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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149043
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】運転制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/023 20120101AFI20220929BHJP
   B60W 50/038 20120101ALI20220929BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220929BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B60W50/023
B60W50/038
B60W50/14
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050976
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 健司
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA57
3D241BA60
3D241BA63
3D241BB72
3D241BB74
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
(57)【要約】
【課題】装置の故障時に運転者の負担を軽減するとともに、運転者が故障の度合いに対応して行動できるようにする。
【解決手段】運転制御装置10は、複数の運転制御機能に関する複数の装置の少なくともいずれかの故障を検出する検出部122と、複数の運転制御機能のうち、検出部122が検出した故障により動作に支障が生じる運転制御機能を故障機能として特定する特定部123と、複数の運転制御機能の少なくともいずれかを実行して車両Vの運転制御を行い、特定部123が特定した故障機能に対応する制御を行う運転制御部124と、特定部123が特定した故障機能に対応する情報を運転者に通知する通知部125と、を有する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転制御に係る機能である複数の運転制御機能に関する複数の装置の少なくともいずれかの故障を検出する検出部と、
複数の前記運転制御機能のうち、前記検出部が検出した故障により動作に支障が生じる運転制御機能を故障機能として特定する特定部と、
複数の前記運転制御機能の少なくともいずれかを実行して前記車両の運転制御を行い、前記特定部が特定した前記故障機能に対応する制御を行う運転制御部と、
前記特定部が特定した前記故障機能に対応する情報を運転者に通知する通知部と、
を有する運転制御装置。
【請求項2】
自動運転に係る複数の前記運転制御機能により前記運転者による運転操作を必要とせずに前記車両の運転制御を行う自動運転機能が実現され、
前記特定部は、前記故障機能として前記自動運転機能に関する運転制御機能を特定した場合に、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であるか否かを特定し、
前記運転制御部は、前記特定部が特定した前記故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かに基づく制御を行い、
前記通知部は、前記特定部が特定した前記故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かに基づく情報を前記運転者に通知する、
請求項1に記載の運転制御装置。
【請求項3】
前記特定部が、前記自動運転機能に関する前記故障機能が前記冗長機能により補完可能であることを特定した場合、
前記運転制御部は、前記運転者の操作のみで運転する手動運転時に、自動運転を行う操作が行われると前記自動運転機能を実行させ、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能を継続して実行し、
前記通知部は、前記手動運転時に、前記故障機能に異常が発生したことを示す情報と、前記自動運転機能を実行可能であるが前記車両の点検を促すことを示す情報とを前記運転者に通知し、前記自動運転機能の実行時に、前記故障機能に異常が発生したことを示す情報と、前記自動運転が継続可能であるが前記車両の点検を促すことを示す情報と、前記自動運転機能を継続して実行することを示す情報とを前記運転者に通知する、
請求項2に記載の運転制御装置。
【請求項4】
運転支援に係る複数の前記運転制御機能により、前記運転者が運転操作を行うことを条件として前記車両の運転制御を行う運転支援機能が実現され、前記自動運転機能は、前記運転支援機能を含む、前記自動運転に係る複数の前記運転制御機能により実現され、
前記特定部は、特定した前記自動運転機能に関する運転制御機能が冗長機能により補完不可能であることを特定すると、前記運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、前記自動運転機能による運転制御から前記運転者の操作のみで運転する手動運転に切り替える必要があるかをさらに特定し、
前記運転制御部は、前記運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、前記手動運転に切り替える必要があるかに基づく制御を行い、
前記通知部は、前記運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、前記手動運転に切り替える必要があるかに基づく情報を前記運転者に通知する、
請求項2又は3に記載の運転制御装置。
【請求項5】
前記特定部が、前記自動運転機能に関する前記故障機能が前記冗長機能により補完不可能であり、前記運転支援機能に限定した運転制御が可能であることを特定した場合、
前記運転制御部は、前記手動運転時に自動運転を行う操作が行われると、前記運転支援機能を実行させ、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から、前記運転支援機能による運転制御に移行し、
