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特開2022-148894ヒンジアッセンブリ及びヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148894
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ヒンジアッセンブリ及びヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20220929BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
F25D29/00 B
F25D23/00 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050747
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】岩上 栄生
(72)【発明者】
【氏名】土田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】設楽 真輔
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴史
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045PA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒンジ及びドアスイッチ基板を含む電子機器を少ない作業時間で容易に冷蔵庫本体に取り付けることができるとともに、取り付けられたドアスイッチ基板を含む電子機器の位置を確実に保持することができるヒンジアッセンブリ及びこのヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫本体に取り付けられるアッセンブリであって、板状部12及び板状部12から立設したヒンジ14を有する金属製のヒンジ部材10と、板状部12と係合する係合部を有する樹脂製のヒンジ係合部材20と、ヒンジ係合部材20の上面に取り付けられた、ドアスイッチ基板30を少なくとも含む、配線36を伴う電子機器30,32と、を備え、ヒンジアッセンブリが冷蔵庫本体に取り付けられたとき、板状部12が冷蔵庫本体に固定され、ヒンジ係合部材20の一部が板状部12と冷蔵庫本体との間に配置されている。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体に取り付けられるアッセンブリであって、
板状部及び前記板状部から立設したヒンジを有する金属製のヒンジ部材と、
前記板状部と係合する係合部を有する樹脂製のヒンジ係合部材と、
前記ヒンジ係合部材の上面に取り付けられた、ドアスイッチ基板を少なくとも含む、配線を伴う電子機器と、
を備え、
前記冷蔵庫本体に取り付けられたとき、前記板状部が前記冷蔵庫本体に固定され、前記ヒンジ係合部材の一部が前記板状部と前記冷蔵庫本体との間に配置されていることを特徴とするヒンジアッセンブリ。
【請求項2】
前記ヒンジ係合部材の一部は前記板状部と前記冷蔵庫本体との間に配置されている領域と異なる領域で、間に前記ヒンジ係合部材を介さずに、前記板状部が前記冷蔵庫本体に接した状態で固定されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジアッセンブリ。
【請求項3】
前記係合部が凹凸形状を有するフック部を備え、
前記板状部が冷蔵庫本体に固定されたとき、前記板状部が前記フック部の凹部に配置され、前記フック部の凸部が前記凹部に配置された前記板状部と前記冷蔵庫本体との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジアッセンブリ。
【請求項4】
