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特開2022-149010インストルメントパネル、車両用表示装置、及びベゼル体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149010
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】インストルメントパネル、車両用表示装置、及びベゼル体
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220929BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050925
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】猪坂 雄治
(72)【発明者】
【氏名】濱田 一成
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
3D344AA24
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表示する画像及び画像が重畳する実景を視認しやすくする
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置200は、表示光を出射する空間光変調素子、表示光を出射するHUD開口部221を有し、前記空間光変調素子からHUD開口部221までの表示光の光路を区画する筐体210、及びHUD開口部221からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部、を少なくとも備え、枠部110は、インストルメントパネル10に設けられ、HUD開口部221の領域、及び副光透過部の領域を取り囲む凸閉図形で形成される投射開口111を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射開口(111)が設けられた枠部(110)を有し、前記投射開口(111)を通してフロントウインドウ(20)に向けて表示光を投射するヘッドアップディスプレイ装置(200)が裏側に組み込まれる車両のインストルメントパネル(10)において、
前記ヘッドアップディスプレイ装置(200)は、
前記表示光を出射する空間光変調素子、
前記投射開口(111)へ前記表示光を出射するHUD開口部(221)を有し、前記空間光変調素子から前記HUD開口部(221)までの前記表示光の光路を区画する筐体(210)、及び
前記HUD開口部(221)からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部(255)、を少なくとも備え、
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、前記HUD開口部(221)の領域、及び前記副光透過部(255)の領域を取り囲む凸閉図形で形成される、
インストルメントパネル(10)。
【請求項2】
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、頂点を少なくとも5つ以上有する凸閉図形で形成される、
請求項1に記載のインストルメントパネル(10)。
【請求項3】
前記副光透過部(255)は、前記HUD開口部(221)に対して、
1)前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、
2)前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、
1)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)が設けられている一側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数が、前記投射開口(111)の前記車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数より多くなるように形成され、
2)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)が設けられている一側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数が、前記投射開口(111)の前記車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数より多くなるように形成される、
請求項1に記載のインストルメントパネル(10)。
【請求項4】
前記副光透過部(255)は、前記HUD開口部(221)に対して、
1)前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、
2)前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、
1)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)が設けられている一側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数が、前記投射開口(111)の前記車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数と同じになるように形成され、
2)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)が設けられている一側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数が、前記投射開口(111)の前記車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数と同じになるように形成される、
請求項1に記載のインストルメントパネル(10)。
【請求項5】
前記枠部(110)は、前記インストルメントパネル(10)と別体で構成され、前記インストルメントパネル(10)に取り付けられる、
請求項1に記載のインストルメントパネル(10)。
【請求項6】
ヘッドアップディスプレイ装置(200)と、
前記ヘッドアップディスプレイ装置(200)がフロントウインドウ(20)に向けて投射する前記表示光を通す投射開口(111)が設けられた枠部(110)と、を備える車両用表示装置(100)において、
前記ヘッドアップディスプレイ装置(200)は、
前記表示光を出射する空間光変調素子、
前記投射開口(111)へ前記表示光を出射するHUD開口部(221)を有し、前記空間光変調素子から前記HUD開口部(221)までの前記表示光の光路を区画する筐体(210)、及び
前記HUD開口部(221)からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部(255)、を少なくとも備え、
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、前記HUD開口部(221)の領域、及び前記副光透過部(255)の領域を取り囲む凸閉図形で形成される、