前記通知部は、前記手動運転時に、前記自動運転が不可能であり、前記運転支援機能が実行可能であることを示す情報を前記運転者に通知し、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から、前記運転支援機能による運転制御に移行することを示す情報を前記運転者に通知する、
請求項4に記載の運転制御装置。
【請求項6】
前記特定部が、前記自動運転機能に関する前記故障機能が前記冗長機能により補完不可能であり、前記自動運転に係る運転制御から前記手動運転に切り替える必要があることを特定した場合、
前記運転制御部は、前記手動運転時に自動運転を行う操作が行われると、前記自動運転機能及び前記運転支援機能を実行させず、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から前記手動運転に移行させ、
前記通知部は、前記手動運転時に、前記自動運転及び前記運転支援が不可能であることを示す情報を前記運転者に通知し、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から前記手動運転に移行することを示す情報を前記運転者に通知する、
請求項4又は5に記載の運転制御装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記検出部が検出した故障により、前記車両の走行に支障が生じるか否かをさらに特定し、
前記運転制御部は、前記特定部が前記車両の走行に支障が生じることを特定すると、前記複数の運転制御機能の全てを停止し、
前記通知部は、前記特定部が前記車両の走行に支障が生じることを特定すると、前記装置の故障により前記車両の走行に支障が生じることを示す情報を前記運転者に通知する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の運転制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者の運転支援等の運転制御を行うシステムが知られている。このようなシステムでは、運転制御を行うために必要な情報を検出する装置に故障が発生すると、運転制御を停止するとともに、装置に故障があることを運転者に通知する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-020498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムでは、運転制御を行うための複数の装置のいずれかに故障が発生した場合、装置の種類にかかわらず、運転制御を停止するとともに、運転制御を行うための装置の故障が発生したとして一律に運転者に通知していた。このため、運転者は、故障の度合いに関わらず、運転制御に頼らず運転を行う必要があるとともに、故障の度合いを把握して、適切な行動をとることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、装置の故障時に運転者の負担を軽減するとともに、運転者が故障の度合いに対応して行動できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る運転制御装置は、車両の運転制御に係る機能である複数の運転制御機能に関する複数の装置の少なくともいずれかの故障を検出する検出部と、複数の前記運転制御機能のうち、前記検出部が検出した故障により動作に支障が生じる運転制御機能を故障機能として特定する特定部と、複数の前記運転制御機能の少なくともいずれかを実行して前記車両の運転制御を行い、前記特定部が特定した前記故障機能に対応する制御を行う運転制御部と、前記特定部が特定した前記故障機能に対応する情報を運転者に通知する通知部と、を有する。
【0007】
自動運転に係る複数の前記運転制御機能により前記運転者による運転操作を必要とせずに前記車両の運転制御を行う自動運転機能が実現され、前記特定部は、前記故障機能として前記自動運転機能に関する運転制御機能を特定した場合に、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であるか否かを特定し、前記運転制御部は、前記特定部が特定した前記故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かに基づく制御を行い、前記通知部は、前記特定部が特定した前記故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かに基づく情報を前記運転者に通知してもよい。
【0008】
前記特定部が、前記自動運転機能に関する前記故障機能が前記冗長機能により補完可能であることを特定した場合、前記運転制御部は、前記運転者の操作のみで運転する手動運転時に、自動運転を行う操作が行われると前記自動運転機能を実行させ、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能を継続して実行し、前記通知部は、前記手動運転時に、前記故障機能に異常が発生したことを示す情報と、前記自動運転機能を実行可能であるが前記車両の点検を促すことを示す情報とを前記運転者に通知し、前記自動運転機能の実行時に、前記故障機能に異常が発生したことを示す情報と、前記自動運転が継続可能であるが前記車両の点検を促すことを示す情報と、前記自動運転機能を継続して実行することを示す情報とを前記運転者に通知してもよい。
【0009】
運転支援に係る複数の前記運転制御機能により、前記運転者が運転操作を行うことを条件として前記車両の運転制御を行う運転支援機能が実現され、前記自動運転機能は、前記運転支援機能を含む、前記自動運転に係る複数の前記運転制御機能により実現され、前記特定部は、特定した前記自動運転機能に関する運転制御機能が冗長機能により補完不可能であることを特定すると、前記運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、前記自動運転機能による運転制御から前記運転者の操作のみで運転する手動運転に切り替える必要があるかをさらに特定し、前記運転制御部は、前記運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、前記手動運転に切り替える必要があるかに基づく制御を行い、前記通知部は、前記運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、前記手動運転に切り替える必要があるかに基づく情報を前記運転者に通知してもよい。
