(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148933
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】車速検出システム
(51)【国際特許分類】
G01P 3/50 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G01P3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050813
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 久栄
(57)【要約】
【課題】車種に応じて車速信号を適切に受信する。
【解決手段】車速検出システム50は、車両の速度を検出するものであって、車両の速度に応じた車速信号を出力する出力端子21に接続される受信部60と、回路の接続状態を切り替える切替部64と、を有する車速信号検出回路52と、車両が走行している際における受信部60の車速信号の受信状況に応じて、切替部64による回路の接続状態の切り替えを制御することで、受信部60が車速信号を受信可能な状態とする切替制御部54と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を検出する車速検出システムであって、
前記車両の速度に応じた車速信号を出力する出力端子に接続される受信部と、回路の接続状態を切り替える切替部と、を有する車速信号検出回路と、
前記車両が走行している際における前記受信部の前記車速信号の受信状況に応じて、前記切替部による回路の接続状態の切り替えを制御することで、前記受信部が前記車速信号を受信可能な状態とする切替制御部と、
を有する、
車速検出システム。
【請求項2】
前記切替部は、前記出力端子と電源とを非接続状態にする第1状態と、前記出力端子と前記電源とを接続状態にする第2状態とを切り替え可能であり、
前記切替制御部は、前記第1状態において前記車両が走行している際に前記受信部が前記車速信号を受信しない場合には、前記切替部を前記第2状態とし、前記車両が走行している際に前記受信部が前記車速信号を受信した場合には、前記切替部を前記第1状態とする、請求項1に記載の車速検出システム。
【請求項3】
前記切替部は、前記出力端子と前記受信部とに並列に設けられる抵抗を接続する第3状態と、前記抵抗を非接続とする第4状態とを切り替え可能であり、
前記切替制御部は、前記第1状態において前記車両が走行している際に前記受信部が受信した前記車速信号の周波数に基づき、前記切替部を前記第3状態とするか前記第4状態とするかを判断する、請求項2に記載の車速検出システム。
【請求項4】
前記切替制御部は、前記車両が走行を開始した際の前記車速信号の周波数と、予め設定された所定パルス数とに基づき、前記車両の速度の推定値を算出し、前記推定値が閾値より低い場合には、前記切替部を前記第3状態とし、前記推定値が前記閾値以上である場合には、前記切替部を前記第4状態とする、請求項3に記載の車速検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車速検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミキサ車のミキサドラムの回転を電子制御で行う技術が知られている。例えば特許文献1には、ミキサドラムのコントローラと、コントローラに接続される表示装置とを有する制御システムが記載されている。特許文献1においては、コントローラが、車速センサから車速信号を受信し、車両が走行中であると判断した場合に、ミキサドラムの自動撹拌を開始する旨が記載されている。
【0003】
このようなミキサ車においては、車種毎に車速センサの仕様が異なるため、従来においては、車速センサから車速信号を受信する回路にディップスイッチを設けて、車種に合わせた回路構成となるように、作業者がディップスイッチを手動で切り替えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ディップスイッチを手動で切り替える場合、作業者の工数が増えてしまったり、作業者のミス等により車種に適した回路構成にできなかったりするおそれがある。車種に適した回路構成にできないと、車速信号を適切に受信することができず、車両が走行中であるかの判断ができなくなる。従って、車種に応じた回路構成に適切に切り替え可能であり、車速信号を適切に受信することが求められている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車種に応じて車速信号を適切に受信することが可能な車速検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る車速検出システムは、車両の速度を検出する車速検出システムであって、前記車両の速度に応じた車速信号を出力する出力端子に接続される受信部と、回路の接続状態を切り替える切替部と、を有する車速信号検出回路と、前記車両が走行している際における前記受信部の前記車速信号の受信状況に応じて、前記切替部による回路の接続状態の切り替えを制御することで、前記受信部が前記車速信号を受信可能な状態とする切替制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車種に応じて車速信号を適切に受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な背面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るミキサ車のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、車速信号の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、車速検出システムの模式的な回路図である。
【
図6】
図6は、車速信号検出回路の接続状態の切り替え処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な平面図であり、
図2は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な背面図であり、
図3は、本実施形態に係るミキサ車のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0012】
(ミキサ車の全体構成)
以下、
図1から
図3を参照して、本実施形態に係るミキサ車1の全体構成について説明する。本実施形態に係るミキサ車1は、ミキサドラム2内に投入されたモルタルやレディミクストコンクリート等のいわゆる生コンクリート(以下、「生コン」と称する。)を運搬する車両である。以下の説明では、ミキサ車1が積載物として生コンを積載する場合について説明する。
【0013】