車両用表示装置(100)。
【請求項7】
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、頂点を少なくとも5つ以上有する凸閉図形で形成される、
請求項6に記載の車両用表示装置(100)。
【請求項8】
前記副光透過部(255)は、前記HUD開口部(221)に対して、
1)前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、
2)前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、
1)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)が設けられている一側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数が、前記投射開口(111)の前記車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数より多くなるように形成され、
2)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)が設けられている一側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数が、前記投射開口(111)の前記車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる前記投射開口(111)の頂点の数より多くなるように形成される、
請求項6に記載の車両用表示装置(100)。
【請求項9】
前記副光透過部(255)は、前記HUD開口部(221)に対して、
1)前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、
2)前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、
前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、
1)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)の前記車両の前後方向の長さ(L22)は、前記投射開口(111)の前記車両の前後方向の長さ(L12)より短く形成され、
2)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記副光透過部(255)の前記車両の左右方向の長(L21)さは、前記投射開口(111)の前記車両の前後方向の長さ(L11)より短く形成される、
請求項6に記載の車両用表示装置(100)。
【請求項10】
前記HUD開口部(221)は、透光カバー(222)によって覆われ、
前記副光透過部(255)は、前記透光カバー(222)に対して、
1)前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、
2)前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる、
請求項6に記載の車両用表示装置(100)。
【請求項11】
筐体(210)の上面には、前記透光カバー(222)と前記副光透過部(255)と前記投射開口(111)の内周壁部(112)とで囲まれる露出余分領域(S10)を有し、
1)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、
前記露出余分領域(S10)が、前記副光透過部(255)の前方向に配置される第1露出余分領域(S11)、及び前記副光透過部(255)の後方向に配置される第2露出余分領域(S12)を含み、
前記第1露出余分領域(S11)の前記車両の左右方向の長さは、前記副光透過部(255)の最遠方である最前端で最も短くなり、前記第2露出余分領域(S12)の前記車両の左右方向の長さは、前記副光透過部(255)の最遠方である最後端が最も短くなる、ように形成され、
2)前記副光透過部(255)が前記HUD開口部(221)に対して前記車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、前記枠部(110)の前記投射開口(111)は、
前記露出余分領域(S10)が、前記副光透過部(255)の左方向に配置される第3露出余分領域(S13)、及び前記副光透過部(255)の右方向に配置される第4露出余分領域(S14)を含み、
前記第3露出余分領域(S13)の前記車両の前後方向の長さは、前記副光透過部(255)の最遠方である最左端で最も短くなり、前記第4露出余分領域(S14)の前記車両の前後方向の長さは、前記副光透過部(255)の最遠方である最右端が最も短くなる、ように形成される、
請求項6に記載の車両用表示装置(100)。
【請求項12】
ヘッドアップディスプレイ装置(200)がフロントウインドウ(20)に向けて投射する表示光を通す投射開口(111)を有し、車両のインストルメントパネル(10)に取り付けられるベゼル体(110)において、
前記ヘッドアップディスプレイ装置(200)は、
前記表示光を出射する空間光変調素子、
前記投射開口(111)へ前記表示光を出射するHUD開口部(221)を有し、前記空間光変調素子から前記HUD開口部(221)までの前記表示光の光路を区画する筐体(210)、及び
前前記HUD開口部(221)からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部(255)、を少なくとも備え、
前記ベゼル体(110)の前記投射開口(111)は、前記HUD開口部(221)の領域、及び前記副光透過部(255)の領域を取り囲む凸閉図形で形成される、
ベゼル体(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のインストルメントパネル、車両用表示装置、及びベゼル体に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントガラスへの画像の投影を行うヘッドアップディスプレイ装置としての虚像表示装置がインストルメントパネル内に設けられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された虚像表示装置は、インストルメントパネル内に設けられ、ヘッドアップディスプレイ装置における表示光を出射するHUD開口に対応するインストルメントパネルの所定の位置に、ヘッドアップディスプレイ装置からの表示光をフロントウインドウへ通す開口(以下では、インパネ開口とも呼ぶ。)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-98923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、観察者の状態を検出するドライバーモニタリング装置を設けたヘッドアップディスプレイ装置を考案した(詳細は特願2020-164316参照。この技術は非公知である。)。ヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を出射するHUD開口の周辺に、ドライバーをモニタリングするための光(ここでは、前記光は、赤外光。)を透過する光透過部を有する。こういった場合、前記インパネ開口は、HUD開口の領域と前記光透過部の領域とを内側に含むように形成される。