【0010】
前記特定部が、前記自動運転機能に関する前記故障機能が前記冗長機能により補完不可能であり、前記運転支援機能に限定した運転制御が可能であることを特定した場合、前記運転制御部は、前記手動運転時に自動運転を行う操作が行われると、前記運転支援機能を実行させ、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から、前記運転支援機能による運転制御に移行し、前記通知部は、前記手動運転時に、前記自動運転が不可能であり、前記運転支援機能が実行可能であることを示す情報を前記運転者に通知し、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から、前記運転支援機能による運転制御に移行することを示す情報を前記運転者に通知してもよい。
【0011】
前記特定部が、前記自動運転機能に関する前記故障機能が前記冗長機能により補完不可能であり、前記自動運転に係る運転制御から前記手動運転に切り替える必要があることを特定した場合、前記運転制御部は、前記手動運転時に自動運転を行う操作が行われると、前記自動運転機能及び前記運転支援機能を実行させず、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から前記手動運転に移行させ、前記通知部は、前記手動運転時に、前記自動運転及び前記運転支援が不可能であることを示す情報を前記運転者に通知し、前記自動運転機能の実行時に、前記自動運転機能による運転制御から前記手動運転に移行することを示す情報を前記運転者に通知してもよい。
【0012】
前記特定部は、前記検出部が検出した故障により、前記車両の走行に支障が生じるか否かをさらに特定し、前記運転制御部は、前記特定部が前記車両の走行に支障が生じることを特定すると、前記複数の運転制御機能の全てを停止し、前記通知部は、前記特定部が前記車両の走行に支障が生じることを特定すると、前記装置の故障により前記車両の走行に支障が生じることを示す情報を前記運転者に通知してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の故障時に運転者の負担を軽減するとともに、運転者が故障の度合いに対応して行動できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る車両の内部構成を模式的に示す図である。
図2】支障範囲特定用情報の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る車両が手動運転により走行している場合の運転制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】本実施形態に係る車両が自動運転により走行している場合の運転制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[運転制御装置10の概要]
実施の形態に係る運転制御装置10は、車両Vに搭載され、車両Vの運転制御を行う装置である。運転制御装置10は、複数の運転制御機能の少なくともいずれかを実行することにより、車両Vの自動運転や、運転者の運転支援といった車両Vの運転制御を行う。
【0016】
運転制御装置10の説明を行うにあたり、運転支援機能、自動運転機能、手動運転について説明する。運転支援機能は、運転支援に係る複数の運転制御機能により、運転者が運転操作を行うことを条件として車両Vの運転制御を行う機能である。運転支援機能は、例えば、自動車技術会(JASO)が定義する自動運転レベル1、2に対応する機能である。自動運転機能は、運転支援機能を含む、自動運転に係る複数の運転制御機能により、運転者による運転操作を必要とせずに車両Vの運転制御を行う機能である。自動運転機能は、例えば、自動運転レベル3以上に対応する機能である。手動運転は、運転支援機能及び自動運転機能が動作しておらず、運転者の操作のみで運転を行うことをいう。
【0017】
運転制御装置10は、車両Vの複数の運転制御機能に関する複数の装置の少なくともいずれかの故障を検出すると、故障により動作に支障が生じる運転制御機能を特定する。運転制御装置10は、故障により動作に支障が生じると特定した運転制御機能に対応して、自動運転の継続、自動運転から運転支援への切替、又は自動運転から手動運転への切替を制御する。また、運転制御装置10は、故障により動作に支障が生じると特定した運転制御機能に対応する情報を運転者に通知する。このように、運転制御装置10は、動作に支障が生じる運転制御機能に対し、状況に応じた制御を行うことで、運転者の負担を軽減することができる。また、運転制御装置10は、動作に支障が生じる運転制御機能に対応する情報を運転者に通知するので、運転者は、当該情報に応じて行動することができる。
【0018】
[車両Vの構成]
運転制御装置10の詳細な説明を行うにあたり、車両Vの内部構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両Vの内部構成を模式的に示す図である。車両Vは、各種センサ1と、複数の撮像装置2と、操作部3と、出音装置4と、表示装置5と、各種ECU6と、運転制御装置10とを有する。
【0019】
各種センサ1は、車両Vに関する情報を測定するセンサであり、例えば、速度センサ、加速度センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ等が含まれる。また、各種センサ1には、運転者が操舵を行っていることを検出するために用いる操舵角センサが含まれる。また、各種センサ1は、車両Vの走行制御を行うために用いるセンサが含まれており、LiDAR(Light Detection and Ranging)やSRR(Short Range Radar)が含まれる。各種センサ1は、例えば所定時間おきに測定を行い、測定した結果を示す測定データを運転制御装置10に出力する。複数の撮像装置2は、例えば車両Vの前方、側方、後方を撮像するカメラであり、撮像画像を運転制御装置10に出力する。
【0020】
操作部3は、例えば車両Vに設けられているボタンや、表示装置5に重畳されているタッチパネルであり、運転者からの操作入力を受け付ける。例えば、操作部3は、運転手から、運転制御装置10に自動運転を行わせる操作、運転制御装置10に運転支援を行わせる操作を受け付ける。以下の説明において、運転制御装置10に自動運転を行わせる操作を自動運転を行う操作、運転制御装置10に運転支援を行わせる操作を運転支援を行う操作という。
