(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148897
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】医療機器、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20220929BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20220929BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61M5/168 550
A61M5/168 540
A61M5/172
A61M5/142 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050750
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】深澤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】常井 光亮
(72)【発明者】
【氏名】和田 優矢
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066GG20
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】患者の睡眠への影響を低減しつつ、医療事故を防止しやすくなる、医療機器、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】医療機器は、情報を表示する表示部と、前記表示部の輝度を調整する制御部と、照度を検出可能な照度センサと、時間を計測する計時部と、エラーが発生したことを報知する報知部と、を備える医療機器であって、前記制御部は、前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始し、前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部と、
前記表示部の輝度を調整する制御部と、
照度を検出可能な照度センサと、
時間を計測する計時部と、
エラーが発生したことを報知する報知部と、
を備える医療機器であって、
前記制御部は、
前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始し、
前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くする、
医療機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記計時部による前記時間の計測が開始された後、前記第1所定時間よりも長い第2所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、外部の機器に対して所定の制御を実行させる制御信号を送信する、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記外部の機器は、照明器具であり、
前記制御信号は、前記照明器具を点灯させる信号である、
請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
物体の近接を検出可能な近接センサをさらに備え、
前記制御部は、前記物体の近接を検出した場合、前記所定の制御信号を前記照明器具に送信する、請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
情報を表示する表示部と、照度を検出可能な照度センサと、時間を計測する計時部と、エラーが発生したことを報知する報知部と、を備える医療機器が実行する制御方法であって、
前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始するステップと、
前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くするステップと、
を含む、制御方法。
【請求項6】
情報を表示する表示部と、照度を検出可能な照度センサと、時間を計測する計時部と、エラーが発生したことを報知する報知部と、を備える医療機器に、
前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始するステップと、
前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くするステップと、
を実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の睡眠に配慮した医療機器が知られている。例えば、特許文献1には、夜間設定により、昼間設定に対して、表示部の表示画面の輝度やインジケータの輝度を低くし、ブザー音を小さくすることによって、患者の睡眠への影響を軽減する輸液装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された輸液ポンプでは、輸液ポンプにエラーが発生した場合にエラーが報知されても、夜間設定により見落とされる可能性がある。また、医療現場では、エラーの報知が頻発することにより、エラーが見過ごされたり放置されたりする場合がある。さらに、医療従事者不足や業務過多により、エラーの報知が認識されても、対応までに時間を要し、しばらく放置されるという状況も発生し得る。このようにエラーが報知されても、それに対する適切な対応がなされない場合には、医療事故につながる場合がある。
【0005】
