(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149067
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】回転電機の筐体構造及び回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/173 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H02K5/173 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051019
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】酒井 有
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA04
5H605AA05
5H605BB10
5H605CC04
5H605EB10
5H605EB16
5H605EB19
5H605GG16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軸受が傾いた場合でもハウジングへの損傷を抑止させることが可能な回転電機の筐体構造を提供する。
【解決手段】回転電機の筐体構造であって、ロータおよびステータを収納するとともに、回転軸13が挿通されるハウジング10と、回転軸の一方側を回転自在に軸支し、ハウジングに遊嵌される第1の軸受11と、を備え、ハウジングは、第1の軸受の外周面11aに臨む内周面を有するとともに第1の軸受を受ける軸受保持部を有し、軸受保持部の内周面には、周方向に沿って切り欠かれ、回転軸が径方向に傾いたときに第1の軸受の外周隅部12aを受ける切り欠き部20が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよびステータを収納するとともに、回転軸が挿通されるハウジングと、
前記回転軸の一方側を回転自在に軸支し、前記ハウジングに遊嵌される第1の軸受と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1の軸受の外周面に臨む内周面を有するとともに前記第1の軸受を受ける軸受保持部を有し、
前記軸受保持部の前記内周面には、周方向に沿って切り欠かれ、前記回転軸が径方向に傾いたときに前記第1の軸受の外周隅部を受ける切り欠き部が形成されている
回転電機の筐体構造。
【請求項2】
前記切り欠き部は、凹形状に形成される
請求項1に記載の回転電機の筐体構造。
【請求項3】
前記切り欠き部における複数の隅部は面取り加工される
請求項1または2のいずれか1項に記載の回転電機の筐体構造。
【請求項4】
前記第1の軸受の前記外周面と前記ハウジングの前記内周面との間に所定のすきまが形成される
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機の筐体構造。
【請求項5】
前記回転軸の軸方向における前記第1の軸受の一端面と、前記第1の軸受の一端面に臨む前記ハウジングの端面との間に与圧ばねが配置される
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機の筐体構造。
【請求項6】
前記ハウジングに固定され前記回転軸の他方側を回転自在に軸支する第2の軸受をさらに備える
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転電機の筐体構造。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回転電機の筐体構造と、
前記ハウジングに収納されるロータおよびステータと、
前記ハウジングに挿通される回転軸と、
を備える回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の筐体構造及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機の筐体構造において、回転体を2つの軸受にて支持し、一方の軸受は軸受外輪を固定する固定端、もう一方の軸受は軸受外輪を固定しない自由端とする構成が知られている。また、この種の回転電機の筐体構造では、自由端側の軸受と当該軸受と対向する位置のハウジング面との間に予圧ばねを設置して軸受外輪に予圧を負荷する方式が一般的である。
【0003】
特許文献1では、自由端側の軸受と、当該軸受と対向する位置のハウジング面との間に予圧ばねを設置して、軸受外輪に予圧を負荷している。さらに、特許文献1では、軸受外輪と、当該軸受外輪に臨むハウジングの内周面との間にすきまを形成する構成としており、軸受着脱における組立性や取り外し性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、回転電機を駆動させた場合等に、軸受外輪を固定していない自由端側においては、軸受外輪と、軸受外輪と当該軸受外輪に臨むハウジングの内周面とのすきま分だけ回転軸が傾く可能性がある。
【0006】