【0021】
出音装置4は、例えばスピーカであり、運転制御装置10から出力される音声信号に基づいて出音する。
表示装置5は、例えばディスプレイ装置であり、運転制御装置10の制御に応じて各種情報を表示する。
【0022】
各種ECU6は、例えば、車両Vに設けられているECUであり、エンジン制御ECU、ブレーキ制御ECU、トランスミッション制御ECU、パワーステアリングECU等が含まれる。各種ECU6は、運転制御装置10の制御に応じてエンジン、ブレーキ、トランスミッション、パワーステアリングを制御する。ここで、車両Vは、自動運転時の故障に対応するために、ステアリングを制御するための通信経路を二重するなど、冗長に設計されている。車両Vは、自動運転時の故障に対応するために、ステアリングに限らず、エンジン制御系、ブレーキ制御系等についても冗長に設計されていてもよい。
【0023】
[運転制御装置10の構成]
続いて、運転制御装置10の構成について説明する。運転制御装置10は、図1に示すように、記憶部11と、制御部12とを有する。制御部12は、位置取得部121と、検出部122と、特定部123と、運転制御部124と、通知部125とを有する。
【0024】
記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)である。記憶部11は、制御部12を機能させるための各種のプログラムを記憶する。記憶部11は、制御部12を、位置取得部121、検出部122、特定部123、運転制御部124、及び通知部125として機能させるプログラムを記憶する。
【0025】
制御部12は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部12は、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することにより、位置取得部121、検出部122、特定部123、運転制御部124、及び通知部125として機能する。
【0026】
位置取得部121は、車両Vの位置を示す車両位置情報を取得する。例えば、位置取得部121は、GNSS(Global Navigation Satellite System)やGPS(Global Positioning System)等の測位衛星が発した電波を受信し、受信した電波に基づく車両位置情報を取得する。位置取得部121は、取得した車両位置情報を例えば運転制御部124に出力する。
【0027】
検出部122は、複数の運転制御機能に関する複数の装置の少なくともいずれかの故障を検出する。例えば、検出部122は、複数の運転制御機能に関する複数の装置の故障として、各種センサ1、撮像装置2、各種ECU6の少なくともいずれかの故障を検出する。
【0028】
例えば、検出部122は、各種センサ1に含まれるLiDAR、SRR、ソナーから、電波又は音波を射出できないこと、電波又は音波を受信できないことを示すエラー情報を取得することにより、これらのセンサの故障を検出する。
【0029】
検出部122は、撮像装置2から、光軸がずれたこと、輝度が確保できないことを示すエラー情報を取得することにより、撮像装置2が故障したことを検出する。また、検出部122は、撮像装置2から映像が取得できない場合、撮像装置2から映像が取得できない故障が発生したことを検出する。
【0030】
検出部122は、GNSSやGPS等の測位衛星が発した電波を受信できない場合、位置取得部121が故障したことを検出する。また、検出部122は、各種ECU6から、ECUが故障したことを示すエラー情報を受信した場合、及びECUからの応答がない場合、ECUが故障したことを検出する。ECUに関する故障としては、ECUが有する通信部の故障、CPUの故障等がある。検出部122は、故障した装置を識別するための装置IDと、故障の種類を特定できるものとする。
【0031】
特定部123は、複数の運転制御機能のうち、検出部122が検出した故障により動作に支障が生じる運転制御機能を故障機能として特定する。また、特定部123は、特定部は、検出部122が検出した故障により、車両Vの走行に支障が生じるか否かを特定する。車両Vの走行に支障が生じるとは、自動運転及び運転支援のみならず、手動運転を行っている場合にも走行に支障をきたすことをいう。
【0032】
例えば、記憶部11に、装置に対応する装置IDと、当該装置の故障の種類を示す情報と、当該装置の故障により支障が生じる運転制御機能を識別するための機能IDと、故障した装置及び当該装置の故障の種類に対して車両Vの走行に支障があるか否かを示す走行支障情報とを関連付けた支障範囲特定用情報を記憶しておく。ここで、支障範囲特定用情報には、装置の故障により動作に支障が生じる運転制御機能を識別するための機能IDだけでなく、ブレーキや、ギヤチェンジ等の車両Vの走行に係る機能を識別するための機能IDも含まれるものとする。
【0033】
図2は、支障範囲特定用情報の一例を示す図である。図2に示す支障範囲特定用情報は、装置の装置IDと、装置の名称と、故障の種類を示すエラーID及びエラー種別と、支障が生じる運転制御機能の機能IDと、当該運転制御機能の機能名と、走行支障情報とが関連付けられていることが確認できる。図2に示すように、前方カメラにおいて画像の取得ができない故障が発生した場合、動作に支障が生じる運転制御機能が車線変更機能、等速走行機能及び追従走行機能であるとともに、画像の取得ができない故障に対して車両Vの走行に支障が生じないことが確認できる。また、ウォーターポンプの故障が発生した場合、車両Vの走行に支障が生じることが確認できる。
【0034】
特定部123は、記憶部11に記憶されている支障範囲特定用情報を参照し、検出部122が故障を検出した装置の装置IDと、故障の種類とに関連付けられている機能IDを特定することにより、動作に支障が生じる運転制御機能を故障機能として特定する。また、特定部123は、支障範囲特定用情報を参照し、検出部122が故障を検出した装置の装置IDと、故障の種類とに関連付けられている走行支障情報を参照することにより、車両Vの走行に支障が生じるか否かを特定する。
【0035】