本開示は、患者の睡眠への影響を低減しつつ、医療事故を防止しやすくなる、医療機器、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様としての医療機器は、情報を表示する表示部と、前記表示部の輝度を調整する制御部と、照度を検出可能な照度センサと、時間を計測する計時部と、エラーが発生したことを報知する報知部と、を備える医療機器であって、前記制御部は、前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始し、前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くする。
【0007】
本開示の1つの実施形態として、前記制御部は、前記計時部による前記時間の計測が開始された後、前記第1所定時間よりも長い第2所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、外部の機器に対して所定の制御を実行させる制御信号を送信する。
【0008】
本開示の1つの実施形態として、前記外部の機器は、照明器具であり、前記制御信号は、前記照明器具を点灯させる信号である。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、物体の近接を検出可能な近接センサをさらに備え、前記制御部は、前記物体の近接を検出した場合、前記所定の制御信号を前記照明器具に送信する。
【0010】
本開示の第2の態様としての制御方法は、情報を表示する表示部と、照度を検出可能な照度センサと、時間を計測する計時部と、エラーが発生したことを報知する報知部と、を備える医療機器が実行する制御方法であって、前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始するステップと、前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くするステップと、を含む。
【0011】
本開示の第3の態様としての制御プログラムは、情報を表示する表示部と、照度を検出可能な照度センサと、時間を計測する計時部と、エラーが発生したことを報知する報知部と、を備える医療機器に、前記医療機器にエラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを前記報知部から報知するとともに、前記計時部による時間の計測を開始するステップと、前記計時部による前記時間の計測が開始された後、第1所定時間内に前記照度センサにより検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、前記表示部の輝度を高くするステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の医療機器、制御方法及び制御プログラムによれば、患者の睡眠への影響を低減しつつ、医療事故を防止しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1の医療機器の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図1の情報処理システムによる情報表示処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、医療機器10と、照明器具20とを備える。
【0016】
医療機器10は、情報を表示する表示部を備える任意の医療機器とすることができる。医療機器10は、例えば、シリンジポンプ、輸液ポンプ、栄養ポンプ、血液ポンプ等の医療用ポンプであってよい。また、医療機器10は、例えば、超音波画像診断装置又は光画像診断装置等であってもよい。医療機器10は、ここで示した例に限られず、他の医療機器又は医療機器と協働する装置とすることができる。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る医療機器10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、入力部14と、照度センサ15と、報知部16と、計時部17と、通信部18と、を備える。
【0018】
制御部11は、医療機器10の各機能部をはじめとして、医療機器10の全体を制御及び管理する。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部11は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0019】
本実施形態において、制御部11は、表示部13の輝度を調整する。具体的には、制御部11は、医療機器10にエラーが発生したか否かを判定し、エラー発生時は報知部16へ制御信号を送信してエラーの報知を実行させる。そして、報知部16からエラーの報知がなされたとき、計時部17による時間の計測を開始する。そして、制御部11は、計時部17による時間の計測が開始された後の時間経過に応じて処理を実行する。制御部11が実行する処理の詳細については、後述する。
【0020】
記憶部12は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部12は、例えば、各種情報及び医療機器10を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部12は、例えば本実施形態で説明する処理を実行させるための制御プログラムを記憶する。記憶部12は、ワークメモリとしても機能してもよく、公知のものが適宜使用されてよい。
【0021】
表示部13は、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)等の周知のディスプレイにより構成される表示デバイスである。表示部13は、各種情報を表示する。例えば、表示部13は、医療機器10の設定に関する情報や、医療機器10による測定結果に関する情報を表示する。例えば、医療機器10がシリンジポンプである場合、表示部13は、シリンジポンプにより送液される液体の投与量の設定値や実測値等を表示してよい。表示部13は、ここに示した例に限られず、他の任意の情報を表示してよく、医療機器10の外部に設けられてもよい。
【0022】