前記ヒンジ係合部材が前記板状部と係合するとき、前記板状部が前記フック部の凸部を乗り越えて前記フック部の凹部に入るスナップ機構を備えることを特徴とする請求項3に記載のヒンジアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のヒンジアッセンブリが冷蔵庫本体に取り付けられた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の扉の回転軸となるヒンジを含むヒンジアッセンブリ、及びこのヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の中には、扉の開閉を検知するドアスイッチが、冷蔵庫本体の上面の扉のヒンジの近傍に配置されているものがある。そのような冷蔵庫の中には、ヒンジを覆うヒンジカバーの内側にドアスイッチが取り付けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷蔵庫では、ドアスイッチがヒンジカバーに覆われるので、美観に優れた冷蔵庫を提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-18812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、ヒンジの冷蔵庫本体への取付作業と、ヒンジカバー取り付けを伴うドアスイッチの冷蔵庫本体への取付作業の二度の作業を行う必要がある。また、ヒンジカバーの内側にドアスイッチに繋がる配線も存在するので、ヒンジカバーを冷蔵庫本体に取り付けるとき、配線が垂れ下がって干渉するため、多くの作業時間を要する虞がある。更に、ヒンジカバーを取り付けた後、ヒンジカバー内の配線等に押されて、ヒンジカバーが浮き上がる可能性があり、その場合には、ドアスイッチが正しく機能しない虞がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、ヒンジ及びドアスイッチ基板を含む電子機器を少ない作業時間で容易に冷蔵庫本体に取り付けることができるとともに、取り付けられたドアスイッチ基板を含む電子機器の位置を確実に保持することができるヒンジアッセンブリ及びこのヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒンジアッセンブリでは、
冷蔵庫本体に取り付けられるアッセンブリであって、
板状部及び前記板状部から立設したヒンジを有する金属製のヒンジ部材と、
前記板状部と係合する係合部を有する樹脂製のヒンジ係合部材と、
前記ヒンジ係合部材の上面に取り付けられた、ドアスイッチ基板を少なくとも含む、配線を伴う電子機器と、
を備え、
前記冷蔵庫本体に取り付けられたとき、前記板状部が前記冷蔵庫本体に固定され、前記ヒンジ係合部材の一部が前記板状部と前記冷蔵庫本体との間に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上面に配線を伴う電子機器が取り付けられたヒンジ係合部材と、ヒンジ部材とが一体となったヒンジアッセンブリを、冷蔵庫本体に取り付けるので、一度の取り付け作業で、ヒンジも電子機器も同時に冷蔵庫本体に取り付けることができる。また、取り付け時に配線が垂れ下がることもないので、一度の取り付け作業で、少ない作業時間で容易にヒンジアッセンブリを冷蔵庫本体に取り付けることができる。更に、ヒンジアッセンブリが冷蔵庫本体に取り付けられたとき、強度を有する板状部が冷蔵庫本体に固定され、ヒンジ係合部材の一部が板状部と冷蔵庫本体との間に配置されているので、ヒンジ係合部材も板状部に押さえられて位置が維持される。これにより、ヒンジ係合部材に取り付けられた電子機器の位置も確実に保持できる。
【0008】
以上により、本発明では、ヒンジ及びヒンジの周囲に配置される電子機器を少ない作業時間で容易に冷蔵庫本体に取り付けることができるとともに、取り付けられた電子機器の位置を確実に保持することができる。
【0009】
また、本発明のヒンジアッセンブリでは、
前記ヒンジ係合部材の一部が前記板状部と前記冷蔵庫本体との間に配置されている領域と異なる領域で、間に前記ヒンジ係合部材を介さずに、前記板状部が前記冷蔵庫本体に接した状態で固定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、樹脂製のヒンジ係合部材を介さずに、金属製の板状部が冷蔵庫本体に接した状態で固定されているので、高い剛性及び高い位置精度を有するヒンジが得られる。これととともに、他の領域でヒンジ係合部材の一部が板状部と冷蔵庫本体との間に配置されているので、ヒンジ係合部材も確実に保持することができる。
【0011】
また、本発明のヒンジアッセンブリでは、
前記係合部が凹凸形状を有するフック部を備え、
前記板状部が冷蔵庫本体に固定されたとき、前記板状部が前記フック部の凹部に配置され、前記フック部の凸部が前記凹部に配置された前記板状部と前記冷蔵庫本体との間に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、凹凸形状を有するフック部により、ヒンジアッセンブリを冷蔵庫本体に取り付けたとき、ヒンジ係合部材を確実に冷蔵庫本体上に保持することができる。