【0005】
図7に例示される車両用表示装置は、インストルメントパネル900の裏側(車両のエンジンやモータなどの駆動機器などが設けられた側)に取り付けられるヘッドアップディスプレイ装置910と、ヘッドアップディスプレイ装置910の前記HUD開口の領域と前記光透過部の領域とを内側に含むように形成されるインパネ開口920と、で構成される。インパネ開口920により、ヘッドアップディスプレイ装置910の前記HUD開口の領域と前記光透過部の領域とを含む上面の一部(以下では、HUD露出部911とも呼ぶ。)は、フロントウインドウ940側に露出する。
【0006】
符号951で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ930に映った、インパネ開口920の形(換言すると、インパネ開口920で区画されるヘッドアップディスプレイ装置910のHUD露出部911の形を示し、符号952で示す色が塗られた領域は、フロントウインドウ930に映った、HUD露出部911に含まれるヘッドアップディスプレイ装置910の上面カバー(ヘッドアップディスプレイ装置910の筐体の一部。)の領域を示し、符号953で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ930に映った、前記HUD開口に設けられる透光カバーが配置される領域を示し、符号954で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ930に映った、ドライバーモニタリング装置の前記光透過部の領域を示す。
【0007】
インパネ開口920は、ヘッドアップディスプレイ装置910の前記HUD開口の領域と前記光透過部の領域とを含む最小限の大きさで形成すると、概ね矩形状の前記HUD開口(前記HUD開口に設けられる透光カバー)に沿う矩形形状から前記ドライバーモニタリング装置の前記光透過部の領域の部分が突出した形状となる。すなわち、インパネ開口920の形(換言すると、インパネ開口920で区画されるヘッドアップディスプレイ装置910のHUD露出部911の形)の写映像951は、内側に凸となる第1の頂点956と、第2の頂点957と、を有することになる。このような場合、インパネ開口920の形(換言すると、インパネ開口920で区画されるヘッドアップディスプレイ装置910のHUD露出部911の形)の写映像951が視認された場合、観察者の視覚的注意は、内側に凸となる第1の頂点956と、第2の頂点957と、に向きやすくなり、観察者に煩わしさを感じさせることも想定され、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される特定の実施形態の要約を以下に示す。これらの態様が、これらの特定の実施形態の概要を読者に提供するためだけに提示され、この開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。実際に、本開示は、以下に記載されない種々の態様を包含し得る。
【0009】
本開示の概要は、表示する画像及び画像が重畳する実景を視認しやすくすることに関する。より、具体的には、観察者の視覚的注意が不要な箇所に奪われにくくするインストルメントパネル、車両用表示装置、及びベゼル体等を提供することに関する。
【0010】
したがって、本明細書に記載されるインストルメントパネル、車両用表示装置、及びベゼル体等は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。本実施形態において、ヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を出射する空間光変調素子、車両のフロントウインドウへ表示光を出射するHUD開口部を有し、空間光変調素子からHUD開口部までの表示光の光路を区画する筐体、及びHUD開口部からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部、を少なくとも備え、HUD開口部の領域、及び副光透過部の領域を取り囲む凸閉図形で形成される投射開口を有する枠部を有する、ことをその要旨とする。
【0011】
本明細書に記載されるインストルメントパネルの一実施形態は、投射開口が設けられた枠部を有し、投射開口を通してフロントウインドウに向けて表示光を投射するヘッドアップディスプレイ装置が裏側に組み込まれる車両のインストルメントパネルにおいて、
ヘッドアップディスプレイ装置は、
表示光を出射する空間光変調素子、
投射開口へ表示光を出射するHUD開口部を有し、空間光変調素子からHUD開口部までの表示光の光路を区画する筐体、及び
HUD開口部からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部、を少なくとも備え、
枠部の投射開口は、HUD開口部の領域、及び副光透過部の領域を取り囲む凸閉図形で形成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態が適用される車両1の内装構造の模式図である。
図2図2は、本発明の一実施形態の車両用表示装置の断面図である。
図3図3は、図1の枠部を含む要部を示す模式図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態の車両用表示装置を上側から見た模式図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態の車両用表示装置を上側から見た模式図である。
図5図5は、本発明の一実施形態の車両用表示装置を上側から見た模式図である。
図6図6は、本実施形態の車両用表示装置によって、フロントウインドウに投影される像を示す模式図である。
図7図7は、比較例の車両用表示装置によって、フロントウインドウに投影される像を示す模式図である。
【0013】
[車両の内装構造の概略]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態が適用される車両1の内装構造の模式図である。図2は、本発明の一実施形態の車両用表示装置の断面図である。図3は、図1の枠部を含む要部を示す模式図である。図4A図4Bは、本発明の一実施形態の車両用表示装置を上側から見た模式図である。これらの図では、内装構造における、フロントウインドウ20及びインストルメントパネル10の部分を抜き出して図示している。図4は、なお、この図中には、車両1の前後方向における「前」及び「後」の矢印、車幅方向における「左」及び「右」の矢印、並びに、車高方向における「上」及び「下」の矢印を付記している。以下の図に付している「前」「後」「上」「下」「左」「右」の矢印は、図1の方向表示に従っている。
【0014】
図1に示すインストルメントパネル10は、フロントウインドウ20の下方の車室前部に配置され、概ね車幅方向(左右方向)全幅に亘って延びている。インストルメントパネル10は、車体に取り付けられることで、エンジンルームと車室を区画するダッシュパネルの後方側(車室側)に装備される。この実施形態で例示するインストルメントパネル10は、運転席が車体右側に位置する右ハンドル仕様車用のパネルである。
