(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148951
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B41J2/01
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050841
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100114247
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】高橋 晋
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056EA25
2C056EB27
2C056EB36
2C056EC07
2C056EC12
2C056EC28
2C056EC31
2C056FA13
2C056HA44
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】印刷中に印刷を中断すべき理由が発生し、その後印刷を再開したときに空白部が入らない印刷を行うことが可能な印刷装置および印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷媒体に画像を印刷中に、印刷を中断すべき理由が発生したとき、印刷していたページの印刷を完了させ、印刷再開ページに位置マークだけを印刷して印刷部を停止させ、搬送速度を減速して印刷媒体を停止させる。次に、印刷再開ページから印刷を再開できるように、印刷媒体を巻き戻す。その後、搬送速度を所定の速度まで加速し、位置マークが印刷された印刷再開ページから印刷を再開する。これにより、印刷中断時最終ページと印刷再開ページとの間に空白ページが入らなくなるので、損紙の発生を防止することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の印刷媒体の第1面に複数ページに渡って画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている前記印刷媒体の第1面にインクを吐出して画像を印刷する印刷部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷部の動作を制御する印刷制御部と、
前記搬送部の動作を制御する搬送制御部と、を含み、
前記印刷制御部は、印刷を中断すべき理由が発生したときに、前記印刷媒体の第1面に対する印刷中の印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに前記印刷中断時最終ページの次のページである印刷再開ページに印刷再開位置を示す位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記印刷部を制御する印刷中断制御部を含み、
前記搬送制御部は、
前記印刷部による印刷が中断した後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記搬送部を制御する搬送速度制御部を含む、印刷装置。
【請求項2】
前記印刷部で前記印刷媒体の第1面に対して印刷された画像を、前記印刷媒体に定着させる定着部を備え、
前記搬送速度制御部は、前記印刷媒体の搬送を停止させるにあたって、印刷が完了した前記印刷中断時最終ページが前記定着部まで搬送されるように前記搬送部を制御する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記搬送制御部は、
前記定着部において前記印刷中断時最終ページに対する定着処理が完了した後、前記印刷媒体を巻き戻すように、前記搬送部を制御する巻き戻し制御部を含む、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記巻き戻し制御部は、印刷再開にあたっての前記印刷媒体の搬送再開時に、前記印刷再開ページの印刷再開位置から前記印刷部までの距離が、前記印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで、前記印刷媒体を巻き戻すように前記搬送部を制御する、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記巻き戻し制御部は、前記印刷媒体の搬送速度が減速を開始してから停止するまでの減速距離と、前記印刷部の搬送方向の長さと、前記加速距離との合計距離だけ前記印刷媒体を巻き戻す、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記搬送部はローラーとロータリーエンコーダを含み、前記巻き戻す距離は、前記ローラーの回転数を前記ロータリーエンコーダによってカウントすることにより求める、請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記位置マークを読み取る読み取り部を、前記印刷部の搬送方向上流側の近傍であって、かつ、前記印刷媒体の巻き戻し後に前記位置マークが位置するところよりも搬送方向下流側の位置に配置し、
前記読み取り部は、前記印刷媒体の搬送再開後に、前記印刷再開ページに印刷された前記位置マークを読み取り、印刷を再開すべき前記印刷再開ページが通過したことを前記印刷制御部に通知する、請求項3から6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記位置マークは、前記印刷中断時最終ページの次のページである前記印刷再開ページのみに印刷されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷再開ページに印刷した前記位置マークとは異なる形状のマークを、前記画像を印刷したページに印刷する、請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷部によって印刷された画像の検査を行う検査部をさらに備え、
前記制御部は、前記検査部を制御する検査制御部をさらに備え、
前記検査制御部は、前記搬送再開時以降に、前記印刷媒体の画像の検査が完了していないページをすべて検査するように前記検査部を制御する、請求項4から6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
第1面とその反対面である第2面とを含んだ印刷媒体の前記第1面に第1画像を印刷する第1印刷装置と、前記第1面に第1画像が印刷された前記印刷媒体の前記第1面と前記第2面とを反転させる反転ユニットと、前記反転ユニットで反転された前記印刷媒体の前記第2面に第2画像を印刷する第2印刷装置とを含む印刷システムであって、
前記第1印刷装置は、
前記印刷媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって搬送されている前記印刷媒体の第1面にインクを吐出して画像を印刷する第1印刷部と、
第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記第1印刷部の動作を制御する第1印刷制御部と、
前記第1搬送部の動作を制御する第1搬送制御部と、
を含み、
前記第1印刷制御部は、
印刷を中断すべき理由が発生したときに、前記印刷媒体の第1面に対する印刷中の第1印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに前記第1印刷中断時最終ページの次のページである第1印刷再開ページに印刷再開位置を示す第1位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記第1印刷部を制御する第1印刷中断制御部を含み、
前記第1搬送制御部は、
前記第1印刷部による印刷が中断した後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記第1搬送部を制御する第1搬送速度制御部を含み、
前記第2印刷装置は、
前記印刷媒体を搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって搬送されている前記印刷媒体の第2面にインクを吐出して画像を印刷する第2印刷部と、
第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、
前記第2印刷部の動作を制御する第2印刷制御部と、
前記第2搬送部の動作を制御する第2搬送制御部と、
を含み、
前記第2印刷制御部は、