図1に示すように、ミキサドラム2は、架台3に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端には生コンの投入と排出とが行われる開口部2aが設けられる。ミキサドラム2は、その回転軸Oが車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。ミキサドラム2内には、図示しないドラムブレードがドラム内壁面に沿って螺旋状に配設されており、ミキサドラム2とともにドラムブレードが回転することによって、ミキサドラム2内に積載された生コンの撹拌等が行われる。
【0014】
図2に示すように、ミキサドラム2の開口部2aの後方上部には、ホッパ16が設けられる。生コン工場においてミキサ車1に投入される生コンは、ホッパ16によって開口部2aへと導かれる。ミキサドラム2の開口部2aの後方下部には、フローガイド17及びシュート18が設けられる。開口部2aから排出される生コンは、フローガイド17によってシュート18に導かれ、シュート18によって所定の方向に排出される。
【0015】
ミキサドラム2は、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン10を駆動源として、
図1に示す駆動装置4を介して回転駆動される。駆動装置4は、エンジン10の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム2を回転駆動する流体圧装置である。
【0016】
図3に示すように、エンジン10は、エンジン10の出力及び回転数を調整するためのスロットル弁10aを有する。スロットル弁10aの開度は、エンジン10によって駆動装置4を駆動させる際に図示しないアクチュエータを介してコントローラ20により制御される。また、エンジン10には、エンジン10の回転速度を検出し、検出された回転速度に応じた信号をコントローラ20へ出力する回転センサ10bが設けられる。
【0017】
駆動装置4を駆動する際のエンジン10の回転数は、回転センサ10bによって検出された回転速度が所定の大きさとなるように、スロットル弁10aを介してコントローラ20により制御される。なお、回転センサ10bは、駆動装置4の入力軸である後述のPTO軸9やドライブシャフト8の回転速度を検出するものであってもよいし、後述の油圧ポンプ5の回転速度を検出するものであってもよい。
【0018】
エンジン10の回転は、エンジン10から常時動力を取り出すPTO軸9(PTO:Power take-off)と、PTO軸9と駆動装置4とを連結するドライブシャフト8と、を介して駆動装置4に伝達される。
【0019】
駆動装置4は、エンジン10によって駆動され作動流体としての作動油OIを吐出する油圧ポンプ5と、油圧ポンプ5から供給される作動油OIによって作動しミキサドラム2を回転駆動する油圧モータ6と、を有する。なお、駆動装置4では、作動流体として作動油OIではなく、他の非圧縮性流体が用いられてもよい。
【0020】
油圧ポンプ5は、図示しない斜板の傾転角に応じて吐出量が変更される斜板型アキシャルピストンポンプであり、油圧ポンプ5から油圧モータ6への作動油OIの流れを制御する制御弁5aと、斜板の傾転角を変化させることで油圧ポンプ5の吐出量を調整する傾転角調整機構5bと、油圧モータ6に供給される作動油OIの圧力を検出する圧力センサ5cと、を有する。
【0021】
油圧ポンプ5は、PTO軸9を介してエンジン10から常時取り出される動力によって回転駆動される。なお、油圧ポンプ5を回転駆動させる駆動源としては、走行用のエンジン10に限定されず、走行に用いられない補機用のエンジンや電動モータであってもよい。
【0022】
制御弁5aは、ミキサドラム2を一方の方向に回転させるように油圧モータ6に作動油OIを導く第1位置と、ミキサドラム2を他方の方向に回転させるように油圧モータ6に作動油OIを導く第2位置と、油圧ポンプ5から油圧モータ6への作動油OIの流れを遮断する遮断位置と、を有する3位置切換弁である。制御弁5aの位置は、コントローラ20により電気的に制御される。
【0023】
傾転角調整機構5bは、斜板の傾転角を変化させる図示しない油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を制御する図示しないソレノイドバルブと、を有する。傾転角調整機構5bは、コントローラ20からソレノイドバルブに供給される駆動電流の大きさに応じて斜板の傾転角を変化させ、斜板の傾転角の変化に応じて油圧ポンプ5の吐出量が変更される。
【0024】
圧力センサ5cは、検出された作動油OIの圧力に応じた信号をコントローラ20に出力する。なお、圧力センサ5cは、駆動装置4における作動油の圧力である油圧ポンプ5から油圧モータ6に供給される作動油OIの圧力を検出することができれば何処に設けられていてもよく、油圧モータ6に設けられていてもよい。
【0025】
なお、油圧ポンプ5は、上記形式のポンプに限定されず、吐出容量が可変にできるポンプであればどのような形式のポンプであってもよい。例えば、油圧ポンプ5は、斜板の傾転角に応じて吐出量及び吐出方向が変更される斜板型アキシャルピストンポンプであってもよい。また、斜板が固定された固定容量型のポンプでもよい。この場合、ポンプに設けられる切替弁の開度によって吐出量が変更されるようにすればよい。
【0026】
油圧モータ6は、図示しない斜板の傾転角に応じて容量が変更される斜板型アキシャルピストンモータであり、油圧モータ6の図示しない出力軸の回転方向と回転速度とを検出する回転センサ6aと、斜板の傾転角を調整する傾転角調整機構6bと、を有する。
【0027】
回転センサ6aは、検出された出力軸の回転方向と回転速度とに応じた信号をコントローラ20に出力する。なお、回転センサ6aにより検出される油圧モータ6の回転数及び回転方向は、後述のようにミキサドラム2の回転数及び回転方向に相関する。
【0028】
傾転角調整機構6bは、斜板の傾転角を変化させる図示しない油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を制御する図示しないソレノイドバルブと、を有する。コントローラ20からソレノイドバルブに供給される電流値に応じて斜板の傾転角が変化し油圧モータ6の容量が変更される。
【0029】
なお、油圧モータ6は、上記形式のモータに限定されず、任意の形式の油圧モータであってよい。例えば、油圧モータ6は、容量が高速回転用の小容量と通常回転用の大容量との二段階に切り換えられる斜板型アキシャルピストンモータであってもよい。
【0030】
上記構成の駆動装置4において、油圧ポンプ5から吐出された作動油が油圧モータ6に供給されることによって油圧モータ6が回転し、供給される油量や油圧モータ6の斜板の傾転角に応じて、油圧モータ6の回転速度が変更される。また、油圧モータ6の回転方向は、油圧ポンプ5の制御弁5aの位置が切り換えられることで切り換わる。
【0031】