回転軸が傾くと連動して軸受も傾き、軸受外輪の隅部が軸受外輪に臨むハウジングの内周面と接触してしまい、ハウジングに負荷される応力が接触箇所周辺で高くなる。この状態で回転電機を使用(駆動)し続けると、軸受外輪の隅部とハウジングの内周面との接触箇所が損傷して削られてしまい、発生した切削屑によって回転電機の駆動時に異音が発生する問題がある。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであって、軸受が傾いた場合でもハウジングへの損傷を抑止させることが可能な回転電機の筐体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、回転電機の筐体構造であって、ロータおよびステータを収納するとともに、回転軸が挿通されるハウジングと、回転軸の一方側を回転自在に軸支し、ハウジングに遊嵌される第1の軸受と、を備え、ハウジングは、第1の軸受の外周面に臨む内周面を有するとともに第1の軸受を受ける軸受保持部を有し、軸受保持部の内周面には、周方向に沿って切り欠かれ、回転軸が径方向に傾いたときに第1の軸受の外周隅部を受ける切り欠き部が形成されている。
【0009】
上記の回転電機の筐体構造において、切り欠き部は、凹形状に形成されてもよい。上記の回転電機の筐体構造において、切り欠き部の複数の隅部は面取り加工されてもよい。
【0010】
上記の回転電機の筐体構造において、第1の軸受の外周面とハウジングの内周面との間に所定のすきまが形成されていてもよい。上記の回転電機の筐体構造において、回転軸の軸方向における第1の軸受の一端面と、第1の軸受の一端面に臨むハウジングの端面との間に与圧ばねが配置されていてもよい。上記の回転電機の筐体構造において、ハウジングに固定され回転軸の他方側を回転自在に軸支する第2の軸受を備えていてもよい。
【0011】
本発明の他の態様に係る回転電機は、上記の回転電機の筐体構造と、ハウジングに収納されるロータおよびステータと、ハウジングに挿通される回転軸と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸受が傾いた場合でもハウジングへの損傷を抑止させることが可能な回転電機の筐体構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態における回転電機の構成例を示す断面図である。
【
図2】本実施形態における回転電機の筐体構造を示す図である。
【
図3】本実施形態における回転電機の筐体構造の拡大図である。
【
図4】本実施形態における回転電機の自由端側の軸受周辺の断面斜視図である。
【
図5】本実施形態における自由端側の軸受が傾いた状態を示す図である。
【
図6】比較例における回転電機の筐体構造を示す斜視図である。
【
図7】比較例における回転電機の自由端側の軸受が傾いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0015】
図1は、本実施形態の回転電機1の構成例を示す断面図である。
本実施形態の回転電機1は、車両などに搭載されて電動機や発電機として使用されるモータである。
【0016】
本実施形態の回転電機1は、筒状のハウジング(フレーム)10と、ハウジング10に、軸受11を介して回転自在に軸支される回転軸(シャフト)13を備えている。軸受11は、外輪及び内輪と、外輪及び内輪との間を転動する複数の転動体により構成される。
さらに、本実施形態の軸受11は、回転軸13の一方を回転自在に軸支し、ハウジング10に遊嵌する自由端側の第1の軸受(
図1中、左側)と、回転軸13の他方を回転自在に軸支し、ハウジング10に固定する固定端側の第2の軸受(
図1中、右側)とを含む。なお、固定端側における第2の軸受は、第2の軸受の外輪がベアリングプレート22と、ハウジング10とで挟まれるように固定される。これにより、固定端側の第2の軸受が傾くことを防止している。
【0017】
回転電機1は、回転軸13に保持(固定)された円筒状のロータ(回転子)14と、ロータ14に対向配置されてハウジング10に保持されたステータ(固定子)18とを備えている。
ハウジング10はアルミ、または鋳造品等からなり、ロータ14及びステータ18を収納するモータハウジングとして機能する。また、ハウジング10は、自由端側の軸受11の外周面11aに臨む内周面10aを有するとともに自由端側の軸受11を受ける軸受保持部を有する。
【0018】
回転軸13は、ロータ14のロータコアの中心に設けられたシャフト穴を回転軸線Aの方向に貫通し、ロータ14の回転軸線A上に位置する。回転軸13は、ロータ14とともに回転軸線Aを中心にして回転駆動する。また、回転軸13は回転軸線Aの方向に開口21を介してハウジング10の外部に突出する。
以下、回転軸線Aの延在方向(X方向)を単に軸方向という。また、回転軸線Aを中心にした周方向を単に周方向という。また、回転軸線Aを中心にした径方向を単に径方向という。
【0019】
ステータ18は、円筒状に形成されたステータコア(固定子鉄心)15を備える。
ステータコア15の内周には、不図示ではあるが径方向内側に突出する複数のティース部が周方向に沿って設けられ、ティース部の間にはそれぞれスロットが形成される。
【0020】
