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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148932
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B62D25/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050811
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】奥中 盛雄
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA14
3D203BB33
3D203BB35
3D203CA23
3D203CA30
3D203CA52
3D203CB19
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えつつ、フロントパネルの上下の広い範囲で後方への変形を抑える。
【解決手段】ダッシュパネルは、車室4の前方で起立する。フロントパネル9は、ダッシュパネルの前方で起立してダッシュパネルに対向する。フロントパネル9は、上下2つに分割され、ロアパネル13とグリルパネル14とを有する。左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26は、ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔と、グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔とを有する。左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26は、ダッシュパネルの上部の高さ位置からダッシュパネルの下部の高さ位置まで上下方向に延び、ロアパネル13、及びグリルパネル14の後面に沿って上下方向に延びて各パネル13,14を後方から支持する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前方で起立するダッシュパネルと、
前記ダッシュパネルの前方に配置されて前記ダッシュパネルに対向するフロントパネルと、
前記ダッシュパネルに固定されるダッシュパネル固定部と、前記フロントパネルに固定されるフロントパネル固定部とを有し、前記ダッシュパネルと前記フロントパネルとの間に配置されて、前記ダッシュパネルの上部の高さ位置から前記ダッシュパネルの下部の高さ位置まで上下方向に延びるブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、前記フロントパネルの後面に沿って上下方向に延びて前記フロントパネルを後方から支持する
ことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の前部構造であって、
前記フロントパネルの車幅方向両側に配置される左右のフロントサイドパネルを備え、
前記ブラケットは、複数設けられ、
前記複数のブラケットは、前記ダッシュパネルの車幅方向両側に設けられる左右一対のブラケットを含み、
前記左右のブラケットは、前記フロントサイドパネルを固定するフロントサイドパネル固定部をそれぞれ有し、前記フロントパネルの車幅方向両側の外端部の後面に沿って上下方向に延びる
ことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の前部構造であって、
前記複数のブラケットは、前記左右のブラケット間に配置される中間ブラケットを含む
ことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の車両の前部構造であって、
前記フロントパネルは、第1フロントパネルと、前記第1フロントパネルの上方に隣接する位置に配置される第2フロントパネルとを有し、
前記ブラケットは、前記フロントパネル固定部を複数有し、
前記複数のフロントパネル固定部は、前記第1フロントパネルを固定する第1フロントパネル固定部と、前記第2フロントパネルを固定する第2フロントパネル固定部とを含む
ことを特徴とする車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体フロント構造が記載されている。車体フロント構造は、エンジンルームの前方に位置し、前部座席を含む乗員空間を区画するダッシュパネルと、ダッシュパネルの前面に対向して設けられるフロントパネルと、フロントパネルをボディに固定するためのフロントパネルブラケットと、を備えている。フロントパネルブラケットのブラケット本体は、フロントパネルに対向して設けられてフロントパネルに固定される第1取付部と、第1取付部の両端に連続される一対の脚部と、各脚部に連続されるとともにダッシュパネルに対向して設けられてダッシュパネルに固定される一対の第2取付部と、を備えている。