駆動装置4の出力軸、すなわち油圧モータ6の出力軸は、減速機7を介してミキサドラム2の回転軸Oに連結される。このため、油圧モータ6の回転速度を増減することによって、ミキサドラム2の回転速度を増減させることが可能であり、油圧モータ6の回転方向を切り換えることによって、ミキサドラム2の回転方向を正回転方向である撹拌方向と逆回転方向である排出方向とに切り換えることが可能である。
【0032】
このように、ミキサドラム2の回転数及び回転方向は、油圧モータ6の回転数及び回転方向に相関することから、油圧モータ6の回転センサ6aの検出値からミキサドラム2の回転数及び回転方向を把握することが可能である。なお、回転センサ6aは、油圧モータ6に代えて、ミキサドラム2の回転数及び回転方向を検出するものであってもよい。
【0033】
ミキサドラム2が撹拌方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより撹拌されながら前方へと移動する。一方、ミキサドラム2が排出方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより撹拌されながら後方へと移動する。
【0034】
このようにミキサドラム2を撹拌方向とは反対の方向である排出方向に回転させることで、ミキサドラム2の開口部2aから生コンを排出することができる。ミキサドラム2から排出された生コンは、フローガイド17及びシュート18を介して所定位置に誘導される。
【0035】
なお、ホッパ16を介して、ミキサドラム2内へ生コンを投入する場合には、撹拌時よりもミキサドラム2を高速で撹拌方向に回転させることで、投入された生コンを速やかにミキサドラム2の前方へと移動させる。
【0036】
(制御システム)
ミキサ車1には、ミキサ車1のミキサドラム2を制御する制御システム100が設けられている。
図3に示すように、制御システム100は、コントローラ20と、表示装置30と、第1操作盤41と、第2操作盤42と、第3操作盤43と、第4操作盤44とを有する。
【0037】
(コントローラ)
コントローラ20は、駆動装置4を制御して、ミキサドラム2の動作を制御するコンピュータである。コントローラ20は、例えば、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAM等をROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって駆動装置4の作動が制御される。
【0038】
コントローラ20には、上述のように、油圧モータ6の回転センサ6aと、エンジン10の回転センサ10bと、油圧ポンプ5の圧力センサ5cとが接続され、これらのセンサ類で検出された検出値が入力される。また、コントローラ20には、上述のように、傾転角調整機構5bのソレノイドバルブと、傾転角調整機構6bのソレノイドバルブと、制御弁5aと、スロットル弁10aと、が接続され、これらを作動させる指令値がコントローラ20から出力される。なお、コントローラ20は、回転センサ6a、回転センサ10b、圧力センサ5c、各ソレノイドバルブ、制御弁5a、及びスロットル弁10aに、有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0039】
(表示装置)
表示装置30は、画像を表示するディスプレイであり、例えばミキサドラム2の作動状態を表示する。表示装置30は、運転室11内に配置され、運転室11内において作業者が見やすい位置に設置されることが好ましい。表示装置30は、例えば、画像を表示するモニタに加えて、コントローラ20と同様に、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータを有してよい。
【0040】
表示装置30は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。本実施形態では、表示装置30は、CAN(Controller Area Network)を介してコントローラ20に接続されており、コントローラ20のCPUで生成された画像データは、CANを介して表示装置30に送信され、表示装置30のモニタに画像が表示される。なお、画像データの生成は、コントローラ20から送信された信号に基づいて表示装置30のCPUにおいて行われてもよい。なお、表示装置30は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。また、表示装置30とコントローラ20とは、CAN以外の通信規格を利用した通信網を介して接続されてもよい。
【0041】
表示装置30は、ミキサ車1の速度に応じた車速信号を出力する出力端子21と、パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ22とが接続され、これらの機器で検出された検出値が入力される。すなわち、本実施形態では、コントローラ20は、出力端子21及びパーキングブレーキスイッチ22に直接接続されておらず、表示装置30を介して、出力端子21及びパーキングブレーキスイッチ22に接続されている。なお、出力端子21は、エンジン10側に設けられて、制御システム100側と接続するためのインターフェースである。出力端子21は、エンジン10に設けられた車速センサ21Aに接続されている。車速センサ21Aは、エンジン10の回転を車速信号として検出し、出力端子21は、車速センサ21Aが検出した車速信号を、接続先に出力する。なお、表示装置30は、出力端子21及びパーキングブレーキスイッチ22に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0042】
このように、本実施形態では、出力端子21やパーキングブレーキスイッチ22等の車両に関するデータを取得する機器が、コントローラ20に直接接続されず、表示装置30に接続される。これにより、車両に関するデータを取得する機器とコントローラ20との接続数(ここでは配線数)を少なくすることができ、好適である。特に、車両に関するデータを取得する機器とコントローラ20とを有線で接続する場合には、配線の長さが長くなってしまうため、配線数を減らすことが特に有効となる。なお、車両に関するデータを取得する機器とコントローラ20との情報の送受信は、表示装置30とコントローラ20との間で、一括で行われる。
【0043】
また、表示装置30は、マイクロコンピュータを有することなく、表示機能のみを有するものであってもよい。また、表示装置30の設置位置は、運転室11内に限定されず、作業者が見やすい場所であれば、例えば、車両の後方の第2操作盤42(後述)が配置される付近であってもよい。また、表示装置30は車両に複数設けられてもよい。
【0044】
(第1操作盤)
