(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148930
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】フットカバーおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
A41B 11/00 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
A41B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050809
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】592154411
【氏名又は名称】岡本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000138554
【氏名又は名称】株式会社ユタックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吹上 正人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 貴之
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 奈緒子
【テーマコード(参考)】
3B018
【Fターム(参考)】
3B018AA03
3B018AC01
(57)【要約】
【課題】フットカバーの履き心地の低下を抑え、生産性を向上させる。
【解決手段】フットカバー(100)は、本体部を足幅方向に折り畳んだ状態の側面視において、爪先部(2)から履き口(6)の爪先側端部(6A)へ至る爪先側外縁に沿って第1接合部(7)が形成され、踵部(3)から履き口(6)の踵側端部(6B)へ至る踵側外縁に沿って第2接合部(8)が形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の爪先を覆う爪先部と、前記足の踵を覆う踵部と、前記足の足裏を覆う足底部とを含み、前記足を出し入れする履き口が前記足底部とは反対側に形成された本体部を備えるフットカバーであって、
前記本体部は、前記本体部を足幅方向に略二等分する中心線に沿って折り畳んだ状態の側面視において、前記履き口を除く外縁の一部に接合部が形成され、
前記接合部は、
前記外縁のうち、前記爪先部から前記履き口の爪先側端部へ至る外縁である爪先側外縁、および前記踵部から前記履き口の踵側端部へ至る外縁である踵側外縁に沿って形成されるか、または、
前記外縁のうち、前記足底部の外縁である足底側外縁に沿って形成される、フットカバー。
【請求項2】
前記本体部は、1枚の生地から構成されており、
前記接合部において、前記1枚の生地の端部が接合される、請求項1に記載のフットカバー。
【請求項3】
前記本体部は、複数の生地から構成されており、
前記複数の生地は、少なくとも前記爪先部を含む爪先側生地と、前記踵部を含む踵側生地と、を含む、請求項1に記載のフットカバー。
【請求項4】
前記接合部において、前記本体部の生地が無縫製接合される、請求項1から3のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項5】
前記本体部の生地よりも高い摩擦力を有する素材から構成される滑り止め部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項6】
前記足底部に、該足底部の生地とは異なる生地が積層される、請求項1から5のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項7】
足の爪先を覆う爪先部と、前記足の踵を覆う踵部と、前記足の足裏を覆う足底部とを含み、前記足を出し入れする履き口が前記足底部とは反対側に形成された本体部を備えるフットカバーの製造方法であって、
前記本体部を構成する生地を形成する形成工程と、
形成した前記生地を足幅方向に略二等分する中心線に沿って折り畳んだ状態で、前記履き口を除く前記生地の外縁の一部を接合して前記本体部を形成する接合工程とを含み、
前記接合工程にて、
前記外縁のうち、前記爪先部から前記履き口の爪先側端部へ至る外縁である爪先側外縁、および前記踵部から前記履き口の踵側端部へ至る外縁である踵側外縁に沿って前記生地を接合するか、または、
前記外縁のうち、前記足底部の外縁である足底側外縁に沿って前記生地を接合する、フットカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットカバーおよびフットカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の生地を接合することで形成された2枚剥ぎのフットカバーが知られている。2枚剥ぎのフットカバーでは、一般的に、着用者の足底を覆う足底生地とその他の部分を覆う側面生地とをミシンで縫製することで形成される。