入力部14は、医療機器10を操作する医療従事者からの操作入力を受け付ける。入力部14は、例えば、操作ボタン、音声入力部、バーコードリーダ等により構成される。入力部14は、例えばタッチスクリーンにより構成され、表示部13の一部に医療従事者からの操作入力を受け付ける入力領域を表示して、医療従事者によるタッチ操作入力を受け付けてもよい。また、入力部14は、通信部18によって受信した情報を受け付けてもよく、外部に設けられていてもよい。
【0023】
照度センサ15は、医療機器10の周囲の照度を検出する。照度センサ15は、照度を検出可能な公知の照度センサにより構成されていてよい。照度センサ15は、例えば、受光素子を備え、当該受光素子の単位面積に入射する光束の値を算出することにより照度を検出する。
【0024】
報知部16は、情報を報知する。本実施形態に係る報知部16は、医療機器10にエラーが発生した場合に、エラーが発生したことを報知する。ここで言うエラーとは、医療機器10における何らかの異常を示すものや医療機器10において状況の確認を促すものである。例えば、制御部11が、予め記憶部12に記憶されたプログラムに従って、医療機器10に異常が発生した可能性があるか否かを判定し、エラーが発生したと判定された場合は、制御部11が発信した制御信号を受信して、報知部16がエラーを報知する。
【0025】
報知部16は、例えば、音により情報を報知するスピーカにより構成されていてよい。報知部16は、例えば、振動により情報を報知する振動子により構成されていてもよい。報知部16は、例えば、点灯又は点滅により情報を報知するランプにより構成されていてもよい。あるいは、表示部13が、表示画面に情報を表示することにより報知を行うことによって、報知部16として機能してもよい。報知部16は、ここで示した例に限られず、情報を報知可能な他の機構により構成されていてもよく、複数の組合せによって構成されてもよい。また、これらの報知部16が医療機器10とは独立して設けられ、通信によって制御されていてもよい。
【0026】
計時部17は、時間を計測する。本実施形態では、計時部17は、エラーが発生したことが報知部16から報知されたとき、時間の計測を開始する。計時部17は、例えば、RTC(Real Time Clock:リアルタイムクロック)により実現され得る。計時部17は、制御部11の一機能として実現されてもよい。
【0027】
通信部18は、外部の機器と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。本実施形態において、外部の機器は、照明器具20である。すなわち、本実施形態では、通信部18は、照明器具20と通信による情報の送受信を行う。具体的には、通信部18は、制御部11の制御により、所定の制御信号を照明器具20に送信する。
【0028】
照明器具20は、発光することにより周囲を明るく照らす器具である。照明器具20は、例えば病室に設置されている。本実施形態では、照明器具20は、医療機器10が使用されている病室に設置された室内照明、足元灯、読書灯、報知灯等である。ただし、照明器具20は、必ずしも医療機器10が使用されている病室に設置されたものでなくてもよく、例えば、医療機器10が使用されている場所とは別の場所に設置されていてもよい。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る照明器具20は、制御部21と、記憶部22と、発光部23と、通信部28と、を備える。
【0030】
制御部21は、照明器具20の各機能部をはじめとして、照明器具20の全体を制御及び管理する。制御部21は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部21は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0031】
本実施形態において、制御部21は、発光部23による点灯(発光)と消灯とを制御する。制御部21は、例えば、照明器具20が設置された部屋に配置された、照明器具20のスイッチが操作されたことを検出した場合に、発光部23を点灯又は消灯させる。これにより、例えば医療従事者等は、スイッチを操作することで照明器具20の点灯と消灯とを操作することができる。また、本実施形態では、制御部21は、医療機器10から所定の制御信号を受信した場合に、発光部23を点灯させる。制御信号に関する詳細については、後述する。
【0032】
記憶部22は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部22は、例えば、各種情報及び照明器具20を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部22は、例えば本実施形態で説明する処理を実行させるための制御プログラムを記憶する。記憶部22は、ワークメモリとしても機能してもよい。
【0033】
発光部23は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の光を放射する発光素子で構成される。ただし、発光部23は、必ずしもLEDにより構成されていなくてもよく、公知の蛍光ランプや電球等により構成されていてもよい。
【0034】
通信部28は、外部の機器と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。本実施形態において、外部の機器は、医療機器10である。すなわち、本実施形態では、通信部28は、医療機器10と通信を行う。具体的には、通信部28は、医療機器10から、所定の制御信号を受信する。
【0035】
次に、医療機器10の制御部11が実行する処理の詳細について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、医療機器10の制御部11が実行する処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る制御部11は、医療機器10にエラーが発生した場合に、エラーが発生していることを、より確実に医療従事者等に認識させるための処理を実行する。
