(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149037
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】流路閉塞状態検出装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20220929BHJP
A61M 36/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M36/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050964
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594118958
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサル技研
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中川原 潤
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066CC03
4C066CC09
4C066DD07
4C066HH12
4C066LL06
4C066LL19
(57)【要約】
【課題】流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出することが可能な流路閉塞状態検出装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】流路閉塞状態検出装置100は、プランジャ把持部材38によりプランジャ37を把持した状態で、第1方向と、第2方向と、にプランジャ把持部材38を移動させる駆動部と、シリンジ本体36からの流体の注出時にプランジャ把持部材38に加わる圧力を検出する圧力センサ91と、流路40における閉塞の有無を圧力センサ91による検出結果に基づいて判定する判定処理と、を行う制御部90と、報知部93と、を備えており、制御部90は、判定処理では、圧力センサ91により検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が前記第1閾値以下の値である第2閾値未満である場合には、流路40が閉塞していると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジの前記プランジャを把持するプランジャ把持部材と、
前記プランジャ把持部材により前記プランジャを把持した状態で、前記シリンジ本体に流体を吸引する方向である第1方向と、前記シリンジ本体から流体を注出する方向である第2方向と、に前記プランジャ把持部材を移動させる駆動部と、
前記シリンジ本体からの流体の注出時に前記プランジャ把持部材に加わる圧力を検出する圧力センサと、
前記駆動部の動作を制御する処理と、前記シリンジ本体に連通している流路における閉塞の有無を前記圧力センサによる検出結果に基づいて判定する判定処理と、を行う制御部と、
前記流路における閉塞が発生している場合にその旨を報知する報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記判定処理では、前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させた後、前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が前記第1閾値以下の値である第2閾値未満である場合には、前記流路が閉塞していると判定する流路閉塞状態検出装置。
【請求項2】
前記シリンジ本体に連通している前記流路に、
当該流路と他の流路又は液体貯留部とを接続及び分離可能なコネクタ部と、
微粒子を捕捉するフィルタと、
が設けられている請求項1に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項3】
前記シリンジ本体に連通している流路が複数の分枝流路に分枝しており、
前記複数の分枝流路の各々に、前記コネクタ部及び前記フィルタが設けられている請求項2に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記判定処理では、
前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させる処理と、
前記流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、前記流路が閉塞していると判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項5】
前記シリンジ本体に連通している流路が複数の分枝流路に分枝しており、
前記制御部は、
前記判定処理では、
前記シリンジ本体を前記複数の分枝流路のうちの第1分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させる処理と、
前記第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していると判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項6】
前記シリンジ本体に連通している流路が複数の分枝流路に分枝しており、
前記制御部は、
前記判定処理では、
前記シリンジ本体を前記複数の分枝流路のうちの第1分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させる処理と、
前記第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に途中まで移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に途中まで移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していると判定し、
前記第1分枝流路が閉塞していないと判定した場合には、更に、
前記シリンジ本体を前記複数の分枝流路のうちの第2分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第3閾値未満である場合には、前記第2分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が前記第3閾値以上の値である第4閾値以上である場合には、前記第2分枝流路が閉塞していると判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
【請求項7】
コンピュータが実行可能なプログラムであって、請求項1から6のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置の前記制御部による処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路閉塞状態検出装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジから流路(チューブ)を介して薬剤を自動投与する放射性薬剤投与装置について、例えば特許文献1、2に記載されている。このような放射性薬剤投与装置は、シリンジのプランジャを把持するプランジャ把持部材(特許文献1には、プランジャ嵌合部と記載)と、プランジャ把持部材の動作制御を行う制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-078534号公報
【特許文献2】特開2020-078535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流路を形成しているチューブが何かに挟まれたり折れ曲がったりして、当該流路が閉塞することがある。
よって、流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出する技術が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出することが可能な流路閉塞状態検出装置及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジの前記プランジャを把持するプランジャ把持部材と、
前記プランジャ把持部材により前記プランジャを把持した状態で、前記シリンジ本体に流体を吸引する方向である第1方向と、前記シリンジ本体から流体を注出する方向である第2方向と、に前記プランジャ把持部材を移動させる駆動部と、
前記シリンジ本体からの流体の注出時に前記プランジャ把持部材に加わる圧力を検出する圧力センサと、
前記駆動部の動作を制御する処理と、前記シリンジ本体に連通している流路における閉塞の有無を前記圧力センサによる検出結果に基づいて判定する判定処理と、を行う制御部と、
前記流路における閉塞が発生している場合にその旨を報知する報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記判定処理では、前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させた後、前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が前記第1閾値以下の値である第2閾値未満である場合には、前記流路が閉塞していると判定する流路閉塞状態検出装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、コンピュータが実行可能なプログラムであって、本発明の流路閉塞状態検出装置の前記制御部による処理を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流路の閉塞に基づきシリンジへの流体の吸引不良が発生したことを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置によって実行される流路における閉塞の有無の判定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図である。