また、特定部123は、故障機能として自動運転機能に関する運転制御機能を特定した場合に、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であるか否かを特定する。例えば、記憶部11には、運転制御機能と、当該運転制御機能の冗長機能との関係を示す冗長機能情報が設けられている。特定部123は、自動運転機能に関する運転制御機能を故障機能として特定した場合に、冗長機能情報を参照し、当該故障機能に対応する冗長機能を特定する。特定部123は、特定した冗長機能が動作可能であるか否かを判定することにより、故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かを特定する。
【0036】
また、特定部123は、自動運転機能に関する運転制御機能を故障機能として特定した場合に、当該故障機能が冗長機能により補完不可能であることを特定すると、運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、自動運転に係る運転制御から手動運転に切り替える必要があるかをさらに特定する。例えば、特定部123は、運転制御部124からブレーキへの制御ができない場合や、ステアリング制御に対する主機能と冗長機能との両方を故障機能として特定した場合、自動運転に係る運転制御から手動運転に切り替える必要があると特定する。
【0037】
運転制御部124は、複数の運転制御機能の少なくともいずれかを実行して車両Vの運転制御を行う。例えば、運転制御部124は、車両Vが高速道路を走行している場合に、運転者から、車両Vを自動走行させる自動走行モードの設定を受け付けると、自動運転機能を実行して、車両Vの自動運転を行う。
【0038】
運転制御部124は、複数の運転制御機能の少なくともいずれかを実行して車両Vの運転制御を行っている場合に、検出部122が装置の故障を検出し、特定部123が故障機能を特定すると、当該故障機能に対応する制御を行う。運転制御部124は、特定部123が自動運転機能に関する運転制御機能を故障機能として特定した場合、故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かに基づく制御を行う。また、運転制御部124は、当該故障機能が冗長機能により補完不可能であり、自動運転機能が実行できない場合に、自動運転機能から運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、自動運転機能に係る運転制御から手動運転に切り替える必要があるかに基づく制御を行う。
【0039】
通知部125は、特定部123が特定した故障機能に対応する情報を運転者に通知する。通知部125は、特定部123が特定した故障機能に対応する音声を出音装置4に出力させたり、特定部123が特定した故障機能に対応する画面を表示装置5に表示させたりすることで、故障機能に対応する情報を運転者に通知する。
【0040】
通知部125は、特定部123が自動運転機能に関する運転制御機能を故障機能として特定した場合、故障機能が冗長機能により補完可能であるか否かに基づく情報を運転者に通知する。また、通知部125は、当該故障機能が冗長機能により補完不可能である場合に、自動運転機能から運転支援機能に限定して運転制御を行うことが可能か、自動運転に係る運転制御から手動運転に切り替える必要があるかに基づく情報を運転者に通知する。以下、運転制御部124及び通知部125の詳細について、手動運転時及び自動運転時に分けて説明する。
【0041】
[手動運転時における処理]
まず、手動運転時における運転制御部124及び通知部125の制御について説明する。
【0042】
[冗長機能による補完が可能な故障が発生した場合]
手動運転時に、自動運転機能に関する故障機能が冗長機能により補完可能であることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、自動運転を行う操作が行われると自動運転機能に係る運転制御を実行させる。例えば、ステアリングに対する配線経路の一つが断線した場合において、冗長系の配線が使用可能である場合、運転制御部124は、冗長系の配線を使用してステアリングの制御を行うように制御を切り替えることにより、自動運転機能の実行を可能とする。
【0043】
この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転機能を実行可能であるが、車両Vの点検を促すことを示す情報とを運転者に通知する。このようにすることで、自動運転機能を実行可能であることから、運転者の負担を軽減することができる。また、運転者は、運転支援機能に異常が発生したことを認識し、速やかに点検を行うことができる。
【0044】
[冗長機能による補完が不可能な故障が発生し、運転支援機能に限定した運転制御が可能である場合]
手動運転時に、自動運転機能に関する故障機能が冗長機能により補完不可能であり、運転支援機能に限定した運転制御が可能であることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、自動運転を行う操作が行われると、自動運転機能に代わり運転支援機能を実行させる。
【0045】
例えば、車両Vの前方を撮像する撮像装置2により前方の車両検知及び車線検知を行い、LiDARで前方の車両検知を補完しているものとする。この場合において、車両Vの前方を撮像する撮像装置2が故障すると、LiDARで車両検知を行い、撮像装置2による車両検知を補完することができるものの、LiDARだけでは車線維持はできない。このため、運転制御部124は、自動運転を行う操作が行われると、運転支援機能(前方車両の追従走行)を実行させる。
【0046】
この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報と、自動運転が不可能であり、運転支援機能に限定して実行可能であることを示す情報とを運転者に通知する。このようにすることで、運転者は、自動運転が不可能であることを認識し、速やかに点検を行うことができる。また、運転制御部124は、運転支援機能に限定して実行可能であることから、運転者の負担を軽減することができる。
【0047】
[冗長機能による補完が不可能な故障が発生し、手動運転に移行する必要がある場合]
