリアルリンク機構を持つ。産業用ロボット61は、基台62、コラム71、アーム81、91および操作部101を備える。基台62上には、コラム71が設置される。基台62は、コラム71を回転方向θ1に回転可能に支持する。コラム71の先端には、アーム81が連結される。コラム71は、アーム81を回転方向θ2に回転可能に支持する。アーム81の先端には、アーム91が連結される。アーム81は、アーム91を回転方向θ3に回転可能に支持する。アーム91の先端には、操作部101が連結される。アーム91は、操作部101を回転方向θ4に回転可能に支持する。操作部101は、ワークを操作する。この操作は、ワークの加工でもよいし、ワークの挟持でもよい。
【0068】
コラム71を駆動するために、基台62には、不図示のθ1軸モータが設けられる。θ1軸モータの回転軸は、コラム71に結合される。θ1軸モータの回転軸は、減速機を介してコラム71に結合してもよい。そして、θ1軸モータを回転させることで、回転方向θ1にコラム71が回転する。
【0069】
アーム81を駆動するために、コラム71には、θ2軸モータ72が設けられる。θ2軸モータ72の回転軸は、アーム81に結合される。θ2軸モータ72の回転軸は、減速機を介してアーム81に結合してもよい。そして、θ2軸モータ72を回転させることで、回転方向θ2にアーム81が回転する。
【0070】
また、コラム71の状態を計測するために、コラム71には、センサモジュール78が装着される。センサモジュール78は、コラム71の状態を計測し、コラム71の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する。コラム71の状態は、コラム71の運動時または制動時に発する振動であってもよいし、コラム71の運動時または制動時に発する音響であってもよいし、コラム71の運動時または制動時の発熱であってもよい。センサモジュール78は、図7の構成と同様に構成することができる。
センサモジュール78と離れた位置には、受信機74が設置される。受信機74は、センサモジュール78から送信された送信データを受信する。
【0071】
また、コラム71には、端子台73が設けられる。端子台73には、外部から外部電源線79Cが引き込まれている。また、端子台73からは、モータ電源線79Bが引き出され、θ2軸モータ72に接続される。モータ電源線79Bは、θ2軸モータ72に有線で電源を供給する。さらに、端子台73からは、センサ電源線79Aが引き出され、センサモジュール78に接続される。センサ電源線79Aは、センサモジュール78に有線で電源を供給する。このとき、外部電源線79Cからは、モータ電源線79Bとセンサ電源線79Aを並列に引き出すことができる。そして、外部電源線79Cを介して供給された電源は、モータ電源線79Bを介してθ2軸モータ72に供給されるとともに、センサ電源線79Aに分配され、センサモジュール78に供給される。このとき、コラム71は、回転方向θ1に回転可能であるため、外部電源線79Cも移動可能である。外部電源線79Cを移動自在に保護するため、ケーブルベアを用いてもよい。
【0072】
ここで、コラム71は、回転方向θ1に回転運動する。このとき、端子台73およびセンサモジュール78はコラム71に固定されているため、端子台73とセンサモジュール78との相対位置は変化しない。従って、端子台73とセンサモジュール78との間において、センサ電源線79Aを固定することができ、センサ電源線79Aの配線長を短くすることを可能としつつ、センサ電源線79Aの断線を防止することができる。
また、θ2軸モータ72に有線で電源を供給する外部電源線79Cを介してセンサモジュール78に有線で電源を供給することができ、センサモジュール78に有線で電源を供給するために、θ2軸モータ72に外部から電源を供給する外部電源とは別個に、センサモジュール78に外部から電源を供給する外部電源を設ける必要がなくなる。このため、センサモジュール78に用いられる電源の供給の安定化を図ることができ、センサモジュール78の電源の監視にかかる手間を軽減することが可能となるとともに、センサモジュール78の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができ、センサモジュール78の設置を容易化することができる。
さらに、コラム71の状態に関する計測データをセンサモジュール78から無線で受信機74に送信することにより、計測データの送信時の信号線の配線に伴う摩擦帯電ノイズおよび電磁ノイズを抑制することが可能となり、コラム71の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0073】