【0003】
この種のフットカバーに関し、特許文献1には、2枚の生地を接着テープで接合されることにより無縫製で形成されるフットカバーが記載されている。また、特許文献2には、足を左右に分割した形状の生地を中央で縫合することにより形成されるレッグウェアが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-95996号公報
【特許文献2】特開2005-179868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフットカバーでは、下記の通り、生地同士を接合する接合部によって履き心地が低下する、またはフットカバーの生産性が低下するという問題がある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載のフットカバーでは、足底部周縁および踵部に生地同士の接合部が存在する。このため、フットカバー全体としての伸縮性が損なわれ履き心地が低下する。また、生地同士の接合部が、立体的に複数平面にわたって立体的に形成される。このため、人手により生地同士を接合する工程が必要となり、生産性が低下する。
【0007】
また、特許文献2に記載のレッグウェアでは、側面視において2枚の生地のうち履き口を除く部分全てを接合する必要がある。このため、接合部が多くなり、生地の伸縮性が損なわれ履き心地が低下する。
【0008】
本発明の一態様は、生地同士の接合部を減らすことで履き心地の低下を抑え、生産性を向上させたフットカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフットカバーは、足の爪先を覆う爪先部と、前記足の踵を覆う踵部と、前記足の足裏を覆う足底部とを含み、前記足を出し入れする履き口が前記足底部とは反対側に形成された本体部を備えるフットカバーであって、前記本体部は、前記本体部を足幅方向に略二等分する中心線に沿って折り畳んだ状態の側面視において、前記履き口を除く外縁の一部に接合部が形成され、前記接合部は、前記外縁のうち、前記爪先部から前記履き口の爪先側端部へ至る外縁である爪先側外縁、および前記踵部から前記履き口の踵側端部へ至る外縁である踵側外縁に沿って形成されるか、または、前記外縁のうち、前記足底部の外縁である足底側外縁に沿って形成される。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフットカバーの製造方法は、足の爪先を覆う爪先部と、前記足の踵を覆う踵部と、前記足の足裏を覆う足底部とを含み、前記足を出し入れする履き口が前記足底部とは反対側に形成された本体部を備えるフットカバーの製造方法であって、前記本体部を構成する生地を形成する形成工程と、形成した前記生地を足幅方向に略二等分する中心線に沿って折り畳んだ状態で、前記履き口を除く前記生地の外縁の一部を接合して前記本体部を形成する接合工程とを含み、前記接合工程にて、前記外縁のうち、前記爪先部から前記履き口の爪先側端部へ至る外縁である爪先側外縁、および前記踵部から前記履き口の踵側端部へ至る外縁である踵側外縁に沿って前記生地を接合するか、または、前記外縁のうち、前記足底部の外縁である足底側外縁に沿って前記生地を接合する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、フットカバーの履き心地の低下を抑え、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る着用状態のフットカバーの外観を示す斜視図である。
【
図2】前記フットカバーの生地の形状を示す図である。
【
図3】足幅方向に折り畳んだ状態の前記フットカバーを、外側側辺部側から見た状態を示す側面図である。
【
図4】変形例に係る着用状態のフットカバーの外観を示す斜視図である。
【
図5】前記フットカバーの生地の形状を示す展開図である。
【
図6】足幅方向に折り畳んだ状態のフットカバーを、外側側辺部側から見た状態を示す側面図である。
【
図7】変形例に係る着用状態のフットカバーの外観を示す斜視図である。
【
図8】生地に別体の生地を付加した状態を示す図である。
【
図9】実施形態2に係る着用状態のフットカバーの外観を示す斜視図である。
【
図11】変形例に係るフットカバーの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
<フットカバー100の構成>
以下、本発明の一実施形態について、
図1~3を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る着用状態のフットカバー100の外観を示す斜視図である。
図2は、フットカバー100の生地1の形状を示す展開図である。