手動運転時に、自動運転機能に関する故障機能が冗長機能により補完不可能であり、自動運転に係る運転制御から手動運転に切り替える必要があることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、自動運転を行う操作が行われると、自動運転機能及び運転支援機能を実行させないように制御し、運転者に手動運転を継続させる。また、運転制御部124は、運転支援を行う操作が行われると、運転支援機能を実行させないように制御し、運転者に手動運転を継続させる。
【0048】
例えば、ブレーキECUからブレーキへの制御ができない場合、又は、ステアリング制御に対する主機能と冗長機能の両方が故障した場合、自動運転機能及び運転支援機能に対応する制御ができず、運転者による手動運転が必要となる。この場合、運転制御部124は、自動運転を行う操作又は運転支援を行う操作が行われても、自動運転機能及び運転支援機能を実行させないように制御し、運転者に手動運転を継続させる。
【0049】
この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転及び運転支援が不可能であることを示す情報と、手動運転に支障がないことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とを運転者に通知する。このようにすることで、運転者は、自動運転及び運転支援が不可能であることを認識し、速やかに点検を行うことができる。
【0050】
[車両の走行に支障が生じている場合]
手動運転時に、検出部122が検出した故障により、車両Vの走行に支障が生じることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、自動運転又は運転支援を行う操作が行われると、自動運転機能及び運転支援機能を実行させないように制御し、運転者に手動運転を継続させる。この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転及び運転支援が不可能であることを示す情報と、故障により、車両Vの走行に支障が生じることを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とを運転者に通知する。通知部125は、車両Vの走行に支障が生じる場合、車両Vの点検が必要であることを強調して通知する等、車両Vの走行に支障が生じていない場合に比べて車両Vの点検を促すことを示す情報を強調してもよい。
【0051】
[自動運転時における処理]
続いて、自動運転時、すなわち、自動運転機能の実行時における運転制御部124及び通知部125の制御について説明する。
【0052】
[冗長機能による補完が可能な故障が発生した場合]
自動運転時に、自動運転機能に関する故障機能が冗長機能により補完可能であることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、故障機能から冗長機能に切り替えることにより、自動運転機能を継続して実行する。この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転機能には支障がなく継続可能であるが、車両Vの点検を促すことを示す情報と、自動運転機能を継続して実行することを示す情報とを運転者に通知する。このようにすることで、自動運転が維持されるので、装置の故障により運転者の負担が増加することを抑制することができる。また、運転者は、運転支援機能に異常が発生したことを認識し、速やかに点検を行うことができる。
【0053】
[冗長機能による補完が不可能な故障が発生し、運転支援機能に限定した運転制御が可能である場合]
自動運転時に、自動運転機能に関する故障機能が冗長機能により補完不可能であり、運転支援機能に限定した運転制御が可能であることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、自動運転機能による運転制御から、運転支援機能による運転制御に移行する。
【0054】
また、この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報と、自動運転機能による運転制御から、運転支援機能による運転制御に移行することを示す情報とを運転者に通知する。通知部125は、各種センサ1により、運転者が操舵を行ったことを検出するまで、運転支援機能による運転制御に移行することを示す情報とを運転者に通知し続けるようにしてもよい。このようにすることで、自動運転から運転支援に移行することを運転者に認識させ、安全に運転支援機能を利用した運転に切り替えることができるとともに、運転者が手動運転を行う場合に比べて運転者の負担を軽減することができる。また、運転者は、自動運転機能に異常が発生したことを認識し、速やかに点検を行うことができる。
【0055】
なお、運転制御部124は、故障機能が冗長機能により補完不可能であり、運転支援機能に限定した運転制御が可能である場合に、自動運転機能による運転制御から、運転支援機能による運転制御に移行したが、これに限らない。運転制御部124は、操作部3により、自動運転から運転支援に移行するか、自動運転から手動運転に切り替えるかの選択を受け付けてもよい。運転制御部124は、自動運転から運転支援に移行する選択を受け付けたことに応じて、自動運転機能による運転制御から、運転支援機能による運転制御に移行する。また、運転制御部124は、自動運転から手動運転に切り替える選択を受け付けたことに応じて、自動運転機能による運転制御から、手動運転に切り替える。
【0056】
[冗長機能による補完が不可能な故障が発生し、手動運転に移行する必要がある場合]
自動運転時に、自動運転機能に関する故障機能が冗長機能により補完不可能であり、自動運転に係る運転制御から手動運転に切り替える必要があることを特定部123が特定した場合、運転制御部124は、自動運転機能による運転制御から手動運転に移行させる。この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転及び運転支援が不可能であるものの、手動運転に支障がないことを示す情報と、自動運転機能による運転制御から手動運転に移行することを示す情報とを運転者に通知する。このようにすることで、自動運転から手動運転に移行することを運転者に認識させ、安全に手動運転に切り替えることができる。また、運転者は、自動運転機能に異常が発生したことを認識し、速やかに点検を行うことができる。
【0057】
[車両の走行に支障が生じている場合]