【
図5】第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図であり、コネクタ部が他の流路又は液体貯留部から分離されている状態を示す。
【
図6】第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置によって実行される流路における閉塞の有無の判定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第3実施形態に係る流路閉塞状態検出装置の模式図である。
【
図9】第3実施形態に係る流路閉塞状態検出装置のブロック図である。
【
図10】第4実施形態に係る流路閉塞状態検出装置における投与装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図3を用いて第1実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、内部に貯液部36aを有するシリンジ本体36とシリンジ本体36に摺動可能に挿入されているプランジャ37とを有するシリンジ34のプランジャ37を把持するプランジャ把持部材38と、を備える。
更に、流路閉塞状態検出装置100は、プランジャ把持部材38によりプランジャ37を把持した状態で、シリンジ本体36に流体を吸引する方向である第1方向と、シリンジ本体36から流体を注出する方向である第2方向と、にプランジャ把持部材38を移動させる駆動部(本実施形態の場合、シリンジ駆動部55)と、シリンジ本体36からの流体の注出時にプランジャ把持部材38に加わる圧力を検出する圧力センサ91と、駆動部の動作を制御する処理と、シリンジ本体36に連通している流路40における閉塞の有無を圧力センサ91による検出結果に基づいて判定する判定処理と、を行う制御部90と、流路40における閉塞が発生している場合にその旨を報知する報知部93と、を備えている。
制御部90は、判定処理では、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させた後、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に、圧力センサ91により検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第1閾値以下の値である第2閾値未満である場合には、流路40が閉塞していると判定する。
圧力センサ91は、正の圧力(陽圧)を検出することが可能に構成されており、検出結果を制御部90に出力するようになっている。
本発明において、第1閾値以下の値を、第2閾値として扱う。より詳細には、本実施形態の場合、共通の1つの閾値を、第1閾値及び第2閾値として扱う。
【0012】
本実施形態によれば、シリンジ34からの流体の注出時にプランジャ把持部材38に加わる圧力を検出する圧力センサ91の検出結果を用いて、シリンジ34への流体の吸引不良を判定することで、流路40の閉塞を検出することができる。すなわち、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の吸引不良が発生したことを検出することができる。
より詳細には、流路40が閉塞している場合、判定処理において、制御部90がプランジャ把持部材38を第1方向に移動させたとしても、シリンジ本体36に流体は実質的に吸引されず、シリンジ本体36の貯液部36aの内部は陰圧になっている。このため、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に圧力センサ91により検出される圧力は、流路40が閉塞していない場合(通常の場合)に検出される圧力と比較して小さくなる。したがって、第1閾値及び第2閾値の各々を、流路40が閉塞していない場合に検出される圧力よりも小さい値、且つ、流路40が閉塞している場合に検出される圧力と同等又は当該圧力よりも大きい値に設定することによって、制御部90は、圧力センサ91の検出結果に基づいて、流路40において閉塞が発生しているかどうかを判定することができる。
【0013】
シリンジ駆動部55は、シリンジ駆動モータ97(
図2)と、シリンジ駆動モータ97の駆動力をプランジャ把持部材38(ひいてはプランジャ37)に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、シリンジ駆動モータ97の駆動によって、プランジャ把持部材38及びプランジャ37を移動させることができるように構成されている。
本実施形態の場合、第1方向は上方であり、第2方向は下方である。したがって、シリンジ駆動部55は、プランジャ把持部材38を上方に移動させることによりプランジャ37を上方に移動させて該プランジャ37をシリンジ本体36から引き抜く動作と、プランジャ把持部材38を下方に移動させることによりプランジャ37を下方に移動させて該プランジャ37をシリンジ本体36に対して押し込む動作とを行う。
なお、本発明において、シリンジ駆動部55のアクチュエータはモータ(シリンジ駆動モータ97)に限定されず、シリンダ等であってもよい。また、プランジャ把持部材38の移動方向(第1方向及び第2方向)は、上下方向に限らず、他の方向であってもよい。
【0014】
流路40は、シリンジ本体36の先端(下端)に接続されており、シリンジ本体36の内部(貯液部36a)と、シリンジ34の外部の構成(他の流路や容器等)とを相互に連通させている。流路40には、三方活栓33が設けられている。三方活栓33によって、シリンジ本体36の内部とシリンジ本体36の外部(他の流路や容器等)とが相互に連通している状態や、シリンジ本体36の内部とシリンジ本体36の外部(他の流路や容器等)とが相互に遮断された状態に切り替えることができる。
流路閉塞状態検出装置100は、三方活栓駆動部63を備えている。三方活栓駆動部63は、三方活栓駆動モータ96(
図2)と、三方活栓駆動モータ96の駆動力を三方活栓33に伝達する三方活栓駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、三方活栓駆動モータ96の駆動によって、三方活栓33の切り替えが行われるように構成されている。なお、三方活栓33は、手動によって切り替えられてもよい。
【0015】
ここで、本実施形態の場合、シリンジ本体36に連通している流路40に、当該流路40と他の流路(例えば、
図1に示す流路40a)又は液体貯留部とを接続及び分離可能なコネクタ部32aと、微粒子を捕捉するフィルタ32bと、が設けられている。
これにより、コネクタ部32aを用いることによって、シリンジ本体36に連通している流路40と他の流路又は液体貯留部とを接続及び分離することが容易となる。
また、流路40にフィルタ32bが設けられているので、流路40を介してシリンジ34に流体を吸引する際に、流体中の不純物がシリンジ本体36の貯液部36aに混入することを抑制できる。
【0016】
図2に示すように、制御部90は、制御用プログラム(プログラム)を記憶保持しているROM(Read Only Memory)90bと、この制御用プログラムに従って制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)90aと、CPU90aの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)90bと、を備えて構成されている。
制御部90は、流路閉塞状態検出装置100が備える各構成要素の動作制御を行う。本実施形態の場合、制御部90は、シリンジ駆動モータ97、三方活栓駆動モータ96及び報知部93の各々の動作を制御する。制御部90がシリンジ駆動モータ97の動作制御を行うことによって、プランジャ37が上下動する。制御部90が三方活栓駆動モータ96の動作制御を行うことによって、三方活栓33が回転し、該三方活栓33の切り替えがなされる。制御部90が報知部93の動作制御を行うことによって、報知部93は報知動作を行う。
圧力センサ91による検出結果は、例えば、随時、制御部90に入力されるようになっている。
報知部93は、特に限定されないが、例えば、発音により報知動作を行うスピーカと、発光により報知動作を行うランプと、表示により報知動作を行うディスプレイと、のうちの少なくとも1つ以上を備えて構成されている。
制御部90は、圧力センサ91による検出結果に基づいて、上記の判定処理を行う。
このように、ROM90bに記憶されているプログラムは、コンピュータが実行可能なプログラムであって、流路閉塞状態検出装置100の制御部90による処理を実行させるプログラムである。
【0017】
流路40が閉塞しているか否かを検出する動作は、例えば、他の流路40aから流路40のコネクタ部32aを外して、流路40を大気開放した状態で行われる。この検出動作の際に、制御部90は、上記のプログラムに従って、以下に説明する動作を行う。この動作の流れを
図3に示す。なお、以下では、一例として、流路40が流体をシリンジ34内に吸引するための流路であるものとする。