印刷を中断すべき理由が発生したときに、前記印刷媒体の第2面に対する印刷中の第2印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに前記第2印刷中断時最終ページの次のページである第2印刷再開ページに印刷再開位置を示す第2位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記第2印刷部を制御する第2印刷中断制御部を含み、
前記第2搬送制御部は、
前記第2印刷部による印刷が中断した後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記第2搬送部を制御する第2搬送速度制御部を含む、印刷システム、
【請求項12】
前記第1印刷中断制御部と前記第2印刷中断制御部とは、それぞれ前記印刷媒体の第1面および第2面に対する印刷中の前記第1印刷中断時最終ページおよび前記第2印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに、前記第1印刷再開ページおよび前記第2印刷再開ページに対し、それぞれの印刷再開位置を示す前記第1位置マークおよび前記第2位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記第1印刷部および前記第2印刷部を制御し、
前記第1搬送速度制御部と前記第2搬送速度制御部は、前記第1位置マークおよび前記第2位置マークの印刷を完了させた後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記第1搬送部と前記第2搬送部とを制御する、請求項11に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記第1印刷装置は、
前記第1印刷部で前記印刷媒体の第1面に対して印刷された画像を、前記印刷媒体に定着させる第1定着部を備え、
前記第1搬送速度制御部は、前記印刷媒体の搬送を停止させるにあたって、印刷が完了した前記第1印刷中断時最終ページが前記第1定着部まで搬送されるように前記第1搬送部を制御し、
前記第2印刷装置は、
前記第2印刷部で前記印刷媒体の第2面に対して印刷された画像を、前記印刷媒体に定着させる第2定着部を備え、
前記第2搬送速度制御部は、前記印刷媒体の搬送を停止させるにあたって、印刷が完了した前記第2印刷中断時最終ページが前記第2定着部まで搬送されるように前記第2搬送部を制御する、請求項12に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記第1搬送制御部と前記第2搬送制御部とは、
前記第1定着部において前記第1印刷中断時最終ページに対する定着処理が完了し、かつ前記第2定着部において前記第2印刷中断時最終ページに対する定着処理が完了した後に、前記印刷媒体を巻き戻すように、それぞれ前記第1搬送部と前記第2搬送部とを制御する第1巻き戻し制御部と第2巻き戻し制御部を含む、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項15】
前記第1巻き戻し制御部は、
印刷再開にあたっての前記印刷媒体の搬送再開時に、前記第1印刷再開ページの印刷再開位置から前記第1印刷部までの距離が、前記第1印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで、前記印刷媒体を巻き戻すように前記第1搬送部を制御し、
前記第2巻き戻し制御部は、
印刷再開にあたっての前記印刷媒体の搬送再開時に、前記第2印刷再開ページの印刷再開位置から前記第2印刷部までの距離が、前記第2印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで、前記印刷媒体を巻き戻すように前記第2搬送部を制御する、請求項14に記載の印刷システム。
【請求項16】
前記第1印刷装置は、前記第1位置マークを読み取る第1読み取り部を、前記第1印刷部の搬送方向上流側の近傍であって、かつ、前記印刷媒体の巻き戻し後に前記第1位置マークが位置するところよりも搬送方向下流側に配置し、
前記第1読み取り部は、前記印刷媒体の搬送再開後に、前記第1印刷再開ページに印刷された前記第1位置マークを読み取り、印刷を再開すべき前記第1印刷再開ページが通過したことを前記第1印刷制御部に通知し、
前記第2印刷装置は、前記第2位置マークを読み取る第2読み取り部を、前記第2印刷部の搬送方向上流側の近傍であって、かつ、前記印刷媒体の巻き戻し後に前記第2位置マークが位置するところよりも搬送方向下流側に配置し、
前記第2読み取り部は、前記印刷媒体の搬送再開後に、前記第2印刷再開ページに印刷された前記第2位置マークを読み取り、印刷を再開すべき前記第2印刷再開ページが通過したことを前記第2印刷制御部に通知する、請求項14または15に記載の印刷システム。
【請求項17】
前記第1印刷装置は、
前記第1印刷部によって印刷された第1画像の検査を行う第1検査部をさらに備え、
前記第1制御部は、前記第1検査部を制御する第1検査制御部をさらに備え、
前記第1検査制御部は、前記搬送再開時以降に、前記印刷媒体の画像の検査が完了していないページをすべて検査するように前記第1検査部を制御し、
前記第2印刷装置は、
前記第2印刷部によって印刷された第2画像の検査を行う第2検査部をさらに備え、
前記第2制御部は、前記第2検査部を制御する第2検査制御部をさらに備え、
前記第2検査制御部は、前記搬送再開時以降に、前記印刷媒体の画像の検査が完了していないページをすべて検査するように前記第2検査部を制御する、請求項15に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体に印刷を行う印刷装置および反転ユニットを介して2台の印刷装置を接続して印刷を行う印刷システムに関し、特に印刷中に印刷を中断し、その後印刷を再開するポーズ機能を有する印刷装置および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を使用して印刷媒体に印刷しているときに、印刷を中断すべき理由が発生すれば印刷を中断し、中断理由がなくなった後に印刷を再開する。しかし、印刷を再開したときに、中断前に最後に印刷したページと、再開後に最初に印刷したページとの間に空白部が入ってしまう場合がある。例えば特許文献1には、印刷媒体の表面に印刷して乾燥させた後に裏面印刷を行うと、印刷媒体が伸縮するので、表面の印刷位置と裏面の印刷位置がずれるという問題点が記載されている。このようなずれをなくすために、表面を印刷した後の乾燥時において発生する印刷媒体の幅方向の伸縮を考慮して印刷を行うことが記載されている。また、特許文献2には、長尺帯状の印刷媒体に所定の周期で肉厚部が形成されている場合に、肉厚部が印刷領域に達する前に印刷を停止させ、印刷ヘッドと記録領域との相対位置を退避位置に切り替え、肉厚部が印刷領域を通過した後に印刷位置に切り替えることによって、印刷工程の中断前後における印刷位置の周期的なずれを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2014-144608号公報
【特許文献2】特開2016-144895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された印刷方法は、印刷媒体の表面に印刷した画像と、裏面に印刷した画像との位置ずれを補正する方法である。このため、中断前に印刷していたページと同じ面に再開後も印刷する場合、中断の前後に印刷したページの間に空白部が入ってしまう。また、特許文献2に記載された印刷方法は、印刷媒体に周期的に肉厚部がある場合には適用可能である。しかし、肉厚部がない連続紙では、印刷中断後に再開した場合に適用しても、中断の前後に印刷したページの間に空白部が入らないようにすることはできない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、印刷中に印刷を中断すべき理由が発生し、その後印刷を再開したときに空白部が入らないようにして印刷を再開することが可能な印刷装置および印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、長尺帯状の印刷媒体の第1面に複数ページに渡って画像の印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されている前記印刷媒体の第1面にインクを吐出して画像を印刷する印刷部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷部の動作を制御する印刷制御部と、