フロントパネルをフロントパネルブラケットの第1取付部に固定することによって、フロントパネルブラケットを介してフロントパネルをダッシュパネルに固定する。なお、同公報では、フロントパネルの車幅方向両側に配置される左右のフロントサイドパネルが、左右のブラケットを介してダッシュパネルに固定された状態が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-38271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば歩行者保護の観点等から、前方から荷重が入力した際のフロントパネルの後方への変形を抑えたい場合がある。しかし、特許文献1に記載の車体フロント構造では、フロントパネルブラケット(ブラケット)がフロントパネルの上下方向の一部の領域を後方から支持しているので、ブラケットよりも上方または下方の領域ではフロントパネルの後方への変形を抑えることができない可能性がある。フロントパネルの上下の広い範囲で後方への変形を抑えるためにブラケットよりも上方または下方の領域に他のブラケットを追加することが考えられるが、ブラケットを追加すると部品点数が増大してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、部品点数を抑えつつ、フロントパネルの上下の広い範囲で後方への変形を抑えることが可能な車両の前部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の車両の前部構造は、ダッシュパネルとフロントパネルとブラケットとを備える。ダッシュパネルは、車室の前方で起立する。フロントパネルは、ダッシュパネルの前方に配置されてダッシュパネルに対向する。ブラケットは、ダッシュパネルに固定されるダッシュパネル固定部と、フロントパネルに固定されるフロントパネル固定部とを有し、ダッシュパネルとフロントパネルとの間に配置されて、ダッシュパネルの上部の高さ位置からダッシュパネルの下部の高さ位置まで上下方向に延びる。ブラケットは、フロントパネルの後面に沿って上下方向に延びてフロントパネルを後方から支持する。
【0007】
上記構成では、ブラケットが、ダッシュパネルの上部の高さ位置からダッシュパネルの下部の高さ位置まで上下方向に延びるので、ブラケットの上下方向の長さを長く確保することができる。また、ブラケットが、フロントパネルの後面に沿って上下方向に延びてフロントパネルを後方から支持する。このため、ブラケットの上下方向の長さを長く確保して、フロントパネルの上下の広い範囲をブラケットによって後方から支持することができるので、フロントパネルの上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【0008】
また、ダッシュパネルの上部の高さ位置からダッシュパネルの下部の高さ位置まで上下方向に延びるブラケットが、フロントパネルの後面に沿って上下方向に延びてフロントパネルを後方から支持するので、複数のブラケットを上下方向に並べて配置する場合とは異なり、部品点数を抑えることができる。
【0009】
従って、部品点数を抑えつつ、フロントパネルの上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の車両の前部構造であって、左右のフロントサイドパネルを備える。左右のフロントサイドパネルは、フロントパネルの車幅方向両側に配置される。ブラケットは、複数設けられる。複数のブラケットは、ダッシュパネルの車幅方向両側に設けられる左右一対のブラケットを含む。左右のブラケットは、フロントサイドパネルを固定するフロントサイドパネル固定部をそれぞれ有し、フロントパネルの車幅方向両側の外端部の後面に沿って上下方向に延びる。
【0011】
上記構成では、左右のブラケットが、フロントパネルの車幅方向両側の外端部の後面に沿って上下方向に延びるので、フロントパネルの車幅方向両側の外端部の上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【0012】
また、左右のブラケットは、フロントサイドパネルを固定するフロントサイドパネル固定部をそれぞれ有するので、フロントパネル用のブラケットとフロントサイドパネル用のブラケットとを共通化することができ、部品点数を抑えることできる。
【0013】
本発明の第3の態様は上記第2の態様の車両の前部構造であって、複数のブラケットは、左右のブラケット間に配置される中間ブラケットを含む。
【0014】
上記構成では、中間ブラケットが左右のブラケット間に配置されるので、フロントパネルの車幅方向両側の外端部のみならず、フロントパネルの車幅方向の中間部分もブラケット(中間ブラケット)によって後方から支持することができる。このため、フロントパネルの左右のブラケット間の領域の上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様~上記第3の態様のいずれかの車両の前部構造であって、フロントパネルは、第1フロントパネルと、第1フロントパネルの上方に隣接する位置に配置される第2フロントパネルとを有する。ブラケットは、フロントパネル固定部を複数有する。複数のフロントパネル固定部は、第1フロントパネルを固定する第1フロントパネル固定部と、第2フロントパネルを固定する第2フロントパネル固定部とを含む。