図2に示すフローは、例えば夜間等、病室の照明器具20が消灯された状態で実行される。
【0036】
まず、制御部11は、医療機器10にエラーが発生したか否かを判定する(ステップS11)。
【0037】
制御部11は、医療機器10にエラーが発生していないと判定した場合(ステップS11のNo)、医療機器10にエラーが発生したと判定するまで、ステップS11を繰り返す。この場合、医療機器10は正常に動作している。
【0038】
制御部11は、医療機器10にエラーが発生したと判定した場合(ステップS11のYes)、エラーが発生したことを報知部16から報知する(ステップS12)。例えば、制御部11は、ランプにより構成された報知部16を点滅させることにより、エラーが発生したことを報知する。
【0039】
また、制御部11は、医療機器10にエラーが発生したと判定した場合、計時部17による時間の測定(計時)を開始する(ステップS13)。
【0040】
次に、制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となったか否かを判定する(ステップS14)。所定の照度は、エラーが発生した医療機器10が設置された病室に、医療従事者等が来たことが想定される照度である。所定の照度は、例えば予め設定され、記憶部12に記憶される。所定の照度は、例えば、医療機器10が設置された病室の照明器具20が点灯されたことを認識可能な照度として設定される。この場合、例えば医療従事者等が病室に来てスイッチを操作することにより、照明器具20が点灯されると、制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となったと判定できる。
【0041】
なお、所定の照度は、必ずしも、医療機器10が設置された病室の照明器具20が点灯されたことを認識可能な照度として設定されていなくてもよい。例えば、所定の照度は、懐中電灯を持った医療従事者等が医療機器10に近づいたことを検出可能な照度として設定されていてもよい。この場合、医療従事者等が病室の照明器具20を点灯させなくても、懐中電灯を持って入室した場合には、医療従事者等がエラーの内容を確認しに来たことを認識できる。
【0042】
制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となったと判定した場合(ステップS14のYes)、計時を終了する(ステップS20)。そして、このフローを終了する。照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となったと判定される場合、例えば上述のように医療従事者等が来たことが想定される。すなわち、医療機器10にエラーが発生していることが、医療従事者等により認識されていると考えられる。そのため、制御部11は、
図2のフローを終了する。
【0043】
一方、制御部11は、計時部17による計時が開始された後、第1所定時間内に照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、表示部13の輝度を高くする。
【0044】
具体的には、制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となっていないと判定した場合(ステップS14のNo)、ステップS13で計時を開始してから、第1所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS15)。第1所定時間は、報知部16からエラーが発生したことを報知した後、医療従事者等がエラーを確認するために病室に来るまでにかかると想定される時間である。第1所定時間は、例えば予め設定され、記憶部12に記憶される。例えば、第1所定時間は、5分から20分の範囲内で適宜設定される。ただし、第1所定時間は、医療機器10が使用される医療施設の規模や配置、対応可能な医療従事者の人数、医療機器10の特性等に応じて、上述の範囲に限られず、適宜定められてよい。
【0045】
制御部11は、第1所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS15のNo)、ステップS14に移行する。
【0046】
制御部11は、第1所定時間が経過したと判定した場合(ステップS15のYes)、表示部13の輝度を高くする(ステップS16)。これにより、表示部13の表示画面が明るくなる。例えば夜間等、病室の照明器具20が消灯されている場合、通常は医療機器10の表示部13の輝度も低く設定されるが、このように輝度を高くすることにより、暗い病室で医療機器10の表示部13の表示画面が明るくなる。これにより、医療機器10が配置された病室で異常が発生していることを、周囲から見て発見しやすくなる。
【0047】
そして、制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となったか否かを判定する(ステップS17)。所定の照度は、エラーが発生した医療機器10が設置された病室に、医療従事者等が来たことが想定される照度である。ステップS17における所定の照度は、ステップS14における所定の照度と同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでは、ステップS17における所定の照度が、ステップS14における所定の照度と同一であるとして、説明する。
【0048】
制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となったと判定した場合(ステップS17のYes)、計時を終了する(ステップS20)。そして、このフローを終了する。照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となったと判定される場合、例えば上述のように医療従事者等が来たことが想定される。すなわち、医療機器10にエラーが発生していることが、医療従事者等により認識されていると考えられる。そのため、制御部11は、
