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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149062
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】吸気制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
F02D9/02 351P
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051010
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 大地
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 航平
【テーマコード(参考)】
3G065
【Fターム(参考)】
3G065AA11
3G065DA04
(57)【要約】
【課題】バイパス通路のダストをより効率的に捕らえ、ダスト蓄積に対してより性能の低下の少ない吸気制御装置を提供すること。
【解決手段】吸気制御装置1は、バイパス通路5と、バルブ孔8内に配置されてバイパス通路5の断面積を調整することでバイパス通路5内を流れる吸気の量を調整するバイパスバルブ10と、を備えている。バイパスバルブ10には、バルブ孔8が延在する方向から見て、隔壁部21にはバルブ側係合部17が配置される範囲に隔壁部21の他方側の他の面よりも一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部23が形成されている
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路を内部に備えるスロットルボディと、
前記吸気通路の内部に配置されて前記吸気通路の断面積を調整することで前記吸気通路に流れる吸気の量を調整する弁体と、
前記吸気通路の弁体よりも上流と前記弁体よりも下流とを連通するバイパス通路と、
前記バイパス通路の一部を構成して前記吸気通路の前記弁体よりも上流側に連通する上流側通路と、
前記バイパス通路の一部を構成して前記吸気通路の前記弁体よりも下流側に連通する下流側通路と、
前記上流側通路と前記下流側通路とが連通する空間として前記バイパス通路の一部を構成するバルブ孔と、
前記バルブ孔内に配置されて前記バイパス通路の断面積を調整することで前記バイパス通路内を流れる吸気の量を調整するバイパスバルブと、
前記バイパスバルブを動作させる力を発生させるモータと、
前記バイパスバルブとは別体で構成されて前記バイパスバルブと係合して前記モータで発生した力を前記バイパスバルブに伝え前記バイパスバルブを前記バルブ孔が延在する方向に動作させるスライドピースとを備え、
前記スライドピースは前記バルブ孔の延在方向に延在する第1ねじ部を備え、
前記モータは前記バルブ孔の延在方向に延在する第2ねじ部を回転出力軸として備え、
前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが係合して前記回転出力軸が回転することで前記スライドピースが前記バルブ孔の延在方向に動作せしめられ、
前記バイパスバルブは、前記スロットルボディに対して前記モータの回転軸回りに回転しないように回り止めが設けられているとともに前記スライドピースと係合して前記バイパスバルブと前記スライドピースとの前記モータの回転軸回りの相互回転を規制するバルブ側係合部を備え、
前記スライドピースは前記バルブ側係合部と係合するピース側係合部を備え、
前記バイパスバルブ及び前記下流側通路が前記バルブ孔に開口する計量口は、前記バルブ孔内の前記上流側通路が前記バルブ孔に開口する部分よりも前記バルブ孔の延在方向における一方の側に配置されており、
前記バイパスバルブは前記バルブ孔内を前記一方の側と前記一方の側とは逆の他方の側に分ける隔壁部と前記計量口を遮ることで、前記バイパス通路の断面積を調整するシャッター部を前記隔壁部よりも他方の側に少なくとも備えている吸気制御装置において、
前記バルブ側係合部は前記隔壁部から一体的に前記一方の側に張り出しており、
前記バルブ孔が延在する方向から見て、前記隔壁部には前記バルブ側係合部が配置される範囲に前記隔壁部の前記他方側の他の面よりも前記一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部が形成されていることを特徴とする吸気制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸気制御装置において、