さらに、ステータコア15は、ティース部にそれぞれ複数の巻線(素線)によって構成されるコイル16が巻回される。コイル16には、ステータコア15の端面から突出するようにコイルエンド部17が備えられている。
【0021】
図6は、比較例の回転電機の自由端側の筐体構造を示す図である。
比較例の回転電機では、2つの軸受41を介して回転軸43を回転自在に軸支している。2つの軸受41は、軸受41をハウジング40に遊嵌している自由端側の軸受と、軸受41をハウジング40に固定している固定端側の軸受とで構成される。なお、ハウジング40及び回転軸43の配置等は本実施形態のハウジング10及び回転軸13と同様である。
【0022】
また、ハウジング40は、自由端側の軸受41の外周面41aに臨む内周面40aを有するとともに自由端側の軸受41を受ける軸受保持部を有する。
軸受41の外輪の隅部(エッジ)42は、軸方向の一端面(
図6中、軸受41の左側)の隅部である外輪一端側隅部42aと、外輪一端側隅部42aと反対側の面(
図6中、軸受41の右側)の隅部である外輪他端側隅部42bを含む。
【0023】
自由端側の軸受41の外輪の嵌めあいは、自由端側の軸受41の外周面41aに臨む(径方向で対向する位置にある)ハウジング40の軸受保持部の内周面40aとの間に所定すきまを介在させた、すきまばめとなっている。
軸受41の外輪の嵌めあいをすきまばめとすることで、軸受着脱における組立性や取り外し性を向上させている。
【0024】
さらに、自由端側の軸受41の軸方向の一端面(
図6中、軸受41の左側)と、自由端側の軸受41の軸方向の一端面と軸方向で対向する位置にあるハウジング40の端面40bとの間には与圧ばね48が配置される。与圧ばね48は、
図6に示しているように軸受41の外輪の一端面に位置するように配置される。
【0025】
与圧ばね48を配置することで、自由端側の軸受41の外輪の一端面は所定の力で与圧される。これにより、回転軸43の振れ精度の向上や騒音または振動等を抑えることができる。
【0026】
図7は、比較例の回転電機で軸受41が径方向に傾いた状態を示す図である。
図7中のAは自由端側の軸受41が径方向に傾いていない状態における回転軸線を示している。
図7中のA’は自由端側の軸受41が径方向に傾いている状態における回転軸線の例を示している。なお、回転軸が径方向に傾くことで軸受が連動して傾く。
回転電機を駆動等させた場合、上記した所定のすきまが形成されていると、この所定のすきまが形成されている自由端側の軸受41は、
図7に示しているように径方向のいずれかの方向に所定のすきま分だけ径方向に傾く可能性がある。
【0027】
自由端側の軸受41が径方向に傾くと、当該軸受41の外輪一端側隅部42aがハウジング40の軸受保持部の内周面40aと接触(点接触を含む)する場合があり、当該接触によって接触箇所のハウジング40に負荷される応力が高くなる。
【0028】
この状態で回転電機を駆動し続けると、自由端側の軸受41の外輪がクリープした時に応力集中したまま当該軸受41が回転する。これにより、応力集中しているハウジング40の軸受保持部の内周面40aが自由端側の軸受41の外輪一端側隅部42aによって削られ、ハウジング40の内周面40aに線状の溝が形成される。
【0029】
さらに、この時発生した切削屑が回転電機1の各部に入り込むと、回転電機1を駆動させた際に異音が発生し、車両等における乗り心地を悪化させてしまう。さらに、切削屑によってハウジング40の内部や軸受41が錆びてしまう場合もあり、このような事象が生じると回転電機の寿命が短くなってしまう可能性がある。
【0030】
図2は、本実施形態における回転電機1の自由端側の筐体構造を示す図である。
図3は本実施形態における回転電機1の自由端側の筐体構造の一部拡大図である。
図4は、本実施形態における回転電機1の自由端側の軸受周辺の断面斜視図である。
本実施形態における自由端側の軸受11の外輪の隅部(エッジ)12は、軸方向の一端面(
図2中、軸受11の左側)の隅部である外輪一端側隅部12aと、外輪一端側隅部12aと反対側の面(
図2中、軸受11の右側)の隅部である外輪他端側隅部12bを含む。
【0031】
自由端側の軸受11の外輪の嵌めあいは、自由端側の軸受11の外周面11aに臨む(径方向で対向する位置にある)ハウジング10の軸受保持部の内周面10aとの間に所定のすきまを介在させた、すきまばめとなっている。所定のすきまを形成したことによる効果は上記した比較例と同様である。
【0032】
さらに、自由端側の軸受11の軸方向の一端面(
図2中、軸受11の左側)と、自由端側の軸受11の軸方向の一端面と軸方向で対向する位置にあるハウジング10の端面10bとの間には与圧ばね19が配置される。与圧ばね19の配置位置や効果については上記した比較例と同様である。なお、本実施形態における与圧ばね19は、例えば、皿ばねや圧縮コイルばね等である。
【0033】
図5は、本実施形態の回転電機1の自由端側の軸受11が径方向に傾いた状態を示す図である。
図5中のAは自由端側の軸受11が径方向に傾いていない状態における回転軸線を示している。
図5中のA’は自由端側の軸受11が径方向に傾いている状態における回転軸線を示している。