【0015】
インストルメントパネル10の上方には、フロントウインドウ20が後方に向かって上側に傾斜した姿勢で設けられている。このフロントウインドウ20は、車幅方向において車体前方に向けて凸状をなすように緩やかに湾曲しており、図示しないが、周辺部分を車体のルーフ前縁部やフロントピラーなどのフロントウインドウ用開口の周縁部に接着することで、車体に固定されている。
【0016】
インストルメントパネル10は、対面カバー12、及び上面カバー13を有している。
【0017】
対面カバー12には、インストルメントパネル10のうち運転席、及び助手席に対面するように配置され、車両1に装備される計器類を含むメーターパネル14、空調関連部品、ナビゲーションシステム、オーディオ類などを含むセンターコンソール15と、が嵌め込まれて配置される。
【0018】
上面カバー13は、対面カバー12の上端から湾曲しつつ、フロントウインドウ20の下端部近傍まで車室外方(前方)へ延びるように配置される。車両1の運転席側の上面カバー13には、後述するHUD装置200から投射された表示光300(図2参照)を通す投射開口111を有する枠部110が設けられている。
【0019】
インストルメントパネル10の裏側(上面カバー13の下方)には、図2に示すように、フロントウインドウ20に向けて画像表示のための表示光300を後方に傾けた方向(図2の点線の矢印で示す方向)に投射するHUD装置200が組み込まれる。HUD装置200は、フロントウインドウ20に観察者(典型的には、車両1の運転者)に提示する様々な情報を含む画像を投影し、投影された画像を車両1の前方の風景に重ねて虚像として観察者に視認させる周知のヘッドアップディスプレイ装置である。
【0020】
HUD装置200は、表示光300をフロントウインドウ20(被投影部材の一例である)に向けて出射し、フロントウインドウ20は、HUD装置200が表示する画像の表示光300をアイボックス600へ反射する。HUD装置200は、車両1に関する情報(以下、車両情報と言う。)だけでなく、車両情報以外の情報も統合的に車両1の乗員(前記乗員は、典型的には、車両1の運転者である。)に報知する。なお、車両情報は、車両1自体の情報だけでなく、車両1の運行に関連した車両1の外部の情報も含む。
【0021】
また、本実施形態の説明で用いる「アイボックス」とは、(1)観察者の目700(左目700L及び/又は右目700R)が領域内では画像の虚像Vの全部が視認でき、領域外では画像の虚像Vの少なくとも一部分が視認されない領域、(2)領域内では画像の虚像Vの少なくとも一部が視認でき、領域外では画像の虚像Vの一部分も視認されない領域、(3)領域内では画像の虚像Vの少なくとも一部が所定の輝度以上で視認でき、領域外では画像の虚像Vの全体が前記所定の輝度未満である領域、又は(4)HUD装置200が立体視可能な虚像Vを表示可能である場合、虚像Vの少なくとも一部が立体視でき、領域外では虚像Vの一部分も立体視されない領域である。すなわち、観察者が目(両目)をアイボックス600外に配置すると、観察者は、画像の虚像Vの全体が視認できない、画像の虚像Vの全体の視認性が非常に低く知覚しづらい、又は画像の虚像Vが立体視できない。前記所定の輝度とは、例えば、アイボックスの中心で視認される画像の虚像の輝度に対して1/50程度である。「アイボックス」は、HUD装置200が搭載される車両で観察者の視点位置の配置が想定されるエリア(アイリプスとも呼ぶ。)と同じ、又は前記アイリプスの大部分(例えば、80%以上。)を含むように設定される。
【0022】
HUD装置200は、例えば、画像を生成する空間光変調素子(不図示)、前記空間光変調素子が表示する画像の光(以下では、画像光とも呼ぶ。)を、被投影部(フロントウインドウ20)に向ける平面鏡(不図示)及び凹面鏡(不図示)等のリレー光学系、1つ又は複数のリレー光学系を動作させるアクチュエータ(不図示)、後述する付属器250、前記空間光変調素子、前記アクチュエータ、及び付属器250を制御する制御基板(不図示)、及びこれらを収納する筐体210により構成される。
【0023】
筐体210は、インストルメントパネル10の車両1の駆動源(エンジンやモータ)側に配設される車体フレーム(不図示)等に係合される係合部(不図示)を有しかつ黒色の遮光性合成樹脂等で形成される、上ケース220及び下ケース230により構成される。HUD装置200が車両1に搭載された状態における上ケース220の前後方向の略中間には、HUD開口部221が設けられている。HUD開口部221は、例えば、透明の透光性合成樹脂等で形成される透光カバー222によって覆われている。
【0024】
透光カバー222は、例えば、ガラスやアクリル、ポリカーボネートなどの合成樹脂等の透明度の高い材料を用いて薄板状に形成されており、HUD装置200HUD開口部221を塞いでいる。透光カバー222は、車両1の前方側から後方側に向かうにしたがって上方に向かうように湾曲して配置されている(図2)。これにより、透光カバー222に当たった光(例えば、車両1の外側からフロントウインドウ20を介して入射する太陽光等)が観察者のアイポイントに直接向かうことを抑制できる。
【0025】
筐体210の下ケース230の車両後方側には、例えば、下ケース開口部(不図示)が設けられている。前記下ケース開口部は、例えば、筐体210の外部に取り付けられる前記空間光変調素子の表示面(例えば、ディスプレイ面やスクリーン面)から発せられる前記画像光が入射可能に、下ケース230に設けられている。
【0026】
また、図2の筐体210の上ケース220において、HUD開口部221の後端側には、上ケース220の内壁から内側(筐体210の内部側)へ向かって前方側かつ下方側に延びる板状の遮光部223が設けられている。遮光部223は、例えば、HUD開口部221から入射する筐体210外部からの光が前記空間光変調素子へ進行することを防止するために設けられる。なお、HUD装置200の構造の例は、一例に過ぎず、車両用表示装置100のHUD装置200の構造を何ら制限するものではない。
【0027】
付属器250は、HUD装置200の透光カバー222と同じく、インストルメントパネル10の投射開口111内であり、フロントウインドウ20側に露出する位置に配置される電子機器である。以下に、付属器250の一実施形態を説明する。
【0028】
いくつかの実施形態の付属器250は、車両1の1人又は複数の乗員(例えば、HUD装置200の観察者)を監視するドライバーモニタリング装置251であり、赤外線照射ユニット(不図示)、及びカメラ(不図示)を有する。ドライバーモニタリング装置251(付属器250の一例)は、図3図4に示すように、透光カバー222の車幅方向(左右方向)に隣接する位置に設けられている。
【0029】
前記赤外光照射ユニットに対向(対応)する上ケース220の部分には、赤外光を透過させる赤外光透過部(不図示)が設けられる。前記赤外光透過部は、例えば、可視光を遮蔽して赤外光を透過させる黒色の印刷層からなる。前記赤外光照射ユニットは、発光ダイオードからなる光源が発する赤外光(近赤外線)を、前記赤外光透過部を通してフロントウインドウ20に向けて照射する。
【0030】