【0013】
また、本発明のヒンジアッセンブリでは、
前記ヒンジ係合部材が前記板状部と係合するとき、前記板状部が前記フック部の凸部を乗り越えて前記フック部の凹部に入るスナップ機構を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、スナップ機構により、簡易にヒンジ係合部材を板状部と係合させることができるので、少ない作業時間で容易にヒンジアッセンブリを組み立てることができる。それととともに、凹凸形状との嵌合により、ヒンジ部材及びヒンジ係合部材の係合状態を確実に維持することができる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫は、
上記のヒンジアッセンブリが冷蔵庫本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、低い製造コストで製造可能であるとともに、ドアスイッチ基板で正確に扉の開閉を検出することができる冷蔵庫を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明により、ヒンジ及びドアスイッチ基板含む電子機器を少ない作業時間で容易に冷蔵庫本体に取り付けることができるとともに、取り付けられたドアスイッチ基板を含む電子機器の位置を確実に保持することができるヒンジアッセンブリを提供することができる。また、このヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫は、低い製造コストで製造可能であるとともに、ドアスイッチ基板で正確に扉の開閉を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態に係るヒンジアッセンブリが取り付けられた冷蔵庫の外形を示す斜視図である。
図2A図1に示す冷蔵庫の上側のヒンジ周辺を拡大した斜視図であって、ヒンジカバーが外されて、ヒンジアセッセブリが視認可能になった状態を示す図である。
図2B図2Aに示す状態から、ヒンジアッセンブリが冷蔵庫本体から取り外されたところを示す斜視図である。
図3A】本実施形態の1つの実施形態に係る右側のヒンジアッセンブリを示す分解斜視図である。
図3B】本実施形態の1つの実施形態に係る左側のヒンジアッセンブリを示す分解斜視図である。
図4A】ヒンジ部材とヒンジ係合部材とを係合させる第1の工程を示す斜視図である。
図4B】ヒンジ部材とヒンジ係合部材とを係合させる第2の工程を示す斜視図である。
図5】第1の工程及び第2の工程でヒンジ部材とヒンジ係合部材とが係合された状態を示す斜視図である。
図6A】組み立てられたヒンジアッセンブリを冷蔵庫本体に取り付けるところを示す斜視図である。
図6B】冷蔵庫本体に載置されたヒンジアッセンブリを締結部材で固定するところを示す斜視図である。
図7】ヒンジアッセンブリが冷蔵庫本体に取り付けられた状態において、ヒンジ係合部材の設置位置が保持される機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する筆記具は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。本明細書において、冷蔵庫を水平な床面に載置した場合を示し、扉側を前側とし、その反対側を後ろ側とする。上下前後左右の方向を、図面に矢印で示す。
【0020】
(本発明の1つの実施形態に係るヒンジアセンブリ)
図1は、本発明の1つの実施形態に係るヒンジアッセンブリ2が取り付けられた冷蔵庫100の外形を示す斜視図である。図2Aは、図1に示す冷蔵庫100の上側のヒンジ周辺を拡大した斜視図であって、ヒンジカバー4が外されて、ヒンジアセッセブリ2が視認可能になった状態を示す図である。図2Bは、図2Aに示す状態から、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体から取り外されたところを示す斜視図である。図3A及び図3Bは、本実施形態の1つの実施形態に係るヒンジアッセンブリ2,2’を示す分解斜視図であって、図3Aは右側のヒンジアッセンブリ2を示し、図3Bは左側のヒンジアッセンブリ2’を示す。
【0021】