【0016】
上記構成では、ブラケットの複数のフロントパネル固定部は、第1フロントパネルを固定する第1フロントパネル固定部と、第2フロントパネルを固定する第2フロントパネル固定部とを含む。このため、フロントパネルが、上下に(第1フロントパネルと第2フロントパネルとに)分割されて形成される場合であっても、第1フロントパネル用のブラケットと第2フロントパネル用のブラケットとを共通化することができるので、第1フロントパネル用のブラケットと第2フロントパネル用のブラケットとを個別に設ける場合とは異なり、部品点数を抑えることできる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、部品点数を抑えつつ、フロントパネルの上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る前部構造を適用した車両のキャブの斜視図である。
図2図1のキャブの分解図である。
図3図2のダッシュパネルの正面図である。
図4】ブラケットを取り付けた状態のダッシュパネルの正面図である。
図5】外側ブラケットの正面図である。
図6】内側ブラケットの正面図である。
図7図1のキャブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれを示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る前部構造は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)の上方に配置されるキャブオーバー型の車両1に適用される。キャブ2は、梯子状の車体フレーム3の前部の上方に配置されて、車体フレーム3に下方から支持される。
【0021】
図1及び図2に示すように、キャブ2は、箱状に形成されて車両1の前部に配置され、内部に車室4を区画する。キャブ2の前部には、車室4の前方を区画するダッシュパネル11が配置され、ダッシュパネル11には、アッパーパネル12が直接的に固定され、また、フロントパネル9、左右1対のフロントサイドパネル15、及び左右のヘッドランプ16が複数のブラケット17を介してが固定される。フロントパネル9は、ダッシュパネル11の前方で起立してダッシュパネル11に対向するパネルであって、本実施形態では、上下2つに分割され、ロアパネル(第2フロントパネル)13とグリルパネル(第1フロントパネル)14とを有する。複数のブラケット17は、左右の外側ブラケット(左右一対のブラケット)25と、左右の外側ブラケット25間に配置される内側ブラケット(中間ブラケット)26とを含み、ダッシュパネル11に固定される。
【0022】
図2及び図3に示すように、ダッシュパネル11は、車室4の前方で起立するパネルであって、前後方向と交叉する板状に形成され、キャブ2のフロアパネル5の前端縁部に沿って起立する。本実施形態では、ダッシュパネル11は、車幅方向に長尺の略矩形状に形成される。ダッシュパネル11の車幅方向両側には、キャブ2の左右のサイドパネル6の前端縁部が固定される。ダッシュパネル11の上端部には、複数のブラケット17を固定するための複数の上部ボルト挿通孔19が形成される。本実施形態では、複数の上部ボルト挿通孔19は、ダッシュパネル11の車幅方向両側の外端部に設けられる左右の上部ボルト挿通孔19aと、ダッシュパネル11の車幅方向の略中央に設けられる中央の上部ボルト挿通孔19bとを有する。ダッシュパネル11の複数の上部ボルト挿通孔19の裏側(後面側)には、ナット(図示省略)が固定されている。また、ダッシュパネル11の下端部には、複数のブラケット17を固定するための複数の下部ボルト挿通孔20が形成される。本実施形態では、複数の下部ボルト挿通孔20は、ダッシュパネル11の車幅方向両側の外端部に設けられる左右の下部ボルト挿通孔20aと、ダッシュパネル11の車幅方向の略中央に設けられる中央の下部ボルト挿通孔20bとを有する。ダッシュパネル11の複数の下部ボルト挿通孔20の裏側(後面側)には、ナット(図示省略)が固定されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、アッパーパネル12は、キャブ2のフロントウィンドウ開口7の下方に配置されるパネルであって、前後方向と交叉する板状に形成され、車幅方向に長尺に延びる。アッパーパネル12は、ダッシュパネル11に対して直接的に固定される。アッパーパネル12は、ダッシュパネル11の上端部の前方に配置され、ダッシュパネル11の上端部に固定される。アッパーパネル12には、ワイパ-8のピボット8aが挿通する挿通孔21が形成される。
【0024】