図3は、足幅方向に折り畳んだ状態のフットカバー100を、外側側辺部4B側から見た状態を示す側面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るフットカバー100は、足Fの爪先を覆う爪先部2、足Fの踵を覆う踵部3、足Fの両側面を覆う2つの側辺部4(4A・4B)、足Fの足裏を覆う足底部5を含む本体部101を備えるフットカバーである。本体部101には、足底部5と反対側に足Fを出し入れするための開口部である履き口6が形成される。側辺部4のうち、足Fの親指側側面を覆う部分が内側側辺部4Aであり、足Fの小指側側面を覆う部分が外側側辺部4Bである。
【0015】
なお、以下、本明細書において、本体部101(フットカバー100)を足幅方向に折り畳んだ状態とは、左右の側辺部4である内側側辺部4Aと外側側辺部4Bとが互いに正対するように、本体部101を足幅方向に略二等分する中心線Rに沿って本体部101を折り畳んだ状態をいう。この中心線Rは、本体部101を足幅方向に概ね二等分する線であればよく、本体部101を足幅方向に二等分する線、および該線から多少のずれを有する線を含む。換言すれば、中心線Rは、本体部(足底部5)の足幅方向の略中間点を通る足長方向に延びる線である。
【0016】
図2に示すように、本実施形態に係る本体部101は、所望の形状に裁断された1枚の生地1から構成される。生地1において、符号Pで示す側が本体部101の爪先部2側となり、これに対して符号Qで示す側が本体部101の踵部3側となる。生地1は、展開した状態で足底部5側が繋がった形状である。生地1は、爪先側外縁に第1被接合部11および第2被接合部12を有する。また、生地1は、踵側外縁に第3被接合部13および第4被接合部14を有する。第1被接合部11と第2被接合部12、並びに、第3被接合部13と第4被接合部14とは、生地1を左右に略二等分する中心線Rに対して対称な形状である。生地1の外縁において符号15で示す、中心線Rを挟んで互いに対向する2つの外縁は接合されず、本体部101の履き口6を形成する。
【0017】
図3に示すように、本体部101は、足幅方向に折り畳んだ状態の側面視において、履き口6を除く外縁10のうちの一部だけが接合されることにより、足Fを収容可能な袋状に形成される。本実施形態では、本体部101は、爪先部2から履き口6の爪先側端部6Aへ至る爪先側外縁に沿って、生地1の爪先側の端部同士を接合する第1接合部(接合部)7が形成される。また、本体部101は、踵部3から履き口6の踵側端部6Bへ至る踵側外縁に沿って、生地1の踵側の端部同士を接合する第2接合部(接合部)8が形成される。第1接合部7は、
図2に示す第1被接合部11と第2被接合部12とが接合されて形成される。また、第2接合部8は、
図2に示す第3被接合部13と第4被接合部14とが接合されて形成される。
【0018】
このように、本体部101の外縁10のうち、本体部101の爪先側外縁および踵側外縁が接合されることにより足Fを収容可能な袋状に本体部101が形成される。
【0019】
本体部101の生地1は、伸縮性を有するものであればよく、例えば編地が好ましいが、織地であってもよい。生地1の素材には、例えばナイロンまたはポリエステル等を用いることができる。また、生地1の形状は、
図2に示すように中心線Rに対して左右対称であってもよいが、本体部101の形状を左右の足Fの形状に合わせる場合、生地1は左右非対称であってもよい。さらに、生地1として裁断部の後始末が必要のない生地(以下、切りっぱなし生地)を用いた場合、本体部101の製造時に履き口6の端部が解れなくするための処理を行う必要がなくなる。このため、生地1として切りっぱなし生地を用いることが好ましい。
【0020】
なお、フットカバー100は、生地1よりも足Fに対して高い摩擦力を有する素材で形成された滑り止め部9を踵部3の内側に備えていてもよい。これにより、フットカバー100のずれ・脱げを低減することができ、ずれ・脱げによる履き心地の低下を抑えることができる。滑り止め部9の素材は、生地1よりも高い摩擦力を有しているものであれば特に限定されない。例えば、滑り止め部9としてシリコン等の素材を用いることができる。なお、滑り止め部9は、本体部101の接合前に生地1に取り付けてもよく、本体部101の接合後に生地1に取り付けてもよい。
【0021】
また、第1接合部7および第2接合部8は、本体部101の内部に形成されてもよく、外部に形成されてもよい。本体部101の内部に第1接合部7および第2接合部8が形成される場合、第1接合部7および第2接合部8が外部から視認されない。このため、フットカバー100の美観を向上させることができる。一方、本体部101の外部に第1接合部7および第2接合部8が形成される場合、第1接合部7および第2接合部8が足Fに接触しないため、履き心地が向上する。
【0022】