回転電機を駆動等させた場合、上記した所定のすきまが形成されていると、当該所定のすきまが形成されている自由端側の軸受11が、
図5に示しているように所定のすきま分だけ回転軸13の傾きに連動して径方向に傾く可能性がある。
【0034】
従来であれば、自由端側の軸受11が径方向に傾くと当該軸受11の外輪一端側隅部12aがハウジング10の軸受保持部の内周面10aと接触してしまう。接触した場合には接触位置におけるハウジング10の軸受保持部の内周面10aが削れてしまう。これに対し、本実施形態では自由端側の軸受11が径方向に傾いた場合に、当該軸受11の外輪一端側隅部12aを受ける箇所周辺のハウジング10の軸受保持部の内周面10aに切り欠き部20を形成している。
【0035】
切り欠き部20を形成することで、自由端側の軸受11が上記した所定のすきま分、径方向に傾いたとしても、切り欠き部20における領域20dが当該軸受11の外輪一端側隅部12aを受ける。これにより、ハウジング10の軸受保持部の内周面10aに当該軸受11の外輪一端側隅部12aが接触することを抑止できる。
【0036】
また、
図4に示しているように、切り欠き部20はハウジング10の軸受保持部の内周面10aに周方向沿って凹形状の窪みを有するように円環状に形成される。切り欠き部20を円環状に形成することで、自由端側の軸受11が径方向のいずれの方向に傾いたとしても、当該軸受11の外輪一端側隅部12aを切り欠き部20における領域20dが受けることができる。これによって、自由端側の軸受11の外輪一端側隅部12aがハウジング10の軸受保持部の内周面10aと接触することを抑止できる。
【0037】
また、切り欠き部20は、ハウジング10の軸方向一方側に形成される一端斜面部(
図3中左側)20aと、一端斜面部20aに対向した位置に形成される他端斜面部(
図3中右側)20bと、一端斜面部20aと他端斜面部20bとの間に形成される中央部20cによって構成される。
【0038】
径方向の外周側の一方に徐々に窪んでいくように形成される一端斜面部20aと径方向の外周側の他方に徐々に窪んでいくように形成される他端斜面部20bを形成することで、直角で構成される単純な凹形状に比べて応力を逃がしやすくなる。これにより、回転電機1を長年使用した場合であっても、切り欠き部20を起点としたクラックや破断等を抑止することができる。
また、自由端側の軸受11の径方向の傾きは、自由端側の軸受11の外周面11aと軸受保持部の内周面10aとの間の距離、即ち所定のすきまの大きさによって変わる。そのため、所定のすきまの大きさによって切り欠き部20のサイズや形成位置を設定する。
【0039】
さらに、切り欠き部20におけるそれぞれの隅部は面取りしたR加工とする。それぞれの隅部をR加工することで、例えば、回転軸13が径方向のいずれかに傾いた際に、外輪一端側隅部12aとそれぞれの隅部のいずれかとが接触することを抑止することができる。さらに、それぞれの隅部をR加工することで、いずれかの要因で発生した応力が隅部に集中することを抑止し、回転電機1を長年使用した場合であっても、切り欠き部20の隅部を起点としたクラックや破断等を抑止することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態では、自由端側の軸受11が径方向に傾いたときに、自由端側の軸受11の外輪一端側隅部12aを受けるハウジング10の軸受保持部の内周面10aに切り欠き部20を形成する。これによって、自由端側の軸受11の外輪一端側隅部12aがハウジング10の軸受保持部の内周面10aと接触することを抑止できるためハウジング10の損傷を抑止可能な筐体構造を有する回転電機を提供することができる。さらに、切削屑の発生も抑止できるため、寿命要求が長期な車両等へ適応可能な筐体構造を有する回転電機を提供することができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0042】
例えば、自由端側の軸受11が径方向に傾いた際に、上記した所定のすきまのサイズやハウジング10の軸受保持部の内周面10aの形状によっては、自由端側の軸受11の外輪一端側隅部12aと外輪他端側隅部12bの両方がハウジング10の軸受保持部の内周面10aに接触してしまう可能性がある。
この場合、本実施形態における切り欠き部20に加え、自由端側の軸受11の外輪他端側隅部12bが接触してしまうハウジング10の軸受保持部の内周面10aに第2の切り欠き部を形成するようにしてもよい。第2の切り欠き部の構成等は本実施形態の切り欠き部20と同様としてもよい。
【0043】
また、切り欠き部20は上記した形状に限らず、半円形状や多角形状に形成するようにしてもよい。
また、本実施形態の回転電機1は、例えば単相や二相交流、三相交流または五相交流などの構成であってもよい。
【0044】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1…回転電機、11…軸受、11a…軸受の外周面、11b…軸受の内周面、12a…外輪一端側隅部、12b…外輪他端側隅部、19…与圧ばね、20…切り欠き部、20a…一端斜面部、20b…他端斜面部、20c…中央部、20d…領域