(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148941
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】インシュレータ保持構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/08 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B60R13/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050827
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100181434
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 正明
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 一成
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA02
3D023BA03
3D023BB16
3D023BB21
3D023BC04
3D023BD21
3D023BE03
3D023BE36
(57)【要約】
【課題】マッドバランスを備えることでインシュレータのフロアパネルへの固定点を削減できるインシュレータ保持構造の提供。
【解決手段】インシュレータ保持構造は、キャブ2のフロアパネル6の下面に沿って配置されるインシュレータ16と、フロアパネル6の下方において車幅方向左右両側で車体前後方向に沿って延びて配置される左右1対のフロアサイドメンバ8と、左右1対のフロアサイドメンバ8よりも車幅方向内側において車幅方向左右両側で車体前後方向に沿って延びて配置されると共に、左右1対のフロアサイドメンバ8の各々に固定される左右1対のマッドバランス10と、を備える。左右1対のマッドバランス10の各々は、上面に、上方へ凸となるように車体前後方向に沿って延びて配置されるリブ15を有する。インシュレータ16は、フロアパネル6と左右1対のマッドバランス10の各々が有するリブ15とで挟持されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブのフロアパネルの下面に沿って配置されるインシュレータと、
前記フロアパネルの下方において車幅方向左右両側で車体前後方向に沿って延びて配置される左右1対のフロアサイドメンバと、
前記左右1対のフロアサイドメンバよりも車幅方向内側において車幅方向左右両側で車体前後方向に沿って延びて配置されると共に、前記左右1対のフロアサイドメンバの各々に固定される左右1対のマッドバランスと、を備え、
前記左右1対のマッドバランスの各々は、上面に、上方へ凸となるように車体前後方向に沿って延びて配置されるリブを有し、
前記インシュレータは、前記フロアパネルと前記左右1対のマッドバランスの各々が有する前記リブとで挟持されている
ことを特徴とするインシュレータ保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のインシュレータ保持構造であって、
前記インシュレータは、車幅方向両側の端部が車体前後方向に沿って挟持されている
ことを特徴とするインシュレータ保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のインシュレータ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャブのフロアパネルの下面に沿って配置されるインシュレータの取付構造(インシュレータ保持構造)が開示されている。インシュレータは、エンジンからキャブへの熱及び音の伝達を低減する遮蔽板であり、複数の固定点でフロアパネルに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造では、作業性の観点からインシュレータのフロアパネルへの固定点の削減が求められ、また、エンジンから外部への音の放出を低減するマッドバランスを備えることがある。
【0005】
そこで本開示は、マッドバランスを備えることでインシュレータのフロアパネルへの固定点を削減できるインシュレータ保持構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本開示の第1の態様のインシュレータ保持構造は、キャブのフロアパネルの下面に沿って配置されるインシュレータと、フロアパネルの下方において車幅方向左右両側で車体前後方向に沿って延びて配置される左右1対のフロアサイドメンバと、左右1対のフロアサイドメンバよりも車幅方向内側において車幅方向左右両側で車体前後方向に沿って延びて配置されると共に、左右1対のフロアサイドメンバの各々に固定される左右1対のマッドバランスと、を備え、左右1対のマッドバランスの各々は、上面に、上方へ凸となるように車体前後方向に沿って延びて配置されるリブを有し、インシュレータは、フロアパネルと左右1対のマッドバランスの各々が有するリブとで挟持されている。
【0007】
上記構成では、インシュレータが、フロアパネルと左右1対のマッドバランスの各々が有するリブとで挟持されているので、挟持されている部分においてフロアパネルへの固定点が不要となる。このため、インシュレータのフロアパネルへの固定点を削減できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様のインシュレータ保持構造であって、インシュレータは、車幅方向左右両側の端部が車体前後方向に沿って挟持されている。
【0009】
上記構成では、インシュレータが、車幅方向左右両側の端部で車体前後方向に沿って挟持されているので、広範囲においてフロアパネルへの固定点が不要となる。このため、インシュレータのフロアパネルへの固定点をさらに削減できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、マッドバランスを備えることでインシュレータのフロアパネルへの固定点を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインシュレータ保持構造を採用したキャブを床下後方から視た外観斜視図である。