また、第1接合部7および第2接合部8の形成方法、すなわち生地1を接合する方法は、縫製接合であってもよいし、無縫製接合であってもよい。無縫製接合によれば、縫製接合よりもフットカバー100の伸縮性が高くすることができる。ここで、縫製とは、糸状の別材を使用して生地と生地とを綴じ合わせる方法全般を指すものとし、綴じ合わせる方法(縫い方)および糸の種類は限定されない。無縫製接合は、例えば超音波融着、接着テープの貼付、熱融着、捺染、または接着剤の塗布等である。一例として、第1被接合部11または第2被接合部12に接着剤をプリントし、第1被接合部11と第2被接合部12とを重ねた後、重ね合わせた部分に熱を加えて融着させる方法によってフットカバー100が形成される。この場合、接着剤の一例として、ポリウレタンが用いられる。他の接合方法の例の具体的な内容については後述する。なお、接合の方法は、上述の方法に限られず、さらに他の方法が用いられてもよい。
【0023】
以下、フットカバー100における接合の方法の例について説明する。なお、以下の説明では、
図2に示す第1被接合部11と第2被接合部12とが接合される場合について説明するが、第3被接合部13および第4被接合部14についても同様である。なお、各被接合部における接着は、例えば線状、点状、または波状など特に限定されない。ただし、点状であれば、生地の伸縮性を阻害しないためより好ましい。
【0024】
(超音波溶着)
第1被接合部11と第2被接合部12とは、例えば、超音波溶着によって接合される。超音波溶着とは、生地1の第1被接合部11と第2被接合部12とを重ね、超音波振動と加圧をかけることによって、生地1の接合面に摩擦熱を発生させ、瞬時に溶融し接合する方法である。接合に超音波融着を用いる場合、フットカバー100の生地1にはナイロンまたはポリエステル等の合成繊維が用いられる。
【0025】
(接合部材)
第1被接合部11と第2被接合部12とは、例えば接着テープを用いて接合されてもよい。接着テープとは、アクリル系・シリコン系等の樹脂、または合成ゴム等の粘着性の材料からなり、シームテープミシン等を用いることで当該接着テープを加熱融着させることで、生地1同士が接合される。
【0026】
(熱融着)
第1被接合部11と第2被接合部12とは、例えば、熱融着によって接合されてもよい。熱融着とは、生地1の第1被接合部11と第2被接合部12とを重ね、重ね合させた部分に熱を加えて融着させる方法である。この方法によると、接合される生地1の伸縮性を損なわずに接着することができる。
【0027】
(接着剤)
第1被接合部11と第2被接合部12とは、例えば、接着剤によって接合されてもよい。生地1の第1被接合部11と第2被接合部12とを重ね合わせ、重ね合わせた部分にジェット塗布機等を用いて接着剤を塗布し、熱融着によって接合する。または、加熱しなくとも接合できる接着剤を塗布して接合してもよい。接着剤は、リキッドタイプ樹脂、フィルムタイプまたはパウダータイプの接着剤等を用いることができる。また、接着剤の素材としては、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル、オレフィン、スチレン、またはブタジエン等を用いることができる。
【0028】
<フットカバー100の製造方法>
以下、本実施形態に係るフットカバー100製造方法について説明する。フットカバー100の製造方法は、フットカバー100の材料となる生地を裁断し、所望の形状の生地1を形成する形成工程と、生地1を接合することで本体部101を形成する接合工程と、を含む。
【0029】
フットカバー100の製造方法では、まず形成工程にて、所望のパターンに沿って伸縮性を有する生地を裁断して、略平面的かつ継ぎ目のない生地1を形成する。裁断した生地1の形状は、一例として
図2に示す形状である。
【0030】
次に、接合工程にて、裁断した生地1を足幅方向に略二等分する中心線Rに沿って折り畳んだ状態で、履き口6を除く生地1の外縁の一部を接合して本体部101を形成する。具体的には、第1被接合部11と第2被接合部12とを接合し、第1接合部7を形成する。また、第3被接合部13と第4被接合部14とを接合し、第2接合部8を形成する。これにより、足Fを収容可能な袋状の本体部101が形成される。
【0031】
なお、接合工程にて、第1被接合部11および第2被接合部12を互いに重ねて、超音波溶着し、溶着された領域のうち余分な重ね部をカットして、第1接合部7を形成してもよい。さらに、フットカバー100を踵部3側から見た状態において、第1接合部7が延伸する方向に沿って、第1接合部7上に帯状の接合部材を貼ってもよい。さらに第1接合部7を、当該帯状の接合部材によって接合してもよい。これにより、第1接合部7の厚みを薄くすることができ、履き心地が向上する。第2接合部8についても同様である。
【0032】
<フットカバー100の効果>
本実施形態に係るフットカバー100は、足Fの爪先を覆う爪先部2と、足Fの踵を覆う踵部3と、足Fの足裏を覆う足底部5とを含み、足Fを出し入れする履き口6が足底部5とは反対側に形成された本体部101を備える。本体部101を足幅方向に略二等分する中心線Rに沿って本体部101を折り畳んだ状態の側面視において、履き口6を除く外縁10の一部に第1接合部(7)および第2接合部(8)が形成される。第1接合部(7)は、外縁10のうち、爪先部2から履き口6の爪先側端部6Aへ至る爪先側外縁に形成され、第2接合部(8)は、踵部3から履き口6の踵側端部6Bへ至る踵側外縁に沿って形成される。