前記バルブ孔の延在方向から見て、前記延伸底部は前記シャッター部が配置される方向へ前記回転出力軸の中心よりも径方向外側に延在していることを特徴としている吸気制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットルボディの吸気通路における吸気の量を調整する弁体の部分を迂回するバイパス通路の吸気量を調整するためのバイパスバルブを備えた吸気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットルボディの吸気通路を弁体により開閉するとともに、吸気通路の弁体が配置された部分を迂回してその上流側と下流側とを接続するバイパス通路の吸気量をバイパスバルブで調整する吸気制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示される、吸気制御装置は、吸気通路の弁体を迂回して吸気通路に接続されるバイパス通路と、このバイパス通路の開度を制御するバイパスバルブとを備え、このバイパスバルブを、内部がバイパス通路の上流側に開放されると共に、バイパス通路の下流側に向かって計量孔が開口する内面を有する筒状の弁室と、この弁室に摺動自在に且つ回転不能に嵌装されて計量口を開閉するバイパスバルブと、を備えている。
【0004】
スロットルボディに取り付けられるバイパス弁機構には円筒形状のバイパスバルブの内径部がバイパス通路の上流側に向けられており、上流側から気流とともに流入するダストが内径部の底に当たって内径部内の底付に蓄積し、気流中のダストが低減されることで気流をコントロールする計量口やバイパスバルブの計量部へのダスト付着を抑える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-064170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バイパス通路のバイパスバルブよりも上流の通路形状が屈曲しない単純化(ストレート構造等)にした場合などにはバイパスバルブ内部まで達するダストの量は増えてしまうことも考えられるため、さらなるダスト対策が必要とされる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、バイパス通路のダストをより効率的に捕らえ、ダスト蓄積に対してより性能の低下の少ない吸気制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸気制御装置は、吸気通路を内部に備えるスロットルボディと、
前記吸気通路の内部に配置されて前記吸気通路の断面積を調整することで前記吸気通路に流れる吸気の量を調整する弁体と、
前記吸気通路の弁体よりも上流と前記弁体よりも下流とを連通するバイパス通路と、
前記バイパス通路の一部を構成して前記吸気通路の前記弁体よりも上流側に連通する上流側通路と、
前記バイパス通路の一部を構成して前記吸気通路の前記弁体よりも下流側に連通する下流側通路と、
前記上流側通路と前記下流側通路とが連通する空間として前記バイパス通路の一部を構成するバルブ孔と、
前記バルブ孔内に配置されて前記バイパス通路の断面積を調整することで前記バイパス通路内を流れる吸気の量を調整するバイパスバルブと、
前記バイパスバルブを動作させる力を発生させるモータと、
前記バイパスバルブとは別体で構成されて前記バイパスバルブと係合して前記モータで発生した力を前記バイパスバルブに伝え前記バイパスバルブを前記バルブ孔が延在する方向に動作させるスライドピースとを備え、
前記スライドピースは前記バルブ孔の延在方向に延在する第1ねじ部を備え、
前記モータは前記バルブ孔の延在方向に延在する第2ねじ部を回転出力軸として備え、
前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが係合して前記回転出力軸が回転することで前記スライドピースが前記バルブ孔の延在方向に動作せしめられ、
前記バイパスバルブは、前記スロットルボディに対して前記モータの回転軸回りに回転しないように回り止めが設けられているとともに前記スライドピースと係合して前記バイパスバルブと前記スライドピースとの前記モータの回転軸回りの相互回転を規制するバルブ側係合部を備え、
前記スライドピースは前記バルブ側係合部と係合するピース側係合部を備え、