図2のフローを終了する。
【0049】
一方、制御部11は、計時部17による時間の計測が開始された後、第2所定時間内に照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、外部の機器に対して所定の制御信号を送信する。ここで、第2所定時間は、第1所定時間よりも長い時間である。
【0050】
具体的には、制御部11は、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となっていないと判定した場合(ステップS17のNo)、ステップS13で計時を開始してから、第2所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS18)。第2所定時間は、第1所定時間よりも長い時間として適宜設定される。例えば、第2所定時間は、10分から60分の範囲内で適宜設定される。第2所定時間は、例えば、医療機器10にエラーが発生してから対応すべきことが推奨される時間として設定されてもよい。第2所定時間も、医療機器10が使用される医療施設の規模や配置、対応可能な医療従事者の人数、医療機器10の特性等に応じて、上述の範囲に限られず、適宜定められてよい。
【0051】
制御部11は、第2所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS18のNo)、ステップS17に移行する。
【0052】
制御部11は、第2所定時間が経過したと判定した場合(ステップS18のYes)、所定の制御を実行させる制御信号を通信部18から送信する(ステップS19)。制御信号は、医療機器10と通信可能な外部の機器に所定の制御を実行させるための信号である。本実施形態では、外部の機器は、照明器具20であり、制御信号は、照明器具20を点灯させる信号である。つまり、本実施形態において、制御部11は、第2所定時間が経過した場合に、照明器具20に、照明器具20を点灯させるための制御信号を送信する。本実施形態において、制御信号は、例えば、赤外線信号により送信される。
【0053】
照明器具20は、制御信号を受信すると、制御信号の命令に従って、発光部23を発光させることにより、照明器具20を点灯させる。これにより、医療機器10が配置された病室の照明器具20が点灯するため、当該病室が明るくなる。例えば夜間であれば、病室の照明器具20は、通常消灯しているため、このように病室の照明器具20を点灯させることにより、医療機器10が配置された病室で異常が発生していることを、周囲から見てさらに発見しやすくなる。
【0054】
制御部11は、ステップS19で制御信号を送信すると、計時部17による計時を終了する(ステップS20)。そして、このフローを終了する。
【0055】
図3は、
図1の情報処理システム1による情報表示処理の一例を示すシーケンス図である。ただし、
図3では、医療機器10が実行する処理の一部を省略して記載している。実際には、医療機器10は、制御部11により、
図2を参照して説明した処理が実行される。なお、
図3において、
図2で説明した処理と同一の処理については、同一の符号を付している。
図3の開始時点において、照明器具20は、消灯した状態である。
【0056】
医療機器10は、エラーが発生したことを検出すると、報知部16からエラーが発生したことを報知する(ステップS12)。
【0057】
また、医療機器10は、計時部17による計時を開始する(ステップS13)。
【0058】
医療機器10は、ステップS13において計時を開始した後、第1所定時間内に照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、表示部13の輝度を高くする(ステップS16)。
【0059】
医療機器10は、さらに、ステップS13において計時を開始した後、第2所定時間内に照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、所定の制御を実行させる制御信号を、通信部18から照明器具20に送信する(ステップS19)。
【0060】
そして、医療機器10は、計時部17による計時を終了する(ステップS20)。
【0061】
一方、照明器具20は、通信部28を介して、医療機器10から制御信号を受信すると、発光部23を発光させることにより、照明器具20を点灯させる(ステップS21)。
【0062】
このように、本実施形態に係る医療機器10によれば、エラーが発生したと判定した場合、エラーが発生したことを報知部16から報知するとともに、計時部17による計時を開始し、計時が開始された後、第1所定時間内に照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、表示部13の輝度を高くする。これにより、夜間において、エラーが発生していない平常時や、エラーが発生しても最初に報知を行っている間は、表示部13の輝度を低く保つことによって患者の睡眠を妨げないようにしつつ、報知を行っても第1所定時間内に医療従事者等が医療機器10の状態を確認しに来ていないことが想定される場合には、表示部13の輝度を高くする。これによって、暗い病室で医療機器10の表示部13の表示画面が明るくなり、医療機器10が配置された病室で異常が発生していることを、周囲から見て発見しやすくなる。そのため、医療従事者等がエラーに気付きやすくなり、適切な対応が促されることにより医療事故を防止しやすくなる。このようにして、医療機器10によれば、患者の睡眠への影響を低減しつつ、エラーが放置されることによる医療事故を防止しやすくなる。
【0063】