図1は、冷蔵庫100の上側の領域を斜め前側から示している。冷蔵庫100は、冷蔵庫本体50と、冷蔵庫本体50に回転自在に取り付けられた2つの扉52A,52Bとを備える。2つの扉52A,52Bは、左右に開く観音開きの扉である。扉52A,52Bの回転軸となるヒンジのうち、上側のヒンジが冷蔵庫本体50の上面50Aに取り付けられている。上側のヒンジは、ヒンジカバー4,4’で覆われている。図2Aでは、右側の扉52Aの上側のヒンジ周辺が拡大して示され、ヒンジカバー4が取り外されて、本発明の1つの実施形態に係るヒンジアセンブリ2が、冷蔵庫本体50の上面50Aに取り付けられているのが示されている。更に、図2Bでは、ヒンジアセンブリ2を冷蔵庫本体50に固定する締結部材40が取り外されて、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50から取り外されたところを示す。左側の扉52Bの上側のヒンジ周辺についても、ヒンジカバー4’で覆われたヒンジアッセンブリ2’が、冷蔵庫本体50に取り付けられている
【0022】
図3Aには、取り外された右側のヒンジアッセンブリ2の構成部材を分解した状態が示されている。図3Bには、取り外された左側のヒンジアッセンブリ2’の構成部材を分解した状態が示されている。ヒンジアッセンブリ2,2’は、板状部12及び板状部12から立設した扉の回転軸となるヒンジ14を有する金属製のヒンジ部材10を備える。更に、板状部12と係合する樹脂製のヒンジ係合部材20と、ヒンジ係合部材20の上面に取り付けられた配線36を伴う電子機器30,32,34を備える。左右のヒンジアッセンブリ2,2’の板状部12、ヒンジ係合部材20は、対称な形状を有している。
【0023】
電子機器30,32,34について、更に詳細に述べれば、ドアスイッチ基板30、湿度センサ32及びWIFI通信ユニット34がヒンジ係合部材20の上面に取り付けられている。特に、ドアスイッチ基板30は、左右両方のヒンジアッセンブリ2,2’に取り付けられている。湿度センサ32は、右側のヒンジアッセンブリ2にだけ取り付けられている。WIFI通信ユニット34は、左側のヒンジアッセンブリ2’にだけ取り付けられている。各電子機器30,32,34には配線36が接続され、幾つかの配線36の端部には端子36Aが取り付けられている。ドアスイッチ基板30には、コネクタ30Aにより配線36が接続さている。
【0024】
ドアスイッチ基板30は、ヒンジアッセンブリ2,2’を冷蔵庫本体50に取り付けたとき、冷蔵庫本体50の前端に位置するように配置されている。ドアスイッチ基板30としては、扉52Aとの物理的接触によりスイッチのオンオフを行うタクトスイッチまたはトグルスイッチや、電磁的に扉52Aと近接しているか否かを判断する近接スイッチを例示できる。ドアスイッチ基板30が冷蔵庫本体50の前端に位置することにより、扉52Aの開閉を正確に検出することができる。
【0025】
ヒンジカバー4には開口が設けられており、冷蔵庫本体50の周辺の大気は、この開口からヒンジカバー4内に入る。これにより、ヒンジカバー4に覆われたヒンジアッセンブリ2に取り付けられた湿度センサ32により、冷蔵庫回りの大気の湿度を検出できる。
【0026】
近年、冷蔵庫とインタネーットを繋げたり、スマートフォンをはじめとする電子装置で冷蔵庫を操作したり、冷蔵庫の内部状態をチェックするといった要望が高まっている。このような要望に対応するため、本実施形態では、ヒンジアッセンブリ2’に、WIFI通信ユニット34が取り付けられている。何れの配線36を伴う電子機器30,32,34も、ヒンジ係合部材20の上面に取り付けられているので、配線を伴う電子機器がヒンジカバーに取り付けられている場合に比べて、配線36が垂れ下がることがないので、取り付け作業を容易に行うことができる。
【0027】
以上のように、左側のヒンジアッセンブリ2’の基本的な構造は、右側のヒンジアッセンブリ2の構造と同様である。よって以下では、右側のヒンジアッセンブリ2を例に取って、ヒンジアッセンブリ2,2’に関する詳細な説明を行う。
【0028】
(ヒンジアッセンブリの組み立て)
図4Aは、ヒンジ部材10とヒンジ係合部材20とを係合させる第1の工程を示す斜視図である。図4Bは、ヒンジ部材10とヒンジ係合部材20とを係合させる第2の工程を示す斜視図である。図5は、第1の工程及び第2の工程でヒンジ部材10とヒンジ係合部材20とが係合された状態を示す斜視図である。図4Aの(b)は、係合部である第1のフック部22の周辺を拡大して示した斜視図である。図4Bの(b)は、係合部である第2のフック部24の周辺を拡大して示した斜視図であり、(c)は、(b)の断面A-Aから見た斜視図である。図4Bの(b),(c)では、板状部12の第2の挿入部12Bがヒンジ係合部材20の第2のフック部24に係合した後の状態を示す。
【0029】