前記バイパスバルブ及び前記下流側通路が前記バルブ孔に開口する計量口は、前記バルブ孔内の前記上流側通路が前記バルブ孔に開口する部分よりも前記バルブ孔の延在方向における一方の側に配置されており、
前記バイパスバルブは前記バルブ孔内を前記一方の側と前記一方の側とは逆の他方の側に分ける隔壁部と前記計量口を遮ることで、前記バイパス通路の断面積を調整するシャッター部を前記隔壁部よりも他方の側に少なくとも備えている吸気制御装置において、
前記バルブ側係合部は前記隔壁部から一体的に前記一方の側に張り出しており、
前記バルブ孔が延在する方向から見て、前記隔壁部には前記バルブ側係合部が配置される範囲に前記隔壁部の前記他方側の他の面よりも前記一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、バイパスバルブを開いた状態では、バイパス通路の上流側通路からバルブ孔に流れてきた吸気は、バルブ孔の内周面の計量口から下流側通路に流れる。このとき、吸気内に含まれるダストは、吸気より重いためバルブ孔の内周面の計量口に流れず、そのままバルブ孔の延在方向に位置するバイパスバルブ内の奥側に流れる。バルブ孔が延在する方向から見て、隔壁部にはバルブ側係合部が配置される範囲に隔壁部の他方側の他の面よりも一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部が形成されているので、バイパスバルブ内の奥側に流れてきたダストは延伸底部にぶつかって延伸底部に蓄積され、ダストが下流側通路に流れることを防止できる。このため、バイパス通路のダストをより効率的に捕らえ、ダスト蓄積に対してより性能の低下の少ない吸気制御装置を提供することができる。
【0010】
本発明において、前記バルブ孔の延在方向から見て、前記延伸底部は前記シャッター部が配置される方向へ前記回転出力軸の中心よりも径方向外側に延在してもよい。
【0011】
仮に、延伸底部を設けなかった場合、隔壁部とバルブ側係合部とシャッター部とが結合される領域は容積が大きくなる。バイパスバルブを鋳造にて一体成型する場合には内部容積の大きい領域の周囲は鋳造後の温度低下時には熱収縮する寸法が大きくなりがちで寸法精度を保つことが困難となる。この点、本発明の通り延伸底部を設けることによって内部容量の大きい領域を除去することができるため、バルブ孔の内周面と密接する必要のあるシャッター部の鋳造時の歪みを抑えて面精度を高くすることができるのでバイパスバルブとバルブ孔の内周面とのリークを減少させることが可能となり、バイパス吸気量の調整を精密に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バイパス通路のダストをより効率的に捕らえ、ダスト蓄積に対してより性能の低下の少ない吸気制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の一実施形態に係る吸気制御装置の斜視図である。(B)は接続部、モータ(モータユニット)及びバイパスバルブの斜視図である。(C)は接続部を外した状態の吸気制御装置の要部斜視図である。
図2】(A)は吸気制御装置の斜視断面図である。(B)は吸気制御装置の要部断面図である。
図3】(A)はバイパス通路の要部断面図である。(B)は計量口の説明図である。(C)はバルブ孔及びバイパスバルブの断面図である。
図4】(A)バイパスバルブの延伸底部側から見た斜視図である。(B)はバイパスバルブのバルブ側係合部側から見た斜視図である。(C)はスライドピースの斜視図である。
図5】(A)はバイパスバルブのバルブ孔が延在する方向から見た図である。(B)はバイパスバルブのシャッター部を説明する図である。
図6】(A)はバイパスバルブ前進端状態の作用図である。(B)はバイパスバルブ後進端状態の作用図である。(C)は吸気制御装置の作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0015】
図1図5に示すように、実施形態の吸気制御装置1は、吸気通路2を内部に備えるスロットルボディ3と、吸気通路2の内部に配置されて吸気通路2の断面積を調整することで吸気通路2に流れる吸気の量を調整する弁体(バタフライバルブ)4と、弁体4が固定されてスロットルボディ3により回転自在に支持される弁軸(不図示)と、を備える。
【0016】
吸気通路2の弁体4よりも上流と弁体4よりも下流との間にはバイパス通路5が連通されている。このバイパス通路5は、バイパス通路5の一部を構成して吸気通路2の弁体4よりも上流側に連通する上流側通路6と、バイパス通路5の一部を構成して吸気通路2の弁体4よりも下流側に連通する下流側通路7と、上流側通路6と下流側通路7とが連通する空間としてバイパス通路5の一部を構成するバルブ孔8と、を備える。