また、以下に説明する動作は、流路40が他の流路や液体貯留部と連通された状態で行われてもよい。
【0018】
先ず、制御部90は、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させ、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる(
図3のステップS101)。
次に、制御部90は、流路40に設けられている弁(本実施形態の場合、三方活栓33)を閉塞させる処理を行い、シリンジ34とシリンジ34の外部の構成との連通を遮断する(
図3のステップS102)。
次に、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動を開始させる。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる動作を開始する(
図3のステップS103)。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、流路40が閉塞しているか否かの判定を行う(
図3のステップS104)。そして、制御部90は、プランジャ把持部材38の押し下げを停止させる(
図3のステップS105)。なお、押し下げ停止させるタイミングは特に限定されず、制御部90は、押し下げ動作中の圧力センサ91の測定結果を保存し、押し下げを停止させた後に当該測定結果を用いて判定を行ってもよいし、押し下げ動作中にリアルタイムで圧力を測定しつつ判定を行った後に押し下げを停止させてもよい。
押し下げ動作中に圧力センサ91により検出された圧力が、第1閾値以上である場合(
図3のステップS106のYes)、制御部90は、流路40が閉塞していないと判定し、検出動作を終了する。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第2閾値未満である(本実施形態の場合、第1閾値未満である)場合(
図3のステップS106のNo)、制御部90は流路40が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図3のステップS107)。報知部93による報知動作としては、例えば、スピーカを用いた音声による報知、ランプを用いた発光動作、ディスプレイにおける警告メッセージの表示等を挙げることができる。
【0019】
このように、本実施形態の場合、制御部90は、判定処理では、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理と、流路40に設けられている弁を閉塞させる処理と、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる処理と、をこの順に行い、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に、圧力センサ91により検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、流路40が閉塞していると判定する。
【0020】
更には、本実施形態の場合、上記プログラムを変更することによって、流路40がシリンジ34から流体を注出するための流路である場合も、流路40が閉塞しているか否かを検出することができる。
より詳細には、この場合、制御部90は、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に、圧力センサ91により検出される圧力が、第3閾値未満である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第3閾値以上の値である第4閾値以上である場合には、流路40が閉塞していると判定するように上記プログラムが変更されている。
検出動作の際に、制御部90は、このプログラムに従って、以下に説明する動作を行う。なお、以下においては、図示しない別の流路を介して、シリンジ本体36内に流体が吸引された状態となっているものとする。
本発明において、第3閾値以上の値を、第4閾値として扱う。より詳細には、本実施形態の場合、共通の1つの閾値を、第3閾値及び第4閾値として扱う。
【0021】
先ず、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動を開始させる。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる動作を開始する。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、流路40が閉塞しているか否かの判定を行う。
押し下げ動作中に圧力センサ91により検出された圧力が、第3閾値未満である場合、制御部90は、流路40が閉塞していないと判定し、検出動作を終了する。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第4閾値以上(本実施形態の場合、第3閾値以上)である場合、制御部90は流路40が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる。
【0022】
このように、本実施形態によれば、圧力センサ91が異常高圧を検出することによって流路の閉塞を判定するように構成されている投与装置と比べて、ハード構成は変更することなく、上記のプログラムを変更するだけで、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の吸引不良が発生したことと、流路40の閉塞に基づきシリンジ34からの流体の注出不良が発生したことと、の両方を検出することができる。
【0023】
〔第2実施形態〕
次に、
図4から
図7を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0024】
本実施形態の場合、流路閉塞状態検出装置100は、一例として、放射性薬剤67(
図4参照)を被験者に投与するために用いられる。
放射性薬剤67は、液状のものである。放射性薬剤67の種類は特に限定されないが、放射性薬剤67としては、例えば、PET(陽電子断層診断法:Positron Emission Tomography)検査用の短寿命核種を含む放射性薬剤、例えばFDG(フッ素18で標識されたグルコース誘導体:[
18F]-2-deoxy-2-fluoro-D-glucose)、[
18F]フルテメタモル、[
18F]フロルベタピル、[
18F]fluciclovine、[
18F]フルオロチミジン(FLT)、[
18F]フルオロミソニダゾール、FDOPA(フッ素18で標識された製剤:L-3,4-dihydroxy-6-[
18F]-fluorophenylalanine)、FDA(6-[
18F]-fluorodopamine)、[
18F]フッ化ナトリウム、[
11C]メチオニン、[
11C]酢酸、[
11C]コリン誘導体、[
13N]アンモニア等であることがあげられる。また、放射性薬剤67は、
99mTc、
123I、
131I、
201Tl、
67Ga、
51Cr等の放射性同位元素核種からなる治療用および検査用注射液であってもよい。
【0025】
より詳細には、
図4及び
図6に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、放射性薬剤67が収容された遮蔽容器66(ひいてはバイアル瓶74)に差し込まれて当該遮蔽容器66から放射性薬剤67を抽出する抽出針26と、抽出針26を遮蔽容器66に差し込む動作と遮蔽容器66から引き抜く動作とを行う抽出針駆動部59aと、を有する。
抽出針駆動部59aは、抽出針駆動モータ94(
図6参照)と、抽出針駆動モータ94の駆動力を抽出針26に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、抽出針駆動モータ94の駆動によって、抽出針26を遮蔽容器66に対して近づく方向及びその反対方向(本実施形態の場合、上下方向)に移動させることができるように構成されている。
なお、抽出針駆動部59aの駆動源は特に限定されず、シリンダ等の抽出針駆動モータ94以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
【0026】
また、流路閉塞状態検出装置100は、例えば、遮蔽容器66に差し込まれるエア針29と、エア針29を遮蔽容器66に差し込む動作と遮蔽容器66から引き抜く動作とを行うエア針駆動部59bと、を更に有する。
エア針駆動部59bは、エア針駆動モータ95と、エア針駆動モータ95の駆動力をエア針29に伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、エア針駆動モータ95の駆動によって、エア針29を遮蔽容器66に対して近づく方向及びその反対方向(本実施形態の場合、エア針29の延在方向)に移動させることができるように構成されている。
なお、エア針駆動部59bの駆動源は特に限定されず、シリンダ等のエア針駆動モータ95以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
【0027】
更に、本実施形態の場合、制御部90は、シリンジ本体36の貯液部36aに流路40を介して生理食塩水77を導入し、導入させた生理食塩水77を、シリンジ本体36から注出して被験者に投与する処理を行うことが可能である。
シリンジ本体36に生理食塩水77を導入することで、シリンジ本体36の内面に残留した放射性薬剤67を生理食塩水77によってすすぎ落し、その後、放射性薬剤67と生理食塩水77との混合液を抽出することによって、当該混合液を被験者に投与することができる。このため、放射性薬剤67がシリンジ本体36の内面や流路40に残留してしまうことを抑制できる。