はじめに、ヒンジアッセンブリ2を組み立てる工程の詳細な説明を行う。図4A図4B及び図5の何れも、冷蔵庫本体50の上面50Aに取り付けたとき、冷蔵庫本体50の上面50Aと面する下面側が上向きになるように示されている。
【0030】
本実施形態に係るヒンジ係合部材20は、ヒンジ部材10と係合する係合部として、第1のフック部22及び第2のフック部24を備える。第1のフック部22は、凸部22A及び凹部22Bから構成された凹凸形状を有する。第2のフック部24は、凸部24A及び凹部24Bから構成された凹凸形状を有する。ここでは、予め、配線36を伴う電子機器30,32,34が取り付けられたヒンジ係合部材20をヒンジ部材10の板状部12に係合させるところを説明する。
【0031】
[第1の工程]
はじめに、図4Aの一点鎖線の矢印に示すように、ヒンジ部材10のヒンジ14が配置された端部と反対側の端部の両側に設けられた第1の挿入部12Aを、ヒンジ係合部材20の第1のフック部22の凸部22Aをかわして、凹部22Bに斜めに差し込む。
【0032】
[第2の工程]
次に、図4Aの二点鎖線の矢印に示すように、ヒンジ係合部材20の第1のフック部22と係合した第1の挿入部12Aを回転中心として、ヒンジ14が配置された側の端部をヒンジ係合部材20に近づく方向に回転させる。
【0033】
ヒンジ部材10を回転させていくと、ヒンジ部材10の板状部12の第2の挿入部12Bが、ヒンジ係合部材20の第2のフック部24の凸部24Aに当接する。更に、ヒンジ部材10を同じ回転方向に押し込むと、ヒンジ係合部材20が弾性変形し、板状部12の第2の挿入部12Bが第2のフック部24の凸部24Aを乗り越えて、第2のフック部24の凹部24Bに入る。これにより、板状部12の第2の挿入部12Bが、ヒンジ係合部材20の第2のフック部24に係合した状態となる。このように、ヒンジ係合部材20に設けられた係合部である第1及び第2のフック部22,24により、スナップ機構が形成されている。
【0034】
このようなスナップ機構により、簡易に板状部12とヒンジ係合部材20とを係合させることができるので、少ない作業時間で容易にヒンジアッセンブリ2を組み立てることができる。それととともに、凹凸形状との嵌合により、ヒンジ部材10及びヒンジ係合部材20の係合状態を確実に維持することができる。
【0035】
このようにして組み立てられたヒンジアッセンブリ2の外形を、図5に示す。矢印Sで示すヒンジ部材10の板状部12の下面が、冷蔵庫本体50の上面50Aと接する接触固定面となる。板状部12の下面に設けられた3つの貫通孔12Cにネジ等の締結部材40を通して、冷蔵庫本体50に固定する。板状部12に設けられた第1、第2の挿入部12A,12Bは、冷蔵庫本体50に取り付けられた状態において、矢印Sで示す接触固定面よりも所定の距離だけ上側に位置している。これにより、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられた状態において、第1、第2の挿入部12A,12Bの下側に位置する第1、第2のフック部22,24の凸部22A,24Aの配置スペースを確保している。
【0036】
上記の説明では、配線36を伴う電子機器30,32,34が取り付けられたヒンジ係合部材20を、ヒンジ部材10の板状部12に係合させるところを説明したが、これに限られるものではない。はじめに、ヒンジ係合部材20を板状部12に係合させた後、配線36を伴う電子機器30,32,34をヒンジ係合部材20に取り付けることもできる。
【0037】
(ヒンジアッセンブリの冷蔵庫本体への取り付け)
図6Aは、組み立てられたヒンジアッセンブリ2を冷蔵庫本体50に取り付けるところを示す斜視図である。図6Bは、冷蔵庫本体50に載置されたヒンジアッセンブリ2を締結部材40で固定するところを示す斜視図である。次に、上記のような第1及び第2の工程で組み立てられたヒンジアッセンブリ2を、冷蔵庫本体50の上面50Aに取り付けるところを説明する。
【0038】
組み立てられたヒンジアッセンブリ2を、冷蔵庫本体50の上面50Aの右前側に載置し、冷蔵庫本体50側に設けられたネジ孔54と、ヒンジアッセンブリ2を構成するヒンジ部材10の板状部12に設けられた貫通孔12C(図5参照)との位置を合わせる。そして、3本の締結部材40を、板状部12に設けられたネジ孔12Cに通して、冷蔵庫本体50に設けられたネジ孔54と締結する。これにより、ヒンジ部材10を冷蔵庫本体50に固定することができ、延いては、ヒンジアッセンブリ2全体を冷蔵庫本体50に固定できる。
【0039】