【0017】
バルブ孔8内には、バイパス通路5の断面積を調整することでバイパス通路5内を流れる吸気の量を調整するバイパスバルブ10が配置されている。
【0018】
また、吸気制御装置1は、バイパスバルブ10を動作させる力を発生させるモータ11と、バイパスバルブ10とは別体で構成されてバイパスバルブ10と係合してモータ11で発生した力をバイパスバルブ10に伝えバイパスバルブ10をバルブ孔8が延在する方向に動作させるスライドピース12とを備える。
【0019】
スロットルボディ3には、モータ11を配置する筒状の内部空間31が形成され、内部空間31の端部にはこの内部空間31の径よりも大きい径の環状の開口部32が形成されている。モータ11は、このモータ11を囲う樹脂製の大径部33と、配線を繋ぐ接続部34を有するモータユニット35に含まれている。
【0020】
モータ11の先端部と内部空間の底部との間にはシールするたえのシールプレート36が設けられ、開口部32には弾性シール部材(Oリング)37が配置されてモータユニット35の大径部33との間がシールされる。モータユニット35には、スライドピース12を他方の側に付勢するスプリング38が設けられている。モータユニット35は、保持プレート40を介して固着部材(ねじ)41によりスロットルボディ3に固定されている。大径部33には、スロットルボディ3に当接する当接面42と、当接面42の一部が延出した拡大延在部43と、を備えている。
【0021】
スロットルボディ3には、吸気圧センサ、開度センサ及び吸気温センサを内蔵したセンサユニット44が設けられている。
【0022】
スライドピース12は、バルブ孔8の延在方向に延在する第1ねじ部13を備える。モータ11は、バルブ孔8の延在方向に延在する第2ねじ部14を回転出力軸15として備える。第1ねじ部14と第2ねじ部15とが係合して回転出力軸15が回転することでスライドピース12がバルブ孔8の延在方向に動作せしめられる。
【0023】
バイパスバルブ10は、スロットルボディ3に対してモータ11の回転軸回りに回転しないように回り止め16が設けられているとともに、スライドピース12と係合してバイパスバルブ10とスライドピース12とのモータ11の回転軸回りの相互回転を規制するバルブ側係合部(回転規制部)17を備える。スライドピース12は、バルブ側係合部17と係合するピース側係合部(回転規制部)18を備える。
【0024】
バイパスバルブ10及び下流側通路7がバルブ孔8に開口する計量口20は、バルブ孔8内の上流側通路6がバルブ孔8に開口する部分よりもバルブ孔8の延在方向における一方の側に配置されている。
【0025】
バイパスバルブ10は、バルブ孔8内を一方の側と一方の側とは逆の他方の側に分ける隔壁部21と計量口20を遮ることで、バイパス通路5の断面積を調整するシャッター部22を隔壁部21よりも他方の側に少なくとも備えている。
【0026】
また、バルブ側係合部17は隔壁部21から一体的に一方の側に張り出している。バルブ孔8が延在する方向から見て、隔壁部21にはバルブ側係合部17が配置される範囲に隔壁部21の他方側の他の面よりも一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部23が形成されている。
【0027】
また、バルブ孔8の延在方向から見て、延伸底部23はシャッター部22が配置される方向へ回転出力軸15の中心Cよりも径方向外側に延在している。バイパスバルブ10のシャッター部22の他方の側(前進側)には、一方の側から他方の側に向かって(後進側から前進側に向かって)徐々に広がるスリット状のバルブ開口(スリット孔)24が形成されており、バルブ開口24はバイパスバルブ10の端部まで延びて他方の側(前進側)に開放している。
【0028】
次に吸気制御装置1の作用について説明する。
図6(A)に示すように、モータ11を作動させ、バイパスバルブ10を前進端の位置に移動させる。すると、バイパスバルブ10のシャッター部22により、下流側通路7へ開口する計量口20は塞がれる。
【0029】
図6(B)に示すように、モータ11を作動させ、バイパスバルブ10を後進端の位置に移動させる。すると、バイパスバルブ10のバルブ開口(スリット孔)24が計量口20に位置する。バイパス通路5の上流側通路6と下流側通路7が連通する。
【0030】