前記搬送部の動作を制御する搬送制御部と、を含み、
前記印刷制御部は、印刷を中断すべき理由が発生したときに、前記印刷媒体の第1面に対する印刷中の印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに前記印刷中断時最終ページの次のページである印刷再開ページに印刷再開位置を示す位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記印刷部を制御する印刷中断制御部を含み、
前記搬送制御部は、
前記印刷部による印刷が中断した後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記搬送部を制御する搬送速度制御部を含む。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、
前記印刷部で前記印刷媒体の第1面に対して印刷された画像を、前記印刷媒体に定着させる定着部を備え、
前記搬送速度制御部は、前記印刷媒体の搬送を停止させるにあたって、印刷が完了した前記印刷中断時最終ページが前記定着部まで搬送されるように前記搬送部を制御する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、
前記搬送制御部は、
前記定着部において前記印刷中断時最終ページに対する定着処理が完了した後、前記印刷媒体を巻き戻すように、前記搬送部を制御する巻き戻し制御部を含む。
【0009】
第4の発明は、第3の発明において、
前記巻き戻し制御部は、印刷再開にあたっての前記印刷媒体の搬送再開時に、前記印刷再開ページの印刷再開位置から前記印刷部までの距離が、前記印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで、前記印刷媒体を巻き戻すように前記搬送部を制御する。
【0010】
第5の発明は、第4の発明において、
前記巻き戻し制御部は、前記印刷媒体の搬送速度が減速を開始してから停止するまでの減速距離と、前記印刷部の搬送方向の長さと、前記加速距離との合計距離だけ前記印刷媒体を巻き戻す。
【0011】
第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記搬送部はローラーとロータリーエンコーダを含み、前記巻き戻す距離は、前記ローラーの回転数を前記ロータリーエンコーダによってカウントすることにより求める。
【0012】
第7の発明は、第3から第6のいずれかの発明において、
前記位置マークを読み取る読み取り部を、前記印刷部の搬送方向上流側の近傍であって、かつ、前記印刷媒体の巻き戻し後に前記位置マークが位置するところよりも搬送方向下流側の位置に配置し、
前記読み取り部は、前記印刷媒体の搬送再開後に、前記印刷再開ページに印刷された前記位置マークを読み取り、印刷を再開すべき前記印刷再開ページが通過したことを前記印刷制御部に通知する。
【0013】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、
前記位置マークは、前記印刷中断時最終ページの次のページである前記印刷再開ページのみに印刷されている。
【0014】
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明において、
前記印刷再開ページに印刷した前記位置マークとは異なる形状のマークを、前記画像を印刷したページに印刷する。
【0015】
第10の発明は、第4から第6のいずれかの発明において、
前記印刷部によって印刷された画像の検査を行う検査部をさらに備え、
前記制御部は、前記検査部を制御する検査制御部をさらに備え、
前記検査制御部は、前記搬送再開時以降に、前記印刷媒体の画像の検査が完了していないページをすべて検査するように前記検査部を制御する。
【0016】
第11の発明は、第1面とその反対面である第2面とを含んだ印刷媒体の前記第1面に第1画像を印刷する第1印刷装置と、前記第1面に第1画像が印刷された前記印刷媒体の前記第1面と前記第2面とを反転させる反転ユニットと、前記反転ユニットで反転された前記印刷媒体の前記第2面に第2画像を印刷する第2印刷装置とを含む印刷システムであって、
前記第1印刷装置は、
前記印刷媒体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって搬送されている前記印刷媒体の第1面にインクを吐出して画像を印刷する第1印刷部と、
第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記第1印刷部の動作を制御する第1印刷制御部と、
前記第1搬送部の動作を制御する第1搬送制御部と、
を含み、
前記第1印刷制御部は、
印刷を中断すべき理由が発生したときに、前記印刷媒体の第1面に対する印刷中の第1印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに前記第1印刷中断時最終ページの次のページである第1印刷再開ページに印刷再開位置を示す第1位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記第1印刷部を制御する第1印刷中断制御部を含み、
前記第1搬送制御部は、
前記第1印刷部による印刷が中断した後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記第1搬送部を制御する第1搬送速度制御部を含み、
前記第2印刷装置は、
前記印刷媒体を搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって搬送されている前記印刷媒体の第2面にインクを吐出して画像を印刷する第2印刷部と、
第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、
前記第2印刷部の動作を制御する第2印刷制御部と、
前記第2搬送部の動作を制御する第2搬送制御部と、
を含み、
前記第2印刷制御部は、
印刷を中断すべき理由が発生したときに、前記印刷媒体の第2面に対する印刷中の第2印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに前記第2印刷中断時最終ページの次のページである第2印刷再開ページに印刷再開位置を示す第2位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記第2印刷部を制御する第2印刷中断制御部を含み、
前記第2搬送制御部は、
前記第2印刷部による印刷が中断した後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記第2搬送部を制御する第2搬送速度制御部を含む。
【0017】
第12の発明は、第11の発明において、
前記第1印刷中断制御部と前記第2印刷中断制御部とは、それぞれ前記印刷媒体の第1面および第2面に対する印刷中の第1印刷中断時最終ページおよび第2印刷中断時最終ページの印刷を完了させ、さらに、前記第1印刷再開ページおよび前記第2印刷再開ページに対し、それぞれの印刷再開位置を示す第1位置マークおよび第2位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように前記第1印刷部および前記第2印刷部を制御し、
前記第1搬送速度制御部と前記第2搬送速度制御部は、前記第1位置マークおよび前記第2位置マークの印刷を完了させた後に、前記印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、前記印刷媒体の搬送を停止させるように前記第1搬送部と前記第2搬送部とを制御する。
【0018】
第13の発明は、第12の発明において、
前記第1印刷装置は、
前記第1印刷部で前記印刷媒体の第1面に対して印刷された画像を、前記印刷媒体に定着させる第1定着部を備え、
前記第1搬送速度制御部は、前記印刷媒体の搬送を停止させるにあたって、印刷が完了した前記第1印刷中断時最終ページが前記第1定着部まで搬送されるように前記第1搬送部を制御し、
前記第2印刷装置は、
前記第2印刷部で前記印刷媒体の第2面に対して印刷された画像を、前記印刷媒体に定着させる第2定着部を備え、
前記第2搬送速度制御部は、前記印刷媒体の搬送を停止させるにあたって、印刷が完了した前記第2印刷中断時最終ページが前記第2定着部まで搬送されるように前記第2搬送部を制御する、請求項12に記載の印刷システム。
【0019】
第14の発明は、第13の発明において、