【0028】
ここで、本実施形態の場合、シリンジ本体36に連通している流路40が複数の分枝流路41に分枝している。
より詳細には、
図4に示すように、複数の分枝流路41は、例えば、3つの分枝流路41を含み、各分枝流路41が、それぞれ抽出流路42、投与流路43及び生理食塩水の流路44となっている。
抽出流路42は、シリンジ本体36と抽出針26の内腔とを相互に連通させている。遮蔽容器66から放射性薬剤67を吸引する際には、放射性薬剤67は抽出流路42を流動してシリンジ本体36に流入する。
投与流路43は、シリンジ本体36と被験者の体内とを相互に連通させている。放射性薬剤67を被験者に投与する際には、放射性薬剤67は投与流路43を流動して被験者の体内に流入する。
生理食塩水の流路44は、シリンジ本体36と収容パック76とを相互に連通させている。生理食塩水77を収容パック76から吸引する際には、生理食塩水77は生理食塩水の流路44を流動してシリンジ本体36に流入する。
【0029】
更に、
図4に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、複数の分枝流路41を形成する複数の流路チューブ31を備えている。
より詳細には、複数の流路チューブ31は、例えば、第1流路チューブ31aと、第2流路チューブ31bと、第3流路チューブ31cと、第4流路チューブ31dと、を含んでいる。
第1流路チューブ31aは、シリンジ本体36と抽出針26とを接続するものであり、抽出流路42を形成している。
第3流路チューブ31cは、シリンジ本体36と収容パック76とを接続するものであり、生理食塩水77の流路44を形成している。
第2流路チューブ31bは、シリンジ本体36と第4流路チューブ31dとを接続するものである。
第4流路チューブ31dは、第2流路チューブ31bと被験者とを接続するものであり、第4流路チューブ31dと第2流路チューブ31bとが、投与流路43を形成している。
【0030】
第1流路チューブ31a~第4流路チューブ31dの各々は、例えば、ポリイミド樹脂、あるいはフッ素樹脂やシリコーン樹脂等を材料にする小径の細管である。これにより、放射性薬剤67と第1流路チューブ31a~第4流路チューブ31dの内面との間に生じる摩擦が小さくなるので、当該内面に放射性薬剤67が残り難く、放射性薬剤67を効率的に被験者に投与することができる。
【0031】
また、本実施形態の場合、
図4に示すように、三方活栓33は、第1流路チューブ31aと第2流路チューブ31bとの間に配置されている第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bを含む。
第1三方活栓33aと第2三方活栓33bとは、例えば、互いに直接的に接続されている。第1三方活栓33aは、例えば、シリンジ34及び第1流路チューブ31aの各々に対して直接的に接続されている。第2三方活栓33bは、例えば、第2流路チューブ31b及び第3流路チューブ31cの各々に対して直接的に接続されている。また、第1三方活栓33aは、第2三方活栓33bを介して第2流路チューブ31bと接続されており、第2三方活栓33bは、第1三方活栓33aを介してシリンジ34と接続されている。
また、三方活栓駆動部63は、三方活栓駆動部63aと、三方活栓駆動部63bと、を含む。
三方活栓駆動部63aは、三方活栓駆動モータ96a(
図6参照)と、三方活栓駆動モータ96aの駆動力を第1三方活栓33aに伝達する駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、三方活栓駆動モータ96aの駆動によって、第1三方活栓33aの切り替えが行われるように構成されている。同様に、三方活栓駆動部63bは、三方活栓駆動モータ96b(
図6参照)と、三方活栓駆動モータ96bの駆動力を第2三方活栓33bに伝達する駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、三方活栓駆動モータ96bの駆動によって、第2三方活栓33bの切り替えが行われるように構成されている。
なお、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bの各々は、手動によって切り替えられてもよい。
【0032】
また、本実施形態の場合、複数の分枝流路41の各々に、コネクタ部32a及びフィルタ32bが設けられている。
より詳細には、第1流路チューブ31a~第3流路チューブ31cの各々に、コネクタ部32a及びフィルタ32bが設けられている。
第1流路チューブ31aのコネクタ部32aは、当該第1流路チューブ31aの上流端に設けられており、抽出針26と接続されている。
第2流路チューブ31bのコネクタ部32aは、当該第2流路チューブ31bの下流端に設けられており、第4流路チューブ31dと接続されている。
第3流路チューブ31cのコネクタ部32aは、当該第3流路チューブ31cの下流端に設けられており、収容パック76と接続されている。
このような構成によれば、第1流路チューブ31aのコネクタ部32aによって、抽出流路42と抽出針26との接続又は分離の切り替えができる。同様に、第2流路チューブ31bのコネクタ部32aによって、当該第2流路チューブ31bと第4流路チューブ31dの接続又は分離の切り替えができ、第3流路チューブ31cのコネクタ部32aによって、生理食塩水の流路44と収容パック76との接続又は分離の切り替えができる。
また、第1流路チューブ31a~第3流路チューブ31cの各々にフィルタ32bが設けられているので、第1流路チューブ31a~第3流路チューブ31cを介してシリンジ本体36の貯液部36aに不純物が混入してしまうことを抑制できる。
フィルタ32bは、一例として、エアベンテッドフィルタ(ろ過滅菌の機能を備えたフィルタ)である。
【0033】
また、本実施形態の場合、制御部90は、抽出針駆動モータ94、エア針駆動モータ95、シリンジ駆動モータ97及び三方活栓駆動モータ96の各々の動作を制御する。制御部90が抽出針駆動モータ94の動作制御を行うことによって、抽出針26が上下動する。同様に、制御部90がエア針駆動モータ95の動作制御を行うことによって、エア針29が当該エア針29の延在方向に沿って移動し、制御部90がシリンジ駆動モータ97の動作制御を行うことによって、プランジャ37が上下動する。また、制御部90が三方活栓駆動モータ96の動作制御を行うことによって、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bがそれぞれ回転する。
【0034】
このような構成の流路閉塞状態検出装置100によれば、以下に列挙する動作が可能となる。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33aを回転させることによって流路を切り替えて、第1流路チューブ31aとシリンジ34とを相互に連通させる。この状態で、シリンジ34のプランジャ37を上方に移動させることで、遮蔽容器66から抽出針26及び第1流路チューブ31a等を介してシリンジ34に放射性薬剤67を吸引し、該シリンジ34に放射性薬剤67を貯留させる動作。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、シリンジ34と第2流路チューブ31bとを相互に連通させる。この状態で、シリンジ34のプランジャ37を下方に移動させることで、シリンジ34内の放射性薬剤67を第2流路チューブ31b及び第4流路チューブ31d等を介して被験者に投与する動作。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、シリンジ34と第3流路チューブ31cとを相互に連通させる。この状態で、シリンジ34のプランジャ37を上方に移動させることで、収容パック76から第4流路チューブ31d等を介してシリンジ34に生理食塩水77を吸引し、該シリンジ34に生理食塩水77を貯留させる動作。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、シリンジ34と第3流路チューブ31cとを相互に連通させた状態で、シリンジ34のプランジャ37を下方に移動させることで、流路40に残留する放射性薬剤67をシリンジ34内の生理食塩水77で押し流して、該放射性薬剤67を被験者に投与する動作。
【0035】
本実施形態の場合、これらの各動作を実行する前に、流路40が閉塞しているか否かを検出する動作を行う。この検出動作は、
図5に示すように、第3流路チューブ31cを収容パック76に接続する前に、第1流路チューブ31aと抽出針26とを分離した状態、且つ、第2流路チューブ31bと第4流路チューブ31dとを分離した状態で行う。
また、検出動作では、制御部90は、上記のプログラムに従って、以下に説明する動作を行い、各分枝流路41における閉塞の有無を判定する。
【0036】
図7に示すように、例えば、制御部90は、先ず、複数の分枝流路41のうち第1分枝流路(本実施形態の場合、生理食塩水の流路44)に対して選択的にシリンジ本体36を連通させる(
図7のステップS200)。これにより、生理食塩水の流路44を大気開放した状態となる。
次に、制御部90は、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させ、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる(