前記カメラは、前記赤外光照射ユニットと同様、図3に示すように、透光カバー222の車幅方向(左右方向)に隣接する位置であり、かつ、前記赤外光照射ユニットの前方に設けられ、前記赤外照射ユニットから照射される波長帯の赤外光に感度を有する撮像素子、及び、赤外光を透過してその撮像素子に結像させ得るレンズを備えて近赤外線画像を撮影する。また、ここでの前記カメラに対向(対応)する上ケース220の部分にも、前記赤外光照射ユニットと同様に、赤外光を透過させる赤外光透過部(不図示)が設けられてもよい。なお、いくつかの実施形態に置いて、ドライバーモニタリング装置251の前記赤外光照射ユニット、及び前記カメラは、HUD装置200の筐体210の内部の一部に組み付けられるが、これに限定されず、ドライバーモニタリング装置251の前記赤外光照射ユニット、及び前記カメラを収納する副筐体(不図示)をHUD装置200の筐体210とは別に設け、HUD装置200の筐体210に、副投影装置252の前記副筐体を組み付けてもよい。また、ドライバーモニタリング装置251の前記赤外光照射ユニット、及び前記カメラのうち一方が、HUD装置200の筐体210に組み付けられ(又は前記副筐体内に組み付けられた後、HUD装置200の筐体210に組み付けられ)、他方がHUD装置200の筐体210(又は前記副筐体)以外の車両1の所定の箇所に取り付けられてもよい。すなわち、前記付属器250は、前記赤外光照射ユニット又は前記カメラのいずれか一方のみである構成も含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態の付属器250は、図3図4に示すように、HUD装置200からの表示光300とは異なる第2の表示光(不図示)をフロントウインドウ20に向けて照射し、フロントウインドウ20で反射した前記第2の表示光による発光像を観察者に視認させる副投影装置252であり、透過表示部材(不図示)、及び前記透過表示部材を照明する光源(不図示)を有する。副投影装置252(付属器250の一例)は、図3図4に示すように、透光カバー222の車幅方向(左右方向)に隣接する位置に設けられている。
【0032】
前記透過意匠部材は、遮光層からなる背景部(不図示)と、前記背景部が部分的に形成されていない所定の意匠の形状の抜き部(不図示)からなる。遮光層からなる前記背景部は、透過性の基材(不図示)の表面に印刷形成された印刷層からなり、例えば黒色系インクによりスクリーン印刷等の手段を用いて印刷形成されている。そして、前記抜き部(換言すると、意匠部)は、前記背景部の印刷にあたり所定の意匠を形成する部分を抜き印刷することにより、前記背景部を形成する印刷層が形成されない前記抜き部(前記意匠部)として形成される。前記意匠部は、例えば、円形状であるが、所定のマークなど円形状以外のあらゆる形状を採用することができることは言うまでもない。
【0033】
前記光源は、例えば赤色光を発するチップ型発光ダイオードからなり、レンズ部材40に照明光(前記出射光)を供給する発光体である。なお、前記光源と前記透過意匠部材との間にレンズを設けてもよい。なお、副投影装置252の前記透過意匠部材、前記光源(前記光源を実装する基板(不図示))、及び前記レンズは、HUD装置200の筐体210の内部の一部に組み付けられるが、これに限定されず、副投影装置252の前記透過意匠部材、前記光源(前記光源を実装する基板(不図示))、及び前記レンズを収納する副筐体(不図示)をHUD装置200の筐体210とは別に設け、HUD装置200の筐体210に、副投影装置252の前記副筐体を組み付けてもよい。
【0034】
なお、副投影装置252(付属器250の一例)は、前記透過意匠部材の代わりにLCDなどの透過表示ディスプレイを含んでいても良い。これにより、観察者に視認させる前記発光像を適宜変更することができる。
【0035】
付属器250は、HUD装置200のフロントウインドウ20側の上ケース220(又は前記副筐体)の表面を一部切り欠いたことにより形成される、副光透過部255を有する。付属器250がドライバーモニタリング装置251である場合、副光透過部255は、前記赤外光透過部(可視光の透過率が低く(遮断も含む)、赤外光の透過率が高い部分)であってもいいし、前記赤外光透過部よりもフロントウインドウ20側に設けられる別の部材であってもよい。また、付属器250が副投影装置252である場合、副光透過部255は、前記透過意匠部材(一部で光を透過し、他部で光を遮断する部分)であってもいいし、前記透過表示ディアスプレイ(プロセッサにより、光の透過率が制御される部分)前記透過意匠部材よりもフロントウインドウ20側に設けられる別の部材であってもよい。
【0036】
副光透過部255は、その色調が暗色からなり、所定の曲率を有する曲面形状を有し、例えば太陽光(外光)が、副光透過部255にあたって反射したときに、この反射光(迷光)がフロントウインドウ20を介して観察者700側に反射されないような前記曲率を有するように曲面形状が設定されていてもよい。
【0037】
また、いくつかの実施形態では、副光透過部255は、副光透過部255に対向(対応)する表面側(フロントウインドウ20側)に迷光抑制カバー(不図示)を有していてもよい。前記迷光抑制カバーは、その色調が暗色からなり、所定の曲率を有する曲面形状を有し、例えば太陽光(外光)が、前記迷光抑制カバーにあたって反射したときに、この反射光がフロントウインドウ20を介して観察者700側に反射されないような前記曲率を有するように曲面形状が設定されているものとする。
【0038】
付属器250(ドライバーモニタリング装置251やインジケータ表示ユニット252)の副光透過部255は、前記空間光変調素子から前記リレー光学系に向かう表示光300の光路、前記リレー光学系からフロントウインドウ20に向かう表示光300の光路と重ならない位置に設けられ、透光カバー222の周辺に設けられる。
【0039】
なお、付属器250(ドライバーモニタリング装置251やインジケータ表示ユニット252)の副光透過部255は、表示光300の重ならない位置に配置されていればよく、いくつかの実施形態の副光透過部255は、透光カバー222の外縁の内側の表示光300が通過しない周縁部(不図示)の位置に配置されてもよい。すなわち、この場合、副光透過部255は、HUD装置200の透光カバー222の一部に重なる位置に設けられてもよい。また、副光透過部255の前記迷光抑制カバーは、HUD装置200の透光カバー222の一部に設けられてもよい。
【0040】
インストルメントパネル10は、図2図3に示すように、上面カバー13の一部に枠部110を備えている。枠部110には、HUD装置200から投射された表示光300(図2参照)を通す投射開口111が設けられている。投射開口111は、上面カバー13の表面からHUD装置200に向けて下方に延びる筒状の内周壁部112によって形成される。
【0041】
枠部110の投射開口111は、内周壁部112によって、HUD装置200の一部を、フロントウインドウ20側に露出しないように隠し、HUD装置200の他部を、フロントウインドウ20側に露出するようにする。ここでは、HUD装置200のうち、枠部110の投射開口111によって隠されずにフロントウインドウ20側に露出する領域を、HUD露出部Sとする。HUD露出部Sは、上ケース220の一部、透光カバー222、及び前記付属器250、を含む。換言すると、枠部110は、上ケース220の一部、透光カバー222、及び前記付属器250、を含むHUD露出部Sが、投射開口111の内部に配置されるように形成される。