前記第1搬送制御部と前記第2搬送制御部とは、
前記第1定着部において前記第1印刷中断時最終ページに対する定着処理が完了し、かつ前記第2定着部において前記第2印刷中断時最終ページに対する定着処理が完了した後に、前記印刷媒体を巻き戻すように、それぞれ前記第1搬送部と前記第2搬送部とを制御する第1巻き戻し制御部と第2巻き戻し制御部を含む。
【0020】
第15の発明は、第14の発明において、
前記第1巻き戻し制御部は、
印刷再開にあたっての前記印刷媒体の搬送再開時に、前記第1印刷再開ページの印刷再開位置から前記第1印刷部までの距離が、前記第1印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで、前記印刷媒体を巻き戻すように前記第1搬送部を制御し、
前記第2巻き戻し制御部は、
印刷再開にあたっての前記印刷媒体の搬送再開時に、前記第2印刷再開ページの印刷再開位置から前記第2印刷部までの距離が、前記第2印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで、前記印刷媒体を巻き戻すように前記第2搬送部を制御する。
【0021】
第16の発明は、第14または第15の発明において、
前記第1印刷装置は、前記第1位置マークを読み取る第1読み取り部を、前記第1印刷部の搬送方向上流側の近傍であって、かつ、前記印刷媒体の巻き戻し後に前記第1位置マークが位置するところよりも搬送方向下流側に配置し、
前記第1読み取り部は、前記印刷媒体の搬送再開後に、前記第1印刷再開ページに印刷された前記第1位置マークを読み取り、印刷を再開すべき前記第1印刷再開ページが通過したことを前記第1印刷制御部に通知し、
前記第2印刷装置は、前記第2位置マークを読み取る第2読み取り部を、前記第2印刷部の搬送方向上流側の近傍であって、かつ、前記印刷媒体の巻き戻し後に前記第2位置マークが位置するところよりも搬送方向下流側に配置し、
前記第2読み取り部は、前記印刷媒体の搬送再開後に、前記第2印刷再開ページに印刷された前記第2位置マークを読み取り、印刷を再開すべき前記第2印刷再開ページが通過したことを前記第2印刷制御部に通知する。
【0022】
第17の発明は、第15の発明において、
前記第1印刷装置は、
前記第1印刷部によって印刷された第1画像の検査を行う第1検査部をさらに備え、
前記第1制御部は、前記第1検査部を制御する第1検査制御部をさらに備え、
前記第1検査制御部は、搬送再開時以降に、前記印刷媒体の画像の検査が完了していないページをすべて検査するように前記第1検査部を制御し、
前記第2印刷装置は、
前記第2印刷部によって印刷された第2画像の検査を行う第2検査部をさらに備え、
前記第2制御部は、前記第2検査部を制御する第2検査制御部をさらに備え、
前記第2検査制御部は、前記搬送再開時以降に、前記印刷媒体の画像の検査が完了していないページをすべて検査するように前記第2検査部を制御する。
【発明の効果】
【0023】
上記第1の発明によれば、印刷媒体に画像を印刷中に、印刷を中断すべき理由が発生したときには、そのときに印刷していたページの印刷をすべて完了させる。さらに、印刷を再開するときに最初に印刷するページであることを示す位置マークのみを印刷して印刷部を停止させた後に、印刷媒体を減速して停止させるように搬送部を制御する。これにより、印刷を再開したときに、位置マークが印刷されたページから印刷を再開することによって、停止させる前に印刷されたページと、印刷を再開するページとの間に空白部が入らなくすることができるので、損紙の発生を防止することができる。
【0024】
上記第2の発明によれば、印刷を中断すべき理由の発生後に画像の印刷が完了したページは、搬送速度が減速されながら定着部まで搬送されて停止する。これにより、印刷を中断すべき理由が発生したときに印刷していたすべてのページを印刷完了させた後に、定着部において画像の定着処理が行われるので、印刷中断の理由が発生した後に印刷された画像も印刷媒体に定着される。
【0025】
上記第3の発明によれば、搬送部は巻き戻すための巻き戻し制御部を備えているので、印刷を中断すべき理由が発生したときに印刷していたページも印刷を完了させた後に、巻き戻すことができる。その結果、中断前に最後に印刷したページの次に、印刷再開ページを印刷することができるので、損紙の発生を防止することができる。
【0026】
上記第4の発明によれば、印刷再開時に印刷部において印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上になるまで印刷媒体を巻き戻すので、印刷再開時に印刷媒体を所定の速度まで加速することができるので、印刷再開時の印刷が正常に行われる。
【0027】
上記第5の発明によれば、減速距離と、印刷部の搬送方向の長さと、加速距離との合計距離だけ印刷媒体を巻き戻すので、印刷再開時に印刷媒体の搬送速度を印刷部で正常に印刷できる速度まで加速して印刷再開ページから正常に印刷を行うことができる。
【0028】
上記第6の発明によれば、搬送部に設けられたローラーの回転数をロータリーエンコーダによってカウントして巻き戻し距離を求めるので、巻き戻し距離を正確に測定することができる。
【0029】
上記第7の発明によれば、印刷部の搬送方向上流側の近傍に配置された読み取り部は、印刷再開ページに印刷された位置マークを読み取って、印刷再開ページが通過したことを印刷制御部に通知するので、印刷部は印刷再開ページから印刷を再開することができる。
【0030】
上記第8の発明によれば、位置マークを印刷するページは印刷再開ページだけであるので、読み取り部が誤って他のマークを読み取ることはない。これにより、読み取り部は、印刷再開ページが通過したことを正しく読み取ることができる。
【0031】
上記第9の発明によれば、画像が印刷されたページには、印刷再開ページに印刷された位置マークとは異なる形状のマークが印刷されているので、読み取り部が位置マークを誤って読み取る可能性が低下する。これにより、読み取り部は、印刷再開ページが通過したことを確実に読み取ることができる。
【0032】
上記第10の発明によれば、検査部は、搬送再開時において検査が完了していない印刷媒体を搬送再開後にすべて検査する。これにより、印刷を中断すべき理由の発生に伴って行った搬送部の減速や加速によって発生する未検査のページを含む、画像が印刷されたすべてのページについて検査を行うことができる。
【0033】
上記第11の発明によれば、第1および第2印刷装置は、印刷媒体に画像を印刷中に、印刷を中断すべき理由が発生したときには、そのときに印刷していたページの印刷をすべて完了させる。さらに、印刷を再開するときに最初に印刷するページであることを示す位置マークのみを印刷して第1および第2印刷部をそれぞれ停止させた後に、印刷媒体を減速させて停止させる。これにより、印刷を再開したときに、位置マークが印刷されたページから印刷を再開することができるので、停止させる前に印刷されたページと、印刷を再開するページとの間に空白部が入らなくすることができ、損紙の発生を防止することができる。
【0034】
上記第12の発明によれば、第1印刷部および第2印刷部は、印刷を中断すべき理由が発生したときに印刷していた印刷媒体のすべてのペ-ジと、第1位置マークおよび第2位置マークの印刷を完了した後に、第1搬送部と第2搬送部の搬送速度の減速を開始させて印刷媒体を停止させる。これにより、第1印刷装置および第2印刷装置で印刷された印刷媒体はそれぞれ第1印刷部および第2印刷部から離れた位置で定着処理が行われる。
【0035】
上記第13の発明によれば、第1および第2定着部においてそれぞれ印刷された画像を定着させるために、印刷を中断すべき理由の発生時から最後に印刷された第1印刷中断時最終ページおよび第2印刷中断時最終ページまでのすべてのページの定着処理を行う。これにより、印刷画像は印刷媒体に定着するので、印刷再開前に行う巻き戻しによって、印刷画像が崩れない。
【0036】
上記第14の発明によれば、第1定着部および第2定着部において印刷中断時最終ページの定着処理がそれぞれ完了した後に、第1搬送部および第2搬送部によって印刷媒体が同時に巻き戻される。これにより、印刷再開後に印刷再開ページから印刷を再開することができる。
【0037】
上記第15の発明によれば、第1および第2巻き戻し制御部は、搬送再開時に印刷再開位置から印刷部までの距離が、印刷再開ページへの印刷が可能な搬送速度まで加速するために必要な距離以上になるまで巻き戻す。これにより、第1および第2印刷装置において、印刷時の印刷媒体の搬送速度を印刷可能な速度まで加速することができる。