第1操作盤41は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第1操作盤41は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。第1操作盤41は、表示装置30を介することなく、コントローラ20に直接接続されている。なお、第1操作盤41は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0045】
本実施形態では、第1操作盤41は、ポテンショメータ41aと、非常停止スイッチ41bとが設けられる。
【0046】
ポテンショメータ41aは、ミキサドラム2の回転方向及び回転速度を変更するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の回転を制御するための入力である回転制御入力を受け付ける。ポテンショメータ41aは、本実施形態ではダイヤルつまみ型である。第1操作盤41は、作業者によるポテンショメータ41aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0047】
非常停止スイッチ41bは、ミキサドラム2の回転を停止するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の回転を停止するための入力である緊急停止入力を受け付ける。第1操作盤41は、作業者による非常停止スイッチ41bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0048】
(第2操作盤)
第2操作盤42は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第2操作盤42は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。第2操作盤42は、表示装置30を介することなく、コントローラ20に直接接続されている。なお、第2操作盤42は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0049】
本実施形態では、第2操作盤42は、ポテンショメータ42aと、非常停止スイッチ42bとが設けられる。
【0050】
ポテンショメータ42aは、第1操作盤41のポテンショメータ41aと同様に、作業者による回転制御入力を受け付ける。第2操作盤42は、作業者によるポテンショメータ42aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0051】
非常停止スイッチ42bは、第1操作盤41の非常停止スイッチ41bと同様に、作業者による緊急停止入力を受け付ける。第2操作盤42は、作業者による非常停止スイッチ42bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0052】
第2操作盤42は、本実施形態では運転室11外に設けられている。さらに言えば、
図1に示すように、第2操作盤42は、車両の右側へシュート18を介して排出される生コンの量を見ながらミキサドラム2の操作を可能とするために、ミキサ車1の右後方に設けられる。例えば、ミキサ車1を2台並べた状態において生コンを排出する際に、一方の車両の右後方に設けられた第2操作盤42を操作しつつ、他方の車両の左後方に設けられた第1操作盤41を操作することによって、生コンを途切れることなく供給したり多量の生コンを供給したりすることができる。ただし、第2操作盤42の設置位置は、車両の右後方に限られず、任意の位置であってよい。また、第2操作盤42は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0053】
(第3操作盤)
第3操作盤43は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第3操作盤43は、表示装置30と接続されて、表示装置30と情報(信号)の送受信を行う。すなわち、第3操作盤43は、コントローラ20に直接接続されておらず、表示装置30を介してコントローラ20に接続される。なお、第3操作盤43は、表示装置30に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。このように表示装置30を介して第3操作盤43の操作信号をコントローラ20へ送信する構成とすることにより、第3操作盤43とコントローラ20とを接続する配線が不要となる。コントローラ20から配索される配線が少なくなることで、表示装置30及び第3操作盤43の配置の自由度が向上し、作業者が作業し易い位置に表示装置30及び第3操作盤43を配置することが可能となる。この結果、作業者によるミキサドラム2の操作作業性を向上させることができる。
【0054】
本実施形態では、第3操作盤43は、ポテンショメータ43aと、非常停止スイッチ43bと、自動撹拌スイッチ43cとが設けられる。
【0055】
ポテンショメータ43aは、第1操作盤41のポテンショメータ41aと同様に、作業者による回転制御入力を受け付ける。第3操作盤43は、作業者によるポテンショメータ43aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報を表示装置30に出力する。表示装置30は、第3操作盤43から取得した回転制御入力の内容を示す情報を、コントローラ20に送信する。コントローラ20は、表示装置30から取得した回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0056】
非常停止スイッチ43bは、第1操作盤41の非常停止スイッチ41bと同様に、作業者による緊急停止入力を受け付ける。第3操作盤43は、作業者による非常停止スイッチ43bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報を表示装置30に出力する。表示装置30は、第3操作盤43から取得した緊急停止入力が検出された旨の情報を、コントローラ20に送信する。コントローラ20は、表示装置30から緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0057】
自動撹拌スイッチ43cは、ミキサドラム2を自動撹拌するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の自動撹拌を実行するための入力である自動撹拌入力を受け付ける。自動撹拌の実行手順については後述する。
【0058】
第3操作盤43は、本実施形態では、車両が走行中であってもミキサドラム2の操作を可能とするために、運転室11内に設けられている。ただし、第3操作盤43の設置位置は、運転室11内に限られず、任意の位置であってよい。また、第3操作盤43は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0059】
(第4操作盤)