【0042】
いくつかの実施形態における付属器250(ドライバーモニタリング装置251やインジケータ表示ユニット252)の副光透過部255は、図4Aに示すように、透光カバー222の右側に隣接する位置に設けられ、前後方向における長さL22が、左右方向における長さL21より長くなるように形成される(すなわち、副光透過部255の長辺の長さL2Aは、前後方向における長さL22となる。)。そして、副光透過部255の長辺の長さL2Aは、副光透過部255の長辺の長さL2Aに沿う方向(前後方向)における透光カバー222の長さL12より短く設定される。本実施形態の車両用表示装置100の枠部110は、投射開口111の内側に透光カバー222の領域及び付属器250の副光透過部255の領域を取り囲み、かつ投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の内角が180[degees]以下となる凸六角形(凸多角形の一例。)で形成される。投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)は、HUD露出部Sにおいて、車両1の前後方向又は左右方向のうち副光透過部255の副光透過部255の長辺L2Aに沿う方向(ここでは、前後方向)に、透光カバー222と副光透過部255と内周壁部112(枠部110)とで囲まれる略五角形の露出余分領域S10が設けられることで、凸六角形(凸多角形の一例。)に形成される。いくつかの実施形態において、露出余分領域S10は、副光透過部255の前方向に配置される第1露出余分領域S11、及び副光透過部255の後方向に配置される第2露出余分領域S12を含む。露出余分領域S10は、車両1の前後方向又は左右方向のうち副光透過部255の副光透過部255の長辺L2Aに沿わない方向(ここでは、左右方向)の長さが、副光透過部255の最遠方で最も短くなる(第1露出余分領域S11では、副光透過部255の最遠方である最前端が最も短くなり、第2露出余分領域S12では、副光透過部255の最遠方である最後端が最も短くなる。)。なお、これに限定されず、露出余分領域S10は、第1露出余分領域S11又は第2露出余分領域S12のいずれか一方だけでもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、副光透過部255は、図3図4Aに示すように、透光カバー222の左右方向に隣接する位置に設けられるが、これに限定されることなく、透光カバー222の前後方向に隣接する位置に設けられてもよい。いくつかの実施形態における付属器250(ドライバーモニタリング装置251やインジケータ表示ユニット252)の副光透過部255は、図4Bに示すように、透光カバー222の前側に隣接する位置に設けられ、左右方向における長さL21が、前後方向における長さL22より長くなるように形成される(すなわち、副光透過部255の長辺の長さL2Aは、左右方向における長さL21となる。)。そして、副光透過部255の長辺の長さL2Aは、副光透過部255の長辺の長さL2Aに沿う方向(左右方向)における透光カバー222の長さL11より短く設定される。本実施形態の車両用表示装置100の枠部110は、投射開口111の内側に透光カバー222の領域及び付属器250の副光透過部255の領域を取り囲み、かつ投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の内角が180[degees]以下となる凸六角形(凸多角形の一例。)で形成される。投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)は、HUD露出部Sにおいて、車両1の前後方向又は左右方向のうち副光透過部255の副光透過部255の長辺L2Aに沿う方向(ここでは、左右方向)に、透光カバー222と副光透過部255と内周壁部112(枠部110)とで囲まれる略五角形の露出余分領域S10が設けられることで、凸六角形(凸多角形の一例。)に形成される。いくつかの実施形態において、露出余分領域S10は、副光透過部255の左方向に配置される第3露出余分領域S13、及び副光透過部255の右方向に配置される第4露出余分領域S14を含む。露出余分領域S10は、車両1の前後方向又は左右方向のうち副光透過部255の副光透過部255の長辺L2Aに沿わない方向(ここでは、前後方向)の長さが、副光透過部255の最遠方で最も短くなる(第3露出余分領域S13では、副光透過部255の最遠方である最左端が最も短くなり、第4露出余分領域S14では、副光透過部255の最遠方である最右端が最も短くなる。)。なお、これに限定されず、露出余分領域S10は、第3露出余分領域S13又は第4露出余分領域S14のいずれか一方だけでもよい。
【0044】
なお、上記実施形態では、車両用表示装置100の枠部110の投射開口111は、凸六角形であったが、これに限定されず、図5に示すように、凸五角形であってもよい。
【0045】
以上に説明したように、本実施形態の車両用表示装置100の枠部110は、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の内角が180[degees]以下となる凸多角形で形成される。具体的に、例えば、枠部110の投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)は、図3図4A、又は図4Bに示すように、凸六角形で形成される。なお、投射開口111をなす辺の一部又は全部は、直線ではない曲線と変更し得るため、本実施形態の車両用表示装置100の枠部110は、広義的には、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の境界にある任意の2点を結ぶ線分の全体が、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の境界の内部又は境界上の点となる凸閉図形で形成されてもよい。
【0046】
次に、本実施形態の車両用表示装置100の作用の一例について、図6を参照して説明する。図6には、本実施形態の車両用表示装置100によって、フロントウインドウ20に投影される像が模式的に示されている。符号E10(以下では、第1の写映像とも呼ぶ。)で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ20に映った、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形を示し、符号E20(以下では、第2の写映像とも呼ぶ。)で示す色が塗られた領域は、フロントウインドウ20に映った、HUD露出部Sに含まれる上ケース220の領域を示し、符号E30(以下では、第3の写映像とも呼ぶ。)で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ20に映った、透光カバー222が配置される領域を示し、符号E40(以下では、第4の写映像とも呼ぶ。)で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ20に映った、HUD装置200の前記リレー光学系を介した前記空間光変調素子の前記表示面の領域の一部又は全部(換言すると、前記空間光変調素子の前記表示面から出射される表示光300が通る領域(光路の領域))を示し、符号E50(以下では、第5の写映像とも呼ぶ。)で示す点線で囲まれた領域は、フロントウインドウ20に映った、付属器250の副光透過部255の領域を示す。