自動運転時に、検出部122が検出した故障により、車両Vの走行に支障が生じることを特定部123が特定すると、運転制御部124は、複数の運転制御機能の全てを停止させ、自動運転機能による運転制御を停止する。この場合、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転及び運転支援が不可能であることを示す情報と、故障により車両Vの走行に支障が生じることを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とを運転者に通知する。このようにすることで、車両Vの走行に支障が生じること、及び自動運転から手動運転に移行することを運転者に認識させ、運転者に、車両Vの走行を停止させたり、修理工場に向かわせたりする等の適切な対応をとらせることができる。
【0058】
[運転制御装置10における処理の流れ]
続いて、運転制御装置10における処理の流れについて説明する。図3は、本実施形態に係る車両Vが手動運転により走行している場合の運転制御装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、検出部122が装置の故障を検出すると開始する。
【0059】
まず、特定部123は、装置の故障に対して動作に支障が生じる運転制御機能を特定する(S1)。また、特定部123は、検出部122が検出した故障により、車両Vの走行に支障が生じるか否かを特定する(S2)。
【0060】
続いて、通知部125は、車両Vの走行に支障があるか否かを判定する(S3)。通知部125は、車両Vの走行に支障があると判定すると、S4に処理を移し、車両Vの走行に支障がないと判定すると、S5に処理を移す。なお、車両Vの走行に支障があるか否かの判定は、運転制御部124が行ってもよい。以降の説明においても、分岐の判定は、通知部125の代わりに運転制御部124が行ってもよい。
【0061】
S4において、通知部125は、故障により車両Vの走行に支障が生じることを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転及び運転支援が不可能であることを示す情報とをあわせて運転者に通知する。通知部125は、S4の処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0062】
S5において、通知部125は、動作に支障が生じる運転制御機能(故障機能)が自動運転機能に関する運転制御機能であり、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であるか否かを判定する。通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であると判定すると、S6に処理を移し、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可能であると判定すると、S8に処理を移す。
【0063】
S6において、通知部125は、自動運転機能を実行可能であるが、車両Vの点検を促すことを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報をあわせて運転者に通知する。
【0064】
S7において、運転制御部124は、運転者により自動運転を行う操作が行われたことに応じて、自動運転機能を実行する。運転制御部124は、S7の処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0065】
S8において、通知部125は、故障機能が自動運転機能に関する運転制御機能であり、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ運転支援機能により運転制御が可能であるか否かを判定する。通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ運転支援機能により運転制御が可能であると判定すると、S9に処理を移す。また、通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ運転支援機能により運転制御が可能ではないと判定すると、S11に処理を移す。
【0066】
S9において、通知部125は、自動運転機能が不可能であり、運転支援機能に限定して実行可能であることを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とをあわせて運転者に通知する。
【0067】
S10において、運転制御部124は、運転者により自動運転を行う操作が行われると、自動運転機能に代わり運転支援機能を実行する。この場合、通知部125は、自動運転機能に代わり運転支援機能を実行することを示す情報を運転者に通知する。運転制御部124は、S10の処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0068】
S11において、通知部125は、故障機能が自動運転機能に関する運転制御機能であり、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ自動運転機能の実行から手動運転への移行が必要であるか否かを判定する。通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ自動運転機能の実行から手動運転への移行が必要であると判定すると、S12に処理を移す。また、通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ自動運転機能の実行から手動運転への移行が必要ではないと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0069】
S12において、通知部125は、自動運転及び運転支援が不可能であることを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、手動運転に支障がないことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とをあわせて運転者に通知する。
【0070】
図4は、本実施形態に係る車両Vが自動運転により走行している場合の運転制御装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートと同様に、検出部122が装置の故障を検出すると開始する。