ロアパネル13は、アッパーパネル12の下方に配置されるパネルであって、前後方向と交叉する板状に形成される。本実施形態では、ロアパネル13は、車幅方向に長尺の略矩形状に形成される。ロアパネル13は、ダッシュパネル11から前方へ離間する位置に配置されてダッシュパネル11に対向する。ロアパネル13は、予めダッシュパネル11に固定された左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26に対して固定される。ロアパネル13の上端縁部は、アッパーパネル12の下端縁部に隣接する。ロアパネル13の車幅方向外端部は、ダッシュパネル11の車幅方向外端部の前方に位置する。
【0025】
グリルパネル14は、キャブ2の下方の空間23(図3及び図4参照)への通気口として機能するグリル部22を有するパネルであって、前後方向と交叉する板状に形成される。本実施形態では、グリルパネル14は、車幅方向に長尺の略矩形状に形成される。グリルパネル14は、予めダッシュパネル11に固定された左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26に対して固定される。グリルパネル14のグリル部22は、グリルパネル14の下端側の幅方向の中央部に設けられ、網目状に形成され、フロアパネル5の下方の空間23(キャブ2の下方の空間23)の前方に配置される。グリルパネル14のうちグリル部22の上方の領域は、ダッシュパネル11から前方へ離間する位置に配置されてダッシュパネル11に対向する。グリルパネル14の上端縁部は、ロアパネル13の下端縁部に隣接する。すなわち、ロアパネル13は、グリルパネル14の上方に隣接する位置に配置される。
【0026】
左右のフロントサイドパネル15は、キャブ2の前端の車幅方向両側の角部に配置されるパネルであって、アッパーパネル12及びロアパネル13の車幅方向両側に配置される。左右のフロントサイドパネル15は、キャブ2のフロントウィンドウ開口7の車幅方向両側のピラー24の下方に配置される。左右のフロントサイドパネル15は、予めダッシュパネル11に固定された左右の外側ブラケット25に対して固定される。
【0027】
左右のヘッドランプ16は、左右のフロントサイドパネル15の下方、且つグリルパネル14の車幅方向両側に配置される。左右のヘッドランプ16は、予めダッシュパネル11に固定された左右の外側ブラケット25に対して固定される。
【0028】
図4及び図5に示すように、複数のブラケット17のうちの左右の外側ブラケット25は、ダッシュパネル11の車幅方向両側の外端部の前方に配置されて、ダッシュパネル11に固定される。なお、左右の外側ブラケット25は、ダッシュパネル11の左右に対称的に設けられて、略同様の構成を有するため、以下では、左側の外側ブラケット25について説明し、右側の外側ブラケット25の説明を省略する。
【0029】
左側の外側ブラケット25(以下、単に「外側ブラケット25」という。)は、前後方向と交叉する板状に形成されて、ダッシュパネル11の上端部から下端部まで上下方向に長尺に延びる。すなわち、外側ブラケット25は、ダッシュパネル11の上部の高さ位置からダッシュパネル11の下部の高さ位置まで上下方向に延びる。外側ブラケット25は、外側ブラケット25の上端部に形成される上部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)28と、外側ブラケット25の下端部に形成される下部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)29と、パネル固定用の複数のボルト挿通孔30と、ヘッドランプ16を固定するためのボルト挿通孔18とを有する。外側ブラケット25の各ボルト挿通孔30,18の裏側(後面側)には、ナット(図示省略)が固定されている。外側ブラケット25の上端部は、上部ボルト挿通孔28及びダッシュパネル11の上部ボルト挿通孔19aを挿通するボルト40によって、ダッシュパネル11の上端部に固定される。外側ブラケット25の下端部は、下部ボルト挿通孔29及びダッシュパネル11の下部ボルト挿通孔20aを挿通するボルト41によって、ダッシュパネル11の下端部に固定される。すなわち、外側ブラケット25は、ダッシュパネル11の上部の高さ位置に固定される上部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)28と、ダッシュパネル11の下部の高さ位置に固定される下部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)29とを有する。外側ブラケット25は、ロアパネル13、グリルパネル14、及び左右1対のフロントサイドパネル15の後面に沿って上下方向に延び、各パネル13,14,15を後方から支持する。なお、ダッシュパネル11の上部の高さ位置とは、ダッシュパネル11の上下方向の中央(図4に一点鎖線で示す位置)よりも上方の高さ位置を意味し、ダッシュパネル11の下部の高さ位置とは、ダッシュパネル11の上下方向の中央よりも下方の高さ位置を意味する。
【0030】