【0038】
上記第16の発明によれば、第1および第2読み取り部は、搬送再開後に第1および第2読み取り部によって位置マークを確実に読み取ることができ、読み取った位置マークを印刷制御部にそれぞれ通知する。これにより、第1および第2印刷部は、それぞれ印刷再開ページから印刷を再開することができる。
【0039】
上記第17の発明によれば、第1印刷部によって印刷された画像を検査する第1検査部および第2印刷部によって印刷された画像を検査する第2検査部によって、印刷再開前に検査ができなかったページを印刷再開時以降に検査する。これにより、画像が印刷されたすべてのページを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷装置の全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置に含まれる印刷部の一構成例を示す平面図である。
【
図3】
図1に示す印刷装置に含まれる制御部のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す印刷装置に含まれる制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図1に示す印刷装置において、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷を再開するまでの手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示す印刷装置において、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷を再開するときまでの印刷媒体の変化を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る印刷システムの全体構成を示す模式図である。
【
図8】
図7に示す印刷システムに含まれる第1制御部と第2制御部の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図7に示す印刷システムに含まれる第1および第2の印刷装置において、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷を再開するまでの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0042】
<1.第1の実施形態>
<1.1 印刷装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット印刷装置100の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、インクジェット印刷装置100は、印刷機本体110と制御部120とによって構成されている。印刷機本体110は、連続紙からなる長尺帯状の印刷媒体を水平軸の周囲に回転可能に保持して供給する給紙部80と、給紙部80から供給された印刷媒体に、例えば水性インクなどのインクを吐出して画像を印刷し、印刷された画像を乾燥させた後に検査する印刷ユニット70と、印刷が完了して出力された連続紙を巻き取る巻き取り部90とを備える。制御部120は、外部から与えられたジョブデータに基づいて印刷媒体に画像を印刷するように、印刷機本体110の動作を制御する。
【0043】
印刷ユニット70は、給紙部80から供給された印刷媒体をその内部に搬送する第1駆動ローラー41と、印刷ユニット70の内部で印刷媒体を搬送するための複数個の搬送用ローラー(「ローラー」ともいう)43と、連続紙にインク(例えば水性インク)を吐出して印刷を行う印刷部10と、印刷された印刷媒体に温風を当てることによって乾燥させる乾燥部20と、印刷媒体に印刷された画像と画像データとを照合することにより印刷画像に問題がないか否かを検査する検査部30と、印刷媒体を印刷ユニット70から出力するための第2駆動ローラー42とを備えている。第1駆動ローラー41と第2駆動ローラー42は、図示しないモータによって連動するように駆動され、モータの回転方向を切り替えることにより印刷媒体を所望の搬送速度で搬送方向上流側または搬送方向下流側に搬送することができる。第1駆動ローラー41、第2駆動ローラー42、および搬送用ローラー43によって搬送部40が構成される。
【0044】
印刷ユニット70には、印刷を中断してその後再開する際に、印刷再開ページに印刷された位置マーク(「キューマーク」、または「印刷再開位置」ともいう)を読み取る読み取り部50が設けられている。読み取り部50は、印刷部10の搬送方向上流側の近傍であって、印刷媒体を上流側に巻き戻したときに、印刷開始ページに印刷された位置マークの位置を確実に認識できるように、印刷媒体を巻き戻したときの位置マークの位置よりも搬送方向下流側に配置される。印刷再開時に、印刷再開ページに印刷された位置マークが読み取り部50を通過すると、読み取り部50は印刷再開ページが通過したことを制御部120に通知する。これにより、制御部120は、印刷部10を制御して印刷再開ページから印刷を再開させることができる。
【0045】
また、印刷部10のさらに搬送方向上流側に、ロータリーエンコーダ60が配置されている。ロータリーエンコーダ60は、第1駆動ローラー41の回転数をカウントすることにより、印刷媒体の移動距離を計測することができる。ロータリーエンコーダ60は、印刷ユニット70の入り口付近に限定されず、第2駆動ローラー42の近傍に配置されてもよい。
【0046】
なお、
図1では、印刷装置100として、カラー印刷を行うインクジェット印刷装置100の構成を例示したが、モノクロ印刷を行うインクジェット印刷装置、または他の印刷方式で印刷する印刷装置にも同様に適用することができる。
【0047】
図2は、
図1に示す印刷装置100に含まれる印刷部10の一構成例を示す平面図である。
図2に示すように、印刷部10は、印刷媒体の搬送方向に列置されたK色(黒色)、C色(シアン色)、M色(マゼンタ色)およびY色(黄色)のインクジェットヘッド列15K、15C、15Mおよび15Yから構成されている。各インクジェットヘッド列は、千鳥状に配置された複数個のインクジェットヘッド16により構成されている。各インクジェットヘッド16は、インクを吐出する多数のノズルを含む。K色のインクジェットヘッド列15Kに含まれるインクジェットヘッド16の各ノズルはK色のインクを吐出し、C色のインクジェットヘッド列15Cに含まれるインクジェットヘッド16の各ノズルはC色のインクを吐出し、M色のインクジェットヘッド列15Mに含まれるインクジェットヘッド16の各ノズルはM色のインクを吐出し、Y色のインクジェットヘッド列15Yに含まれるインクジェットヘッド16の各ノズルはY色のインクを吐出する。
【0048】
上記説明では、水性インクを吐出して印刷を行う場合について説明した。しかし、水性インクの代わりにUVインク(紫外線硬化インク)を使用して画像印刷を行ってもよい。ただし、UVインクを使用する場合には、印刷した画像を印刷媒体に定着させるために、紫外線を照射してUVインクを硬化させる必要がある。そこで、本明細書では、水性インクおよびUVインクのいずれを用いて印刷した場合も含まれるように、「乾燥部」に代えて「定着部」という場合がある。また、上記のように、UVインクは乾燥させるのではく硬化させるので、乾燥処理と硬化処理を含めて「定着処理」と言う場合がある。
【0049】
検査部30は、乾燥部20で乾燥させた画像を撮像素子によって撮像し、撮像した画像を制御部120に送る。制御部120は、撮像した画像と外部から送られた画像データとを比較することにより検査を行う。しかし、印刷部10において、画像とともに、画像を表すバーコード印刷部を印刷し、印刷したバーコードを読み取る。これによって、印刷画像がバーコードによって表される画像と一致しているか否かを照合することにより検査を行うことも可能である。バーコードの読み取りは、印刷されたバーコードが乾燥されていなくても行うことができるので、印刷後直ちにバーコードを読み取ってバーコード照合を行うこともできる。この場合、印刷画像を乾燥させるよりも先にバーコード照合を行うので、乾燥部20と検査部30の配置が
図1に示す配置とは逆になる。
【0050】
<1.2 制御部のハードウェアの構成>
図3は、