【0071】
まず、特定部123は、装置の故障に対して動作に支障が生じる運転制御機能を特定するとともに(S21)、検出部122が検出した故障により、車両Vの走行に支障が生じるか否かを特定する(S22)。
【0072】
続いて、通知部125は、車両Vの走行に支障があるか否かを判定する(S23)。通知部125は、車両Vの走行に支障があると判定すると、S24に処理を移し、車両Vの走行に支障がないと判定すると、S26に処理を移す。
【0073】
S24において、通知部125は、故障により車両Vの走行に支障が生じることを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、自動運転による運転制御から手動運転に移行することを示す情報とをあわせて運転者に通知する。
【0074】
S25において、運転制御部124は、複数の運転制御機能の全てを停止させ、自動運転機能による運転制御を停止する。運転制御部124は、S25の処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0075】
S26において、通知部125は、故障機能が自動運転機能に関する運転制御機能であり、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であるか否かを判定する。通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完可能であると判定すると、S27に処理を移し、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可能であると判定すると、S29に処理を移す。
【0076】
S27において、通知部125は、自動運転機能を継続可能であるが、車両の点検を促すことを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報をあわせて運転者に通知する。
【0077】
S28において、運転制御部124は、故障機能から冗長機能に切り替えることにより、自動運転機能を継続して実行する。運転制御部124は、S28の処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0078】
S29において、通知部125は、故障機能が自動運転機能に関する運転制御機能であり、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ運転支援機能により運転制御が可能であるか否かを判定する。通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ運転支援機能により運転制御が可能であると判定すると、S30に処理を移す。また、通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ運転支援機能により運転制御が可能ではないと判定すると、S32に処理を移す。
【0079】
S30において、通知部125は、自動運転機能が不可能であり、自動運転機能による運転制御から運転支援機能による運転制御に移行することを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とをあわせて運転者に通知する。
【0080】
S31において、運転制御部124は、自動運転機能による運転制御から、運転支援機能による運転制御に移行する。運転制御部124は、S31の処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0081】
S32において、通知部125は、故障機能が自動運転機能に関する運転制御機能であり、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ自動運転機能の実行から手動運転への移行が必要であるか否かを判定する。通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ自動運転機能の実行から手動運転への移行が必要であると判定すると、S33に処理を移す。また、通知部125は、当該運転制御機能が冗長機能により補完不可、かつ自動運転機能の実行から手動運転への移行が必要ではないと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0082】
S33において、通知部125は、自動運転による運転制御から手動運転に移行することを示す情報を運転者に通知する。また、通知部125は、故障機能に異常が発生したことを示す情報と、手動運転に支障がないことを示す情報と、車両Vの点検を促すことを示す情報とをあわせて運転者に通知する。
S34において、運転制御部124は、自動運転機能による運転制御から、手動運転に移行する。
【0083】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る運転制御装置10は、複数の運転制御機能のうち、検出した故障により動作に支障が生じる運転制御機能を故障機能として特定し、当該故障機能に対応する制御を行うとともに、当該故障機能に対応する情報を運転者に通知する。このようにすることで、運転制御装置10は、装置の故障時に運転者の負担を軽減するとともに、運転者に、故障の度合いに対応して行動させることができる。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、記憶部11に、車両Vに故障が発生した場合の連絡先を記憶させておいてもよい。そして、通知部125が、複数の運転制御機能に関する複数の装置の少なくともいずれかの故障を検出したことに応じて、記憶部11に記憶されている連絡先に、故障により支障が生じている機能に関する情報や、運転に支障が生じているか否かを示す情報を通知してもよい。また、運転制御装置10の機能の一部は、車両Vに搭載されず、車両Vと通信可能な外部のサーバに設けられていてもよい。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0085】
10 運転制御装置
11 記憶部
12 制御部
121 位置取得部
122 検出部
123 特定部
124 運転制御部
125 通知部
1 各種センサ
2 撮像装置
3 操作部
4 出音装置
5 表示装置
6 各種ECU
V 車両
図1
図2
図3
図4