外側ブラケット25のパネル固定用の複数のボルト挿通孔30は、ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔(第2フロントパネル固定部)31と、グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔(第1フロントパネル固定部)32と、フロントサイドパネル15を固定するためのボルト挿通孔(フロントサイドパネル固定部)33とを有する。ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔31は、本実施形態では、外側ブラケット25の上部の車幅方向内端部に2箇所設けられ、上下に離間して配置される。グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔32は、本実施形態では、外側ブラケット25の下部の車幅方向内端部に2箇所設けられ、上下に離間して配置される。フロントサイドパネル15を固定するためのボルト挿通孔33は、本実施形態では、外側ブラケット25の上部の車幅方向外端部に2箇所設けられ、ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔31よりも車幅方向外側に上下に離間して配置される。なお、各ボルト挿通孔31,32,33を設ける数は、上記に限定されるものではない。
【0031】
ヘッドランプ16を固定するためのボルト挿通孔18は、外側ブラケット25の下部に設けられ、グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔32の車幅方向外側に配置される。
【0032】
図4及び図6に示すように、内側ブラケット26は、ダッシュパネル11の車幅方向の中央部に配置されて上下方向に延び、ダッシュパネル11に固定される。内側ブラケット26は、ダッシュパネル11の上端部から下端部まで上下方向に長尺に延びる。すなわち、内側ブラケット26は、ダッシュパネル11の上部の高さ位置からダッシュパネル11の下部の高さ位置まで上下方向に延びる。本実施形態では、内側ブラケット26は、上下方向に延びる縦板部26aと、縦板部26aの下端部から車幅方向両側へ延びる横板部26bとを有する略T状に形成される。内側ブラケット26は、縦板部26aの上端部に形成される上部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)34と、横板部26bの車幅方向両側の外端部に形成される左右の下部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)35と、縦板部26aのうち上部ボルト挿通孔34よりも下方の領域に形成されるパネル固定用の複数のボルト挿通孔36とを有する。内側ブラケット26のパネル固定用の複数のボルト挿通孔36の裏側(後面側)には、ナット(図示省略)が固定されている。内側ブラケット26の上端部は、上部ボルト挿通孔34及びダッシュパネル11の車幅方向中央部の上部ボルト挿通孔19bを挿通するボルト42によって、ダッシュパネル11の上端部に固定される。内側ブラケット26の下端部は、下部ボルト挿通孔35及びダッシュパネル11の車幅方向中央部の下部ボルト挿通孔20bを挿通するボルト43によって、ダッシュパネル11の下端部に固定される。すなわち、内側ブラケット26は、ダッシュパネル11の上部の高さ位置に固定される上部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)34と、ダッシュパネル11の下部の高さ位置に固定される下部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)35とを有する。内側ブラケット26は、ロアパネル13、及びグリルパネル14の後面に沿って上下方向に延び、各パネル13,14を後方から支持する。
【0033】
内側ブラケット26のパネル固定用の複数のボルト挿通孔36は、ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔(第2フロントパネル固定部)37と、グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔(第1フロントパネル固定部)38とを有する。ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔37は、上部ボルト挿通孔34の下方近傍に配置される。グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔38は、ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔37から下方へ離間した位置に配置される。
【0034】