図1に示す印刷装置に含まれる制御部120のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部120は、本体130、補助記憶装置121、光ディスクドライブ122、表示部123、キーボード124、およびマウス125などを備えている。本体130は、CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、出力インタフェース部117、およびネットワークインタフェース部118を含んでいる。CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、出力インタフェース部117、およびネットワークインタフェース部118は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部113には補助記憶装置121が接続されている。第2ディスクインタフェース部114には光ディスクドライブ122が接続されている。表示制御部115には、表示部(表示装置)123が接続されている。入力インタフェース部116には、キーボード124およびマウス125が接続されている。出力インタフェース部117には、通信ケーブルを介して印刷機本体110が接続されている。ネットワークインタフェース部118には通信回線5が接続されている。補助記憶装置121は磁気ディスク装置などである。光ディスクドライブ122には、CD-ROMやDVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク6が挿入される。表示部123は液晶ディスプレイなどである。表示部123は、オペレータが所望する情報を表示するために使用される。キーボード124およびマウス125は、この制御部120に対して作業者が指示を入力するために使用される。
【0051】
補助記憶装置121には、印刷制御プログラム(印刷機本体110による印刷処理の実行を制御するためのプログラム)Pが格納されている。CPU111は、補助記憶装置121に格納された印刷制御プログラムPをメモリ112に読み出して実行することにより、制御部120の各種機能を実現する。メモリ112は、RAMおよびROMを含んでいる。メモリ112は、補助記憶装置121に格納された印刷制御プログラムPをCPU111が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、印刷制御プログラムPは、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一過性の記録媒体)に格納されて提供される。すなわち、ユーザーは、例えば、印刷制御プログラムPの記録媒体としての光ディスク6を購入して光ディスクドライブ122に挿入し、光ディスク6から印刷制御プログラムPを読み出して補助記憶装置121にインストールする。また、これに代えて、通信回線5を介して送信される印刷制御プログラムPをネットワークインタフェース部118で受信して、それを補助記憶装置121にインストールするようにしてもよい。
【0052】
図4は、印刷制御プログラムPが実行されることによって実現される制御部120の概略機能の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制御部120は、印刷部10の動作を制御する印刷制御部160と、搬送部40の動作を制御する搬送制御部170と、後述する第2印刷装置100bの通信部との間で印刷媒体への印刷制御状況や、印刷媒体の搬送制御状況を通信で伝達し合うための通信部180とを含む。制御部120は、さらに、検査部30の動作を制御する検査制御部と、乾燥部20の動作を制御する乾燥制御部を含むが、
図4ではこれらは省略されている。
【0053】
印刷制御部160は、印刷中断制御部161を含む。印刷中断制御部161は、印刷を中断すべき理由が発生したときに、印刷部10を制御して印刷媒体に印刷中のページをその最後のページである印刷中断時最終ページまで印刷を完了させ、さらに印刷中断時最終ページの次のページである印刷再開ページに印刷再開位置を示す位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように印刷部10を制御する。その他の印刷部10の動作は印刷制御部160が直接制御する。
【0054】
搬送制御部170は、搬送速度制御部171と巻き戻し制御部172とを含む。搬送速度制御部171は、印刷を中断すべき理由が発生したときに、印刷中断最終ページまで印刷して印刷部10による印刷を中断した後に、印刷媒体の搬送速度の減速を開始させ、さらに印刷中断時最終ページを乾燥部20まで搬送した後に搬送部40を制御して印刷媒体の搬送を停止させる。これにより、中断理由が発生したときから印刷が中断されたときまでに印刷されたページの乾燥が行われる。
【0055】
また、巻き戻し制御部172は、印刷再開にあたっての印刷媒体の搬送再開時に、印刷再開ページに印刷された位置マークの位置(印刷再開位置)から印刷部10までの距離が、印刷再開ページの印刷が可能になる搬送速度に到達するために必要な加速距離以上になるまで、印刷媒体を巻き戻させるように搬送部40を制御する。具体的には、印刷媒体を巻き戻す距離は、印刷媒体の減速を開始してから停止するまでの減速距離と、印刷部10の搬送方向の長さと、印刷再開後に印刷媒体を印刷可能な速度まで加速するために必要な加速距離との合計距離になる。なお、巻き戻す距離は、第1駆動ローラー41の回転数をロータリーエンコーダ60でカウントすることにより測定される。その他の搬送部40の動作は搬送制御部170が直接制御する。
【0056】
<1.3 印刷中断から再開までの手順>
<1.3.1 概略>
図5は、
図1に示す印刷装置100において、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷を再開するまでの手順を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートに従って、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷再開までの手順の概略を説明する。
【0057】
ステップS100では、印刷装置100において印刷媒体に画像を印刷しているときに、印刷を中断すべき理由が発生しているか否かを監視し、中断すべき理由が発生していないときには、印刷を継続しながら、同時に中断理由が発生しているか否かを監視する。中断理由が発生したときには、ステップS110に進み、中断すべき理由が発生したときには、印刷部10で印刷していたすべてのページの印刷を完了させる。
【0058】
中断すべき理由が発生したときに印刷していたすべてのページの印刷が完了した後に、ステップS120において、印刷中断時最終ページの次のページ(印刷再開ページ)に、印刷を再開するときの最初のページであることを示す位置マークを印刷する。位置マークの印刷が完了すると、ステップS130において印刷部10の印刷を停止する。次に、ステップS140において、搬送部40は、搬送速度の減速を開始し、中断理由が発生した後に印刷が完了したすべてのページを乾燥部20に搬送し、中断理由が発生した後に印刷が完了したすべてのページの乾燥が完了した後に搬送を停止する。ステップS150において、検査部30による検査を停止する。ステップS160において、中断理由が発生した後に印刷されたすべてのページの乾燥が終了した後に、搬送部40は、連携して印刷媒体の印刷再開ページを上流側の印刷再開位置まで巻き戻す。
【0059】
ステップS170において、印刷ユニット70の動作を停止して印刷再開の指示があるまで待機する。印刷再開の指示を受けると、ステップS180において、印刷媒体を搬送方向下流側に加速して搬送する。これにより、印刷媒体が印刷部10に到達する前までに搬送速度が印刷可能な速度まで加速され、印刷部10で印刷が正しく行われる。
【0060】
ステップS190において、印刷部10の近傍に配置された読み取り部50によって、印刷媒体の印刷再開ページに印刷された位置マークを読み取り、印刷再開ページが読み取り部50を通過したことを印刷部10に通知する。ステップS200において、印刷部10は読み取り部50からの通知を受け取って印刷再開ページから順次印刷を再開する。
【0061】
<1.3.2 手順の詳細>
図6は、
図1に示す印刷装置100において、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷を再開するときまでの印刷媒体の変化を示す図である。
図6を参照して、印刷中に印刷を中断すべき理由が発生したために印刷を中断し、その後印刷を再開するまでの工程を第1段階から第4段階までの4段階に分けて、各段階における印刷ユニット70の動作と印刷媒体の印刷状態を説明する。
【0062】