【0033】
フットカバー100は、接合工程にて第1被接合部11および第2被接合部12と、第3被接合部13および第4被接合部14とを接合することで本体部101が形成される。このため、フットカバー100では、従来のフットカバーよりも接合部が少ないので、生地の伸縮性が損なわれにくい。
【0034】
また、第1接合部7および第2接合部8は、略同一平面上に存在する。このため、立体的な複数平面にわたって接合部が形成される従来のフットカバーに比べて接合が容易であり、一度の位置合わせで生地を接合するができる。これにより、フットカバー100の製造における接合工程を簡略化することができ、従来よりも生産性を向上させることができる。
【0035】
したがって、本実施形態によれば、接合部を減らすことで履き心地の低下を抑え、生産性を向上させたフットカバー100を提供することができる。
【0036】
<変形例>
上述した実施形態では、爪先部2および踵部3の外縁の生地1が接合されることで本体部101が形成されていたが、他の部分を接合することで本体部101を形成してもよい。
図4は、本発明の変形例に係る着用状態のフットカバー100Aの外観を示す斜視図である。
図4に示すように、フットカバー100Aでは、足底部5に第3接合部16を有する。
【0037】
図5は、生地1Aの形状を示す展開図である。
図5に示すように、生地1Aは、外縁において、爪先側端部から踵側端部までの領域の一方に第5被接合部17を有し、他方に第6被接合部18を有する。本体部101は、生地1Aの第5被接合部17と第6被接合部18とを接合することによって、足Fを収容可能な袋状に形成される。一例として生地1Aは、
図5に示すように、中心線Rに対して対称な楕円形状である。生地1Aは、踵側端部に近い位置に、中心線Rに対して対称な楕円形状の開口部を有する。生地1Aにおいて、第5被接合部17と第6被接合部18とが接合された部分は、
図4に示す本体部101の第3接合部16となる。
【0038】
図6は、足幅方向に折り畳んだ状態のフットカバー100Aを外側側辺部4B側から見た状態を示す図である。
図6に示すように、フットカバー100Aにおいて、足幅方向に折り畳んだ状態のフットカバー100Aを外側側辺部4B側から見た場合、第3接合部16は、フットカバー100Aの外縁10に位置する。換言すると、フットカバー100Aでは、外縁10のうち、足底部5の爪先側端部から踵側端部までが接合される。このとき、第3接合部16は、略同一平面上に形成されるため、フットカバー100Aは、1度の接合で本体部101の全体が形成される。これにより、フットカバー100Aの製造における接合工程を簡略化することができ、従来よりも生産性を向上させることができる。
【0039】
なお、フットカバー100Aを形成するための生地1Aの形状は、上述したものに限られなし。生地1Aの形状は、本体部101全体が形成される際、足底部5に第3接合部16が形成されればよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、フットカバー100の本体部101は、1枚の生地1のみによって構成されていたが、生地1とは別の生地等の素材を付加してもよい。すなわち、フットカバー100は、本体部101に異なる生地1Bが積層されていてもよい。
図7は、変形例に係る着用状態のフットカバー100Bの外観を示す斜視図である。
図7に示すように、フットカバー100Bでは、本体部101の足底部5に異なる生地1Bが積層されている。
【0041】
図8は、生地1に生地1Bを付加した状態を示す図である。一例として、
図8に示すように、生地1の足底部5に該当する部分に綿混素材等の生地1Bを乗せ、第1接合部7および第2接合部8の接合と同時に生地1Bを生地1に接合してもよい。具体的には、生地1Bの外縁部に接着剤等を塗布し、接着剤が塗布された側が生地1に接触するように生地1Bを載置する。次に、生地1および生地1Bを中心線Rに沿って折る。このとき、生地1は生地1Bを挟み込むように折り畳まれる。その後、生地1および生地1Bを加熱し、熱圧着を行う。これにより、足底部5に生地1Bが付加的に接合されたフットカバー100Bを形成することができる。なお、フットカバー100Bを製造する場合、製造時の工程を減らすため、接合方法として無縫製接合を用いることが好ましい。
【0042】