図7のステップS201)。これにより、生理食塩水の流路44を介して、空気がシリンジ本体36の貯液部36aに吸引される(ただし、生理食塩水77の流路44において閉塞が発生している場合は除く)。ここで、上述のように、第3流路チューブ31cにはフィルタ32bが設けられているので、空気中の不純物を生理食塩水の流路44内及びシリンジ本体36内に吸引してしまうことを抑制できる。
次に、制御部90は、第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理を行い、生理食塩水の流路44とシリンジ本体36との連通を遮断する(
図7のステップS202)。本実施形態の場合は、例えば、
図4及び
図5に示す弁46を生理食塩水の流路44に設け、当該弁46を閉塞させる。
次に、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の途中までの移動を開始させる。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して途中まで相対的に押し下げる動作を開始する(
図7のステップS203)。一例として、ここで制御部90がプランジャ37を押し下げる量は、プランジャの上死点から下死点までの距離の1/3である。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、第1分枝流路(本実施形態の場合、生理食塩水の流路44)が閉塞しているか否かの判定を行う(
図7のステップS204)。そして、制御部90は、プランジャ把持部材38の押し下げを停止させる(
図7のステップS205)。なお、押し下げ停止させるタイミングは特に限定されず、制御部90は、押し下げ動作中の圧力センサ91の測定結果を保存し、押し下げを停止させた後に当該測定結果を用いて判定を行ってもよいし、押し下げ動作中にリアルタイムで圧力を測定しつつ判定を行った後に押し下げを停止させてもよい。
押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第1閾値以上である場合、制御部90は、第1分枝流路が閉塞していないと判定する(
図7のステップS206のYes)。また、この場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理(
図7のステップS201)の際に貯液部36a内に吸引された空気のうちの約1/3が、シリンジ本体36から排出された状態となっている。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第2閾値未満である(本実施形態の場合、第1閾値未満である)場合(
図7のステップS206No)、制御部90は第1分枝流路が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図7のステップS207)。報知部93による報知動作としては、例えば、スピーカを用いた音声による報知、ランプを用いた発光動作、ディスプレイにおける警告メッセージの表示等を挙げることができる。
更に、制御部90は、複数の分枝流路41のうちの第2分枝流路(本実施形態の場合、抽出流路42)に対して選択的にシリンジ本体36を連通させる処理を行い、抽出流路42とシリンジ本体36とを互いに連通させる(
図7のステップS208)。続いて、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動を開始させる。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる動作を開始する(
図7のステップS209)。一例として、制御部90がプランジャ37を押し下げる量は、プランジャの上死点から下死点までの距離の1/3である。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に、圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、第2分枝流路が閉塞しているか否かの判定を行う(
図7のステップS210)。そして、制御部90は、プランジャ把持部材38の押し下げを停止させる(
図7のステップS211)。なお、押し下げ停止させるタイミングは特に限定されず、判定が行われた後でもよいし、当該判定が行われる前でもよい。
押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第3閾値未満である場合、制御部90は、第2分枝流路が閉塞していないと判定する(
図7のステップS212のNo)。この場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理(
図7のステップS201)の際に貯液部36a内に吸引された空気のうちの約2/3が、シリンジ本体36から排出された状態となっている。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第4閾値以上である(本実施形態の場合、第3閾値以上である)場合(
図7のステップS212のYes)、制御部90は、第2分枝流路が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図7のステップS207)。
次に、制御部90は、シリンジ本体36を複数の分枝流路41のうちの第3分枝流路(本実施形態の場合、投与流路43)に対して選択的に連通させる処理を行い、投与流路43とシリンジ本体36とを互いに連通させる(
図7のステップS213)。
次に、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動を開始する。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる動作を開始する(
図7のステップS214)。一例として、制御部90がプランジャ37を押し下げる量は、プランジャの上死点から下死点までの距離の1/3である。すなわち、この際に、プランジャ37は、下死点まで押し下げられる。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に、圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、第3分枝流路が閉塞しているか否かの判定を行う(
図7のステップS215)。そして、制御部90は、プランジャ把持部材38の押し下げを停止させる(
図7のステップS216)。なお、押し下げ停止させるタイミングは特に限定されず、判定が行われた後でもよいし、当該判定が行われる前でもよい。
押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第3閾値未満である場合(
図7のステップS217のNo)、制御部90は、第3分枝流路が閉塞していないと判定する。この場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理(
図7のステップS201)の際に貯液部36a内に吸引された空気のうちの全体が、シリンジ本体36から排出された状態となっている。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第4閾値以上である場合(
図7のステップS217のYes)、制御部90は第3分枝流路が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図7のステップS207)。
【0037】
すべての分枝流路41において閉塞が発生していない場合、作業者が、第3流路チューブ31cと収容パック76との接続、第1流路チューブ31aと抽出針26との接続、且つ、第2流路チューブ31bと第4流路チューブ31dとの接続を行い、その後、制御部90の制御下で、放射性薬剤67の投与を行う。
【0038】
このように、本実施形態によれば、制御部90は、例えば、判定処理では、シリンジ本体36を複数の分枝流路41のうちの第1分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理と、第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる処理と、をこの順に行い、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に、圧力センサ91により検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、第1分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、第1分枝流路が閉塞していると判定する。
なお、第1分枝流路は、複数の分枝流路41のうちのいずれの分枝流路41であってもよい。すなわち、第1分枝流路は、放射性薬剤67の抽出流路42、放射性薬剤67の投与流路43及び生理食塩水77の流路44のうちのいずれの流路であってもよい。
【0039】