アーム91を駆動するために、アーム81には、θ3軸モータ82が設けられる。θ3軸モータ82の回転軸は、アーム91に結合される。θ3軸モータ82の回転軸は、減速機を介してアーム91に結合してもよい。そして、θ3軸モータ82を回転させることで、回転方向θ3にアーム91が回転する。
【0074】
また、アーム81の状態を計測するために、アーム81には、センサモジュール88が装着される。センサモジュール88は、アーム81の状態を計測し、アーム81の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する。アーム81の状態は、アーム81の運動時または制動時に発する振動であってもよいし、アーム81の運動時または制動時に発する音響であってもよいし、アーム81の運動時または制動時の発熱であってもよい。センサモジュール88は、図7の構成と同様に構成することができる。
センサモジュール88と離れた位置には、受信機84が設置される。受信機84は、センサモジュール88から送信された送信データを受信する。
【0075】
また、アーム81には、端子台83が設けられる。端子台83には、外部から外部電源線89Cが引き込まれている。また、端子台83からは、モータ電源線89Bが引き出され、θ3軸モータ82に接続される。モータ電源線89Bは、θ3軸モータ82に有線で電源を供給する。さらに、端子台83からは、センサ電源線89Aが引き出され、センサモジュール88に接続される。センサ電源線89Aは、センサモジュール88に有線で電源を供給する。このとき、外部電源線89Cからは、モータ電源線89Bとセンサ電源線89Aを並列に引き出すことができる。そして、外部電源線89Cを介して供給された電源は、モータ電源線89Bを介してθ3軸モータ82に供給されるとともに、センサ電源線89Aに分配され、センサモジュール88に供給される。このとき、アーム81は、回転方向θ3に回転可能であるため、外部電源線89Cも移動可能である。外部電源線89Cを移動自在に保護するため、ケーブルベアを用いてもよい。
【0076】
ここで、アーム81は、回転方向θ2に回転運動する。このとき、端子台83およびセンサモジュール88はアーム81に固定されているため、端子台83とセンサモジュール88との相対位置は変化しない。従って、端子台83とセンサモジュール88との間において、センサ電源線89Aを固定することができ、センサ電源線89Aの配線長を短くすることを可能としつつ、センサ電源線89Aの断線を防止することができる。
また、θ3軸モータ82に有線で電源を供給する外部電源線89Cを介してセンサモジュール88に有線で電源を供給することができ、センサモジュール88に有線で電源を供給するために、θ3軸モータ82に外部から電源を供給する外部電源とは別個に、センサモジュール88に外部から電源を供給する外部電源を設ける必要がなくなる。このため、センサモジュール88に用いられる電源の供給の安定化を図ることができ、センサモジュール88の電源の監視にかかる手間を軽減することが可能となるとともに、センサモジュール88の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができ、センサモジュール88の設置を容易化することができる。
さらに、アーム81の状態に関する計測データをセンサモジュール88から無線で受信機84に送信することにより、計測データの送信時の信号線の配線に伴う摩擦帯電ノイズおよび電磁ノイズを抑制することが可能となり、アーム81の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0077】
操作部101を駆動するために、アーム91には、θ4軸モータ92が設けられる。θ4軸モータ92の回転軸は、操作部101に結合される。θ4軸モータ92の回転軸は、減速機を介して操作部101に結合してもよい。そして、θ4軸モータ92を回転させることで、回転方向θ4に操作部101が回転する。
【0078】
また、アーム91の状態を計測するために、アーム91には、センサモジュール98が装着される。センサモジュール98は、アーム91の状態を計測し、アーム91の状態の計測結果に基づいて生成された送信データを無線で送信する。アーム91の状態は、アーム91の運動時または制動時に発する振動であってもよいし、アーム91の運動時または制動時に発する音響であってもよいし、アーム91の運動時または制動時の発熱であってもよい。センサモジュール98は、図7の構成と同様に構成することができる。
センサモジュール98と離れた位置には、受信機94が設置される。受信機94は、センサモジュール98から送信された送信データを受信する。
【0079】