さらに、本実施形態に係る医療機器10は、計時部17による計時が開始された後、第2所定時間内に照度センサ15により検出される照度が所定の照度以上となっていない場合、制御信号を送信することによって、照明器具20を点灯させる。これにより、表示部13の輝度を高くすることによっても、医療従事者等が医療機器10の状態を確認しに来ていないことが想定される場合に、医療機器10が配置された病室で異常が発生していることを、周囲から見てさらに発見しやすくなる。そのため、医療従事者等がエラーにさらに気付きやすくなり、適切な対応が促されることにより医療事故を防止しやすくなる。このようにして、医療機器10によれば、患者の睡眠への影響を低減しつつ、エラーが放置されることによる医療事故をさらに防止しやすくなる。
【0064】
上記実施形態において、医療機器10の制御部11は、ステップS11で新たにエラーが発生したと判定した場合であっても、すでに他のエラーが発生しており、ステップS12でエラーを報知するとともにステップS13で計時を開始している場合には、新たに発生したエラーについては、
図2に示すフローを実行しなくてもよい。すでに他のエラーが発生していることにより、二重に計時がされたり、新たに発生したエラーに基づいて、他のエラーの発生により開始されていた計時がリセットされたりすることを防止するためである。この場合は、ステップS11の前又はステップS13の前に、他のエラー発生の有無を確認するステップを設け、他のエラーが発生していない場合のみ計時を開始するように設定してよい。
【0065】
上記実施形態では、外部の機器が照明器具20であり、制御信号が照明器具20を点灯させる信号であると説明した。しかしながら、外部の機器及び制御信号は、これに限られない。外部の機器は、医療従事者等が業務中に認識することが可能な任意の機器であってよく、制御信号は、外部の機器において、医療従事者等が医療機器10にエラーが発生したことを認識可能な処理を実行させる信号であってよい。
【0066】
例えば、外部の機器は、医療機器10が使用される医療施設に設置されている廊下灯パネルであってよい。また、外部の機器は、廊下灯パネルを照らす照明機器20であってもよく、廊下に設置された照明器具20であってもよい。この場合、制御信号は、当該廊下灯パネルに、医療機器10にエラーが発生したことを表示させる信号であってよく、照明器具20の通信部28は、医療機器10の制御部11から発信される制御信号を受信する受信部が病室内に設置されてもよい。
【0067】
また、例えば、外部の機器は、医療従事者等が所持する携帯端末であってよい。この場合、制御信号は、当該携帯端末の表示画面に、医療機器10にエラーが発生したことを表示させる信号であってよい。
【0068】
また、例えば、外部の機器は、ナースステーションに設置されたコンピュータやディスプレイであってよい。この場合、制御信号は、当該コンピュータの表示画面やディスプレイに、医療機器10にエラーが発生したことを表示させる信号であってよい。
【0069】
これらの例によっても、医療従事者等がエラーにさらに気付きやすくなり、適切な対応が促されることにより医療事故を防止しやすくなる。なお、これらの例は、一例を示したものに過ぎず、外部の機器及び制御信号は、ここで示した例に限られるものではない。
【0070】
上記実施形態において、医療機器10は、物体の近接を検出可能な近接センサをさらに備え、制御部11は、近接センサにより物体の近接を検出した場合、所定の制御信号を照明器具20に送信してもよい。近接センサは、物体の近接を検出するセンサである。近接センサは、任意の公知の方式により、物体の近接を検出してよい。例えば、近接センサは、赤外線を放射し、放射赤外線の反射光の受光強度に基づいて物体の近接を検出してよい。
【0071】
例えば、近接センサは、発光部と受光部とを含んで構成される。発光部は、物体の近接を検出するために用いられる照射光を放射する。発光部は、例えば、LED又はLD(Laser Diode:レーザダイオード)等の光を放射する発光素子で構成される。受光部は、発光部が放射した光の反射光を受光可能である。受光部は、例えば、PT(Photo Transistor:フォトトランジスタ)又はPD(Photo Diode:フォトダイオード)等の受光素子で構成される。
【0072】
例えば、医療従事者等が、医療機器10が配置された病室に入ってきたとき、近接センサにより、物体の近接が検出される。このとき、制御部11は、制御信号を照明器具20に送信する。ここでの制御信号は、照明器具20を点灯させる信号である。つまり、ここでは、制御部11は、医療従事者等が病室に入ってきたことを検出した場合に、制御信号を照明器具20に送信することにより、照明器具20を点灯させる。これにより、医療従事者等が病室に入ってきたときに、自動的に病室の照明器具20が点灯し、明るくなる。これにより、照度センサ15により検出される照度が、所定の照度以上となったか否かを判定する際の判定精度を向上させることができる。従って、患者の睡眠への影響を低減しつつ、医療事故を防止する効果を増進することができる。
【0073】
上記実施形態において、例えば、医療機器10にエラーが発生したか否かを判定する(ステップS11)ために、別に第3所定の照度を設けてもよい。これにより、エラーの発生を照度変化によっても検出することができる。また、第3所定の照度は、同室内における他の医療機器10′にエラーが発生した際に、医療器10の照度センサ15により検出可能な範囲に設定されてもよい。この場合、他の医療機器10′のエラー発生時の報知によって、制御部11が医療機器10の周辺の照度が第2所定の照度以上であると判定し、上記実施形態と同様に処理が実行されてよい。この場合、医療機器10′が上記実施例に示した機能を有していない場合であっても、医療機器10によって異常を検出してエラーを報知することができる。
【0074】
本発明は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、医療機器、制御方法及び制御プログラムに関する。
【符号の説明】
【0076】
1:情報処理システム
10:医療機器
11、21:制御部
12、22:記憶部
13:表示部
14:入力部
15:照度センサ
16:報知部
17:計時部
18、28:通信部
20:照明器具
23:発光部