より詳細には、本実施形態によれば、制御部90は、シリンジ本体36を複数の分枝流路41のうちの第1分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、制御部90は、判定処理では、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理と、第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、プランジャ把持部材38を第2方向に途中まで移動させる処理と、をこの順に行い、プランジャ把持部材38を第2方向に途中まで移動させる際に、圧力センサ91により検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、第1分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、第1分枝流路が閉塞していると判定し、第1分枝流路が閉塞していないと判定した場合には、更に、シリンジ本体36を複数の分枝流路41のうちの第2分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる処理と、をこの順に行い、プランジャ把持部材38を第2方向に移動させる際に、圧力センサ91により検出される圧力が、第3閾値未満である場合には、第2分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第3閾値以上の値である第4閾値以上である場合には、第2分枝流路が閉塞していると判定する。
このような構成によれば、圧力センサ91が異常高圧を検出することによって流路の閉塞を判定するように構成されている投与装置と比べて、ハード構成は変更することなく(又は弁46などの一部の構成を付加するとともに)、上記のプログラムを変更するだけで、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の吸引不良が発生したことと、流路40の閉塞に基づきシリンジ34からの流体の注出不良が発生したことと、の両方を検出することができる。
なお、第2分枝流路は、複数の分枝流路41のうちのいずれの分枝流路41であってもよい。すなわち、第2分枝流路は、放射性薬剤67の抽出流路42、放射性薬剤67の投与流路43及び生理食塩水77の流路44のうちのいずれの流路であってもよい。
また、第3閾値及び第4閾値として扱われる閾値は、第1閾値及び第2閾値として扱われる閾値よりも大きい。
【0040】
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例を説明する。本変形例に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0041】
本変形例の場合、流路40が閉塞しているか否かを検出する動作を行う際に、投与流路43を介して、シリンジ本体36の貯液部36aに空気を吸引し、当該空気を注出する際に圧力センサ91が測定する圧力に基づいて当該検出動作を行う。なお、本変形例に係る流路閉塞状態検出装置の模式図は、
図4及び
図5と同様のため図示を省略している。また、本変形例に係る検出動作のフローチャートは、
図7と同様のため図示を省略している。
このような構成によっても、圧力センサ91が異常高圧を検出することによって流路の閉塞を判定するように構成されている投与装置と比べて、ハード構成は変更することなく(又は弁47(
図4及び
図5参照)などの一部の構成を付加するとともに)、上記のプログラムを変更するだけで、流路40の閉塞に基づきシリンジ34への流体の吸引不良が発生したことと、流路40の閉塞に基づきシリンジ34からの流体の注出不良が発生したことと、の両方を検出することができる。
なお、例えば、流路40が閉塞しているか否かを検出する動作を行う際に、抽出流路42を介して、シリンジ本体36の貯液部36aに空気を吸引し、当該空気を注出する際に圧力センサ91が測定する圧力に基づいて当該検出動作を行ってもよい。この場合、抽出流路42に設けられている弁を閉塞させる処理の際には、例えば、
図4及び
図5に示す弁48を抽出流路42に設け、当該弁48を閉塞させる。
【0042】
本変形例の場合も、第2実施形態と同様に放射性薬剤67の投与動作を実行する前に、流路40が閉塞しているか否かを検出する動作を行う。この検出動作は、
図5に示すように、第3流路チューブ31cを収容パック76に接続する前に、第1流路チューブ31aと抽出針26とを分離した状態、且つ、第2流路チューブ31bと第4流路チューブ31dとを分離した状態で行う。
また、検出動作では、制御部90は、上記のプログラムに従って、以下に説明する動作を行い、各分枝流路41における閉塞の有無を判定する。
【0043】
図7に示すように、例えば、制御部90は、先ず、複数の分枝流路41のうち第1分枝流路(本実施形態の場合、投与流路43)に対して選択的にシリンジ本体36を連通させる(
図7のステップS200)。これにより、投与流路43を大気開放した状態となる。
次に、制御部90は、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させ、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に上昇させる(
図7のステップS201)。これにより、投与流路43を介して、空気がシリンジ本体36の貯液部36aに吸引される(ただし、投与流路43において閉塞が発生している場合は除く)。ここで、上述のように、第3流路チューブ31cにはフィルタ32bが設けられているので、空気中の不純物を投与流路43内及びシリンジ本体36内に吸引してしまうことを抑制できる。
次に、制御部90は、投与流路43に設けられている弁を閉塞させる処理を行い、投与流路43とシリンジ本体36との連通を遮断する(
図7のステップS202)。本実施形態の場合は、例えば、
図4及び
図5に示す弁47を投与流路43に設け、当該弁46を閉塞させる。
次に、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の途中までの移動を開始させる。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して途中まで相対的に押し下げる動作を開始する(
図7のステップS203)。一例として、ここで制御部90がプランジャ37を押し下げる量は、プランジャの上死点から下死点までの距離の1/3である。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、第1分枝流路(本実施形態の場合、投与流路43)が閉塞しているか否かの判定を行う(
図7のステップS204)。そして、制御部90は、プランジャ把持部材38の押し下げを停止させる(
図7のステップS205)。
押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第1閾値以上である場合、制御部90は、第1分枝流路が閉塞していないと判定する(
図7のステップS206のYes)。また、この場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理(
図7のステップS201)の際に貯液部36a内に吸引された空気のうちの約1/3が、シリンジ本体36から排出された状態となっている。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第2閾値未満である(本実施形態の場合、第1閾値未満である)場合(
図7のステップS206No)、制御部90は第1分枝流路が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図7のステップS207)。
更に、制御部90は、複数の分枝流路41のうちの第2分枝流路(本変形例の場合、生理食塩水の流路44)に対して選択的にシリンジ本体36を連通させる処理を行い、生理食塩水の流路44とシリンジ本体36とを互いに連通させる(
図7のステップS208)。続いて、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動を開始させる。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる動作を開始する(
図7のステップS209)。一例として、制御部90がプランジャ37を押し下げる量は、プランジャの上死点から下死点までの距離の1/3である。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に、圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、第2分枝流路が閉塞しているか否かの判定を行う(
図7のステップS210)。
押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第3閾値未満である場合、制御部90は、第2分枝流路が閉塞していないと判定する(
図7のステップS212のNo)。この場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理(
図7のステップS201)の際に貯液部36a内に吸引された空気のうちの約2/3が、シリンジ本体36から排出された状態となっている。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第4閾値以上である(本実施形態の場合、第3閾値以上である)場合(
図7のステップS212のYes)、制御部90は、第2分枝流路が閉塞している判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図7のステップS207)。
次に、制御部90は、シリンジ本体36を複数の分枝流路41のうちの第3分枝流路(本変形例の場合、抽出流路42)に対して選択的に連通させる処理を行い、抽出流路42とシリンジ本体36とを互いに連通させる(
図7のステップS213)。
次に、制御部90は、第2方向へのプランジャ把持部材38の移動を開始する。すなわち、プランジャ37をシリンジ本体36に対して相対的に押し下げる動作を開始する(