図7に示すように、ロアパネル13、グリルパネル14、左右のフロントサイドパネル15、及び左右のヘッドランプ16は、ダッシュパネル11に対して予め固定された左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26に固定される。なお、本実施形態では、アッパーパネル12は、ダッシュパネル11に対して直接的に固定される。ロアパネル13は、左右の外側ブラケット25のボルト挿通孔31を挿通するボルト44、及び内側ブラケット26のボルト挿通孔37を挿通するボルト45によって、左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26に固定される。グリルパネル14は、左右の外側ブラケット25のボルト挿通孔32を挿通するボルト46、及び内側ブラケット26のボルト挿通孔38を挿通するボルト47によって、左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26に固定される。ロアパネル13及びグリルパネル14を左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26に固定した状態では、左右の外側ブラケット25は、ロアパネル13及びグリルパネル14の車幅方向両側の外端部の後面に沿って上下方向に延び、内側ブラケット26は、ロアパネル13及びグリルパネル14の車幅方向中央部の後面に沿って上下方向に延びる。左右のフロントサイドパネル15は、左右の外側ブラケット25のボルト挿通孔33を挿通するボルト48によって、左右の外側ブラケット25に固定される。左右のフロントサイドパネル15を左右の外側ブラケット25に固定した状態では、左右の外側ブラケット25は、左右のフロントサイドパネル15の車幅方向内端部の後面に沿って上下方向に延びる。左右のヘッドランプ16は、左右の外側ブラケット25のボルト挿通孔18を挿通するボルト49によって、左右の外側ブラケット25に固定される。
【0035】
上記のように構成された車両1では、左右の外側ブラケット25が、ダッシュパネル11の上端部から下端部まで上下方向に長尺に延び、フロントパネル9(ロアパネル13及びグリルパネル14)の車幅方向両側の外端部の後面に沿って上下方向に延び、フロントパネル9を後方から支持する。このように、上下方向に長尺の左右の外側ブラケット25によって、フロントパネル9の車幅方向両側の外端部を後方から支持するので、フロントパネル9の車幅方向両側の外端部の上下の広い範囲で、後方への変形を抑えることができる。
【0036】
また、内側ブラケット26が、ダッシュパネル11の上端部から下端部まで上下方向に長尺に延び、フロントパネル9の車幅方向中央部の後面に沿って上下方向に延び、フロントパネル9を後方から支持する。このように、上下方向に長尺の内側ブラケット26によって、フロントパネル9の車幅方向中央部を後方から支持するので、フロントパネル9の車幅方向中央部の上下の広い範囲で、後方への変形を抑えることができる。
【0037】
また、ダッシュパネル11の上端部から下端部まで上下方向に長尺に延びる左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26が、フロントパネル9の後面に沿って上下方向に延びてフロントパネル9を後方から支持するので、外側ブラケット25及び内側ブラケット26に替えて複数のブラケットを上下方向に並べて配置する場合とは異なり、部品点数を抑えることができる。
【0038】
また、左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26は、ロアパネル13を固定するためのボルト挿通孔31,37と、グリルパネル14を固定するためのボルト挿通孔32,38とを有する。このため、本実施形態のように、フロントパネル9が、上下に分割されて形成される場合であっても、ロアパネル13用のブラケットとグリルパネル14用のブラケットとを共通化することができるので、ロアパネル13用のブラケットとグリルパネル14用のブラケットとを個別に設ける場合とは異なり、部品点数を抑えることできる。
【0039】
従って、本実施形態によれば、部品点数を抑えつつ、フロントパネル9の上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【0040】
また、左右の外側ブラケット25は、フロントサイドパネル15を固定するためのボルト挿通孔33をそれぞれ有するので、フロントパネル9用のブラケットとフロントサイドパネル15用のブラケットとを共通化することができ、部品点数を抑えることできる。
【0041】
また、左右の外側ブラケット25は、ヘッドランプ16を固定するためのボルト挿通孔18をそれぞれ有するので、ヘッドランプ16用のブラケットとフロントパネル9用のブラケットとを共通化することができ、部品点数を抑えることできる。
【0042】