第4操作盤44は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第4操作盤44は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。第4操作盤44は、表示装置30を介することなく、コントローラ20に直接接続されている。なお、第4操作盤44は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0060】
本実施形態では、第4操作盤44は、ポテンショメータ44aと、非常停止スイッチ44bとが設けられる。
【0061】
ポテンショメータ44aは、第1操作盤41のポテンショメータ41aと同様に、作業者による回転制御入力を受け付ける。第4操作盤44は、作業者によるポテンショメータ44aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0062】
非常停止スイッチ44bは、第1操作盤41の非常停止スイッチ41bと同様に、作業者による緊急停止入力を受け付ける。第4操作盤44は、作業者による非常停止スイッチ44bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0063】
第4操作盤44は、本実施形態では運転室11外に設けられている。さらに言えば、
図1に示すように、第4操作盤44は、ミキサドラム2内の生コンの残量を確認しながらミキサドラム2の操作を可能とするために、ホッパ16の周辺、すなわち車両の上方に設けられる。ただし、第4操作盤44の設置位置は、車両の上方に限られず、任意の位置であってよい。また、第4操作盤44は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0064】
なお、本実施形態では、操作盤として、第1操作盤41、第2操作盤42、第3操作盤43、第4操作盤44の、4つが設けられるが、操作盤の数や設置位置は以上の説明に限られず任意である。
【0065】
制御システム100は、以上のような構成となっている。以下、制御システム100によるミキサドラム2の制御について説明する。
【0066】
コントローラ20は、作業者が各操作盤41~44に設けられるポテンショメータ41a~44aに、回転制御入力が入力されたら、回転制御入力に応じて駆動装置4を制御して、ミキサドラム2の回転を制御する。各操作盤41~44に設けられるポテンショメータ41a~44aは、回動操作量に応じて電気抵抗値が変化する可変抵抗器であり、作業者によりポテンショメータ41a~44aが回動操作されて、回転制御入力が検出されると、コントローラ20は、ミキサドラム2の回転状態が、ポテンショメータ41a~44aの電気抵抗値に応じた状態となるように、油圧ポンプ5の斜板の傾転角や油圧モータ6の斜板の傾転角、油圧ポンプ5の制御弁5aといった駆動装置4を構成する各機構を制御する。
【0067】
例えば、第3操作盤43において作業者によりポテンショメータ43aが時計回り方向に回動操作されると、コントローラ20は、ミキサドラム2を撹拌方向へとポテンショメータ43aの電気抵抗値に応じた回転速度で回転させる。反対に作業者によりポテンショメータ43aが反時計回り方向に回動操作されると、コントローラ20は、ミキサドラム2を排出方向へとポテンショメータ43aの電気抵抗値に応じた回転速度で回転させる。このように、回転制御入力は、ミキサドラム2の動作(回転方向及び回転速度)を作業者の操作によって行う場合の作業者による入力であり、ミキサドラム2が、後述する自動撹拌以外の動作をする場合の、作業者による入力といえる。
【0068】
このようにミキサ車1には、複数の操作盤41~44が設けられるが、各操作盤41~44のポテンショメータ41a~44aが同時に操作されると、どの操作を優先するべきかをコントローラ20では判別できないため、ミキサドラム2の操作は、操作権利を取得した1つの操作盤によって行われるように設定されてよい。
【0069】
具体的には、例えば、第2操作盤42のポテンショメータ42aを一旦最大位置まで回動操作した後、中立位置に戻すと、第2操作盤42に操作権利が与えられ、以後のミキサドラム2の操作は第2操作盤42により行うことが可能となる。そして、操作権利が与えられた第2操作盤42のポテンショメータ42aが操作されている間は、他の操作盤により操作することは不可能となる。第2操作盤42のポテンショメータ42aが中立位置に戻された状態で、他の操作盤、例えば、第3操作盤43のポテンショメータ43aを一旦最大位置まで回動操作した後、中立位置に戻すと、第3操作盤43に操作権利が移る。
【0070】
なお、操作権利を有する操作盤の情報や、ミキサドラム2の作動状況は、表示装置30に表示されてよい。
【0071】
また、コントローラ20は、パーキングブレーキが作動しておらず、車速信号が、ミキサ車1が走行している旨を示す場合に、ミキサドラム2を撹拌方向に回転させる自動撹拌を実行する。より詳しくは、作業者は、自動撹拌を実行させたい場合には、運転室11内の第3操作盤43の自動撹拌スイッチ43cを操作して、自動撹拌スイッチ43cをオンにする。自動撹拌スイッチ43cがオンにされたら、第3操作盤43は、自動撹拌を実行可能であることを示す自動撹拌入力を検出して、表示装置30に自動撹拌入力を取得した旨の情報を送信する。また、作業者は、ミキサ車1を走行させる場合、パーキングブレーキをオフ(パーキングブレーキを作動させない状態)にして、ミキサ車1を走行させる。パーキングブレーキスイッチ22は、パーキングブレーキがオフにされたことを検出して、表示装置30は、パーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を、パーキングブレーキスイッチ22から取得する。また、車速センサ21Aは、ミキサ車1の車速を逐次検出し、表示装置30は、出力端子21を介して、ミキサ車1の車速を示す車速信号を取得する。表示装置30は、自動撹拌スイッチ43cから取得した自動撹拌入力を取得した旨の情報と、パーキングブレーキスイッチ22から取得したパーキングオフ情報と、出力端子21から取得した車速信号とを、コントローラ20に送信する。コントローラ20は、自動撹拌入力を取得した旨の情報と、パーキングオフ情報とを取得し、かつ、取得した車速信号が、ミキサ車1が走行している状態であることを示す場合に、自動撹拌を開始する。
【0072】
なお、コントローラ20は、ミキサ車1が走行中であると判断した場合には、生コンの排出を防止するために、各操作盤41~44によるポテンショメータの操作を原則禁止とすることが好ましい。すなわち、コントローラ20は、ミキサ車1が走行中である場合には、各操作盤41~44への回転制御入力を受け付けず、各操作盤41~44のポテンショメータが操作されても、その操作に応じたミキサドラム2の回転を行わないことが好ましい。
【0073】
(車速検出システム)