【0047】
HUD装置200の各部分(上ケース220表面及び内部、筐体210の内部、付属器250の副光透過部255の表面に配置される前記迷光抑制カバー)には、例えば微小なシボ加工或いは黒色の塗装又は印刷等の低反射処理が施されているため、HUD装置200の視認領域(アイボックス600)から見ると、第1の写映像E10、第2の写映像E20、第3の写映像E30、第4の写映像E40、及び第5の写映像E50は、視認しづらくなっており、前記空間光変調素子からの表示光300に基づく虚像Vだけが前記フロントウインドウ20に重畳して視認されることが好ましいが、実質的には、これらの写映像E10~E50は、観察者の目位置、外光の強度・入射する方向などの条件のうち1つ又は複数の条件下では観察者に視認され得る。しかしながら、本実施形態の車両用表示装置100の枠部110は、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)を、凸多角形(広義には、凸閉図形)で形成されるため、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの第1の写映像E10は、内角が180[degrees]より大きい頂点(内側にへこむ凹部)を有しないため、観察者の視覚的注意が前記凹部に奪われることを防止することができる。
【0048】
以上に説明したように、第1の実施形態の車両用表示装置100は、ヘッドアップディスプレイ装置200と、ヘッドアップディスプレイ装置200がフロントウインドウ20に向けて投射する表示光を通す投射開口111が設けられた枠部110と、から構成され、ヘッドアップディスプレイ装置200は、表示光300を出射する前記空間光変調素子、投射開口111へ表示光300を出射するHUD開口部221を有し、前記空間光変調素子からHUD開口部221までの表示光300の光路を区画する筐体210、及びHUD開口部221からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部255、を少なくとも備え、枠部110の投射開口111は、HUD開口部221の領域、及び副光透過部255の領域を取り囲む凸閉図形で形成されるこれによれば、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の境界にある任意の2点を結ぶ線分の全体が、投射開口111の形(換言すると、投射開口111で区画されるHUD装置200のHUD露出部Sの形)の境界の内部又は境界上の点となる凸閉図形であるので、内角が180[degrees]より大きい頂点(内側にへこむ凹部)を有しないため、観察者の視覚的注意が前記凹部に奪われることを防止することができ、延いては、HUD装置200の画像(虚像V)やHUD装置200の画像(虚像V)が重なる実景(前景)を視認しやすくすることができる。
【0049】
また、第1の実施形態に係る第2実施形態の車両用表示装置100では、図4A図4B、及び図5に示されるように、枠部110の投射開口111は、頂点を少なくとも5つ以上有する凸閉図形で形成されてもよい。なお、図4A図4B、及び図5では、枠部110の投射開口111は、頂点を少なくとも5つ以上有する凸多角形であるが、一部又は全部の辺が曲線であってもよい(凸閉図形の一例)。また、枠部110の投射開口111は、頂点一部又は全部の角が丸みをおボテいてもよい(凸閉図形の一例)。
【0050】
また、第1又は第2の実施形態に係る第3実施形態の車両用表示装置100では、副光透過部255は、HUD開口部221に対して、1)車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、
2)車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、枠部110の投射開口111は、1)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数(ここで、前記頂点の数は、例えば、図4Aに示すように、4個である。)が、投射開口111の車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数(ここで、前記頂点の数は、例えば、図4Aに示すように、2個である。)より多くなるように形成され、2)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数(ここで、前記頂点の数は、例えば、図4Bに示すように、4個である。)が、投射開口111の車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数(ここで、前記頂点の数は、例えば、図4Bに示すように、4個である。)より多くなるように形成されてもよい。
【0051】
また、第1又は第2の実施形態に係る第4実施形態の車両用表示装置100では、副光透過部255は、HUD開口部221に対して、1)車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、2)車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、枠部110の投射開口111は、1)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数(ここで、前記頂点の数は、例えば、図4Aに示すように、4個である。)が、投射開口111の車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数と同じになるように形成されてもよく(図4Aでは2個であるが、前記頂点の数を、4個になるように投射開口111の形を変更してもよい。)、2)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数(ここで、前記頂点の数は、例えば、図4Bに示すように、4個である。)が、投射開口111の車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数と同じになるように形成されてもよい(図4Bでは2個であるが、前記頂点の数を、4個になるように投射開口111の形を変更してもよい。)
【0052】
また、第1乃至4の実施形態に係る第5実施形態の車両用表示装置100では、副光透過部255は、HUD開口部221に対して、1)車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、2)車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、枠部110の投射開口111は、1)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、図4Aに示すように、副光透過部255の車両の前後方向の長さL22は、投射開口111の車両の前後方向の長さL12より短く形成されてもよく、2)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、図4Bに示すように、副光透過部255の車両の左右方向の長さL21は、投射開口111の車両の前後方向の長さL11より短く形成されてもよい。