図7のステップS214)。一例として、制御部90がプランジャ37を押し下げる量は、プランジャの上死点から下死点までの距離の1/3である。すなわち、この際に、プランジャ37は、下死点まで押し下げられる。
次に、制御部90は、この押し下げ動作中に、圧力センサ91により検出された圧力に基づいて、第3分枝流路が閉塞しているか否かの判定を行う(
図7のステップS215)。そして、制御部90は、プランジャ把持部材38の押し下げを停止させる(
図7のステップS216)。
押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第3閾値未満である場合(
図7のステップS217のNo)、制御部90は、第3分枝流路が閉塞していないと判定する。この場合、プランジャ把持部材38を第1方向に移動させる処理(
図7のステップS201)の際に貯液部36a内に吸引された空気のうちの全体が、シリンジ本体36から排出された状態となっている。
一方、押し下げ動作中に圧力センサ91によって検出された圧力が第4閾値以上である場合(
図7のステップS217のYes)、制御部90は第3分枝流路が閉塞していると判定し、報知部93に所定の報知動作を行わせる(
図7のステップS207)。
【0044】
〔第3実施形態〕
次に、
図8及び
図9を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1及び第2実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1及び第2実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0045】
本実施形態の場合、
図8に示すように、流路閉塞状態検出装置100は、シリンジ34として、第1シリンジ34aと、第2シリンジ34bと、を有する。
第1シリンジ34aは、例えば、流路40に残留する放射性薬剤67を押し流すための生理食塩水77を貯留するものである。
第2シリンジ34bは、例えば、遮蔽容器66から抜き取られた放射性薬剤67を貯留するものである。
ただし、第1シリンジ34aが、例えば、遮蔽容器66から放射性薬剤67を吸引するとともに貯留するものであり、第2シリンジ34bが、例えば、流路40に残留する放射性薬剤67を押し流すための生理食塩水77を貯留するものであってもよい。
【0046】
より詳細には、本実施形態の場合、シリンジ駆動部55は、例えば、第1シリンジ34aのプランジャ37を駆動するシリンジ駆動部55aと、第2シリンジ34bのプランジャ37を駆動するシリンジ駆動部55bと、を含む。
シリンジ駆動部55aは、シリンジ駆動モータ97aと、シリンジ駆動モータ97aの駆動力を第1シリンジ34aに伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、シリンジ駆動モータ97aの駆動によって、第1シリンジ34aのプランジャ37を上下に移動させることができるように構成されている。同様に、シリンジ駆動部55bは、シリンジ駆動モータ97bと、シリンジ駆動モータ97bの駆動力を第2シリンジ34bに伝達する駆動伝達機構(不図示)を有しており、シリンジ駆動モータ97bの駆動によって、第2シリンジ34bのプランジャ37を上下に移動させることができるように構成されている。
なお、シリンジ駆動部55(シリンジ駆動部55a及びシリンジ駆動部55b)の駆動源は特に限定されず、シリンダ等のシリンジ駆動モータ97以外のアクチュエータを駆動源としてもよい。
【0047】
また、本実施形態の場合、三方活栓33は、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bに加えて、第1三方活栓33aと第2三方活栓33bとの間に配置されている第3三方活栓33cを更に含む。
第3三方活栓33cは、例えば、第1三方活栓33aと第2三方活栓33bとの各々に対して直接的に接続されている。更に、例えば、第3三方活栓33cは、第2シリンジ34bに対して直に接続されており、第1三方活栓33aは、第1シリンジ34aに対して接続されている。
三方活栓駆動部63は、三方活栓駆動部63cを含み、三方活栓駆動部63cは、三方活栓駆動モータ96cと、三方活栓駆動モータ96cの駆動力を第3三方活栓33cに伝達する駆動伝達機構(不図示)と、を有しており、三方活栓駆動モータ96cの駆動によって、第3三方活栓33cの切り替えが行われるように構成されている。なお、第3三方活栓33cも、第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bの各々と同様に、手動によって切り替えられてもよい。
【0048】
このような構成の流路閉塞状態検出装置100によれば、以下に列挙する動作が可能となる。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33a及び第2三方活栓33bをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、第1流路チューブ31aと第2シリンジ34bとを相互に連通させる。この状態で、第2シリンジ34bのプランジャ37を上方に移動させることで、遮蔽容器66から抽出針26及び第1流路チューブ31a等を介して第2シリンジ34bに放射性薬剤67を吸引し、第2シリンジ34bに放射性薬剤67を貯留させる動作。
三方活栓駆動部63を駆動させて第2三方活栓33b及び第3三方活栓33cをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、第2シリンジ34bと第2流路チューブ31bとを相互に連通させる。この状態で、第2シリンジ34bのプランジャ37を下方に移動させることで、第2シリンジ34b内の放射性薬剤67を第2流路チューブ31b及び第4流路チューブ31d等を介して被験者に投与する動作。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33a~第3三方活栓33cをそれぞれ回転させることによって流路40を切り替えて、第1シリンジ34aと第3流路チューブ31cとを相互に連通させる。この状態で、第1シリンジ34aのプランジャ37を上方に移動させることで、収容パック76から第3流路チューブ31c等を介して第1シリンジ34aに生理食塩水77を吸引し、該第1シリンジ34aに生理食塩水77を貯留させる動作。
三方活栓駆動部63を駆動させて第1三方活栓33a~第3三方活栓33cをそれぞれ回転させることによって流路を切り替えて、第1シリンジ34a、第2流路チューブ31b及び第4流路チューブ31dを相互に連通させた状態で、第1シリンジ34aのプランジャ37を下方に移動させることで、流路40に残留する放射性薬剤67を第1シリンジ34a内の生理食塩水77で押し流して、該放射性薬剤67を被験者に投与する動作。
【0049】
また、本実施形態の場合も、第2実施形態と同様に、制御部90は、これらの各動作を実行する前に、各分枝流路41が閉塞しているか否かを検出する動作を行う。
なお、各分枝流路41における閉塞の有無を判定する際に、制御部90が移動させるプランジャ37は、第1シリンジ34aのプランジャ37でもよいし(当該判定に第1シリンジ34aを用いてもよいし)、第2シリンジ34bのプランジャ37でもよい(当該判定に第2シリンジ34bを用いてもよい)。
【0050】
〔第4実施形態〕
次に、
図10を用いて第4実施形態を説明する。
本実施形態に係る流路閉塞状態検出装置100は、以下に説明する点で、上記の第1~3実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1~3実施形態とその変形例に係る流路閉塞状態検出装置100と同様に構成されている。
【0051】
本実施形態では、
図10に示すように、流路閉塞状態検出装置100を備える投与装置110に、脱着カセット10が装着されている例を説明する。
より詳細には、脱着カセット10が、例えば、三方活栓33(第1三方活栓33a~第3三方活栓33c)を保持する切換部材保持部14と、各シリンジ34を保持するシリンジ保持部15(第1シリンジ保持部15a及び第2シリンジ保持部15b)と、を有する。
また、投与装置110は、装置ハウジング50を備えており、脱着カセット10は、装置ハウジング50に対して着脱可能に装着される。
装置ハウジング50には、シリンジ駆動部55、抽出針駆動部59a、エア針駆動部59b、制御部90、報知部93、がそれぞれ設けられている(
図9参照)。より詳細には、装置ハウジング50の内部に、例えば、制御部90、報知部93、抽出針駆動モータ94、エア針駆動モータ95、シリンジ駆動モータ97及び三方活栓駆動モータ96の各々が配置されている。また、装置ハウジング50は、例えば、放射性薬剤67が収容された遮蔽容器66が配置される容器配置部64を備えている。
図10に示すように、容器配置部64は、抽出針26及びエア針29の各々の下方に配置されている。
【0052】
このような構成によれば、脱着カセット10によって三方活栓33及びシリンジ34を保持させた状態で、脱着カセット10を装置ハウジング50に装着することにより、三方活栓33及びシリンジ34といった使い捨て部品の装置ハウジング50へのセッティングを容易に行うことができる。また、放射性薬剤67の投与後は、これら使い捨て部品を脱着カセット10ごと装置ハウジング50から容易に取り外すことができる。
【0053】
図10に示すように、本実施形態の場合、脱着カセット10は、更に、例えば、第1針ベース21aと第2針ベース21bとの2つの針ベース21を備えている。
図10に示すように、例えば、第1針ベース21aには抽出針26が着脱可能に装着され、第2針ベース21bにはエア針29が着脱可能に装着される。