金属製のヒンジ部材10が冷蔵庫本体50に接して固定されているので、ヒンジ部材10を高い強度、高い位置精度で冷蔵庫本体50に固定することができる。ただし、これに限られるものではなく、ヒンジ部材10及び冷蔵庫本体50の間に金属等の剛性の高い板状部材を挿入して、ヒンジ部材10及び冷蔵庫本体50を固定することもあり得る。
【0040】
ヒンジアッセンブリ2を冷蔵庫本体50に取り付けるとき、予め、配線36を伴う電子機器30,32,34が取り付けられたヒンジ係合部材20とヒンジ部材10とを係合した一体的なヒンジアッセンブリ2を取り扱うので、容易に位置決めをして取り付けることができる。特に、配線36を伴う電子機器30,32,34は、ヒンジ係合部材20の上面に取り付けられているので、ヒンジカバー4の内側に取り付けられた場合と異なり、配線36が垂れ下がって干渉することがない。よって、少ない作業時間で、ヒンジ部材10及び配線36を伴う電子機器30,32,34を同時に冷蔵庫本体50の上面に取り付けことができる。
【0041】
その後、ヒンジアッセンブリ2を覆うようにヒンジカバー4を取り付ける。ヒンジカバー4には、電子機器等は取り付けられていなので、容易に取り付けことができる。また、仮にヒンジカバー4が浮き上がることがあったとしても、ドアスイッチ基板30をはじめとする電子機器の設置位置は保持される。
【0042】
(ヒンジアッセンブリの固定構造)
図7は、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられた状態において、ヒンジ係合部材20の設置位置が保持される機能を説明する図である。次に、図7を参照しながら、ヒンジアッセンブリ2の固定構造を説明する。
【0043】
ヒンジ係合部材20の一部であるヒンジ係合部材20の第1、第2のフック部22,24の凸部22A,24Aが、板状部12の挿入部12A,12Bと冷蔵庫本体50との間に配置されている。更に、このようなヒンジ係合部材20の一部が板状部12と冷蔵庫本体50との間に配置されている領域と異なる領域(矢印S参照)で、間にヒンジ係合部材20を介さずに、板状部12が冷蔵庫本体50に接した状態で固定されている。
【0044】
金属に比べて強度が低い樹脂部材を介することなく、金属製の板状部12が冷蔵庫本体50に接して固定されているので、高い剛性及び高い位置精度を有するヒンジ14が得られる。これとともに、その他の領域でヒンジ係合部材20の一部(例えば、凸部22A,24A)が板状部12と冷蔵庫本体50との間に配置されているので、ヒンジ係合部材20も確実に保持することができる。
【0045】
特に、上記の実施形態では、ヒンジアッセンブリ2が、係合部として凹凸形状を有するフック部22,24を備え、板状部12が冷蔵庫本体50に固定されたとき、板状部12がフック部22,24の凹部22B,24Bに配置され、フック部22,24の凸部22A,24Aが凹部22B,24Bに配置された板状部12と冷蔵庫本体50との間に配置されている。
【0046】
ヒンジアッセンブリ2は冷蔵庫本体50に取り付けられた状態で、板状部12の挿入部12A,12Bが、矢印Sで示す板状部12の冷蔵庫本体50と接する面よりも、ヒンジ係合部材20の凸部22A,24Aの厚み(高さ寸法)に応じた距離だけ上方に形成されている。これにより、板状部12の挿入部12A,12Bの下側に位置する凸部22A,24Aの下面が、冷蔵庫本体50の上面50Aとほぼ接するように配置されている。ただし、これに限られるものではなく、締結部材40を締め込んで、板状部12を冷蔵庫本体50に固定したとき、上に位置する挿入部12A,12B及び下に位置する冷蔵庫本体50に押されて、ヒンジ係合部材20の凸部22A,24Aが少し圧縮変形するようにすることもできる。この場合には、ヒンジ係合部材20の位置を更に強固に維持できる。
【0047】
上記の実施形態では、スナップ機構でヒンジ部材10とヒンジ係合部材20とが係合するので、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられた後、組み立て時と逆の手順で両者の係合が解除されて、ヒンジ係合部材20が冷蔵庫本体50から外れることを考慮する必要がある。
【0048】
しかし、図7の矢印F、F’に示すように、挿入部12Aまたは挿入部12Bが、第1のフック部22の凸部22Aまたは第2のフック部24の凸部24Aを乗り越えるように、ヒンジ係合部材20に力を加えた場合、冷蔵庫本体50から矢印R,R’に示すような反力を受けるので、ヒンジ係合部材20を外れる方向には回転が規制されている。
【0049】