各ページの上部に付された数字は各ページのページ番号を表している。また、印刷部10には、K色、C色、M色およびY色の各インクジェットヘッド列15K、15C、15M、15Yが、搬送方向上流側から下流側に向かってこの順で並んでいるので、各ページの印刷もこの順で行われる。また、位置マークはK色のインクジェットヘッド列15Kから吐出されるK色インクによって行われる。まず位置マークの印刷が行われ、次にK色、C色、M色およびY色の各画像がこの順に印刷される。このため、
図6では印刷の進行状況を、ページごとに記載された各色の印刷マークによって知ることができる。
【0063】
第1段階では、印刷中に印刷を中止すべき理由が発生したときの印刷媒体が示されている。このとき、1ページ~16ページまでの各ページの印刷が完了し、各ページには、位置マークと、K色、C色、M色、Y色の各画像が印刷されている。そのうち、先頭の1ページ~6ページは乾燥部20での乾燥が完了して、検査部30で検査が行われている。7ページは、乾燥は完了しているが、まだ検査部30には搬送されていない。8ページ~14ページは、乾燥部20で乾燥が行われている。15ページおよび16ページは印刷が完了し、これから乾燥部20に搬送される。
【0064】
17ページ~20ページは印刷部10において印刷中である。具体的には、17ページは、位置マークとK色、C色、M色の3色の画像印刷が終了し、18ページは、位置マークとK色、C色の2色の画像印刷が終了し、19ページは位置マークとK色の画像印刷が終了している。20ページは、位置マークだけが印刷されている。
【0065】
第2段階では、印刷を中断すべき理由が発生したときに、印刷を中断する前に行うべき印刷を完了した印刷媒体が示されている。具体的には、20ページに位置マークを印刷しているときに、印刷を中断すべき理由が発生したので、印刷中であった17ページ~20ページの各ページにおいてまだ印刷していない色の画像を順に印刷する。これにより、印刷中断時最終ページである20ページまでの各ページに画像が印刷される。さらに、印刷再開時に最初に印刷される再開印刷ページである21ページに位置マークだけを印刷した後に、印刷部10は印刷を停止する。次に、印刷媒体の搬送速度の減速を開始し、減速しながら印刷が完了した17ページから20ページまでの各ページを乾燥部20内に搬送する。
【0066】
なお、
図6では、印刷を再開したときの印刷再開ページである21ページだけでなく、画像が印刷された1ページ~20ページにも位置マークが印刷されている。しかし、位置マークは、印刷再開ページにのみ印刷し、画像が印刷されているページには印刷されないようにしてもよい。また、画像が印刷されているページにも位置マークを印刷する場合には、印刷再開ページである21ページに印刷する位置マークを、画像が印刷されている他のページに印刷された位置マークと異なる形状のマークにしてもよい。
【0067】
第3段階では、印刷を再開するために、印刷媒体を巻き戻したときの印刷媒体が示されている。このときの印刷再開ページである21ページの位置は、印刷部10の最も上流側にあるK色のインクジェットヘッド列15Kまでの距離が印刷開始ページを印刷可能な搬送速度まで加速するために必要な距離以上であって、かつ、読み取り部50よりも上流側になる位置である。
【0068】
第4段階では、印刷再開ページである21ページの印刷を再開したときの印刷媒体が示されている。21ページに印刷部10のK色のインクジェットヘッド列15KによってK色の印刷が開始される前までに、印刷媒体の搬送速度は印刷可能な状態まで加速されている。なお、読み取り部50は21ページに印刷された位置マークを読み取ると、21ページが通過したことを印刷部10に通知する。これにより、21ページがK色のインクジェットヘッド列15Kの位置に来たときから印刷が再開される。以下、同様にして、印刷媒体を搬送方向下流側に搬送しながらC色、M色、Y色の各インクジェットヘッド列15C、15M、15Yを順に制御して各色の画像を順に印刷し、21ページの印刷が完了する。以下同様にして、22ページ以降の各ページにも4色の画像を印刷する。
【0069】
なお、印刷中断前に行われていた検査は、印刷が中断された後も、搬送部40が停止するまで継続される。このため、印刷再開後の検査は、既に検査が完了しているページについては再度検査を行う必要はなく、搬送部40を停止させたときに検査が完了していな買ったページのみを検査すればよい。しかし、印刷を中断したときまでに検査が完了しているページについても再度検査を行ってもよい。
【0070】
印刷中に印刷を中断すべき理由が発生した場合には、上記のように印刷を行うことによって、印刷を中断すべき理由が発生した後に最後に画像を印刷した20ページと、印刷再開後に最初に印刷した21ページとの間に空白部が入らないので、損紙の発生を防止することができる。
【0071】
<1.4 効果>
本実施形態によれば、印刷装置100を使用して印刷媒体に画像を印刷しているときに、印刷を中断すべき理由が発生したため印刷を中断し、中断理由が解消した後に印刷を再開する場合に、中断理由が発生したときに印刷していたページの印刷を完了させて乾燥させた後に巻き戻す。その後、中断理由が解消した後に、印刷媒体を印刷可能な速度まで加速して、位置マークが印刷された印刷再開ページから印刷を再開する。これにより、印刷を中断したときの印刷中断時最終ページと、印刷再開ページとの間に空白部が入らないので、損紙の発生を防止することができる。
【0072】
<2.第2の実施形態>
<2.1 印刷システムの構成>
本実施形態では、2台の印刷装置100a、100bを、反転ユニット150を介して接続した印刷システム200について説明する。印刷システム200を構成する2台の印刷装置100a、100bはいずれも、第1の実施形態において説明した印刷装置100と同じ構成の装置である。そこで、後述する
図7および
図8では、
図1および
図4に対応する印刷装置100の構成要素に対応する第1印刷装置100aの構成要素については、符号の末尾にそれぞれ“a”を付し、印刷装置100の構成要素に対応する第2印刷装置100bの構成要素については、符号の末尾にそれぞれ“b”を付して両者を区別する。なお、第1実施形態の印刷装置100と異なり、印刷システム200では、給紙部80は第1印刷装置100aのみに設けられており、巻き取り部90は第2印刷装置100bのみに設けられている。
【0073】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る印刷システム200の全体構成を示す模式図である。
図7に示すように、本実施形態に係る印刷システム200は、印刷媒体の表面(第1面)に画像を印刷する第1印刷装置100aと印刷媒体の裏面(第2面)に画像を印刷する第2印刷装置100bとが反転ユニット150を介して直列に接続されている。ここで、第1印刷装置100aと第2印刷装置100bは、第1の実施形態で説明した印刷装置100と同じ構成のインクジェット印刷装置である。まず第1印刷装置100aによって、印刷媒体の表面である第1面に画像を印刷した後に、反転ユニット150によって印刷媒体の表面と裏面を反転させ、次に第2印刷装置100bによって印刷媒体の裏面である第2面に画像を印刷する。
【0074】
第1印刷装置100aは、第1制御部120a、および、第1印刷部10aと第1乾燥部20aと第1検査部30aとを含む第1印刷ユニット70aを備えている。第2印刷装置100bは、第1制御部120a、および、第2印刷部10bと第2乾燥部20bと第2検査部30bとを含む第2印刷ユニット70bを備えている。
【0075】
図8は、
図7に示す印刷システム200に含まれる第1制御部120aと第2制御部120bの構成の一部を示すブロック図である。第1制御部120aと第2制御部120bとの間では、第1印刷装置100aと第2印刷装置100bとの間の搬送動作等を一部連携して制御するために、各装置間の動作状況および制御状況をお互いに示すために、通信部180を通じて通信可能に構成されている。
図8に示すように、第1制御部120aは、第1印刷部10aを制御する第1印刷制御部160aと、第1搬送部40aを制御する第1搬送制御部170aとを備えている。第1印刷制御部160aは第1印刷中断制御部161aを含み、第1搬送制御部170aは第1搬送速度制御部171aと第1巻き戻し制御部172aとを含む。第2制御部120bも同様に、第2印刷制御部160bと第2搬送制御部170bとを備えている。第2印刷制御部160bは第2印刷中断制御部161bを含み、第2搬送制御部170bは、第2搬送速度制御部171bと第2巻き戻し制御部172bとを含む。以下、各制御部の機能について説明する。