また、アーム91には、端子台93が設けられる。端子台93には、外部から外部電源線99Cが引き込まれている。また、端子台93からは、モータ電源線99Bが引き出され、θ4軸モータ92に接続される。モータ電源線99Bは、θ4軸モータ92に有線で電源を供給する。さらに、端子台93からは、センサ電源線99Aが引き出され、センサモジュール98に接続される。センサ電源線99Aは、センサモジュール98に有線で電源を供給する。このとき、外部電源線99Cからは、モータ電源線99Bとセンサ電源線99Aを並列に引き出すことができる。そして、外部電源線99Cを介して供給された電源は、モータ電源線99Bを介してθ4軸モータ92に供給されるとともに、センサ電源線99Aに分配され、センサモジュール98に供給される。このとき、アーム91は、回転方向θ4に回転可能であるため、外部電源線99Cも移動可能である。外部電源線99Cを移動自在に保護するため、ケーブルベアを用いてもよい。
【0080】
ここで、アーム91は、回転方向θ3に回転運動する。このとき、端子台93およびセンサモジュール98はアーム91に固定されているため、端子台93とセンサモジュール98との相対位置は変化しない。従って、端子台93とセンサモジュール98との間において、センサ電源線99Aを固定することができ、センサ電源線99Aの配線長を短くすることを可能としつつ、センサ電源線99Aの断線を防止することができる。
また、θ4軸モータ92に有線で電源を供給する外部電源線99Cを介してセンサモジュール98に有線で電源を供給することができ、センサモジュール98に有線で電源を供給するために、θ4軸モータ92に外部から電源を供給する外部電源とは別個に、センサモジュール98に外部から電源を供給する外部電源を設ける必要がなくなる。このため、センサモジュール98に用いられる電源の供給の安定化を図ることができ、センサモジュール98の電源の監視にかかる手間を軽減することが可能となるとともに、センサモジュール98の電源の確保に要する設計変更の増大を抑制することができ、センサモジュール98の設置を容易化することができる。
さらに、アーム91の状態に関する計測データをセンサモジュール98から無線で受信機94に送信することにより、計測データの送信時の信号線の配線に伴う摩擦帯電ノイズおよび電磁ノイズを抑制することが可能となり、アーム91の状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0082】
例えば、上述した実施形態では、電動装置として、工作機械1および産業用ロボット61を例にとったが、本発明は、例えば、歩行ロボット、マニピュレータ、自動車、電車、飛行機、露光装置または重機などにも適用可能である。
また、本発明は、第1アクチュエータの可動体の状態を計測する計測部に電源を供給する場合、第1アクチュエータの可動体とともに移動する第2アクチュエータに供給される電源を計測部に有線で分配する構成にも適用可能である。また、電源が供給されるアクチュエータがある場合、そのアクチュエータとともに移動する可動体の状態を計測する計測部に有線で電源を分配する構成にも適用可能である。このとき、アクチュエータとともに移動する可動体は、アクチュエータと同一速度かつ同一方向に移動してもよいし、アクチュエータと同一軸の周りに同一各速度で移動してもよい。なお、アクチュエータは、例えば、モータ、直動装置、歯車、アームおよびリンク機構などを備えていてもよい。
また、上述した実施形態では、直動装置のナットの直動運動およびアームの回転運動を計測する場合を例にとったが、本発明は、ナット以外の直動体の直動運動に適用してもよいし、アーム以外の回転体の回転運動に適用してもよいし、サイクロイド運動、楕円運動および放物線運動などに適用してよい。
また、上述した実施形態では、各可動体の運動のそれぞれ自由度に対して、1つのセンサおよび1つの受信機を対で設けた例を示したが、この例に限らず、複数のセンサからのデータを1つの受信機で受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 工作機械、2 基台、3 案内部、4 テーブル、5 コラム、6 スライダ、7 ヘッド、11、21 ベース、12 X軸モータ、13、23 端子台、14、24 カップリング、15、25 ねじ軸、16、26 ナット、17A、17B、27A、27B 軸受、18、28 センサモジュール、19A センサ電源線、19B モータ電源線、19C 外部電源線、22 Z軸モータ、31 モータボックス、41 受信機、51 DCDCコンバータ、52 加速度センサ、53 マイクロコンピュータ、54 無線モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8