ここで、上述のように、車速信号は、出力端子21を介して取得される。しかし、出力端子21や車速センサ21Aの仕様は、ミキサ車1の車種によって異なる場合があるため、車種に応じて車速信号を適切に受信することが求められている。それに対し、本実施形態では、車種に応じて車速信号を適切に受信するために、車速信号の検出回路の接続を切り替え可能な車速検出システム50を設けている。以下、車速検出システム50について説明する。
【0074】
最初に、車速信号について説明する。
図4は、車速信号の一例を示すグラフである。
図4に示すように、本実施形態の例では、車速信号は、パルス状の波形の信号である。車速信号は、エンジン10の回転数に応じて周波数が変化し、回転数が高いほど周波数が高くなる(すなわち周期Tが短くなる)。
【0075】
図5は、車速検出システムの模式的な回路図である。
図5に示すように、車速検出システム50は、車速信号検出回路52と、切替制御部54とを有する。本実施形態では、車速検出システム50は、表示装置30に設けられている。ただし、車速検出システム50は、表示装置30に設けられることに限られず、表示装置30とは別のハードウェアであってもよい。
【0076】
車速信号検出回路52は、出力端子21に接続される回路である。車速信号検出回路52は、受信部60、電源62、及び切替部64を有する。
【0077】
受信部60は、出力端子21に接続される回路(検出回路)であり、出力端子21から出力される車速信号を受信可能である。受信部60は、配線L1により、出力端子21に接続されている。本実施形態では、受信部60は、表示装置30に設けられるが、表示装置30とは別に設けられる回路であってもよい。
【0078】
切替部64は、車速信号検出回路52の接続を切り替えるスイッチ部であり、本実施形態ではマルチプレクサである。切替部64は、第1切替部64Aと第2切替部64Bとを有する。切替部64は、表示装置30に設けられるが、表示装置30とは別に設けられるマルチプレクサ回路であってもよい。
【0079】
第1切替部64Aは、第1接点64AS1が、配線L2により、受信部60に接続されている。配線L2には、抵抗R2が設けられている。第1切替部64Aは、第2接点64AS2が、配線L3によりアース接続されており、第3接点64AS3が、配線L4により、電源62に接続されている。電源62は、電力を供給する供給源であり、例えばバッテリ等である。電源62は、表示装置30にも電力を供給する表示装置30用の電源であるが、表示装置30用の電源であることに限られない。
【0080】
第1切替部64Aは、スイッチ部64A1と入力部64A2とを有する。スイッチ部64A1は、第1接点64AS1と第2接点64AS2とを接続し、第1接点64AS1と第3接点64AS3とを非接続とする第1状態と、第1接点64AS1と第3接点64AS3とを接続し、第1接点64AS1と第2接点64AS2とを非接続とする第2状態とを切り替え可能なスイッチである。入力部64A2は、切替制御部54の制御によりスイッチ部64A1を操作して、スイッチ部64A1に第1状態と第2状態とを切り替えさせる機構である。なお、第1状態は、受信部60(出力端子21)と電源62とを非接続とする状態であり、第2状態は、受信部60を介して出力端子21と電源62とを接続する状態とも言える。なお、本実施形態では、第2状態において受信部60を介して出力端子21と電源62とを接続する回路構成になっているが、回路構成は以上の説明に限られず、第1状態において出力端子21と電源62とを接続し、第2状態において出力端子21と電源62とを非接続とする任意の回路構成であってよい。
【0081】
第2切替部64Bは、第1接点64BS1が、配線L5により、配線L1の出力端子21と受信部60との間の箇所Pに接続されている。第2切替部64Bは、第2接点64BS2が、配線L6によりアース接続されており、第3接点64BS3が、配線や回路と非接続(フロート)となっている。配線L6には、抵抗R3が設けられている。抵抗R3は、出力端子21と受信部60とに並列に設けられるとも言える。
【0082】
第2切替部64Bは、スイッチ部64B1と入力部64B2とを有する。スイッチ部64B1は、第1接点64BS1と第2接点64BS2とを接続し、第1接点64BS1と第3接点64BS3とを非接続とする第3状態と、第1接点64BS1と第3接点64BS3とを接続し、第1接点64BS1と第2接点64BS2とを非接続とする第4状態とを切り替え可能なスイッチである。入力部64B2は、切替制御部54の制御によりスイッチ部64B1を操作して、スイッチ部64B1に第3状態と第4状態とを切り替えさせる機構である。なお、第3状態は、箇所Pを抵抗R3に接続する状態であり、第4状態は、箇所Pを抵抗R3に非接続とする状態とも言える。
【0083】
切替制御部54は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたコンピュータ(マイクロコンピュータ)である。切替制御部54は、表示装置30に設けられるコンピュータであるが、表示装置30とは別のコンピュータであってよい。
【0084】
切替制御部54は、切替部64による車速信号検出回路52の接続状態の切り替えを制御することで、受信部60が車速信号を受信可能な状態とする。切替制御部54は、第1切替部64Aの入力部64A2を介してスイッチ部64A1を操作して、第1状態と第2状態とを切り替えさせる。また、切替制御部54は、第2切替部64Bの入力部64B2を介してスイッチ部64B1を操作して、第3状態と第4状態とを切り替えさせる。
【0085】
(切り替え処理)
以下、切替制御部54による車速信号検出回路52の接続状態の切り替え処理について説明する。
【0086】
切り替え処理を行う場合には、ミキサ車1に、車速検出システム50を含む制御システム100が取り付けられる。すなわち、ミキサ車1の出力端子21に車速信号検出回路52の配線L1が接続されて、受信部60と出力端子21とが配線L1を介して接続される。また、切り替え処理を行う場合には、
図5に示すように、車速信号検出回路52は、受信部60がアース接続されて電源62に接続されない第1状態であり、かつ、箇所Pが抵抗R3に接続される第3状態となっている。なお、箇所Pが抵抗R3に非接続な第4状態とされていてもよい。そして、
図5のように車速信号検出回路52が出力端子21に接続された状態で、ミキサ車1をテスト走行させる。切替制御部54は、ミキサ車1がテスト走行している際における受信部60の車速信号の受信状況を検出して、その車速信号の受信状況に応じて、車速信号検出回路52の接続状態を切り替える。なお、ミキサ車1をテスト走行させて車速信号検出回路52の接続状態を切り替える処理は、例えばミキサ車1の出荷前に、例えばキャリブレーションの位置付けで実施されるものである。
【0087】