第1針ベース21aは、抽出針駆動部59aと機械的に連結されており、抽出針駆動部59aの移動に連動して第1針ベース21a及び抽出針26が移動する状態となる。
同様に、第2針ベース21bは、エア針駆動部59bと機械的に連結されており、エア針駆動部59bの移動に連動して第2針ベース21b及びエア針29が移動する状態となる。
【0054】
また、本実施形態の場合、例えば、3つの切換部材保持部14が横並びに配置されている。これら3つの切換部材保持部14の各々が、ひとつずつの三方活栓33(第1三方活栓33a、第2三方活栓33b及び第3三方活栓33c)を保持している。
【0055】
三方活栓駆動部63と切換部材保持部14とが機械的に連結され、三方活栓駆動部63が回転するのに連動して、切換部材保持部14と、切換部材保持部14によって保持されている三方活栓33と、が回転するようになる。
【0056】
。
更に、装置ハウジング50の前面側には第2シリンジ34bの前面側を開閉可能に覆うシリンジ遮蔽カバー68が設けられている。シリンジ遮蔽カバー68は、第2シリンジ保持部15bに第2シリンジ34bが装着された状態において、当該第2シリンジ34bの前方、左右両側方、上方及び下方を覆うことが可能である。
シリンジ遮蔽カバー68の少なくとも一部分は、例えば、タングステンや鉛等の放射線を遮蔽する材料によって構成されている。
【0057】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0058】
例えば、上記においては、共通の1つの閾値を、第1閾値及び第2閾値として扱う例を説明したが、本発明において、第2閾値よりも大きい値を、第1閾値として扱ってもよい。換言すると、第1閾値よりも第2閾値が小さくてもよい。この場合、制御部90は、圧力センサ91により検出される圧力が、第1閾値超である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値以下である場合には、流路40が閉塞していると判定するように構成されていてもよいし、当該圧力が、第1閾値超である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、流路40が閉塞していると判定するように構成されていてもよい。
同様に、上記においては、共通の1つの閾値を、第3閾値及び第4閾値として扱う例を説明したが、本発明において、第4閾値よりも小さい値を、第3閾値として扱ってもよい。換言すると、第3閾値よりも第4閾値が大きくてもよい。この場合、制御部90は、圧力センサ91により検出される圧力が、第3閾値以下である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第4閾値超である場合には、流路40が閉塞していると判定するように構成されていてもよいし、当該圧力が、第3閾値未満である場合には、流路40が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第4閾値超である場合には、流路40が閉塞していると判定するように構成されていてもよい。
【0059】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有するシリンジの前記プランジャを把持するプランジャ把持部材と、
前記プランジャ把持部材により前記プランジャを把持した状態で、前記シリンジ本体に流体を吸引する方向である第1方向と、前記シリンジ本体から流体を注出する方向である第2方向と、に前記プランジャ把持部材を移動させる駆動部と、
前記シリンジ本体からの流体の注出時に前記プランジャ把持部材に加わる圧力を検出する圧力センサと、
前記駆動部の動作を制御する処理と、前記シリンジ本体に連通している流路における閉塞の有無を前記圧力センサによる検出結果に基づいて判定する判定処理と、を行う制御部と、
前記流路における閉塞が発生している場合にその旨を報知する報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記判定処理では、前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させた後、前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が前記第1閾値以下の値である第2閾値未満である場合には、前記流路が閉塞していると判定する流路閉塞状態検出装置。
(2)前記シリンジ本体に連通している前記流路に、
当該流路と他の流路又は液体貯留部とを接続及び分離可能なコネクタ部と、
微粒子を捕捉するフィルタと、
が設けられている(1)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(3)前記シリンジ本体に連通している流路が複数の分枝流路に分枝しており、
前記複数の分枝流路の各々に、前記コネクタ部及び前記フィルタが設けられている(2)に記載の流路閉塞状態検出装置。
(4)前記制御部は、
前記判定処理では、
前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させる処理と、
前記流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、前記流路が閉塞していると判定する(1)から(3)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
(5)前記シリンジ本体に連通している流路が複数の分枝流路に分枝しており、
前記制御部は、
前記判定処理では、
前記シリンジ本体を前記複数の分枝流路のうちの第1分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させる処理と、
前記第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していると判定する(1)から(3)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
(6)前記シリンジ本体に連通している流路が複数の分枝流路に分枝しており、
前記制御部は、
前記判定処理では、
前記シリンジ本体を前記複数の分枝流路のうちの第1分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第1方向に移動させる処理と、
前記第1分枝流路に設けられている弁を閉塞させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に途中まで移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に途中まで移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第1閾値以上である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が第2閾値未満である場合には、前記第1分枝流路が閉塞していると判定し、
前記第1分枝流路が閉塞していないと判定した場合には、更に、
前記シリンジ本体を前記複数の分枝流路のうちの第2分枝流路に対して選択的に連通させる処理と、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる処理と、
をこの順に行い、
前記プランジャ把持部材を前記第2方向に移動させる際に、前記圧力センサにより検出される圧力が、第3閾値未満である場合には、前記第2分枝流路が閉塞していないと判定する一方で、当該圧力が前記第3閾値以上の値である第4閾値以上である場合には、前記第2分枝流路が閉塞していると判定する(1)から(3)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置。
(7)コンピュータが実行可能なプログラムであって、(1)から(6)のいずれか一項に記載の流路閉塞状態検出装置の前記制御部による処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0060】
14 切換部材保持部
15 シリンジ保持部
15a 第1シリンジ保持部
15b 第2シリンジ保持部
21 針ベース
21a 第1針ベース
21b 第2針ベース
26 抽出針
29 エア針
31 流路チューブ
31a 第1流路チューブ
31b 第2流路チューブ
31c 第3流路チューブ
31d 第4流路チューブ
32a コネクタ部
32b フィルタ
33 三方活栓
33a 第1三方活栓
33b 第2三方活栓
33c 第3三方活栓
34 シリンジ
34a 第1シリンジ
34b 第2シリンジ
36 シリンジ本体
36a 貯液部
37 プランジャ
38 プランジャ把持部材
40 流路
40a 他の流路
41 分枝流路
42 抽出流路
43 投与流路
44 生理食塩水の流路
46~48 弁
50 装置ハウジング
55 シリンジ駆動部
55a シリンジ駆動部
55b シリンジ駆動部
59a 抽出針駆動部
59b エア針駆動部
63 三方活栓駆動部
64 容器配置部
66 遮蔽容器
67 放射性薬剤
68 シリンジ遮蔽カバー
74 バイアル瓶
76 収容パック
77 生理食塩水
90 制御部
90a CPU
90b ROM
90C RAM
91 圧力センサ
93 報知部
94 抽出針駆動モータ
95 エア針駆動モータ
96 三方活栓駆動モータ
96a 三方活栓駆動モータ
96b 三方活栓駆動モータ
96c 三方活栓駆動モータ
97 シリンジ駆動モータ
97a シリンジ駆動モータ
97b シリンジ駆動モータ
100 流路閉塞状態検出装置
110 投与装置