【0053】
また、第1乃至5の実施形態に係る第6実施形態の車両用表示装置100では、HUD開口部221は、透光カバー222によって覆われ、副光透過部255は、透光カバー222に対して、1)車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、2)車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられてもよい。
【0054】
また、第1乃至6の実施形態に係る第7実施形態の車両用表示装置100では、筐体210の上面(上ケース220)には、透光カバー222と副光透過部255と投射開口111の内周壁部112とで囲まれる露出余分領域S10を有し、1)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、枠部110の投射開口111は、露出余分領域S10が、副光透過部255の前方向に配置される第1露出余分領域S11、及び副光透過部255の後方向に配置される第2露出余分領域S12を含み、第1露出余分領域S11の車両の左右方向の長さは、副光透過部255の最遠方である最前端で最も短くなり、第2露出余分領域S12の車両の左右方向の長さは、副光透過部255の最遠方である最後端が最も短くなる、ように形成されてもよく、2)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、枠部110の投射開口111は、露出余分領域S10が、副光透過部255の左方向に配置される第3露出余分領域S13、及び副光透過部255の右方向に配置される第4露出余分領域S14を含み、第3露出余分領域S13の車両の前後方向の長さは、副光透過部255の最遠方である最左端で最も短くなり、第4露出余分領域S14の車両の前後方向の長さは、副光透過部255の最遠方である最右端が最も短くなる、ように形成されてもよい。
【0055】
また、第1乃至6の実施形態に係る第8実施形態の車両用表示装置100では、副光透過部255は、HUD開口部221に対して、1)車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる又は、2)車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられ、枠部110の投射開口111は、1)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の左右方向の一側にずれた位置に設けられる場合、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数が、投射開口111の車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数と同じになるように形成されてもよく、2)副光透過部255がHUD開口部221に対して車両の前後方向の一側にずれた位置に設けられる場合、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数が、投射開口111の車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数と同じになるように形成されてもよい。すなわち、図4Aの例では、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数が4つであり、投射開口111の車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数が2つであるが、これと異なる態様として、枠部110の投射開口111は、投射開口111の車両の左右方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数も4つとなるように形成されてもよい。また、図4Bの例では、副光透過部255が設けられている一側に設けられる投射開口111の頂点の数が4つであり、投射開口111の車両の前後方向における中心線に対して反対側に設けられる投射開口111の頂点の数が2つであるが、これと異なる態様として、枠部110の投射開口111は、投射開口111の車両の前後方向における中心線に対して副光透過部255が設けられている一側と反対側に設けられる投射開口111の頂点の数も4つとなるように形成されてもよい。
【0056】
また、第1乃至8の実施形態に係る第9実施形態の車両用表示装置100では、ヘッドアップディスプレイ装置200がフロントウインドウ20に向けて投射する表示光を通す投射開口111を有し、車両のインストルメントパネル10に取り付けられるベゼル体110において、ヘッドアップディスプレイ装置200は、表示光を出射する空間光変調素子、投射開口111へ表示光を出射するHUD開口部221を有し、空間光変調素子からHUD開口部221までの表示光の光路を区画する筐体210、及びHUD開口部221からずれた位置に配設され、光を入射する及び/又は出射する副光透過部255、を少なくとも備え、ベゼル体110の投射開口111は、HUD開口部221の領域、及び副光透過部255の領域を取り囲む凸閉図形で形成されてもよい。すなわち、上記枠部110は、インストルメントパネル10に取り付けられる別部材(ベゼル体)であってもよい。
【0057】
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のベゼル部材、ベゼル体、及び車両用表示装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 :車両
10 :インストルメントパネル
11 :インストルメントパネル
12 :対面カバー
13 :上面カバー
14 :メーターパネル
15 :センターコンソール
20 :フロントウインドウ
40 :レンズ部材
100 :車両用表示装置
110 :枠部(ベゼル体)
111 :投射開口
112 :内周壁部
200 :HUD装置(ヘッドアップディスプレイ装置)
210 :筐体
220 :上ケース
221 :HUD開口部
222 :透光カバー
223 :遮光部
230 :下ケース
250 :付属器
251 :ドライバーモニタリング装置
252 :副投影装置(インジケータ表示ユニット)
255 :副光透過部
300 :表示光
600 :アイボックス
700 :目
700L :左目
700R :右目
E10 :写映像
E10 :第1の写映像
E20 :第2の写映像
E30 :第3の写映像
E40 :第4の写映像
E50 :第5の写映像
L2A :長辺
S :HUD露出部
S10 :露出余分領域
S11 :第1露出余分領域
S12 :第2露出余分領域
S13 :第3露出余分領域
S14 :第4露出余分領域
V :虚像
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7