ここで、ミキサ車1には、出力端子21に電流を供給しないと出力端子21から車速信号を出力できない車種と、出力端子21に電流を供給しなくても出力端子21から車速信号を出力できる車種とがある。電流を供給しないと出力端子21から車速信号を出力できない車種は、出力端子21がオープンコレクタ仕様になっており、電流を供給しなくても出力端子21から車速信号を出力できる車種は、出力端子21がエミッタフォロワ仕様になっているとも言える。オープンコレクタ仕様である場合、第1状態においてミキサ車1をテスト走行させても、出力端子21が電源62と非接続となっているため、出力端子21から受信部60に車速信号が出力されない。そのため、ミキサ車1をテスト走行させている際に、受信部60が車速信号を受信しない場合には、出力端子21がオープンコレクタ仕様になっており、受信部60が車速信号を受信する場合には、出力端子21がエミッタフォロワ仕様になっていると判断できる。本実施形態ではこの原理を利用し、切替制御部54は、ミキサ車1をテスト走行させている際の、受信部60による車速信号の受信の有無に基づき、第1状態にするか第2状態にするかを判断する。以下、具体的に説明する。
【0088】
切替制御部54は、ミキサ車1をテスト走行させている際に、受信部60が車速信号を受信しない場合には、第1切替部64Aを第2状態に切り替えて、第2切替部64Bを第4状態に切り替える。これにより、電源62が、受信部60を介して出力端子21に接続されるため、出力端子21が受信部60に車速信号を出力可能となる。すなわち、切替制御部54は、ミキサ車1をテスト走行させている際に受信部60が車速信号を検出しない場合には、オープンコレクタ仕様であるとして、電源62と出力端子21とを接続状態にする。これにより、オープンコレクタ仕様の車種において、受信部60が車速信号を適切に受信可能な状態になる。なお、ここでは第2切替部64Bを第4状態としていたが、第2切替部64Bの状態は第4状態であることに限られず任意の状態であってよい。また、ここでの第1切替部64Aや第2切替部64Bの切り替えは、テスト走行の最中に行ってもよいし、テスト走行後に行ってもよい。
【0089】
一方、切替制御部54は、ミキサ車1をテスト走行させている際に、受信部60が車速信号を受信した場合には、第1切替部64Aを第1状態のままとする。すなわち、切替制御部54は、ミキサ車1をテスト走行させている際に受信部60が車速信号を検出した場合には、エミッタフォロワ仕様であるとして、電源62と出力端子21とを非接続状態にする。これにより、エミッタフォロワ仕様の車種において、受信部60が車速信号を適切に受信可能な状態になる。
【0090】
さらに言えば、出力端子21がエミッタフォロワ仕様であるミキサ車1には、出力端子21から適切に車速信号を出力するために、出力端子21と受信部60との間に中間抵抗を接続する必要がある車種と、中間抵抗を接続する必要がない車種とがある場合もある。中間抵抗が必要な車種と不要な車種とでは、車速センサ21Aの仕様が異なる。さらに言えば、中間抵抗が必要な車種の、エンジン1回転あたりに車速センサ21Aが発生するパルス数は、中間抵抗が不要な車種の、エンジン1回転あたりに車速センサ21Aが発生するパルス数よりも、多くなっている。本実施形態ではその点を利用して、切替制御部54が、ミキサ車1のテスト走行中に受信部60が受信した車速信号の周波数に基づき、第2切替部64Bを第3状態とするか第4状態とするかを判断する。以下、具体的に説明する。
【0091】
具体的には、切替制御部54は、ミキサ車1がテスト走行を開始(本例では、0km/hより速く、10km/h未満)してから所定時間経過後に受信部60が受信した車速信号の周波数に基づき、テスト走行を開始してから所定時間経過後におけるミキサ車1の速度の推定値を算出する。所定時間は、例えば1秒等、任意に設定してよい。また、切替制御部54は、ミキサ車1がテスト走行を開始してから所定時間経過後に受信部60が受信した車速信号の周波数を用いることに限られず、ミキサ車1がテスト走行を開始してから所定速度における車速信号の周波数を用いてもよい。この場合、所定速度に達した際に、スイッチ等により所定速度時の車速信号の周波数を得るようにすればよい。なお、ミキサ車1の速度は、エンジン10の1回転あたりのパルス数と、周波数とから算出でき、例えば次の式(1)を用いて算出できる。
【0092】
V=3600・H/(n・N) ・・・(1)
【0093】
式(1)において、Vが速度(km/h)であり、3600は、60秒×60(km/h)であり、Hは周波数(Hz)であり、nはエンジンの駆動軸1回転あたりの車速センサ21Aのパルス数であり、Nは、車速60km/hの際の車速センサ駆動回転速度(rpm)である。
【0094】
ここで、上述のようにエンジン1回転あたりのパルス数は車種毎に異なるため、ミキサ車1の速度の推定値の算出においては、算出に用いる所定パルス数を予め設定する。切替制御部54は、ミキサ車1がテスト走行を開始してから所定時間経過後に受信部60が受信した車速信号の周波数と、その所定パルス数とに基づき、テスト走行を開始してから所定時間経過後におけるミキサ車1の速度の推定値を算出する。そして、切替制御部54は、算出したミキサ車1の速度の推定値に基づき、第3状態とするか第4状態とするかを判断する。
【0095】
具体的には、切替制御部54は、ミキサ車1の速度の推定値が所定の閾値より低い場合には、中間抵抗が必要な車種(すなわちエンジン1回転あたりのパルス数が多い車種)であるとして、第2切替部64Bを第3状態とする。これにより、配線L1の出力端子21と受信部60との間の箇所Pが、中間抵抗である抵抗R3に接続される。そのため、中間抵抗が必要な車種においても、受信部60が車速信号を適切に受信可能な状態になる。なお、所定パルス数を固定して速度の推定値を算出した場合、中間抵抗が必要な車種(エンジン1回転あたりのパルス数が多い車種)よりも、中間抵抗が不要な車種(エンジン1回転あたりのパルス数が少ない車種)の方が、速度の推定値が高く算出される傾向にある。そのため、ミキサ車1の速度の推定値が所定の閾値より低い値となることを基準として判断することで、中間抵抗が必要な車種であるとの判断を適切に行うことができる。なお、閾値は、中間抵抗が不要な車種が走行時に確実に超える速度に設定されればよく、例えば10km/h等、任意に設定してよい。
【0096】
一方、切替制御部54は、ミキサ車1の速度の推定値が所定の閾値以上である場合には、中間抵抗が必要な車種(すなわちエンジン1回転あたりのパルス数が少ない車種)であるとして、第2切替部64Bを第4状態とする。すなわち例えば、テスト走行を開始してから1秒後の速度が、数十km/h等、一般的に想定される速度より高くなった場合には、所定パルス数を固定して速度が算出されたため、速度の推定値が実際より高い値として算出されたとして、中間抵抗が不要な車種であると判断される。これにより、配線L1の出力端子21と受信部60との間の箇所Pが、中間抵抗である抵抗R3に非接続となる。そのため、中間抵抗が不要な車種においても、受信部60が車速信号を適切に受信可能な状態になる。
【0097】