上述の方法によると、生地1Bを積層した場合であっても、一度の接合でフットカバー100Bの全体を形成することができるため、別途接合の工程を追加する必要がなく、高い生産性を維持することができる。なお、積層される生地1Bは、綿混生地以外の素材であってもよい。例えば、生地1Bとして、蒸れを抑制するための吸湿性・吸水性を有する素材、消臭性を有する素材、クッション性を有する素材、または足底部5とフットカバー100Bの他の部分とのずれを低減するための滑り止めを積層してもよい。これにより、フットカバー100Bの履き心地をさらに向上させることができる。また、生地1Bが積層される箇所は、足底部5でなくともよい。例えば、生地1の爪先部2を形成する領域にクッション性を有する素材等の生地1Bを積層して接合を行うことでフットカバー100Bを形成してもよい。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0044】
図9は、本実施形態に係る着用状態のフットカバー100Cの外観を示す斜視図である。
図10は、生地1Cおよび生地1Dの形状を示す図である。
図9に示すように、本実施形態に係るフットカバー100Cは、複数の生地から構成され、フットカバー100の構成に加えて、側辺部4の両側および足底部5に第4接合部19が形成される。
【0045】
図10に示すように、本実施形態に係るフットカバー100Cは、爪先部2を含む生地1C(爪先側生地)および踵部3を含む生地1D(踵側生地)の2枚の生地を接合することによって構成される。生地1Cは、第1被接合部11および第2被接合部12を備え、生地1Dは第3被接合部13および第4被接合部14を備える。また、生地1Cは、踵側端部に第7被接合部20をさらに備える。また、生地1Dは、爪先側端部に第8被接合部21をさらに備える。第7被接合部20と第8被接合部21とは、中心線Rに対して垂直な線について対称な形状を有する領域である。
【0046】
第7被接合部20と第8被接合部21とが接合されることで、生地1Cと生地1Dとが繋がる。生地1Cと生地1Dとが接合された生地は、生地1と同形状の1枚の生地となり、第7被接合部20と第8被接合部21とが接合された部分がフットカバー100Cの側辺部4の第4接合部19となる。第7被接合部20と第8被接合部21とを接合する方法は、第1被接合部11と第2被接合部12とを接合する方法と同様の方法を用いることができる。
【0047】
このように、本体部101は、1枚の生地から構成されていてもよく、複数の生地から構成されていてもよい。
【0048】
<変形例>
上述した実施形態では、爪先部2側端部Pと踵部3側端部Qとの間を略等分する形状の生地を用いていたが、2枚の生地1C・1Dは、それらが接合されることによってフットカバー100Cを形成することが可能な形状であればよい。例えば、生地1Cは、爪先部2が形成される領域のみを含む生地であり、生地1Dが踵部3、側辺部4、および履き口6を形成する領域を含む生地であってもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、爪先部2側におよび踵部3側に第1接合部7および第2接合部8を有し、2枚の生地1C・1D接合することによって形成されるフットカバー100Cについて説明したが、接合される箇所はこれに限られない。
【0050】
図11は、変形例に係るフットカバー100Dの外観を示す斜視図である。
図11に示すように、フットカバー100Dは、足底部5に第3接合部16を有し、側辺部4に第4接合部19を有する。
【0051】
図12は、生地1Eおよび生地1Fの形状を示す図である。フットカバー100Dは、2枚の生地1E・生地1Fを前後に接合することによって形成される。生地1Eは、フットカバー100Dの爪先部2が形成される側の生地であり、生地1Fは、フットカバー100Dの踵部3が形成される側の生地である。生地1Eと生地1Fとが接合されることで、生地1Aと同形状の生地が形成される。
【0052】
図12に示すように生地1Eは、第5被接合部17A、第6被接合部18A、および第9被接合部22を備える。第9被接合部22は、生地1Eにおいて、踵側端部に位置する領域である。また、生地1Fは、第5被接合部17B、第6被接合部18B、および第10被接合部23を備える。第10被接合部23は、生地1Fにおいて、爪先側端部に位置する領域である。第9被接合部22と第10被接合部23とが接合されることで、生地1Eと生地1Fとが接合され、生地1Aと同様の形状を有する1枚の生地となる。なお、生地1Eの踵側端部の中央付近および生地1Fの爪先側端部の中央付近には生地が存在しないため開口部が形成される。当該開口部は、フットカバー100Dの履き口6となる。
【0053】
生地1Eと生地1Fとが接合されることで、第5被接合部17Aと第5被接合部17Bとが繋がり、生地1Aにおける第5被接合部17と同形状の領域となる。また、第6被接合部18Aと第6被接合部18Bとが繋がり、第6被接合部18と同形状の領域となる。
【符号の説明】
【0054】
1、1A~1F 生地
2 爪先部
3 踵部
4 側辺部
5 足底部
6 履き口
7 第1接合部(接合部)
8 第2接合部(接合部)
16 第3接合部(接合部)
10 外縁
100、100A~100D フットカバー
101 本体部