以上のように、凹凸形状を有するフック部22,24により、ヒンジアッセンブリ2を冷蔵庫本体50に取り付けたとき、ヒンジ係合部材20を確実に冷蔵庫本体50上に保持することができる。
【0050】
上記の実施形態では、ヒンジアッセンブリ2が係合部として凹凸形状を有するフック部22,24を備えているが、係合部はこれに限られるものではない。ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられたとき、板状部12が冷蔵庫本体50に固定され、ヒンジ係合部材20の一部が板状部12と冷蔵庫本体50との間に配置されている構造であれば、その他の任意の構造を有する係合部を採用することができる。例えば、着脱可能な部材や締結部材を用いて、板状部12とヒンジ係合部材20とを係合させる係合部もあり得る。
【0051】
また、上記の実施形態では、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50の上面50Aに取り付けられる場合を示すが、これに限られるものではない。例えば、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50の下面や側面に取り付けられる場合もあり得る。何れの場合でも、ヒンジアッセンブリ2を冷蔵庫本体50に取り付けるとき、配線36が垂れ下がることがないように、配線36を伴う電子機器30,32,34は、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられる状態での上面に配置される。
【0052】
以上を考慮したヒンジアッセンブリ2は、冷蔵庫本体50に取り付けられるアッセンブリであって、板状部12及び板状部12から立設したヒンジ14を有する金属製のヒンジ部材10と、板状部12と係合する係合部を有する樹脂製のヒンジ係合部材20と、ヒンジ係合部材20の上面に取り付けられた、ドアスイッチ基板30を少なくとも含む、配線36を伴う電子機器30,32,34と、を備え、冷蔵庫本体50に取り付けられたとき、板状部14が冷蔵庫本体50に固定され、ヒンジ係合部材20の一部が板状部14と冷蔵庫本体50との間に配置されている。
【0053】
このようなヒンジアッセンブリ2では、上面に配線36を伴う電子機器30,32,34が取り付けられたヒンジ係合部材20とヒンジ部材10とが一体となったアッセンブリ2を、冷蔵庫本体50に取り付けるので、一度の取り付け作業で、ヒンジ14も電子機器30,32,34も同時に冷蔵庫本体50に取り付けることができる。また、取り付け時に配線36が垂れ下がることもないので、少ない作業時間で容易にヒンジアッセンブリ2を冷蔵庫本体50に取り付けることができる。
【0054】
更に、ヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられたとき、強度を有する板状部12が冷蔵庫本体50に固定され、ヒンジ係合部材20の一部が板状部12と冷蔵庫本体50との間に配置されているので、ヒンジ係合部材20も板状部12に保持されて浮き上がることがない。これにより、ヒンジ係合部材20に取り付けられた電子機器30,32,34の位置も確実に保持できる。
【0055】
以上により、ヒンジ14及びヒンジの周囲に配置される電子機器30,32,34を少ない作業時間で容易に冷蔵庫本体50に取り付けることができるとともに、取り付けられたドアスイッチ基板30を含む電子機器30,32,34の位置を確実に保持することができるヒンジアッセンブリ2を提供することができる。
【0056】
このようなヒンジアッセンブリ2が冷蔵庫本体50に取り付けられた冷蔵庫100は、低い製造コストで製造可能であるとともに、ドアスイッチ基板30で正確に扉52Aの開閉を検出することができる。
【0057】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0058】
2,2’ ヒンジアッセンブリ
4,4’ ヒンジカバー
10 ヒンジ部材
12 板状部
12A 第1の挿入部
12B 第2の挿入部
12C 貫通孔
14 ヒンジ
20 ヒンジ係合部材
22 第1のフック部
22A 凸部
22B 凹部
24 第2のフック部
24A 凸部
24B 凹部
30 ドアスイッチ基板
30A コネクタ
32 湿度センサ
34 WIFI通信ユニット
36 配線
36A 端子
40 締結部材
50 冷蔵庫本体
50A 上面
52A,52B 扉
54 ネジ孔
100 冷蔵庫
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7