なお、第3状態とするか第4状態とするかの判断基準は、以上のように速度の推定値によるものに限られない。例えば、車速信号の周波数や所定時間におけるパルス数等に基づき、第3状態とするか第4状態とするかを判断してよい。この場合例えば、切替制御部54は、周波数や所定時間におけるパルス数が閾値以上である場合、中間抵抗が必要な車種であるとして、第2切替部64Bを第3状態とし、周波数や所定時間におけるパルス数が閾値未満である場合、中間抵抗が不要な車種であるとして、第2切替部64Bを第4状態としてもよい。
【0098】
次に、以上説明した車速信号検出回路52の接続状態の切り替え処理のフローを説明する。
図6は、車速信号検出回路の接続状態の切り替え処理フローを説明するフローチャートである。接続状態の切り替え処理を行う場合、車速信号検出回路52が出力端子21に接続された状態で、かつ第1切替部64Aを第1状態(電源62が非接続な状態)として、ミキサ車1をテスト走行させる。そして、切替制御部54は、テスト走行時に受信部60が車速信号を検出したかを判断する(ステップS10)。受信部60が車速信号を検出しない場合(ステップS10;No)、切替制御部54は、オープンコレクタ仕様であるとして、第1切替部64Aを第2状態(電源62が接続された状態)とし、第2切替部64Bを第4状態(抵抗R3に非接続な状態)とする(ステップS12)。一方、受信部60が車速信号を検出した場合(ステップS10;Yes)、切替制御部54は、テスト走行の開始から所定時間経過後における車速信号の周波数と、所定パルス数とから、車速の推定値を算出する(ステップS14)。切替制御部54は、車速の推定値が閾値以上であるかを判断して(ステップS16)、車速の推定値が閾値より低い場合(ステップS16;No)、中間抵抗が必要な車種であるとして、第1切替部64Aを第1状態(電源62が非接続な状態)とし、第2切替部64Bを第3状態(抵抗R3に接続された状態)とする(ステップS18)。一方、車速の推定値が閾値以上である場合(ステップS16;Yes)、切替制御部54は、中間抵抗が不要な車種であるとして、第1切替部64Aを第1状態(電源62が非接続な状態)とし、第2切替部64Bを第4状態(抵抗R3に非接続な状態)とする(ステップS20)。ステップS12、S18、S20の実行により、本処理は終了する。なお、車速信号検出回路52の接続状態は、一度決めれば変更する必要はないため、本処理は、出荷前等に一度だけ実施すればよい。なお、ステップS16では、車速の推定値が閾値以上であるかで判断を行っているが、それに限られない。例えばステップS16において車速の推定値が閾値より高い場合に、ステップS20を実行し、ステップS16において車速の推定値が閾値以下である場合に、ステップS18を実行してもよい。
【0099】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る車速検出システム50は、ミキサ車1の速度を検出するものであって、車速信号検出回路52と、切替制御部54とを有する。車速信号検出回路52は、ミキサ車1の速度に応じた車速信号を出力する出力端子21に接続される受信部60と、車速信号検出回路52の接続状態を切り替える切替部64と、を有する。切替制御部54は、ミキサ車1が走行している際における受信部60の車速信号の受信状況に応じて、切替部64によるミキサ車1の接続状態の切り替えを制御することで、受信部60が車速信号を受信可能な状態とする。
【0100】
ここで、出力端子21や車速センサ21Aの仕様は、ミキサ車1の車種によって異なる場合があるため、車種に応じて車速信号を適切に受信することが求められている。それに対し、本実施形態に係る車速検出システム50は、出力端子21に接続される車速信号検出回路52を設けて、実際にミキサ車1をテスト走行させた場合の受信部60の車速信号の受信状況に応じて、車速信号検出回路52の接続を切り替える。そのため、本実施形態によると、車速信号検出回路52を、車種に応じた接続状態にすることが可能となり、車種に応じて車速信号を適切に受信することが可能となる。また、車速検出システム50によると、車種に応じて車速信号を適切に受信可能な回路構成に自動で設定されるため、作業者の負荷が抑制され、また、作業者のミスにより回路構成が誤設定されることも抑制できる。
【0101】
なお、車速検出システム50により検出される車速信号は、上述のように自動攪拌等の開始時に、ミキサ車1が停止しているか走行しているかの判断に用いられる。また例えば、車速信号は、メンテナンスの推奨時期の算出に用いられてよい。この場合、例えばコントローラ20や表示装置30が、車速信号に基づいて算出した車速と走行時間とから、ミキサ車1の走行距離の積算値を算出する。そして、走行距離の積算値が所定時間を超えた場合、メンテナンスの推奨時期に到達したと判断され、例えば表示装置30は、モニタに、メンテナンスを推奨する旨の通知を表示してよい。
【0102】
また、切替部64は、出力端子21と電源62とを非接続状態にする第1状態と、出力端子21と電源62とを接続状態にする第2状態とを切り替え可能である。切替制御部54は、第1状態においてミキサ車1がテスト走行している際に受信部60が車速信号を受信しない場合には、切替部64を第2状態とし、ミキサ車1がテスト走行している際に受信部60が車速信号を受信した場合には、切替部64を第1状態とする。本実施形態によると、オープンコレクタ仕様である場合と、エミッタフォロワ仕様である場合との両方において、車速信号を適切に受信することが可能となる。
【0103】
また、切替部64は、出力端子21と受信部60とに並列に設けられる抵抗R3を接続する第3状態と、抵抗R3を非接続とする第4状態とを切り替え可能である。切替制御部54は、第1状態においてミキサ車1が走行している際に受信部60が受信した車速信号の周波数に基づき、切替部64を第3状態とするか第4状態とするかを判断する。本実施形態によると、中間抵抗が不要な車種、中間抵抗が必要な車種の両方において、車速信号を適切に受信することが可能となる。
【0104】
また、切替制御部54は、ミキサ車1が走行を開始した際の車速信号の周波数と、予め設定された所定パルス数とに基づき、ミキサ車1の速度の推定値を算出し、推定値が閾値より低い場合には、切替部64を第3状態とし、推定値が閾値以上である場合には、切替部64を第4状態とする。本実施形態によると、中間抵抗が不要な車種、中間抵抗が必要な車種の両方において、車速信号を適切に受信することが可能となる。
【0105】
なお、本実施形態に係る車速検出システム50は、ミキサ車1に搭載されてミキサ車1の車速を検出するものであったが、ミキサ車1に限られず任意の車両の車速を検出するものであってよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0107】
1 ミキサ車
20 コントローラ
21 出力端子
21A 車速センサ
22 パーキングブレーキスイッチ
30 表示装置
50 車速検出システム
52 車速信号検出回路
54 切替制御部
60 受信部
62 電源
64 切替部