また、ブラケット17(左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26)は、ダッシュパネル11の上部の高さ位置(ダッシュパネル11の上下方向の中央よりも上方の高さ位置)からダッシュパネル11の下部の高さ位置(ダッシュパネル11の上下方向の中央よりも下方の高さ位置)まで上下方向に延び、上下方向に長尺であるので、ブラケット17側の各ボルト挿通孔31,32,33,37,38の配置位置の自由度が高い。このため、例えば、車両1のモデルチェンジ等によってフロントパネル9のデザインが変更になり、ダッシュパネル11に対するフロントパネル9側の取り付け位置(ボルト固定部等)が従来の位置から移動したとしても、ブラケット17側の各ボルト挿通孔31,32,33,37,38の配置位置を変更することによって対応することができる。このように、フロントパネル9のデザイン変更等によりダッシュパネル11に対するフロントパネル9側の取り付け位置(ボルト固定部等)が従来の位置から移動する場合であっても、ダッシュパネル11側を加工することなく、ダッシュパネル11側の既存のボルト挿通孔等を利用して、フロントパネル9をダッシュパネル11に対してブラケット17を介して固定することができる。
【0043】
また、フロントパネル9をダッシュパネル11に対してブラケット17を介して固定するので、ダッシュパネル11から前方へのブラケット17の突出量によって、フロントパネル9の前後位置を設定することができる。このため、例えば、車体フレーム3とバンパ39(図1参照)との間に、衝突時の衝撃を吸収するためのクラッシュボックス(図示省略)を配置し、これにより、バンパ39が車体フレーム3側から前方へ大きく離間した位置に配置される場合であっても、ダッシュパネル11から前方へのブラケット17の突出量によって、フロントパネル9の前後位置を適切に設定することによって、フロントパネル9とバンパ39との前後の段差を抑えることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、ヘッドランプ16を固定するためのボルト挿通孔18を左右の外側ブラケット25に設け、ヘッドランプ16用のブラケットとフロントパネル9用のブラケットとを共通化したが、これに限定されるものではなく、左右の外側ブラケット25とは異なるヘッドランプ16用のブラケットを設けてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、フロントパネル9を、上下2つのパネル(ロアパネル13及びグリルパネル14)に分割された構造としたが、これに限定されるものではなく、例えば、ロアパネル13とグリルパネル14とが一体化された1つのフロントパネル9であってもよい。或いは、グリル部22を除くグリルパネル14とロアパネル13とが一体化された1つのフロントパネル9であってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、フロントサイドパネル15を固定するためのボルト挿通孔33を左右の外側ブラケット25に設け、フロントサイドパネル15用のブラケットとフロントパネル9用のブラケットとを共通化したが、これに限定されるものではなく、左右の外側ブラケット25とは異なるフロントサイドパネル15用のブラケットを設けてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、ダッシュパネル11の上部の高さ位置からダッシュパネル11の下部の高さ位置まで上下方向に延びる複数のブラケット17(左右の外側ブラケット25及び内側ブラケット26)を設けたが、これに限定されるものではない。ダッシュパネル11の上部の高さ位置からダッシュパネル11の下部の高さ位置まで上下方向に延びるブラケット17を、少なくとも1つ設けていればよく、そのブラケット17を設けた箇所では、部品点数を抑えつつ、フロントパネル9の上下の広い範囲で後方への変形を抑えることができる。
【0048】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示に係る車両の前部構造は、ダッシュパネルの前方にフロントパネルを有する車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:車両
4:車室
9:フロントパネル
11:ダッシュパネル
13:ロアパネル(第2フロントパネル)
14:グリルパネル(第1フロントパネル)
15:左右のフロントサイドパネル
17:ブラケット
25:左右の外側ブラケット(左右一対のブラケット)
26:内側ブラケット(中間ブラケット)
28:外側ブラケットの上部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)
29:外側ブラケットの下部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)
31:外側ブラケットのボルト挿通孔(第2フロントパネル固定部)
32:外側ブラケットのボルト挿通孔(第1フロントパネル固定部)
33:外側ブラケットのボルト挿通孔(フロントサイドパネル固定部)
34:内側ブラケットの上部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)
35:内側ブラケットの下部ボルト挿通孔(ダッシュパネル固定部)
37:内側ブラケットのボルト挿通孔(第2フロントパネル固定部)
38:内側ブラケットのボルト挿通孔(第1フロントパネル固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7