【
図2】
図1のキャブを矢印II方向に視た断面図である。
【
図3】
図1のキャブにおける右側のマッドバランス周辺部分を床下から視た外観斜視図であり、インシュレータを省略して示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、前後方向は車両1の前後方向を意味し、左右方向は車両1の前方を向いた状態での左右方向を意味する。また、図中の矢印FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。
【0013】
図1~
図3に示す車両1は、キャブ2の下方にエンジンルーム3が位置するキャブオーバー型のトラックである。キャブ2は、車体フレーム(図示省略)の前部に取り付けられている前方キャブマウント(図示省略)及び後方キャブマウント(図示省略)によって前方へ傾斜可能に支持される。
【0014】
キャブ2は、略箱状体であり、内部に車室を区画する。キャブ2は、ダッシュパネル(図示省略)と、バックパネル4と、左右1対のサイドパネル5と、ルーフパネル(図示省略)と、フロアパネル6等を有する。これらのパネルは、例えば、鋼板等の高強度材料からなり、プレス成形によって成形される。また、これらのパネルは、スポット溶接等によって接合される。
【0015】
フロアパネル6は、略矩形状板状体であり、センターフロアパネル部7と、左右1対のフロアサイドメンバ8と、左右1対のサイドフロアパネル部9とを有する。これらは、プレス加工等によって形成される。
【0016】
センターフロアパネル部7は、車幅方向中央に形成され、フロアパネル6の前端から後端まで延びる。フロアサイドメンバ8は、センターフロアパネル部7を挟んで左右1対に形成され、フロアパネル6の前端から後端まで延びる。このフロアサイドメンバ8は、断面U字状で、下方に突出するように形成されるフロアアンダーフレームである。サイドフロアパネル部9は、センターフロアパネル部7と左右1対のフロアサイドメンバ8とを挟んで車幅方向の両側に左右1対に形成され、フロアパネル6の前端から後端まで延びる。
【0017】
左右1対のフロアサイドメンバ8の車幅方向内側には、左右1対のマッドバランス10が配置される。左右1対のマッドバランス10は、樹脂等から構成される吸音材であり、車幅方向の両側で前後方向に沿って配置されることで、エンジン(図示省略)が発生する音がホイールハウス(図示省略)を経由して外部へ放出されることを低減する。左右のマッドバランス10は、それぞれ、断面コ字状のマッドバランス上部11及び断面て字状のマッドバランス下部12が互いにクリップ(図示省略)で連結されることで構成される。左右のマッドバランス10は、それぞれ、マッドバランス上部11における車幅方向外側の面がフロアサイドメンバ8における車幅方向内側の面に接するように配置され、フロアサイドメンバ8における車幅方向内側の面に形成される複数のボルト挿通孔8a(
図2には、1つのボルト挿通孔8aのみが図示されている。)の周縁部に予め固定されるウェルドナット13(
図2には、1つのウェルドナット13のみが図示されている。)、及びマッドバランス上部11における車幅方向外側の面に形成されるボルト挿通孔11a(
図2には、1つのボルト挿通孔11aのみが図示されている。)に挿通される複数のボルト14(
図2には、1つのボルト14のみが図示されている。)によって、フロアサイドメンバ8に対して締結固定される。左右のマッドバランス10は、それぞれ、マッドバランス上部11における上面に、上方へ凸となるように前後方向に沿って延びて配置されるリブ15を有する。
【0018】
フロアパネル6の下方には、センターフロアパネル部7の下面に沿ってインシュレータ16が配置される。インシュレータ16は、繊維等で構成された板材をアルミ箔等で覆った断熱吸音材であり、固定点において複数のクリップ17でフロアパネル6に固定されると共に、フロアパネル6と左右1対のマッドバランス10の各々が有するリブ15とによって、車幅方向左右両側の端部が挟持されることで、フロアパネル6に固定される。インシュレータ16は、エンジン(図示省略)が発生する熱及び音の車室への進入を遮断する。
【0019】
キャブ2の下方のエンジンルーム3は、左右のフロアサイドメンバ8間に配置され、エンジンマウント(図示省略)を介して車体フレーム(図示省略)に支持される。
【0020】
本実施形態によれば、インシュレータ16が、フロアパネル6と左右1対のマッドバランス10の各々が有するリブ15とで挟持されているので、挟持されている部分においてフロアパネル6への固定点が不要となる。このため、インシュレータ16のフロアパネル6への固定点を削減できる。
【0021】
また、本実施形態によれば、インシュレータ16が、車幅方向左右両側の端部で車体前後方向に沿って挟持されているので、広範囲においてフロアパネル6への固定点が不要となる。このため、インシュレータ16のフロアパネル6への固定点をさらに削減できる。
【0022】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、インシュレータが取り付けられる車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 車両
2 キャブ
3 エンジンルーム
4 バックパネル
5 サイドパネル
6 フロアパネル
7 センターフロアパネル部
8 フロアサイドメンバ
8a ボルト挿通孔
9 サイドフロアパネル部
10 マッドバランス
11 マッドバランス上部
11a ボルト挿通孔
12 マッドバランス下部
13 ウェルドナット
14 ボルト
15 リブ
16 インシュレータ
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