【0076】
第1印刷中断制御部161aは、印刷を中断すべき理由が発生したときに、印刷媒体の第1面に対して印刷中のページについて、第1印刷中断時最終ページまでのすべてのページの印刷を完了させる。さらに、第1印刷中断時最終ページの次のページである第1印刷再開ページに印刷再開位置を示す第1位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように第1印刷部10aを制御する。第2印刷中断制御部161bも同様にして、第2印刷中断時最終ページまでのページを印刷させ、さらに第2印刷再開ページに第2位置マークを印刷させた後に、印刷を中断させるように第2印刷部10bを制御する。このように、第1印刷中断制御部161aと第2印刷中断制御部161bは、それぞれ独立して第1印刷部10aと、第2印刷部10bを制御する。
【0077】
印刷システム200の第1および第2搬送部40a、40bにはバッファ部が設けられていない。このため、印刷システム200内で印刷媒体を搬送する際には、第1および第2搬送部40a、40bは、印刷媒体を同じ方向に同じ速度で同時に搬送する必要がある。そこで、第1搬送制御部170aと第2搬送制御部170bは、連携して第1搬送部40aと第2搬送部40bを同じ搬送速度で同じ方向に印刷媒体を搬送するように制御する必要がある。
【0078】
第1搬送速度制御部171aは、第1位置マークの印刷を完了させた後に、印刷媒体の搬送速度の減速を開始させて、第1印刷中断時最終ページを第1乾燥部20aまで搬送するように第1搬送部40aを制御する。第2搬送速度制御部171bも同様にして、第2搬送部40bを制御する。このとき、第1搬送速度制御部171aおよび第2搬送速度制御部171bは、第1印刷中断時最終ページが第1乾燥部20aに搬送され、かつ、第2印刷中断時最終ページが第1乾燥部20aに搬送されるまで、連携して第1搬送部40aおよび第2搬送部40bを制御する。
【0079】
第1巻き戻し制御部172aおよび第2巻き戻し制御部172bは、第1乾燥部20aにおいて第1印刷中断時最終ページに対する乾燥が完了し、かつ、第2乾燥部20bにおいて第2印刷中断時最終ページに対する乾燥が完了した後に、連携して印刷媒体を巻き戻すように、それぞれ第1搬送部40aと第2搬送部40bとを制御する。これにより、第1搬送部40aと第2搬送部40bは連携して印刷媒体を搬送する。このとき、第1巻き戻し制御部172aは、印刷再開時に第1印刷再開ページの印刷開始再開位置から第1印刷部10aまでの距離が、前記第1印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで印刷媒体を巻き戻し、かつ、第2巻き戻し制御部172bは、印刷再開時に第2印刷再開ページの印刷再開位置から第2印刷部10bまでの距離が、第2印刷再開ページへの印刷可能な搬送速度を得るのに必要な加速距離以上となるまで印刷媒体を巻き戻すように連携して制御する。
【0080】
図8には記載されていないが、制御部120は、第1検査部30aによる検査を制御する第1検査制御部と、第2検査部30bによる検査を制御する第2検査制御部も含まれている。第1および第2検査制御部は、印刷媒体の搬送再開時に、印刷媒体に印刷された画像の検査が完了していないページをすべて検査するように第1検査部30aおよび第2検査部30bを制御する。
【0081】
第1位置マークを読み取る第1読み取り部50aは、第1印刷装置100aの第1印刷部10aの搬送方向上流側の近傍であって、かつ、印刷媒体の巻き戻し後に第1位置マークの位置よりも搬送方向下流側に配置されている。同様に、第2位置マークを読み取る第2読み取り部50bは、第2印刷装置100bの第2印刷部10bの搬送方向上流側の近傍であって、かつ、印刷媒体の巻き戻し後に第2位置マークの位置よりも搬送方向下流側に配置されている。第1読み取り部50aは、印刷媒体の搬送再開後に、印刷媒体にそれぞれ印刷された第1位置マークを読み取り、印刷を再開すべき印刷再開ページが通過したことを第1印刷制御部160aを介して第1印刷部10aに通知する。第2読み取り部50bも同様にして、印刷を再開すべき印刷再開ページが通過したことを第2印刷制御部160bを介して第2印刷部10bに通知する。
【0082】
また、第1および第2印刷装置100a、100bは、それぞれ第1および第2ロータリーエンコーダ60a、60bを備えている。第1ロータリーエンコーダ60aは、第1駆動ローラー41aの回転数をカウントして印刷媒体の搬送距離を求める。同様にして、第2ロータリーエンコーダ60bも印刷媒体の搬送距離を求める。なお、第1印刷装置100aおよび第2印刷装置100bにおいて必要とされる減速距離、巻き戻し距離および加速距離の合計距離は、第1および第2ロータリーエンコーダ60a、60bによってそれぞれ求められる。
【0083】
<2.2 印刷中断から再開までの手順の概要>
図9は、
図7に示す印刷システム200に含まれる第1および第2印刷装置100a、100bにおいて、印刷を中断すべき理由が発生したときから印刷を再開するまでの手順を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートに従って、印刷を中断すべき理由が発生したために印刷を再開し、その後印刷を再開する場合の手順を説明する。
【0084】
ステップS300では、第1印刷装置100aおよび第2印刷装置100bを備える印刷システム200において、印刷媒体に画像を印刷しているときに、中断理由が発生しているか否かを監視し、中断理由が発生していないときには、印刷を継続しながら監視も継続する。中断理由が発生したときには、ステップS310に進み、中断理由が発生したときに第1および第2印刷部10a、10bでそれぞれ印刷していたすべてのページの印刷を完了させる。
【0085】
第1および第2印刷装置100a、100bにおいて、それぞれ第1および第2印刷中断時最終ページまでの印刷が完了した後に、ステップS320において、それぞれ第1および第2印刷再開ページに位置マークを印刷する。ステップS330において、第1印刷部10aおよび第2印刷部10bは、位置マークの印刷が完了した後にそれぞれ印刷を停止する。ステップS340において、第1搬送部40aと第2搬送部40bは連携して、印刷媒体の搬送速度の減速を開始し、第1および第2印刷中断時最終ページを第1乾燥部20aおよび第2乾燥部20bにそれぞれ搬送した後に印刷媒体の搬送を停止する。さらに、ステップS350において、第1および第2検査部30a、30bによる画像の検査を停止する。
【0086】
ステップS360において、中断理由が発生した後に印刷されたすべてのページの乾燥が終了した後に、第1および第2搬送部40a、40bは、連携して印刷媒体の印刷再開ページを上流側の印刷再開位置まで巻き戻す。ステップS370において、第1および第2印刷ユニット70a、70bの動作を停止して印刷再開の指示があるまで待機する。印刷再開の指示を受けると、ステップS380において、第1および第2搬送部40a、40bは、連携して印刷媒体を搬送方向下流側に加速する。これにより、印刷媒体が印刷部10に到達する前までに搬送速度が印刷可能な速度まで加速され、印刷部10で印刷が正しく行われる。
【0087】
ステップS390において、第1読み取り部50aは表面側に印刷された位置マークを読み取り、第1印刷再開ページが通過したことを第1印刷部10aに通知し、第2読み取り部50bは裏面側に印刷された位置マークを読み取り、第2印刷再開ページが通過したことを第2印刷部10bに通知する。ステップS400において、第1印刷部10aおよび第2印刷部10bは、それぞれ第1または第2印刷再開ページから印刷を順次再開する。
【0088】
<2.3 効果>
本実施形態によれば、第1印刷装置100aと第2印刷装置100bを接続して、印刷媒体の表面と裏面に印刷する場合にも、第1の実施形態と同様の方法で印刷することにより、印刷媒体の表面と裏面のいずれにも、印刷を中断したときの印刷中断時最終ページと、印刷再開ページとの間に空白部が入らない。これにより、損紙の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 … 印刷部
20 … 乾燥部
30 … 検査部
40 … 搬送部
50 … 読み取り部
60 … ロータリーエンコーダ
100 … 印刷装置
120 … 制御部
160 … 印刷制御部
161 … 印刷中断制御部
170 … 搬送制御部
171 … 搬送速度制御部
172 … 巻き戻し制御部
180 … 通信部