図6(C)に示すように、上流側通路6からバルブ孔8に流れてきた吸気は、矢印(1)のように流れ、バルブ孔8の内周面に形成された計量口20から下流側通路7へと流れる。このとき、吸気内に含まれるダストは、吸気より重いためバルブ孔8の内周面の計量口20に流れず、矢印(2)のように、そのままバルブ孔8の延在方向に位置するバイパスバルブ10内の奥側に流れる。
【0031】
バルブ孔8が延在する方向から見て、隔壁部21にはバルブ側係合部17が配置される範囲に隔壁部21の他方側の他の面よりも一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部23が形成されているので、バイパスバルブ10内の奥側に流れてきたダストは延伸底部23にぶつかって延伸底部23に蓄積される。
【0032】
また、上流側通路6からバルブ孔8に流れてきた吸気に含まれるダストは、ダストの助走区間S1からダストの減速区間S2に入ることで減速されるところ、延伸底部23があることでダストの減速区間S2を長くすることができ、ダストをより減速させて延伸底部23にダストがぶつかった際の跳ね返りを低減させることができる。このため、ダストをより延出底部23に蓄積させることができる。
【0033】
さらに、バイパスバルブ10に延伸底部23を設けることで、バイパスバルブ10を短くしてもダストの減速区間S2を長く設けることができ、これにより吸気制御装置1を小型化することができる。この結果、例えば、部品の配置スペースの小さい二輪車であっても吸気制御装置1を好適に配置することができる。
【0034】
以上に説明した吸気制御装置1の効果を以下に述べる。
本発明の実施例によれば、バイパスバルブ10を開いた状態では、バイパス通路5の上流側通路6からバルブ孔8に流れてきた吸気は、バルブ孔8の内周面の計量口20から下流側通路7に流れる。このとき、吸気内に含まれるダストは、吸気より重いためバルブ孔8の内周面の計量口に流れず、そのままバルブ孔8の延在方向に位置するバイパスバルブ10内の奥側に流れる。バルブ孔8が延在する方向から見て、隔壁部21にはバルブ側係合部17が配置される範囲に隔壁部21の他方側の他の面よりも一方の側に窪む凹部として形成される延伸底部23が形成されているので、バイパスバルブ10内の奥側に流れてきたダストは延伸底部23にぶつかって延伸底部23に蓄積され、ダストが下流側通路7に流れることを防止できる。このため、バイパス通路5のダストをより効率的に捕らえ、ダスト蓄積に対してより性能の低下の少ない吸気制御装置1を提供することができる。
【0035】
また、バルブ孔8の延在方向から見て、延伸底部23はシャッター部22が配置される方向へ回転出力軸15の中心よりも径方向外側に延在している。
【0036】
仮に、延伸底部23を設けなかった場合、隔壁部21とバルブ側係合部17とシャッター部22とが結合される領域は容積が大きくなる。バイパスバルブ10を鋳造にて一体成型する場合には内部容積の大きい領域の周囲は鋳造後の温度低下時には熱収縮する寸法が大きくなりがちで寸法精度を保つことが困難となる。
【0037】
この点、本発明の通り延伸底部23を設けることによって内部容量の大きい領域を除去することができるため、バルブ孔8の内周面と密接する必要のあるシャッター部22の鋳造時の歪みを抑えて面精度を高くすることができるのでバイパスバルブ10とバルブ孔8の内周面とのリークを減少させることが可能となり、バイパス吸気量の調整を精密に行うことができる。
【0038】
尚、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、吸気制御装置1は、バイパス通路5が迷路構造となったものであっても適用可能である。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の吸気制御装置1は、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0040】
1…吸気制御装置、2…吸気通路、3…スロットルボディ、4…弁体(バタフライバルブ)、5…バイパス通路、6…上流側通路、7…下流側通路、8…バルブ孔、10…バイパスバルブ、11…モータ、12…スライドピース、13…第1ねじ部(スライドピースの内径部、雌ねじ)、14…第2ねじ部(回転出力軸の外径部、雄ねじ)、15…回転出力軸、16…回り止め、17…バルブ側係合部(回転規制部)、18…ピース側係合部(回転規制部)、20…計量口、21…隔壁部、22…シャッター部、23…延伸底部、24…バルブ開口、C…回転出力時の中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6